JP2007300845A - 心肥大ならびに拡張型心筋症非ヒトモデル動物 - Google Patents

心肥大ならびに拡張型心筋症非ヒトモデル動物 Download PDF

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Abstract

【課題】人工的に作製可能な心疾患モデル非ヒト動物(特に心肥大ならびに拡張型心筋症モデル非ヒト動物)、該モデル動物を用いた心疾患の予防・治療剤のスクリーニング方法、心疾患治療薬を特定する試験方法等を提供すること。
【解決手段】一部アミノ酸に変異を持つ、二重特異性ホスファターゼをコードするDNA(DUSP13遺伝子、変異型DUSP13遺伝子、DUSP26遺伝子、又は変異型DUSP26遺伝子)を体細胞染色体中に保有する心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。および、それを用いた薬剤の評価法。
【選択図】図2

Description

本発明は、心疾患(特に心肥大ならびに拡張型心筋症)のモデル非ヒト動物や、該モデル非ヒト動物を用いた心疾患(特に心肥大ならびに拡張型心筋症)の予防・治療剤のスクリーニング方法や、心疾患(特に心肥大ならびに拡張型心筋症)治療薬を特定する試験方法に関する。
心筋細胞は、胎生期に急速に分裂増殖を行い、生後その分裂能を失うことが知られている。実際には、最近、心筋梗塞後の心臓において、分裂増殖する心筋細胞が数%存在することが認められたが(非特許文献1)、出生後の心筋層の正常な増殖、ならびにストレスによって誘導される心筋の再構築は、細胞分裂を伴わない肥厚性増殖、すなわち筋原線維の幅の増加、あるいは筋原線維の長さの増加を通して行われる(非特許文献2)。結果として、筋原線維の幅の増加は、心筋壁の肥厚化である求心性心肥大を生じ、筋原線維の長さの増加は、心室の拡張を伴う遠心性心肥大を生じ、対照的な心肥大の形態を呈する。
心肥大が、正常な生理的増殖または運動によって誘導される場合、上記の求心性心肥大及び遠心性心肥大は同時にかつ均衡をもって起こり、要求量の増加に応答して心拍出能力を増加させることを可能にする。一方、心筋障害や、圧負荷あるいは容量負荷等の機械的負荷を生じる疾患も心肥大を惹起し得るが、この場合、基礎疾患に応じて、求心性心肥大または遠心性心肥大のいずれかが優位となる。例えば、求心性心肥大は、高血圧、弁閉鎖不全に伴った逆流などの圧負荷が原因となり、一方、遠心性心肥大は、体液量増加やシャント流量増加による容量負荷が原因となって引き起こされる。
心筋症は、現在、原因が解明されつつある特発性心筋症、及び特定の疾患に伴って生じる特定心筋症に分類される。特発性心筋症は、「心機能障害を伴う心筋疾患」と定義され、臨床病態的に、さらに拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、不整脈原性右室心筋症の4型に分類(非特許文献3)されるが、このうち、拡張型心筋症は、心筋収縮不全と左室内腔の拡張を特徴とする進行性、予後不良の症候群である。現在のところ、拡張型心筋症の発症原因の詳細は不明であるが、ウイルス性心筋炎、遺伝性素因、免疫異常などの関与が考えられており、特に遺伝子異常としては、心筋ミトコンドリアDNA、心筋βミオシン重鎖遺伝子、ジストロフィン遺伝子等の異常によって拡張型心筋症の病態を示すことが知られている(非特許文献4)。
心肥大は、心臓への慢性的過剰負荷の増大に対する代償機序として生じ、ある程度まではそれらに対する適応を可能とするが、過剰な負荷が持続的に加わり著しい肥大を生じた時には、やがて心室の拡張障害や収縮障害等の心機能の低下や心不全を引き起こし生命の危険を伴うことが少なくない。また、心肥大は、それ自体が虚血性心疾患、不整脈や慢性心不全の独立した危険因子であり、これらの疾患の発病率が2.5〜3倍に上昇することが明らかとなっている(非特許文献5)。心肥大に対する治療としては、ACE阻害剤(非特許文献6)及び長時間作用型Ca拮抗薬(非特許文献7)において、左室肥大の退縮効果を有することが明らかになっているが、現在のところ、その効果は未だ十分なものとは言えず、さらなる作用機序に基づき心肥大を抑制する必要がある。それ故、心肥大の発生機序を明らかにし、過度の心肥大の形成を抑制、あるいは退縮させる薬剤は、慢性心不全を含む心臓病の発症進展の予防に有用であると考えられる。
拡張型心筋症は、心室の心収縮力低下による心拍出量低下あるいは拡張した心腔内に生じた血栓のため、しばしばうっ血性心不全や血栓塞栓症を生じ、また突然死の原因となる不整脈を高率に合併する。治療としては、心不全に対する対症療法が主体であり、利尿薬、強心薬、ACE阻害薬、β遮断薬等の薬物療法を行い、これらが有効でない場合には、心筋部分切除術(バチスタ手術)、補助人工手術、あるいは心臓移植などの外科的治療の適応となる場合がある。また、これまで、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、サルコグリカンを生体に発現させ心機能の改善を図る(特許文献1、特許文献2)、あるいはNF-κB阻害剤(特許文献3、特許文献4)、肝実質細胞増殖因子(特許文献5、特許文献6)、線維芽細胞増殖因子またはその遺伝子(特許文献7)を拡張型心筋症治療薬の有効成分として投与する方法が報告されている。しかしながら、現状においては、拡張型心筋症は多くの場合進行性で、重篤なうっ血性心不全及び治療抵抗性の不整脈を起こす予後不良の疾患であり、5年生存率は国内外を通じて約50%である。それ故、その原因解明及び有効な治療法の確立が急務と考えられている。
米国特許第6589523号明細書 特開2001−231557号公報 米国特許第6703421号明細書 国際公開第01/021206号パンフレット 米国特許第6036972号明細書 特開平11−001439号公報 特開2002−241306号公報 N Engl J Med. 344: 1750-1757 (2001) Annu Rev Physiol. 62: 289-319 (2000) Circulation. 93: 841-842 (1996) Physiol Rev. 82: 945-980 (2002) N Engl J Med. 322: 1561-1566 (1990) Am J Hypertens. 5: 95-110 (1992) J Hypertens. 19: 303-309 (2001)
本発明は、上述したような事情を鑑みてなされたものであり、人工的に作製可能な心疾患モデル非ヒト動物(特に心肥大ならびに拡張型心筋症モデル非ヒト動物)や、該心疾患モデル非ヒト動物を用いた心疾患(特に心肥大ならびに拡張型心筋症)の予防・治療剤のスクリーニング方法や、心疾患(特に心肥大ならびに拡張型心筋症)治療薬を特定する試験方法等を提供することを課題とする。
本発明者らは、これまでにヒトDUSP13タンパクをコードするヒトDUSP13遺伝子(配列番号2に記載のアミノ酸配列をコードする遺伝子)、ヒトDUSP26タンパクをコードするヒトDUSP26遺伝子(配列番号4に記載のアミノ酸配列をコードする遺伝子)、ヒトDUSP13タンパクの優性阻害酵素をコードする変異型DUSP13遺伝子(DUSP13 C138S:配列番号2に示されるアミノ酸配列において138位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列をコードする遺伝子)、及びヒトDUSP26タンパクの優性阻害酵素をコードする変異型DUSP26遺伝子(DUSP26 C152S:配列番号4に示されるアミノ酸配列において152位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列をコードする遺伝子)のクローニングを行うと共に、その発現解析を行ってきた(特願2006−112524)。また、それらの遺伝子をラットの心筋細胞H9c2に導入し、その心筋細胞の分化を、筋分化指標となるMyHC(Myosin Heavy Chain)、Myogenin、Troponin Tの発現により調べたところ、ヒトDUSP13タンパクは、ラットの心筋細胞H9c2においてその分化を抑制することが示唆され、ヒトDUSP13 C138Sタンパク、ヒトDUSP26タンパクはその分化を促進することが示唆された。そこで、本発明者らはヒトDUSP13遺伝子をC57BL/6Jマウスに導入し、ヒトDUSP13タンパクを過剰発現させたトランスジェニックマウスを作製したところ、心肥大ならびに拡張型心筋症発症モデルマウスが得られた。ラットの心筋細胞の分化を抑制するタンパクをコードするヒトDUSP13タンパクを過剰発現させることにより、心肥大ならびに拡張型心筋症のモデルマウスが得られることは、予想外のことであった。
