JP2007306306A - 信号処理装置、電力量計測装置、信号処理装置の利得変更方法、及びプログラム - Google Patents

信号処理装置、電力量計測装置、信号処理装置の利得変更方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】AD変換の精度を向上する。
【解決手段】アナログ信号を第1利得又は第2利得(<前記第1利得)で増幅する可変増幅器と、前記可変増幅器からの増幅信号の値を所定周期でサンプリングするサンプリング部と、前記サンプリング部からのサンプリング値をアナログデジタル変換するAD変換器と、前記サンプリング部からの現在のサンプリング値と現在から所定期間前のサンプリング値とに基づいて、現在から所定期間後のサンプリング値を予測する予測部と、前記予測部が前記所定期間後のサンプリング値を予測したとき、前記所定期間後のサンプリング値と第1閾値とを比較する比較部と、前記可変増幅器の利得が前記第1利得であるときに、前記比較部の比較結果が、前記所定期間後のサンプリング値が前記第1閾値より小の状態から大となったことを示す場合、前記可変増幅器の利得を前記第1利得から前記第2利得へ変更する利得変更部と、を備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、信号処理装置、電力量計測装置、信号処理装置の利得変更方法、及びプログラムに関する。
例えば電子式の電力量計測装置には、電力量(アナログ信号)をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器(以下AD変換器とする)が使用されている。そして電力量計測装置では、AD変換器において電圧や電流のアナログ信号をデジタル値に変換し、このデジタル値の演算に基づいて電力量を計測するようになっている。
しかし、AD変換器でAD変換を行う際には、量子化による誤差(以下、量子化誤差とする)が発生する。この量子化誤差は、例えばAD変換におけるビット数、サンプリング周期、アナログ信号の入力レベルなどに依存する。例えば、AD変換器のビット数、サンプリング周期が固定である場合、アナログ信号の入力レベルに応じて量子化誤差が増減することになる。
そこで、AD変換器の前段に、利得の変更が可能な可変増幅器を設けて、アナログ信号の入力レベルに応じて可変増幅器の利得を変更する方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来の方式では、例えば2段階の利得(以下、第1利得、第2利得(<第1利得)とする)の変更が可能な可変増幅器をAD変換器の前段に設け、アナログ信号の入力レベルに応じて利得を変更していた。このように可変増幅器の利得を変更することにより、アナログ信号の幅広い入力レベルに対して量子化誤差を抑えることが可能となった。
なお、可変増幅器の利得の変更は、例えば、可変増幅器の利得が第1利得の状態においてAD変換器の出力ビットが全て「1」となることを検出することによって可変増幅器の利得を第1利得から第2利得へ変更していた。
特開2005−260449号公報
しかしながら、前述したように、AD変換器の出力ビットが全て「1」となることを検出してから利得を変更するようにした場合、この検出を行った時点では、本来のアナログ信号をAD変換した値がAD変換器から出力されていないことになる。すなわち、本来計測されるべきデータが欠落することになる。
また、逆に、可変増幅器の利得が第2利得の状態において、アナログ信号が減少する場合、可変増幅器の利得を第2利得のままとしてもよいが、第2利得から第1利得に変更すると、量子化誤差をより抑えることができる。例えば第2利得から第1利得へ変更するための閾値を設定しておき、AD変換器の出力が当該閾値より小さくなることに基づいて利得を第1利得に変更することができる。しかし、この場合には前記閾値となったことを検出した時点における量子化誤差は抑えられないことになる。
このように、従来、可変増幅器の利得を変更する際に、データの欠落や量子化誤差によって、AD変換の精度が悪化するという問題点があった。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、AD変換の精度を向上できる信号処理装置、電力量計測装置、信号処理装置の利得変更方法、及びプログラムを提供することにある。
