JP2007308415A - 歯科用陶材組成物 - Google Patents

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昌昭 潮田
Masahito Sekino
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Abstract

【課題】酸化ホウ素を15〜25質量%と多量に含有するガラスからなる歯科用陶材において、使用時に水と練和した際にペーストがダイラタンシー性を示す問題を改善し、流動性が良く操作性に優れるものを提供すること。
【解決手段】 A)酸化ホウ素を15〜25質量%含有するガラス
100質量部
B)該ガラスのガラス転移点以下の熱分解温度を有し、硫酸アンモニウムのように、該熱分解により生成する分解生成物が、上記ガラス転移点で気散性のものであるか、または硝酸アルミニウムのように該ガラスの構成成分の金属酸化物である、水溶性無機塩 0.1〜2質量部
が配合されてなる歯科用陶材組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、歯科用陶材組成物、詳しくは水と混和した際の流動性の良い陶材組成物に関する。
従来、審美的なクラウンまたはインレー修復には、メタルボンドポーセレンと呼ばれる陶材を金属フレームに焼付けた材料が用いられてきた。しかし、このような補綴物では金属イオンの溶出により歯肉が変色するという問題を内包している。さらには内部(フレーム)の金属が光を遮断するため天然歯と同様の透明感を再現できないという問題があった。
これに対し、フレームもセラミックスで形成されているオールセラミックス歯冠(フルセラミックス歯冠ともいう。)では、金属フレームを用いていないため歯肉の変色がなく、セラミックスフレーム自体に天然歯に近い透明感を有する材料が用いられるため、自然な透明感があり、陶材の積層により、より天然歯に近い色感を得易いという特徴がある。
セラミックスフレーム材としては、マイカ系、アパタイト系、リン酸カルシウム系等の一般にその熱膨張係数が7×10-6〜13×10-6(1/℃)程度であるガラスセラミックスが使用されてきたが、近年は、支台歯との適合性を向上させるため、熱膨張係数が4〜6×10-6(1/℃)であるディオプサイド系材料が好適に使用され始めている。
前記オールセラミックス歯冠は、その製造時に於いて、焼成後の冷却の際に生じるフレーム材と陶材との収縮の差に起因する応力により陶材の剥離やクラックの発生を防止するために、陶材とセラミックスフレームとの熱膨張係数は互いに近似していることが重要である。
オールセラミックス歯冠の製作に使用する陶材として最も汎用されているものは、正長石(KAlSi38)と曹長石(NaAlSi38)等を結晶成分として含むガラスセラミックス材(結晶化ガラス)である。また、近年上記結晶成分を含まないガラスも用いられてきている。
一般に、セラミックス歯冠の作製に当たっては、天然歯と同じ質感を発現させるために、歯牙の各構成部分に相当する部分毎に種々の陶材が使われている。具体的には、象牙質色を再現するためのボディ陶材、歯頸部色を再現するためのサービカル陶材、切端色を再現するためのインサイザル陶材、透明感を出すためのトランスルーセント陶材を、フレームの上にそれぞれ層状に焼付けることが行われている。
これら各種陶材は、一般に平均粒子径が15〜100μm程度に粉砕したガラスセラミックス成分に、必要に応じて各陶材の用途に応じた顔料が配合されている。
また、天然歯の微妙な色調や個人に特有の紋様等を再現させるため、顔料を比較的多く含むステインパウダーとよばれる陶材を用いて彩色を施す操作が行われる。さらには、艶出し材として顔料を含まないグレーズパウダーとよばれる陶材を焼付けて表面を滑択にしたりすることが行われている。なお、微妙な色彩や表面質感を再現するために、上記ステイン陶材やグレーズパウダーにおけるセラミックス成分の平均粒子径は前記したボディ陶材等の平均粒子径より小さい1〜15μm程度であるのが一般的である。
上記陶材は、一般に水と混合してペーストとした後、筆、スパチュラを用いてフレームに築盛し、650℃〜1000℃の範囲で焼成する。このペーストは、混合時には流動性あり、フレームに盛り付けた時には流れず、付形性がよいことが特徴である。築盛後は、ポーセレンファーネスと呼ばれる電気炉で焼成し、オールセラミックス歯冠を作製する。
