JP2002510508A - 緑内障の治療剤および診断剤 - Google Patents

緑内障の治療剤および診断剤

Info

Publication number
JP2002510508A
JP2002510508A JP2000542490A JP2000542490A JP2002510508A JP 2002510508 A JP2002510508 A JP 2002510508A JP 2000542490 A JP2000542490 A JP 2000542490A JP 2000542490 A JP2000542490 A JP 2000542490A JP 2002510508 A JP2002510508 A JP 2002510508A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
nos
gene
nucleic acid
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000542490A
Other languages
English (en)
Inventor
エム ストーン,エドウィン
シー シェフィールド,ヴァル
エル エム オルワード,ウォレイス
フィンガート,ジョン
Original Assignee
ザ ユニヴァーシティー オブ アイオワ リサーチ ファンデーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ ユニヴァーシティー オブ アイオワ リサーチ ファンデーション filed Critical ザ ユニヴァーシティー オブ アイオワ リサーチ ファンデーション
Publication of JP2002510508A publication Critical patent/JP2002510508A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; CARE OF BIRDS, FISHES, INSECTS; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K2217/00Genetically modified animals
    • A01K2217/05Animals comprising random inserted nucleic acids (transgenic)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/156Polymorphic or mutational markers

Abstract

(57)【要約】 緑内障を予防し治療するための方法および組成物;および緑内障診断が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 1.発明の背景 緑内障は視神経頭部の杯形成および末梢視覚の喪失によって特徴づけられる視
神経疾患である。場合によっては中枢視覚の喪失もある。患者の大部分において
は、上昇した眼内圧力が存在し、視神経損傷に寄与すると考えられる。緑内障は
先進国における失明の第2の主たる原因である(Leske, M.C.(1
983) Am. J.of Epidemiology 118:1
66−191)。その有病率は年齢と共に増大し、黒人の患者においてより大き
い(Leske, M.C.(1983) Am. J.of Epi
demiology 118:166−191)。緑内障はほぼ230万人の
米国人に罹り、1年間当たりそれらのうちほぼ12,000人を失明させる(T
ielsch, J.M.(1993)Theraphy for gl
aucoma:costs and consequences. In
Transactions of the New Orlean
s Academy of Ophthalmologists, S
. F. Ball, Franklin, R. M.(編、 6
1−68頁 Kugler, Amsterdam)。
【0002】 2.緑内障の最も支配的な形態は一次解放角緑内障(POAG)、視神経の
変性および杯形成、末梢視野の喪失、および増大した眼内圧力によって特徴づけ
られる視神経の進行性疾患である。POAGが遺伝の複雑な形態とは遺伝的に異
種であることを示す証拠がある。若年性解放角緑内障(JOAG)として知られ
ているPOAGの初期開始形態は高い浸透度を持つ常染色体優性障害である。
【0003】 緑内障のかなりの割合が遺伝的ベースを有し(Benedict, T.W.
G. Abhaundlungen zus dem Gebiete der
Augenheilkunde. ”RESlau:L.Freunde(1
842); Stokes, (1940)W. Arch Ophthalm
ol 24:885−909;Kellerman, L. and A. P
osner,(1955) Am.J.Ophthalmol.;40:681
−685;Becker, B.,et al.,(1960) Am.J.O
phthalmol.50:557−567;Francois,J.,et.
al.,(1966)Am.J.Ophthalmol.;62:1067−1
071;Armaly,M.F.(1967) Arch Ophthalmo
l;78:35−43;Davies, T.G..(1968)Br.J.O
phthalmol.:52:31−39;Jay,B.,Paterson,
G.(1970)Trans.Ophthalmol.Soc.U.K.;9
0:161−171;Paterson, G.(1970) Trans.O
phthalmol.Soc.U.K.;90:515−525;Miller
, S.J.H.(1978)Trans.Ophthalmol.Soc.U
.K.98:290−292)、これは分子レベルで病気の病理生理学メカニズ
ムを調べるのに遺伝的方法を用いることを可能にする。一次解放角緑内障の3つ
の遺伝的に区別されるタイプを引き起こす遺伝子の染色体位置が同定されている
。(Sheffield, V.,et al.(1993)Nature G
enetics4:47−50;Sunden, S.L.F.,et al.
(1966)6:862−869;Richards,J.E.,et al.
