JP2007308724A - フッ素樹脂の硬質多孔質成形体 - Google Patents

フッ素樹脂の硬質多孔質成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 溶融成形性のフッ素樹脂を延伸してなる連続孔を有する多孔質フィルムや特に多孔質中空糸のごとき硬質の多孔質成形体を提供する。
【解決手段】 ETFE、PFA、FEP、PCTFE及びECTFE等の溶融成形性のフッ素樹脂を延伸してなる連続孔を有する硬質の多孔質成形体が提供される。この成形体において、特に50%伸張時の弾性回復率30%以上の特性を有するように再結晶化したエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体からなる中空糸、中実糸、またはストランドのからなる原反の場合、この中空糸、中実糸、またはストランドの長さ方向に延伸して微細孔を形成させて空孔率15%以上とした硬質の中空糸、中実糸、またはストランドの多孔質成形体が提供される。
【選択図】 図6

Description

本発明は、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体のごとき溶融成形性のフッ素樹脂を延伸して得られる多孔質中空糸などの多孔質成形体に関する。
従来、一般的に、ポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルムや多孔質中空糸等の多孔質成形体は、所望の微細孔を有し、かつ安価、軽量であり、半導体製造工程における洗浄用薬品や気体中の微粒子の分離、醸造品の無菌分離、血液製剤中のビールス除去、血液の透析、海水の脱塩等の精密な濾過膜や分離膜として、又は電池のセパレータ等として、様々な分野で広く使用されている。
なかでもフッ素樹脂は、とりわけ耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性等のフィルター材料として好適な特性を有することから、その多孔質成形体について、多くの検討がなされているが、現在、実用化されている多孔質フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略記する。)がほとんど唯一のものである。
PTFEは、その乳化重合によるファインパウダーをカレンダー成形した予備成型品を延伸することにより比較的容易にフィブリル化し、微細孔を有する高多孔質のPTFEフィルムが得られる。当該PTFEのフィルター膜は、血液成分分析、血清、注射薬の除菌等臨床医学分野、LSIの洗浄水や洗浄薬品中の微粒子除去等の半導体産業分野、大気汚染検査等の公衆衛生分野等で好適に使用されており、また、PTFEは、強い撥水・撥油性を有することから、その微細孔が水蒸気は通すが水滴は遮断すると喧伝されている著名な通気性防水布として、産業分野のみならず、一般の防水衣料の分野でも広く使用されている。
しかしながら、PTFEの多孔質成形体は、その材質に由来して比較的軟質であるため、耐クリープ性が充分でなく、巻回すると潰れが生じ、濾過性が低下するという問題がある。また、PTFEは、溶融粘度が極めて高く、一般のポリオレフィン系樹脂で用いられている押出成形、射出成形等の溶融成形が困難であるという問題もある。従って、当該成形体の形態は、フィルム状等に限定され、用途に応じた任意の形態、例えば中空糸等の形態とすることは、一般には困難である。
通常のポリオレフィン系樹脂については、その多孔質フィルムを、炭酸カルシウム等の無機充填剤を添加して溶融混練して得た原反を延伸する多孔化手段を適用することにより容易に製造しうることが広く知られている。しかるに、これをPTFE以外の溶融成形可能なフッ素樹脂に適用し、この多孔質成形体とすることは、当然試みられることであると予想されるが、すでに述べたように、かかる試みは実際上、ほとんどなされていないのが実状である。
これは、一つは、フッ素樹脂フィルムの原反自体が、基本的に延伸性が悪いものであり、これを通常の手段で、均質に延伸するのは困難だからである。従来、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂においては樹脂自体が容易に延伸することができ、その際、配合された無機充填剤は、樹脂界面で剥離を生じることにより容易に微細孔を形成する(所謂開繊核剤である)。しかるに、当該フッ素樹脂では、これがそもそも均一に延伸され難い樹脂であるため、無機充填剤を加えた場合、フィルムのある領域は多孔化される一方、残りの部分は全く多孔化されない。また多孔化される部分も、極めて不均質に延伸されるため、マクロな孔となってしまう。そして、甚だしい場合は、その部分から裂けて破断したりするため、到底好ましい粒径分布を有する微細孔からなる多孔体は得られないためであると考えられる。