前記課題を解決するための主たる発明は、信号処理装置において、アナログ信号を第1利得又は第2利得(<前記第1利得)で増幅する可変増幅器と、前記可変増幅器からの増幅信号の値を所定周期でサンプリングするサンプリング部と、前記サンプリング部からのサンプリング値をアナログデジタル変換するAD変換器と、前記サンプリング部からの現在のサンプリング値と現在から所定期間前のサンプリング値とに基づいて、現在から所定期間後のサンプリング値を予測する予測部と、前記予測部が前記所定期間後のサンプリング値を予測したとき、前記所定期間後のサンプリング値と第1閾値とを比較する比較部と、前記可変増幅器の利得が前記第1利得であるときに、前記比較部の比較結果が、前記所定期間後のサンプリング値が前記第1閾値より小の状態から大となったことを示す場合、前記可変増幅器の利得を前記第1利得から前記第2利得へ変更する利得変更部と、を備えたことを特徴とする。例えば第1閾値をAD変換器の出力ビットが全て「1」を示す値とする場合、AD変換器の出力ビットが全て「1」となることを予め予測することができる。この予測に基づいて可変増幅器の利得を第1利得から第2利得へ変更することによって、AD変換器の出力ビットが全て「1」となることによるデータの欠落を無くすことができるのでAD変換の精度を向上することができる。
また、かかる信号処理装置において、前記比較部は、前記所定期間後のサンプリング値と第2閾値とを比較し、前記利得変更部は、前記可変増幅器の利得が前記第2利得であるときに、前記比較部の比較結果が、前記所定期間後のサンプリング値が前記第2閾値より大の状態から小となったことを示す場合、前記可変増幅器の利得を前記第2利得から前記第1利得へ変更する、ことが好ましい。サンプリング値が第2閾値よりも小さくなることを予測し、この予測に基づいて可変増幅器の利得を第2利得から第1利得へ変更することによって、AD変換の精度を向上することができる。
また、かかる信号処理装置において、前記予測部は、前記AD変換器からの前記現在のサンプリング値に対応するデジタル値と、前記AD変換器からの前記所定期間前のサンプリング値に対応するデジタル値と、に基づいて、前記所定期間後のサンプリング値を予測する、ことが好ましい。サンプリング値に対応するデジタル値を用いて演算することによって、現在から所定期間後のサンプリング値を正確且つ容易に予測することができる。
また、かかる信号処理装置において、前記AD変換器からの前記サンプリング値に対応するデジタル値を記憶する記憶部、を備え、前記予測部は、前記記憶部から読み出される前記サンプリング値に対応するデジタル値に基づいて前記所定期間後のサンプリング値を予測する、ことが好ましい。各サンプリング値に対応するデジタル値を記憶部に記憶しておくことにより、現在のサンプリング値と現在から所定期間前のサンプリング値を用いた予測を行うことが可能となり、現在から所定期間後のサンプリング値をより正確に予測することができる。
また、かかる信号処理装置において、前記所定期間前のサンプリング値は、前記現在のサンプリング値に対して1サンプリング前の値であり、前記所定期間後のサンプリング値は、前記現在のサンプリング値に対して1サンプリング後の値である、こととしてもよい。現在のサンプリング値と現在から1サンプリング前の値とによって、例えば1次関数を用いた予測を行うことができる。1次関数を用いた予測では、2次関数を用いた予測に比べ、予測の演算を簡素化することができる。
また、かかる信号処理装置において、前記所定期間前のサンプリング値は、前記現在のサンプリング値に対して1サンプリング前及び2サンプリング前の値であり、前記所定期間後のサンプリング値は、前記現在のサンプリング値に対して1サンプリング後の値である、こととしてもよい。現在のサンプリング値と、前記現在のサンプリング値に対して1サンプリング前及び2サンプリング前の値とによって、例えば2次関数を用いた予測を行うことができる。2次関数を用いると、例えば、電力における電圧や電流のような正弦波形の予測を行う場合において、1次関数を用いた予測よりも、より正確にサンプリング値を予測することができる。
また、かかる信号処理装置において前記第1閾値と前記第2閾値とは、同一値であってもよい。第1閾値と第2閾値とを同一値にすることによって、可変増幅器の利得を変更する際の予測を簡素化することができる。
また、前記課題を解決するための発明は、上述した信号処理装置を備えた電力量計測装置であって、前記AD変換器は、電力量をデジタル値として出力する、ことを特徴とする。電力量の幅広いレンジで電力量の計測を高精度で行うことができる。
