JP2007308458A - 2−メチル−2−アダマンタチル(メタ)アクリレートの製造方法 - Google Patents

2−メチル−2−アダマンタチル(メタ)アクリレートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】メチルマグネシウムクロリドを用いて、工業的規模で高収率かつ高効率に2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造する方法を提供する。
【解決手段】2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとを反応させて2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩とし、これを(メタ)アクリル酸ハライドと反応させることによって2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造する方法であって、前記2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとの反応において、前記メチルマグネシウムクロリドが、下記式(1)の条件を満たす溶液として用いられることを特徴とする。
0.8<(溶液中のメチルマグネシウムクロリドのモル数)/(溶液中に存在するマグネシウムの総モル数)…(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、フォトレジスト原料として有用な2−メチル−2−アダマンタチル(メタ)アクリレートの製造方法に関する。
2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、特に2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを酸解離性モノマーとして共重合された樹脂は、高いドライエッチング耐性、高解像性、基板への良好な接着性等、優れた性能を有するフォトレジスト材料として知られている。
2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの製造方法としては、2−アルキル−2−アダマンタノールまたは2−アルキル−2−アダマンタノールの金属塩に、メタクリル酸の無水物あるいはハロゲン化物を反応させてエステル化する方法が一般的に行われている(それぞれ特許文献1、特許文献2参照)。
2−アルキル−2−アダマンタノールの金属塩は、通常、2−アダマンタノンを出発原料として、2位をアルキル化剤である有機金属試薬でアルキル化することによって合成される。また、2−アルキル−2−アダマンタノールは、この金属塩を加水分解することによって合成される。アルキル化に用いられる有機金属試薬としては、主にアルキルマグネシウムブロミドを用いたグリニャール反応が用いられており、例えば特許文献3や4の実施例には、テトラヒドロフラン(以下単にTHFともいう。)溶媒下、2−アダマンタノンにアルキルマグネシウムブロミドを反応させた後、加水分解を行うことによって、2−アルキル−2−アダマンタノールを合成する方法が開示されている。
特開2000−229911号公報 特開2002−53522号公報 特開2001−213826号公報 特開2001−322950号公報
工業的に効率よく2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造するという観点からは、特許文献1に示されるような、反応工程が一段階少ない、2−アルキル−2−アダマンタノールの金属塩を単離せずにそのまま次の直接エステル化反応に供する製造方法が好ましい。しかしながら本発明者らが検討したところこの方法は、有機金属試薬を含有する系中でそのままエステル化反応を行うため、収率や純度が低くなってしまうという問題がある事が明らかとなった。
一般的に、グリニャール試薬としては、アルキルマグネシウムブロミドの他、アルキルマグネシウムクロリドも有用であることが広く知られている。しかしながら従来メチル化剤としてのグリニャール試薬としては、メチルマグネシウムブロミドの使用が一般的であり、メチルマグネシウムクロリドの使用は、一般的ではなかった。その理由としては、メチルマグネシウムクロリドを製造するためには、常温でガスであるメチルクロリドをマグネシウムと反応させなければならず、液体として扱えるメチルブロミドを原料として使用する場合と比較して、取り扱いや保管が行いにくいという点があげられる。
ただその一方で、メチルマグネシウムクロリドは、反応性が高く、またメチルマグネシウムブロミドよりも比較的安価に原料を入手することができることから、工業的規模での合成に適した試薬であるといえる。
さらに、メチルマグネシウムブロミドの原料となる臭化メチルは、オゾン層破壊物質に指定されていることから、今後生産、消費が制限されていくことが予想されるため、環境保護の視点からも工業的な大規模な生産を行う場合には特にその使用を回避することが望ましいといえる。
これらの理由から今後将来的には、メチルマグネシウムクロリドの使用が求められるが、メチルマグネシウムクロリドは、同ブロミドと比較して溶媒に対する溶解度、ケトンに対する反応性、保存安定性、溶液粘度など工業的に実際に採用する上で極めて重要な性質が異なる点が多いにもかかわらず、上記の理由から検討が実施されていないのが実情であった。公知文献においてもメチルマグネシウムハライドとの概念的で包括的な記載はされているものの、メチルマグネシウムクロリドそのものを用いた十分な検討結果は記載されておらず、その最適な使用の形態は明らかになっていなかった。
例えば、2−アルキル−2−アダマンタノールの合成においては、特許文献1のように、明細書中にグリニャール試薬の例示化合物としてのアルキルマグネシウムクロリドの記載はあるものの、具体的な実験条件については何ら開示されていなかった。
そこで、本発明は、メチルマグネシウムクロリドを用いて、工業的規模で高収率かつ高効率に2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、原料であるメチルマグネシウムクロリドを特定の条件を満たす溶液として使用することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の第一の態様は、2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとを反応させて2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩とし、これを(メタ)アクリル酸ハライドと反応させることによって2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造する方法であって、前記2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとの反応において、前記メチルマグネシウムクロリドが、下記式(1)の条件を満たす溶液として用いられることを特徴とする2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの製造方法を提供して前記課題を解決するものである。
