JP2007303040A - インナーウェア - Google Patents

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Abstract

【課題】 大腿部を脚部の周方向に締め付けることなく膝関節動作を支援することができるインナーウェアを提供する。
【解決手段】 強締付領域5は、レッグ部3において、レッグ3bを中心とした着用者の膝蓋骨に対応する部分を覆う第1の領域8を含み、第1の領域8から太股3aおよびアンクル3cにかけてレッグ部3の長さ方向Lにそれぞれ延在し、着用者の脚部の長さ方向Lにおける伸縮抵抗が、脚部の幅方向Hにおける伸縮抵抗と比較して大きく、着用者の膝蓋骨に対して大腿部側および下腿部側における係止部6でそれぞれ係止されている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、着用者の日常動作を支援することのできるインナーウェアに関するものであり、特に、着用者の椅座位から立位へ移る動作(以下、「立つ」と称す)を支援するテーピング機能を具備するインナーウェアに関するものである。
従来のスポーツ用衣服においては、伸縮性を有する素材からなるロングタイツであって、膝関節の直下の線を境界線として大腿部を構成する素材よりも下腿部を構成する素材を緊迫力が高くすることにより、大腿部より下腿部の衣服圧が高くなるようにする(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の脚部を有する衣類においては、パンティストッキングであって、下腿部は足長方向に緊締力が異なる3つの輪状の部位からなり、大腿部は足長方向に緊締力が異なる2つの輪状の部位からなるため、全体として足部以外の脚部は緊締力が異なる5つの輪状の部位からなる(例えば、特許文献2参照)。
また、従来のタイツにおいては、腹部や臀部、脚部などの各部位に対応して最適な編組織や糸使いを採用してパンティ部の保温性やゆったり感など優れた着脱性や着用感が得られるようにしたものである(例えば、特許文献3参照)。
また、従来のテーピング機能タイツにおいては、膝部位置の下側で、前身頃、脛部材、脇側部材および内側部材が一つの縫合点に逢着ラインが集合し、両側からハードな伸縮強度を持った脇側部材と内側部材の両山形側端が連結されているため、着用者の膝を下側から高伸縮作用を持って支える構造になる(例えば、特許文献4参照)。
また、従来の運動用スパッツにおいては、運動に必要な筋肉のサポートの要求に応じて、所定部分に比較的締結力の強い部分とそれ以外の比較的締結力の弱い部分がパターン状に設けられており、比較的締結力の強い部分が、カットボス編手法によって形成された部分である(例えば、特許文献5参照)。
また、従来の運動支援タイツにおいては、着用者の腰から大腿外側、下腿内側に延びる帯状の第3の領域は、第1領域および第2領域と同等またはそれ以下の締め付け力を有する。一方、着用者の大腿内側から下腿外側に伸び、着用者の膝の上部で第3領域と交差する帯状の第4領域は、第1領域、第2領域および第3領域より締め付け力が弱いが、その他の領域(弱領域)より締め付け力を強くする(例えば、特許文献6参照)。
特開平10−130915号公報(第3頁−第4頁、図3、図4) 特開2000−290806号公報(第3頁−第4頁、図2) 特開2004−346434号公報(第4頁−第7頁、図1−図3) 特開平11−12814号公報(第3頁−第5頁、図1、図3) 特開2001−214303号公報(第9頁−第15頁、図12−図49) 特開2004−238789号公報(第4頁−第5頁、図1−図4)
従来のパンティストッキングおよびタイツは、優れた着脱性や着用感を求めたものであり、膝関節動作を支援するものではなかった。
また、従来のテーピング機能タイツ、運動用スパッツおよび運動支援タイツは、筋肉の余分な振動を抑えるために、大腿部において高い締結力を有する領域を脚部の周方向にわたって有しているため、大腿部における脚部の周方向の締め付けが、血流阻害を起こし、着用者に不快感を生じさせるという問題点があった。また、脚部末梢部の皮膚血流量や皮膚温を大きく低下させるという問題点があった。特に、中高齢者においては、強い圧迫により脚部に塑性変形(皮膚表面組織のつぶれ)が生じるという問題点があった。なお、膝は脚部における寸法変化が著しいために、従来のテーピング機能タイツ、運動用スパッツおよび運動支援タイツでは、脚部を屈曲しやすいように、高い締結力を有する領域が、膝関節を覆わないようにしていた。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、大腿部を脚部の周方向に締め付けることなく膝関節動作を支援することができるインナーウェアを提供することを目的とする。
この発明に係るインナーウェアにおいては、少なくとも膝関節を周回して覆い、体表に密着するインナーウェアにおいて、膝蓋骨を覆い、膝蓋骨から大腿部および下腿部にかけて脚部の長さ方向にそれぞれ延在する強締付領域を前身側に有し、強締付領域は、脚部の長さ方向の伸縮抵抗が、脚部の周方向の伸縮抵抗と比較して大きく、かつ、膝蓋骨に対して大腿部側および下腿部側における係止部でそれぞれ係止されている。
また、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、強締付領域は、膝蓋骨を覆う第1の領域と、大腿部において第1の領域から複数に分岐して周方向に広がる直線部分または曲線部分の複数の部分からなる第2の領域と、を有しており、第2の領域における直線部分または曲線部分のそれぞれの幅が、大腿部において血流阻害を生じさせない幅である。
また、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、腰天の周縁部が第1の伸縮性帯であるスパッツまたはタイツであって、強締付領域は、膝蓋骨から第1の伸縮性帯まで延在しており、大腿部側の係止部は、第1の伸縮性帯である。
さらに、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、裾の周縁部が第2の伸縮性帯であるスパッツであって、強締付領域は、膝蓋骨から第2の伸縮性帯まで延在しており、下腿部側の係止部は、第2の伸縮性帯である。
また、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、腰から足先まで密着して包むタイツであって、強締付領域は、膝蓋骨から足裏まで延在しており、下腿部側の係止部は、強締付領域を足裏と地面または床面とで挟持するものである。
また、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、足掛けを有するスパッツであって、強締付領域は、膝蓋骨から足裏まで延在しており、下腿部側の係止部は、足掛けである。
さらに、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、係止部は、大腿部に第1の係止部を有している。