特開昭54−62273号公報(特許請求の範囲)
本発明者らは、先にフッ素樹脂の原反を延伸させる場合、当該原反を単体で延伸するのでなく、これを、それ自身容易に延伸される易延伸性のフィルムでサンドイッチして積層フィルムとし、当該積層フィルムを、その外層を形成する易延伸性のフィルムを主体として延伸させれば、芯層(コア層)となっている対象フッ素樹脂の原反は、外層の易延伸性フィルムに引っ張られて強制的に追随して延伸され、結果として均一に延伸されることを見いだした。
そしてかかる新しい延伸原理(以下、アシスト法と称することがある。)に基づけば、無機充填剤を添加した溶融成形性のフッ素樹脂についても、単体延伸と全く異なり、きわめて均一に延伸が行われるため、当該開繊核剤たる無機充填剤の界面剥離による微細孔形成作用が、原反の全表面において均質に行われ、微細孔が均一に分布したフッ素樹脂の多孔質成形体が得られることを発見した。本発明はかかる知見によりなされるに至ったものである。
すなわち、本発明に従えば、溶融成形性のフッ素樹脂を延伸してなることを特徴とする連続孔を有する硬質の多孔質成形体、が提供される。
以下、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
本発明で使用する溶融成形性のフッ素樹脂(以下、単にフッ素樹脂と称することがある。)としては、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体(以下、ETFEと略記することがある。以下、同様)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(PFA)(但し、パーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜18程度であるものが好ましい。)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(FEP)等のテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン系共重合体(ECTFE)等のクロロトリフルオロエチレン系フッ素樹脂等が好ましいものとして挙げられる。また、これらのブレンドや上記単量体成分のさらなる共重合体でもよい。
これらのフッ素樹脂のなかでは、特にETFEやFEPが好ましく、これについてさらに詳しく述べれば以下のとおりである。
本発明で使用するETFEとしては、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと称する。)/エチレンに基づく重合単位のモル比が、好ましくは70/30〜30/70、より好ましくは65/35〜40/60、最も好ましくは60/40〜40/60の共重合体である。
また本発明で使用するFEPとしては、TFE/ヘキサフルオロプロピレンに基づく重合単位のモル比が、好ましくは98/2〜50/50、より好ましくは95/15〜60/40、最も好ましくは90/10〜75/25の共重合体である。
これらETFEやFEPは、TFE及びエチレンの他に、又はTFE及びヘキサフルオロプロピレンの他に、少量の共単量体に基づく重合単位を含んでいてもよい。これらの共単量体としては、CF2=CFCl、CF2=CH2などのTFEを除くフルオロエチレン類;CF2=CFCF3、CF2=CHCF3などのフルオロプロピレン類;CF3CF2CF2CF2CH=CH2、CF3CF2CF2CF2CF=CH2などの炭素数が4〜12のフルオロアルキル基を有する(パーフルオロアルキル)エチレン類;Rf(OCFXCF2mOCF=CF2(式中Rfは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、Xは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基、mは、0〜5の整数を表す。)などのパーフルオロビニルエーテル類;CH3OC(=O)CF2CF2CF2OCF=CF2やFSO2CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF=CF2などの容易にカルボン酸基やスルホン酸基に変換可能な基を有するパーフルオロビニルエーテル類;プロピレンなどのC3オレフィン、ブチレン、イソブチレンなどのC4オレフィン等のエチレンを除くオレフィン類などが挙げられ、これら共単量体は、単独で又は2種以上組み合わせて含むこともできる。
これらの共単量体に基づく重合単位を含有する場合は、その含有割合は、通常ETFE又はFEPの重合単位全体に対して、好ましくは30モル%以下、より好ましくは0.1〜15モル%、最も好ましくは0.2〜10モル%である。
