JP2007308035A - 燃料タンクの開口構造およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも外層、内層及びその間の中間層を有する熱可塑性合成樹脂製の燃料タンク本体に、開口部を一体的に形成してなる燃料タンクの開口部構造において、開口部は、燃料タンク本体から外方に延出する筒状部と、筒状部の先端から筒状部を拡径する方向に折れ曲がるとともに、さらに開口部の中心方向にヘヤピン状に折れ曲がり上下に熱可塑性合成樹脂の層が重ね合わされ開口部の開口面に平行な外面を有する折曲部とから構成される。折曲部の少なくとも一部は、開口面に垂直な方向から圧縮した他の部分よりも薄肉の圧縮部を有し、圧縮部の重ね合わされた部分の下側の外層に金属製の環状の蓋係止部材を一体的に埋設した燃料タンクの開口部構造とその製造方法である。
【選択図】図2
Description
合成樹脂製の自動車用燃料タンクの製造は、中空体を成形することの容易性からブロー成形方法が多く用いられてきた。ブロー成形方法では、溶融した熱可塑性合成樹脂部材のパリソンを円筒状にして上から押出して、そのパリソンを金型で挟みパリソン中に空気を吹き込み、自動車用燃料タンクを製造していた。
その構造は、例えば、図8に示すように、開口部110と、その開口を塞ぐ蓋体140が取り付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
開口部は、燃料タンク本体から外方に延出する筒状部と、筒状部の先端から筒状部を拡径する方向に折れ曲がるとともにさらに開口部の中心方向にヘヤピン状に折れ曲がり上下に熱可塑性合成樹脂の層が重ね合わされ開口部の開口面に平行な外面を有する折曲部とから構成され、折曲部の少なくとも一部は、開口面に垂直な方向から圧縮した他の部分よりも薄肉の圧縮部を有し、圧縮部の重ね合わされた部分の下側の外層に金属製の環状の蓋係止部材を一体的に埋設した燃料タンクの開口部構造である。
圧縮部の重ね合わされた部分の下側の外層に金属製の環状の蓋係止部材を一体的に埋設したため、圧縮部を形成するときに折曲部を蓋係止部材で下から保持することができ、折曲部を圧縮することが容易であり、蓋体を開口部に取り付けるときも蓋体と開口部を強く密着させることができる。
下縦壁部の先端から下縦壁部を拡径する方向に折れ曲がり開口面に平行な面を形成する下段部を有するため、この下段部で、開口部の折曲部を保持することができ、圧縮部を形成するときに、折曲部を蓋係止部材で下から保持して、折曲部を圧縮することが容易であり、蓋体を開口部に取り付けるときも、蓋体と開口部の折曲部を強く密着させることができる。
燃料タンク本体のブロー成形時に、燃料タンク本体から一部を外方に延出させて開口部の筒状部を形成し、筒状部の先端から筒状部を拡径する方向に折り曲げるとともにさらに開口部の中心方向にヘヤピン状に折り曲げて熱可塑性合成樹脂が2層に重ね合わされ開口部の開口面に平行な外面を有するように折曲部を形成し、折曲部の少なくとも一部は、開口面に垂直な方向から圧縮して他の部分よりも薄肉の圧縮部を形成し、圧縮部の重ね合わされた部分の下側の外層に金属製の蓋係止部材を一体的に埋設し、開口部の開口する部分を塞ぐ熱可塑性合成樹脂部材を切除して開口部を形成した燃料タンクの製造方法である。
筒状部の先端から筒状部を拡径する方向に折り曲げるとともにさらに開口部の中心方向にヘヤピン状に折り曲げて熱可塑性合成樹脂部材が2層に重ね合わされ開口部の開口面に平行な外面を有するように折曲部を形成する。このため、折曲部を含む開口部は、燃料タンク本体から開口部を一体的に形成することができ、開口部は、密閉性に優れるとともに、圧縮部以外の折曲部の肉厚を確保することができる。折曲部は、外面が燃料タンク本体の外層で形成するため、強度を確保することができ、内部に中間層を有するため、燃料の浸透を防止することができる。
圧縮部の重ね合わされた部分の下側の外層に金属製の蓋係止部材を一体的に埋設し、開口部の開口する部分を塞ぐ熱可塑性合成樹脂部材を切除して開口を形成したため、圧縮部を形成するときに折曲部を蓋係止部材で下から保持することができ、折曲部を圧縮することが容易であり、蓋体を開口部に取り付けるときも蓋体と開口部を強く密着させることができる。