この発明は、インナーウェアが、少なくとも膝関節を周回して覆い、体表に密着するインナーウェアにおいて、膝蓋骨を覆い、膝蓋骨から大腿部および下腿部にかけて脚部の長さ方向にそれぞれ延在する強締付領域を前身側に有し、強締付領域は、脚部の長さ方向の伸縮抵抗が、脚部の周方向の伸縮抵抗と比較して大きく、かつ、膝蓋骨に対して大腿部側および下腿部側における係止部でそれぞれ係止されていることにより、大腿直筋および外側広筋に対する筋負担を低減することができ、特に「立つ」において顕著に筋負担を低減することができる。
また、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、強締付領域は、膝蓋骨を覆う第1の領域と、大腿部において第1の領域から複数に分岐して周方向に広がる直線部分または曲線部分の複数の部分からなる第2の領域と、を有しており、第2の領域における直線部分または曲線部分のそれぞれの幅が、大腿部において血流阻害を生じさせない幅であることにより、強締付領域による大腿部に対する圧力を分散することができ、大腿部における血流阻害を抑制することができる。
また、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、腰天の周縁部が第1の伸縮性帯であるスパッツまたはタイツであって、強締付領域は、膝蓋骨から第1の伸縮性帯まで延在しており、大腿部側の係止部は、第1の伸縮性帯であることにより、ウエストで強締付領域を強固に係止することができる。
さらに、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、裾の周縁部が第2の伸縮性帯であるスパッツであって、強締付領域は、膝蓋骨から第2の伸縮性帯まで延在しており、下腿部側の係止部は、第2の伸縮性帯であることにより、裾の第2の伸縮性帯で強締付領域を強固に係止することができる。
また、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、腰から足先まで密着して包むタイツであって、強締付領域は、膝蓋骨から足裏まで延在しており、下腿部側の係止部は、強締付領域を足裏と地面または床面とで挟持するものであることにより、足裏で強締付領域を強固に係止することができる。
また、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、足掛けを有するスパッツであって、強締付領域は、膝蓋骨から足裏まで延在しており、下腿部側の係止部は、足掛けであることにより、足掛けで強締付領域を強固に係止することができる。
さらに、この発明に係るインナーウェアにおいては、必要に応じて、係止部は、大腿部に第1の係止部を有していることにより、座位における腰部からのインナーウェアの浮き上がりが生じた場合であっても、強締付領域を第1の係止部によって係止することができる。
(本発明の第1の実施形態)
図1はこの発明を実施するための第1の実施形態におけるタイツを示す正面図、図2は図1に示すタイツにおける強締付領域の編組織概略構成図である。
図1および図2において、インナーウェアは、着用者の少なくとも膝関節を周回して覆い、体表に密着している。例えば、着用者の膝関節の保護に用いるゴム布製のサポータ、着用者の腰から足先まで密着して包むタイツ、または伸縮性のある素材で作った着用者の脚に密着する長いパンツ状のスパッツ若しくはスポーツタイツなどが挙げられる。なお、この第1の実施形態においては、インナーウェアとしてタイツ1を用いて説明する。
タイツ1は、パンティ部2、レッグ部3およびフート部4の三部に大別される。
パンティ部2は、腰天2aのゴムテープの部分であるウエスト・バンド2bと、着用者の腰部を覆う部分であるパンティ2cと、着用者の股部の添え生地であるガセット2dとを備え、腰天2aから身部切替えまでの部分の総称である。
また、レッグ部3は、レッグ部3のうち着用者の大腿部に対応する部分である太股3aと、レッグ部3の中心部分であり着用者の膝蓋骨中点に対応する部分であるレッグ3bと、後述するヒール4a上部で着用者の踝の辺りに対応する最狭の部分であるアンクル3cとを備え、太股3aからアンクル3cまでの部分の総称である。
また、フート部4は、着用者のかかとに対応する部分を補強する部分であるヒール4aと、着用者の足裏に対応する部分であるソール4bと、着用者の爪先に対応する部分を補強する部分であるトウ4cとを備え、ヒール4aからトウ4cまでの総称である。
なお、タイツ1は、既存の靴下編機により筒状に編んだ一対の編地を用いて、パンティ2cに相当する部分に切れ目を入れて裁断縁同士を付き合わせて縫着して一体化し、トウ4cを袋状に縫着したものであり、後述する強締付領域5および係止部6以外は周知の手段により編み上げたものである。また、レッグ部3における強締付領域5および係止部6を除いた部分であるベース生地部7は、伸縮性のある編地であり、平編、タック編、浮き編、パイル編などで編成されてなる構成である。
強締付領域5は、タイツ1の前身側に有し、着用者の膝蓋骨を覆い、膝蓋骨から大腿部および下腿部にかけて脚部の長さ方向Lにそれぞれ延在する。すなわち、強締付領域5は、レッグ部3において、レッグ3bを中心とした着用者の膝蓋骨に対応する部分を覆う第1の領域8を含み、第1の領域8から太股3aおよびアンクル3cにかけてレッグ部3の長さ方向Lにそれぞれ延在する。なお、この第1の実施形態においては、強締付領域5が、膝蓋骨中点に対して大腿部側20cmの位置から脚部の長さ方向Lに沿って下腿部側に約29cmの位置まで延在しているが、この長さに限られるものではない。
また、強締付領域5は、着用者の脚部の長さ方向Lにおける伸縮抵抗が、脚部の周方向Hにおける伸縮抵抗と比較して大きい。
ここで、素材に伸長を与えない状態から一定の伸長を与えた場合の張力をFとし、長さ方向Lにおける強締付領域5の張力FL、脚部の周方向Hにおける強締付領域5の張力FH、長さ方向Lにおけるベース生地部7の張力FL(B)、周方向Hにおけるベース生地部7の張力FH(B)とすると、強締付領域5がベース生地部7と比較して強い締め付け力を持つような、FL>FH>FL(B)≒FH(B)>0という大小関係を持たせることが好ましい。
また、強締付領域5は、着用者の膝蓋骨に対して大腿部側および下腿部側における係止部6でそれぞれ係止されている。なお、この第1の実施形態においては、係止部6は、着用者の大腿部に対応する位置である太股3aに第1の係止部6aと、着用者の下腿部に対応する位置である第1の領域8からアンクル3cまでの間に第2の係止部6bとを有し、レッグ部3の長さ方向Lにある強締付領域5の上端5aおよび下端5bが第1の係止部6aおよび第2の係止部6bにそれぞれ近接している。
また、第1の係止部6aの摩擦係数が、強締付領域5の摩擦係数と比較して大きくなるように、タイツ1の裏地面を形成している。また、第2の係止部6bの摩擦係数が、強締付領域の摩擦係数と比較して大きくなるように、タイツ1の裏地面を形成している。
