JP2007301601A - Cr含有鋼の鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブローホールの鋳片欠陥を抑制する。
【解決手段】質量%で、C:0.04%以下、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:20.0〜30.0%、Ni:5.0〜11.0%、Mo:0.5〜6.0%、Al:0.001〜0.05%、N:0.2〜0.5%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、不純物中のSが0.010%以下、Pが0.030%以下の鋼を鋳造する方法である。鋼中の拡散性水素の含有量(質量%)、窒素の含有量(質量%)、Crの含有量(質量%)を、[%H]、[%N]および[%Cr]と、鋳造鋳型内面の横断面積(m2)をAとした場合、拡散性水素の含有量と、窒素の含有量と、Crの含有量と、前記横断面積Aとの関係が、0.16log[%H]+log[%N]≦0.05[%Cr]−0.34A−2.208を満たす条件で鋳造する。
【効果】ブローホールを抑制して品質と生産性の両立を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば継目無鋼管の素材となるステンレス鋼等のCr含有鋼を鋳造する方法に関するもので、特に外面疵の原因となるブローホールを抑制する方法に関するものである。
ステンレス鋼に代表されるCr含有鋼は、継目無鋼管をはじめとして各種の鋼製品用の素材として広く使用されている。その素材としては、連続鋳造あるいはインゴット鋳造等によって製造された鋼片がそのまま使用されるか、あるいは1100℃以上に加熱して熱間加工を施したものが使用される。
Cr含有鋼を素材として継目無鋼管等を製造した場合、普通鋼を素材とする場合に比べて、外面疵が発生する場合が多い。一方、ユーザーからの表面品質に対する要求レベルは年々高くなりつつあり、その低減が不可欠となっている。
外面疵発生の原因は様々であるが、Cr含有鋼を使用することが多いラインパイプ用や油井用の鋼管等においては、耐食性の向上等を目的として添加される窒素(N)が欠陥の主な原因である。
Cr含有継目無鋼管の外面疵の発生機構は次のように考えられる。
すなわち、連続鋳造あるいはインゴット鋳造等により製造された鋼片には、鋳造時に発生する窒素ガスによるブローホールが存在する。このブローホールが、製管加工以降も残存し、製品の外面疵となる。
ブローホールは、溶鋼中に含有されている窒素が、鋳造時における溶鋼の温度低下に伴って溶鋼中に溶解できなくなり、また固相中にも固溶されず、窒素ガスの気泡となって、凝固した鋳片に空孔として残存する欠陥である。このような空孔が残存した鋳片が、圧延等の工程を経て継目無鋼管などに加工されると、鋳片の空孔欠陥が外面疵になるのである。
従来、前記外面疵を低減するために、連続鋳造あるいはインゴット鋳造等によって製造された鋼片を、一旦冷却し、鋳片表面または表層近傍に生成したブローホールをグラインダー手入等によって除去する対策が採られていた。しかしながら、このような対策では、作業能率の低下や製造コストの増大を招くので、工業生産上好ましくない。
そこで、特許文献1では、鋼中におけるCr、Nの含有量と、鋳型の横断面積の関係を用いて、ブローホール欠陥の抑制を試みたCr含有鋼の製造方法が開示されている。
特開2003−41351号公報
また、特許文献2では、鋼中におけるC、Nの含有量及びその和を制限することで、ピンホール欠陥の抑制を試みたマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法が開示されている。
特開2005−163176号公報
特許文献1や特許文献2で開示された製造方法は、前記外面疵の抑制効果は認められるものの、年々高くなりつつあるユーザーの表面品質に対する要求レベルに必ずしも応えることができるものではなかった。