本発明における溶融成形性を有するフッ素樹脂のメルトインデクス値(MI)は、0.1〜30、好ましくは1〜20である。MI値がこれより高くなると高延伸倍率での延伸を行うことが困難となり、また、MI値がこれより小さくなると、溶融粘度が高すぎて押出機から安定した吐出を行うことが困難になる。
本発明においては、上記溶融性フッ素樹脂に無機充填剤を配合してえられる原反を延伸する。
無機充填剤としては、延伸時に、配合されたフッ素樹脂との間で界面剥離を起こし、微細な透孔(ボイド)を多数形成しうるものであれば、従来公知のものがいずれも使用可能であり、特に限定するものではない。例えば、
無水シリカ、タルク、クレー、カオリン、マイカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸カルシウム等が挙げられる。これらのなかでは、特に無水シリカが好ましい。
無機充填剤の粒径は、好適な微細孔を形成するために、30〜0.01μm、好ましくは20〜0.02μm、さらに好ましくは10〜0.03μm程度である。
また、無機充填剤の配合量は、所望の空孔率を確保し、かつ、延伸性や成形性を損なわない範囲で選択され、通常フッ素樹脂:無機充填剤の質量比として90/10〜40/60、好ましくは85/15〜50/50程度である。なお、これら無機充填剤は、フッ素樹脂中への分散性を向上させるため、常法に従いその粒子表面を適当なカップリング剤等の表面処理剤で処理してもよい。
本発明においては、通常、フッ素樹脂及び無機充填剤を適当な粉体混合機、例えばV型混合機、二重円錐混合機、リボン型混合機、短軸ローター型混合機、タービン型混合機、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー等に投入して混合した後、一軸又は二軸押出機を用いて、混練し、ペレット化する。又は、各々独立したフィーダーから定量的に一軸又は二軸押出機に上記各材料を投入してもよい。
ついで、当該ペレット等を、少なくとも当該フッ素樹脂の融点以上、好ましくは融点+20℃以上の温度で、かつ、分解温度未満の温度において、フラットダイやTダイが装着された押出成形機により溶融、製膜することにより、無機充填剤含有フッ素樹脂フィルムが得られるのである。
本発明のフッ素樹脂の多孔質成形体としての多孔質フィルムは、かくして得られた無機充填剤含有フッ素樹脂フィルム(以下、単に「原反フィルム」と称することがある。)を、特定の条件下で延伸することにより得られる。
なお、原反フィルムの厚みは、通常10〜1000μm、好ましくは30〜500μm、さらに好ましくは50〜250μm未程度である。
以下、図面に基づいて、この延伸工程を説明する。
図1は、この延伸工程の一例をモデル的に示す説明図であり、主として、原反フィルムとアシストフィルムの積層体を形成する第I工程と、当該積層体を延伸する第II工程と、及び延伸後アシストフィルムを剥離等で除去する第III工程からなる。
まず第I工程について説明する。
(第I工程)
第I工程は、原反フィルム10の少なくとも片面、好ましくは両面に、延伸をアシストすべきアシストフィルム20,20'を積層し、原反フィルム/アシストフィルム積層体(以下、「原反フィルム積層体」と称する。)30を形成する工程である。
まず延伸にさきだって、原反フィルム積層体30を形成することが、本発明で目的とする、通常は延伸し難い溶融成形性のETFE等のフッ素樹脂フィルムを無水シリカ等の無機充填剤を含有した状態でスムースに延伸し、多孔化するためのポイントになる。
ここにいう積層体とは、通常の積層体と異なり、当該アシストフィルム20,20'が、コア層となる原反フィルム10に強固に接着又は熱融着し、最終製品としての積層シートを形成することを目的とするものではない。基本的には、コア層に積層されたアシストフィルムは、ある程度の界面接着力(又は、界面剪断強度)で当該コア層と重なり合っていればよく、次の延伸工程において、外表面を形成する当該アシスト層が、延伸装置のロール、ガイドレール、クリップ等により把持されて延伸を受ける場合、両層の界面がすべってコア層/アシスト層の両層がそれぞれ独立に動くことがなく、コア層の原反フィルムを当該外層であるアシスト層の延伸に強制的に追随せしめることができる程度のものでよいのである。
このための界面接着力は、原反フィルム及びアシストフィルムを構成する樹脂の種類、厚み、目的とする延伸倍率等により決定される。