つぎに、強締付領域5の編組織について、図2を用いて説明する。
この第1の実施形態においては、強締付領域5に添え糸編とゴム編(リブ編、あぜ編)とを併用して編地としている。なお、添え糸編は、ゴム編の地編糸9aの他に他の編糸9bを添えて給糸することで、強締付領域5の長さ方向Lの伸縮を適度に抑えており、強締付領域5とベース生地部7との境界において他の編糸9bをカットしている(以下、カットボスと称す)。
ここで、ループのよこの列をコースC、たての行をウェールWとする。
図2に示すように、たて方向に表目のウェールと裏目のウェールとが交互に並ぶ編み目で、1ウェールごとに表目と裏目とを配列したものを1×1ゴム編としているが、2×1ゴム編、3×2ゴム編など多数の変化ゴム編としてもよい。また、図示しないパール編がたて方向に対して著しい伸縮性があるのに対して、この編地はよこ方向に対して伸縮性がある。図2において、糸の繋がりが理解しやすいように、地編糸9a(他の編糸9b)を1コースおきに実線と破線とで図示している。なお、強締付領域5は長さ方向Lの伸縮抵抗が周方向Hの伸縮抵抗と比較して大きいのであれば、この編組織や添え糸に限られるものでもなく、例えば、1ウェールWおきに編地の間に編み目を作らずにゴム糸を編み込んだ挿入編を施してもよい。
つぎに、係止部6の編組織について説明する。
この第1の実施形態においては、強締付領域5の上端5aおよび下端5bに近接するベース生地部7の一部に地編糸の他に、ナイロンの細い繊維をウール状にした繊維(以下、ウーリーナイロンと称す)を添えてカットボスを行なうことで、強締付領域5の摩擦係数に対して係止部6の摩擦係数を大きくしている。
なお、強締付領域5の摩擦係数に対して係止部6の摩擦係数を大きくできるのであれば、この編組織や添え糸であるウーリーナイロンに限られるものでもなく、摩擦係数の大きい材質の物をベース生地部7の裏地面として縫製してもよいし、ポリウレタン樹脂などの樹脂でベース生地部7の裏地面にコーティング加工を施してもよい。
つぎに、この第1の実施形態における強締付領域5による効果について、本願発明を創作するにあたり原理となった、伸縮性をもつテープを膝関節に使用したテーピングによる効果を検証することで説明する。
図3(a)はSタイプによる脚のテーピング方法を示した説明図、図3(b)はXタイプによる脚のテーピング方法を示した説明図、図4(a)は長さ方向におけるテープおよびタイツ素材の伸長特性を示したグラフ、図4(b)は幅方向におけるテープおよびタイツ素材の伸長特性を示したグラフ、図5は筋電位の測定部位を示した説明図、図6(a)は「立つ」と「座る」の運動時に記録された生波形を示した筋電図、図6(b)は図6(a)に示す生波形を整流した波形を示した筋電図、図7は素足にテーピングを行なった場合の「立つ」と「座る」の運動時の積分筋電図、図8は素足にテーピングを行なった場合の大腿直筋および外側広筋の積分筋電図の変化率を示したグラフ、図9はタイツにテーピングを行なった場合の「立つ」と「座る」の運動時の積分筋電図、図10はタイツにテーピングを行なった場合の大腿直筋および外側広筋の積分筋電図の変化率を示したグラフ、図11は立位および椅座位におけるタイツ着用時の衣服圧の分布を示すグラフ、図12は「立つ」における大腿直筋と外側広筋との積分筋電図の変化率の関係を示すグラフである。
まず、実験方法について説明する。
本実験で用いたテープ10の幅は7.5cmであり、テーピング方法は、図3に示すように、本願発明に対応するテーピング方法1(以下、Sタイプと称す)と、膝蓋骨を下部から支えるような従来のタイツに対応するテーピング方法2(以下、Xタイプと称す)との2種類について実験した。
Sタイプは、被験者に膝を約30°軽く曲げさせた状態で、膝蓋骨中点11を中心として上方に約20cmの位置から脚部12の長さ方向Lに約29cmのテープ10をやや引張り気味にしてストレートにテーピングを行なった。
また、Xタイプは、膝蓋骨中点11より約20cm上方の大腿外側面および内側面から、Sタイプと同様にテープ10を引張り気味にし、膝蓋骨の両サイドまでストレートにテーピングを行い、その後、2本のテープ10で膝蓋骨を挟み込むように膝蓋骨下縁でクロスさせ、各テープ10の片端を内側顆および外側顆の下方まで貼付した。
これら2種類のテーピングを、素足(以下、Cと称す)およびノーマルタイプのスポーツタイツ(以下、Aと称す)の上から行なった。
被験者は、年齢19歳〜21歳、身長160.9±6.0cm、体重57.4±4.0kg、BMI22.3±1.9である、全国平均レベルの体型をもつ女子大学生8名とした。
被験者8名のうち5名は、素足、素足にSおよびXタイプのテーピングを行なった3種の実験を行なった。また、全被験者(8名)が、スポーツタイツのみ(A)、スポーツタイツ着用後にSタイプ(以下、Asと称す)およびXタイプ(以下、Axと称す)のテーピングを行なった3種の実験を行なった。
なお、テーピング前後のテープ10の長さからテープ10の伸長率εを算出した結果、Sタイプで平均約22.2±4.8%、Xタイプで平均約28.1±4.9%であった。
テープおよびタイツ素材の伸長特性の測定には、引張り・せん断測定装置(カトーテック製,KESFB1−AUTO−A)を用い、測定条件を引張速度0.2mm/sec、つかみ長さ5.0cm、最大荷重2.9N/cmとし、つかみ幅をテープ幅と同じ7.5cmとした。
図4に示すように、テープ(T0)は、長さ方向でみると、伸長率が約60%までは非線形性が大きく、非常によく伸びるが、それ以上では非常に急激に伸びにくくなることがわかる。また、幅方向においては、テープがワンウエイ・ストレッチ素材であるためほとんど伸びていない。スポーツタイツ(A)はツーウエイ・ストレッチ素材であり、脚部の長さ方向、周方向ともに60〜70%までは直線的に伸びるが、それ以降ではやや伸びにくい。しかし、テーピングを行なったタイツ素材(A+T)では、テープの伸びかたさが加わり、伸びにくくなっている。また、テープの長さ方向における繰返し引張りによる15回目(T15)の特性は、T0に比べてやや伸び抵抗が小さくなるものの大きな相違はみられず、回復性の良いものであった。
スポーツタイツの衣服圧測定には、AMI3037衣服圧測定装置を使用し、直径20mmのエアパックセンサーに、厚さ約1mmとなるよう空気を約0.3ml封入して用いた。測定箇所は、図11に示すように、1)大腿直筋上、2)大腿二頭筋上、3)外側広筋上、4)大腿最小前面、5)膝蓋骨中点の計5箇所である。測定時の姿勢は立位および椅座位とした。
筋電位の測定には、被験者は、19.0±2.0℃、55.0±5.5%RHの実験室において、綿100%の半袖Tシャツとトレーニングウエアの上着、ポリエステル100%のトレーニング用短パン、下腿部を被覆しないスニーカーソックスを着用した。また、スニーカーは、普段から各自が履き慣れているものを用いた。
