JP2007302523A - 水素吸蔵部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、軽量化と小型化を兼ね備えた水素吸蔵合金、水素吸蔵タンク、多層構造体、および複合水素吸蔵合金の製造方法を提供するものである。 【解決手段】 本発明に係る水素吸蔵部材は、水素吸蔵層と水素透過層が交互に各一層以上積層され、前記水素吸蔵層の厚みが10nm以上かつ10μm以下であり、なおかつ前記水素透過層の厚みが10nm以上でかつ前記水素吸蔵層の厚みの35.2%以下である。水素吸蔵層の厚みを10nm以上にすることにより、水素吸蔵層の構造が不安定あるいは不完全になることを抑制できる。水素吸蔵層の厚みを10μm以下とすることにより、単位体積あたりの表面積を増大させて水素吸蔵能力を高めることができる。水素透過層の厚みを10nm以上とすることにより、水素吸蔵層が吸放出する水素が積層面内を透過し易くなる。水素吸蔵の厚みの35.2%以下とすることにより単位体積あたりの水素吸蔵層の比率を74体積%以上とすることができる。【選択図】 図1
Description
本発明は、単位重量および単位体積あたりの水素吸蔵能力に優れた小型軽量水素吸蔵部材およびその製造方法に関する。
水素吸蔵合金の代表的なものとしては、希土類系のLaNi5やMgやその合金であるMg2Ni等があり、水素吸蔵および放出性能などの改良が盛んに行われている。水素吸蔵部材の形状は、水素吸蔵タンクなどに使われる粒子状のもの(例えば、特許文献1参照)のものとニッケル水素電池などに使われているような薄膜状(例えば、特許文献2参照)に大別される。粒子状のものはボールミルを用いたメカニカルアロイング法で製造でき、薄膜状のものはめっき法やスパッタリング法により製造できることが知られている。解決すべき課題としては、水素の吸蔵と放出の両特性を両立させることに関するものが多く、解決手段としては金属組成、結晶構造、形状などの工夫に関するものが多い。
例えば、特許文献3では、Mg2Niのようなマグネシウム系水素吸蔵合金に希土類元素および/または遷移金属元素を混合することにより、水素吸蔵放出温度および圧力を低くする技術が提案されている。また、非特許文献1ではメカニカルアロイング法によりMg2Ni合金を非晶質化することにより水素放出温度を150℃まで低下させ得るものも報告されている。一方、特許文献4では、チタン、ハフニウム、またはイットリウムのうち少なくとも一つの金属元素を含む非晶質炭素を主体とする第1の領域と、前記第1の領域より低密度の非晶質炭素を主体とする第2の領域とを有する水素吸蔵材料やスパッタリングによる製造方法が開示されている。
特開平11-269572号公報
特開平11-135114号公報
特開平7-126774号公報
特開2004-261632号公報
日本金属学会誌第60巻第7号(1996) P.685〜 692
しかしながら、水素吸蔵部材の形状が球状の場合では、空間充填率は最密六方配列の場合に最大となるが、その理論的上限は約74体積%と十分ではない。一方、水素吸蔵部材が薄膜状の場合には3次元空間に高密度に充填することは原理的には可能であるが、具体的な方法は開示されていない。また、単に空間に充填するだけではなく短時間に効率よく水素の吸放出を行うためには、適切な水素透過領域を確保することが必要であった。
従って、本発明の目的は、軽量化と小型化を兼ね備えた水素吸蔵合金、水素吸蔵タンク、多層構造体、および複合水素吸蔵合金の製造方法を提供することにある。
上記課題は、以下に記載する本発明によって解決される。
即ち、本発明に係る水素吸蔵部材は、水素吸蔵層と水素透過層が交互に各一層以上積層され、前記水素吸蔵層の厚みが10nm以上かつ10μm以下であり、なおかつ前記水素透過層の厚みが10nm以上でかつ前記水素吸蔵層の厚みの35.2%以下である。水素吸蔵層の厚みを10nm以上にすることにより、水素吸蔵層の構造が不安定あるいは不完全になることを抑制できる。また、水素吸蔵層の厚みを10μm以下とすることにより、単位体積あたりの表面積を増大させて水素吸蔵能力を高めることができる。また、10μm以下とすると水素吸蔵層をスパッタリング法などで比較的容易に形成することができる。一方、水素透過層の厚みを10nm以上とすることにより、水素吸蔵層が吸放出する水素が積層面内を透過し易くなる。また、水素吸蔵層の厚みの35.2%以下とすることにより単位体積あたりの水素吸蔵層の比率を74体積%以上とすることができる。また、水素吸蔵層の厚みの35.2%以下すなわち3520nm以下とすると水素透過層を蒸着法、化学気相成長法またはスパッタリング法などで比較的容易に形成することができる。