かかる原反フィルム積層体30の形成は、種々の方法により行うことができる。例えば、(1)別々に調製した、原反フィルム10とアシストフィルム20,20'を重ねて熱プレス機により、又は熱ロールを通して加熱圧着する熱ラミネーション法を用いることができる。また、(2)フッ素樹脂とアシストフィルムを形成すべき樹脂を多層ダイ内で溶融し、積層フィルムとして押し出す共押出ラミネーション法を用いることもできる。当該多層ダイの場合、フッ素樹脂とアシストフィルムとを積層する位置は、ダイ内であっても、ダイ外であってもよく、さらに前者の場合は、ダイの構造は、シングルマニホールドであっても、マルチマニホールドであってもよい。さらに(3)フッ素樹脂フィルムをあらかじめ調製し、当該フィルム上に、アシストフィルムを形成する樹脂を押出機によりフィルム状に押出して圧着させる押出ラミネーション法を用いることも可能である。なお、熱プレス等により加熱圧着させる場合は、ホットメルト接着剤等の適当な接着剤を両層間に介在させて接着力を調整することもできる。
通常、上記した方法で積層フィルムを形成する場合は、層間の接着力を強めるため、基材であるフィルムの表面をあらかじめコロナ放電処理等の表面処理することが行われるが、本発明におけるフッ素樹脂フィルの原反フィルム積層体においては、延伸後に、アシストフィルムは、容易に剥離できるものであることが好ましいので、通常これらの前処理は必要ではない。
本発明において、アシストフィルムとして使用できる樹脂は、基本的にそれ自身で、容易に単体延伸(より詳しくは、例えば単体二軸延伸)が可能である樹脂から選択され、かつ、コアとなる原反フィルムより、融点(mp)もしくはガラス転移点(Tg)が、低いものが好ましい。
このようなアシストフィルムとして使用できる樹脂としては、特に限定するものではないが、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ポリスチレン(PS)、ポリα−メチルスチレン(PαMS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリブテン(PB)、塩素化ポリエチレン(CPE)、エチレン塩化ビニル共重合体(EVC)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVAL)等が挙げられ、なかでもPET、PE、PP、PC及びPA6が好ましい。これら樹脂から形成されるアシストフィルムは、未延伸フィルムであることが好ましい。アシストフィルムの厚みは50〜2000μm程度である。
(第II工程)
第II工程は、以上のごとくして第I工程で形成された原反フィルム積層体を延伸する延伸工程である。
当該延伸工程は、図1に示したように、主として、原反フィルム積層体30の延伸温度への予熱41、延伸43、熱処理45による熱固定(安定化)の各工程からなる。
原反フィルム積層体30は、まず延伸温度に予熱される。予熱温度(延伸温度)は、一般的に、原反であるフッ素樹脂フィルム及びこれに組み合わせられるアシストフィルムのガラス転移点以上、融点以下の適当な温度が選択されるが、少なくとも250℃以下、好ましくは20〜200℃、より好ましくは50〜200℃、更に好ましくは60〜160℃である。例えば、原反フィルムとしてETFEを使用し、アシストフィルムとして、PETフィルムを組み合わせた場合は、80〜120℃程度である。なお、予熱は、当該原反フィルム積層体を熱ロールに接触させることによって行うこともできるし、または、熱風、赤外線ヒータ等の照射によって行うこともできる。
ここで延伸とは、二軸延伸を意味するもので、それ自身公知の方法によって行うことができ、特に限定するものではないが、同時二軸延伸又は逐次二軸延伸によって行うことが好ましく、同時二軸延伸が最も好ましい。
同時二軸延伸は、タテ延伸(フィルムの進行方向(MD方向)の延伸)とヨコ方向(すなわちフィルムの進行方向と直角な方向(TD方向)の延伸)を同時に行うものであり、通常、後記する逐次二軸延伸とはややメカニズム的に異なった装置が使用される。すなわち、ガイドレールにより原反フィルム積層体を移動させながら、所定の形状に配置されたテンタで当該ガイドレールを開いて横方向の延伸を行うと同時に、タテ方向の間隔が開くパンタグラフ式機構のクリップにより縦方向の延伸を同時に行うものが基本である。
一方、逐次二次延伸は、通常まずタテ延伸を行い、引き続いてヨコ延伸を行うものである。当該タテ延伸の典型的な手段は、延伸ロールを使用するもので、低速度回転ロールを上流側に、高速度回転ロールを下流側に配置し、予熱された原反フィルム積層体を、このロールを通すことにより両ロールの周速度の差を利用して、原反フィルム積層体の進行方向に張力を印加し、タテ方向に延伸させるものである。引き続いてヨコ延伸では、基本的には、すでに述べたと同様のテンタによりシートをヨコ方向に延伸する。
延伸倍率は、原反フィルムやアシストフィルムの厚さ、種類、目的とする多孔化フィルムの厚み、空孔率、無機充填剤の含有量等によって変わりうるが、通常、タテ2〜15倍、ヨコ2〜15倍、好ましくはタテ2〜6倍、ヨコ2〜6倍程度である。
以上のごとくして延伸された原反フィルム積層体は、そのまま冷却することも可能であるが、延伸温度より高い温度で熱処理して、残留応力を緩和し、法安定性を向上させることも好ましい。