また、前記課題を解決するための発明は、アナログ信号を第1利得又は第2利得(<前記第1利得)で増幅する可変増幅器と、前記可変増幅器からの増幅信号の値を所定周期でサンプリングするサンプリング部と、前記サンプリング部からのサンプリング値をアナログデジタル変換するAD変換器と、を備え、前記可変増幅器の利得を変更する信号処理装置の利得変更方法であって、前記サンプリング部からの現在のサンプリング値と現在から所定期間前のサンプリング値とに基づいて、現在から所定期間後のサンプリング値を予測する手順と、前記所定期間後のサンプリング値が予測されたとき、前記所定期間後のサンプリング値と第1閾値とを比較する手順と、前記可変増幅器の利得が前記第1利得であるときに、前記所定期間後のサンプリング値が前記第1閾値より小の状態から大となった場合、前記可変増幅器の利得を前記第1利得から前記第2利得へ変更する手順と、を実行することを特徴とする。
また、かかる信号処理装置の利得変更方法において、前記所定期間後のサンプリング値が予測されたとき、前記所定期間後のサンプリング値と第2閾値とを比較する手順と、前記可変増幅器の利得が前記第2利得であるときに、前記所定期間後のサンプリング値が前記第2閾値より大の状態から小となった場合、前記可変増幅器の利得を前記第2利得から前記第1利得へ変更する手順と、を更に実行してもよい。
また、前記課題を解決するための発明は、アナログ信号を第1利得又は第2利得(<前記第1利得)で増幅する可変増幅器と、前記可変増幅器からの増幅信号の値を所定周期でサンプリングするサンプリング部と、前記サンプリング部からのサンプリング値をアナログデジタル変換するAD変換器と、を備えた信号処理装置を制御するコンピュータに、前記サンプリング部からの現在のサンプリング値と現在から所定期間前のサンプリング値とに基づいて、現在から所定期間後のサンプリング値を予測する手順と、前記所定期間後のサンプリング値が予測されたとき、前記所定期間後のサンプリング値と第1閾値とを比較する手順と、前記可変増幅器の利得が前記第1利得であるときに、前記所定期間後のサンプリング値が前記第1閾値より小の状態から大となった場合、前記可変増幅器の利得を前記第1利得から前記第2利得へ変更する手順と、を実行させるプログラムである。
また、かかるプログラムにおいて、前記コンピュータに、前記所定期間後のサンプリング値と第2閾値とを比較する手順と、前記可変増幅器の利得が前記第2利得であるときに、前記所定期間後のサンプリング値が前記第2閾値より大の状態から小となった場合、前記可変増幅器の利得を前記第2利得から前記第1利得へ変更する手順と、を更に実行させてもよい。
本発明によれば、AD変換の精度を向上することができる。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
なお、以下の本実施形態では、本発明の信号処理装置を電力量計測装置に適用した場合について説明する。
===電力量計測装置の構成===
図4を参照しつつ電力量計測装置の構成について説明する。図4は電力量計測装置の構成の一例を示すブロック図である。図4に示す電力量計測装置は、主として、信号処理装置100、110、乗算器120、積算器130、パルス発生器140、CPU150、表示ドライバ160、電力量表示部170を有している。
信号処理装置100は、アナログ信号の電圧vをデジタル値に変換して出力する。
信号処理装置110は、アナログ信号の電流iをデジタル値に変換して出力する。
乗算器120は、信号処理装置100の出力と、信号処理装置110の出力を乗算する。この乗算により、電力を示すデジタル値が求められる。なお、乗算器120は、信号処理装置100及び信号処理装置110から、後述するフラグが入力されるようになっている。そして、このフラグに基づいて、信号処理装置100の出力及び信号処理装置110の出力に対して所定の演算が行われる。
積算器130は、乗算器120からの電力を示すデジタル値を積算するとともに、その積算値が所定値を越えると、パルス発生器140に対してパルス1個の発生を指示する指示信号を出力し、且つ、前記積算値をリセットする(例えば全てのビットを「0」とする)。この動作を繰り返すことにより、積算値が所定値を越える毎に指示信号が出力される。