本発明が解決しようとする問題点は、Cr含有鋼の鋳造に際し、クリープ強度、耐食性等の性能向上の観点から固溶限界近くまでNを添加する場合があるが、こうした場合、従来の製造方法では、年々高くなりつつあるユーザーの表面品質に対する要求レベルに必ずしも応えることができないという点である。
本発明は、Cr含有鋼を鋳造するに際し、ブローホールの鋳片欠陥を抑制すると同時に、年々高まりつつあるユーザーの表面品質に対する要求レベルにも応えることで、品質と生産性の両立を図ることを可能とすることを目的としてなされたものである。
本発明のCr含有鋼の鋳造方法は、
質量%で、
C:0.04%以下、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:20.0〜30.0%、Ni:5.0〜11.0%、Mo:0.5〜6.0%、Al:0.001〜0.05%、N:0.2〜0.5%を含有し、
残部がFeおよび不純物からなり、
不純物中のSが0.010%以下、Pが0.030%以下である鋼を鋳造する方法であって、
鋼中の拡散性水素の含有量(質量%)、窒素の含有量(質量%)、Crの含有量(質量%)を、[%H]、[%N]および[%Cr]と、鋳造に使用する鋳型の鋳型内面の横断面積(m2)をAとした場合、
これら拡散性水素の含有量と、窒素の含有量と、Crの含有量と、前記横断面積Aとの関係が、
0.16log[%H]+log[%N]≦0.05[%Cr]−0.34A−2.208
を満たす条件で鋳造することを最も主要な特徴としている。
本発明のCr含有鋼の製造方法において、
さらに、質量%で、
Cu:0.1〜2.0%、W:0.1〜3.0%、Nb:0.005〜0.2%、V:0.08〜0.3%、Ti:0.005〜0.030%、およびB:0.0005〜0.0050%のうちの1種以上を含有させた場合には、クリープ強度の向上に効果がある。
また、本発明のCr含有鋼の製造方法において、
さらに、Ca:0.0001〜0.0060質量%を含有させた場合には、靭性と熱間加工性の向上に効果がある。
本発明によれば、Cr含有鋼の鋳造に際し、ブローホールの鋳片欠陥を抑制すると同時に、年々高まりつつあるユーザーの表面品質に対する要求レベルにも応えることができ、品質と生産性の両立を図ることができるという利点がある。
発明者らは、溶鋼中における窒素や水素がブローホール発生に相互に影響をおよぼすことを見出した。そして、種々実験を行った結果、外面疵の原因となるブローホールを抑制するために、従来にはその概念が無かった溶鋼中における窒素と水素の含有量の相互に影響を及ぼす関係を見出した。さらに前記窒素と水素の含有量、溶鋼中のCr含有量、鋳型内面の横断面積の関係を定量的に導き出した。
本発明のCr含有鋼の鋳造方法は、発明者らによる上記知見に基づいてなされたものであり、
質量%で、
C:0.04%以下、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:20.0〜30.0%、Ni:5.0〜11.0%、Mo:0.5〜6.0%、Al:0.001〜0.05%、N:0.2〜0.5%を含有し、
残部がFeおよび不純物からなり、
不純物中のSが0.010%以下、Pが0.030%以下である鋼を鋳造する方法であって、
鋼中の拡散性水素の含有量(質量%)、窒素の含有量(質量%)、Crの含有量(質量%)を、[%H]、[%N]および[%Cr]と、鋳造に使用する鋳型の鋳型内面の横断面積(m2)をAとした場合、
これら拡散性水素の含有量と、窒素の含有量と、Crの含有量と、前記横断面積Aとの関係が、
0.16log[%H]+log[%N]≦0.05[%Cr]−0.34A−2.208
を満たす条件で鋳造するものである。
また、本発明のCr含有鋼の鋳造方法は、
さらに、
質量%で、
Cu:0.1〜2.0%、W:0.1〜3.0%、Nb:0.005〜0.2%、V:0.08〜0.3%、Ti:0.005〜0.030%、およびB:0.0005〜0.0050%のうちの1種以上と、Ca:0.0001〜0.0060%を含有させたり、