水素吸蔵層と水素透過層を貫く水素導通孔が1つまたは複数開けられており、前記水素導通孔の断面積が0.01mm2以上かつ100mm2以下であり、なおかつ水素吸蔵部材全体の体積に対する前記水素導通孔の総体積の占める比率が10体積%以下とすることができる。水素吸蔵層と水素透過層を貫く水素導通孔が1つまたは複数開けることにより、水素吸蔵層と水素透過層が積層された水素吸蔵部材内部と水素の吸放出を行い易くすることができる。また、前記水素導通孔の断面積が0.01mm2以上かつ100 mm2以下であり、なおかつ水素吸蔵部材全体の体積に対する前記水素導通孔の総体積の占める比率が10体積%以下とすることにより、体積あたりの水素吸蔵領域を十分に確保しつつ水素導通孔を確保することができる。
水素吸蔵層は、多結晶、非晶質あるいは多結晶と非晶質が混在した状態であり、かつマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ジルコニウム、モリブデン、ランタンのうち少なくとも一つの元素を10原子%以上含むニッケル合金、銅合金またはバナジウム合金とすることができる。水素吸蔵層を多結晶とすることで、粒界に効率よく水素を吸蔵できる。また、非晶質とすることで金属内部の構造が複雑になり水素が吸蔵される場所を増やすことができる。多結晶と非晶質を混在した状態とすると金属元素の種類や組成比が化学量論的組成比に制約されなくなるため材料設計を容易にすることができる。水素吸蔵層がマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ジルコニウム、モリブデン、ランタンのうち少なくとも一つの元素を10原子%以上含むと、水素吸蔵能力を高くすることができるのでよい。また、ニッケル合金、銅またはバナジウム合金とすると、単位重量あたりおよび単位体積あたりの水素吸蔵率を高くでき、かつ150℃程度に加熱すると比較的容易に放出させることができるのでよい。
水素透過層は有機物であり、かつ分子構造中の炭素原子に対して珪素、フッ素、窒素のうちいずれかの元素を10原子%以上含み、さらに分子構造中の炭素原子に対して酸素原子の割合が10原子%以下とすることができる。水素透過層が有機物であると、水素吸蔵層の水素の吸放出に伴う体積膨張と収縮による応力を吸収することができ、水素吸蔵層の亀裂や不要な劣化を抑制できる。また、水素透過層が分子構造中の炭素原子に対して珪素、フッ素、窒素のうちいずれかの元素を10原子%以上含むと、空気中150℃における溶融を抑制し易くなり、水素放出時の加熱にも耐えることができる。さらに分子構造中の炭素原子に対して酸素原子の割合が10原子%以下であると、水素雰囲気中150℃における分子中酸素の還元による分解を抑制し易くできる。
また、本発明に係る水素吸蔵層と水素透過層が交互に積層された水素吸蔵部材の製造方法は、1) 離型表面を有するロール状長尺基材を繰り出して移動させながら、前記離型表面に水素吸蔵層をスパッタリング法により形成する工程、2) 前記水素吸蔵層の表面に水素透過層を蒸着法、化学気相成長法またはスパッタリング法のいずれかにより形成した後ロール状に巻き取る工程、3)水素吸蔵層と水素透過層が積層されたロール状長尺基材を所定長さ繰り出した後、所定の形状の金属または炭素製の基材表面に前記水素吸蔵層と水素透過層を所定の形状で転写する工程4)前記ロール状長尺基材を所定長さ巻き取る工程、5)前記3)と前記4)を所定回数繰り返す工程、を含む。離型表面を有するロール状長尺基材を繰り出して移動させながら、前記離型表面に水素吸蔵層をスパッタリング法により形成する工程を用いると、水素吸蔵層を所望の構造で薄く形成することができる。特にスパッタリング法を用いると任意の組成の合金を10nm以上かつ10μm以下の厚みで形成することができ、アルゴンなどの不活性ガスの圧力を調整するなどにより金属結晶の微細構造も制御できる。水素吸蔵層を離型表面を有するロール状長尺基材表面に形成することにより、水素吸蔵層を剥離して積層するなどの加工が行い易くなる。水素吸蔵層の表面に水素透過層を蒸着法、化学気相成長法またはスパッタリング法のいずれかにより形成した後ロール状に巻き取る工程を用い