熱膨張係数が4〜6.0×10-6(1/℃)のセラミックスフレームに焼付ける陶材も、低熱膨張性のものを用いるのが好ましく、この点が改良された歯科用陶材として、本発明者らは、酸化ホウ素の含有量が従来のものよりも多いガラスからなる陶材を提案した(特許文献1参照)。すなわち、従来の歯科用陶材は、酸化ホウ素の含有量は多くても10%程度のものがほとんどであるところ、該歯科用陶材を構成するガラスは、酸化ホウ素を15〜25質量%含有する特徴的なものであり、フレームからの陶材の剥離やクラックの発生が抑制され、優れたものである。また、この歯科用陶材は、化学的耐久性が良好で、至適焼成温度が低いため、ガラスセラミックス系のセラミックスフレームを用いた場合においても、その歪み点以下の温度で陶材を焼付けることができ、フレームの変形および熱歪みの発生を防ぐことができるという有利な点を有している。なお、この従来技術では、上記陶材に対して、不純物として含まれる有機物の酸化分解を促進する目的で、酸化剤として硫酸アンモニウムを含有させることが記載されているが、その含有量の範囲はガラス100重量部に対して1質量部から10重量部までの多量に至るまでの広い範囲であり、その実施例においても、これを実際に上記ガラスに含有させた例は全く示されていない。したがって、該硫酸アンモニウムが、上記有機物を分解させる酸化剤としての挙動以外に、この酸化ホウ素を15〜25質量%含有するガラスに対して、如何なる配合量の時如何なる作用効果を示すかは何ら知られていない。
このように酸化ホウ素を15〜25質量%含有するガラスからなる歯科用陶材は、オールセラミックス歯冠を製造する際に使用する陶材として好適なものであるが、この材料は、使用時に水と練和すると従来の陶材よりダイラタンシー性を強く示し、操作感が悪化するという新たな問題点が発生した。すなわち、ダイラタンシーとは、ある物質に水を加えて練ったとき、容器をゆっくり傾ければ自由に流れ出るが、激しく掻き取ろうとすると固くなる性状であり、歯科用陶材において、使用時に水と練和して生成したペーストが斯様な性状を強く呈することは、筆、スパチュラ等による築盛がし難くなり付形性が悪く大きな問題であった。
一方、金属焼付け陶材において、金属フレームとしてパラジウム主体の金属を使用した場合に通常含有される銀に起因した、該陶材の焼成時の黄変の問題を改善するために、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸化合物を配合させたものが知られている(特許文献2参照)。すなわち、該陶材では、焼成時に配合した硝酸化合物が分解または反応して酸素を発生し、これが上記銀を酸化状態に保って、係る銀に起因する黄変が防止されている。しかしながら、この方法において使用されている陶材は、酸化ホウ素の含有量が最大でも12質量%のものまでであり、前記酸化ホウ素を15〜25質量%含有する歯科用陶材において顕著に発生するダイラタンシー性の問題において、その解決策を何ら予測させるものではない。特に、前記したとおり酸化ホウ素を多くに含有する歯科用陶材は、オールセラミックス歯冠を製造する際において好適に使用されるものであり、上記の如く金属焼付け陶材に特有に発生する黄変の問題改善を目的とした、この従来技術において、該ダイラタンシー性の問題の解決策など全く不明であった。
特開2000−139959号公報 特開昭63−310805号公報
以上の背景にあって本発明は、酸化ホウ素を15〜25質量%と多量に含有するガラスからなる歯科用陶材において、使用時に水と練和した際にペーストがダイラタンシー性を示す問題を改善し、流動性が良く操作性に優れるものを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記技術課題を克服すべく鋭意研究を重ねた。その結果、前記酸化ホウ素を多くに含有するガラスからなる歯科用陶材において、特定の水溶性無機塩を特定量で含有させることにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、A)酸化ホウ素を15〜25質量%含有するガラス
100質量部
B)該ガラスのガラス転移点以下の熱分解温度を有し、該熱分解により生成する分解生成物が、上記ガラス転移点で気散性のものであるか、または該ガラスの構成成分の金属酸化物である、水溶性無機塩 0.1〜2質量部
が配合されてなる歯科用陶材組成物である。
本発明の歯科用陶材組成物は、強いダイラタンシー性を示し、操作性の悪い、酸化ホウ素を15〜25質量%含有するガラスからなる陶材において、該問題を大きく改善する。すなわち、使用時に水と練和して生成させたペーストにおいて、筆、スパチュラ等を用いてセラミックスフレームに築盛する際に、流動性がよく操作がし易い。
しかして、この陶材は、熱膨張係数が小さく、焼成温度が低いため、オールセラミックス歯冠を製造するに際してセラミックスフレーム、特にディオプサイド系材料からなるセラミックスフレームに焼付ける陶材として極めて有用であり、この材料の上記操作性の問題点を大きく改善する本発明は、歯牙修復において極めて有用な技術である。
