JP2007305389A - 高圧耐火ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高圧耐火ケーブルCは、導体1上に、耐火層、絶縁体4、半導電層5、金属遮へい層6およびシース7を順次設けることで構成されている。そして、前記耐火層は、導体1上にガラスマイカテープ2を巻回し、その上にフィルムマイカテープ3を巻回した構成となっている。
【選択図】図1
Description
また、本発明は、導体上に、耐火層、絶縁体、半導電層、金属遮へい層およびシースを順次設けた高圧耐火ケーブルの製造方法において、前記導体上に、ガラスマイカテープを巻回し、その上にフィルムマイカテープを巻回するテープ巻回工程と、前記絶縁体を押出し被覆する押出し工程とを有することを特徴とする。
フィルムマイカテープ3は、天然マイカをポリエチレンフィルムに貼付して形成されるテープであり、そのマイカ面を導体1側に向けた状態で前記ガラスマイカテープ2上に3層に重ね巻きされることによって、3層のガラスマイカテープ2とともに耐火層を形成するようになっている。
なお、このフィルムマイカテープ3上には、図示しない押えテープとして機能するPET(ポリエチレンテレフタレート)テープが重ね巻きされるようになっている。
金属遮へい層6は、半導電層5の外側に形成されており、例えば、Cu(銅)テープなどを横巻きすることにより形成されている。
導体1上に、ガラスマイカテープ2、フィルムマイカテープ3の順でこれらを巻回したことにより、後記する実施例で詳述するようにガラスマイカテープ2で発生するボイドの絶縁体4側への移動がフィルムマイカテープ3で塞き止められると予想される。そのため、絶縁体4の押出し速度を通常の速度とすることによってガラスマイカテープ2からボイドが発生したとしても、そのボイドはフィルムマイカテープ3で塞き止められることとなるので、絶縁体4の押出し速度を遅くすることなく耐火層と絶縁体4との界面におけるボイドの発生を防止することができる。
前記実施形態では、ガラスマイカテープ2、フィルムマイカテープ3をそれぞれ3層に重ね巻きする構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば1層であってもよく、また、3層以外の複数層であってもよい。
断面積38mm2の導体1の上に、厚さ0.18mmのガラスマイカテープ2の合成マイカ面を導体1側にして、1/2重ね巻きし、さらに、このガラスマイカテープ2を3層重ね巻きした後、厚さ0.13mmのフィルムマイカテープ3の天然マイカ面を内側(導体1側)にして、1/2重ね巻きし、さらに、このフィルムマイカテープ3を3層重ね巻きすることにより耐火層を形成する(テープ巻回工程)。この耐火層の上に、図示しない押えテープ(厚さ0.038mmのPETテープ)を1/2重ね巻きで巻き付けた後、ポリエチレン樹脂を押出し厚さ4.0mmで押出し成形することで、絶縁体4(絶縁層)を形成して絶縁線心を構成する。ここで、押出し被覆速度は、22m/minとした。また、この絶縁線心の外周に、厚さ0.25mmの半導電性テープおよび厚さ約0.1mmのCuテープを横巻きして半導電層5および金属遮へい層6を形成し、金属遮へい層6の外周に厚さ2.3mmのポリエチレン樹脂からなるシース7を押出し被覆して(押出し工程)、高圧耐火ケーブルCを得た。さらに、この高圧耐火ケーブルCを3本撚り合わせたものを用意した。
実施例2では、前記した実施例1の条件の一部、詳しくは、導体1の断面積を150mm2、フィルムマイカテープ3の厚さを0.15mm、シース7の厚さを2.8mmに代えた。そして、これ以外の条件は、前記した実施例1と同条件で高圧耐火ケーブルCを製造した。具体的には、以下の通りである。