ると、水素吸蔵層と水素透過層の積層構成が一対構成されるため、積層するなどの工程を簡易にすることができる。水素吸蔵層と水素透過層が積層されたロール状長尺基材を所定長さ繰り出した後、所定の形状の金属または炭素製の基材表面に前記水素吸蔵層と水素透過層を所定の形状で転写する工程を用いると、所定の大きさの水素吸蔵層と水素透過層とが積層された水素吸蔵部材を容易に製造することができる。この工程の後に前記ロール状長尺基材を所定長さ巻き取る工程と前記転写工程を所定回数繰り返すと、水素吸蔵層と水素透過層とが所定周期交互に繰り返された水素吸蔵部材を容易に製造することができる。
ると、水素吸蔵層と水素透過層の積層構成が一対構成されるため、積層するなどの工程を簡易にすることができる。水素吸蔵層と水素透過層が積層されたロール状長尺基材を所定長さ繰り出した後、所定の形状の金属または炭素製の基材表面に前記水素吸蔵層と水素透過層を所定の形状で転写する工程を用いると、所定の大きさの水素吸蔵層と水素透過層とが積層された水素吸蔵部材を容易に製造することができる。この工程の後に前記ロール状長尺基材を所定長さ巻き取る工程と前記転写工程を所定回数繰り返すと、水素吸蔵層と水素透過層とが所定周期交互に繰り返された水素吸蔵部材を容易に製造することができる。
あるいは、本発明に係る水素吸蔵層と水素透過層が交互に積層された水素吸蔵部材の製造方法は、1)シート状基材を回転可能なドラム表面に1層巻き付ける工程、2)前記回転可能なドラムを所定の速度で回転させながら表面に巻き付けられた前記シート状基材の表面に水素吸蔵層をスパッタリング法により形成する工程、3)前記回転可能なドラムが一回転する前に前記水素吸蔵層の表面に水素透過層を蒸着法、化学気相成長法またはスパッタリング法のいずれかにより形成する工程、4)前記2)と前記3)を所定回数繰り返す工程、5)水素吸蔵層と水素透過層が交互に積層された前記シート状基材を前記ドラムから取り外す工程、を含む。水素吸蔵層と水素透過層が交互に積層された水素吸蔵部材の製造方法において、1)シート状基材を回転可能なドラム表面に1層巻き付ける工程、2)前記回転可能なドラムを所定の速度で回転させながら表面に巻き付けられた前記シート状基材の表面に水素吸蔵層をスパッタリング法により形成する工程、3)前記回転可能なドラムが一回転する前に前記水素吸蔵層の表面に水素透過層を蒸着法、化学気相成長法またはスパッタリング法のいずれかにより形成する工程を用い、さらに前記2)と前記3)を所定回数繰り返す工程を用いると水素吸蔵層と水素透過層を容易に交互に積層することができる。また、前記1)の工程を用いることにより水素吸蔵層と水素透過層が積層されたシート状物を容易に前記ドラムから取り外すことができる。
また、本発明に係る水素吸蔵タンクは、本発明に係る水素吸蔵部材が内容積の50体積%以上装填されている。水素吸蔵タンクの内容積の50体積%以上に本発明の水素吸蔵部材が装填されていると、小型軽量で水素吸蔵能力の高い水素吸蔵タンクを実現できる。
本発明の水素吸蔵部材は、薄い水素吸蔵層とさらに薄い水素透過層が複数積層された構成であるため、外部から供給された水素は水素透過層内部を透過して水素吸蔵層表面に到達することが可能である。単位質量あたりの単位表面積の大きさは形状によって異なり、球が最小でシート状の2次元が最大となるため、水素吸蔵層を薄くして水素透過層を挟んで多層構造とすることで水素吸蔵層の単位質量あたりの水素吸蔵能力を高めることができる。
以下この発明の実施形態について説明する。図1に水素吸蔵層と水素透過層が交互に各一層以上積層され、前記水素吸蔵層の厚みが10nm以上かつ10μm以下であり、なおかつ前記水素透過層の厚みが10nm以上でかつ前記水素吸蔵層の厚みの35.2%以下である水素吸蔵部材の一例を示す。図1(a)は水素吸蔵部材の積層断面であり、水素吸蔵層1と水素透過層2が交互に積層されている。また、各層を貫く水素導通孔3が開けられている。図1(b)は図1(a)のA-A'断面である。水素導通孔3が複数開けられている。なお、図1(a)は図1(b)のB-B'断面である。
