JP2007301017A - ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブ - Google Patents

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Abstract

【課題】打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入する水分、草、または土等の異物を効果的に排除し、結果的にゴルフボールがおかれた状況に左右されることなく比較的安定した飛距離を得ることが可能なゴルフクラブヘッド、およびゴルフクラブを提供する。
【解決手段】本発明のゴルフクラブヘッドは、ゴルフボールを打撃するフェース面を有し、フェース面が所定のロフト角度に形成されている。フェース面上に深さが200〜600μm、幅が250〜1000μmである第1の溝が複数形成されてなる第1の溝群と、深さが5〜50μm、幅が5〜100μmである第2の溝が複数形成されてなる第2の溝群とを有し、第1の溝の総長さは250〜1200mm、第2の溝の総長さは100〜1200mmである。第1の溝とフェース面上の水平仮想線とのなす角度αが0°〜15°であり、第2の溝と水平仮想線とのなす角度βが45°〜90°である。
【選択図】図4

Description

本発明は、ゴルフボールがおかれた状況の影響を軽減し、比較的安定した飛距離を得ることができるゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブに関する。
ゴルフクラブに求められる機能の1つとして、安定した飛距離を得ることが挙げられる。安定した飛距離を得るために打球されるゴルフボールの飛翔を安定させるという面に着目して、近年、ゴルフクラブに改良が試みられている。
例えば、ゴルフクラブのフェース面上に、断面が凹状の溝等からなるスコアラインを、ゴルフクラブのトウ−ヒール方向に設けることによって、打球時にフェース面とゴルフボールが受ける摩擦力を大きくしてバックスピン量を増大させることがなされている。
バックスピン量の増大によって、ゴルフボールの飛翔が比較的安定したものとなり結果的に安定した飛距離が得られると考えられている。
また、一方、特に、ティーショット以外で用いる場合においては、一般的に、ライといわれるゴルフボールがおかれている状況によって、打球の飛翔に影響を受けることが分かってきた。ここで、打球の飛翔に影響とは、飛距離の増減のような絶対的な影響の他に、予測がつかないような飛翔の可能性、つまり同じような状況(条件)で打球した場合にも関わらず飛距離がばらつくようなことである。
特に、打球時に、ゴルフボールとフェース面との間に水分、草、または土等の異物が介入すると、打球時にフェース面とゴルフボールが受ける摩擦力が小さくなる傾向があり、バックスピン量が減少することが分かってきた。
また、異物が介入する度合いが不確定であり、どの程度のバックスピン量になるかの予測もつかず、結果的に予測がつかないような飛翔の可能性が起こりやすいことが分かってきた。
このような状況下においても、ゴルフクラブのトウ−ヒール方向の一方向のみにスコアラインを設けることによって、打球時に介入する異物をある程度排除することが可能であるものの、打球の飛翔に悪影響を与えない程度に軽減することができず、スコアラインだけでは、異物の排除能力は不十分であった。
そこで、打球時に介入する異物を排除する機能を有するゴルフクラブが種々開示されている(例えば、特許文献1〜特許文献3等参照)。
特許文献1には、フェースにソールに垂直な溝が設けられたゴルフクラブが開示されている。
また、特許文献2には、フェース面に放射状のフェース溝が設けられたゴルフクラブが開示されている。この特許文献2のゴルフクラブにおいては、放射状のフェース溝によって、フェース面とボールとの間に水膜が形成されるのを防止し、ハイドロプレーニング現象を防止している。これにより、特許文献2のゴルフクラブにおいては、飛距離と方向性とを安定させることができる。
さらに、特許文献3には、フェース面にフェース溝がスイートスポットエリアを中心にして多角形状に多数形成されたゴルフクラブが開示されている。この特許文献3のゴルフクラブにおいては、多角形状に形成されたフェース溝により、雨天時に芝生またはラフの中にあるゴルフボールを打撃し、ソールで水分を掬う状態となった場合に、スイートスポットエリアに、水分が導かれなくなり、フェース面とボールとの間に水膜が形成されるのが防止されて、ハイドロプレーニング現象が防止される。このようにして、特許文献3のゴルフクラブにおいては、飛距離と方向性とを安定させることができる。
実開平1−90574号公報 特許第3555774号公報 特開平8−777号公報
しかしながら、ゴルフボールとフェース面との間に介入する異物としては、水分以外にも草、または土等がある。例えば、繊維質である草等は、打球時にスコアラインの溝部(凹部)に入り込んだ後に、滞留してしまい排除しきれないなどの問題が生じたりすることが本発明者の検討により分かった。このため、上述の特許文献1〜特許文献3に開示されたゴルフクラブのヘッドの構成であっても、打球時に入り込んだ草等を排除する能力が、依然として不十分であるという問題点がある。このように、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入する水分以外の草または土等を排除する能力が十分なものが現状ではない。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入する水分、草、または土等の異物を効果的に排除し、結果的にゴルフボールがおかれた状況に左右されることなく比較的安定した飛距離を得ることが可能なゴルフクラブヘッド、およびゴルフクラブを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、ゴルフボールを打撃するフェース面を有し、前記フェース面が所定のロフト角度に形成されているゴルフクラブヘッドであって、前記フェース面上に、深さが200〜600μm、幅が250〜1000μmである第1の溝が複数形成されてなる第1の溝群と、前記フェース面上に、深さが5〜50μm、幅が5〜100μmである第2の溝が複数形成されてなる第2の溝群とを有し、前記第1の溝群の各第1の溝の長さの総長さは、250〜1200mmであり、前記第2の溝群の各第2の溝の長さの総長さは、100〜1200mmであり、さらに、前記第1の溝群の前記第1の溝と前記フェース面上における水平仮想線とのなす角度αが0°〜15°であり、かつ前記第2の溝群の前記第2の溝と前記水平仮想線とのなす角度βが45°〜90°であることを特徴とするゴルフクラブヘッドを提供するものである。
本発明においては、第1の溝の深さは300〜600μmであることが好ましく、第1の溝の幅は400〜1000μmであることが好ましい。
また、本発明においては、第2の溝における深さは5〜35μmであることが好ましく、より好ましくは、5〜25μmである。
また、本発明においては、第2の溝の幅は5〜60μmであることが好ましく、より好ましくは5〜40μmである。
また、本発明においては、第1の溝群の各第1の溝の長さの総長さは400〜1200mmであることが好ましい。また、第2の溝群の各第2の溝の長さの総長さは200〜1200mmであることがこのましい。
さらに、第1の溝群の第1の溝とフェース面上における水平仮想線とのなす角度αは、0°〜5°であることが好ましい。また、第1の溝群の第1の溝と第2の溝群の第2の溝とのなす角度γは60°〜90°であることが好ましい。
本発明においては、前記第1の溝群における前記各第1の溝の配置間隔は、1.5〜4.0mmであることが好ましい。
また、本発明においては、前記第2の溝群における前記各第2の溝の配置間隔は、1.0〜6.0mmであることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記第1の溝および前記第2の溝は、曲率半径が500mm以上であることが好ましい。
また、本発明においては、前記フェース面が前記所定のロフト角度になるように水平面に配置した際、ゴルフクラブヘッドの重心を通る前記フェース面に垂直な垂線が前記フェース面に交わる点から前記水平面に至る重心高さをFGH(mm)とするとき、前記重心高さFGHが22mm以下であることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記ロフト角度は、45°以上であることが好ましい。
また、本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様のゴルフクラブヘッドを有することを特徴とするゴルフクラブを提供するものである。