本発明において歯科用陶材とは、ボディ陶材、サービカル陶材、インサイザル陶材、トランスルーセント陶材、及びステイン陶材、グレーズ陶材等を含むものである。
本発明において、こうした歯科用陶材を構成するガラスは、酸化ホウ素を15〜25質量%、より好ましくは16〜23質量%含有している。前記したとおりこのように酸化ホウ素を多く含むガラスからなる歯科用陶材は、熱膨張係数が小さく、焼成温度が低い等の優れた点を有するが、一方で、水と練和した際にペーストが激しいダイラタンシー性を示し、その結果操作性が悪く、筆、スパチュラ等による築盛がし難い問題を引き起こす主原因になる。なお、酸化ホウ素の含有量が25質量%を越えると歯冠用陶材の化学的耐久性が低下し、15質量%未満ではその焼成温度が高くなる。
ここで、上記ガラスに含まれる酸化ホウ素の含有量は、該ガラスをプラズマ発光分光分析(ICP)において各元素の量を測定した後、酸化物に換算することにより求められた値をいう。
一般に、歯科用陶材に使用されるガラスは、酸化ケイ素、酸化アルミニウムを多量に含有し、前記酸化ホウ素の他に、酸化亜鉛、酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カリウム等から選ばれる1種以上の金属酸化物を主成分として含有して構成されている。このうち本発明では、前記オールセラミックス歯冠を製造するに際してセラミックスフレームとして有利に使用されるディオプサイド系材料と同様の低熱膨張性(4〜6×10-6/℃)であり、焼成温度も低く設定できる(650〜750℃)ことから、酸化ホウ素を前記量に多く含有するものが使用される。通常、上記酸化ホウ素の他、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ナトリウム、及び酸化リチウムを主成分として含有している。
特に好適に使用されるガラスは、該ガラス中の前記各成分のプラズマ発光分光分析(ICP)による含有割合が、各成分をそれぞれSiO2、Al23、B23、ZnO、Na2O、及びLi2Oに換算したときのこれら各成分の合計に対する質量%で表して、それぞれSiO2:59〜70質量%、Al23:6〜16質量%、B23:15〜25質量%、ZnO:0.1〜5質量%、Na2O:1〜4質量%、及びLi2O:1〜5質量%であることを特徴とするものが好ましい。この組成のガラスは、前記ダイラタンシー性を特に強く帯びており、本発明による操作性の改善効果が顕著に発揮される観点からも好ましい。
この歯科用陶材に好適なガラスにおいて、酸化ケイ素の含有量は59〜70質量%、好ましくは59〜65質量%である。酸化ケイ素の含有量が70質量%を越えるとガラスを調製するための溶融温度が高くなる傾向が有り、また高温でガラスを調製できたとしてもそのガラスの焼成温度が高くなってくる。一方、含有量が59質量%未満では歯科用陶材の化学的耐久性が低下するおそれがある。
上記好適なガラスにおいて、酸化アルミニウムの含有量は6〜16質量%であり、好ましくは8〜13質量%である。酸化アルミニウムの含有量が16質量%を越えるとガラスの高温での粘性が高くなるため焼成温度が高めになり、6質量%未満では歯科用陶材の化学的耐久性が低下するおそれがある。
この好適なガラスにおいて、酸化亜鉛の含有量は0.1〜5質量%であり、より好ましくは1〜4%質量%である。酸化亜鉛は上記ガラスにおいて融剤の働きをする。その含有量が4質量%をこえると化学耐久性が低下し始め、0.1質量%未満だと融剤としての効果が十分でなくなるおそれがある。
また、この好適なガラスにおいて、酸化ナトリウムの含有量は1〜4質量%であり、より好ましくは1〜3%質量%である。該酸化ナトリウムは上記ガラスにおいて融剤の働きをするが、その添加量が4質量%をこえると熱膨張係数が増大し、セラミックスコアに焼付けた場合に剥離等を引き起こすと同時に化学的耐久性も低下し始める。一方、酸化ナトリウムの含有量が1質量%未満ではガラスを調製するための溶融温度が高くなりすぎ、また高温でガラスを調製できたとしてもその焼成温度が高くなる。
更に、この歯科用陶材に好適なガラスにおいて、酸化リチウムの含有量は1〜5質量%である。酸化リチウムの含有量は、ガラスの熱膨張係数を低く抑え、至適焼成温度を例えば750℃以下にするためには1.5〜4質量%であることが好ましい。
上記分析値を有するガラスは一般に、上記各成分のガラス原料の配合割合が、各成分をそれぞれSiO2、Al23、B23、ZnO、Na2O、及びLi2Oに換算したときのこれら各成分の合計に対する質量%で表して、それぞれSiO2:57〜65質量%、Al23:8〜18質量%、B23:15〜25質量%、ZnO:0.1〜2質量%、Na2O:3〜7質量%、及びLi2O:2〜8質量%になるように仕込んで、このガラス原料混合物を1300℃〜1500℃で溶融した後、冷却することにより製造することができる。