0.8<(溶液中のメチルマグネシウムクロリドのモル数)/(溶液中に存在するマグネシウムの総モル数)…(1)
この発明によれば、高収率かつ高効率に、工業的規模で2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造する方法を提供することができる。
ここで、「溶液中に存在するマグネシウムの総モル数」とは、溶液中に存在する全てのマグネシウム元素のモル数をいい、メチルマグネシウムクロリドをはじめとする分子を構成しているマグネシウム原子、フリーのマグネシウム金属、およびマグネシウムイオンなど全てを含むものである。
この態様において、上記式(1)における左辺の値は0.9であることがより好ましく、さらには0.95であることが好ましい。
本発明の製造方法は、グリニャール試薬としてメチルマグネシウムクロリドを使用しており、メチルマグネシウムブロミドを使用する製造方法と比較して、反応性が高く、また原料を安価で入手できる点、さらに今後は、工業的規模での生産においては特に環境負荷の小さな製造法を選択することが望まれる点などから優れていると言える。また、本発明の製造方法は、2−アダマンタノンのメチル化を行った後、生成した2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩を加水分解することなく(メタ)アクリル酸ハライドとの反応を行うため、効率的に反応を行うことができ、この点においても工業的規模での生産に適している。さらに、2−アダマンタノンのメチル化に使用するメチルマグネシウムクロリドの溶液を特定の割合の活性成分を含むものとすることで、次反応の原料試薬である(メタ)アクリル酸ハライドの失活を防ぎ、(メタ)アクリル酸ハライドをロスなく反応に関与させることができるため、高収率に2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造することができる。
本発明のこのような作用および利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
本発明は、2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとを反応させて2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩とし、これを(メタ)アクリル酸ハライドと反応させることによって2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造する方法に関するものであり、2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとの反応におけるメチルマグネシウムクロリドの反応系への添加が、特定の割合の活性成分を含む溶液を用いて行われることを特徴とするものである。以下本発明について詳細に説明する。本発明でいう活性成分とは、メチルマグネシウムクロリドである。
本発明においては、まず2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとを反応させて2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩を製造する。
一つ目の原料である2−アダマンタノンは、市販品として広く入手可能であり、また、アダマンタンやアダマンタノールを硫酸等によって酸化することによって製造することもできる(例えば特開平11−189564号公報、特開2002−145820号公報等)。
他方の原料のグリニャール試薬であるメチルマグネシウムクロリドは市販品として溶液の状態で購入することができ、それを適当な濃度に希釈して使用することもできるが、グリニャール試薬の調製法は広く知られており、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどの非プロトン性の極性溶媒下、メチルクロリドと金属マグネシウムとを反応させることによって、容易に合成することができる。これをそのまま、あるいは必要に応じて精製を行ったものを本発明の原料として使用することができる。精製の方法としては、メチルマグネシウムクロリド以外のマグネシウム化合物が溶解しない溶媒を添加して沈殿物として除去する方法などが採用可能であり、その手法は特に限定されない。
2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとの反応は、溶媒中で混合されることによって速やかに進行する。反応温度は、使用される溶媒にもよるが、通常−20℃〜60℃、好ましくは−10〜50℃であり、より好ましくは−5℃〜45℃であり、更に好ましくは0℃〜40℃である。温度が高すぎると副反応が進行し得られる目的物の収率、純度が低下するので好ましくなく、低すぎると実用的な反応速度が得られなくなるので好ましくない。また、反応時間は0.5〜10時間程度である。
各原料の添加順序に制限はなく、反応容器中で予め溶媒に溶解させておいた2−アダマンタノンにメチルマグネシウムクロリドの溶液を添加してもよいし、逆に、反応容器中で予め溶媒に溶解させておいたメチルマグネシウムクロリドに、粉末あるいは溶液状態の2−アダマンタノンを添加してもよい。また、2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとを同時に反応容器に添加しながら反応させてもよい。
2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドの添加比率は、後のエステル化反応にメチルマグネシウムクロリドを残存させるのは好ましくないため、通常、2−アダマンタノン化合物1モルに対してメチルマグネシウムクロリドが1〜1.5モル、好ましくは1〜1.2モルである。メチルマグネシウムクロリドの量が少なすぎると、仕込んだ2−アダマンタノンが未反応で残留してしまうので好ましくなく、また多すぎると無駄にメチルマグネシウムクロリドが残留するため経済的に好ましくない上に、クエンチの際に水と激しく反応して危険である。
反応に使用される溶媒としては、通常のグリニャール反応の溶媒として使用される一般的な溶媒を使用することができ、具体的には、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどの脂肪族エーテル類、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどの脂環式エーテル類、ジフェニルエーテルなどの芳香族エーテル類が好ましく用いられる。これらは単独で用いても、2種以上の混合溶媒であってもよく、また反応系に添加される各原料が異なった溶媒に溶解されていてもよい。溶解性や安全性、コスト等のバランスの観点からはテトラヒドロフランが最も好ましく用いられる。