あるいは、Ca:0.0001〜0.0060%を含有させたものである。
以下、本発明の構成要件の必要理由、範囲及び数値等の限定理由について説明する。
(1) 鋼の組成について
以下、本発明において、鋼の組成を限定した理由を各成分の作用効果とともに述べる。
C:0.04質量%以下
Cは、オーステナイト相を安定化するのに有効であるが、その含有量が0.04質量%を超えると炭化物が析出しやすくなって耐食性が劣化するため、本発明では0.04質量%以下とした。
Si:0.10〜1.00質量%
Siは、鋼の精錬過程で脱酸剤として働き、また、鋼の耐水蒸気酸化性の改善に有効である。しかしながら、その含有量が1.00質量%を超えると加工性を害し、金属間化合物の生成を促進し易くなり、熱間加工性を低下させるため1.00質量%以下とした。
ところで、Siには鋼の強度を上げる作用もある。従って、前記の耐水蒸気酸化性改善および強度向上の効果を得るためには、0.10質量%以上含有させることが必要である。望ましい範囲は0.15〜0.50質量%である。
Mn:0.1〜1.5質量%
Mnは、鋼の熱間加工性を改善するが、0.1質量%未満ではその効果は小さい。一方、1.5質量%を超えると鋼を硬化させ、加工性、溶接性、耐食性の劣化を招く。従って、本発明では、Mnの適正含有量を0.1〜1.5質量%とした。望ましい範囲は0.1〜1.0質量%である。
Cr:20.0〜30.0質量%
Crは、耐食性を維持するために有効な元素であるが、その含有量が20.0質量%未満では必要な耐食性を確保できない。一方、その含有量が30.0質量%を超えると金属間化合物の析出が顕著になり、耐食性のみならず熱間加工性および溶接性が劣化する。このため、本発明ではその含有量を20.0〜30.0質量%とした。好ましい範囲は22.0〜27.0質量%である。
Ni:5.0〜11.0質量%
Niは、オーステナイト相を生成する元素であり、かつδ−フェライト相の析出抑制に寄与する。しかしながら、その含有量が5.0質量%未満ではフェライト量が多くなりすぎて二相ステンレス鋼の特徴が消失する。フェライト相が多くなると窒化物が析出しやすくなって耐食性が劣化する。一方、その含有量が11.0質量%を超えるとフェライト相が少なくなり二相ステンレス鋼としての特徴が少なくなる。また金属間化合物が析出し、靭性、加工性を損なう。このため、本発明では、その含有量を5.0〜11.0質量%とした。好ましい範囲は5.0〜10.0質量%である。
Mo:0.5〜6.0質量%
Moは、鋼中に固溶して強度を上げる固溶強化元素である。また耐食性、特に耐孔食性および耐隙間腐食性を向上させるのにも有効である。しかしながら、含有量が0.5質量%未満であるとその効果は得られない。一方、含有量が6.0質量%を超えると金属間化合物が析出し、靭性、加工性の劣化を招く。このため、本発明では、その含有量を0.5〜6.0質量%とした。好ましい範囲は1.0〜4.0質量%である。
Al:0.001〜0.05質量%
Alは、鋼の脱酸剤として添加されるが、その効果を得るためには、0.001質量%以上含有することが必要である。しかしながら、含有量が0.05質量%を超えるとAlNとして析出し、靱性および耐食性の劣化を招くので、本発明では0.05質量%以下とした。好ましい範囲は0.001〜0.04質量%である。
N:0.2〜0.5質量%
Nは、Cr、Mo、Wなどのフェライト相生成元素を比較的多く含有する鋼の熱的安定と耐食性を向上させるのに有効な元素であるが、その含有量が0.2質量%未満ではこれらの効果は得られない。一方、その含有量が0.5質量%を超えると熱間加工性が低下するのみならず、窒化物が生成し、溶接の靱性および耐食性が低下する。このため、本発明では、その含有量を0.2〜0.5質量%とした。好ましい範囲は0.25〜0.45質量%である。
S:0.010質量%以下
Sは、鋼の耐食性、靭性および熱間加工性に有害な不純物元素であり、鋼中に不可避的に混入するが、その含有量が0.010質量%を超えると圧延時に疵が発生しやすくなる。従って、本発明では、その含有量を0.010質量%以下としたが、できる限り少ないほうがよい。