パルス発生器140は、積算器130から指示信号を受ける毎に1個のパルスを発生する。なお、積算器130において積算値が所定値に達するまでの時間は、乗算器120からの電力を示すデジタル値が大きいほど短くなるため、指示信号の出力頻度は、前記電力を示すデジタル値が大きいほど高くなる。これによって、電力量に応じたパルスがパルス発生器140から出力されることとなる。
CPU150は、内部に格納されているプログラムに従い、パルス発生回路140で発生するパルス数に基づく電力量の計測値を、表示ドライバ160を通じて電力量表示部170に表示させる。なお、CPU150に信号処理装置100の後述する予測部50における予測を実行させるプログラムを格納するようにしてもよい。
表示ドライバ160は、CPU150からの指示に基づいて電力量表示部170の表示を制御する。
電力量表示部170は、例えば液晶ディスプレイであり、パルス発生器140で発生するパルス数に基づく電力量の計測値をデジタル表示する。
次に信号処理装置100の構成について説明する。なお、信号処理装置110は信号処理装置110と同一構成とすることができる。よって、以下の説明では信号処理装置100のみについて説明し、信号処理回路110の説明を省略する。
===信号処理装置の構成===
図1を参照しつつ、本発明の実施形態に係る信号処理装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る信号処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す信号処理装置100は、主として可変増幅器10、サンプリング部20、発振回路30、AD変換器40、予測部50を有している。
可変増幅器10は、アナログ信号の電圧vを増幅した増幅信号を出力する。本実施形態では、可変増幅器10は、2段階の利得(第1利得、第2利得(<第1利得)とする)に変更が可能であることとする。
発振回路30は、所定周期で発振するクロックを発生する。なお、このクロックの周波数は、電圧vの商用電源周波数(例えば50Hz又は60Hz)よりも十分高い周波数(例えば数MHz)であることとする。
サンプリング部20は、発振回路30で発生するクロックの例えば立ち上がりに基づいて利得可変増幅器10からの増幅信号のサンプリングを行う。
AD変換器40は、サンプリング部20でサンプリングされたサンプリング値を、当該サンプリング値に対応したデジタル値に変換して出力する。
予測部50は、発振回路30で発生するクロックの例えば立ち上がりに同期してAD変換器40の出力を取り込む。そして、予測部50は、現在のサンプリング値と現在から所定期間(例えばクロック1周期分)前のサンプリング値とに基づいて、現在から所定期間(例えばクロック1周期分)後のサンプリング値を予測する。なお、予測部50は、記憶部60、比較部70、フラグ設定部80、及び利得変更部90を有している。
記憶部60は、例えば揮発性のメモリ(例えばSRAM)又は不揮発性のメモリ(例えばFLASHメモリ)であり、少なくとも、予測の演算に必要なサンプリング数に対応するAD変換器40の出力データを記憶するための複数のアドレス領域を有している。そして、記憶部60は、予測部50が取り込んだAD変換器40からのデジタル値を順次記憶していく。
フラグ設定部80は、後述する利得変更部90が可変増幅器10を第2利得に設定している場合にはフラグを立て(例えば「1」に設定する)、可変増幅器10を第1利得に設定している場合にはフラグを立てない(例えば「0」に設定する)。なお、このフラグは、例えば予測部50での予測、及び図4の乗算器120で乗算の演算を行う際に使用される。例えば、利得の変更前後において、フラグ0の場合のサンプリング値と、フラグ1の場合のサンプリング値とが連続した値となるように、フラグ1の場合には、AD変換器40の出力のデジタル値に、第2利得と第1利得の比に応じた重み付け(例えば1.5倍)の演算が行われるようになっている。
比較部70は、予測部50が所定期間後のサンプリング値を予測したとき、当該サンプリング値と、第1利得から第2利得への変更の閾値(以下、第1閾値とする)、又は第2利得から第1利得への変更の閾値(以下、第2閾値とする)を比較する。なお、第1閾値は、例えば可変増幅器10が第1利得の場合に、AD変換器40の出力ビットが全て「1」となるサンプリング値に相当する値である。また、第1閾値と第2閾値とは同一値であってもよい。同一値とすると、利得の変更に対する予測を簡素化することができ、また量子化誤差を抑えることができる。さらに、比較部70は現在のサンプリング値と、現在から所定期間(例えば1サンプリング)前のサンプリング値の大小比較をAD変換器40からのデジタル値を用いて行う。前述した第1閾値と第2閾値とはこの比較結果に基づいて選択される。例えば、現在のサンプリング値が、現在から所定期間前のサンプリング値よりも大である場合(サンプリング値が増加している期間)には第1閾値が選択され、現在のサンプリング値が、現在から所定期間前のサンプリング値よりも小である場合(サンプリング値が減少している期間)には第2閾値が選択される。