ブロー成形金型の開口部を形成する部分に金属製の環状の蓋係止部材を保持させて、
ブロー成形金型の蓋係止部材を保持する部分の外側に、スライド金型を設け、スライド金型の内面の周端に凸条部を形成し、
燃料タンク本体のブロー成形時に、スライド金型を外方に後退させて、燃料タンク本体の熱可塑性合成樹脂部材の一部から外方に延出させて開口部の筒状部を形成し、
蓋係止部材とスライド金型の凸条部の間に、筒状部の熱可塑性合成樹脂部材を進入させ、拡径させるともに、開口部の上記熱可塑性合成樹脂部材をスライド金型の内面に当接させ、筒状部の先端から筒状部を拡径する方向に折れ曲げるとともに、さらに開口部の中心方向にヘヤピン状に折り曲げて熱可塑性合成樹脂部材を2層に重ね合わせ折曲部を形成し、スライド金型を蓋係止部材方向に前進させ、折曲部の少なくとも一部を開口面に垂直な方向から圧縮して他の部分よりも薄肉の圧縮部を形成し、圧縮部の重ね合わされた部分の下側の外層に蓋係止部材を一体的に埋設し、開口部の開口する部分を塞ぐ熱可塑性合成樹脂部材を切除して開口部を形成した燃料タンクの製造方法である。
燃料タンク本体のブロー成形時に、スライド金型を外方に後退させて、燃料タンク本体の熱可塑性合成樹脂部材の一部を外方に延出させて上記開口部の筒状部を形成したため、スライド金型が後退した部分に燃料タンク本体を膨らませて、筒状部を形成することができる。
折曲部の少なくとも一部は、薄肉の圧縮部を有するため、燃料の浸透を最小限にすることができる。圧縮部の重ね合わされた部分の下側の外層に金属製の環状の蓋係止部材を一体的に埋設したため、圧縮部を形成するときに折曲部を蓋係止部材で下から保持することができ、蓋体を開口部に取り付けるときも蓋体と開口部を強く密着させることができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態の燃料タンクの開口部10の断面図である。図2は第1図の蓋体40の係止する部分の拡大断面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態の開口部10に埋設される蓋係止部材(カムロック部材)20の斜視図である。図4は、本発明の第1の実施の形態の開口部10に埋設される他のカムロック部材20の斜視図である。
図5は、本発明の第2の実施の形態の燃料タンクの開口部10の蓋体40の係止する部分の拡大断面図である。
図6と図7は、本発明の燃料タンク本体1の開口部10の製造方法を示すブロー成形金型60の開口部10を形成する金型部分の断面図である。
燃料タンク本体1は、ブロー成形で形成され、その外壁は、外層2、内層3及び外層2と内層3との間に形成される中間層4の3層から構成されている。ブロー成形においては、上記の3層から構成されるパリソンが使用される。
外層2と内層3は、強度が高く燃料油に対しても強度が維持される熱可塑性合成樹脂から形成され、中間層4は、燃料油の透過が極めて少ない熱可塑性合成樹脂から形成されている。
また、中間層4を構成する熱可塑性合成樹脂は、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を使用することができる。
なお、上記エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等の中間層4の両面に高密度ポリエチレン(HDPE)等と接着性のよい層、例えば変性ポリエチレン(m−PE)等の接着層を介在させた多層パリソンを使用すると3層間の接着性が向上して好ましい。
開口部10における蓋体40の係止構造は、図2に示すように、蓋体40を開口部10に埋設された蓋係止部材(カムロック部材)20と固定部材30で挟持している。
蓋体40は、略円盤状に形成され、下面に開口部10の内周に沿って突出するフランジ部41が形成され、蓋体40のずれを防止している。
カムロック部材20は、図2及び図3に示すように金属板で構成され、屈曲した略円筒状に形成されている。
なお、波型の切欠部26の代わりに、図4に示すように、下縦壁部21の中央付近に複数の固定孔27を形成することができる。この場合には、同じくブロー成形時に固定孔27に筒状部11の熱可塑性合成樹脂部材が進入してカムロック部材20を開口部10に固着することができる。