水素吸蔵層の厚みは100nm以上かつ5μm以下とするとスパッタリング法などにより組成や構造を適正な状態で形成し易いのでよい。また、水素吸蔵層の厚みは10nm以下とすると組成や構造か安定せず、10μm以上とすると結晶や粒界が成長しすぎて適正な状態で形成し難いので好ましくない。また、水素透過層の厚みは50nm以上でかつ水素吸蔵層の厚みの35.2%以下とすると水素吸蔵層の体積比率を74体積%以上にすることが可能となり、水素透過性を確保しつつ水素吸蔵層の比率を高められるのでよい。
また、水素導通孔の断面積が0.05mm2以上かつ25mm2以下とすると、水素吸蔵層と水素透過層を複数積層した後、導通孔をドリル等の機械的方法で容易に開け易いのでよい。また、水素吸蔵部材全体の体積に対する水素導通孔の総体積の占める比率が5体積%以下であると水素の吸放出特性と吸蔵量を共に高められるのでよい。
水素吸蔵層は、多結晶と非晶質が混在した状態でマグネシウムあるいはランタンのうち少なくとも一つの元素を15原子%以上含むニッケル合金またはバナジウム合金とすると、単位重量あたりおよび単位体積あたりの水素吸蔵率を高くでき、かつ150℃程度に加熱すると比較的容易に放出させることができるのでよい。
水素透過層は有機物で形成すると水素透過性が高いのでよい。また、有機物のガラス転移温度が150℃以上であると、水素の吸放出時の加熱により溶融、昇華、熱分解などを起こし難いのでよい。具体的には、骨格にスチレン、ベンゼン、ナフタレン、ピリジンなどを含むものが好ましく、さらに具体的には、2-(メチルカルバモイル)スチレン、2-(フェニルカルバモイル)スチレン、2-カルボキシスチレン、4-テラトブチルスチレンなどを含むものが挙げられる。
次に、本発明に係る水素吸蔵層と水素透過層が交互に積層された水素吸蔵部材の製造方法の一例を図2を用いて説明する。真空に排気可能な容器4の中に回転可能なドラム5が設置されており、そのドラム5表面に離型層6-2付きシート状基材6-1が1層巻きつけられている。シート状基材6-1の融点は120度以上であると、水素吸蔵層1および水素透過層2の形成時に溶融等の変形が起き難いのでよい。離形層6-2があると積層された水素吸蔵部材をシート状基材6-1から剥離し易いのでよい。また、水素吸蔵層1の原料をターゲットとしたスパッタカソード源1-1がドラム5と対向して配置されており、スパッタ電源1-2に接続されている。スパッタカソード源1-1の近傍にはスパッタ放電用の希ガス1-3が供給されるようになっている。また、水素透過層2の原料2-1が前記スパッタカソート源1-1から離れた位置に供給され、プラズマ電源2-3が接続されたプラズマ電極2-2によって分解および/または重合されるようになっている。ドラムが一定速度で回転された後、水素吸蔵層1のスパッタ成膜が開始され、水素吸蔵層1の成膜開始位置がプラズマ電極22の近傍を通過するときにプラズマが生成され水素透過層2の成膜が開始される。
図3に、離形層6-2が形成されたシート状基材6-1の上に水素吸蔵層1と水素透過層2とが交互に各2層形成された状態の断面の概略図を示す。水素吸蔵層1は柱状の多結晶構造であり、粒界や成膜開始から間もない部分では微結晶の成長初期状態であり非晶質も含まれる。厚みが増すにつれて結晶粒は成長するが、成膜厚みを10μm以下とすることにより過剰な結晶成長は抑制されている。
図4に、図2で説明した方法により離型層付きシート状基材6の表面に水素吸蔵層1と水素透過層2が積層されたものから水素吸蔵層1と水素透過層2が剥離され、水素吸蔵部材12がさらに積層される工程の説明を示す。図4(a)はドラム5に離型層付きシート状基材6が巻かれ、その上に水素吸蔵層1と水素透過層2が交互に積層された水素吸蔵部材12が形成された状態である。水素吸蔵部材12が一箇所破断され、図4(b)のように広げられる。このとき離型層付きシート状基材6が剥離される。次に図4(c)に示されるような平らな状態とされ、図4(d)に示されるように所定の形状に分割され、基材7の上に積層される。
図5に本発明に係る水素吸蔵タンク構造の一例を示す。基材7の上に水素吸蔵層1と水素透過層2とが交互に積層され、水素導通孔3が水素吸蔵層1と水素透過層2を貫いて複数空けられている。水素吸蔵部材はタンク8の内部に収納されており、水素導通孔3はタンク8外部と連通可能となっている。なお、図5(a)のA-A'断面が図5(b)であり、図5(b)B-B'断面が図5(a)である。