被験者は、膝関節動作時における活動筋への影響をみるために、各自の座位膝窩高と同じ高さに調整した椅子を用い、60回/分のテンポで一定のリズムを刻むメトロノームの発信音に合わせて立位と座位の往復運動を行なった。
座位から立位への運動(1秒)、静止(1秒)、立位から座位への運動(1秒)および静止(1秒)を1回として、15回行なった。その後、約10分間休憩した後、試料を取り替え、実験を繰り返した。実験は計2日間行なった。
1日目は、素足状態(C)でまず実験を行い、次に、2種類のテーピングSおよびXについて、テーピングを行なう順番をランダムにして実験を行なった。2日目は、タイツ試料A、As、Axについて、着用の順序をランダムにして同様の実験を行なった。
図5に示すように、筋電位の測定部位は、膝関節運動に大きな影響を及ぼすと考えられる大腿部前面にある大腿直筋13(Rectus femoris muscle:R.F.)および外側広筋14(Vastus lateralis musle:V.L.)、並びに大腿部後面にある大腿二頭筋15(Biceps femoris muscle:B.F.)の計3箇所であり、利き足などにより筋電位に差が出ないように、測定は全て右脚で行なった。
双極電極法により、各筋腹上の活動電位を多チャンネル増幅器(日本光電株式会社製)により増幅させ、筋電図(electromyogram:EMG)を記録した。
つぎに、筋電図の解析方法について説明する。
椅座位から立位へ移る動作(「立つ」)、立位から椅座位へ移る動作(以下、「座る」と称す)においては、図6(a)に示すように、ともに大腿直筋13、外側広筋14および大腿二頭筋15が使用されるが、これらの振幅の大きさをみてみると、「立つ」では、すべての筋が動作変更時だけでなく、立位姿勢の静止状態中においても使用されており、その傾向は特に大腿直筋13で顕著である。
また、「座る」では、電位の発生が瞬間的であることがわかる。
筋電図(EMG)の解析は、BIMTUSII(キッセイコムテック株式会社製)を用い、筋電図の生波形に対して基線レベルを0に合わせた後、全波整流を行い(図6(b))、一定時間における筋電図の積分値(以下、積分筋電図(IEMG)と称す)を算出して検討した。算出式は次式(1)に示す通りである。
Figure 2007303040

EMGは、「立つ」および「座る」の各動作につき、動作変更時の1秒間において算出し、被験者が運動のリズムに慣れるまでの最初の5回を削除して、動作毎に平均値を求めた。一般に、筋負荷が大きいほど積分筋電図は大きいことが知られている。
つぎに、解析結果について説明する。
なお、図6(a)は、筋電図の生波形において大腿四頭筋である大腿直筋13と外側広筋14とが大きく働くこと(大腿二頭筋15はほとんど働かないこと)を示しており、「立つ」と「座る」の両方で膝関節伸展運動に関与する筋が主働筋であることを示している。
まず、素足時におけるテーピングの積分筋電図への影響について説明する。
図7は素足(C)並びに素足にテーピングを行なったSおよびXタイプでの「立つ」と「座る」の積分筋電図を示している。
図7に示すように、「立つ」では、大腿直筋13、外側広筋14および大腿二頭筋15のすべての筋において素足よりもテーピングを行なった場合にIEMGが小さく、大腿直筋13および外側広筋14においては、Sタイプで筋の活動量が、Xタイプより小さく、Cより有意に小さかった(*:p<0.05)。
また、「座る」でのIEMGは、統計的にCより有意ではないが、外側広筋14のIEMGはC>X>Sという大小関係となり、Sタイプで最も筋の活動量が小さい傾向がみられた。しかしながら、大腿直筋13の積分筋電図については、「立つ」の筋活動量の約70%に減少し、テーピング間の差がほとんどみられなかった。
なお、積分筋電図は、被験者の筋の大きさ、動作時における筋の使い方、脂肪の付き方などの違いによる個人差が大きいといわれていることから、次式(2)を用いて、各被験者の素足(C)からの積分筋電図の変化率(以下、ΔIEMGと称す)を算出して解析を行なった。ここで、Ecは素足時のIEMG、Eはテーピング時のIEMGである。
ΔIEMG=((E−Ec)/Ec)×100 ・・・(2)
図8は膝関節運動への関与が大きかった大腿直筋13および外側広筋14のΔIEMGを示しており、「立つ」において、σRF.S=7.88、σRF.X=8.26、σVL.S=8.72、σVL.X=14.11であり、「座る」において、σRF.C=11.10、σRF.S=16.61、σVL.S=14.62、σVL.X=17.96である。なお、σは標準偏差の平均値、σの添え字は筋と試料を表記している。
図8に示すように、「立つ」においては、SおよびXタイプで大腿直筋13および外側広筋14のΔIEMGが約5〜10%減少し、Xタイプに比べてSタイプでその減少が大きかった。
以上の結果を膝関節運動に伴うテープの伸長特性から考察するために、被験者1名に対して、静置状態において5cmごとにラインを印したテープを用いてS及Xタイプのテーピングを行い、立位時および椅座位時におけるテープの伸長率を算出した。
これによると、Sタイプでは、膝蓋骨上付近のテープの伸長率が立位時に約20%であるのに対して、椅座位時では約50%と大きな伸長が認められた。このことから、「立つ」においては、伸長したテープの回復力が大腿前面における筋の収縮を補助するため、素足よりもSタイプで大腿直筋13および外側広筋14においてΔIEMGが減少したと考察される。
これに対して、Xタイプでは、膝蓋骨周辺でのテープの伸長率は立位時、椅座位時ともに約20%であり、動作に伴うテープの伸長率変化が小さく、Sタイプほど筋活動の抑制を促進しなかったと考えられる。
また、図8に示すように、「座る」においては、大腿直筋13のΔIEMGがSタイプおよびXタイプともに素足時と同程度であるに対して、外側広筋14のΔIEMGではSタイプで約10%減少した。このことは、「座る」に伴うテープの伸び抵抗が動作へのブレーキの役割を果たし、筋の伸張性収縮を補助したためと推察される。なお、Xタイプでは外側広筋14においてもΔIEMGはほぼ0であった。
以上の結果から、膝蓋骨を挟み込むように固定するXタイプに比べて、膝蓋骨を大腿部前面から下腿部前面にかけて直線的にテーピングするSタイプが、「立つ」や「座る」などの膝関節運動において、テープの伸縮性が大腿直筋13および外側広筋14の活動を補助し、筋負担を軽減できると考えられる。
つぎに、スポーツタイツ着用におけるテーピングの積分筋電図への影響について説明する。
図9はタイツ着用時において「立つ」と「座る」を行なった時の積分筋電図を示している。
図9に示すように、「立つ」と「座る」との両動作で、タイツにおいてもテーピングを行なうことで、IEMGがテーピングを行なう前に比べてやや小さくなる傾向がみられた。
前述した素足時におけるテーピングの場合と同様に、「立つ」と「座る」への関与が大きい大腿直筋13および外側広筋14において、タイツのみの着用時の各筋における積分筋電図を基準として、変化率ΔIEMGを前式(2)より求めた。その結果を図10に示す。