筒状部11は、燃料タンク本体1の外壁を構成する外層2、内層3及び中間層4の3層からなる熱可塑性合成樹脂壁が外方に筒状に延出されて形成される。筒状部11の外層2にはカムロック部材20の下縦壁部21が埋設されている。上述のとおり、カムロック部材20の切欠部26または、固定孔27に外層2の熱可塑性合成樹脂壁を構成する材料が進入している。このため、カムロック部材20が開口部10に強固に固定されることができる。
このため、折曲部12は、燃料タンク本体1の壁を構成する外層2、内層3及び中間層4が2層ずつ構成されている。従って、開口部10は、燃料タンク本体1から同一材料で連続的に一体的に形成されて、密閉性に優れるとともに、折曲部12の圧縮部13以外の部分は、肉厚を確保することができ強度を確保できる。
圧縮部13の溝の底の部分は、折曲部12が圧縮されて、薄肉状になっている。そして、その中心部には、中間層4が折り畳まれて存在し、中間層4の上下には外層2が薄肉状に存在している。
さらに、折曲部12は、薄肉の圧縮部13を有するため、圧縮部13で開口部10の肉厚を薄くすることができ、特に外層2の肉厚を薄くすることができ、タンク内の燃料が開口部10の端面から圧縮部13の外層2を浸透していくことを最小限にすることができる。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態とは、カムロック部材20の形状が異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を中心に説明し、同様な部分は説明を省略する。
第2の実施の形態のカムロック部材20は、開口部10に埋設される埋設部28と、蓋体40を押圧して係止する係止部29から構成される。
係止部29は、断面が階段状に屈曲されて、下側の下平面部29bは、埋設部28と密着して、埋設部28と下平面部29bとに連通して形成された孔に挿入されたボルト35により固着されている。
このため、開口部10をブロー成形で成形するときに埋設部28のみをブロー成形の金型に保持すればよく、成形が容易である。また、金属製の埋設部28と係止部29を別に形成するため、それぞれの構造は簡単になり、カムロック部材20の製造が容易である。
燃料タンク本体1は、ブロー成形で成形するが、そのブロー成形と同時に開口部10も成形する。
まず、ブロー成形金型60の本体は、内側型62と外側型63から構成される。ブロー成形金型60の開口部10を形成する部分に開口を形成し、その開口にスライド型61を内外方向にスライド可能に嵌め込む。スライド型61の内面の周囲には、凸条部64が形成されている。
即ち、カムロック部材20の下縦壁部21は、開口部10の筒状部11の外層2の部分に埋設され、カムロック部材20の下段部22の上面に折曲部12の下面が当接し、折曲部12は、スライド型61の下降につれて、折曲部12を圧縮して、折曲部12をヘヤピン状に潰して形成する。
圧縮部13は、カムロック部材20の下段部22と凸条部64に挟まれて圧縮されるので、均一に薄肉に形成されるとともに、圧縮部13の上面に凹溝が形成される。凹溝には、前述のようにゴム製のシールリング50が装着される。凹溝の底面は、スライド型61の凸条部64の圧縮により形成されるため、平滑に形成され、シールリング50が平滑面に密着するため、シール性がよい。
折曲部12を形成した後は、ブロー成形金型60から、燃料タンク本体1を取り出し、蓋部16が嵌め込まれる開口の部分を切除して、開口部10を形成する。
2 外層
3 内層
4 中間層
10 開口部
11 筒状部
12 折曲部
13 圧縮部
20 蓋係止部材(カムロック部材)
30 固定部材
40 蓋体
60 ブロー成形金型
61 スライド型
Claims (8)
- 少なくとも外層、内層及びその間の中間層を有する熱可塑性合成樹脂製の燃料タンク本体に、開口部を一体的に形成してなる燃料タンクの開口部構造において、