すなわち本発明は、
(1)以下の(A)〜(F)の何れかの塩基配列からなるDNAを体細胞染色体中に保有する心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物
(A)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
(B)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、138位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ(Dual Specificity Phosphatase)活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(C)配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、138位がシステインであるアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(D)配列番号1の塩基番号78〜674からなる塩基配列;
(E)配列番号1の塩基番号78〜674からなる塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列であって、かつ、138位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(F)配列番号1の塩基番号78〜674からなる塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列であって、かつ、138位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;や、
(2)DNAがヒト由来である上記(1)に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物や、
(3)以下の(a)〜(c)の何れかの塩基配列からなるDNAを体細胞染色体中に保有する心疾患モデル非ヒト哺乳動物
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列において138位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、138位のシステインが他のアミノ酸に置換され、138位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(c)配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、138位がシステイン以外のアミノ酸であり、かつ該アミノ酸配列からなるタンパク質が二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するアミノ酸配列;や、
(4)DNAがヒト由来である上記(3)に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物や、
(5)以下の(A)〜(F)の何れかの塩基配列からなるDNAを体細胞染色体中に保有する心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物
(A)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
(B)配列番号4に示されるアミノ酸配列において、152位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ(Dual Specificity Phosphatase)活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(C)配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、152位がシステインであるアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(D)配列番号3の塩基番号334〜969からなる塩基配列;
(E)配列番号3の塩基番号334〜969からなる塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列であって、かつ、152位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(F)配列番号3の塩基番号334〜969からなる塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列であって、かつ、152位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;や、
(6)DNAがヒト由来である上記(5)に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物や、
(7)以下の(a)〜(c)の何れかの塩基配列からなるDNAを体細胞染色体中に保有する心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物
(a)配列番号4に示されるアミノ酸配列において152位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
(b)配列番号4に示されるアミノ酸配列において、152位のシステインが他のアミノ酸に置換され、152位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(c)配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、152位がシステイン以外のアミノ酸であり、かつ該アミノ酸配列からなるタンパク質が二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するアミノ酸配列;や、
(8)DNAがヒト由来である上記(7)に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物や、
(9)非ヒト哺乳動物が、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ及びサルからなる群から選ばれるいずれかの非ヒト哺乳動物である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物や、
(10)心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物が、心肥大のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物や、