図10は膝関節運動への関与が大きかった大腿直筋13および外側広筋14のΔIEMGを示している。
図10に示すように、「立つ」においては、ΔIEMGはAs、Axともに大腿直筋13で約−5%、外側広筋14で約−10%であり、AxよりAsで減少幅が大きい傾向がみられ、これらは前述した素足時におけるテーピングの場合の結果(図8)とほぼ同様であった。
ここで、図11に示すように、「立つ」および「座る」における衣服圧の相違は、丸数字5膝蓋骨中点で最も大きく、椅座位時の丸数字5膝蓋骨中点の衣服圧は、Asで約8kPa、Axで約6.5kPa、Aで約5kPaとなっている。衣服圧は布地の張力に比例することから、As>Ax>Aの順に伸長からの回復力が大きく、これが大腿直筋13および外側広筋14の筋収縮を補助するため、筋負担が軽減できたものと思われる。
これに対して、図10に示すように、「座る」においては、大腿直筋13のAsのみでΔIEMGが約5%減少する傾向がみられ、他の筋への効果はみられなかった。この原因として、スポーツタイツの場合には、動作に伴う身体寸法の増加分の一部がスポーツタイツの躯幹部側へのずれによって補われると考えられる。すなわち、テープを皮膚に直接貼る場合より、筋の伸張性収縮の補助作用が減少する。
以上の結果から、素足へのテーピングのみならずタイツにテーピングを行なった場合にも、特に「立つ」において、Sタイプのテーピングが膝関節動作における大腿直筋13および外側広筋14への筋負担を軽減することがわかった。
最後に、活動筋間の相互関係について説明する。
素足およびタイツにテーピングを行なうことによって膝関節運動への影響が大きかった「立つ」における、大腿直筋13および外側広筋14において、両者の変化割合を検討した。
図12に示すように、横軸の外側広筋14のΔIEMGは、素足の場合もタイツ着用の場合もテーピングによる効果はほぼ同様であるが、大腿直筋13においては、タイツにテーピングを行なった場合は素足の場合に比べてΔIEMGの減少幅が小さかった。これは、前述したように、動作に伴うタイツのずれが原因と考えられ、タイツにテーピングを行っても素足ほど大きなテーピングによる効果は得られないことを示している。
以上のように、本願発明に対応する、膝蓋骨中点を中心として大腿部から下腿部にかけて脚部の長さ方向に締め付け力を強くしたテーピング方法1(Sタイプ)は、従来のタイツに対応する、膝蓋骨を覆わず膝蓋骨の下縁でテーピングをクロスさせるテーピング方法2(Xタイプ)と比較して、「立つ」および「座る」などの膝関節動作時における大腿直筋13および外側広筋14への筋負担を軽減できる。特に、「立つ」において、Sタイプのテーピングが膝関節動作における大腿直筋13および外側広筋14への筋負担を軽減することができる。
すなわち、この第1の実施形態におけるタイツ1のように、強締付領域5が着用者の膝蓋骨を覆い膝蓋骨から大腿部前面および下腿部前面にかけて脚部の長さ方向Lにそれぞれ延在していることで、素足、強締付領域を有さない通常のタイツ、および膝蓋骨を強締付領域で覆わない従来のタイツに対して、膝関節動作時における大腿直筋13および外側広筋14への筋負担を軽減できる。特に「立つ」に伴う活動筋負担の減少という視点から非常に有用である。
また、「立つ」においては、強締付領域5によるたて伸び(長さ方向Lの伸び)の回復力(張力の回復)が大腿直筋および外側広筋を補助して、筋負担を5〜10%低減することができる。また、「座る」においては、筋の伸張性収縮を補助し、急激な膝関節動作をたて伸び(長さ方向Lの伸び)抵抗により防ぐことができる。このように、この第1の実施形態におけるタイツ1は、着用者の椅座位、立位または歩行などの動作に伴う身体の長さ方向の寸法変化を利用し、強締付領域5のたて方向(長さ方向L)に生じる張力とその回復力を利用するものである。
また、強締付領域5を脚部の幅方向Hに延在させないことで、強締付領域5によるフープテンション(周方向応力)を発生させず、脚部の血流を阻害することを防止することができる。
また、この第1の実施形態におけるタイツ1においては、素足にテーピングを行なう場合のような、テープの粘着剤によるかぶれや粘着テープの繰り返しの使用による角質剥離などの皮膚障害が生じることを防止することができる。
なお、強締付領域5が着用者の膝蓋骨を覆い膝蓋骨から大腿部および下腿部にかけて脚部の長さ方向にそれぞれ延在しているだけのタイツでは、着用者の体表とタイツとのずれにより、素足にSタイプのテーピングを行なう場合と比較して、強締付領域5による効果が低減するが、この第1の実施形態においては、強締付領域5を着用者の膝蓋骨に対して大腿部側および下腿部側における係止部6でそれぞれ係止していることで、係止部6における着用者の体表とタイツ1とのずれを抑制して、強締付領域5による効果を向上させることができる。
さらに、大腿部および下腿部の前身側には静脈が通っているものの、膝蓋骨の前身側には静脈が通っていない(膝蓋骨の後身側を静脈が通る)ために、強締付領域5が前身側から着用者の膝蓋骨に圧力を加えた場合であっても、膝関節において血流阻害を生じることもない。
また、この第1の実施形態においては、インナーウェアとしてタイツ1を用いて説明したが、サポータ、スパッツ又はスポーツタイツなどの着用者の少なくとも膝関節を周回して覆い体表に密着しているインナーウェアであれば、強締付領域5及び係止部6を対応する位置に設けることで、同様の作用効果を奏することができる。
(本発明の第2の実施形態)
図13はこの発明を実施するための第2の実施形態におけるタイツを示す正面図である。図13において、図1と同じ符号は、同一または相当部分を示し、その説明を省略する。
強締付領域5は、着用者の膝蓋骨を覆う第1の領域8と、着用者の大腿部において第1の領域8から複数に分岐して周方向に広がる直線部分または曲線部分の複数の部分からなる第2の領域16とを有している。なお、この第2の実施形態においては、強締付領域5が、太股3aにおいて、第1の領域8から、レッグ部3の長さ方向Lに延在する直線部分16aと、直線部分16aを基準として周方向にそれぞれ広がる2本の曲線部分16bとを有している。
また、第2の領域16における直線部分16aおよび曲線部分16bのそれぞれの幅が、着用者の大腿部において血流阻害を生じさせない幅である。
なお、この第2の実施形態においては、強締付領域5が着用者の大腿部において第1の領域8から複数に分岐して周方向に広がる直線部分または曲線部分の複数の部分からなる第2の領域16とを有しているところのみが第1の実施形態と異なるところであり、後述する第2の領域16による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
着用者の大腿部においては、強締付領域5の幅を広くしすぎると、着用者の脚部の周方向Hに対する締め付けとなり、着用者にとって不快感を生じさせる。また、血流阻害を生じさせる恐れもある。