P:0.030質量%以下
Pも、鋼の耐食性、靭性および熱間加工性に有害な不純物元素であり、鋼中に不可避的に混入するが、その含有量が0.030質量%を超えると圧延時に疵が発生しやすくなる。従って、本発明では、その含有量を0.030質量%以下としたが、できる限り少ない方がよい。
以下の、Cu、W、Nb、V、Ti、BおよびCaは、必要に応じてそれぞれの適正範囲内でさらに添加してもよい。
Cu:0.1〜2.0質量%
Cuは、オーステナイト安定化元素として組織を安定にし、また鋼の耐酸化性、耐食性の改善に有効な元素であり、これらの効果を得るためには0.1質量%以上の含有量が必要である。しかしながら、2.0質量%を超える添加は、クリープ強度の低下、熱間加工性の劣化を招く。したがって、本発明ではCuを含有させる場合には、その含有量を0.1〜2.0質量%とした。好ましい範囲は0.1〜1.8質量%である。
W:0.1〜3.0質量%
Wは、クリープ強度を上げる成分であり、耐食性、特に耐孔食性、耐隙間腐食性を向上させるのにも有効である。しかしながら、含有量が0.1質量%未満ではその効果が小さく、また3.0質量%を超えると、靭性、加工性が損なわれる。このため、本発明では、Wを含有させる場合には、その含有量を0.1〜3.0質量%とした。好ましい範囲は0.1〜2.5質量%である。
Nb:0.005〜0.2質量%
Nbは、CおよびNと結合して炭窒化物を形成し、強度、クリープ強度の向上に有効であるが、含有量が0.005質量%未満ではその効果が得られず、一方、0.2質量%を超えると靭性、溶接性、クリープ強度を損なう。このため、本発明では、Nbを含有させる場合には、その含有量を0.005〜0.2質量%とした。好ましい範囲は0.005〜0.15質量%である。
V:0.08〜0.3質量%
Vは、CおよびNと結合して炭窒化物を形成し、強度、クリープ強度の向上に有効である。また、耐食性を向上させる作用を有する。しかしながら、0.08質量%未満では十分な効果が得られない。一方、0.3質量%を超えると逆にクリープ強度の低下や耐食性の低下をもたらす。このため、本発明では、Vを含有させる場合には、その含有量を0.08〜0.3質量%とした。好ましい範囲は0.10〜0.25質量%である。
Ti:0.005〜0.03質量%
Tiは、炭窒化物を形成し、鋼の強度、クリープ強度の向上に有効であるが、0.005質量%未満では十分な効果が得られない。一方、0.03質量%を超えると靭性が損なわれる。このため、本発明では、Tiを含有させる場合には、その含有量を0.005〜0.03質量%とした。好ましい範囲は0.005〜0.02質量%である。
B:0.0005〜0.0050質量%
Bは強度、クリープ強度の向上に有効であり、またSが結晶粒界に偏析するのを抑制して熱間加工性を向上させる。しかしながら、0.0005質量%未満では十分な効果が得られず、一方、0.0050質量%を超えると溶接性、加工性、耐食性の劣化を招く。このため、本発明では、Bを含有させる場合には、その含有量を0.0005〜0.0050質量%とした。好ましい範囲は0.0005〜0.0040質量%である。
Ca:0.0001〜0.0060質量%
Caは、鋼中で酸化物を形成し、介在物を安定化かつ無害化することにより靭性を向上させ、また熱間加工性も向上させる。しかしながら、0.0001質量%未満では十分な効果が得られず、一方、0.0060質量%を超えると靭性を損なう。このため、本発明では、Caを含有させる場合には、その含有量を0.0001〜0.0060質量%とした。好ましい範囲は0.0001〜0.0035質量%である。
(2) 鋼中の水素[H]、窒素[N]、[Cr]の関係について
先に説明した特許文献1では、Cr含有鋼において、ブローホールによる外面疵の発生が少なく、不合格率が10%未満となるのは、溶鋼中の窒素[N]と[Cr]との関係について、下記式が満たされる領域であることが示されている。
log[%N]≦0.05[%Cr]−0.34A−1.353