.(1994)Am.J.Hum.Genet.:54:62−70;Wigg
s, J.L.,et al.(1994)Genomics;21:299−
303;Stoilova,D.,et al..(1996)Genomic
s 36:142−150;Wirtz, M.K.,et al..(199
7)Am.J.Hum.Genet.60:296−304)。
【0004】 緑内障に関与する遺伝子(野生型または突然変異体)を変調し(作用しまたは
拮抗する)治療剤は緑内障の予防および治療に有用であろう。加えて、緑内障の
発病の存在または病気素因に関連する遺伝子中での突然変異の検出は有用な診断
剤を提供し得る。
【0005】 2.発明の概要 1つの態様において、本発明は単離されたGLC1A核酸分子をその要旨とす
る。開示された分子は非−コーディングであり得る(例えば、プローブ、アンチ
センスまたはリボザイム分子)か、あるいは機能的ポリペプチド(例えば、アゴ
ニストまたはアンタゴニストいずれかとして作用することによって、ミオシリン
ポリペプチドの少なくとも1つの生物活性を特異的に変調するポリペプチド)を
コードすることができる。
【0006】 さらなる具体例において、該核酸分子は、配列番号7または9として示された
核酸またはその相補体に対して配列において少なくとも70%、好ましくは80
%、より好ましくは85%、なおより好ましくは少なくとも95%相同であるG
LC1A核酸である。もう1つの具体例において、該核酸は配列番号8または1
0に示されたポリペプチドに対して配列において少なくとも92%、より好まし
くは少なくとも95%同様であるポリペプチドをコードする。
【0007】 また、本発明は配列番号1、2、3、4、5または6に記載された配列の少な
くとも約6つの連続ヌクレオチドまたは配列番号1、2、3、4、5または6に
記載された配列の相補体あるいはその天然に生じる突然変異体にハイブリダイズ
するヌクレオチド配列の領域に対応する実質的に精製されたオリゴヌクレオチド
を含むプローブおよびプライマーを提供する。好ましい具体例において、プロー
ブ/プライマーはさらに検出され得るそれに結合した標識基を含む。
【0008】 発現のためには、主題のGLC1A核酸は転写調節配列、例えば、転写プロモ
ーター(例えば、構成的発現または誘導性発現用)または転写エンハンサーまた
はサプレッサー配列のうちの少なくとも1つを含むことができ、その調節配列は
GLC1A遺伝子配列に作動可能に連結している。GLC1A核酸分子と組み合
わせたかかる調節配列は遺伝子発現のための有用なベクターを提供できる。また
、本発明は、該発現ベクターを使用することによってGLC1A蛋白質を生産す
るための原核生物または真核生物およびイン・ビトロ(例えば、細胞培養)およ
びイン・ビボ(トランスジェニック)方法であるかを問わず該発現ベクターでト
ランスフェクトされた宿主細胞を記載する。
【0009】 1つの態様において、本発明は、単離されたミオシリンポリペプチド、好まし
くは例えば、血漿精製または組換え生産ミオシリンペプチドの実質的に純粋な調
製物をその要旨とする。1つの具体例において、該ポリペプチドは配列番号8ま
たは10に表されたミオシリン蛋白質と同一または類似である。また、脊椎動物
の関連メンバー、特に哺乳動物ミオシリンファミリーの本発明の範囲内のもので
ある。好ましくは、ミオシリンポリペプチドは、配列番号8または10で表され
たポリペプチドに対して少なくとも約92%相同、好ましくは少なくとも約95
%、96%、97%、98%または99%相同であるアミノ酸配列を有する。好
ましい具体例において、ミオシリンポリペプチドは、配列番号7または9の1つ
において表された核酸配列にハイブリダイズする核酸によってコードされる。主
題のミオシリン蛋白質は、例えば、修飾部位(チロシン、スレオニン、セリンま
たはアスパラギン残基)、を改変する、または蛋白質のグリコシル化を妨げる、
またはシグナル変換に関与する細胞内蛋白質と該蛋白質の相互作用を妨げる突然
変異による、翻訳後修飾に抵抗性である修飾された蛋白質を含む。
【0010】 ミオシリンポリペプチドは配列番号8または10に表されるごとき全長蛋白質
を含むことができ、あるいはそれは1以上の特定のモチーフ/ドメイン、または
任意のサイズに対応する断片、例えば、長さが少なくとも5、10、25、50
、100、150、175、200、225、250、275、300、325
、350、375、400、425、450、460、470、475、480