そこで、この発明の第2の実施形態のインナーウェアによれば、強締付領域5が着用者の大腿部において、血流阻害を生じさせない幅の直線部分16aまたは曲線部分16bの複数の部分からなる第2の領域16であることにより、強締付領域5による締め付け力を確保しつつ、強締付領域5による着用者の大腿部に対する圧力を分散することができ、血流阻害を抑制することができる。
なお、この第2の実施形態においては、インナーウェアとしてタイツ1を用いて説明したが、サポータ、スパッツ又はスポーツタイツなどの着用者の少なくとも膝関節を周回して覆い体表に密着しているインナーウェアであれば、強締付領域5の第2の領域16を対応する位置に設けることで、同様の作用効果を奏することができる。
(本発明の第3の実施形態)
図14はこの発明を実施するための第3の実施形態におけるスパッツを示す正面図である。図14において、図1〜図13と同じ符号は、同一または相当部分を示し、その説明を省略する。
スパッツ17は、前述したタイツ1のフート部4を除いた、パンティ部2およびレッグ部3の二部に大別される。
なお、この第3の実施形態においては、ウエスト・バンド2bが、腰天2aの周縁部がゴムテープなどの第1の伸縮性帯18aであり、強締付領域5は、着用者の膝蓋骨すなわち第1の領域8から第1の伸縮性帯18aまで延在している。これにより、強締付領域5は第1の伸縮性帯18aによって着用者のウエストに係止されている。
また、この第3の実施形態においては、アンクル部3cが着用者の下腿部にあればよく(以下、裾3dと称す)、裾3dの周縁部が口ゴムなどの第2の伸縮性帯18bであり、強締付領域5は、着用者の膝蓋骨すなわち第1の領域8から第2の伸縮性帯18bまで延在している。これにより、強締付領域5は第2の伸縮性帯18bによって着用者の下腿部に係止されている。
なお、この第3の実施形態においては、係止部6が第1の伸縮性帯18aおよび第2の伸縮性帯18bであるところのみが第1の実施形態および第2の実施形態と異なるところであり、後述する第1の伸縮性帯18aおよび第2の伸縮性帯18bによる作用効果以外は、第1の実施形態および第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。
この発明の第3の実施形態のインナーウェアによれば、第1の伸縮性帯18aは着用者のウエストを周回し、第2の伸縮性帯18bは着用者の下腿部を周回しているために、第1の実施形態および第2の実施形態における第1の係止部6aおよび第2の係止部6bと比較して、強締付領域5を強固に係止することができ、着用者の体表とインナーウェアとのずれをさらに抑制することができる。
なお、この第3の実施形態においては、強締付領域5を第1の領域8から第1の伸縮性帯18aおよび第2の伸縮性帯18bにそれぞれ延在したが、この構成に限られるものではなく、第1の領域8から第1の伸縮性帯18aにのみ延在することで、第1の実施形態および第2の実施形態における第1の係止部6aと比較して大腿部側において強固に係止することができる。
また、第1の領域8から第2の伸縮性帯18bにのみ延在することで、第1の実施形態および第2の実施形態における第2の係止部6bと比較して下腿部側において強固に係止することができる。
また、強締付領域5を第1の領域8から第1の伸縮性帯18aおよび第2の伸縮性帯18bにそれぞれ延在させ、強締付領域5の一部に第1の係止部6aまたは第2の係止部6bを設けることで、さらに強固に係止することができる。また、大腿部に第1の係止部を有していることにより、座位における腰部からのインナーウェアの浮き上がりが生じた場合であっても、強締付領域を第1の係止部によって係止することができる。
また、着用者の大腿部において、第2の実施形態における第2の領域16を併用することで、第2の実施形態における作用効果を奏することができる。
さらに、この第3の実施形態においては、インナーウェアとしてスパッツ17を用いて説明したが、スポーツタイツなどの腰天2aの周縁部が第1の伸縮性帯18aであり裾の周縁部が第2の伸縮性18bであるインナーウェアであれば、強締付領域5を対応する位置に設けることで、第1の伸縮性帯18aおよび第2の伸縮性帯18bによる同様の作用効果を奏することができる。
また、この第3の実施形態においては、インナーウェアとしてスパッツ17を用いて説明したが、タイツ、スポーツタイツなどの腰天2aの周縁部が第1の伸縮性帯18aであれば、強締付領域5を対応する位置に設けることで、第1の伸縮性帯18aによる同様の作用効果を奏することができる。
(本発明の第4の実施形態)
図15はこの発明を実施するための第4の実施形態におけるタイツを示す正面図である。図15において、図1〜図14と同じ符号は、同一または相当部分を示し、その説明を省略する。
強締付領域5は、着用者の膝蓋骨すなわち第1の領域8から足裏すなわちソール4bまで延在している。なお、この第4の実施形態においては、レッグ部3およびフート部4における強締付領域は、着用者の下腿部において第1の領域8から脚部の長さ方向Lに沿った直線部分からなる第3の領域19aと、着用者の足部において第3の領域19aから二つに分岐して外踝、内踝および足裏の土踏まずを結ぶ帯状の第4の領域19bとからなる。
なお、この第4の実施形態においては、強締付領域5は、第1の領域8からソール4bまで延在しているところのみが第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態と異なるところであり、後述するソール4bまで延在している強締付領域5による作用効果以外は、第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態と同様の作用効果を奏する。
この第4の実施形態のインナーウェアによれば、強締付領域5が第1の領域8からソール4bまで延在しているために、強締付領域5を足裏と地面または床面とで挟持することで、下腿部側の係止部6として作用させることができ、第1の実施形態および第2の実施形態における第2の係止部6bと比較して、強締付領域5を強固に係止することができ、着用者の体表とインナーウェアとのずれをさらに抑制することができる。
なお、この第4の実施形態においては、強締付領域5を第1の領域8からソール4bまで延在しているが、強締付領域5を足裏と地面または床面とで挟持することことができるのであれば、強締付領域5をヒール4aまで延在してもよい。しかしながら、アンクル部3cの前身側に位置する部分(足関節部であり下腿部前面と足背との交点である屈曲部)は高い圧迫力を生じやすい部分であり、この部位を締め付けると着用者の自律神経を阻害し、着用者に不快感を生じさせる恐れがあるので、この部位の血流阻害を回避するために、この部位を除いて強締付領域5を設けることが好ましい。
また、この第4の実施形態においては、強締付領域5を第1の領域8から第1の伸縮性帯18aおよびソール4bにそれぞれ延在したが、この構成に限られるものではなく、第1の領域8からソール4bにのみ延在することで、第1の実施形態および第2の実施形態における第2の係止部6bと比較して下腿部側において強固に係止することができる。