本発明においては、メチルマグネシウムクロリドを反応容器へ添加する際、使用するメチルマグネシウムクロリドの溶液は、下記式(1)の条件を満たす溶液として添加される。
0.8<(溶液中のメチルマグネシウムクロリドのモル数)/(溶液中に存在するマグネシウムの総モル数)…(1)
ここで、「溶液中に存在するマグネシウム」とは、溶液中に存在する全てのマグネシウム元素のモル数をいい、メチルマグネシウムクロリドをはじめとする分子を構成しているマグネシウム原子、フリーのマグネシウム金属、およびマグネシウムイオンなど全てを含むものである。これは、溶液中に存在するマグネシウム元素成分の80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上がメチルマグネシウムクロリドの形態で存在し、高純度のメチルマグネシウムクロリド溶液であることを意味する。
メチルマグネシウムクロリドは劣化しやすく、経時的にMgCl(OH)やMg(OH)に分解されることは良く知られていた。ところが本発明者の検討により、意外にもこれらの物質によって引き続くエステル化反応の原料である(メタ)アクリル酸ハライドが失活してしまうことが解り、この結果、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの反応収率が低下するという問題点が明らかとなった。そこで本発明においては活性成分が特定の割合以上であるメチルマグネシウムクロリドの溶液を使用することによって、(メタ)アクリル酸ハライドの失活を防止し、目的物の収率の向上を図っている。具体的には、より高収率に2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを得るという観点からは、式(1)における(溶液中のメチルマグネシウムクロリドのモル数)/(溶液中に存在するマグネシウムの総モル数)は、0.9より大きいことが好ましく、0.95より大きいことがさらに好ましい。なお、溶媒中のマグネシウムの総モル数は、溶液の一部をとって酸溶液に溶解させ、高周波プラズマ発光分光分析(ICP)法などの定量分析を行うことにより測定することができる。また、メチルマグネシウムクロリドの濃度は、「第4版 実験化学講座25 有機合成VII」(丸善株式会社 平成3年発行)7ページに記載の方法で測定することができる。メチルマグネシウムクロリド溶液の全マグネシウム中の活性なマグネシウム量が少なすぎると、そのまま引き続いて次工程の反応を行った場合に、使用する(メタ)アクリル酸ハライドが失活してしまうので、反応成績に重大な悪化をもたらすことになる。なお、メチルマグネシウムクロリド溶液中の活性成分を本発明の割合に保つためには、水分量のコントロールされた冷暗所で保存する事が有効である。
こうして得た2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩は、反応液から単離し、必要により精製した後、反応に供してもよいが、効率性、経済性の観点からは、単離することなくそのまま次の(メタ)アクリル酸ハライドを用いたエステル化反応に供することが好ましい。特に、本発明においては副反応や未反応の原料が少なく、反応液が2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩を高純度で含む溶液であるため、単離や精製をしなくても次のエステル化反応によって高収率で目的物を得ることができる。
エステル化反応で使用する他方の原料である(メタ)アクリル酸ハライドは、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミド、(メタ)アクリル酸アイオダイドが例示できるが、製造あるいは入手しやすさの点からは、(メタ)アクリル酸クロリドが好ましい。これらは市販品を入手することもできるが、対応するハロゲン化剤によって容易に製造することができる。例えば、(メタ)アクリル酸クロリドは、エーテル系溶媒や炭化水素系溶媒下、(メタ)アクリル酸とベンゾイルクロリドまたは三塩化リン、あるいは塩化チオニルとを反応させることによって合成することができる。
反応に使用される溶媒としては、原料が不活性な溶媒であれば特に制限なく使用することができるが、具体的には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの炭化水素類が好ましく用いられる。これらは単独で用いても、2種以上の混合溶媒であってもよく、また反応系に添加される各原料が異なった溶媒に溶解されていてもよい。溶解性や安全性、コスト等のバランスの観点からはテトラヒドロフランが最も好ましく用いられる。
エステル化反応は、溶媒中で2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩と、(メタ)アクリル酸ハライドとを接触させることによって行うことができる。各原料の添加順序に制限はなく、2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩の溶液と(メタ)アクリル酸ハライドの溶液とをそれぞれ別々に同時に加える方法、2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩の溶液に(メタ)アクリル酸ハライドを加える方法、(メタ)アクリル酸ハライドの溶液に2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩の溶液を加える方法いずれも採用できるが、2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩の溶液に、(メタ)アクリル酸ハライドの溶液を加える方法が(メタ)アクリレート骨格の重合を防止し、目的物の収率を高めるという観点からは好ましい。2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩と(メタ)アクリル酸ハライドの添加比率は、通常、2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩1モルに対して(メタ)アクリル酸ハライド1〜2.0モル、好ましくは1〜1.5モル、さらに好ましくは1〜1.3モルである。
エステル合成反応の反応温度は、重合等の副反応を抑え、高純度に目的物を得る観点からは、100℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは40℃以下である。また、逆に、低温では反応が遅くなりすぎるため、工業的規模で効率的に製造する観点からは、下限は−10℃以上、好ましくは0℃以上、さらに好ましくは10℃以上であることが好ましい。反応時間は通常5〜40時間、好ましくは10〜30時間である。