利得変更部90は、比較部70の比較結果とフラグとに基づいて、可変増幅器10の利得を第1利得又は第2利得に変更する。
===予測部の予測方法===
以下、予測部50での予測方法について説明する。本実施形態では、予測部50での予測にマクローリン展開を用いることとする。
マクローリン展開とは、関数f(x)のx=aにおけるテイラー展開
f(x)=f(a)+f’(a)(x−a)+1/2!f”(a)(x−a)
+・・・・・1/k!f(a)(x−a)+・・・
において、特にa=0としたときの級数
f(x)=f(0)+f’(0)x+1/2!f”(0)x
+・・・・・1/k!f(0)x+・・・・・
のことをいう。
サンプリング値を1次関数(f(x)=ax+b)で予測するとした場合、マクローリン展開の2次の項以降を無視するとf(x)は、
f(x)=f(0)+f’(0)x ………(1)
となる。なお、xはサンプリングの周期(発振回路30のクロックの周期)、f(x)はサンプリング値に相当する。
また、f(x)=ax+bより、f(−1)=−a+b、f(0)=bであるので、
a=b−f(−1)=f(0)−f(−1)
であり、さらに、f’(x)=aであるので(1)式より、
f(x)=f(0)+ax=f(0)+(f(0)−f(−1))x
となる。ここでx=1とすると、
f(1)=2f(0)−f(−1) ………(2)
となる。
(2)式において、f(0)を現在のサンプリング値、f(−1)を現在から所定期間(例えば1サンプリング)前の値とすることによって、現在から所定期間(例えば1サンプリング)後のサンプリング値の予測f(1)を算出することができる。(2)式よりx=nの場合、
f(n+1)=2f(n)−f(n−1) ………(3)
となる。本実施形態では、予測部50は(3)式に基づいて、現在から所定期間後のサンプリング値を予測することとする。
===予測部の動作===
以下、図2を参照しつつ、予測部50における動作について説明する。図2は、予測部50の動作を説明するためのフローチャートである。
なお、便宜上、x=n−1までのAD変換が終了し、それに対するf(n−1)までのサンプリング値に対応するAD変換器40の出力のデジタル値が記憶部60に記憶されている状態から説明を始めることとする。
また、可変増幅器10の利得には2段階の利得のうち大きい方の第1利得が設定され、フラグ設定部80でフラグ0が設定されていることとする(S101)。
予測部50は、x=nにおいて発振回路30のクロックの例えば立ち上がりに同期して(S102)、AD変換器40からサンプリング値f(n)に対応するデジタル値を取り込み、記憶部60に記憶する(S103)。
次に、予測部50は、記憶部60からf(n−1)に対応するデジタル値を読み出し(S104)、さらにf(n)に対応するデジタル値を読み出す(S105)。
そして、読み出したデジタル値に基づいてf(n−1)とf(n)との大小比較を行う(S106)。f(n−1)がf(n)より大である場合(S106:No)、n=n+1として(S107)再度ステップS102を実行する。
ステップS106において、f(n−1)がf(n)より小である場合(S106:Yes)、予測部50は、f(n+1)=2f(n)−f(n−1)の演算を行うことによってf(n+1)を算出し(S108)、算出されたf(n+1)と第1閾値との大小比較を行う(S109)。
予測部50で算出(予測)されたf(n+1)が、第1閾値以下であると判別された場合(S109:No)、予測部50はx=n+1のタイミングで実際のサンプリング値f(n+1)に対応するAD変換部40の出力のデジタル値を取り込み記憶部60に記憶する(S110)。そしてn=n+1とするステップS107を実行する。
ステップS109において、f(n+1)が第1閾値よりも大であると判別された場合(S109:Yes)、予測部50の利得変更部90は、可変増幅器10の利得を第1利得から、第1利得よりも利得の小さい第2利得に変更する。また、これに伴いフラグ設定部80はフラグを1に設定する(S111)。