、485、または490アミノ酸を含むことができる。
【0011】 本発明のもう1つの態様はミオシリン蛋白質を含むキメラ分子(例えば、融合
蛋白質)をその要旨とする。例えば、ミオシリン蛋白質は、第2のポリペプチド
部分、(例えば、ミオシリンポリペプチドに対して関連のない異種の)アミノ酸
配列を有する第2のポリペプチド(例えば、第2のポリペプチド部分はグルタチ
オンーS−トランスフェラーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたはエピトープタ
ブのごとき酵素活性である)を含む組換え融合蛋白質として提供できる。
【0012】 本発明のなおもう1つの態様は、免疫原性調製物中のミオシリンポリペプチド
を含む免疫原に関し、該免疫原はミオシリンポリペプチドに特異的な免疫応答、
例えば、体液性応答、抗体応答および/または細胞応答を誘導することができる
。好ましい具体例において、免疫原は配列番号8または10で表される蛋白質か
らの抗原決定基、例えば、ユニーク決定基を含む。
【0013】 本発明のなおさらなる態様はミオシリン蛋白質のエピトープと特異的に反応性
である抗体および抗体調製物をその要旨とする。好ましい具体例において、該抗
体は配列番号8または10で表される少なくとも1つのエピトープに特異的に結
合する。
【0014】 また、本発明は、ここに記載されたGLC1A遺伝子の異種形態を含み(好ま
しくは、これを発現する)、あるいは内因性GLC1A遺伝子を誤発現する(例
えば、主題のGLC1A蛋白質の1以上の発現が破壊される動物)トランスジェ
ニック非−ヒト動物をその要旨とする。かかるトランスジェニック動物は、突然
変異したまたは誤発現されたGLC1A対立遺伝子を含む細胞および組織障害を
研究するための、または薬物スクリーニングで使用するための動物モデルとして
供することができる。別法として、かかるトランスジェニック動物は組換えミオ
シリンペプチドを発現するのに有用であり得る。
【0015】 さらにもう1つの態様において、本発明は、ミオシリン蛋白質および、例えば
、ウイルス、ミオシリン蛋白質の細胞外リガンド、またはミオシリン蛋白質に結
合する細胞内蛋白質の間の相互作用の阻害剤、あるいはポテンシエーターを同定
するためのテスト化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。
【0016】 本発明のさらなる態様は、対象が緑内障または突然変異体GLC1A遺伝子に
由来するもう1つの障害の危険があるかを決定する方法を提供する。該方法は、
対象の組織において、(i)ミオシリン蛋白質をコードする遺伝子の突然変異(
例えば、配列番号7または9の1つで表された遺伝子、または例えば配列番号1
−6で表されたGLC1Aイントロン配列の突然変異);または(ii)GLC
1A遺伝子の誤発現のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる遺伝的病巣
の存在または不存在を検出することを含む。好ましい具体例において、遺伝的病
巣の検出は:GLC1A遺伝子からの1以上のヌクレオチドの欠失;遺伝子への
1以上のヌクレオチドの付加、遺伝子の1以上のヌクレオチドの置換、遺伝子の
グロス染色体再配置;(例えば、プロモーター突然変異による)遺伝子のメッセ
ンジャーRNA転写体のレベルの改変;遺伝子のメッセンジャーRNA転写体の
非−野生型スプライシングパターンの存在;および/または可溶性ミオシリン蛋
白質の異常レベルのうちの少なくとも1つの存在を確認することを含む。
【0017】 例えば、遺伝的病巣の検出は、(I)GLC1A遺伝子のセンスもしくはアン
チセンス配列またはその天然に生じる突然変異体、またはGLC1Aと天然で会
合したイントロンフランキング配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを
含むプローブ/プライマーを提供すること;(ii)該プローブ/プライマーを
適当な核酸含有試料と接触させること;および(iii)該プローブ/プロイマ
ーを核酸にハイブリダイズさせることによって、遺伝子病巣の存在または不存在
を検出することを含むことができ、例えば、ここに、病巣の検出は、該プローブ
/プライマーを利用してGLC1A遺伝子および、所望により、フランキング核
酸配列のヌクレオチド配列を決定することを含む。例えば、ポリメラーゼ鎖反応
(PCR)でまたは連結鎖反応(LCR)でプライマーを使用することができる
