JP2007307985A - 歩行者用エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車体幅方向に延設されたケース内にエアバッグが収容され、該ケースが弓形平面視形状のリッドによって覆われ、該リッドの後縁がフード等にヒンジ留めされている歩行者用エアバッグ装置において、エアバッグ膨張時におけるリッド前縁のウィンドシールドへの当接を防止することができる歩行者用エアバッグ装置を提供する。
【解決手段】インフレータ9が作動すると、エアバッグ5が膨張し、この膨張するエアバッグ5に押されたリッド20がヒンジ21を回動中心として後方側へ回動して開き出す。リッド20の後縁20rの長手方向両端側だけでなく長手方向中央もヒンジ21によって開口3aの縁部に留め付けられているので、リッド前縁20fの長手方向中央付近の回動半径も小さいものとなる。この結果、開放したリッド20がウィンドシールドに当ることを防止することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車体のフードの少なくとも一部に沿って膨張するエアバッグを有した歩行者用エアバッグ装置に係り、特に車体幅方向に延設されたケース内にエアバッグが収容されている歩行者用エアバッグ装置に関する。
車体のカウル部付近に沿ってエアバッグを膨張させて歩行者等(歩行者や二輪車乗員など)を受け止めるようにした歩行者用エアバッグ装置が公知である。この歩行者用エアバッグ装置の一形態として、車体幅方向に延設されたケース内にエアバッグが収容されている歩行者用エアバッグ装置が公知である(特開2005−280556号)。
同号公報では、フードの後部に設けられた開口の直下に該ケースが配置されている。この開口を覆うようにリッド(同号公報ではエアバッグカバーと称されている。)が設けられている。このリッドは該ケースに留め付けられている。該リッドにテアラインが設けられており、エアバッグ膨張時にはテアライン(破断予定部)に沿って該リッドが開裂し、エアバッグがフード上に膨張展開する。
上記特開2005−280556号の図4の通り、リッドの後縁はウィンドシールドの下縁に沿って弓形に湾曲している。
このようなリッドの後縁をフードの開口縁にヒンジ留めすることが考えられる。第4図はそのような歩行者用エアバッグ装置を備えた自動車の斜視図、第5図はエアバッグ膨張時の第4図の自動車の斜視図、第6図は第5図のVI−VI線断面図である。
第4,5図の通り、自動車1は、4ドアセダンであり、ボンネットフード3の後部に歩行者用エアバッグ装置4が設置されている。第5図の通り、歩行者用エアバッグ装置4のエアバッグ5が膨張すると、カウルトップ2、ウィンドシールド6及び左右のAピラー7がエアバッグ5によって覆われる。
第6図の通り、歩行者用エアバッグ装置4は、折り畳まれたエアバッグ5を収納するためのケース8と、エアバッグ5を膨張させるためのインフレータ9と、フード3のエアバッグ通過用開口3aを閉鎖しているリッド10等を備えている。
ケース8は車体幅方向に延在した長函状のものである。
リッド10は、その長手方向両端側の車体後縁側がフード3の開口3aの後縁側にヒンジ11によって留め付けられており、エアバッグ5が膨張するときには該ヒンジ11を回動中心として第6図の矢印θ,θの通り後方側へ回動しながら開き出すよう構成されている。リッド10の前縁側はクリップ(図示略)によって開口3aの前縁部に対し留め付けられている。このクリップは、エアバッグ5に押されてリッド10が開放するときには、係止を解除するよう構成されている。
このように構成された歩行者用エアバッグ装置4を備えた自動車に対し歩行者等が衝突した場合、歩行者衝突検知センサ(図示略)の検知信号に基づいてインフレータ9が作動され、その噴出ガスによってエアバッグ5が膨張を開始する。膨張するエアバッグ5に押されてリッド10が開放し、第5図の通りエアバッグ5が車体外面に沿って展開する。
特開2005−280556号
上記第4図〜第6図のように、リッド10が弓形の平面視形状であり、リッド10の長手方向の両端側がヒンジ11によってフード3に留め付けられている場合、リッド10の長手方向両端側の前縁は第6図のθの通り比較的小さい回動半径となるが、リッド10の長手方向の中央付近は、第6図のθの通り、ヒンジ11を回動中心とした回動半径が大きい。このため、このリッド10の前縁の中央付近がウィンドシールド12に当り、ウィンドシールド12を損傷させるおそれがある。
本発明は、このように車体幅方向に延設されたケース内にエアバッグが収容され、該ケースが弓形平面視形状のリッドによって覆われ、該リッドの後縁がフード等にヒンジ留めされている歩行者用エアバッグ装置において、エアバッグ膨張時におけるリッド前縁のウィンドシールドへの当接を防止することができる歩行者用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