予測部50は、x=mにおける発振回路30のクロックの例えば立ち上がりに同期して(S112)、サンプリング値f(m)に対応するAD変換器40のデジタル値を取り込み、記憶部60に記憶する(S113)。
次に、予測部50は、記憶部60に記憶されたf(m−1)に対応するデジタル値を当該記憶部60から読み出し(S114)、さらにf(m)に対応するデジタル値を読み出す(S115)。
そして、読み出したデジタル値に基づいてf(m−1)とf(m)との大小比較を行う(S116)。f(m−1)がf(m)より小である場合(S116:No)、m=m+1として(S117)再度ステップS112を実行する。
ステップS116において、f(m−1)がf(m)より大である場合(S106:Yes)、予測部50は、f(m+1)=2f(m)−f(m−1)の演算を行うことによってf(m+1)を算出し(S118)、算出されたf(m+1)と、第2閾値との大小比較を行う(S119)。
予測部50で算出(予測)されたf(m+1)が、第2閾値以上であると判別されると(S119:No)、予測部50はx=m+1のタイミングでの実際のサンプリング値f(m+1)に対応するAD変換部40出力を取り込み記憶部60に記憶する(S120)。そしてm=m+1とするステップS118を再度実行する。
ステップS119において、予測されたf(m+1)が第2閾値よりも小であると判別された場合(S119:Yes)、予測部50の利得変更部90は、可変増幅器10の利得を第2利得から、第1利得とするステップS101を再度実行する。また、これに伴いフラグ設定部80はフラグを0に設定する。
図3は予測部50の予測の動作を説明するための図である。図3に示すxは時間を示し、f(x)はサンプリング値を示している。なお、図3において、第1閾値と第2閾値は同一値であることとする。
本発明の信号処理装置100では、図3に示す、f(n−1)、f(n)から、f(n+1)が第1閾値より大となることをx=nの時点で予測することができる。よってx=n+1となるまでに第1利得から第2利得に変更することで、AD変換器40の出力ビットが全て「1」となることによるデータの欠落を無くすことができる。また、同様にx=mの時点でf(m+1)が第2閾値より小となることを予測することができる。よってx=m+1となるまでに第2利得から第1利得へ変更することによって、第2利得のままとする場合よりも量子化誤差を抑えることができる。
このように、本発明の信号処理装置100では、現在のサンプリング値、及び現在から所定期間前のサンプリング値に基づいて、現在から所定期間後のサンプリング値を予測することができるので、可変増幅器10の利得の切り替えにおけるAD変換の精度を向上することができる。
なお、本実施形態では、予測部50は1次関数(f(x)=ax+b)を用いた予測を行うこととしたが、2次関数(f(x)=ax+bx+c)、あるいは、三角関数(f(x)=asin(bx+c))を用いた予測を行うようにしてもよい。
例えば2次関数(f(x)=ax+bx+c)で予測する場合、前述したマクローリン展開の式の3次の項以降を無視すると、
f(x)=f(0)+f’(0)x+1/2f”(0)x ………(4)
となる。
f(0)=c、f(−1)=a−b+c、f(−2)=4a−2b+c
であるので、これらよりa、bを求めると、
a=1/2f(0)−f(−1)+1/2f(−2)
b=3/2f(0)−2f(−1)+1/2f(−2)
となり、f’(x)=2ax+bよりf’(0)=b、f”(0)=2aであるので、
f(x)=f(0)+1/2(3f(0)−4f(−1)+f(−2))x
+1/2(f(0)−2f(−1)+f(−2))x
となる。ここで、x=1を代入して、
f(1)=3f(0)−3f(−1)+f(−2)
となる。x=nの場合、
f(n+1)=3f(n)−3f(n−1)+f(n−2)となる。よってf(n)、f(n−1)、f(n−2)の値から、f(n+1)を予測することができる。
このように、2次関数、三角関数を使用すると、例えば電力のような正弦波形の場合、1次関数で予測するより、さらに正確に予測を行うことが可能となる。一方、1次関数で予測する場合には、2次関数、三角関数で予測する場合よりも予測値の算出の演算を容易に行うことができる。
===その他の実施形態===