本発明の第1の態様のゴルフクラブヘッドおよび本発明の第2の態様のゴルフクラブによれば、フェース面上に、深さが200〜600μm、幅が250〜1000μmである第1の溝が複数形成されてなる第1の溝群と、深さが5〜50μm、幅が5〜100μmである第2の溝が複数形成されてなる第2の溝群とを設け、第1の溝の総長さを250〜1200mmとし、第2の溝の総長さを100〜1200mmとして、さらに、第1の溝群の第1の溝をフェース面上における水平仮想線に対して角度αを0°〜15°とし、かつ第2の溝群の第2の溝と水平仮想線とのなす角度βを45°〜90°とすることにより、ゴルフボールの打球時に、ゴルフボールとフェース面との間に介入する水分、草、または土等の異物を効果的に排除することができ、結果的にゴルフボールがおかれた状況に左右されることなく比較的安定した飛距離を得ることができる。特に、一般的にセミラフといわれる芝の長さが長い条件においても、草、または土等の異物を効果的に排除することができ、フェアーウェイで打球するような場合と比べても、比較的安定した飛距離を得ることができる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のゴルフクラブヘッド、およびゴルフクラブを詳細に説明する。
現状では、ゴルフボールの打球時に、ゴルフボールとフェース面との間に介入する水分以外の草、および土等を排除する能力が十分なゴルフクラブが存在しない。
ゴルフクラブにおいて、深さが200〜600μm、幅が250〜1000μmである第1の溝が複数形成されてなる第1の溝群、および深さが5〜50μm、幅が5〜100μmである第2の溝が複数形成されてなる第2の溝群をフェース面上に形成し、第1の溝群の各第1の溝の長さの総長さを250〜1200mmとし、第2の溝群の各第2の溝の長さの総長さを100〜1200mmとしたものについて、本発明者が鋭意検討した結果、第2の溝群が、上記範囲よりも大きな深さまたは幅を有する場合、つまり、第1の溝群および第2の溝群が比較的大きな溝部である場合には、条件によって飛距離の安定性が損なわれることを知見した。
特に、長い草の中におかれたゴルフボールを打球する際に、ゴルフボールとフェース面との間に介入した水分、草、土等、およびその周辺の水分、草、土等が溝を介して抜ける方向に優先性が無くなり、その中でも主に草が滞留してしまうことが主な原因で、打球が不安定になって飛距離の安定性が損なわれる。例えば、比較的大きな溝部同士が交差する縁部に主に草が引っかかってしまう。このように、第1の溝群及び第2の溝群が比較的大きな溝部であると、かえって草を排除することができなくなる。
上述の如く、本発明者らの鋭意検討の結果、一般的には、溝部が大きいほど異物を排除する効果があると考えられている点から飛躍して、異物の中でも特に繊維質で粘りがある草等を単に溝部に入り込ませるだけではなく、滞留させないように速やかに排除することに着目して本発明に至った。
本発明においては、深さが200〜600μm、幅が250〜1000μmである第1の溝が複数形成されてなる第1の溝群、および深さが5〜50μm、幅が5〜100μmである第2の溝が複数形成されてなる第2の溝群がフェース面上に形成されており、比較的大きな第1の溝群と比較的小さな第2の溝群を有する。また、第1の溝群の各第1の溝の長さの総長さが250〜1200mm、第2の溝群の各第2の溝の長さの総長さが100〜1200mmに形成されており、さらに、第1の溝群の第1の溝の角度が0°〜15°に形成されており、深く幅が広い第1の溝が横方向に形成されている。このように、比較的大きな第1の溝群を横方向に形成し、さらに比較的小さな第2の溝群の第2の溝の角度を45°〜90°でフェース面上に形成することによって、条件に左右されることなく比較的安定した飛距離を得ることが可能なゴルフクラブを提供することができることを見出してなされたものである。
図1は、本発明のゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブの第1実施形態を示す模式的平面図である。
図1に示すように、ゴルフクラブ10は、ゴルフクラブヘッド12と、ソケット14と、ゴルフクラブシャフト16と、グリップ18とを有するものである。
ゴルフクラブ10は、ゴルフクラブシャフト16がソケット14を介してゴルフクラブヘッド12のホーゼル部24に取り付けられている。また、ゴルフクラブシャフト16は、ゴルフクラブヘッド12が取り付けられる反対側にグリップ18が取り付けられている。
また、ゴルフクラブヘッド12は、一般的にアイアンと呼ばれる種類のヘッドであり、フェース部20、ソール部22およびホーゼル部24を有するものである。このゴルフクラブヘッド12においては、フェース部20、ソール部22およびホーゼル部24が一体的形成されている。
フェース部20は、その表面がゴルフボールを打撃するフェース面20aとなるものである。また、ソール部22は、フェース部20に連続して下方に設けられるものである。
なお、本実施形態のゴルフクラブヘッドにおいては、ロフト角度θ(図6参照)は、45°以上であることが好ましい。このロフト角度については、後に詳細に説明する。
また、フェース部20におけるフェース長さ、すなわち、ゴルフクラブヘッド12のヒール部の最後端からトウ部の最後端までの長さは、特に限定されるものではなく、一般的なゴルフクラブヘッドの大きさから70〜130mm程度である。
このフェース部20におけるフェース長さとは、基準面上にゴルフクラブヘッド12を通常のアドレスポジションに設定した状態において、ゴルフクラブヘッド12のヒール部の最後端を基準面から22.23mm上方の位置とし、トウ部の最後端を最も張り出した位置としたときに、シャフト軸を含み基準面に垂直な平面の方向における距離のことである。
また、フェース部20におけるフェース高さ、すなわち、ゴルフクラブヘッド12のソール部の最後端からクラウン部またはトップブレード部の最後端までの長さは、特に限定されるものではなく、一般的なゴルフクラブヘッドの大きさから35〜75mm程度である。
このフェース部20におけるフェース高さとは、基準面上にゴルフクラブヘッド12を通常のアドレスポジションに設定した状態において、ゴルフクラブヘッド12のソール部の最後端を、ソール部のソール面が接地している基準面とし、クラウン部またはトップブレード部の最後端を最も張り出した位置とした場合における鉛直方向の距離のことである。
ホーゼル部24は、ゴルフクラブシャフト16をゴルフクラブヘッド12に固定するものであり、フェース部20のヒール側に一体的に設けられている。このホーゼル部24には、ゴルフクラブシャフト16が挿入される開口部(図示せず)が設けられている。ゴルフクラブシャフト16は、ゴルフクラブヘッド12にソケット14を介して固定される。なお、ゴルフクラブシャフト16は、ゴルフクラブヘッド12に必ずしもソケット14を介して固定される必要はなく、ゴルフクラブによっては、ソケットがなく、ゴルフクラブヘッドに直接ゴルフクラブシャフトが固定されるものもある。
本実施形態において、フェース部20のフェース面20aには、ヒールからトウ方向に延びた第1の溝32a〜32f(スコアライン)がそれぞれ平行に形成されている。また、フェース面20aには、第1の溝32a〜32fとは異なる第2の溝34aが、第1の溝32a〜32fと直交して複数形成されている。
本実施形態においては、複数の第1の溝32a〜32fにより、第1の溝群32が構成され、複数の第2の溝34aにより、第2の溝群34が構成される。
図3に示すように、第1の溝群32の各溝32a〜32fは、フェース面20a上における水平仮想線Hと平行に形成されている。すなわち、第1の溝群32の各溝32a〜32fと、水平仮想線Hとのなす角度αは0°である。本発明においては、第1の溝群32の各溝32a〜32fと、水平仮想線Hとのなす角度αは0°〜15°とする。好ましくは角度αは0°〜5°である。
ここで、本発明における水平仮想線Hとは、ゴルフクラブを通常のアドレスポジションにて設定した場合の設置面(水平面H)に平行な平面Hとフェース面20aとが交わる線のことである。この水平仮想線Hについては、後で詳細に説明する。
本発明においては、第1の溝群32の各第1の溝32a〜32fと、水平仮想線Hとのなす角度αを0°〜15°とすることにより、より効果的に、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入した水分、草、または土等の異物を排除し、ゴルフボールの周囲の条件(状況)に左右されることなく、比較的安定した飛距離を得ることが可能になる。特に、草がやや多い、一般的にセミラフといわれるような、例えば、芝の長さが40mm前後の条件で打球するような場合においても、フェアーウェイ、例えば、芝の長さ20mm前後の条件で打球するような場合と比べ、比較的安定した飛距離を得ることが可能になる。
本発明においては、第1の溝群32における第1の溝32a〜32fの総長さの80%以上に相当する第1の溝32a〜32fにおいて、水平仮想線Hとのなす角度αが0°〜15°であることが好ましく、より好ましくは100%である。
また、第2の溝群34の各第2の溝34aは、フェース面20a上における水平仮想線Hに直交して形成されている。すなわち、第2の溝群34の各溝34aと、水平仮想線Hとのなす角度βは90°である。本発明においては、第2の溝群34の各溝34aと、水平仮想線Hとのなす角度βを、45°〜90°とする。
本発明においては、フェース面20a上における全ての各溝34aが水平仮想線Hとのなす角度βを45°〜90°とすることにより、より効果的に、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入した水分、草、または土等の異物を排除し、ゴルフボールの置かれた状況に左右されることなく比較的安定した飛距離を得ることが可能になる。