(11)心肥大のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物が、遠心性心肥大のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物である上記(10)に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物や、
(12)遠心性心肥大のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物が、拡張型心筋症のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物である上記(11)に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物に関する。
また本発明は、
(13)以下の(q)及び(r)の工程を含む、心疾患の予防又は治療効果を有する物質の薬理評価方法
(q)上記(1)〜(12)のいずれか1項に記載のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物に被検物質を投与して薬理効果を評価する工程;
(r)該トランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物に被検物質を投与しなかった場合の薬理効果と比較し、該被検物質が該トランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物に与えた薬理効果を評価する工程;や、
(14)心疾患が、心肥大である上記(13)に記載の心疾患の予防又は治療効果を有する物質の薬理評価方法や、
(15)心肥大が、遠心性心肥大である上記(14)に記載の心疾患の予防又は治療効果を有する物質の薬理評価方法や、
(16)遠心性心肥大が、拡張型心筋症である上記(15)に記載の心疾患の予防又は治療効果を有する物質の薬理評価方法に関する。
本発明の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物の利用により、心疾患(特に心肥大ならびに拡張型心筋症)の発症の分子レベルでの解析が可能となる。また、本発明の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物の利用により、心疾患(特に心肥大ならびに拡張型心筋症)の予防又は治療効果を有する物質の薬理評価が可能となる。さらに、本発明の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物は、心肥大ならびに拡張型心筋症の新たな発症機序の解明等の用途にも好適に用いることができる。
本発明のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物は、特定のDNA(DUSP13遺伝子、DUSP26遺伝子、変異型DUSP13遺伝子又は変異型DUSP26遺伝子)(以下、「本発明におけるDNA」という。)を体細胞染色体中に保有する心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物である。心疾患としては、特に制限されないが、求心性心肥大や遠心性心肥大等の心肥大を例示することができる。
求心性心肥大は、心臓の壁が厚くなるのが特徴であり、例えば高血圧のように心臓から血液が送り出される際に負荷があると生じることがある。求心性心肥大を生じる典型が、「肥大型心筋症」である。一方、遠心性心肥大は、心室内腔が拡張し、心臓全体が大きくなるのが特徴である。遠心性心肥大は、心筋炎のような心臓全体の炎症の後などに生じることがある。遠心性心肥大を生じる典型が、「拡張型心筋症」である。拡張型心筋症は、心室内腔の拡張に加えて、心筋収縮不全が臨床的に認められた場合に診断される。また、求心性心肥大と遠心性心肥大は、互いに排他的ではなく、求心性心肥大と遠心性心肥大を両方生じることもある。
本発明のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物は、求心性心肥大及び遠心性心肥大の少なくとも一方を発症することが好ましいが、その両方を発症していてもよい。また、遠心性心肥大としては特に制限されないが、拡張型心筋症が好ましく、求心性心肥大としては特に制限されないが、肥大型心筋症が好ましい。
非ヒト哺乳動物としては、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ及びサル等を例示することができるが、実験動物としての汎用性や利便性を考慮してマウス、ラットであることが好ましく、マウスであることが特に好ましい。
本発明におけるDNAとしては、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ及びサル等の哺乳動物のDUSP13遺伝子やDUSP26遺伝子、及びそれらに由来する遺伝子をコードするDNA等を例示することができるが、ヒトDUSP13遺伝子やヒトDUSP26遺伝子、及びそれらに由来する遺伝子をコードするDNAであることが好ましい。例えばヒトDUSP13遺伝子は、GenBank accession No. AB103375として、ヒトDUSP26遺伝子は、GenBank accession No. AB103376として既に登録されている。なお、ヒトDUSP13遺伝子の塩基配列は、配列番号1の塩基番号78〜674に示されており、ヒトDUSP13タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号2に示されている。また、ヒトDUSP26遺伝子の塩基配列は、配列番号3の塩基番号334〜969に示されており、ヒトDUSP26タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号4に示されている。
本発明におけるDNA(DUSP13遺伝子)は、以下の(A)〜(F)の何れかの塩基配列からなる。
(A)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
(B)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、138位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ(Dual Specificity Phosphatase)活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(C)配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、138位がシステインであるアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(D)配列番号1の塩基番号78〜674からなる塩基配列;
(E)配列番号1の塩基番号78〜674からなる塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列であって、かつ、138位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(F)配列番号1の塩基番号78〜674からなる塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列であって、かつ、138位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
本発明におけるDNA(DUSP26遺伝子)は、以下の(A)〜(F)の何れかの塩基配列からなる。
(A)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