前述した実施形態では、予測部50はAD変換器40からのデジタル値に基づいてサンプリング値の予測を行うこととしたが、例えばAD変換器40の前段に、コンデンサと、サンプリング部20のサンプリング値の増加に応じてコンデンサを充電し、サンプリング値の減少に応じてコンデンサを放電する充放電回路とを設け、当該コンデンサにて保持される電圧値(アナログ値)と、第1閾値又は第2閾値に対応する基準電圧との大小比較を行うことによって予測を行うようにしてもよい。
また、第1利得(フラグ0)から第2利得(フラグ1)への第1閾値となる場合だけを予測するようにしてもよい。その場合、第2利得から第1利得への変更は、例えば、比較部70において、前述したサンプリング値f(n)がサンプリング値f(n−1)より大となることを検出することによって変更するようにしてもよい。
また、本実施形態では現在から1サンプリング後のサンプリング値f(n+1)を予測することとしたが、現在から2サンプリング後のサンプリング値f(n+2)以後を予測するようにしてもよい。
なお、本実施形態では信号処理装置100を電力量計測装置に適用した場合について説明したが、本発明の信号処理装置100は、電力量計測装置以外にもAD変換を行う様々な装置に適用することができる。
以上説明したように、本発明の信号処理装置は、現在のサンプリング値f(n)と、現在から所定期間前のサンプリング値f(n−1)とに基づいて、現在から所定期間後のサンプリング値f(n+1)を予測することができるので、この予測に基づいて可変増幅器10の利得を変更することによってAD変換の精度を向上することができる。
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されるとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
本発明の実施形態に係る信号処理装置の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施形態に係る信号処理装置の予測部の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施形態に係る信号処理装置の予測部の動作を説明するための波形図である。 本発明の実施形態に係る信号処理装置を適用した電力量計測装置の構成の一例を示すブロック図である。
符号の説明
10 可変増幅器 20 サンプリング部
30 発振回路 40 AD変換器
50 予測部 60 記憶部
70 比較部 80 フラグ設定部
90 利得変更部 100、110 信号処理装置
120 乗算器 130 積算器
140 パルス発生器 150 CPU
160 表示ドライバ 170 電力量表示部

Claims (12)

  1. アナログ信号を第1利得又は第2利得(<前記第1利得)で増幅する可変増幅器と、
    前記可変増幅器からの増幅信号の値を所定周期でサンプリングするサンプリング部と、
    前記サンプリング部からのサンプリング値をアナログデジタル変換するAD変換器と、
    前記サンプリング部からの現在のサンプリング値と現在から所定期間前のサンプリング値とに基づいて、現在から所定期間後のサンプリング値を予測する予測部と、
    前記予測部が前記所定期間後のサンプリング値を予測したとき、前記所定期間後のサンプリング値と第1閾値とを比較する比較部と、
    前記可変増幅器の利得が前記第1利得であるときに、前記比較部の比較結果が、前記所定期間後のサンプリング値が前記第1閾値より小の状態から大となったことを示す場合、前記可変増幅器の利得を前記第1利得から前記第2利得へ変更する利得変更部と、
    を備えたことを特徴とする信号処理装置。
  2. 前記比較部は、前記所定期間後のサンプリング値と第2閾値とを比較し、
    前記利得変更部は、前記可変増幅器の利得が前記第2利得であるときに、前記比較部の比較結果が、前記所定期間後のサンプリング値が前記第2閾値より大の状態から小となったことを示す場合、前記可変増幅器の利得を前記第2利得から前記第1利得へ変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 前記予測部は、前記AD変換器からの前記現在のサンプリング値に対応するデジタル値と、前記AD変換器からの前記所定期間前のサンプリング値に対応するデジタル値と、に基づいて、前記所定期間後のサンプリング値を予測する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の信号処理装置。