断面積150mm2の導体1の上に、厚さ0.18mmのガラスマイカテープ2の合成マイカ面を導体1側にして、1/2重ね巻きし、さらに、このガラスマイカテープ2を3層重ね巻きした後、厚さ0.15mmのフィルムマイカテープ3の天然マイカ面を内側(導体1側)にして、1/2重ね巻きし、さらに、このフィルムマイカテープ3を3層重ね巻きすることにより耐火層を形成する。この耐火層の上に、図示しない押えテープ(厚さ0.038mmのPETテープ)を1/2重ね巻きした後、ポリエチレン樹脂を押出し厚さ4.0mmで押出し成形することで、絶縁体4(絶縁層)を形成して絶縁線心を構成する。ここで、押出し被覆速度は、22m/minとした。また、この絶縁線心の外周に、厚さ0.25mmの半導電性テープおよび厚さ約0.1mmのCuテープを横巻きして半導電層5および金属遮へい層6を形成し、金属遮へい層6の外周に厚さ2.8mmのポリエチレン樹脂からなるシース7を押出し被覆して、高圧耐火ケーブルCを得た。さらに、この高圧耐火ケーブルCを3本撚り合わせたものを用意した。
比較例1では、前記した実施例1のように二種類のテープ2,3を導体1上に合計6層重ね巻きする構成ではなく、厚さ0.13mmのガラスマイカテープ2と厚さ0.18mmのガラスマイカテープ2を内側から順に3層ずつ重ね巻きすることで、ガラスマイカテープ2を合計6層重ね巻きする構成とした。そして、これ以外の条件は、前記した実施例1と同条件で高圧耐火ケーブルCを製造した。具体的には、以下の通りである。
断面積38mm2の導体1の上に、厚さ0.13mmのガラスマイカテープ2の合成マイカ面を導体1側にして、1/2重ね巻きし、さらに、このガラスマイカテープ2を3層重ね巻きした後、厚さ0.18mmのガラスマイカテープ2の合成マイカ面を内側(導体1側)にして、1/2重ね巻きし、さらに、このガラスマイカテープ2を3層重ね巻きすることにより耐火層を形成する。この耐火層の上に、図示しない押えテープ(厚さ0.07mmのPETテープ)を1/2重ね巻きした後、ポリエチレン樹脂を押出し厚さ4.0mmで押出し成形することで、絶縁体4(絶縁層)を形成して絶縁線心を構成する。ここで、押出し被覆速度は、15m/minとした。また、この絶縁線心の外周に、厚さ0.25mmの半導電性テープおよび厚さ約0.1mmのCuテープを横巻きして半導電層5および金属遮へい層6を形成し、金属遮へい層6の外周に厚さ2.3mmのポリエチレン樹脂からなるシース7を押出し被覆して、高圧耐火ケーブルCを得た。さらに、この高圧耐火ケーブルCを3本撚り合わせたものを用意した。
比較例2では、前記した実施例1の構成のうち、ガラスマイカテープ2とフィルムマイカテープ3の巻く順序を逆にすることによって、導体1上にフィルムマイカテープ3が3層重ね巻きされ、その上にガラスマイカテープ2が3層重ね巻きされた構成とした。そして、これ以外の条件は、前記した実施例1と同条件で高圧耐火ケーブルCを製造した。具体的には、以下の通りである。
断面積38mm2の導体1の上に、厚さ0.13mmのフィルムマイカテープ3の天然マイカ面を導体1側にして、1/2重ね巻きし、さらに、このフィルムマイカテープ3を3層重ね巻きした後、厚さ0.18mmのガラスマイカテープ2の合成マイカ面を内側(導体1側)にして、1/2重ね巻きし、さらに、このガラスマイカテープ2を3層重ね巻きすることにより耐火層を形成する。この耐火層の上に、図示しない押えテープ(厚さ0.038mmのPETテープ)を1/2重ね巻きで巻き付けた後、ポリエチレン樹脂を押出し厚さ4.0mmで押出し成形することで、絶縁体4(絶縁層)を形成して絶縁線心を構成する。ここで、押出し被覆速度は、6m/minとした。また、この絶縁線心の外周に、厚さ0.25mmの半導電性テープおよび厚さ約0.1mmのCuテープを横巻きして半導電層5および金属遮へい層6を形成し、金属遮へい層6の外周に厚さ2.3mmのポリエチレン樹脂からなるシース7を押出し被覆して(押出し工程)、高圧耐火ケーブルCを得た。さらに、この高圧耐火ケーブルCを3本撚り合わせたものを用意した。
比較例3では、前記した実施例1のように二種類のテープ2,3を導体1上に合計6層重ね巻きさせる構成ではなく、厚さ0.13mmのフィルムマイカテープ3のみを導体1上に6層重ね巻きさせる構成とした。そして、これ以外の条件は、前記した実施例1と同条件で高圧耐火ケーブルCを製造した。具体的には、以下の通りである。