なお、Aは鋳造に使用する鋳型における内面の横断面積(m2)で、一般的には0.02〜1.00m2の範囲である。
但し、本発明が対象とするCr含有鋼すなわち2相ステンレス鋼では、特許文献1が対象とするCr含有鋼と、成分系が異なることによりCrやその他の成分濃度が異なり、更にそれにより融点(1452℃)が異なるため、前記式とは定数項が異なり、
log[%N]≦0.05[%Cr]−0.34A−1.357…(1)
になる。
発明者らは、溶鋼中に含有される水素の含有量が、ブローホールの発生に対し、窒素の含有量と相互に影響を及ぼすメカニズムについて、以下のように推定した。
すなわち、窒素と水素は共に侵入型固溶元素であるので、前記水素の含有量が低いと、固相が析出した時に窒素が固溶するサイトに余裕があり、溶鋼から排出される窒素量が低減し、ガス化しにくくなる。これに対し、前記水素の含有量が高いと、反対に固相が析出した時に窒素が固溶するサイトに余裕がなく、溶鋼から排出される窒素量が増加してガス化しやすくなる。
発明者らは、この推定を基に、さらに前記(1)式で考慮されていない前記水素の含有量が及ぼす影響についての調査を行い、これらの関係を定量化するに至った。
図1は、縦軸を前記水素の含有量、横軸を0.05[%Cr]−log[%N]−0.34Aとして後述の実施例の結果をプロットしたものである。図1中の○と×は、鋳片表面のピンホール数によって評価したもので、1m2当り10個以上のピンホールがある場合を×、9個以下の場合を○とした。
図1に示す通り、前記評価は直線bを境として分けることができ、この直線bの傾きと縦軸の切片を求めた結果、直線bは下記(2)式で表すことができる。
log[%H]
=6.25(0.05[%Cr]−log[%N]−0.34A)−13.8…(2)
この(2)式が前記(1)式に対して前記拡散性水素の含有量の影響を加味して補正した式である。
従って、(2)式より、外面疵の発生が少なく、鋳片表面成績が良好となる領域は、下記の(3)式が満たされる領域になる。
0.16log[%H]+log[%N]≦0.05[%Cr]−0.34A−2.208
…(3)
つまり、この(3)式を満たす条件で溶鋼を鋳造すれば、ブローホールに起因する欠陥の少ない鋳片を製造できることになる。
本発明のCr含有鋼の鋳造方法において、前記(3)式を実現する方法としては、例えば以下のようなものがある。
溶鋼中に含有される水素を精錬段階で極力低減し、その後の鋳造時までの間に上昇することを抑制することが望ましい。精錬段階で前記水素を低減する手段としては、処理前・処理後の前記水素の濃度、AOD炉及びVOD炉のフラックスの投入量とタイミング、VOD炉の真空度、処理時間等の関係を予め求めておき、製造するCr濃度、鋳型内面の横断面積を考慮し、製造コストが最小となるべく操業条件を決定すればよい。
また、あわせて水素濃度のバラツキを低減するためには、水分含有量が一定のフラックス等を使用することが望ましい。また、精錬が終了してから水素の上昇を防止する手段としては、取鍋・タンディッシュ等に使用する耐火物の水分を極力除去しておくことが望ましい。
但し、本発明の実施は上記の方法にとらわれるものではなく、他の方法を採用してもかまわない。
ところで、水素濃度を分析する方法としては、例えば真空二重鉄管を用いて鋳型内の溶鋼を採取し、冷却した後、拡散性水素量を測定する方法を採用すればよいが、この方法に限らず、例えばピンサンプルを使用した方法でもよい。このピンサンプルを使用した方法は、拡散性水素と非拡散性水素両方のトータル値を測定する方法で、この方法で測定した後、ある経験値を用いて拡散性水素量を算出する。
供試鋼の溶製は、電気炉、AOD炉精錬、VOD炉精錬、バブリング処理の工程で行い、その後、機長27mの湾曲型連続鋳造機、或いはインゴットを用いて種々の断面形状の鋳片、鋼塊を製造した。鋳造したCr含有鋼の組成を下記表1及び表2に、鋳造条件を表3に、前記(2)式の右辺の括弧内の値、鋼中の拡散性水素の含有量(質量%)、前記(3)式の左辺−右辺の値及び評価を表4に示す。