上記歯科用陶材に好適なガラスは、前記各成分のみからなる場合でも、例えばオールセラミックス歯冠用陶材として用いたときに十分な効果を示すが、更に前記成分に加えて酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび酸化バリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の酸化物を加えることにより、焼成温度の低下、焼成体中の気泡の減少等を図ることができる。これら酸化物の配合量は、これら酸化物をそれぞれCaO、MgO及びBaOに換算したときに、前記基準重量にこれら金属酸化物の質量を加えた質量を基準として5質量%以下であるときには上記効果が高く特に好ましい。
上記本発明で歯科用陶材に使用するガラスは、前記主成分となる各金属酸化物の他に、必要に応じて他の金属酸化物も各種配合することが可能である。これらの金属酸化物を例示すれば、酸化ストロンチウム、酸化リン、酸化錫、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の遷移金属酸化物;及び酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化タンタル等のランタノイド酸化物等を挙げることができる。
上記説明したガラスの製造の諸条件は、公知の方法に従って適宜設定すれば良い。例えば、前記好適なものとして例示したガラスであれば、その製造方法は前記した特許文献1に詳述されており、本発明でも該方法に従って製造すればよい。
歯科用陶材に使用するに際してガラスは、その使用形態により、その粉末の好適な平均粒子径が異なる。具体的には、ボディ陶材、インサイザル陶材、サービカル陶材として使用する場合は、平均粒子径は15〜100μmであるのが好ましい。また、トランスルーセント陶材として使用する場合には、平均粒子径は5〜100μmであるのが好ましい。ステイン陶材として使用する場合には、平均粒子径は1〜15μmであるのが好ましい。さらに、グレーズパウダーとして使用する場合には、平均粒子径は1〜15μmであるのが好ましい。
本発明の最大の特徴は、上記酸化ホウ素を15〜25質量%含有するガラスからなる陶材において、これに、該ガラスのガラス転移点以下の熱分解温度を有し、該熱分解により生成する分解生成物が、上記ガラス転移点で気散性のものであるか、または該ガラスの構成成分の金属酸化物である、水溶性無機塩を配合させた点にある。なお、ガラス転移点とは、ガラスを加熱するかまたはガラスになる過冷却液体を冷却した時に、絶対温度で表した融点または液相温度の2/3〜1/2の温度付近で熱膨張係数や比熱容量が突然変化する温度である。このガラスのガラス転移点は、熱機械的分析(TMA)により測定された熱膨張係数が急激に変化する温度を測定することにより求められる。因みに、前記した本発明で歯科用陶材として好適に使用されるガラスのガラス転移点は、通常、470〜570℃の範囲にある。
また、上記水溶性無機塩の熱分解とは、該水溶性無機塩を空気中、或いは酸素含有雰囲気で加熱して熱分解することをいう。なお、本発明において、係る水溶性無機塩の熱分解は、該水溶性無機塩そのものの分解だけでなく、この分解生成物が、上記ガラスのガラス転移点以下の温度で温度上昇させた際に、さらに熱分解する場合は、この中間段階の分解生成物の分解も含まれる。したがって、上記ガラスのガラス転移点まで焼成温度を上昇させる過程で、水溶性無機塩が何段階かに熱分解する場合には、該温度までの最終的な分解生成物の実質的全てが、上記ガラス転移点で気散性か、またはガラスの構成成分の金属酸化物であれば、本発明の要件は満足される。
本発明では、上記特定の水溶性無機塩を配合させた構成により、得られる歯科用陶材組成物は、前記水と練和した際のペーストのダイラタンシー性が大きく改善され、操作性に優れるものになる。しかも、この水溶性無機塩は、該ガラスのガラス転移点以下の熱分解温度を有するものである。一般に、歯科用陶材組成物の焼成温度は、該ガラスのガラス転移点の150℃以上の温度に設定されるため、該歯科用陶材組成物を水と練和して得たペーストに含まれる水溶性無機塩は、この焼成時には熱分解する。好適には水溶性無機塩の熱分解温度は、該ガラスのガラス転移点よりも10℃以上低い温度、より好適には30℃以上低い温度であるのが効果的である。なお、熱分解温度の下限値は一般には50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