。別の具体例において、ミオシリン蛋白質と特異的に免疫反応性である抗体を用
いるイムノアッセイでGLC1A蛋白質のレベルが検出される。
【0018】 本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な記載および請求の範囲から明らか
であろう。
【0019】 3. 図面の簡単な説明 図1〜9はヒトおよびマウスGLClA遺伝子配列の整列である。ヒトおよび
マウスGLClA遺伝子の3つのエクソンおよびフランキング配列が図1〜5、
6および7〜9で整列されている。これらの配列は連続的ではない。エクソン配
列は大文字で報告し、他方、フランキング配列は下方の場合の文字である。マウ
スおよびヒトの間で保存されたヌクレオチドは閉じた丸によって示される。図1
〜5において、エクソン1およびフランキングプロモーターおよびイントロン1
配列が示される。推定プロモーターおよびエンハンサーエレメントのサブセット
は下線を施し、標識する。GRE半分部位は「GR」によつて示される。ヒトG
LClA遺伝子の5’フランキング領域における(CA)リピート多形もまた下
線を施し、「(CA)リピート多形」と標識する。図6には、エクソン2および
フランキングイントロン1およびイントロン2配列が示される。図7〜9には、
エクソン3およびフランキングイントロン2および下流配列が示される。ポリア
デニル化シグナル配列は下線を施し、「ポリ−A」と標識する。ヒトGLClA
遺伝子の下流の(CA)リピート多形もまた下線を施し、「(CA)リピート多
形」と標識される。
【0020】 図10はヒトおよびマウス・ミオシリン蛋白質の間で保存された推定モチーフ
の模式的表示である。
【0021】 図11はマウスおよびヒトGLClA遺伝子によって予測された蛋白質の整列
である。マウスおよびヒトの間で保存されたアミノ酸は閉じた丸によって示され
る。ヒトGLClA遺伝子で従前に同定された病気を引き起こす突然変異の位置
が同定される。各ミスセンス突然変異については、突然変異体残基が野生型アミ
ノ酸の上方に直接的に示される。ナンセンス突然変異の位置は「1」によって示
され、挿入突然変異の位置は「2」によって示される。
【0022】 4. 発明の詳細な記載 4.1.一般法 ここに報告するごとく、JOAGに関連する遺伝子座は遺伝子連鎖分析によっ
て染色体1q21−q31で同定された。2つの大きなJOAG家系における緑
内障表現型および高度に多形の遺伝子マーカーの間の観察された組換えは、GL
C1A遺伝子を含有する感覚が、マーカーD1S3665およびD1S3664
の間の染色体1qの3cM領域まで狭まることを可能とした。マーカーハプロタ
イプのさらなる評価は、緑内障家族の3つの対の各々が同一の8連続マーカーの
対立遺伝子を共有することを明らかとし、これは、GLC1A遺伝子がD1S1
619およびD1S3664によって規定されるより狭い間隔内にあることを示
唆する。
【0023】 染色体1のGLC1A領域にマッピングされるいくつかの遺伝子は病気原因遺
伝子の候補であると考えられた。3つの遺伝子(LAMC1(H.C.Watk
insら、(1993)Hum. Mol. Genet. 2:1084)、
NPRI(D.G. Loweら、(1990)Genomic 8:304)
およびCNR2、(S.Munroら、(1993)Nature 365:6
1)が、遺伝子内多形マーカーを用いる遺伝子連鎖分析によって候補領域から排
除された。5つのさらなる候補遺伝子はYAC STS含有量マッピングによっ
て観察された組換え間隔内に判断された:セレクチンE(M.P.Bevila
cqua et al.,(1989)Science243:1160)(G
enBank 受託番号M24736);セレクチンL(T.F.Tedder
et al.,(1989)J.Exp.Med.170:123(GenB
ank 受託番号M25280);TXGP−1(S.Miura et al
.,(1991)Mol.Cell Biol 11:1313)(GenBa
nk 受託番号MD90224);APT1LG1(T.Takahashi
et al.,(1994)Int.Immunol.6,1567);および
TIGR(Trabecular meshwork Induce Gluc
ocorticoid Response Protein)(J.R.Pol
ansky et al.,(1989)Prog.Clin.Biol.Re
s 12:113;J.Escribano et al.,(1995)J.