  4. 前記AD変換器からの前記サンプリング値に対応するデジタル値を記憶する記憶部、を備え、
    前記予測部は、前記記憶部から読み出される前記サンプリング値に対応するデジタル値に基づいて前記所定期間後のサンプリング値を予測する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の信号処理装置。
  5. 前記所定期間前のサンプリング値は、前記現在のサンプリング値に対して1サンプリング前の値であり、
    前記所定期間後のサンプリング値は、前記現在のサンプリング値に対して1サンプリング後の値である、
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の信号処理装置。
  6. 前記所定期間前のサンプリング値は、前記現在のサンプリング値に対して1サンプリング前及び2サンプリング前の値であり、
    前記所定期間後のサンプリング値は、前記現在のサンプリング値に対して1サンプリング後の値である、
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の信号処理装置。
  7. 前記第1閾値と前記第2閾値とは、同一値である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の信号処理装置を備え、
    前記AD変換器は、電力量をデジタル値として出力する、
    ことを特徴とする電力量計測装置。
  9. アナログ信号を第1利得又は第2利得(<前記第1利得)で増幅する可変増幅器と、前記可変増幅器からの増幅信号の値を所定周期でサンプリングするサンプリング部と、前記サンプリング部からのサンプリング値をアナログデジタル変換するAD変換器と、を備え、前記可変増幅器の利得を変更する信号処理装置の利得変更方法であって、
    前記サンプリング部からの現在のサンプリング値と現在から所定期間前のサンプリング値とに基づいて、現在から所定期間後のサンプリング値を予測する手順と、
    前記所定期間後のサンプリング値が予測されたとき、前記所定期間後のサンプリング値と第1閾値とを比較する手順と、
    前記可変増幅器の利得が前記第1利得であるときに、前記所定期間後のサンプリング値が前記第1閾値より小の状態から大となった場合、前記可変増幅器の利得を前記第1利得から前記第2利得へ変更する手順と、
    を実行することを特徴とする信号処理装置の利得変更方法。
  10. 前記所定期間後のサンプリング値が予測されたとき、前記所定期間後のサンプリング値と第2閾値とを比較する手順と、
    前記可変増幅器の利得が前記第2利得であるときに、前記所定期間後のサンプリング値が前記第2閾値より大の状態から小となった場合、前記可変増幅器の利得を前記第2利得から前記第1利得へ変更する手順と、
    を更に実行することを特徴とする請求項9に記載の信号処理装置の利得変更方法。
  11. アナログ信号を第1利得又は第2利得(<前記第1利得)で増幅する可変増幅器と、前記可変増幅器からの増幅信号の値を所定周期でサンプリングするサンプリング部と、前記サンプリング部からのサンプリング値をアナログデジタル変換するAD変換器と、を備えた信号処理装置を制御するコンピュータに、
    前記サンプリング部からの現在のサンプリング値と現在から所定期間前のサンプリング値とに基づいて、現在から所定期間後のサンプリング値を予測する手順と、
    前記所定期間後のサンプリング値が予測されたとき、前記所定期間後のサンプリング値と第1閾値とを比較する手順と、
    前記可変増幅器の利得が前記第1利得であるときに、前記所定期間後のサンプリング値が前記第1閾値より小の状態から大となった場合、前記可変増幅器の利得を前記第1利得から前記第2利得へ変更する手順と、
    を実行させるプログラム。
  12. 前記コンピュータに、
    前記所定期間後のサンプリング値と第2閾値とを比較する手順と、
    前記可変増幅器の利得が前記第2利得であるときに、前記所定期間後のサンプリング値が前記第2閾値より大の状態から小となった場合、前記可変増幅器の利得を前記第2利得から前記第1利得へ変更する手順と、
    を更に実行させる請求項11に記載のプログラム。

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