通常熱処理温度としては、対象とするフッ素樹脂フィルムの融点以下〜延伸温度の範囲が好ましく、融点より10℃程度低い温度〜延伸温度より20℃高い温度の範囲がより好ましい。また、熱処理時間は、0.1〜60分程度が好ましい。例えば、ETFEフィルムの場合は、200〜140℃において、0.2〜10分間熱処理することが望ましい。
(第III工程)
最後に第III工程おいて、(延伸された)アシストフィルム60,60'を、コアシートから機械的に剥離して除去することにより、多孔化されたフッ素樹脂フィルム50が得られる。
なお、アシストフィルムとフッ素樹脂フィルムの種類によっては、アシストフィルムが容易にはコアであるフッ素樹脂フィルムから剥離することができない場合があるが、その場合は、当該アシストフィルムは、その溶剤により溶解せしめて除去することができる。
以上のごとくフッ素樹脂に無機充填剤を配合した原反を延伸することにより、その多孔質成形体として、空孔率20〜90%、好ましくは30〜70%程度の連続孔を有するフッ素樹脂多孔質フィルムが得られる。
図2は、本発明のフッ素樹脂多孔質成形体の一例を示すもので、後記実施例1における、ETFEに無水シリカを配合、延伸して得られた多孔質ETFEフィルムの表面状態を示すSEM写真であり、その表面はスポンジ状に無数の微小孔で多孔化されていることがわかる。
当該多孔質フィルムの厚みは、1〜500μm、好ましくは1〜200μm程度である。また、当該多孔質フィルムの平均孔径は0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μm程度である。
本発明の、溶融成形性のフッ素樹脂を延伸してなる多孔質フッ素樹脂フィルムは、後記実施例1の結果を示す図3に示されているように、その孔径分布は、図4に示した従来の多孔質PTFEフィルムの孔径分布に比較してずっとシャープであり、半導体分野、クリーンルーム、血液成分分離の分野で、シャープな分画特性を発現させることが期待でき、より精密なフィルター用分離膜等に適している多孔体である。
また、さらに後記実施例1から明らかのように、当該多孔質フィルムは、PTFEフィルムと比較して、引張弾性率が高く、PTFEよりはるかに硬質の多孔体であり、巻回した場合でもずっと潰れ難いフィルター材料等を形成することとができる。
本発明における多孔質フッ素樹脂フィルムの空孔率(多孔度)ε(%)は、次式(1)で求められる。
ε=〔(d−d’d〕×100 (1)
ここで、d=延伸前の無機充填剤含有フッ素樹脂フィルムの真比重、d’延伸後の無機充填剤含有多孔質フィルムの見かけ比重を表す。
なお、d=1/((1−X)/dres +X/dfil)であり、dresはフッ素樹脂の真比重、dfilは無機充填剤粒子の真比重、Xは無機充填剤含有フィルム中の無機充填剤の質量分率である。
本発明の多孔質フッ素樹脂フィルム中には、基本的には、開繊核剤として使用した無機充填剤の粒子が残存している。
通常は、このままで種々の用途に適用することができるが、所望により、当該無機充填剤を多孔質フィルムから除去し、空孔率をさらに向上させることも可能である。この除去は、比較的容易であって、当該無機充填剤粒子を溶解しうる溶剤によって、当該多孔質フィルムを処理すればよい。例えば、無機充填剤が無水シリカ場合は、フッ化水素酸(フッ酸)中に、この多孔質フィルムを浸漬することにより、シリカは容易に溶解除去されるのである。
このようにして得られた無機充填剤を含有しない多孔質フッ素樹脂フィルムの空孔率(多孔度)ε(%)は、次式(2)で求められる。
ε=〔(d−d’/d〕×100 (2)
ここで、d=延伸前のフッ素樹脂フィルムの真比重、d'=延伸後の無機充填剤を除去した多孔質フィルムの見かけ比重を表す。
以上、一般的な溶融成形性のフッ素樹脂に無機充填剤を配合し、延伸して得られる空孔率20%以上の多孔質フィルム等の多孔質成形体について説明したが、本発明者らは、さらに、当該フッ素樹脂が特にETFEの場合には、特定の条件を選択することにより、その多孔質中空糸を無機充填剤を使用することなく形成することができることをも見出した。
すなわち、本発明に従えば、また、弾性回復率30%以上の特性を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体からなる原反を延伸して得られる空孔率15%以上の多孔質成形体、特に多孔質中空糸が提供される。
以下、図6を参照しながら延伸法によるETFEの多孔質中空糸を製造する工程について説明する。
当該工程は、図にモデル的に示されているように、紡糸工程(第1工程)、熱処理工程(第2工程)及びこの中空糸の延伸工程(多孔化工程)(第3工程)からなる。
(第1工程)
第1工程は紡糸工程であり、ETFE110は、押出成形機120中で溶融され、二重管構造を有する円環ダイス123から中空状に吐出され、引取ロール125により比較的高いドロー比において引き取られ、繊維の軸方向に高度に配向した結晶性の未延伸中空糸130が得られる。