Biochem.118:921;International Patent
Application Publication No.WO96/144
11)(GenBank受託番号R95491,R95447, R95443
,R47209)。しかしながら、これらの遺伝子(セレクチンEおよびセレク
チンL)の2つはこのアプローチでは共有されたハプロタイプ間隔の外側にある
ことが判明した。残りの遺伝子(APT1LG1、TXGP−1およびTIGR
)はYAC STS含有量および照射ハイブリッドマッピング双方によって最も
狭いJOAG間隔内にマップされることが判明した。
【0024】 これらの遺伝子(APT1LG1およびTIGR)の2つをJOAGを持つ家
族における突然変異につきスクリーニングした。プライマーを利用可能な配列か
ら選択し(T.Takahashi et al.,(1994)Int.Im
munol.6,1567,J.Escribano et al.,(199
5)J.Biochem.118:921;International Pa
tent Application Publication No.WO96
/14411)(GenBank受託番号R95491, R95447,R9
5443, R47209)、一本鎖立体配座家系分析(B.J. Bassa
mら、(1991)Anal.Biochem.196:80)および直接DN
A配列決定によって重複するPCR増幅産物を評価したAPT1LG1およびT
IGR遺伝子の完全なcDNA配列は公表されているが介在する配列の存在は、
それらのコーディング配列の85−90%のみがゲノムDNAでスクリーニング
できることを可能とした。8人の関連しないJOAG患者をAPT1LG1アッ
セイでスクリーニングしたが配列変異体は同定されなかった。
【0025】 TIGR遺伝子アッセイをまず用いて、4つの異なる1q−連結緑内障家族の
罹ったメンバー、およびハプロタイプデータによって意味された4つのより小さ
い家族の罹ったメンバーをスクリーニングした。8つの家族のうちの4つでアミ
ノ酸改変突然変異が検出された。コドン437におけるチロシンからヒスチジン
への突然変異が、1qの連鎖した元の家族(V.C.Sheffieldら,
(1993) Nature Genet.4.47)の全ての22人の罹った
メンバーで検出された。コドン364におけるグリシンからバリンへの突然変異
が、15人の罹患メンバーを持つ1つの事前に報告されていない成人−開始解放
角緑内障を含めた2つの家族で検出された。コドン368におけるナンセンス突
然変異(グルタミンから停止)が2つの家族で検出された。後者の突然変異は遺
伝子産物の切形をもたらすことが予測されるであろう。
【0026】 次いで、4つの異なる集団:該病気の家族履歴を持つ緑内障患者;単一クリニ
ックで見られた未選択一次解放角緑内障発端者;一般的集団(遺伝した網膜病を
持つ患者および先行連鎖研究に参画した家族からの配偶者によって近似);およ
び正常な眼内圧力および緑内障の個人的または家族的履歴を持たない40歳を超
える未関連ボランティアをスクリーニングすることによって、これらの3つの変
化を有する2つのPCRアンプリマーにおける突然変異の有病率を評価した。S
SCPによって配列変異を含有すると判断されたPCR産物を配列決定し、未罹
患個体から生じた配列および各罹患個体における正常染色体と比較した。総じて
、ミスセンスまたはナンセンス突然変異が未関連緑内障患者の3−5%で、およ
び対照の0.2%で見いだされた。カイ二乗検定はこの差異が有意であることを
明らかとした(p<0.001)。
【0027】 引き続いての研究において、SSCPスクリーニング、続いての1312の未
関連個体からのDNAの配列決定は合計33の配列変化を明らかとした。1q−
連鎖緑内障を持つが、SSCPシフトのない3つの家族の発端者からの増幅され
た全GLC1Aコーディング配列の配列決定は、3つのさらなる配列変化を明ら
かとした。これらの36の変異のうちの16(表1)は、「恐らく」病気を引き
起こす突然変異についての以下の基準に適合した:1)1以上の緑内障患者にお
ける存在;2)予測されたアミノ酸配列の改変;3)一般的集団の1%未満にお
ける存在;4)91正常ボランティアにおける不存在。これらの16の突然変異