また、本発明においては、第2の溝群34における第2の溝34aの総長さの80%以上に相当する第2の溝34aにおいて、水平仮想線Hとのなす角度βが45°〜90°であることが好ましく、より好ましくは100%である。
また、図3に示すように、第1の溝群32の第1の溝32a(32b〜32f)と、第2の溝群34の第2の溝34aとは直交しており、これらのなす角度γは90°である。
本発明において、角度γは、第1の溝群32の第1の溝溝32a(32b〜32f)と、第2の溝群34の第2の溝34aとのなす角度のうち、小さい方の角度(90°以下の方)とする。また、第1の溝群32の第1の溝32a〜32fと、第2の溝群34の第2の溝34aとがなす角度γは、フェース面20a上において、第1の溝群32と第2の溝群34とがなす角度のことであり、角度γは45°〜90°であることが好ましい。また、角度γは60°〜90°であることがより好ましい。
本発明において、第1の溝群32の第1の溝32a〜32fと、第2の溝群34の第2の溝34aとのなす角度γを45°〜90°とすることにより、より効果的に、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入した水分、草、または土等の異物を排除し、ゴルフボールがおかれた条件に左右されることなく、比較的安定した飛距離を得ることが可能になる。
また、図4に示すように、第1の溝32aは、矩形状の断面を有するものであり、この第1の溝32aは、深さhが200〜600μm、幅Wが250〜1000μmである。なお、第1の溝32a以外の第1の溝32b〜32fも同じ構成であり、第1の溝32aを代表して説明し、他の第1の溝32b〜32fについての説明は省略する。
また、第2の溝34aは、矩形状の断面を有するものであり、この第2の溝34aは、深さhが5〜50μm、幅Wが5〜100μmである。
なお、第2の溝34aの深さhは、好ましくは5〜35μmであり、より好ましくは、5〜25μmである。
さらに、第2の溝34aの幅Wは、好ましくは5〜60μmであり、より好ましくは、5〜40μmである。
本発明においては、第1の溝32aに第2の溝34aが直交して,第1の溝32aの一部を切欠くようにして、第2の溝34aが形成されている。第1の溝32aの方が第2の溝34aよりも幅が広く、深いものである。
本発明において、第1の溝32a(32b〜32f)は、深さhが200〜600μm、幅Wが250〜1000μmである。
また、本発明の第1の溝32a(32b〜32f)においては、深さhおよび幅Wの上限については、特に限定されるものではないものの、本発明においては、より効率良く打球するために、深さhの上限値を600μmとし、幅Wの上限値を1000μmとする。本発明の第1の溝32a(32b〜32f)は、深さhが600μm、幅Wが1000μmよりも大きい場合には、フェース面の凹凸がゴルフボールに対して比較的大きくなり、打球時に悪影響を与える可能性がある。
本発明の第1の溝32a(32b〜32f)は、深さhが200〜600μm、幅Wが250〜1000μmの範囲よりも小さい場合、効果的に、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入した水分、草、または土等の異物を排除することができない。このため、ゴルフボールがおかれた条件に左右されることなく、比較的安定した飛距離を得ることができない。
一方、本発明の第1の溝32a(32b〜32f)は、深さhが200〜600μm、幅Wが250〜1000μmの範囲よりも大きい場合、フェース面の凹凸がゴルフボールに対して比較的大きくなり、打球時に悪影響を与える可能性がある。
また、本発明において、第2の溝34aは、深さhが5〜50μm、幅Wが5〜100μmである。
本発明の第2の溝34aは、深さhが5〜50μm、幅Wが5〜100μmの範囲よりも小さい場合、効果的に、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入した水分、草、または土等の異物を排除することができない。このため、ゴルフボールがおかれた条件に左右されることなく、比較的安定した飛距離を得ることができない。
一方、本発明の第2の溝34aは、深さhが5〜50μm、幅Wが5〜100μmの範囲よりも大きい場合、ゴルフボールとフェース面との間に介入した水分、草、土等、およびその周辺の水分、草、土等が溝を介して抜ける方向に優先性が無くなり、異物が第2の溝に滞留してしまう。さらに、溝同士が交差する縁部に、異物が滞留してしまうことがある。このため、異物の排除能力が下がる。これにより、ゴルフボールがおかれた条件に左右されることなく、比較的安定した飛距離を得ることができない。
本発明において、第1の溝32aの幅Wおよび深さh、ならびに第2の溝34aの幅Wおよび深さhは、例えば、接触式表面粗さ測定機(例えば、株式会社ミツトヨ サーフテストSJ−301)を用いて、第1の溝32aおよび第2の溝34aの各溝部を1つずつ、各溝部の長辺、または仮想中心線に対する垂直な断面方向について測定することにより得られるものである。
本発明において、第1の溝32aの幅Wおよび第2の溝34aの幅Wは、測定器により測定されたチャートに基づいて、R&Aの内規「30度測定法」によって測定したものである。
また、第1の溝32aの深さhおよび第2の溝34aの深さhは、測定器により測定された最大高さとした。
なお、第1の溝32aにおける角度α、γの基準は、第1の溝32aが平行であり、第1の溝32aを構成する長辺100aが平行な場合には、長辺100aが角度α、γにおける基準となる。一方、第1の溝32aが非直線の場合、または第1の溝32aを構成する長辺100aが非平行である場合等、第1の溝32aの長辺100aが角度の基準とはならない場合には、第1の溝32aの仮想中心線Cを求め、この仮想中心線Cを角度α、γの基準に代用する。
仮想中心線Cは、第1の溝の短辺100b方向の各端部の両縁部の垂直2等分線と端の交わる点を、第1の溝の長手方向の両端部にて求め、両端部を結んだ線で示されるものである。
また、第2の溝34aにおける角度β、γの基準は、第2の溝34aが平行であり、第2の溝34aを構成する長辺102aが平行な場合には、長辺102aが角度β、γにおける基準となる。一方、第2の溝34aが非直線の場合、または第2の溝34aを構成する長辺102aが非平行である場合等、第2の溝34aの長辺102aが角度の基準とはならない場合には、第2の溝34aの仮想中心線Cを求め、この仮想中心線Cを角度β、γの基準に代用する。
仮想中心線Cは、第2の溝の短辺102b方向の各端部の両縁部の垂直2等分線と端の交わる点を、第2の溝の長手方向の両端部にて求め、両端部を結んだ線で示されるものである。
また、本発明においては、第1の溝32a〜32fは、その断面形状が変化しないことが好ましい。深さまたは幅などが変わることなく断面形状が変化しないことにより、草、または土等の異物が速やかに排除され、より安定した飛距離を得ることができる。
さらに、第2の溝34aも第1の溝32a〜32fと同様に、その断面形状が変化しないことが好ましい。この第2の溝34aにおいても、断面形状が変化しないことにより、草、または土等の異物が速やかに排除され、より安定した飛距離を得ることができる。
本発明においては、第1の溝群32の各第1の溝32a〜32fの配置間隔は1.5〜4.0mmであることが好ましい。配置間隔は、第1の溝32a〜32fが相互に平行であれば、各第1の溝32a〜32fの端部同士の距離である。一方、第1の溝32a〜32fが相互に平行でなければ、隣接した溝同士の距離のうち、近い距離を配置間隔とする。
本発明においては、第1の溝群32の各第1の溝32a〜32fの配置間隔を1.5〜4.0mmとすることにより、より効果的に、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入した水分、草、または土等の異物を排除し、ゴルフボールが置かれた状況(条件)に左右されることなく、比較的安定した飛距離を得ることが可能になる。
なお、第1の溝群32の第1の溝32a〜32fは、それぞれ相互に平行であることが好ましい。これにより、草、または土等の異物をさらに速やかに排除することができる。
また、本発明においては、配置間隔が1.5〜4.0mmである第1の溝が5本以上設けられていることが好ましく、より好ましくは、全ての第1の溝の配置間隔が1.5〜4.0mmである。
また、本発明においては、第2の溝群34の各第2の溝34aの配置間隔は、1.0〜6.0mmであることが好ましい。
本発明においては、第2の溝群34の各第2の溝34aの配置間隔を1.0〜6.0mmとすることにより、より効果的に、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入した水分、草、または土等の異物を排除し、ゴルフボールが置かれた状況(条件)に左右されることなく、比較的安定した飛距離を得ることが可能になる。
なお、第2の溝群34の第2の溝34aもそれぞれ相互に平行であることが好ましい。これにより、草、または土等の異物をさらに速やかに排除することができる。
さらには、第2の溝群34の第2の溝34aは、平行以外にも、相互に重なるように形成してもよい。