なお、本発明の水素吸蔵部材および水素吸蔵部材の製造方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。
図2で説明した方法により水素吸蔵部材を作成した。具体的には、直径1m幅600mmの回転可能なドラム5の表面に、離型層付きシート状基材6として東レフィルム加工株式会社製"セラピールMT"25μm厚を1層巻き付け、ドラム5と両面テープを用いて固定した。水素吸蔵層1の材料であるスパッタカソート源1-1としてはMg2Ni合金を用いスパッタ電源1-2としてアドバンスドエナジー社の"Pinnacle 50K"を用いた。また、水素透過層2の材料2-1としては三協化学株式会社製スチレンモノマーの蒸気を用い、プラズマ電極2-2にプラズマ電源2-3として株式会社京三製作所製高周波電源RFK-10Zを接続した。
上記準備の後、真空容器4の内部を1×10-3Paまで排気し、ドラム5を10回/minで回転させた。ドラム5は内部に-15℃の冷媒を通して冷却した。次に真空容器4の内部にアルゴンガスを400cm3/min導入して圧力が2Paになるように排気バルブを調整した。図2には示めされていないが、スパッタカソード源1-1とドラム5の間にはシャッターが設置されており、これを閉めた状態でスパッタ電源1-2に10kW投入して放電を開始した。この後プラズマ電源2-3に1kW投入して放電を開始した。このとき、プラズマ電極2-2近傍にはアルゴンは十分供給されていないため放電はやや不安定であった。なお、図2には示されていないが、プラズマ電極2-2とドラム5の間にはシャッターが設置されており、これを閉めた状態でプラズマ電極2-2近傍に水素透過層2の材料2-1としてスチレンモノマーの蒸気を50cm3/min導入した。すると、プラズマ電極2-2近傍のプラズマは安定し、発光色は青白くなった。この後、スパッタカソード源1-1前のシャッターを開け、1.5s後にプラズマ電極2-2の前のシャッターを開けた。このままドラム5が4万回転するまで約67時間連続運転を行い、スパッタカソード源1-1前およびプラズマ電極2-2の前のシャッターを閉め、スパッタ電源1-2とプラズマ電源2-3を停止すると共にスチレンモノマーの導入を停止した。5min後にアルゴンガスの導入を停止し、排気バルブを閉めた後真空容器内部に大気を導入して開放した。
次に、積層された水素吸蔵部材12を離型層付きシート状基材6の合わせ目に合わせてカッターナイフで切り込みを入れ、シート状基材6に積層された水素吸蔵部材をドラム5から取り外した。積層された水素吸蔵部材12の厚みは6mmで、水素吸蔵層1の厚みは120nm、水素透過層2の厚みは30nmであった。従って、水素吸蔵部材12における水素吸蔵層1の体積比は80体積%であり、球の最密六方充填の体積率74体積%を超えるものであった。次に、取り出された水素吸蔵部材12から離型層付きシート状基材6を剥離し、120cm×80cm角の2枚のステンレス板に挟んで常温で10Paの加重を30minかけて保持した。この後平坦になった水素吸蔵部材12を取り出し、直径120mmの円形に打ち抜いたものを32枚作成した。これを厚み10mm、直径120mmのジュラルミン(JIS A7075)製円板上に積層し、大気中180℃、20Paで5分間プレスし高さ200mmの円筒状の水素吸蔵部材を作成した。この水素吸蔵部材のアルミ板側から直径1mmの貫通孔を等間隔に31個開けた。これを厚み5mm、内径121mm、有効深さ220mmのステンレス製の円筒容器に納め、水素吸蔵タンクを作成した。
本発明の水素吸蔵部材およびその製造方法は、単位重量および単位体積あたりの水素吸蔵能力に優れた小型軽量水素吸蔵部材を提供し、水素を利用した電池や自動車用水素燃料タンクなどにも適用することができる。
1 :水素吸蔵層1-1 :スパッタカソード源1-2 :スパッタ電源1-3 :希ガス2 :水素透過層2-1 :水素透過層の材料 2-2 :プラズマ電極2-3 :プラズマ電源3 :水素導通孔4 :重真空容器5 :ドラム6 :離型層付きシート状基材6-1 :シート状基材6-2 :離型層7 :基材8 :タンク12 :水素吸蔵部材
Claims (7)