は716人の緑内障発端者のうち34人で見いだされた(4.7%)。10の配
列変化はGLC1Aの予測されたアミノ酸配列を改変せず、従って、非病気原因
多形であるようである(表3)。9つの配列変化はGLC1Aの予測されたアミ
ノ酸配列(8)または5’フランキング領域(1)を改変したが、以下の理由の
うちの1つで非病気原因多形であるようであると判断された(表2);それらは
一般的集団の1%を超えて存在した(3)、それらは正常または一般的集団での
み見いだされた(5)、またはそれらはよりあるらしい病気原因突然変異のよう
に同一対立遺伝子で見いだされた(1)。
【0028】
【表1】
【表2】
【表3】 ヒトGLC1A遺伝子およびそのマウスオルソログを含有する細菌人工染色体
(BAC)をサブクローンし、配列決定して、遺伝子のゲノム構造を明らかとし
た。ヒトおよびマウスGLC1A遺伝子は共に3つのエクソンよりなる。エクソ
ン1の5’プロモーター領域、塩基対1−1905;エクソン1、塩基対190
6−2509;およびイントロン1の5’末端、塩基対2510−2800を含
めた)ヒトエクソン1を配列番号1として記載する。(イントロン1の3’末端
、塩基対1−193;エクソン2、塩基対194−319;およびイントロン2
の5’末端、塩基対320−680を含めた)ヒトエクソン2を配列番号2とし
て記載する。(イントロン2の3’末端、塩基対1−427;エクソン3、塩基
対428−1212;および3’UTR、塩基対1213−2000を含めた)
ヒトエクソン3を配列番号3として記載する。(エクソン1の5’プロモーター
領域;塩基対1−1947;エクソン1、塩基対1948−2509;およびイ
ントロン1の5’末端、塩基対2510−2800を含めた)マウスエクソン1
を配列番号4として記載する。(イントロン1の3’末端、塩基対1−193;
エクソン2、塩基対194−319;およびイントロン2の5’末端、塩基対3
20−680を含めた)マウスエクソン2を配列番号5として記載し、(イント
ロン2の3’末端、塩基対1−427;エクソン3、塩基対428−1212お
よび3’UTR、塩基対1213−1456を含めた)マウスエクソン3を配列
番号6として記載する。エクソンの2および3は両遺伝子において126塩基対
および782塩基対長であり、他方、エクソン1はヒト遺伝子では604塩基対
であり、マウス遺伝子では562塩基対である。エクソン−イントロン境界はマ
ウスおよびヒトの間で完全に保存されている。ヒトコーディングGLC1Aヌク
レオチド配列は1512ヌクレオチド(配列番号:7)よりなり、約57kDa
の分子量を有する504アミノ酸ミオシリン蛋白質(配列番号8)をコードする
。マウスコーディングGLC1Aヌクレオチド配列は1470ヌクレオチド(配
列番号9)よりなり、約55kDaの分子量を有する490アミノ酸ミオシリン
蛋白質(配列番号10)をコードする。ヒトおよびマウスコーディング配列はヌ
クレオチドレベルで83%同一であり、アミノ酸レベルで82%同一である蛋白
質を予測する。
【0029】 多くの推定転写調節配列はGLC1A遺伝子の上流領域で同定された(表4)
。3つのポリアデニル化部位は位置1714、1864および2006塩基対の
ヒト遺伝子の3’UTRに位置し、続いて推定開始コドンがある。加えて、ヒト
GLC1A遺伝子は、家族内の遺伝子の分離を追跡するための有用な遺伝子マー
カーでることが判明した2つのCA単純タンデム反復多形(STRPs)によっ
て密接に近接される。
【0030】
【表4】 ヒトGLC1A遺伝子は4つのフランキング遺伝子(SELL、SELE、G
LC1A、APT1LG1、AT3)の間の染色体1物理的地図に置かれた。こ
れらのフランキング遺伝子のマウス同族体はマウス染色体1上に同一順序で存在
し、これは、マウスGLC1A遺伝子がSELEおよびAPT1LG1のマウス
同族体の間のこのシンテニー領域に存在することを示唆する。
【0031】 ヒトGLC1Aの発現は成人組織からのRNAのノーザンブロット分析によっ
て調べた。2.3kb mRNAの高レベル発現が心臓、骨格筋、胃、甲状腺、
気管、骨髄、胸腺、前立腺、小腸および結腸を含めた広範囲な組織で見いだされ
た。豊富ではないGLC1A発現が肺、膵臓、睾丸、卵巣、脊髄、リンパ節およ