ETFE100としては、結晶化度を上げて、多孔化しやすくするため、C3やC4オレフィン等の第3共単量体を含む3元系のETFEは望ましくなく、エチレンとTFEから実質的になる所謂2元系のETFEが好ましい。
また、ETFEのメルトインデックス値(MI)は、0.5〜20、好ましくは1〜10程度である。MI値がこれより高くなると、次の延伸工程において高い延伸倍率を得ることが困難となり、MI値がこれより小さいと溶融粘度が高すぎて、安定した紡糸が困難になるため好ましくない。
吐出温度(紡糸温度)は、安定した中空糸を得るためETFEの融点より、20〜150℃程度高い温度とする。また、ドロー比は、引き取られた中空糸の厚みで、円環ダイスのリップ厚みを除した値であるが、3〜150、好ましくは5〜100程度とすることが望ましい。ドロー比がこれよりあまり小さいと充分に高配向の未延伸中空糸が得られず、ドロー比がこれよりあまり大きいと、所望の延伸倍率を実施することが困難になる。
(第2工程)
第2工程は熱処理工程であり、上記繊維軸方向に高度に配向した未延伸中空糸130は、高温槽150内にセットされ、熱処理に付されることにより、再結晶化し、結晶構造がより完全なものとなり、延伸に適した状態となる。
熱処理温度は、通常130〜300℃、好ましくは150〜260℃程度である。熱処理時間は温度によっても変わりうるが、通常10〜60分、好ましくは20〜40分程度である。
本発明においては、ETFEの未延伸中空糸(原反)は、この熱処理工程において、50%伸張時の弾性回復率が30%以上となるように規定される。
ここで弾性回復率(%)とは、テンシロン(東洋精機製作所社製)を用い、クランプ間の長さ50mm(L0)のETFE未延伸中空糸の試験片を23℃において速度50mm/分で伸ばして50%の歪みを与えた後、一分間そのままの状態を保持し、すぐに速度50mm/分で急に収縮させたとき、たるみを生ずる点、すなわちクランプ間のシートの長さ(L1)を測定し、次式(3)で算出された値である。
弾性回復率=〔1−((L1−L0)/25) 〕×100 (3)
本発明において弾性回復率は、再結晶化の程度を表示する指標であって、これが30%未満の場合は、再結晶化が充分でなく、次の延伸工程において延伸しても、満足すべき多孔化行われず、空孔率15%以上の多孔質中空糸は得られない。
(第3工程)
かくして、弾性回復率30%以上が確保された未延伸中空糸130は、第3工程(延伸工程)において、延伸装置160にセットされ(a)、延伸されることにより(b)、当該結晶構造が破壊されて多孔化され微細孔が形成される。このようにして空孔率15%以上、さらに好ましくは20%以上の多孔質中空糸135が得られるのである。図7は、後記実施例2で得られた多孔質ETFE中空糸の多孔化状態を示すSEM写真の一例である。
中空糸の長さ基準の延伸倍率は、通常1.2〜20、好ましくは1.4〜10程度である。また、延伸温度は、基本的には、室温で行われる(所謂冷延伸)。なお、さらに所望により、温度を上げて100〜200℃の温度において、一回又は多数回熱延伸を行うことも可能である。かくして得られた多孔質中空糸は、当該熱延伸温度においてアニール処理し寸法安定性を確保することも好ましい。またさらに、延伸をより円滑、均一に行うために、この中空糸の延伸の場合においても、アシスト延伸を適用することが可能である。また、中空糸の代わりに、ETFEからなる中実の糸やストランドにおいても、同様にして多孔化することが可能である。
本発明においては、未延伸中空糸の弾性回復率を、熱処理工程において特定の値以上になるように規定しているため、その高結晶化が確保されている。そして、おそらく、その結晶粒(所謂ラメラ)とそれらの接続(タイ)分子からなる構造を、延伸することにより、当該ラメラ構造を破壊し、かつ、タイ分子部分を引き延ばし(開繊)、孔径の安定した多孔質体が形成されるものと推定される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらによって制限的に解釈されるものではない。以下、部とは、特に断り無き限り、質量部を表す。
〔実施例1〕
(1)300℃におけるメルトインデックス値(MI)が3.8であるエチレン/テトラフルオロエチレン/C4オレフィン3元系共重合体(アフロンCOPC−88AX、旭硝子社登録商標)75部と、無機充填剤として無水シリカ(AEROSIL OX50、日本エアロジル社商標、1次粒子平均粒子径40nm)15部を粉体混合機により充分混合した。
この混合物を二軸押出機(東芝機械社製、TEM−35)を用い、300℃で混練したのち、直径2.5mmのストランドを押出し、これを長さ2.5mmで切断してペレットを得た。