請求項1の歩行者用エアバッグ装置は、車体の少なくともフード後部の一部に沿って膨張するエアバッグと、該エアバッグを収容した車体幅方向に延在するケースと、該エアバッグを膨張させるためのインフレータと、該ケースの上方に配置されたリッドとを有した歩行者用エアバッグ装置であって、該リッドの後縁が車体に対しヒンジによって回動可能に連結されており、該リッドの後縁は、リッドの長手方向の両端側が車体後方側となるように湾曲している歩行者用エアバッグ装置において、少なくとも、該リッドの長手方向の両端側と該リッドの長手方向の中間付近とにそれぞれ前記ヒンジが設けられていることを特徴とするものである。
請求項2の歩行者用エアバッグ装置は、請求項1において、少なくとも一部の該ヒンジは、前記リッドの開放時に変形してリッドの開放を許容するものであることを特徴とするものである。
請求項3の歩行者用エアバッグ装置は、請求項1において、少なくとも一部の該ヒンジは、リッドの開放時に車体前方ないし上方にスライドすることによりリッドの開放を許容するものであることを特徴とするものである。
請求項4の歩行者用エアバッグ装置は、請求項3において、該ヒンジに長孔が設けられており、該長孔に挿通された留付具によって該ヒンジが車体にスライド可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
請求項5の歩行者用エアバッグ装置は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記リッドの後縁からリッド長手方向に間隔をおいて複数の突片状のヒンジが下方に突設されていることを特徴とするものである。
請求項6の歩行者用エアバッグ装置は、請求項5において、該ヒンジの側縁とリッド後縁との交叉隅部は、曲率半径が500mm以上の曲線形状となっていることを特徴とするものである。
本発明の歩行者用エアバッグ装置にあっては、リッド後縁の長手方向の両端側だけでなく、該長手方向の中間付近もヒンジによって車体に留め付けられているので、リッドが開放したときにリッドの長手方向中央付近の前縁の回動半径が小さなものとなる。これにより、リッドの前縁がウィンドシールドに当たることが防止されるようになる。
なお、リッドの後縁が湾曲しており、一直線状ではないので、該後縁に設けられた複数個のヒンジの回動軸心線方向は一直線状(同軸状)とならない。このため、請求項2のように、ヒンジを変形可能とするか、又は請求項3のようにスライド可能とし、リッドがスムーズに開放するよう構成するのが好ましい。
ヒンジをスライド可能とするためには、請求項4の通り、ヒンジに長孔が設けられており、該長孔に挿通された留付具によって該ヒンジが車体にスライド可能に取り付けられている構成とするのが好ましい。
本発明では、リッドの後縁に突片状のヒンジを下方に突設するのが好ましい。このようにすれば、ヒンジや、ヒンジを留め付けるボルト、リベット等がフード外面に露呈せず、美観が向上する。
この場合、ヒンジ側縁とリッド後縁の交差隅部を曲率半径の大きい(例えば500mm以上)曲線形状とすることが好ましい。これにより、リッド開放時にヒンジの付け根付近に生じる応力が分散される。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(a)は実施の形態に係る歩行者用エアバッグ装置のリッドの平面図、第1図(b)は第1図(a)のB−B線矢視図、第2図は第1図(b)のII部分の拡大図、第3図は第2図のIII−III線断面図である。
この実施の形態のリッド20は、前縁20f及び後縁20rが、いずれも、中央側ほど車体前方となるように弓形に湾曲した平面視形状のものである。このリッド20にあっては、後縁20rの長手方向両端側と長手方向中央の合計3箇所に突片状のヒンジ21が設けられている。このヒンジ21には、リベットやボルトなどの留付具を挿通させる孔21aが設けられている。
符号22は、前縁20f及び後縁20rに長手方向に間隔をあけて設けられたクリップ取付用台座部を示す。
このリッド20は、第2図の通り、フード3の開口3aを覆うように配置され、ヒンジ21がフード3側の突片3tにリベット、ボルト等によって固着される。この突片3tにも、孔21aと重なり合う位置関係にて孔(図示略)が設けられており、該突片3tの孔とヒンジ21の孔21aとにボルト又はリベット等を挿通させてヒンジ21と突片3tとを連結する。
リッド20の前縁21f及び後縁20rは、台座22に設けられたクリップ(図示略)を介してフード3の開口3aの縁部に係止される。
図示は省略するが、この開口3aの直下に前記第6図と同様にケース8が配置され、このケース8内にエアバッグ5及びインフレータ9が配置される。
このインフレータ9が作動すると、エアバッグ5が膨張し、この膨張するエアバッグ5に押されたリッド20がヒンジ21を回動中心として前記矢印θのように後方側へ回動して開き出す。