び副腎で観察された。GLC1A転写体は脳、胎盤、肝臓、腎臓、脾臓または白
血球では検出されなかった。同様の発現パターンがマウスで観察された。脳のあ
る領域が、全脳組織のポリ−A選択mRNAで表される可能性をテストするため
に、脳のいくつかの異なる領域からのRNAで調製されたノーザンブロットを、
GLC1Aプローブを用いてハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションは
脊髄で観察されたが、小脳、大脳皮質、髄質、後頭葉、前頭葉、側頭葉、または
被殻では観察されなかった。
【0032】 図10はヒトおよびマウスGLC1A蛋白質双方において存在する蛋白質モチ
ーフを示す。GLC1A核酸配列およびコードされたミオシリンアミノ酸配列は
共にN−末端領域において非筋肉ミオシンと、およびC−末端領域においてオル
ファクトメディンに対する相同性を示す。加えて、ヒトおよびマウスGLC1A
蛋白質は共に(アミノ酸71−152にわたる)ミオシン−様ドメインにおける
カイネクチンおよび他の細胞骨格蛋白質で観察されるものと同様のロイシンジッ
パードメインを含有する。このモチーフは、アミノ酸71−85および103−
152にわたる2つのサブ領域よりなり、ここに、ロイシン残基は各7の位置で
3ないし8回出現する。ヒトおよびマウスGLC1A核酸は10個の推定リン酸
化部位および4つの推定グリコシル化部位を含む。これらの機能的ドメインに加
えて、疎水性領域がミオシリン蛋白質のN−末端に出現し、18位のアラニン残
基が可能な切断部位であり得る単一ペプチドに似た配列を含む。
【0033】 さらなる分析は、アミノ酸17−37および426−44の間の疎水性領域を
明らかとする。しかしながら、これらのドメインの疎水性の長さおよび程度は、
それらが膜にわたらないことを示唆する。ヒトGLC1A蛋白質のカルボキシ−
末端3アミノ酸はセリン、リシンおよびメチオニンである。この配列は他の蛋白
質においてはペルオキシソーム標的化配列として機能することが示されている(
Subramani, S (1993) Ann. Rev. of Cel
l Bio. 9:445−478)。しかしながら、かかる推定標的化配列は
マウス蛋白質では存在しない。ヒトGLC1A蛋白質のウェスタンブロット分析
は57および59kDにおけるバンドを明らかとし、予測される蛋白質サイズを
確認し、蛋白質がグリコシル化され得るという証拠を提供する。これらの知見は
、ミオシリンが、光受容体細胞のごとき神経上皮の発育に関与する新規細胞骨格
蛋白質であることを示唆する。
【0034】 図11はマウスおよびヒトGLC1A遺伝子についての予測されるアミノ酸配
列の併置を示し、マウスおよびヒトGLC1A蛋白質配列に関して16の突然変
異の位置を示す。これらの突然変異のうちの14は、単一アミノ酸置換の結果と
なるミスセンス突然変異である。これらのうち12は、ヒトおよびマウスの間で
保存されたアミノ酸で起こり、他方、2つは保存されていないアミノ酸で起こる
。2つの残りの突然変異は2つの保存されたアミノ酸を破壊する挿入およびGL
C1A蛋白質の末端136アミノ酸の切形および121の保存残基の喪失の結果
となるナンセンス突然変異を含む。かくして、マウスおよびヒトの間で保存され
たアミノ酸で見いだされる病気原因突然変異のパーセンテージ(88%)は総じ
ての蛋白質保存交差種とは有意に異ならない(82%)。
【0035】 重要なことには、GLC1A核酸配列は国際出願WO 96/14411に報
告されたTIGR遺伝子配列(GeneBank受託番号R95491、R95
447、R95443およびR947209)とは実質的に異なる。事実、報告
されているごとく、TIGR遺伝子配列は機能的蛋白質をコードしない。
【0036】 ここに開示されたGLC1A遺伝子、およびTIGR遺伝子の間の差異の要約
は表5に提示される。
【0037】
【表5】 TIGR GLC1A配列における前記9つのエラーの結果、42の正しくな
いアミノ酸予測を引き起こす45ヌクレオチド差異となる。従って、ヒトTIG
Rアミノ酸配列はヒト・ミオシリン蛋白質配列と約91.67%同一であるに過
ぎず、ヒトTIGR遺伝子配列はヒトGLC1A配列と約97%同一であるに過
ぎない。