本発明において、上記水溶性無機塩の分解生成物は、上記ガラス転移点で気散性のものであるか、またはガラスの構成成分の金属酸化物である。そのため、この分解生成物は、ガラスの焼成時には陶材から気散するか、或いはこの陶材のガラス中に残留しても、それはガラスを構成する金属酸化物の一部として取り込まれて不純物成分にはならない。その結果、フレームに焼付けられた陶材が、上記水溶性無機塩や、その分解生成物の残留により透明性等が悪化し審美性が損なわれることが良好に抑制される。水溶性無機塩の熱分解による分解生成物が気散性のものの場合、焼成後の陶材にこれが気化した跡が泡状に残る可能性があり、これが焼成体の透明性を若干低下させる虞もあるため、この透明性の高度な良好さの観点からは、水溶性無機塩は、分解性生物がガラスの構成成分の金属酸化物であるものの方がより好ましい。
ここで、上記水溶性無機塩の水溶性とは、20℃下において、水への溶解度が1質量%以上、好適には5質量%以上のものをいう。また、水溶性無機塩の分解生成物が気散性のものの場合において、該分解生成物の気化温度は、上記ガラスのガラス転移点よりも10℃以上低い温度、より好適には30℃以上低い温度であるのが、係る気散を十分に行う観点から望ましい。
上記ガラスのガラス転移点以下の熱分解温度を有し、該熱分解により生成する分解生成物が上記ガラス転移点で気散性のものである水溶性無機塩の具体例としては、例えば、硫酸アンモニウムが挙げられる。すなわち、硫酸アンモニウムの熱分解温度は、硫酸水素アンモニウムと硫酸アンモニウムへの分解反応が120℃より開始し、この生成した硫酸水素アンモニウムの亜硫酸水素アンモニウムを経て窒素、二酸化イオウ、水への分解温度が350℃〜360℃である。したがって、硫酸アンモニウムを歯科用陶材に配合しても、該陶材組成物の焼成温度は上記350〜360℃よりも遥かに高くなるため、この温度域に加熱するまでに上記窒素、二酸化イオウ、水に分解して気散する。
このような分解生成物が気散性の水溶性無機塩の他の具体例としては、硝酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、ペルオクソ二硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられ、本発明では、特に、アニオンが硫酸塩あるいは炭酸塩、カチオンがアンモニウムであるものを使用するのが分解温度が低く好ましい。
一方、ガラスのガラス転移点以下の熱分解温度を有し、該熱分解により生成する分解生成物が該ガラスの構成成分の金属酸化物である水溶性無機塩の具体例としては、例えば硝酸アルミニウムが挙げられる。すなわち、硝酸アルミニウムの熱分解温度は200℃であり、酸化アルミニウムと水に分解する。したがって、この硝酸アルミニウムを歯科用陶材に配合した場合、これを用いたペーストに含まれる該塩は焼成時に該酸化アルミニウムと水とに熱分解する。このうち酸化アルミニウムは、ガラスの構成成分であり残留しても不純物成分にはならない。また、水は、ペーストから気散する。
このような分解生成物がガラスの構成成分になる水溶性無機塩の他の具体例としては、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸リチウム等が挙げられる。
これら水溶性無機塩は、1種類のみを用いても複数種類混合して用いても良い。
本発明の歯科用陶材組成物において、上記水溶性無機塩の配合量は、発明の効果を発揮させる観点から、ガラス100質量部に対して0.1〜2質量部であることが必要である。すなわち、この水溶性無機塩の配合量が、上記陶材100質量部に対して0.1質量部より少ない場合、ペーストの流動性を改善する効果を十分に得難くなる。また、この配合量が2質量部より多くなると、上記ペーストの流動性の改善効果は低下する。さらに、該水溶性無機塩の熱分解による分解生成物が気散性のものの場合、焼成後の陶材にこれが気化した跡が泡状に残って透明性を顕著に低下させ、機械的強度の低下も発生させるようになり好ましくない。また、あまりに多量の水溶性無機塩の配合は、熱分解反応の未反応物や分解生成物における未気散物の多量の残留も生じさせることになり、この場合、焼付けられた陶材において、透明性の低下や色調不良、熱膨張係数や化学的耐久性の低下、焼成温度の変動等を引き起こすようになり望ましくない。上記本発明の流動性の改善効果を特に顕著に発揮させ、前記残留等による透明性低下も高度に抑制する観点からは、水溶性無機塩は、ガラス100質量部に対して0.2〜0.8質量部配合させるのが特に好ましい。
なお、この水溶性無機塩も、前記ガラス程度の平均粒子径、或いはそれよりも細かい粉末状のものとして配合するのが好適である。