断面積38mm2の導体1の上に、厚さ0.13mmのフィルムマイカテープ3の天然マイカ面を導体1側にして、1/2重ね巻きし、さらに、このフィルムマイカテープ3を6層重ね巻きすることにより耐火層を形成する。この耐火層の上に、図示しない押えテープ(厚さ0.038mmのPETテープ)を1/2重ね巻きで巻き付けた後、ポリエチレン樹脂を押出し厚さ4.0mmで押出し成形することで、絶縁体4(絶縁層)を形成して絶縁線心を構成する。ここで、押出し被覆速度は、15m/minとした。また、この絶縁線心の外周に、厚さ0.25mmの半導電性テープおよび厚さ約0.1mmのCuテープを横巻きして半導電層5および金属遮へい層6を形成し、金属遮へい層6の外周に厚さ2.3mmのポリエチレン樹脂からなるシース7を押出し被覆して、高圧耐火ケーブルCを得た。さらに、この高圧耐火ケーブルCを3本撚り合わせたものを用意した。
比較例4では、前記した比較例3の条件の一部、詳しくは、フィルムマイカテープ3の厚さを0.15mmとし、その他の条件を比較例3と同様にした。具体的には、以下の通りである。
断面積38mm2の導体1の上に、厚さ0.15mmのフィルムマイカテープ3の天然マイカ面を導体1側にして、1/2重ね巻きし、さらに、このフィルムマイカテープ3を6層重ね巻きすることにより耐火層を形成する。この耐火層の上に、図示しない押えテープ(厚さ0.038mmのPETテープ)を1/2重ね巻きで巻き付けた後、ポリエチレン樹脂を押出し厚さ4.0mmで押出し成形することで、絶縁体4(絶縁層)を形成して絶縁線心を構成する。ここで、押出し被覆速度は、15m/minとした。また、この絶縁線心の外周に、厚さ0.25mmの半導電性テープおよび厚さ約0.1mmのCuテープを横巻きして半導電層5および金属遮へい層6を形成し、金属遮へい層6の外周に厚さ2.3mmのポリエチレン樹脂からなるシース7を押出し被覆して、高圧耐火ケーブルCを得た。さらに、この高圧耐火ケーブルCを3本撚り合わせたものを用意した。
表1中、「絶縁抵抗」は、線心が単心のものにあっては導体と遮へいとの間の絶縁抵抗を、線心が2心以上のものにあっては各線心ごとに導体と遮へいとの間の絶縁抵抗をそれぞれ測定した抵抗値である。
絶縁抵抗については、いずれも規格の絶縁抵抗値(1.0MΩ以上)を満足しているが、各例を比較すると、比較例1〜比較例4の絶縁抵抗値がそれぞれ15MΩ,7.0MΩ,1.3MΩ,1.0MΩであるのに対し、実施例1が40MΩ、実施例2が65MΩであることから、実施例1,2が比較例1〜4よりも遥かに優れた特性を有していることが分かった。特に、実施例1と比較例2を比べると、ガラスマイカテープ2とフィルムマイカテープ3を巻く順序を入れ替えるだけで、絶縁抵抗値が飛躍的に向上することが確認された。
加熱中における耐電圧試験では、高圧耐火ケーブルCを加熱炉内に配置して加熱開始時から加熱終了時(30分加熱して炉内温度が840℃となったとき)まで、導体1と固定線間に4400Vの交流電圧を継続して印加したときに絶縁状態を維持できるかを測定している。また、加熱後における耐電圧試験では、加熱に利用していたバーナーの火を消した後に、導体1と固定線間に7600Vの交流電圧を10分間印加することで、絶縁破壊を起こしていないか否かを観察している。
加熱中の耐電圧試験においては、各例全ての高圧耐火ケーブルCにおいて、良好なデータが得られた。一方、加熱後の耐電圧試験では、実施例1,2および比較例1〜3のいずれも良好であるが、比較例4については、6000Vの交流電圧を印加した時点で絶縁破壊を起こしてしまったことから、実施例1,2の方が比較例4よりも優れていることが分かった。
絶縁体4の内面(耐火層と絶縁体との界面)のボイドの確認方法は、各例に係る高圧耐火ケーブルCの中心部分に位置する耐火層(テープ2,3)および押えテープを取り除き、絶縁体4の内面におけるボイドの発生状況を観察した。
実施例1,2および比較例2〜4の高圧耐火ケーブルCについては、問題の無い軽微な空隙が確認される程度であるのに対し、比較例1の高圧耐火ケーブルCについては、局部的に目立つ空隙(ボイド)が認められた。
この空隙の原因は、ガラスマイカテープ2のガラスクロスに含まれる気体が、絶縁体4の押出し時の熱によって膨張し、耐火層と絶縁層との界面に浮上することと、ガラスマイカテープ2に含まれる接着剤が製造時の熱によりガスを発生することに起因しているものと思料される。このため、比較例1の高圧耐火ケーブルCについては、局部的なボイドが発見されたものと思料される。