このペレットを口径40mmの単軸押出機(池貝社製、VS40)に供給し、700mmの口金幅を有するフラットダイを用い、ダイス温度333℃、押出速度4.3kg/時間で押し出した。当該吐出物を、表面温度が130℃になるように調整したロールに沿わせて0.59m/分の速度で引き取ることにより、厚さ109μmの無水シリカ含有ETFEフィルムを得た。
(2)得られたフィルム(以下、ETFEシリカ含有原反フィルム、又は単にETFE原反フィルムと称する。)を以下の方法で二軸延伸を行い、評価用の多孔化ETFEフィルムの試料を得た。
(a)すなわち、まず、当該109μmのETFE原反フィルムの上下に、延伸をアシストすべきフィルムとして、210μmの未延伸ポリエステルフィルム(A−PET FR−1、帝人社製)を重ねて3枚重ねのフィルムを得た。ついで、金属ロールと厚さ10mmのゴムを被覆したロールの一対からなるロールを用いて、表面温度が85℃になるように調整した後、前記3枚重ねのフィルムを、当該フィルムの幅で換算した線圧力が40kg/cmとなるように加圧し、速度10cm/分で積層し、3層積層フィルムを得た。得られた3層積層フィルム(原反フィルム積層体)を90mm角に切断して延伸用の試料を得た。
(b)この原反フィルム積層体の試料を、二軸延伸試験装置(二軸延伸試験装置×6H、東洋精機製作所社製)を用い、温度95℃、予熱3分、延伸速度2m/分の条件で、延伸前の試料の寸法に対してタテ、ヨコ共2倍となるように、同時二軸延伸し、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムを、表面温度が40℃以下になるまで緊張下で風冷した後取り出した。
ついで、上下に積層されたアシストフィルムであるA−PETを剥離し、二軸延伸により多孔化された多孔質ETEFフィルムを得た。当該ETFEフィルムをフッ化水素酸で処理して無水シリカを溶解除去し、厚み65μmの多孔質ETFEフィルムを得た。このシートを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図2に示すように、表面はスポンジ状に無数の微小孔で多孔化されていることが認められた。
(3)この多孔質ETEFフィルム試料について、以下の測定を実施した。
(a)空孔率:フィルム試料寸法と質量から式(2)で算出した。
(b)引張り強度:試験規格ASTM−D638により、幅15mmの短冊サンプルをチャック間50mm、速度50mm/分で引張ったときの破断強さを、引張り前の断面積で除した値を引張り強度とした。
(c)引張り弾性率:同様にして、幅15mmの短冊サンプルをチャック間50mm、速度50mm/分で引張り、得られた変位と荷重のチャートから初期の10%の歪みの傾きから算出した。
(d)空孔径分布:水銀ポロシメータ(CEインスツルメンツ社製)により測定した。
〔参考例1〕
参考例として、市販されている代表的なフッ素樹脂の多孔質体であるPTFE製の多孔質フィルム(平均空孔径0.1μm、厚み60μm、ポアフロンFP−010−60、住友電工ファインポリマー社商標)についても同じ測定を行った。
以上実施例1及び参考例1の結果を表1、図3及び図4に示す。なお、図3及び図4において、ヨコ軸は空孔径(μm)、タテ軸は空孔容積の積算分布(m3/g)、及び空孔容積頻度分布(相対値)(%)である。
Figure 2007308724
表1、図3及び図4より、本発明の実施例1の多孔質ETFEフィルムは、参考例1のPTFEフィルムと比較すると、空孔率が60%前後の、ほぼ同じものであるが、そのフィルム強度(張弾性率)は、約10倍程度と、PTFEからなる多孔質フィルムよりはるかに大きい。
また平均空孔径は、実施例1のフィルムでは0.15μmであり、参考例1のフィルムでは0.1μmであるので、両者同じ程度であるが、実施例1の空孔径分布は、参考例1のフィルムのように、ブロードではなく、ずっとシャープに形成されていることが認められる。なお、この多孔質ETFEフィルムは、これをアルコール中に浸漬することにより、透明化し、連続孔(貫通孔)が形成されていることが確認された。
同様にして、延伸倍率のみを変化させて得た多孔質ETFEフィルムの空孔率と面積延伸倍率の関係を図5に示した。
〔実施例2〕
(1)300℃におけるメルトインデックス値(MI)が3.1であるエチレン/テトラフルオロエチレン2元系共重合体(エチレン:テトラフルオロエチレン質量比=51:49)を口径20mmの一軸押出成形機(田辺プラスチックス社製)に、外径15mm、内径11mmのパイプダイス(円環ダイス)を取り付け、押出速度480g/時間で中空パイプに押し出した。
押し出された中空パイプを、ドロー比10として、引取速度9.1m/分で引き落として冷却し、外径1.47mm、内径1.09mmの中空糸を得た。