この実施の形態では、リッド20の後縁20rの長手方向両端側だけでなく長手方向中央もヒンジ21によって開口3aの縁部に留め付けられているので、リッド前縁20fの長手方向中央付近の回動半径も小さいものとなる。この結果、開放したリッド20がウィンドシールドに当ることを防止することが可能となる。
なお、第1図(a)の通り、3個のヒンジ21のうち長手方向中央のヒンジ21は、両端側のヒンジ21よりも前方に位置しており、リッド20が開放するときの各ヒンジの回動軸は同一直線上には位置しない。例えば、3個のヒンジ21のうち長手方向中央のヒンジ21は、両端側のヒンジ21,21同士を結ぶ直線よりも、一般的に10mm以上前方に位置している。そのため、リッド20が開放回動するときに、ヒンジ21の付根付近には大きな応力が生じる。そこで、この実施の形態では、第2図の通り、ヒンジ21の付根(ヒンジ21の側縁とリッド20の後縁20rとの交叉隅部)の曲率半径Rを例えば500〜3000mm程度と大きくし、ヒンジ付根付近に生じる応力を分散させるようにしている。これにより、ヒンジに要求される強度を緩和することができる。
なお、本発明では、ヒンジ21の孔21a及び突片3tの孔の少なくとも一方を前後方向ないし上下方向に長い長孔とし、リッド20の開放回動時にヒンジ21が突片3tに対しスライドして上方ないし前方へ移動しうるようにしてもよい。このように構成することによっても、ヒンジ21の付根付近の応力を緩和することができる。
上記実施の形態では3個のヒンジ21を設けているが、それよりも多数のヒンジを設けてもよい。
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。
例えば、車体幅方向に離隔させて2以上のエアバッグを設置してもよい。
上記実施の形態では、リッドのヒンジは、フード3の開口3aの突片3tに留め付けられているが、ケース8の後縁に留め付けられてもよい。即ち、リッドのヒンジを留め付ける車体はケースであってもよい。
第1図(a)は実施の形態に係る歩行者用エアバッグ装置のリッドの平面図、第1図(b)は第1図(a)のB−B線矢視図である。 第1図(b)のII部分の拡大図である。 第2図のIII−III線断面図である。 比較例に係る歩行者用エアバッグ装置を備えた自動車の斜視図である。 エアバッグ膨張時の図4の自動車の斜視図である。 図4のVI−VI線断面図である。
符号の説明
2 カウルトップ
3 ボンネットフード
3a 開口
3t 突片
4 歩行者用エアバッグ装置
5 エアバッグ
8 ケース
9 インフレータ
10,20 リッド
11,21 ヒンジ
12 ウィンドシールド
21a 孔

Claims (6)

  1. 車体の少なくともフード後部の一部に沿って膨張するエアバッグと、該エアバッグを収容した車体幅方向に延在するケースと、該エアバッグを膨張させるためのインフレータと、該ケースの上方に配置されたリッドとを有した歩行者用エアバッグ装置であって、
    該リッドの後縁が車体に対しヒンジによって回動可能に連結されており、
    該リッドの後縁は、リッドの長手方向の両端側が車体後方側となるように湾曲している歩行者用エアバッグ装置において、
    少なくとも、該リッドの長手方向の両端側と該リッドの長手方向の中間付近とにそれぞれ前記ヒンジが設けられていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  2. 請求項1において、少なくとも一部の該ヒンジは、前記リッドの開放時に変形してリッドの開放を許容するものであることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  3. 請求項1において、少なくとも一部の該ヒンジは、リッドの開放時に車体前方ないし上方にスライドすることによりリッドの開放を許容するものであることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  4. 請求項3において、該ヒンジに長孔が設けられており、
    該長孔に挿通された留付具によって該ヒンジが車体にスライド可能に取り付けられていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記リッドの後縁からリッド長手方向に間隔をおいて複数の突片状のヒンジが下方に突設されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  6. 請求項5において、該ヒンジの側縁とリッド後縁との交叉隅部は、曲率半径が500mm以上の曲線形状となっていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
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