下記表1及び表2における各化学成分は、鋳造中に溶鋼サンプルを採取し、冷却後分析に供した。
但し、水素濃度分析については、図2(a)に示した真空二重鉄管1の内側に鋳型内より溶鋼2を吸引して採取する。真空二重鉄管1の内管1aと外管1bの間は真空となされているため、内管1a内に吸引された溶鋼2中の水素は拡散して外管1bと内管1aの間の真空空間内に放出される(図2(b))。
その後、冷却部3で放冷または水冷して真空空間内に水素が放出した真空二重鉄管1を冷却させた後(図2(c))、前記真空二重鉄管1を冷却部3から取り出し(図2(d))、真空空間内に拡散して放出された水素量を測定(カウント)することにより拡散性水素濃度を測定する。
Figure 2007301601
Figure 2007301601
Figure 2007301601
Figure 2007301601
鋳片は、グラインダーにより表面の約2mm程度を研削した後、目視及びカラーチェックにより検査を行った。この時、1m2当り10個以上のピンホールがある場合を×、9個以下の場合を○とした。
表4より分かるように、鋼種1〜37は、0.16log[H%]+log[N%]−(0.05[Cr%]−0.34A−2.208)≦0を満たしている、すなわち前記(3)式を満たしているため、表面性状は良好であった。
一方、鋼種38〜41は、0.16log[H%]+log[N%]−(0.05[Cr%]−0.34A−2.208)>0となり、前記(3)式を満たしていないため、表面性状は悪く、ピンホールが多発した。
図1は、表4の結果から、log[H%]と0.05[Cr%]−log[N%]−0.34Aの関係を示したものである。この図1から、log[H%]≦6.25(0.05[Cr%]−log[N%]−0.34A)−13.8を満たす領域、すなわち前記(3)式を満たしている領域においては、表面性状が良好であることは明らかである。
本発明は、上記の実施例に示したものに限られるものではなく、また製造される鋼片の用途も、継目無鋼管用に限らず、別の用途に用いられるものでも良いことはいうまでもない。
log[H%]と0.05[Cr%]−log[N%]−0.34Aの関係、および鋳片表面に1m2当り10個以上ピンホールが発生する境界を示す図である。 (a)〜(d)は水素濃度分析方法の一例を説明する概略図である。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.04%以下、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:20.0〜30.0%、Ni:5.0〜11.0%、Mo:0.5〜6.0%、Al:0.001〜0.05%、N:0.2〜0.5%を含有し、
    残部がFeおよび不純物からなり、
    不純物中のSが0.010%以下、Pが0.030%以下である鋼を鋳造する方法であって、
    鋼中の拡散性水素の含有量(質量%)、窒素の含有量(質量%)、Crの含有量(質量%)を、[%H]、[%N]および[%Cr]と、鋳造に使用する鋳型の鋳型内面の横断面積(m2)をAとした場合、
    これら拡散性水素の含有量と、窒素の含有量と、Crの含有量と、前記横断面積Aとの関係が、
    0.16log[%H]+log[%N]≦0.05[%Cr]−0.34A−2.208
    を満たす条件で鋳造することを特徴とするCr含有鋼の鋳造方法。
  2. さらに、質量%で、
    Cu:0.1〜2.0%、W:0.1〜3.0%、Nb:0.005〜0.2%、V:0.08〜0.3%、Ti:0.005〜0.030%、およびB:0.0005〜0.0050%のうちの1種以上を含有する鋼を鋳造することを特徴とする請求項1に記載のCr含有鋼の鋳造方法。
  3. さらに、Ca:0.0001〜0.0060質量%を含有する鋼を鋳造することを特徴とする請求項1または2に記載のCr含有鋼の鋳造方法。
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