また、強締付領域5を第1の領域8から第1の伸縮性帯18aおよびソール4bにそれぞれ延在させ、強締付領域5の一部に第1の係止部6aまたは第2の係止部6bを設けることで、さらに強固に係止することができる。
また、大腿部において第2の実施形態における第2の領域16を併用することで、第2の実施形態における作用効果を奏することができる。
(本発明の第5の実施形態)
図16はこの発明を実施するための第5の実施形態におけるスパッツを示す正面図である。図16において、図1〜図15と同じ符号は、同一または相当部分を示し、その説明を省略する。
この第5の実施形態においては、スパッツ17が足掛け20を有しており、強締付領域5は、着用者の膝蓋骨すなわち第1の領域8から足掛け20まで延在している。
なお、この第5の実施形態においては、スパッツ17が足掛け20を有しており、強締付領域5が第1の領域8から足掛け20まで延在しているところのみが第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態および第4の実施形態と異なるところであり、後述する第1の領域8から足掛け20まで延在した強締付領域5による作用効果以外は、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態および第4の実施形態と同様の作用効果を奏する。
この第5の実施形態のインナーウェアによれば、強締付領域5が第1の領域8から足掛け20まで延在しているために、強締付領域5を足裏と地面または床面とで挟持することで、下腿部側の係止部6として作用させることができ、第1の実施形態および第2の実施形態における第2の係止部6bと比較して、強締付領域5を強固に係止することができ、着用者の体表とインナーウェアとのずれをさらに抑制することができる。
また、この第5の実施形態においては、高い圧迫力を生じやすいアンクル部3cの前身側に位置する部分(足関節部であり下腿部前面と足背との交点である屈曲部)を締め付けることなく、足掛け20を下腿部側の係止部6として作用させることができる。
また、足掛け20は、「座る」動作における膝蓋骨周辺の寸法変化に伴うスパッツ17の裾3dの上がりを防止できる。また、足掛け20は、歩行時に着用者の土踏まずを適度に圧迫と弛緩とを繰り返すことに繋がり、これがポンプ作用となり、着用者の血流を促進することができる。
なお、この第5の実施形態においては、強締付領域5を第1の領域8から第1の伸縮性帯18aおよび足掛け20にそれぞれ延在したが、この構成に限られるものではなく、第1の領域8から足掛け20にのみ延在することで、第1の実施形態および第2の実施形態における第2の係止部6bと比較して大腿部側において強固に係止することができる。
また、強締付領域5を第1の領域8から第1の伸縮性帯18aおよび足掛け20にそれぞれ延在させ、強締付領域5の一部に第1の係止部6aまたは第2の係止部6bを設けることで、さらに強固に係止することができる。
また、着用者の大腿部において、第2の実施形態における第2の領域16を併用することで、第2の実施形態における作用効果を奏することができる。
(本発明の第6の実施形態)
図17はこの発明を実施するための第6の実施形態におけるスパッツを示す正面図、図18は図17に示すスパッツの背面図、図19は図17に示すスパッツの左側面図、図20は図17に示すスパッツの右側面図である。図17および図18において、図1〜図16と同じ符号は、同一または相当部分を示し、その説明を省略する。
この第6の実施形態においては、着用者の腰部すなわちパンティ2cにおける強締付領域5が、太股3aからパンティ2cにおいて3つに分岐しており、パンティ2cの前身側において第1の伸縮性帯18aまで脚部の長さ方向Lに延在する直線部分21aと、パンティ2cの前身側においてガセット2dに沿って延在し左右の脚部から強締付領域5の一部が連結する第1の曲線部分21bと、パンティ2cの前身側から腰部外側を通りパンティ2cの後身側において第1の伸縮性帯18aと連結する第2の曲線部分21cとからなる。
なお、この第6の実施形態においては、強締付領域5が太股3aからパンティ2cにおいて3つに分岐しているところのみが第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態および第5の実施形態と異なるところであり、後述する強締付領域5の直線部分21a、第1の曲線部分21bおよび第2の曲線部分21cによる作用効果以外は、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態および第5の実施形態と同様の作用効果を奏する。
この第6の実施形態のインナーウェアによれば、第1の曲線部分21bが着用者の下腹部を左右連結し、第2の曲線部分21cが腰部外側から臀部にかけて締め付けることで、座位における腰部前身側の股関節辺りからのインナーウェアの浮き上がりを抑制することができる。これにより、着用者の体表とインナーウェアとのずれを抑制して強締付領域5による効果を向上することができる。
(本発明の第7の実施形態)
図21はこの発明を実施するための第7の実施形態におけるスパッツを示す正面図、図22は図21に示すスパッツの背面図、図23は図21に示すスパッツの左側面図、図24は図21に示すスパッツの右側面図である。図21〜図24において、図1〜図20と同じ符号は、同一または相当部分を示し、その説明を省略する。
この第7の実施形態においては、太股3aおよびパンティ2cにおける強締付領域5が、着用者の膝蓋骨から大腿部にかけて2つに分岐しており、太股3aの前身側から着用者の大腿内側を通り太股3aの後身側に延在し着用者の臀部までは延在しない第3の曲線部分21dと、太股3aの前身側から着用者の腰部外側を通りパンティ2cの側面側において第1の伸縮性帯18aと連結する第4の曲線部分21eとからなる。また、第1の領域8と裾3dとの間の強締付領域5が、着用者の下腿部前面において第3の領域19aから二つに分岐して下腿部を周回して下腿部後面で結合し着用者のアキレス腱に沿って裾3dに繋がる帯状の第5の領域19cとからなる。
なお、この第7の実施形態においては、強締付領域5が第3の曲線部分21d、第4の曲線部分21eおよび第5の領域を有しているところのみが第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態、第5の実施形態および第6の実施形態と異なるところであり、後述する第3の曲線部分21d、第4の曲線部分21eおよび第5の領域による作用効果以外は、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態、第5の実施形態および第6の実施形態と同様の作用効果を奏する。