- 水素吸蔵層と水素透過層が交互に各一層以上積層され、前記水素吸蔵層の厚みが10nm以上かつ10μm以下であり、なおかつ前記水素透過層の厚みが10nm以上でかつ前記水素吸蔵層の厚みの35.2%以下であることを特徴とする水素吸蔵部材。
- 水素吸蔵層と水素透過層を貫く水素導通孔が1つまたは複数開けられており、前記水素導通孔の断面積が0.01mm2以上かつ100mm2以下であり、なおかつ水素吸蔵部材全体の体積に対する前記水素導通孔の総体積の占める比率が10体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の水素吸蔵部材。
- 水素吸蔵層が、多結晶、非晶質あるいは多結晶と非晶質が混在した状態であり、かつマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ジルコニウム、モリブデン、ランタンのうち少なくとも一つの元素を10原子%以上含むニッケル合金、銅合金またはバナジウム合金であることを特徴とする請求項1または2に記載の水素吸蔵部材。
- 水素透過層が有機物であり、かつ分子構造中の炭素原子に対して珪素、フッ素、窒素のうちいずれかの元素を10原子%以上含み、さらに分子構造中の炭素原子に対して酸素原子の割合が10原子%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素吸蔵部材。
- 水素吸蔵層と水素透過層が交互に積層された水素吸蔵部材の製造方法において、1) 離型表面を有するロール状長尺基材を繰り出して移動させながら、前記離型表面に水素吸蔵層をスパッタリング法により形成する工程、2) 前記水素吸蔵層の表面に水素透過層を蒸着法、化学気相成長法またはスパッタリング法のいずれかにより形成した後ロール状に巻き取る工程、3)水素吸蔵層と水素透過層が積層されたロール状長尺基材を所定長さ繰り出した後、所定の形状の金属または炭素製の基材表面に前記水素吸蔵層と水素透過層を所定の形状で転写する工程4)前記ロール状長尺基材を所定長さ巻き取る工程、5)前記3)と前記4)を所定回数繰り返す工程、を含むことを特徴とする水素吸蔵部材の製造方法。
- 水素吸蔵層と水素透過層が交互に積層された水素吸蔵部材の製造方法において、1)シート状基材を回転可能なドラム表面に1層巻き付ける工程、2)前記回転可能なドラムを所定の速度で回転させながら表面に巻き付けられた前記シート状基材の表面に水素吸蔵層をスパッタリング法により形成する工程、3) 前記回転可能なドラムが一回転する前に前記水素吸蔵層の表面に水素透過層を蒸着法、化学気相成長法またはスパッタリング法のいずれかにより形成する工程、4)前記2)と前記3)を所定回数繰り返す工程、5) 水素吸蔵層と水素透過層が交互に積層された前記シート状基材を前記ドラムから取り外す工程、を含むことを特徴とする水素吸蔵部材の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水素吸蔵部材が内容積の50体積%以上装填されていることを特徴とする水素吸蔵タンク。
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JP2006133424A Withdrawn JP2007302523A (ja) | 2006-05-12 | 2006-05-12 | 水素吸蔵部材およびその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3140249A1 (de) * | 2014-05-05 | 2017-03-15 | GKN Sinter Metals Engineering GmbH | Wasserstoffspeicher umfassend einen werkstoffverbund sowie verfahren zu dessen herstellung |
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2006
- 2006-05-12 JP JP2006133424A patent/JP2007302523A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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