これに対し、実施例1,2の高圧耐火ケーブルCにおいて、ガラスマイカテープ2を使用しているにもかかわらず、局部的なボイドが確認されなかったのは、内部におけるガラスクロス内の気体および接着剤から発生したガスが、外側に位置するフィルムマイカテープ3によってあたかも密封されたかのように作用した結果、局部的なボイドの発生を防いだものと思料される。
なお、比較例2においては、ボイドは発生しなかったが、生産性が悪く、製造コストに影響を与えてしまうことがわかった。
前記した実施例1と比較例1について、ボイドの発生と押出し被膜速度の関係について調べた。具体的には、実施例1における押出し被膜速度を22m/minとし、比較例1における押出し被膜速度を15m/minとして、それぞれの絶縁体4の内面を観察した。ここで、以下の説明においては、押出し被膜速度を変更した実施例1を実施例1’とし、押出し被膜速度を変更した比較例1を比較例1’として説明することとする。その結果、実施例1’の高圧耐火ケーブルCについては、絶縁体4の内面全体に、PETテープの巻き跡が残る程度の凹凸が見られる程度であるのに対し、比較例1’の高圧耐火ケーブルCについては、厚さ4.0mmの絶縁体4の中で局部的に厚さ3.32mmまで薄くなった凹部が発見された。
したがって、実施例1’によれば、押出し被膜速度22m/minでポリエチレン樹脂を押出したとしてもボイドが発見されないのに対し、比較例1’では、押出し被膜速度15m/minでポリエチレン樹脂を押出したとしてもボイドが発見されてしまうことから、実施例1’の構成の方がより高速押出しに適したものであり、生産性の点で良好であることが確認された。なお、押出し被膜速度は、生産性を考慮すると、20m/min以上に設定するのが望ましい。
2 ガラスマイカテープ
3 フィルムマイカテープ
4 絶縁体
5 半導電層
6 金属遮へい層
7 シース
12 耐火層
13 ボイド
C 高圧耐火ケーブル
Claims (8)
- 導体上に、耐火層、絶縁体、半導電層、金属遮へい層およびシースを順次設けた高圧耐火ケーブルにおいて、
前記耐火層が、前記導体上にガラスマイカテープを巻回し、その上にフィルムマイカテープを巻回した構成であることを特徴とする高圧耐火ケーブル。 - 前記フィルムマイカテープは、天然マイカをポリエチレンフィルムに貼付したテープであり、前記ガラスマイカテープは、合成マイカをガラスクロスに貼付したテープであることを特徴とする請求項1に記載の高圧耐火ケーブル。
- 前記フィルムマイカテープおよび前記ガラスマイカテープは、それぞれマイカ面を前記導体側に向けて巻回されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高圧耐火ケーブル。
- 前記フィルムマイカテープおよび前記ガラスマイカテープは、それぞれ複数層に巻回されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載の高圧耐火ケーブル。
- 導体上に、耐火層、絶縁体、半導電層、金属遮へい層およびシースを順次設けた高圧耐火ケーブルの製造方法において、
前記導体上に、ガラスマイカテープを巻回し、その上にフィルムマイカテープを巻回するテープ巻回工程と、
前記絶縁体を押出し被覆する押出し工程とを有することを特徴とする高圧耐火ケーブルの製造方法。 - 前記絶縁体の押出し被覆速度は、20m/min以上であることを特徴とする請求項5に記載の高圧耐火ケーブルの製造方法。
- 前記ガラスマイカテープおよび前記フィルムマイカテープを、それぞれ複数層に巻回することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の高圧耐火ケーブルの製造方法。
- 前記フィルムマイカテープを、天然マイカをポリエチレンフィルムに貼付したテープとし、前記ガラスマイカテープを、合成マイカをガラスクロスに貼付したテープとしたことを特徴とする請求項5乃至請求項7のうち何れか1項に記載の高圧耐火ケーブルの製造方法。
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