(B)配列番号4に示されるアミノ酸配列において、152位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ(Dual Specificity Phosphatase)活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(C)配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、152位がシステインであるアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(D)配列番号3の塩基番号334〜969からなる塩基配列;
(E)配列番号3の塩基番号334〜969からなる塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列であって、かつ、152位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(F)配列番号3の塩基番号334〜969からなる塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列であって、かつ、152位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
本発明におけるDNA(変異型DUSP13遺伝子)は、以下の(a)〜(c)の何れかの塩基配列からなる。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列において138位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、138位のシステインが他のアミノ酸に置換され、138位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(c)配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、138位がシステイン以外のアミノ酸であり、かつ該アミノ酸配列からなるタンパク質が二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するアミノ酸配列;
本発明におけるDNA(変異型DUSP26遺伝子)は、以下の(a)〜(c)の何れかの塩基配列からなる。
(a)配列番号4に示されるアミノ酸配列において152位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
(b)配列番号4に示されるアミノ酸配列において、152位のシステインが他のアミノ酸に置換され、152位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(c)配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、152位がシステイン以外のアミノ酸であり、かつ該アミノ酸配列からなるタンパク質が二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するアミノ酸配列;
ここで、「二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質」とは、リン酸化チロシンを脱リン酸化できるチロシンフォスファターゼにおいて、さらにリン酸化セリンあるいはリン酸化スレオニンを脱リン酸化する活性を有するタンパク質を意味する。あるタンパクが二重特異性ホスファターゼ活性を有するかどうかは、リン酸化されたERKやリン酸化されたMEK等の、リン酸化された適当な基質に適当な溶媒中でそのタンパクを作用させた場合に、リン酸化チロシンに加えて、リン酸化セリンあるいはリン酸化スレオニンが脱リン酸化されるかどうかを調べることによって容易に確認することができる。
ここで、「二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するタンパク質」とは、例えば、二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するタンパク質(以下、「タンパク質A」という)を、本発明の二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質(以下、「タンパク質B」という)と同じモル濃度で共存させた場合のタンパク質Bの脱リン酸化活性が、タンパク質Aを共存させなかった場合のタンパク質Bの脱リン酸化活性と比較して、90%以下、好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下となるようなタンパク質Aをいう。ここで、脱リン酸化活性を測定する際に用いる基質としては、公知のいずれか一つの基質でよく、例えばERK2を例示することができる。
上記「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」とは、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の任意の数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を意味する。また、上記「1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列」とは、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の任意の数の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を意味する。
例えば、これら1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなるDNA(変異DNA)は、化学合成、遺伝子工学的手法、突然変異誘発などの当業者に既知の任意の方法により作製することもできる。具体的には、配列番号1や3に示される塩基配列からなるDNAに対し、変異原となる薬剤と接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的な手法等を用いて、これらDNAに変異を導入することにより、変異DNAを取得することができる。遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、モレキュラークローニング第2版、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38,John Wiley & Sons (1987-1997)等に記載の方法に準じて行うことができる。この変異DNAを適切な発現系を用いて発現させることにより、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質を得ることができる。
また、同様の方法を用いて、配列番号2に示されるアミノ酸配列において138位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAや、配列番号4に示されるアミノ酸配列において152位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAを取得でき、さらにこれらのDNAを適切な発現系を用いて発現させることにより、配列番号2に示されるアミノ酸配列において138位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質を得ることができる。