本発明の歯科用陶材組成物には、焼付け後の陶材に色を付与したり透明性を制御したりするために、グレーズ陶材を除いて、通常、顔料が添加される。その配合量は、ボディ陶材、インサイザル陶材、サービカル陶材の場合は、ガラス100質量部に対して顔料を0.01〜3質量部配合するのが好ましい。また、トランスルーセント陶材であれば、ガラス100質量部に対して白色系の顔料を0.01〜3質量部配合するのが好ましい。さらに、ステイン陶材であればガラス100質量部に対して顔料を1〜15質量部配合するのが好ましい。
こうした顔料としては、陶材が高温で焼成されるため、一般に無機顔料が使用される。無機顔料として好適に使用できるもののうち代表的なものを例示すれば、バナジウム黄、コバルト青、クロムピンク、鉄クロム茶、チタン白、ジルコニア白等が挙げられる。
また、歯科用陶材組成物には、水と混合し、盛り付けた部位を判別するために染料を添加することがある。染料は、焼成後に除去されることが望ましい。染料として公知のものが制限なく使用できる。染料として好適に使用できるもののうち代表的なものを例示すれば、アマランス、エリストロシン、プロシキン、アシッドレッド、ブリリアントブルー、インジゴカルミン、ファストグリーン等が挙げられる。
本発明において、以上の組成からなる歯科用陶材組成物は、金属焼付け陶材に使用しても良いが、前記したとおりオールセラミックス歯冠の製造においてセラミックスフレーム、特にディオプサイド系材料からなるセラミックスフレームに焼付ける陶材として使用するのが、ペーストの操作性を良くする効果が特に顕著に発揮されて好ましい。この場合、歯科用陶材組成物は、セラミックスフレーム上に盛り付けた後、焼成して焼付けることにより使用される。上記の盛り付け方法及び焼成方法としては、本発明の陶材組成物の粉末を水で練和し、セラミックスフレーム上に築盛し、その後に焼成することにより行う。歯科用陶材組成物と水との混合比(質量比)は、特に制限されるものではないが、一般的には、歯科用陶材組成物100質量部に対して水が30〜70質量部である。
また、水と煉和しての築盛に際しては、歯科用陶材組成物は複層に築盛するのが好ましい。この場合、各種の陶材を組合わせ或いは混合して使用するのが好ましく、この内の少なくとも一種を本発明の歯科用陶材組成物として用いれば良い。使用する全ての陶材を本発明の歯科用陶材組成物としても良いが、ステイン陶材およびグレーズ陶材については自然観の良好な色調を再現するために有機溶剤で練和しても良く、この場合は、ダイラタンシー性の問題は発現し難いため、必ずしも前記特徴的な水溶性無機塩を配合して、本発明の歯科用陶材組成物として使用しなくても良い。なお、こうしたステイン陶材およびグレーズ陶材も、本発明の歯科用陶材組成物として有機溶剤で練和して使用する場合、該有機溶媒の混合比は、前記説明した水と同様に実施すればよい。
また、焼成温度としては、陶材を構成するガラスのガラス転移点に対して150℃〜250℃高い温度の範囲から設定される。この温度範囲のうち、ボディ陶材、インサイザル陶材、サービカル陶材、およびトランスルーセント陶材については、特に、650℃〜760℃が好ましく、前記において好適なものとして示したガラスであれば、該温度は通常680〜750℃になる。他方、ステイン陶材およびグレーズ陶材についても同様に、650℃〜760℃が好ましく、前記において好適なものとして示したガラスであれば、該温度は通常650〜710℃になる。
こうした焼成温度への昇温速度は、特に制限されるものではないが、通常は、10〜70℃/分の範囲から採択される。また、上記焼成温度での保持時間も、特に制限されるものではないが、通常は、1秒〜5分の範囲から採択される。
以上説明した本発明の歯科用陶材組成物は、予め、前記ガラスに水溶性無機塩を配合して組成物の形態で保存して使用時に水で練和して用いるのが一般的であるが、この他、a)酸化ホウ素を15〜25質量%含有するガラスからなる主材、およびb)該ガラスのガラス転移点以下の熱分解温度を有し、該熱分解により生成する分解生成物が、上記ガラス転移点で気散性のものであるか、または該ガラスの構成成分の金属酸化物である水溶性無機塩、またはその水溶液からなる配合剤からなる歯科用陶材キットの形態で保存し、使用時に両部材を混合して組成物として使用しても良い。この場合、ガラスからなる主材と水溶性無機塩からなる配合剤の混合比は、前記した本発明の歯科用陶材組成物において好ましい組成のものが得られる配合比が望ましい。また、水溶性無機塩を水溶液として配合剤とする場合、その濃度は0.1〜7質量%、より好ましくは0.2〜6.7質量%が望ましく、この水は、歯科用陶材組成物の使用時において、これを水とを混合してペーストを製造する際の該水の全量または一部として利用するのが好ましい。
以下、本発明を更に詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例において、各種物性の測定方法は以下の方法に従って実施した。