この中空糸の両端を固定して熱風高温槽内に入れ、230℃において30分間熱処理した。熱処理した当該中空糸の弾性回復率(式(3)による測定値)は36%であった。
(2)得られた当該中空糸を室温(23℃)で50%延伸したところ、延伸した中空糸は白化した。当該延伸した中空糸をエチルアルコール中に浸漬したところ、約9分で再び透明化し、連続孔が形成されていることが確認された。寸法及び質量から式(2)で算出された空孔率は、21%であった。当該多孔化された中空糸の表面のSEM写真を図7に示すが、充分多孔化されていることが確認された。
〔比較例1〕
(1)300℃におけるメルトインデックス値(MI)が3.8であるエチレン/テトラフルオロエチレン/C4オレフィン3元系共重合体(アフロンCOPC−88AX、旭硝子社登録商標)を用いた以外は、実施例2と同様にして得た中空糸を同様に熱処理した。当該熱処理された中空糸の弾性回復率は20%であった。
(2)この中空糸を実施例2と同様にして50%及び200%延伸したところ、中空糸は白化した。しかしながら、延伸した中空糸はエチルアルコールに3日間浸漬してもいずれも透明化せず、連続孔の形成は確認されなかった。また式(2)により、寸法及び質量から計算された空孔率は、いずれも6%であった。
50%延伸したこの中空糸の表面状態をSEM写真(図8)に示すが、写真から明らかなように、この中空糸の表面はほとんど多孔化されていないことが確認された。また、200%延伸した場合のSEM写真もほぼ同様な状態であった。
本発明のフッ素樹脂からなる成形体は、当該フッ素樹脂が溶融成形性のものであるから、形態がフィルム状に限定される従来のPTFEの多孔質体と異なり、フィルム、中空糸を始めとして、シート、チューブ、パイプその他の任意の形態の多孔質体となしうるものである。
また、例えば上記実施例から明らかなように、成形体として、溶融成形性のフッ素樹脂を延伸して多孔質フッ素樹脂フィルムとした場合は、その空孔径分布が、従来の多孔質PTFEフィルムに比較してずっとシャープであり、半導体分野や血液成分分離の分野で、よりシャープな分画特性を有する精密なフィルター用分離膜等を形成することができる。
本発明の多孔質フィルムは、特に引張弾性率が高く、従来のPTFEフィルム等よりずっと硬質の多孔体であり、耐クリープ性が高く、巻回等した場合でも潰れ難いフィルター材料等を形成することができる。
本発明に従えばまた、特にフッ素樹脂がETFEの場合は、無機充填剤を添加することなく、弾性回復率を特定の値以上に規定して延伸することのみで、その多孔質中空糸が提供される。
本発明におけるフッ素樹脂原反フィルムの延伸工程の一例をモデル的に示す説明図である。 ETFEに無水シリカを配合、延伸して得られた多孔質ETFEフィルムの表面状態を示すSEM写真である。 本発明の多孔質ETFEフィルム空孔径分布を示すグラフである。 従来の多孔質PTFEフィルムの空孔径分布を示すグラフである。 多孔質ETFEフィルムの空孔率と面積延伸倍率の関係を示すグラフである。 延伸法によるETFEの多孔質中空糸を製造する工程をモデル的に示す説明図である。 多孔質ETFE中空糸の多孔化されている表面状態を示すSEM写真である。 多孔化されていない中空糸の表面状態を示すSEM写真である。
符号の説明
10 原反フィルム
20,20' アシストフィルム
30 原反フィルム積層体形成工程又は原反フィルム積層体
41 予熱工程
43 延伸工程
45 熱処理工程
47 アシストフィルムの剥離工程
50 延伸後の多孔質フッ素樹脂フィルム
60,60' 剥離除去される延伸後のアシストフィルム
110 溶融フッ素樹脂
120 押出成形機
123 円環ダイス
125 引取ロール
130 未延伸中空糸
150 高温槽
160 延伸装置
135 多孔質中空糸

Claims (3)

  1. 50%伸張時の弾性回復率30%以上の特性を有するように再結晶化したエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体からなる中空糸、中実糸、またはストランドからなる原反を当該中空糸、中実糸、またはストランドの長さ方向に延伸して微細孔を形成させて得られた空孔率15%以上の硬質の中空糸、中実糸、またはストランドの多孔質成形体。
  2. 前記エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体が、エチレン−テトラフルオロエチレン2元共重合体である請求項1に記載の多孔質成形体。
  3. 前記エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体が、130〜300℃で熱処理して、50%伸張時の弾性回復率30%以上の特性を有するように再結晶化したものである請求項1に記載の多孔質成形体。
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