上記「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列」とは、DNA又はRNAなどの核酸をプローブとして使用し、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られる塩基配列を意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAまたは該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍程度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNAをあげることができる。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989.(以後 "モレキュラークローニング第2版"と略す)等に記載されている方法に準じて行うことができる。
例えば、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列としては、プローブとして使用する塩基配列(ポリヌクレオチド)の塩基配列と一定以上の相同性を有する塩基配列を挙げることができ、例えば、プローブとして使用する塩基配列に対して60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有する塩基配列を好適に例示することができる。
本発明におけるDNAの取得方法や調製方法は特に限定されるものでなく、本明細書中に開示した配列番号1や3に示される塩基配列情報又は配列番号2や4に示されるアミノ酸配列情報に基づいて適当なプローブやプライマーを調製し、それらを用いて当該遺伝子が存在することが予測されるcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより目的のDNAを単離したり、常法に従って化学合成により調製することができる。
具体的には、本発明におけるDNAが単離されたヒト等より、常法に従ってcDNAライブラリーを調製し、次いで、このライブラリーから、本発明におけるDNAに特有の適当なプローブを用いて所望クローンを選抜することにより、本発明におけるDNAを取得することができる。上記cDNAの起源としては、ヒト由来の各種の細胞または組織を例示することができ、また、これらの細胞又は組織からの全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの取得とそのクローニングなどはいずれも常法に従って実施することができる。本発明におけるDNAをcDNAライブラリーからスクリーニングする方法は、例えば、モレキュラークローニング第2版に記載の方法等、当業者により常用される方法を挙げることができる。
また、例えば、DUSP13遺伝子に関する、前記(A)〜(C)、(E)〜(F)のいずれかに示される塩基配列からなる本発明の変異DNA又は相同DNAとしては、配列番号1の塩基番号78〜674からなる塩基配列又はその一部を有するDNA断片を利用し、他の生物体等より、該DNAのホモログを適当な条件下でスクリーニングすることにより単離することができる。その他、前述の変異DNAの作製方法により調製することもできる。
本発明におけるタンパク質の取得・調製方法は特に限定されず、天然由来のタンパク質でも、化学合成したタンパク質でも、遺伝子組換え技術により作製した組換えタンパク質の何れでもよい。天然由来のタンパク質を取得する場合には、かかるタンパク質を発現している細胞又は組織からタンパク質の単離・精製方法を適宜組み合わせることにより、本発明のタンパク質を取得することができる。化学合成によりタンパク質を調製する場合には、例えば、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法に従って本発明におけるタンパク質を合成することができる。また、各種の市販のペプチド合成機を利用して本発明におけるタンパク質を合成することもできる。遺伝子組換え技術によりタンパク質を調製する場合には、該タンパク質をコードする塩基配列からなるDNAを好適な発現系に導入することにより本発明のタンパク質を調製することができる。これらの中でも、比較的容易な操作でかつ大量に調製することが可能な遺伝子組換え技術による調製が好ましい。
例えば、遺伝子組換え技術によって、本発明におけるタンパク質を調製する場合、かかるタンパク質を細胞培養物から回収し精製するには、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法、好ましくは、高速液体クロマトグラフィーが用いられる。特に、アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、本発明におけるタンパク質に対するモノクローナル抗体等の抗体を結合させたカラムや、上記本発明におけるタンパク質に通常のペプチドタグを付加した場合は、このペプチドタグに親和性のある物質を結合したカラムを用いることにより、これらのタンパク質の精製物を得ることができる。また、本発明におけるタンパク質が細胞膜に発現している場合は、細胞膜分解酵素を作用させた後、上記の精製処理を行うことにより精製標品を得ることができる。
さらに、配列番号2や4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号2や4に示されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質は、配列番号2や4に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列の一例を示す配列番号1や3に示される塩基配列の情報に基づいて当業者であれば適宜調製又は取得することができる。例えば、配列番号1や3に示される塩基配列又はその一部を有するDNAをプローブとしてヒト以外の生物より、該DNAのホモログを適当な条件下でスクリーニングすることにより単離することができる。このホモログDNAの全長DNAをクローニング後、発現ベクターに組み込み適当な宿主で発現させることにより、該ホモログDNAによりコードされるタンパク質を製造することができる。
本発明のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物は、公知のトランスジェニック動物の作出方法(例えば、Proc. Natl. Acad.Sci. USA 77:7380-7384,1980)を用いて作出することができる。より具体的には、上述の本発明におけるDNAを、例えば、非ヒト哺乳動物細胞内で機能するプロモーター等の制御配列を有する非ヒト哺乳動物発現ベクターに導入し、この遺伝子発現ベクターをリニアライズした、導入遺伝子を含む直鎖DNAフラグメントを、マウス等の非ヒト哺乳動物由来の分化全能性細胞に導入し、導入後仮親に移植する。移植した分化全能性細胞から個体を発生させ、その個体の組織から抽出したDNAを用いたPCR法等により、本発明におけるDNAが体細胞染色体中に組み込まれた個体を選別することによって、本発明のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物を作出することができる。DNAフラグメントの分化全能性細胞への導入としては、マイクロインジェクション法を好ましく例示することができる。
トランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物を作製するために用いる分化全能性細胞としては、受精卵、初期胚の他、多分化能を有するES細胞等の培養細胞を例示することができる。
動物細胞用の発現ベクターとして、例えば、pEGFP-C1(クローンテック社製)、pGBT−9(クローンテック社製)、pcDNAI(インビトロジェン社製)、pcDNA3.1(インビトロジェン社製)、pEF-BOS (Nucleic Acids Res., 18, 5322, 1990)、pAGE107(Cytotechnology, 3, 133, 1990)、pCDM8(Nature, 329, 840, 1987)、pcDNAI/AmP(インビトロジェン社製)、pREP4(インビトロジェン社製)、pAGE103(J.Blochem., 101, 1307, 1987)、pAGE210等を例示することができる。動物細胞用のプロモーターとしては、例えば、サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーター等を挙げることができる。