また、本発明においては、配置間隔が1.0〜6.0mmである第2の溝が5本以上設けられていることが好ましく、より好ましくは、全ての第2の溝の配置間隔が1.0〜6.0mmである。
また、第1の溝群32の第1の溝32a〜32f、および第2の溝群34の第2の溝34aにおいては、それぞれ曲率半径が500mm以上であることが好ましい。より好ましくは、曲率半径が900mm以上であり、最も好ましいのは曲率半径が無限大の直線である。すなわち、第1の溝群32の第1の溝32a〜32f、および第2の溝群34の第2の溝34aは、それぞれ直線であることが最も好ましい。
また、別の表現を用いると、第1の溝群32の第1の溝32a〜32f、および第2の溝群34の第2の溝34aにおいては、それぞれ真直度が1mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5mm以下であり、最も好ましくは真直度が0mmの直線である。この真直度は、例えば、JIS B0621−1984に規定されるものである。
本発明においては、第1の溝群32の第1の溝32a〜32f、および第2の溝群34の第2の溝34aの曲率半径(真直度)を上述の範囲とすることにより、より効果的に、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入した水分、草、または土等の異物を排除し、ゴルフボールが置かれた状況(条件)に左右されることなく、比較的安定した飛距離を得ることが可能になる。
また、本発明において、曲率半径および真直度は、各溝の長辺方向の縁部を測定することによって決定する。
さらに、本発明においては、第1の溝群32および第2の溝群34に関して、各溝群の総長さの80%以上に相当する溝が、曲率半径(真直度)について上述の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、100%である。
また、後に詳細に説明するゴルフクラブヘッド12の重心高さFGHは、ゴルフクラブヘッド12の重心Gを通りフェース面20aに直交する垂直な線Lがフェース面20aと交わる点gの水平面Hからの高さのことである。この重心高さFGHが、22mm以下であることが好ましい。
本発明においては、特に、重心高さFGHが22mm以下である比較的重心位置が低いゴルフクラブにおいて効果を発現する。
一般的に、比較的草の長い状態で打球した際には、打点位置が上方になる傾向がある。この場合、比較的重心位置が低いゴルフクラブにおいては、重心よりも上の部分で打球する可能性が多くなる。このように重心よりも上の部分で打球すると、ギア効果によりバックスピン量が減少する。前述のように、比較的草の長い状態にて打球した際には、打球時にゴルフボールとフェース面との間に水分、草、または土等の異物が介入する可能性が高くなり、異物が介入した場合にはバックスピン量が減少する。このため、結果的に、よりバックスピン量が減少することになる。これにより、打球がより不安定に飛翔することになり、飛距離が不安定になる可能性が高い。このようなことから、バックスピン量の減少を抑制するために、重心高さFGHが22mm以下であるゴルフクラブにおいては、本発明のゴルフクラブの構成とすることがより好ましい。
なお、本発明において、重心高さFGHにおける下限値は、特に限定されるものではないが、ゴルフクラブヘッドの形状、および質量配分などにより、10mm程度が下限値と考えられる。
また、本発明においては、ロフト角度θが45°以上であるゴルフクラブにおいてより効果を発現する。ロフト角度θが45°以上のゴルフクラブにおいては、特に求められる機能として、安定した飛距離を得ることが挙げられる。よって、ロフト角度が45°以上のゴルフクラブは、特にバックスピン量が多くなり、バックスピンによって、飛距離をコントロールすることに対する寄与が大きく、相対的に飛距離が安定するゴルフクラブである。このようなゴルフクラブによって、比較的草が長い状態で打球した際には、所望のバックスピン量が得られず、思いもよらない飛距離のばらつき、つまり、相対的に見て、より飛距離が不安定になる可能性が高い。このようなことから、バックスピン量の減少を抑制するために、本発明のゴルフクラブの構成とすることが好ましい。
なお、本発明においては、ロフト角度の上限値は、特に限定されるものではないが、ゴルフクラブヘッドの形状および要求性能などにより、70°程度が上限値と考えられる。
本発明において、フェース面20a上における第1の溝群32の第1の溝32a〜32f、および第2の溝群34の第2の溝34aの形成位置については、特に限定されるものではない。
また、本発明における第1の溝群32の第1の溝32a〜32f、および第2の溝群34の第2の溝34aのいずれの範囲に入らない他の溝または他の溝群を更に形成してもよい。
また、本発明において、第1の溝群32の第1の溝32a〜32f、および第2の溝群34の第2の溝34aの形成位置としては、例えば、ゴルフ規則にて規定される範囲内において適宜形成することができる。
また、装飾の目的で、第1の溝群32の第1の溝32a〜32f、および第2の溝群34の第2の溝34aを適宜形成してもよい。さらに、例えば、ゴルフ規則内にて規定される範囲内にて効果的に、各溝群を配置する一般的な形態として、直線状の溝部を平行に形成する。この場合、特に、アイアンゴルフクラブの場合には、フェース面が台形状であるため、フェース面のソール部側から一定位置までは同じ長さの平行な溝を形成し、一定位置よりも上部には、溝が上部になるに従って徐々に短くなるように形成することができる。
さらに、本発明のゴルフクラブにおいては、第1の溝群32の第1の溝32a〜32f、および第2の溝群34の第2の溝34a以外にもフェース面に、その他の溝、およびパンチマークを設けてもよい。
また、本発明において、第1の溝群32の第1の溝32a〜32fの長さ、および第2の溝群34の第2の溝34aの長さは、各溝について、各溝における最も長い辺の長さによって規定される。本発明において、溝の長さは、15mm以上であることが好ましい。また、溝の長さの上限については、ゴルフクラブヘッドの大きさ等より規定され、130mm程度である。
さらに、本発明において、第1の溝群32の第1の溝32a〜32fの総長さは、250mm〜1200mmである。また、本発明において、第2の溝群34の第2の溝34aの総長さは、100mm〜1200mmである。なお、総長さの上限については、ゴルフクラブヘッドの大きさ等より規定されるものである。
また、本発明においては、第1の溝群32の第1の溝32a〜32fの総長さは、好ましくは、400〜1200mmである。さらに、第2の溝群34の第2の溝34aの総長さは、好ましくは、200〜1200mmである。
また、本発明においては、図2に示すような第1の溝群と第2の溝群との構成に限定されるものではない。例えば、図5に示すように、第1の溝群36のように、水平仮想直線Hとのなす角度αを0°以上としてもよい。この場合、第1の溝群36(第1の溝36a)と第2の溝群34(第2の溝群34a)とのなす角度γは、45°〜90°である。
以下、重心高さFGHの測定方法について詳細に説明する。
重心高さFGHは、図6に示すように、重心Gを通るフェース面20aに垂直な垂線Lがフェース面20aと交わる点gを定め、フェース面20aがゴルフクラブヘッド12に設定されている所定のロフト角度θになるように水平面Hに配置したとき、すなわち、ゴルフクラブ10を水平面Hに通常のアドレスポジションに設置したときの水平面Hから点gに至る高さをいう。
ここで、ゴルフクラブ10を通常のアドレスポジションに設置するとは、ゴルフクラブヘッド12をライ角度通りに設置し、かつ、図7に示すようにゴルフクラブ10のシャフト軸Sとリーディングエッジ13aとが互いに平行になるように設置、すなわち、フェース角が0°になるようにすることをいう。
なお、図7は、ゴルフクラブをアドレスポジションに設置する状態を説明するための模式図であり、水平面Hの鉛直上方から見た図を示すものである。
また、ライ角度通りに設置とは、図2において、ソール部22のラウンドと水平面Hとのなす隙間がトウ側及びヒール側(ホーゼル部24側)にて略等しくなる状態に設置することをいう。ソール部22のラウンドが不明瞭な場合は、フェース面20aに形成された第1の溝群の角度αが0°である場合には、第1の溝群の第1の溝が水平面Hに平行になるように設置してもよい。ちなみに、大部分のゴルフクラブにおけるスコアライン、すなわち、本発明の第1の溝群(第1の溝)は、角度αが0°となるように設計されているものであり、積極的に角度αが0°以外であることを示していない限りは、角度αは、0°と見なしてもよい。
なお、ソール部22のラウンドが不明瞭でかつスコアラインが直線状でない等により水平面Hとの平行が判別できない場合は、ライ角度は、ライ角度(度)=(100−クラブ長さ(インチ))にて設定される。例えば、40インチのクラブ長さであれば、ライ角度は100−40=60°になる。
ここで、クラブ長さは、社団法人日本ゴルフ用品協会が定める測定法により測定される。測定器としては、株式会社鴨下精衡所製のクラブ・メジャーIIが挙げられる。即ち、ヒール側の端部とグリップエンドとの間の距離をクラブ長さとするのである。
アドレスポジションにおいて、リーディングエッジ13aの方向はフェース面20aが指す方向と直角な方向に設定される。