なお、2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩や(メタ)アクリル酸ハライドの失活を防ぐ観点からは、反応は窒素やアルゴンのような不活性雰囲気中で行うことが望ましい。また、反応系には、重合禁止剤や、酸を捕捉するためのアミンなどの塩基等を加えておいてもよい。
反応終了後、反応液を濾過、洗浄、抽出、濃縮、蒸留、カラムクロマトグラフィーなどの公知の分離精製手段によって処理することにより、目的の2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを得ることができる。蒸留を行う場合は、目的物への熱履歴を軽減するために薄膜蒸留を用いてもよい。本発明により得られる2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの収率は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。また、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの純度は、通常、90%以上、好ましくは、95%以上、より好ましくは99%以上の高い純度を得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に示す実施例の形態に限定されるものではない。なお、実施例および比較例におけるMeMgClのモル数、および溶液中に存在するMgの総モル数は、下記の方法にて行った。
MeMgClのモル数:「第4版 実験化学講座25 有機合成VII」(丸善株式会社 平成3年発行)7ページに記載の方法により定量した。
溶液中に存在するMgの総モル数:メチルマグネシウムクロリドの溶液を一部とって溶媒を留去し、その後、残物を王水に溶解してICP分光分析により定量した。
(実施例1)
窒素を流通させた200mL3つ口フラスコに、2−アダマンタノン6.84g(45.5mol)、THF20mLを入れ攪拌溶解した。ここへ3.0mol/LのメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液17.7mL(53.2mmol、(MeMgClのモル数)/(溶液中に存在するMgの総モル数)=0.96)を内温が40℃以下になるよう保ちながら滴下し、さらに室温下3時間攪拌しながら反応させた。引き続いて(メタ)アクリル酸クロリド6.28g(60.1mmol)を、系の温度を25℃に保ちながら滴下し、さらに室温下3時間反応させた。その後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液5mLを添加して、THFを留去した。この濃縮液に70mLのトルエンを添加し、飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、1N水酸化ナトリウム水溶液50mL、脱塩水50mLで洗浄した。トルエン溶液をエバポレーターで濃縮して目的の2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを9.40g(40.1mmol;収率88%)得た。
(実施例2)
使用したメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液の(MeMgClのモル数)/(溶液中に存在するMgの総モル数)が0.90のものを用いた以外は、実施例1と同様な操作で反応を行った。その結果、得られた目的の2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの収率は、91%であった。
(実施例3)
使用したメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液の(MeMgClのモル数)/(溶液中に存在するMgの総モル数)が0.83のものを用いた以外は、実施例1と同様な操作で反応を行った。その結果、得られた目的の2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの収率は、90%であった。
(比較例1)
使用したメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液の、(MeMgClのモル数)/(溶液中に存在するMgの総モル数)が0.70であるものを使用したこと以外は実施例1と同様に反応を行った。得られた目的の2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの収量は、6.86g(収率64%)にとどまった。
(比較例2)
使用したメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液の(MeMgClのモル数)/(溶液中に存在するMgの総モル数)が0.50のものを用いた以外は、実施例1と同様な操作で反応を行った。その結果、得られた目的の2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの収率は37%であった。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (3)

  1. 2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとを反応させて2−メチル−2−アダマンタノールのマグネシウムクロリド塩とし、これを(メタ)アクリル酸ハライドと反応させることによって2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造する方法であって、前記2−アダマンタノンとメチルマグネシウムクロリドとの反応において、前記メチルマグネシウムクロリドが、下記式(1)の条件を満たす溶液として用いられることを特徴とする2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの製造方法。
    0.8<(溶液中のメチルマグネシウムクロリドのモル数)/(溶液中に存在するマグネシウムの総モル数)…(1)
  2. 前記式(1)における左辺の値が、0.9であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記式(1)における左辺の値が、0.95であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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