上述の導入DNAの存在が確認された個体を交配することにより、本発明におけるDNAを染色体の一部に安定的に発現可能に組み込んだトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物を効率よく作出することができる。例えば、導入DNAの存在が確認された個体を野生型の個体と交配させると、本発明におけるDNAをヘテロに有するトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物を得ることができる。また、導入DNAの存在が確認された個体同士を交配させると、本発明におけるDNAをホモに有するトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物を得ることができる。
本発明におけるDNA(DUSP13遺伝子)を体細胞染色体中に保有するトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物(以下、「DUSP13トランスジェニックモデル動物」という)は、心肥大及び拡張型心筋症を発症する。また、本発明者らの出願である特願2006−112524に記載されているように、DUSP26、変異型DUSP13、変異型DUSP26は、DUSP13と同様に、心筋細胞の分化の制御に関与することが示唆されている。したがって、本発明におけるDNA(DUSP26遺伝子)を体細胞染色体中に保有するトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物(以下、「DUSP26トランスジェニックモデル動物」という)や、DNA(変異型DUSP13遺伝子)を体細胞染色体中に保有するトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物(以下、「変異型DUSP13トランスジェニックモデル動物」という)や、DNA(変異型DUSP26遺伝子)を体細胞染色体中に保有するトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物(以下、「変異型DUSP26トランスジェニックモデル動物」という)も、DUSP13トランスジェニックモデル動物と同様に、何らかの心肥大を生じるものと考えられる。より詳細に言えば、DUSP13トランスジェニックモデル動物と同様の心拡大を伴う遠心性心肥大を生じるか、あるいはDUSP13トランスジェニックモデル動物とは若干異なり、心筋壁の肥厚化である求心性肥大等の心肥大を生じるものと考えられる。
得られたトランスジェニックモデル動物が心肥大を生じているかどうかは、トランスジェニックモデル動物の作製に用いた動物と同種の動物であって、同性別、同週齢のモデル動物と比較した場合に、心臓/体重比が10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上増加していることを調べることによって容易に確認することができる。ここで、心臓/体重比とは、動物の心臓の重量を、その動物の重量で割った値をいう。心臓の重量は、その動物を解剖して心臓を取り出し、その重量を測定することにより測定できる。また、同週齢とは、特に制限はないが、例えば16週齢等であってもよい。
また、得られたトランスジェニックモデル動物の心肥大が、遠心性心肥大か求心性心肥大であるか、又は拡張型心筋症であるか肥大型心筋症であるかは、公知の診断基準により診断することができる。
また、より詳細な心疾患の病理学的所見及び超音波心臓図所見は次のようにして確認することができる。病理学的所見は、トランスジェニックモデル動物から調製された心臓切片をヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)、アザン染色及び抗NCX1抗体染色し、顕微鏡下に観察することができる。また、麻酔したマウスの超音波心臓図所見は、超音波診断装置(左室Mモード)を用いて観察することができる。
例えば、本発明のDUSP13トランスジェニックモデル動物は、野生型動物に比べて心臓/体重比が増加している他、HE染色した心臓横断面において心筋の肥大が確認でき、HE染色した心臓組織切片像においても筋原線維の長さの増加が確認できる。
本発明の心疾患の予防又は治療効果を有する物質の薬理評価方法は、以下の(q)及び(r)の工程を含んでいる。
(q)本発明のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物に被検物質を投与して薬理効果を評価する工程;
(r)該トランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物に被検物質を投与しなかった場合の薬理効果と比較し、該被検物質が該トランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物に与えた薬理効果を評価する工程;
本発明の薬理評価方法における薬理効果の指標は、予防又は治療効果を期待する心疾患の種類により異なるため一概にいうことはできないが、心臓組織を調製し、心肥大、線維化、心筋壊死及び変性などの病理変化の改善を観察することにより、並びに、超音波心臓図検査(左心室拡張期径、左心室収縮期径及び左室内径短縮率の評価)により、投与群と非投与群を比較し、その心不全改善効果の程度を調べることによって、薬理効果を確認することができる。より具体的には、例えば、予防又は治療効果を期待する心疾患が、心肥大である場合は、上述の心臓/体重比等を指標とすることができる。より詳細にいえば、モデル動物の出生前又は出生後に被検物質を投与し、被検物質の投与群の心臓/体重比が、非投与群の心臓/体重比より小さい場合は、該被検物質は心肥大の予防又は治療効果が認められることになる。投与群のモデル動物と、非投与群のモデル動物は、同腹でなくてもよいが、同腹であることがより好ましい。
上記本発明の薬理評価方法により得られる心疾患の予防又は治療剤を医薬品として用いる場合、経口的あるいは非経口的に投与することができるが、経口的投与が好ましい。経口投与剤としては散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤などの固形製剤あるいはシロップ剤、エリキシル剤などの液状製剤とすることができる。また、非経口投与剤として注射剤、経皮製剤あるいは座薬等とすることができる。これらの製剤は活性成分に薬理学的、製剤学的に認容される助剤を加えることにより常法に従って製造することができる。助剤としては、例えば、経口剤および粘膜投与剤にあっては、軽質無水ケイ酸、澱粉、乳糖、結晶セルロース、乳糖カルシウム等の賦形剤、カルボキシメチルセルロ−ス等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシム等の滑沢剤などの製剤用成分が、また注射剤にあっては、生理食塩水、マンニトール、プロピレングリコ−ル等の溶解剤ないし溶解補助剤、界面活性剤などの懸濁化剤などの製剤用成分が、さらに外用剤にあっては、水性ないし油性の溶解剤ないし溶解補助剤、粘着剤などの製剤用成分が使用される。また、投与量は、対象疾患の種類、患者の年齢、性別、体重、症状、投与形態に応じて適宜決定することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
1.ヒトDUSP13遺伝子及びヒトDUSP26遺伝子の単離