上述のようにフェース面20aの方向を特定し、通常のアドレスポジションを設定した状態で行うゴルフクラブヘッドの寸法測定は、昇峰企業社製の高爾夫球頭測度台、ゴルフギャレーヂ社製のゴルフクラブアングル測定器、ゴルフスミス社製のゴルフクラブゲージ等の測定器により可能である。このような測定器は公知のものであれば良く、本発明において特に限定されるものではない。
一方、上述した重心高さFGHを規定する点gは、図8に示すような重心測定器40によって求められる。重心測定器40は、上部に重心測定対象物を支持する支持部42を備え、この支持部42が測定対象物を平衡に支持する測定対象物の位置を知ることができるものである。すなわち、重心の測定方法は、図9(a)に示すようにゴルフクラブヘッド12を、支持部42に載せ、手を放しても落ちない平衡な位置を探しだす。つまり、図9(a)に示すように、フェース面20aと支持部42の接触部に点gを含んでいれば、ゴルフクラブヘッド22を支持部42に載せて手を放しても落ちないが、図9(b)に示すように、フェース面20aと支持部42の接触部に点gを含んでいなければ、ゴルフクラブヘッド12は、支持部42に載せて手を放すと落ちる。このことを利用して点gを求めるものである。
支持部42は平面または3点以上で支持する形態であることが好ましい。また、支持部42の面積は、15mm以下であることが好ましい。また、下限はゴルフクラブヘッドが支えられる限り特に限定されない。支持部42の面積は、平面であれば平面部分の面積、3点以上で支持する形態であれば各点を結んだ図形の面積によって示される。支持部の面積を上記の範囲に設定することによって、より正確に点gを求めることができる。
支持部42によって支持された平面は水平または概ね水平になることが好ましい。ここで、概ね水平とは、水平面に対する傾きが2°以内、好ましくは1°以内のことである。水平または概ね水平になっているか否かは、例えば、図10に示すように、支持部42に平面板44を載せて支持させ、平面板44の上に水準器46を置き、確認し、調整することができる。上記範囲内に設定することによって、より正確に点gを求めることが可能になる。
また、本発明でいうロフト角度θ(°)は、図6に示すように、シャフト軸Sとフェース面20aとの成す角度であり、図11に示されるようなロフト角度測定器50により測定される。図11は、本実施形態のゴルフクラブ10をロフト角度測定器50に取り付けた例を示し、図12は、図11中のゴルフクラブヘッド12の周辺を拡大して示している。
ロフト角度θの測定は、ゴルフクラブ10をロフト角度測定器50に取り付けた状態において、ゴルフクラブ10が基準面52に対してライ角度通りに設置するようにライ角度調整部53において取り付け角度が調整され、次いで、ロフト角度測定器50に取り付けられたゴルフクラブ10は、ソール部22が基準面52に接するように、かつ、フェース角度調整具56の先端部56aにフェース面20aが密着するように、すなわち、フェース角が0°、つまり通常のアドレスポジションになるように、ゴルフクラブ10がチャック部58で固定される。
その後、図13に示すように、ゴルフクラブヘッド12のフェース面20aの基準面52に垂直に立てた分度器60を用いてロフト角度θが測定される。フェース面20aが平面の場合、上記測定によってロフト角度θが得られる。
ロフト角度θの測定は、上述のように、ゴルフクラブによって測定する他、ゴルフクラブヘッド単体にシャフトピンを差し込んで測定することも可能である。ゴルフクラブヘッド単体で測定して得られるロフト角度θの数値は、上述のゴルフクラブによって測定して得られるロフト角度θと実質的に同じである。
このようなロフト角度θの測定器は、上述の寸法測定と同様に、市販されている公知のものであればよく、例えば、昇峰企業社製の高爾夫球頭測度台、ゴルフギャレーヂ社製のゴルフクラブアングル測定器、ゴルフスミス社製のゴルフクラブゲージ等の測定器が例示される。このような測定器は公知のものであれば良く、本発明において、特に限定されるものではない。
以上のように、本実施形態のゴルフクラブヘッド12およびこのゴルフクラブヘッド12を用いたゴルフクラブ10においては、フェース面20a上に、深さが200〜600μm、幅が250〜1000μmである第1の溝32a〜32fが複数形成されてなる第1の溝群32を形成する。また、フェース面20a上に、深さが5〜50μm、幅が5〜100μmである第2の溝34aが複数形成されてなる第2の溝群34とを形成する。さらに、第1の溝群32の第1の溝32a〜32fとフェース面20a上における水平仮想線Hとのなす角度αを0°〜15°とし、第2の溝群34の各溝34aと、水平仮想線Hとのなす角度βを、45°〜90°とすることにより、打球時にゴルフボールとフェース面との間に介入する水分、草、または土等の異物を効果的に排除し、結果的にゴルフボールがおかれた状況に左右されることなく比較的安定した飛距離を得ることができる。
このように、本発明においては、比較的大きな第1の溝によって、主に草を排除し、水分、土等は比較的小さな第2の溝によって排除する。この場合、水分、土等は草の間から染み出てくることが多く、本発明のような比較的小さな第2の溝が、バイパス的な役目をして、染み出てきた水分、土等を効果的に排除する。このような第1の溝と第2の溝の作用により、ゴルフボールとフェース面との間に介入する異物をより効果的に排除することができる。このため、本発明においては、ゴルフボールがおかれた状況に左右されることなく比較的安定した飛距離を得ることができる。
なお、本発明においては、上述の効果を確実に発揮するために、ゴルフボールの打球の際、ゴルフボールとフェース面との接触部に第1の溝部と第2の溝部が存在するか、または第1の溝と第2の溝が交差した部分にゴルフボールが接触することが望ましい。本発明によれば、フェース面上のどの箇所で打球しても、ゴルフボールとフェース面の接触する接触部には第1の溝部と第2の溝部が存在するか、または第1の溝と第2の溝が交差した部分が存在する。このため、上述のように、ゴルフボールがおかれた状況に左右されることなく比較的安定した飛距離を得ること、すなわち、ゴルフボールがおかれた状況に左右されることなく平均的に安定した飛距離を得ることができるという効果を奏する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図14は、本発明のゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブの第2実施形態を示す模式的平面図であり、図15は、図14に示す第2実施形態のゴルフクラブヘッドの要部拡大図である。図14に示すゴルフクラブ10aにおいては、グリップ18(図1参照)の図示を省略している。
なお、本実施形態においては、図1〜図4に示す第1実施形態のゴルフクラブと同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図14および図15に示すように、本実施形態のゴルフクラブ10a(ゴルフクラブヘッド12a)は、第1実施形態のゴルフクラブ10に比して、第2の溝群70の構成が異なり、それ以外の構成は、第1実施形態のゴルフクラブ10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施形態のゴルフクラブ10a(ゴルフクラブヘッド12a)は、第2の溝群70の第2の溝70aのそれぞれがソール部22から上方に向かうにつれて、ヒール側(ホーゼル部24側)からトウ側に向って斜めに延びるように形成されている。これら第2の溝群70の第2の溝70aのそれぞれが、水平仮想直線Hとのなす角度βが90°未満であり、45°〜90°である。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態においては、図16に示すように、第1の溝群72の各第1の溝72aの水平仮想直線Hとのなす角度αを0°以上としてもよい。この場合、第1の溝群と第2の溝群とのなす角度βは、45°〜90°である。
以上、本発明のゴルフクラブヘッド、およびゴルフクラブについて説明したが、本発明は上述の実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明のゴルフクラブヘッドを用いたゴルフクラブについて、具体的に説明する。
本実施例においては、下記表1、2に示す実験例1〜実験例36のゴルフクラブについて、打球の飛距離(キャリー飛距離+ロール飛距離のトータルの飛距離(m))を評価項目として、評価試験を行った。評価結果を下記表1、2に示す。
また、評価の基準とする基準例についても、打球の飛距離の評価試験を行った。
なお、下記表2の「※注1」は、角度γが90°の第2の溝と、85°の第2の溝とをヒール部からトウ部側に向かって交互に配置したことを示すものである。
また、下記表2の「※注2」は、第2の溝がソール部側から上部にかけて17.5μm〜22.5μmに徐々に深さが深く形成され、さらにソール部側から上部にかけて17.5μm〜22.5μmと徐々に幅が広く形成されていることを示す。
また、下記表2の「※注3」は、角度βは、角度γ−角度αで表わすことができるものであり、角度γが90°の第2の溝と、85°の第2の溝とをヒール部からトウ部側に向かって交互に配置されたものであるため、角度βも90°と85°との2種類であることを示す。