上記開口部は、上記燃料タンク本体から外方に延出する筒状部と、該筒状部の先端から上記筒状部を拡径する方向に折れ曲がるとともにさらに上記開口部の中心方向にヘヤピン状に折れ曲がり上下に熱可塑性合成樹脂の層が重ね合わされ上記開口部の開口面に平行な外面を有する折曲部とから構成され、該折曲部の少なくとも一部は、上記開口面に垂直な方向から圧縮した他の部分よりも薄肉の圧縮部を有し、該圧縮部の重ね合わされた部分の下側の上記外層に金属製の環状の蓋係止部材を一体的に埋設したことを特徴とする燃料タンクの開口部構造。 - 上記蓋係止部材は、上記開口部の筒状部に埋設される筒状の下縦壁部と、該下縦壁部の先端から上記下縦壁部を拡径する方向に折れ曲がり上記開口面に平行な面を形成する下段部と、該下段部の先端から階段状に上方に折れ曲がるとともにさらに拡径する方向に折れ曲がり上記開口面に平行な面を形成する上段部と、該上段部から複数個所の上方に上縦壁部が延設され、該上縦壁部の先端から上記開口部の中心方向にL字形に曲がった係止用爪部を形成し、上記下段部が上記圧縮部の重ね合わされた部分の下側の上記外層に埋設された請求項1に記載の燃料タンクの開口部構造。
- 上記蓋係止部材の下縦壁部には、上記開口部の筒状部の熱可塑性合成樹脂が進入して上記蓋係止部材を上記開口部に固着する切欠部又は固定孔が形成された請求項2に記載の燃料タンクの開口部構造。
- 上記蓋係止部材は、上記開口部の上記圧縮部の重ね合わされた部分の下側の上記外層に埋設される埋設部と、該埋設部と別体に形成され、蓋体を係止する係止部から構成され、上記埋設部と係止部は固着部材で固着されている請求項1に記載の燃料タンクの開口部構造。
- 上記圧縮部は、断面コ字形の溝状に形成され、溝状の底部は平滑面が形成された請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の燃料タンクの開口部構造。
- 少なくとも外層、内層及びその間の中間層を有する熱可塑性合成樹脂部材をブロー成形して燃料タンク本体を形成するとともに、開口部を一体的に形成する燃料タンクの製造方法において、
上記燃料タンク本体のブロー成形時に、上記燃料タンク本体から一部を外方に延出させて上記開口部の筒状部を形成し、該筒状部の先端から上記筒状部を拡径する方向に折れ曲げるとともにさらに上記開口部の中心方向にヘヤピン状に折り曲げて上記熱可塑性合成樹脂部材が2層に重ね合わされ上記開口部の開口面に平行な外面を有するように折曲部を形成し、該折曲部の少なくとも一部は、上記開口面に垂直な方向から圧縮して他の部分よりも薄肉の圧縮部を形成し、該圧縮部の重ね合わされた部分の下側の上記外層に金属製の蓋係止部材を一体的に埋設し、上記開口部の開口する部分を塞ぐ上記熱可塑性合成樹脂部材を切除して開口部を形成したことを特徴とする燃料タンクの製造方法。 - 少なくとも外層、内層及びその間の中間層を有する熱可塑性合成樹脂部材をブロー成形して燃料タンク本体を形成するとともに、開口部を一体的に形成する燃料タンクの製造方法において、
上記ブロー成形金型の上記開口部を形成する部分に金属製の環状の蓋係止部材を保持させて、
ブロー成形金型の上記蓋係止部材を保持する部分の外側に、スライド金型を設け、該スライド金型の内面の周端に凸条部を形成し、
上記燃料タンク本体のブロー成形時に、上記スライド金型を後方に後退させて、上記燃料タンク本体の熱可塑性合成樹脂部材の一部から外方に延出させて上記開口部の筒状部を形成し、
上記蓋係止部材と上記スライド金型の凸条部の間に、上記筒状部の上記熱可塑性合成樹脂部材を進入させ、拡径させるともに、上記開口部の上記熱可塑性合成樹脂部材を上記スライド金型の内面に当接させ、上記筒状部の先端から上記筒状部を拡径する方向に折れ曲げるとともにさらに、上記開口部の中心方向にヘヤピン状に折り曲げて上記熱可塑性合成樹脂部材を2層に重ね合わせ折曲部を形成し、上記スライド金型を上記蓋係止部材方向に前進させ、上記折曲部の少なくとも一部を上記開口面に垂直な方向から圧縮して他の部分よりも薄肉の圧縮部を形成し、該圧縮部の重ね合わされた部分の下側の上記外層に上記蓋係止部材を一体的に埋設し、上記開口部の開口する部分を塞ぐ上記熱可塑性合成樹脂部材を切除して開口部を形成したことを特徴とする燃料タンクの製造方法。 - 上記圧縮部の形成は、上記スライド金型の凸条部により断面コ字形の溝状に形成され、溝状の底部は平滑面が形成された請求項6又は請求項7のいずれかに記載の燃料タンクの製造方法。
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