(1)流動性の測定方法
陶材組成物1gと蒸留水(和光純薬社製)0.52gを練和し、直径8mm、深さ5mmの窪みに流し込み、1分後サンレオメーター(サン科学社製)を用い100mm/分の速度で直径5mmの棒を3mmの深さに挿入した時の最大抵抗を測定した。最大抵抗が1000g以上はダイラタンシー性が強いと判断される。
(2)透明性の測定方法
陶材組成物の焼成体を、#1500耐水研磨紙を用い表面を平滑にし、厚さを1mmとし透明性を測定するための試料片とした。透明性は、色差計(1800mkII、東京電色社製)を用い上記試料片を測定し、背景色が黒のY値(Yb)および白のY値(Yw)からYb/Ywを算出した。Yb/Ywは、0〜1の値をとり、数値が小さいほど透明であり、大きくなると不透明であり、好ましくは0.25以下であり、より好ましくは0.20以下である。
実施例1
特開2000−139959の実施例1に従い、二酸化ケイ素(試薬特級、和光純薬社製)30.4g、水酸化アルミニウム(試薬特級、関東化学社製)8.3g、酸化ホウ素(試薬特級、和光純薬社製)8.7g、炭酸リチウム(試薬特級、和光純薬社製)4.7g、炭酸ナトリウム(試薬特級、和光純薬)4.0g、酸化亜鉛(試薬特級、和光純薬)1.1gを秤量、混合した後、混合物を1300℃にて2時間溶融後ステンレス板上に流し出して冷却し均一なガラスを得た。
溶融により得られたガラスをアルミナ製ボールミルにより粉砕した後、100メッシュの篩いにて分級し、平均粒子径を35μmとしガラスAとした。このガラスAの酸化ホウ素の含有量をICP分析により求めると19.1質量%
であった。同様に、このガラスAのその他の主成分となる金属酸化物の含有量をICP分析により求めると、酸化ケイ素は63.4質量%、酸化アルミニウムは9.3質量%、酸化リチウムは2.2質量%、酸化ナトリウムは2.2質量%、酸化亜鉛は3.8質量%であった。また、このガラスAのガラス転移点を熱機械的分析により測定したところ、513℃であった。
上記により得られたガラスA100質量部に対し、前述したように熱分解により生成する分解生成物が上記ガラス転移点で気散性のものである硫酸アンモニウム(試薬特級、和光純薬社製)0.25質量部を混合し陶材組成物を得た。この陶材組成物について、流動性を測定し結果を表2に示した。
この陶材組成物0.46gと蒸留水0.24gを練和し、厚さ1.5mm、直径12mmの孔を有する型にコンデンスを行いながら充填し、成型体を得た。 この成型体を、ポーセレンファーネス(シグマ120、TDF社製)を用い、予め450℃に加熱された炉口で5分間保持して乾燥を行った後に炉内に導入し、25℃/分の速度で昇温して700℃で2分間保持する焼成条件で焼成した。この焼成体の陶材について、透明性を測定し結果を表2に示した。
実施例2
二酸化ケイ素(試薬特級、和光純薬社製)31.2g、水酸化アルミニウム(試薬特級、関東化学社製)8.5g、酸化ホウ素(試薬特級、和光純薬社製)8.2g、炭酸リチウム(試薬特級、和光純薬社製)4.6g、炭酸ナトリウム(試薬特級、和光純薬)4.4g、酸化亜鉛(試薬特級、和光純薬)0.6gを秤量、混合した後、混合物を1300℃にて2時間溶融後ステンレス板上に流し出して冷却し均一なガラスを得た。
溶融により得られたガラスをアルミナ製ボールミルにより粉砕した後、100メッシュの篩いにて分級し、平均粒子径を30μmとしガラスBとした。このガラスBの酸化ホウ素の含有量をICP分析により求めると17.9質量%であった。同様に、このガラスAのその他の主成分となる金属酸化物の含有量をICP分析により求めると、酸化ケイ素は65.0質量%、酸化アルミニウムは9.5質量%、酸化ナトリウムは2.4質量%、酸化リチウムは2.1質量%、酸化亜鉛は2.1質量%であった。また、このガラスBのガラス転移点を熱機械的分析により測定したところ、478℃であった。
実施例1のガラスAに替わりガラスBを用いて、陶材組成物の流動性、および焼成体の透明性を測定し、結果を表2に示した。
実施例3〜4
実施例1において、硫酸アンモニウムの混合量を表1に示した量に変える以外は実施例1と同様に実施して陶材組成物を製造した。得られた陶材組成物を用いて、流動性、焼成体の透明性を測定し、結果を表2に示した。
実施例5
実施例1において、硫酸アンモニウムを硝酸アンモニウムに変える以外は実施例1と同様に実施して陶材組成物を製造した。なお、硝酸アンモニウムは、酸化二窒素と水への分解温度が約210℃である化合物である。
得られた陶材組成物を用いて、流動性、焼成体の透明性を測定し、結果を表2に示した。
実施例6
実施例1において、硫酸アンモニウムに、さらに硝酸アンモニウムを0.25質量部加える以外は実施例1と同様に実施して陶材組成物を製造した。得られた陶材組成物を用いて、流動性、焼成体の透明性を測定し、結果を表2に示した。