本実施例においては、各ゴルフクラブヘッドに全て同じゴルフクラブシャフトを取り付けたゴルフクラブを用いて、評価試験を行った。ロフト角度は、全て48°とした。
また、本実施例においては、特に断りがないかぎり、ゴルフボールに横浜ゴム社製 TRX(商品名)ボールを用いた。
また、本実施例においては、第1の溝32aおよび第2の溝34aの幅および深さは、接触式表面粗さ測定機(例えば、株式会社ミツトヨ サーフテストSJ−301)を用いて、第1の溝32aおよび第2の溝34aの各溝を1つずつ、各溝の長辺、または仮想中心線に対する垂直な断面方向について測定した。
さらに、本実施例においては、実験例1、実験例7〜15および実験例26〜29、31、32に、図1および図2に示すゴルフクラブヘッドを用いた。実験例1、および実験例5〜8に用いたゴルフクラブヘッドは、第1の溝32aの長さが55mm、第1の溝32bの長さが48mm、第1の溝32cの長さが41mm、第1の溝32dの長さが34mm、第1の溝32eの長さが27mm、第1の溝32fの長さが20mmであった。第1の溝の総長さは、610mmであった。また、第2の溝群については、第2の溝が16本形成されており、それぞれ長さが30mmであった。第2の溝の総長さは、480mmであった。なお、実験例1は、第1の溝32a〜32fの幅が700μmであった。また、第2の溝の幅が20μmであった。
実験例7〜9は、それぞれ、第1の溝の幅が300、450、600μmであった。
実験例10、11は、それぞれ、第1の溝の深さが250、350μmであった。
実験例12、13は、それぞれ、第2の溝の幅が45、80μmであった。
実験例14、15は、それぞれ、第2の溝の深さが35、45μmであった。
実験例26、27は、それぞれ、第2の溝の幅が3、110μmであった。
実験例28、29は、それぞれ、第2の溝の深さが3、60μmであった。
実験例31は、第1の溝の深さが180μmであった。
実験例32は、第1の溝の幅が220μmであった。
また、実験例2〜4、25に、図14に示すゴルフクラブを用いた。第1の溝群については、実験例1と同じ構成である。また、第2の溝群については、第2の溝70が、それぞれソール部から上方に向かうにつれて、ヒール側からトウ側に向って斜めに延びるように形成されており、角度βが異なるだけであり、それ以外は、実験例1と同じ構成である。なお、実験例2は、角度βが80°であり、実験例3は、角度βが65°であり、実験例4は、角度βが50°であり、実験例25は、角度βが40°であった。
また、実験例5、6、30には、図5に示す第1の溝群および第2の溝群の構成のゴルフクラブを用いた。第2の溝群については、実験例1と同じ構成である。第1の溝群については、第1の溝が、それぞれソール部から上方に向かうにつれて、ヒール側からトウ側に向って斜めに延びるように形成されており、角度αが異なるだけであり、それ以外は、実験例1と同じ構成である。なお、実験例5は角度αが3°であり、実験例6は角度αが10°、実験例30は角度αが20°であった。
また、実験例16には、実験例1に用いたゴルフクラブヘッドと、第1の溝群の曲率半径が400mmであること以外は同じ構成のものを用いた。
実験例17〜19、33は、図1および図2に示すゴルフクラブヘッドを用いた。実験例17〜19、33に用いたゴルフクラブヘッドは、実験例1に比して第1の溝の総長さが異なり、それ以外の構成は、実験例1と同様である。
実験例17〜19、33は、それぞれ、第1の溝の総長さが、300、430、900、230mmであった。
実験例20〜22、34は、図1および図2に示すゴルフクラブヘッドを用いた。実験例20〜22、34に用いたゴルフクラブヘッドは、実験例1に比して第2の溝の総長さが異なり、それ以外の構成は、実験例1と同様である。
実験例20〜22、34は、それぞれ、第2の溝の総長さが、130、300、800、90mmであった。
実験例23は、図1および図2に示すゴルフクラブヘッドを用いた。実験例23に用いたゴルフクラブヘッドは、実験例1に比して第1の溝の総長さ、および間隔が異なり、それ以外の構成は、実験例1と同様である。
実験例23は、第1の溝の総長さが377mmであり、間隔が4.5mmであった。
実験例24は、図1および図2に示すゴルフクラブヘッドを用いた。実験例24に用いたゴルフクラブヘッドは、実験例1に比して第2の溝の総長さ、および間隔が異なり、それ以外の構成は、実験例1と同様である。
実験例24は、第2の溝の総長さが240mmであり、間隔が6.5mmであった。
実験例35は、図14に示すゴルフクラブを用いた。第1の溝群については、実験例1と同じ構成である。なお、実験例35は、第2の溝群の第2の溝のそれぞれがソール部から上方に向かうにつれて、ヒール側(ホーゼル部側)からトウ側に向って斜めに延びるように形成されているものであり、この実験例35においては、角度βが90°の第2の溝と、85°の第2の溝とをヒール部からトウ部側に向かって交互に配置した。また、第2の溝は、長さが30mmのものを16本形成しており、第2の溝の総長さは480mmであった。なお、第2の溝の間隔が1.7mmであった。
実験例36は、図1および図2に示すゴルフクラブヘッドを用いた。実験例36に用いたゴルフクラブヘッドは、実験例1に比して第2の溝の断面形状(深さおよび幅)が異なり、それ以外の構成は、実験例1と同様である。
実験例36は、第2の溝の深さがソール部側から上部にかけて17.5μm〜22.5μmと徐々に深くなるよう形成されており、さらに幅がソール部側から上部にかけて17.5μm〜22.5μmと徐々に広くなるように形成したものである。
また、基準例として、第1の溝群だけ形成されたゴルフクラブヘッドを用いた。基準例における第1の溝群は、実験例1の第1の溝群と同様の構成である。
なお、実験例1〜36および基準例においては、実験例35、36以外は、断面形状が変化するものではなく、所定の寸法で形成された一定の断面形状である。
打球の飛距離については、20人のゴルファを対象とした。各人が実験例1〜36および基準例のゴルフクラブを用いて、各ゴルフクラブについて、5球ずつ打撃して打球の飛距離を測定した。次に、各ゴルフクラブについて、5球の打球の飛距離の標準偏差を求めた。次に、ゴルファ20人について得られた各ゴルフクラブにおける各打球の飛距離の標準偏差の平均値を最終的な評価結果(標準偏差1および標準偏差2)とした。
なお、ゴルフボールを打撃する際の条件は、芝の長さが15mm、45mmの2種類とした。下記表1に芝の長さが15mmの評価結果を標準偏差1に示し、芝の長さが45mmの評価結果を標準偏差2に示す。
また、下記表1に示す「割合」は、標準偏差2/標準偏差1で得られる値である。この割合が小さい程、条件に左右されることなく、比較的安定した飛距離を得ることができると評価した。
さらに、下記表1および表2に示す「指数」は、基準例の割合を、各実験例の割合で除して100を掛けて得られた値である。すなわち、「指数」は、基準例を100として、各実験例について、どの程度の結果が得られているかを示すものである。この「指数」の数値が大きい程、条件(芝の条件)に左右されなることなく比較的安定した飛距離を得ることができると評価した。
Figure 2007301017
Figure 2007301017
上記表1に示すように、実験例1〜36は、基準例よりも割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
実験例1〜実験例4、25は、角度βだけが異なるものであり、実験例1は角度βが90°、実験例2は角度βが80°、実験例3は角度βが65°、実験例4は角度βが50°、実験例25は角度βが40°であった。
実験例25よりも実験例4が、実験例4よりも実験例3が、実験例3よりも実験例2が、実験例2よりも実験例1が角度βにおいて好ましく、また、実験例1〜3は、角度βが好ましい範囲にあるため、実験例4、25よりも割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
さらに、実験例25は、角度βが本発明の範囲から外れており、割合が大きく、すなわち、指数が小さく、比較的安定した飛距離が得られなかった。
実験例1、5、6、30は、角度αだけが異なるものであり、実験例1は角度αが0°、実験例5は角度αが3°、実験例6は角度αが10°、実験例30は角度αが20°であった。実験例30よりも実験例6が、実験例6よりも実験例5が、実験例5よりも実験例1が角度αにおいて好ましく、実験例1、5は角度αが好ましい範囲にあるため、実験例6、30よりも割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
さらに、実験例30は、角度αが本発明の範囲から外れており、割合が大きく、すなわち、指数が小さく、比較的安定した飛距離が得られなかった。
実験例1、7〜9、32は、第1の溝の幅だけが異なるものであり、実験例1は第1の溝の幅が700μm、実験例7は第1の溝の幅が300μm、実験例8は第1の溝の幅が450μm、実験例9は第1の溝の幅が600μm、実験例32は第1の溝の幅が220μmであった。