この第7の実施形態のインナーウェアによれば、第3の曲線部分21dが着用者の臀部まで延在しないことにより、着用者の「座る」における臀部のインナーウェアの寸法変化を容易にしたうえで、第3の曲線部分21dがインナーウェアのずり下がりを抑制することができる。すなわち、第3の曲線部分21dが着用者の臀部まで延在した場合には、臀部におけるインナーウェアの寸法変化に対して強締付領域5である第3の曲線部分21dが抵抗となる。特に、「座る」における臀部のインナーウェアの寸法増加に強締付領域5である第3の曲線部分21dが追従するために、インナーウェアのウエストが下がることとなる。
なお、第3の曲線部分21dが着用者の臀部まで延在しなくとも、太股3aの前身側から着用者の大腿内側を通り太股3aの後身側に強締付領域5が延在しているので、「座る」における膝蓋骨周辺の第1の領域8に張力を発生させ、「立つ」における編地の回復力が大腿直筋等を支援する効果を奏する。また、第3の曲線部分21dを着用者の臀部の下(臀溝部分)に延在させる場合には、インナーウェアによる着用者のヒップアップの効果も奏する。
また、第4の曲線部分21eが着用者の腰部外側を延在することで、「座る」のインナーウェアのずり下がりを抑え、膝蓋骨から大腿部および下腿部に延在する強締付領域5による効果を向上させることができる。
また、着用者のヒラメ筋およびアキレス腱付近に強締付領域5の第3の領域および第5の領域を配置していることで、歩行時の筋負担を減少でき、急激な筋の伸長による着用者の怪我を防止することができる。
この発明を実施するための第1の実施形態におけるタイツを示す正面図である。 図1に示すタイツにおける強締付領域の編組織概略構成図である。 テーピング方法を示した説明図であり、(a)はSタイプによる脚のテーピング方法を示した説明図、(b)はXタイプによる脚のテーピング方法を示した説明図である。 テープおよびタイツ素材の伸長特性を示したグラフであり、(a)は長さ方向におけるテープおよびタイツ素材の伸長特性を示したグラフ、(b)は幅方向におけるテープおよびタイツ素材の伸長特性を示したグラフである。 筋電位の測定部位を示した説明図である。 「立つ」と「座る」の運動時に記録された波形を示した筋電図であり、(a)は「立つ」と「座る」の運動時に記録された生波形を示した筋電図、(b)は図6(a)に示す生波形を整流した波形を示した筋電図である。 素足にテーピングを行なった場合の「立つ」と「座る」の運動時の積分筋電図である。 素足にテーピングを行なった場合の大腿直筋および外側広筋の積分筋電図の変化率を示したグラフである。 タイツにテーピングを行なった場合の「立つ」と「座る」の運動時の積分筋電図である。 タイツにテーピングを行なった場合の大腿直筋および外側広筋の積分筋電図の変化率を示したグラフである。 立位および椅座位におけるタイツ着用時の衣服圧の分布を示すグラフである。 「立つ」における大腿直筋と外側広筋との積分筋電図の変化率の関係を示すグラフである。 この発明を実施するための第2の実施形態におけるタイツを示す正面図である。 この発明を実施するための第3の実施形態におけるスパッツを示す正面図である。 この発明を実施するための第4の実施形態におけるタイツを示す正面図である。 この発明を実施するための第5の実施形態におけるスパッツを示す正面図である。 この発明を実施するための第6の実施形態におけるスパッツを示す正面図である。 図17に示すスパッツの背面図である。 図17に示すスパッツの左側面図である。 図17に示すスパッツの右側面図である。 この発明を実施するための第7の実施形態におけるスパッツを示す正面図である。 図21に示すスパッツの背面図である。 図21に示すスパッツの左側面図である。 図21に示すスパッツの右側面図である。
符号の説明
1 タイツ
2 パンティ部
2a 腰天
2b ウエスト・バンド
2c パンティ
2d ガセット
3 レッグ部
3a 太股
3b レッグ
3c アンクル
3d 裾
4 フート部
4a ヒール
4b ソール
4c トウ
5 強締付領域
5a 上端
5b 下端
6 係止部
6a 第1の係止部
6b 第2の係止部
7 ベース生地部
8 第1の領域
9a 地編糸
9b 他の編糸
10 テープ
11 膝蓋骨中点
12 脚部
13 大腿直筋
14 外側広筋
15 大腿二頭筋
16 第2の領域
17 スパッツ
18a 第1の伸縮性帯
18b 第2の伸縮性帯
19a 第3の領域
19b 第4の領域
19c 第5の領域
20 足掛け
21a 直線部分
21b 第1の曲線部分
21c 第2の曲線部分
21d 第3の曲線部分
21e 第4の曲線部分

Claims (7)

  1. 少なくとも膝関節を周回して覆い、体表に密着するインナーウェアにおいて、
    膝蓋骨を覆い、当該膝蓋骨から大腿部および下腿部にかけて脚部の長さ方向にそれぞれ延在する強締付領域を前身側に有し、
    前記強締付領域は、前記脚部の長さ方向の伸縮抵抗が、前記脚部の周方向の伸縮抵抗と比較して大きく、かつ、前記膝蓋骨に対して大腿部側および下腿部側における係止部でそれぞれ係止されていることを特徴とするインナーウェア。
  2. 前記請求項1に記載のインナーウェアにおいて、
    前記強締付領域は、前記膝蓋骨を覆う第1の領域と、前記大腿部において前記第1の領域から複数に分岐して周方向に広がる直線部分または曲線部分の複数の部分からなる第2の領域と、を有しており、
    前記第2の領域における前記直線部分または曲線部分のそれぞれの幅が、前記大腿部において血流阻害を生じさせない幅であることを特徴とするインナーウェア。
  3. 前記請求項1または2に記載のインナーウェアにおいて、
    腰天の周縁部が第1の伸縮性帯であるスパッツまたはタイツであって、
    前記強締付領域は、前記膝蓋骨から前記第1の伸縮性帯まで延在しており、
    前記大腿部側の前記係止部は、前記第1の伸縮性帯であることを特徴とするインナーウェア。
  4. 前記請求項1乃至3のいずれかに記載のインナーウェアにおいて、
    裾の周縁部が第2の伸縮性帯であるスパッツであって、
    前記強締付領域は、前記膝蓋骨から前記第2の伸縮性帯まで延在しており、
    前記下腿部側の前記係止部は、前記第2の伸縮性帯であることを特徴とするインナーウェア。
  5. 前記請求項1乃至3のいずれかに記載のインナーウェアにおいて、
    腰から足先まで密着して包むタイツであって、
    前記強締付領域は、前記膝蓋骨から足裏まで延在しており、
    前記下腿部側の前記係止部は、前記強締付領域を前記足裏と地面または床面とで挟持するものであることを特徴とするインナーウェア。
  6. 前記請求項1乃至3のいずれかに記載のインナーウェアにおいて、
    足掛けを有するスパッツであって、
    前記強締付領域は、前記膝蓋骨から足裏まで延在しており、
    前記下腿部側の前記係止部は、前記足掛けであることを特徴とするインナーウェア。
  7. 前記請求項1乃至6のいずれかに記載のインナーウェアにおいて、
    前記係止部は、前記大腿部に第1の係止部を有していることを特徴とするインナーウェア。

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