ヒトHeLa細胞又はヒト組織由来のcDNAを鋳型としてPCRを行い、ヒトDUSP13をコードする遺伝子及びヒトDUSP26をコードする遺伝子をクローニングした。ヒトDUSP13をコードする遺伝子については、プライマーとして、配列番号5に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号6に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。また、ヒトDUSP26をコードする遺伝子については、プライマーとして、配列番号7に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号8に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、High Fidelity DNA ポリメラーゼであるKOD-Plus- (東洋紡社製)を用い、98℃で15秒間、55℃で30秒間、68℃で1分間を1サイクルとして、これを35サイクル行った(Perkin-Elmer社製のGene Amp PCR Systemを使用)。
このように、ヒトDUSP13(hDUSP13)及びヒトDUSP26(hDUSP26)のクローニングを行った。それぞれのアミノ酸配列を、配列番号2及び配列番号4にそれぞれ示す。
2.DUSP13トランスジェニックマウスの作製
上記1.で得られたヒトDUSP13遺伝子をコードするDNAに、MycタグをコードするDNAをつなげてpMEベクターに組み込むことにより、pME-Myc-DUSP13を得た。このMycタグは、ヒトDUSP13のN末側に付加されている。次に、このpME-Myc-DUSP13を制限酵素HindIII及びKpnIで処理した。この処理にて直鎖状に切り出された1.2KbpのDNAは、SRαプロモーター及びSV early polyAを含んでいる。直鎖化したこのDNAをアガロースゲルにて電気泳動して、このDNAを含む部分を切り出し、該DNAをそこから精製した。この精製したDNAを、マウス受精卵の前核(C57BL/6J)にマイクロピペットで導入した。それらの受精卵のうち、295個を偽妊娠雌マウスの卵管に移植し、61匹のマウスが誕生した。誕生したマウスを、離乳するまで生育させた。離乳後のマウスの尻尾の一部を切断し、常法に従いゲノムDNAを精製した。得られたゲノムDNAを用いてPCRを行い、トランスジーン(ヒトDUSP13遺伝子)の導入を確認した。このPCRの際、プライマーとして、配列番号5に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号6に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。
3.DUSP13トランスジェニックマウスの解析
トランスジーンの導入が確認されたマウスのうち、一匹のメス(DUSP13Tg)について16週齢にて外観の観察を行った。対照として、16週齢メスの野生型マウス(WT)の外観も観察した。その結果を図1に示す。図1から分かるように、DUSP13 Tgの方が、WTより体長が長い。体重を測定したところ、DUSP13 Tgは29.9g、WTは21.7gであった。
次に、DUSP13 Tg及びWTをそれぞれ解剖し、心臓を取り出して重量を測定した。取り出したそれぞれの心臓の肉眼的所見を図2に示す。心臓の重量は、DUSP13 Tgが0.24g、WTが0.136gであった。体重と心臓の重量から、心臓/体重比を算出したところ、DUSP13 Tgは0.008であり、WTは0.006であった。このことから、DUSP13 Tgの心臓は、心肥大を発症していることが示された。なお、DUSP13 Tg(Tg)及びWTの心臓重量(図5上)、及び心臓/体重比(図5下)を図5に示す。
また、上記のDUSP13 Tg及びWTにおいて、同じ横紋筋である心筋、大腿筋のヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)による病理組織学検査を行った。HE染色した心臓の横断面を図3に示す。また、HE染色した左右心室における心臓組織切片像を図4に示す。図3及び図4から分かるように、DUSP13 Tgの心臓では、WTに対する絶対重量及び相対重量の増加に対応して、心筋の肥大が認められた。一方、大腿筋におけるHE染色の結果、大腿筋では、特記すべき明らかな変化は認められなかった。
4.DUSP26トランスジェニックマウスの作製
上記1.で得られたヒトDUSP26遺伝子をコードするDNAに、HAタグをコードするDNAをつなげてpMEベクターに組み込むことにより、pME-HA-DUSP26を得た。このHAタグは、ヒトDUSP26のN末側に付加されている。次に、このpME-HA-DUSP26を、制限酵素HindIII及びKpnIで処理した。この処理にて直鎖状に切り出された1.7KbpのDNAは、SRαプロモーター及びSV early polyAを含んでいる。
直鎖化したこのDNAをアガロースゲルにて電気泳動して、このDNAを含む部分を切り出し、該DNAをそこから精製した。この精製したDNAを、マウス受精卵の前核(C57BL/6J)にマイクロピペットで導入した。それらの受精卵のうち、493個を偽妊娠雌マウスの卵管に移植し、34匹のマウスが誕生した。誕生したマウスを、離乳するまで生育させた。離乳後のマウスの尻尾の一部を切断し、常法に従いゲノムDNAを精製した。得られたゲノムDNAを用いてPCRを行い、トランスジーン(ヒトDUSP26遺伝子)の導入を確認した。このPCRの際、プライマーとして、配列番号9に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号10に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。
本発明のトランスジェニックマウス(DUSP13 Tg)及び野生型マウス(WT)の外観を示す図である。 本発明のトランスジェニックマウス(DUSP13 Tg)及び野生型マウス(WT)の心臓の肉眼的所見を示す図である。 本発明のトランスジェニックマウス(DUSP13 Tg)及び野生型マウス(WT)の、HE染色した心臓の横断面を示す図である。 本発明のトランスジェニックマウス(DUSP13 Tg)及び野生型マウス(WT)の、HE染色した左右心室における心臓組織切片像を示す図である。 本発明のトランスジェニックマウス(DUSP13 Tg)及び野生型マウス(WT)の心臓重量、及び心臓重量/体重比を示す図である。

Claims (16)

  1. 以下の(A)〜(F)の何れかの塩基配列からなるDNAを体細胞染色体中に保有する心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
    (A)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
    (B)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、138位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ(Dual Specificity Phosphatase)活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
    (C)配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、138位がシステインであるアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
    (D)配列番号1の塩基番号78〜674からなる塩基配列;
    (E)配列番号1の塩基番号78〜674からなる塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列であって、かつ、138位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