実験例32よりも実験例7が、実験例7よりも実験例8が、実験例8よりも実験例9が、実験例9よりも実験例1が第1の溝の幅において好ましく、実験例1、8、9は第1の溝の幅が好ましい範囲にあるため、実験例7、32よりも割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
さらに、実験例32は、第1の溝の幅が本発明の範囲から外れており、割合が大きく、すなわち、指数が小さく、比較的安定した飛距離が得られなかった。
実験例1、10、11、31は、第1の溝の深さだけが異なるものであり、実験例1は第1の溝の深さが400μm、実験例10は第1の溝の深さが250μm、実験例11は第1の溝の深さが350μm、実験例31は第1の溝の深さが180μmであった。
実験例31よりも実験例10が、実験例10よりも実験例11が、実験例11よりも実験例1が第1の溝の深さにおいて好ましく、実験例1、11は第1の溝の深さが好ましい範囲にあるため、実験例10、31よりも割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
さらに、実験例31は、第1の溝の深さが本発明の範囲から外れており、割合が大きく、すなわち、指数が小さく、比較的安定した飛距離が得られなかった。
実験例1、12、13、26、27は、第2の溝の幅だけが異なるものであり、実験例1は第2の溝の幅が20μm、実験例12は第2の溝の幅が45μm、実験例13は第2の溝の幅が80μm、実験例26は第2の溝の幅が3μm、実験例27は第2の溝の幅が110μmであった。
実験例26、27よりも実験例13が、実験例13よりも実験例12が、実験例12よりも実験例1が第2の溝の幅において好ましく、実験例12は第2の溝の幅が好ましい範囲にあり、実験例1は第2の溝の幅がより好ましい範囲にある。実験例1、12、13、26、27のうち、実験例1が最も割合が小さく、次いで、実験例12の割合が小さく、すなわち、実験例1が最も指数が大きく、次いで、実験例12の指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
さらに、実験例26、27は、第2の溝の幅が本発明の範囲から外れており、割合が大きく、すなわち、指数が小さく、比較的安定した飛距離が得られなかった。
実験例1、14、15、28、29は、第2の溝の深さだけが異なるものであり、実験例1は第2の溝の深さが20μm、実験例14は第2の溝の深さが35μm、実験例15は第2の溝の深さが45μm、実験例28は第2の溝の深さが3μm、実験例29は第2の溝の深さが60μmであった。
実験例28、29よりも実験例15が、実験例15よりも実験例14が、実験例14よりも実験例1が第2の溝の深さにおいて好ましく、実験例14は第2の溝の深さが好ましい範囲にあり、実験例1は第2の溝の深さがより好ましい範囲にある。実験例1、14、15、28、29のうち、実験例1が最も割合が小さく、次いで、実験例14の割合が小さく、すなわち、実験例1が最も指数が大きく、次いで、実験例14の指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
さらに、実験例28、29は、第2の溝の深さが本発明の範囲から外れており、割合が大きく、すなわち、指数が小さく、比較的安定した飛距離が得られなかった。
実験例1、16は、第1の溝の曲率半径だけが異なるものであり、実験例1は、直線であり、実験例16は、曲率半径が400mmであった。実験例16よりも第1の溝群が直線で構成された実験例1の方が、曲率半径の数値がより好ましい範囲にあるため、割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
実験例1、17、18、19、33は、第1の溝の総長だけが異なるものであり、実験例1は第1の溝の総長が610mm、実験例17は第1の溝の総長が300mm、実験例18は第1の溝の総長が430mm、実験例19は第1の溝の総長が900mm、実験例33は第1の溝の総長が230mmであった。
実験例33よりも実験例17が、実験例17よりも実験例18が、実験例18よりも実験例1が、実験例1よりも実験例19が第1の溝の総長において好ましく、実験例1、18、19は第1の溝の総長が好ましい範囲にある。実験例1、17、18、19、33のうち、実験例19が最も割合が小さく、次いで、実験例1、実験例18の順で割合が小さく、すなわち、実験例19が最も指数が大きく、次いで、実験例1、実験例18の順で指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
さらに、実験例33は、第1の溝の総長が本発明の範囲から外れており、割合が大きく、すなわち、指数が小さく、比較的安定した飛距離が得られなかった。
実験例1、20、21、22、34は、第2の溝の総長だけが異なるものであり、実験例1は第2の溝の総長が480mm、実験例20は第2の溝の総長が130mm、実験例21は第2の溝の総長が300mm、実験例22は第2の溝の総長が800mm、実験例34は第1の溝の総長が90mmであった。
実験例34よりも実験例20が、実験例20よりも実験例21が、実験例21よりも実験例1が、実験例1よりも実験例22が第2の溝の総長において好ましく、実験例1、21、22は第2の溝の総長が好ましい範囲にある。実験例1、20、21、22、34のうち、実験例22が最も割合が小さく、次いで、実験例1、実験例21の順で割合が小さく、すなわち、実験例1が最も指数が大きく、次いで、実験例22、実験例21の順で指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
さらに、実験例34は、第2の溝の総長が本発明の範囲から外れており、割合が大きく、すなわち、指数が小さく、比較的安定した飛距離が得られなかった。
また、実験例1、23は、第1の溝の総長および間隔だけが異なるものであり、実験例1は、第1の溝の総長が610mm、間隔が2.8mmであり、実験例23は、第1の溝の総長が377mm、間隔が4.5mmであった。実験例23よりも実験例1の方が、第1の溝の総長および間隔が好ましい範囲にあるため、割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
また、実験例1、24は、第2の溝の総長および間隔だけが異なるものであり、実験例1は、第2の溝の総長が480mm、間隔が3.0mmであり、実験例24は、第2の溝の総長が240mm、間隔が6.5mmであった。実験例24よりも実験例1の方が、第2の溝の総長および間隔が好ましい範囲にあるため、割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
また、実験例1、35は、第2の溝の間隔および角度γだけが異なるものであり、実験例1は、第2の溝の総長が480mm、間隔が3.0mmである。実験例35は、角度γが90°の第2の溝と、85°の第2の溝とをヒール部からトウ部側に向かって交互に配置したものであり、第2の溝の間隔が1.7mmであった。実験例35よりも実験例1の方が、第2の溝の間隔および角度γが好ましい範囲にあるため、割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
また、実験例1、36は、第2の溝の断面形状(深さおよび幅)だけが異なるものであり、実験例1は、第2の溝の深さが20μm、幅が20μmである。実験例36は、第2の溝がソール部側から上部にかけて17.5μm〜22.5μmに徐々に深さが深く形成され、さらにソール部側から上部にかけて17.5μm〜22.5μmと徐々に幅が広く形成されている。実験例36よりも実験例1の方が、第1の溝の深さおよび幅が一定であり、すなわち、断面形状が一定であるため、割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
次に、本発明のゴルフクラブヘッドを用いたゴルフクラブの重心高さFGHの効果について、具体的に説明する。
本実施例においては、下記表3に示す実験例40、41のゴルフクラブについて、打球の飛距離(キャリー飛距離+ロール飛距離のトータルの飛距離(m))を評価項目として、評価試験を行った。評価結果を下記表3に示す。
また、評価の基準とする基準例10、11についても、打球の飛距離の評価試験を行った。
本実施例においても、各ゴルフクラブヘッドに全て同じゴルフクラブシャフトを取り付けたゴルフクラブを用いて、評価試験を行った。ロフト角度は、全て48°とした。
また、本実施例においては、特に断りがないかぎり、ゴルフボールに横浜ゴム社製 TRX(商品名)ボールを用いた。
また、本実施例においては、第1の溝および第2の溝の幅および深さは、接触式表面粗さ測定機(例えば、株式会社ミツトヨ サーフテストSJ−301)を用いて、第1の溝および第2の溝の各溝を1つずつ、各溝の長辺、または仮想中心線に対する垂直な断面方向について測定した。
なお、打球の飛距離の評価試験については、上述の実施例1(実験例1等)と同様に実施した。また、上述の実施例1(実験例1等)と同様に、標準偏差1および標準偏差2を求め、下記表3に示す「割合」を求めた。この割合の結果による評価は、上述の実施例1(実験例1等)と同様に行った。