実施例7
実施例1において、硫酸アンモニウムに代えて、前述したように熱分解により生成する分解生成物が該ガラスの構成成分の金属酸化物である硝酸アルミニウムを用いる以外は実施例1と同様に実施して陶材組成物を製造した。得られた陶材組成物を用いて、流動性、焼成体の透明性を測定し、結果を表2に示した。
実施例8
実施例1において、硫酸アンモニウムに、さらに硝酸アルミニウムを0.25質量部加える以外は実施例1と同様に実施して陶材組成物を製造した。得られた陶材組成物を用いて、流動性、焼成体の透明性を測定し、結果を表2に示した。
実施例9
硫酸アンモニウムの0.5質量%水溶液を調製した。次いで、ガラスA0.46gに、この硫酸アンモニウム水溶液0.23gを練和した。ガラスA100質量部に対する硫酸アンモニウムの配合量は0.25質量部であった。得られた陶材組成物を用いて、流動性、焼成体の透明性を測定し、結果を表2に示した。
上記実施例1〜10より得られた本発明の陶材組成物は、いずれのものも流動性、焼成体の透明性ともに良好な結果を示した。

比較例1
実施例1において、硫酸アンモニウムを加えない以外は実施例1と同様に実施して陶材組成物を製造した。得られた陶材組成物を用いて、流動性、焼成体の透明性を測定し、結果を表2に示した。この陶材組成物は、焼成体の透明性は良好であったが、ダイラタンシー性を強く示した。
比較例2
二酸化ケイ素(試薬特級、和光純薬社製)32.5g、水酸化アルミニウム(試薬特級、関東化学社製)5.0g、酸化ホウ素(試薬特級、和光純薬社製)5.0g、炭酸リチウム(試薬特級、和光純薬社製)9.9g、炭酸ナトリウム(試薬特級、和光純薬)5.1g、酸化亜鉛(試薬特級、和光純薬)1.0gを秤量、混合した後、混合物を1300℃にて2時間溶融後ステンレス板上に流し出して冷却し均一なガラスを得た。
溶融により得られたガラスをアルミナ製ボールミルにより粉砕した後、100メッシュの篩いにて分級し、平均粒子径を30μmとしガラスBとした。このガラスCの酸化ホウ素の含有量をICP分析により求めると10.9質量%であった。同様に、このガラスCのその他の主成分となる金属酸化物の含有量をICP分析により求めると、酸化ケイ素は67.6質量%、酸化アルミニウムは8.5質量%、酸化リチウムは4.5質量%、酸化ナトリウムは1.4質量%、酸化亜鉛は3.5質量%であった。また、このガラスCのガラス転移点を熱機械的分析により測定したところ、580℃であった。
実施例1において、ガラスAの代わりにガラスCを用い、硫酸アンモニウムを加えない以外は実施例1と同様に実施して陶材組成物を製造した。得られた陶材を用いて、流動性、透明性を測定し、結果を表2に示した。この陶材組成物は、酸化ホウ素の含有量が少ないため、硫酸アンモニウムを加えなくても流動性はある程度には良好であった。
比較例3
実勢例1において、硫酸アンモニウム3.0重量部を混合した以外、実施例1と同様に実施して陶材組成物を製造した。得られた陶材組成物を用いて、流動性、焼成体の透明性を測定し、結果を表2に示した。この陶材組成物は、流動性、透明性共に低下した。
比較例4
実施例1において、硫酸アンモニウムに代えて、350℃で酸化カリウムと窒素酸化物と酸素に分解する硝酸カリウムを混合した以外、実施例1と同様に実施して陶材組成物を製造した。得られた陶材組成物を用いて、流動性、焼成体の透明性を測定し、結果を表2に示した。この陶材組成物は、流動性は良好であるが、焼成体は、ガラスの構成成分でない金属酸化物の酸化カリウムが残り透明性の低いものであった。
比較例5
実施例1において、硫酸アンモニウムに代えて、分解温度が740℃である硫酸亜鉛を混合した以外、実施例1と同様に流動性、透明性を測定し、結果を表2に示した。
流動性は良好であるが、焼成体は、ガラスの構成成分でない硫酸亜鉛が残り透明性の低いものであった。
Figure 2007308415
Figure 2007308415

Claims (3)

  1. A)酸化ホウ素を15〜25質量%含有するガラス
    100質量部
    B)該ガラスのガラス転移点以下の熱分解温度を有し、該熱分解により生成する分解生成物が、上記ガラス転移点で気散性のものであるか、または該ガラスの構成成分の金属酸化物である、水溶性無機塩 0.1〜2質量部
    が配合されてなる歯科用陶材組成物。
  2. B)成分の水溶性無機塩の配合量が、0.2〜0.8質量部である請求項1記載の歯科用陶材組成物。
  3. セラミックスフレームに焼付けて使用する、オールセラミックス歯冠の製造用である請求項1記載の歯科用陶材組成物。
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