    (F)配列番号1の塩基番号78〜674からなる塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列であって、かつ、138位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
  2. DNAがヒト由来である請求項1に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
  3. 以下の(a)〜(c)の何れかの塩基配列からなるDNAを体細胞染色体中に保有する心疾患モデル非ヒト哺乳動物。
    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列において138位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
    (b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、138位のシステインが他のアミノ酸に置換され、138位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
    (c)配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、138位がシステイン以外のアミノ酸であり、かつ該アミノ酸配列からなるタンパク質が二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するアミノ酸配列;
  4. DNAがヒト由来である請求項3に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
  5. 以下の(A)〜(F)の何れかの塩基配列からなるDNAを体細胞染色体中に保有する心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
    (A)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
    (B)配列番号4に示されるアミノ酸配列において、152位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ(Dual Specificity Phosphatase)活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
    (C)配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、152位がシステインであるアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
    (D)配列番号3の塩基番号334〜969からなる塩基配列;
    (E)配列番号3の塩基番号334〜969からなる塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列であって、かつ、152位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
    (F)配列番号3の塩基番号334〜969からなる塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列であって、かつ、152位がシステインであり、二重特異性ホスファターゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
  6. DNAがヒト由来である請求項5に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
  7. 以下の(a)〜(c)の何れかの塩基配列からなるDNAを体細胞染色体中に保有する心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
    (a)配列番号4に示されるアミノ酸配列において152位のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列;
    (b)配列番号4に示されるアミノ酸配列において、152位のシステインが他のアミノ酸に置換され、152位のシステイン以外の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
    (c)配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、152位がシステイン以外のアミノ酸であり、かつ該アミノ酸配列からなるタンパク質が二重特異性ホスファターゼ阻害活性を有するアミノ酸配列;
  8. DNAがヒト由来である請求項7に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
  9. 非ヒト哺乳動物が、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ及びサルからなる群から選ばれるいずれかの非ヒト哺乳動物である請求項1〜8のいずれかに記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
  10. 心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物が、心肥大のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物である請求項1〜9のいずれかに記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
  11. 心肥大のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物が、遠心性心肥大のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物である請求項10に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
  12. 遠心性心肥大のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物が、拡張型心筋症のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物である請求項11に記載の心疾患のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物。
  13. 以下の(q)及び(r)の工程を含む、心疾患の予防又は治療効果を有する物質の薬理評価方法。
    (q)請求項1〜12のいずれか1項に記載のトランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物に被検物質を投与して薬理効果を評価する工程;
    (r)該トランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物に被検物質を投与しなかった場合の薬理効果と比較し、該被検物質が該トランスジェニックモデル非ヒト哺乳動物に与えた薬理効果を評価する工程;
  14. 心疾患が、心肥大である請求項13に記載の心疾患の予防又は治療効果を有する物質の薬理評価方法。
  15. 心肥大が、遠心性心肥大である請求項14に記載の心疾患の予防又は治療効果を有する物質の薬理評価方法。
  16. 遠心性心肥大が、拡張型心筋症である請求項15に記載の心疾患の予防又は治療効果を有する物質の薬理評価方法。
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