さらに、上述の実施例1(実験例1等)と同様に、下記表3に示す「指数」も求めた。この指数の結果による評価は、上述の実施例1(実験例1等)と同様に行った。
下記表3に示す基準例10は、上記基準例に比して、FGHが21.5mmである点が異なり、それ以外の構成は、基準例と同様の構成である。
実験例40は、上記実験例1に比して、FGHが21.5mmである点が異なり、それ以外の構成は、実験例1と同様の構成である。
基準例11は、上記基準例に比して、FGHが22.5mmである点が異なり、それ以外の構成は、基準例と同様の構成である。
実験例41は、上記実験例1に比して、FGHが22.5mmである点が異なり、それ以外の構成は、実験例1と同様の構成である。
Figure 2007301017
上記表3に示すように、FGHが21.5mmにおいては、基準例10よりも実験例40の方が、第2の溝が形成されており、実験例40は、基準例10よりも割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
また、FGHが22.5mmにおいては、基準例11よりも実験例41の方が、第2の溝が形成されており、実験例41は、基準例11よりも割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
さらに、実験例41(FGH:22.5mm)と基準例11(FGH:22.5mm)との指数の差よりも実験例40(FGH:21.5mm)と基準例10(FGH:21.5mm)との指数の差が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。このように、本発明においては、特に、重心高さFGHが22mm以下である比較的重心位置が低いゴルフクラブにおいて大きな効果が得られた。
次に、本発明のゴルフクラブヘッドを用いたゴルフクラブのロフト角度の効果について、具体的に説明する。
本実施例においては、下記表4に示す実験例50、51のゴルフクラブについて、打球の飛距離(キャリー飛距離+ロール飛距離のトータルの飛距離(m))を評価項目として、評価試験を行った。評価結果を下記表4に示す。
また、評価の基準とする基準例20、21についても、打球の飛距離の評価試験を行った。
本実施例においても、各ゴルフクラブヘッドに全て同じゴルフクラブシャフトを取り付けたゴルフクラブを用いて、評価試験を行った。
また、本実施例においては、特に断りがないかぎり、ゴルフボールに横浜ゴム社製 TRX(商品名)ボールを用いた。
また、本実施例においては、第1の溝および第2の溝の幅および深さは、接触式表面粗さ測定機(例えば、株式会社ミツトヨ サーフテストSJ−301)を用いて、第1の溝および第2の溝の各溝を1つずつ、各溝の長辺、または仮想中心線に対する垂直な断面方向について測定した。
なお、打球の飛距離の評価試験については、上述の実施例1(実験例1等)と同様に実施した。また、上述の実施例1(実験例1等)と同様に、標準偏差1および標準偏差2を求め、下記表3に示す「割合」を求めた。この割合の結果による評価は、上述の実施例1(実験例1等)と同様に行った。
さらに、上述の実施例1(実験例1等)と同様に、下記表3に示す「指数」も求めた。この指数の結果による評価は、上述の実施例1(実験例1等)と同様に行った。
下記表4に示す基準例20は、上記基準例に比して、ロフト角度が46°である点が異なり、それ以外の構成は、基準例と同様の構成である。
実験例50は、上記実験例1に比して、ロフト角度が46°である点が異なり、それ以外の構成は、実験例1と同様の構成である。
基準例21は、上記基準例に比して、ロフト角度が44°である点が異なり、それ以外の構成は、基準例と同様の構成である。
実験例51は、上記実験例1に比して、ロフト角度が44°である点が異なり、それ以外の構成は、実験例1と同様の構成である。
Figure 2007301017
上記表4に示すように、ロフト角度が46°においては、基準例20よりも実験例50の方が、第2の溝が形成されており、実験例50は、基準例20よりも割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
また、ロフト角度が44°においては、基準例21よりも実験例51の方が、第2の溝が形成されており、実験例51は、基準例21よりも割合が小さく、すなわち、指数が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。
さらに、ロフト角度が44°の実験例51と基準例21との指数の差よりもロフト角度が46°の実験例50と基準例20との指数の差が大きく、比較的安定した飛距離が得られた。このように、本発明においては、特に、ロフト角度が45°以上であるゴルフクラブにおいて大きな効果が得られた。
本発明のゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブの第1実施形態を示す模式的平面図である。 図1に示す第1実施形態のゴルフクラブの要部拡大図である。 本発明のゴルフクラブヘッドの第1の溝群および第2の溝群の幾何学的関係を示す模式図である。 本発明のゴルフクラブヘッドの第1の溝群および第2の溝群の構成を示す模式的斜視図である。 本発明の第1実施形態のゴルフクラブの変形例を示す模式的正面図である。 本発明のゴルフクラブヘッドにおいて定められる重心高さおよびロフト角度を説明するための模式図である。 ゴルフクラブをアドレスポジションに設置する状態を説明するための模式図である。 本発明における重心高さを規定するために用いる重心測定器を示す模式図である。 (a)および(b)は、図6中の点gを見出すときの重心測定器を用いた測定方法を説明するための模式図である。 重心測定器を用いる時の測定方法の一部を説明する説明図である。 ロフト角度測定器を用いたゴルフクラブのロフト角度の測定を説明する説明図である。 図11に示す説明図の部分拡大図である。 図11に示すロフト角度測定器を用いたゴルフクラブのロフト角度の測定を説明する説明図である。 本発明のゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブの第2実施形態を示す模式的平面図である。 図14に示す第2実施形態のゴルフクラブの要部拡大図である。 本発明の第2実施形態に係るゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブの変形例を示す模式図である。
符号の説明
10、10a ゴルフクラブ
12、12a ゴルフクラブヘッド
14 ソケット
16 ゴルフクラブシャフト
18 グリップ
20 フェース部
20a フェース面
22 ソール部
24 ホーゼル部
32、36、72 第1の溝群
32a〜32f、72a 第1の溝
34、70 第2の溝群
34a、70a 第2の溝
H 水平面
水平仮想線

Claims (7)

  1. ゴルフボールを打撃するフェース面を有し、前記フェース面が所定のロフト角度に形成されているゴルフクラブヘッドであって、
    前記フェース面上に、深さが200〜600μm、幅が250〜1000μmである第1の溝が複数形成されてなる第1の溝群と、
    前記フェース面上に、深さが5〜50μm、幅が5〜100μmである第2の溝が複数形成されてなる第2の溝群とを有し、
    前記第1の溝群の各第1の溝の長さの総長さは、250〜1200mmであり、前記第2の溝群の各第2の溝の長さの総長さは、100〜1200mmであり、
    さらに、前記第1の溝群の前記第1の溝と前記フェース面上における水平仮想線とのなす角度αが0°〜15°であり、かつ前記第2の溝群の前記第2の溝と前記水平仮想線とのなす角度βが45°〜90°であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
  2. 前記第1の溝群における前記各第1の溝の配置間隔は、1.5〜4.0mmである請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
  3. 前記第2の溝群における前記各第2の溝の配置間隔は、1.0〜6.0mmである請求項1または2に記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 前記第1の溝および前記第2の溝は、曲率半径が500mm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
  5. 前記フェース面が前記所定のロフト角度になるように水平面に配置した際、ゴルフクラブヘッドの重心を通る前記フェース面に垂直な垂線が前記フェース面に交わる点から前記水平面に至る重心高さをFGH(mm)とするとき、前記重心高さFGHが22mm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
  6. 前記ロフト角度は、45°以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
  7. 前記請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッドを有することを特徴とするゴルフクラブ。
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