【0038】 この病気遺伝子の同定は、緑内障の病理生理学の理解を増加させ、これは今度
は機能的または突然変異体TIGR遺伝子または蛋白質の生物活性を変調する(
例えば、作動し、または拮抗する)分子を同定するためのアッセイの開発を促進
する。治療的有効量のこれらの分子を、緑内障を持つまたは緑内障を発症する危
険性のある対象に投与して疾患を予防しまたはその重症度を軽減することができ
る。
【0039】 加えて、ここに記載されたごとく、各GLC1A配列変異体の病気原因性質お
よび関連浸透度および開始の年齢の確立は臨床家が特定の配列変化を保有する患
者に緑内障を発症する危険性に関する有用な情報を供することを可能とする。
【0040】 4.2定義 便宜のために、明細書、実施例および添付の請求の範囲で使用されるある種の
用語およびフレーズの意味を以下に供する。
【0041】 本明細書で用いる用語「アゴニスト」は、野生型または突然変異体ミオシリン
生物活性を直接的または間接的に高め、補強しまたは増強する剤(例えば、ミオ
シリン治療剤)をいうことを意味する。
【0042】 本明細書で用いる用語「アンタゴニスト」は、野生型または突然変異体ミオシ
リン生物活性を直接的または間接的妨げ、最小化しまたは抑制する剤(例えば、
ミオシリン治療剤)をいうことを意味する。
【0043】 「細胞」、「宿主細胞」または「組換え宿主細胞」は、ここでは相互交換的に
使用される用語である。かかる用語は特定の対象をいうのみならず子孫またはか
かる細胞の子孫をいうと理解される。ある修飾は、突然変異または環境影響によ
り続いての世代で起こり得るのであり、かかる子孫は、事実、親細胞と同一であ
るが、依然としてここに使用される用語の範囲に含まれる。
【0044】 「キメラ蛋白質」または「融合蛋白質」は、対象ポリペプチドの1つをコード
する第1のアミノ酸と蛋白質の1つのいずれかのドメインに対して外来性のまた
はそれと実質的に相同ではないドメイン(例えば、ポリペプチド部分)を規定す
る第2のアミノ酸配列との融合である。キメラ蛋白質は第1の蛋白質も発現する
生物で(異なる蛋白質であるにも拘わらず)見いだされる外来性ドメインを表す
ことができ、あるいは異なる種類の生物によって発現された蛋白質構造の「種間
」、「属間」等融合であり得る。一般に、融合蛋白質は一般式X−ミオシリン−
Y(ここに、ミオシリンはミオシリン蛋白質の1つから誘導される蛋白質の少な
くとも一部を表し、XおよびYは独立して存在しないか、または生物におけるミ
オシリン配列の1つに関連しないアミノ酸配列を表す)によって表すことができ
、天然に生じる突然変異体を含む。
【0045】 本明細書で用いる「相補的」配列は、ハイブリダイズできるように十分な相補
性を有して、安定なデュプレックスを形成する配列をいう。
【0046】 「送達複合体」は、標的手段(例えば、遺伝子、蛋白質、ポリペプチドまたは
ペプチドの標的細胞表面へのより高い親和性の結合および/または標的細胞によ
る増大した細胞摂取となる分子)を意味する。標的手段の例はステロール(例え
ば、コレステロール)、脂質(例えば、カチオン性脂質、ビロソームまたはリポ
ソーム)、ウイルス(例えば、アデノウイルス、アデノ−関連ウイルス、および
レトロウイルス)または標的細胞特異的結合剤(例えば、標的細胞特異的受容体
によって認識されるリガンド)を含む。好ましい複合体は標的細胞による内部化
に先立って有意な非カップリングをイン・ビボで妨げるのに十分に安定である。
しかしながら、該複合体は、遺伝子、蛋白質、ポリペプチドまたはペプチドが機
能的形態で放出されるように、細胞内で適当な条件下で切断可能である。
【0047】 よく知られているように、特定のポリペプチドのための遺伝子は個体のゲノム
内に単一または複数コピーで存在し得る。かかる複製遺伝子は同一であり得るか
、あるいはヌクレオチド置換、付加または欠失を含めたある種の修飾を有するこ
とができ、これは全て実質的に同一活性を有するポリペプチドにつき依然として
コードする。かくして、用語「ミオシリンポリペプチドをコードするDNA配列
」は特定の個体内の1以上の遺伝子をいうことができる。さらに、ヌクレオチド
配列中のある種の差異が個々の生物間で存在することができ、これは対立遺伝子
と呼ばれる。かかる対立遺伝子差異の結果、コードされたポリペプチドのアミノ
酸配列の差異となり得るかまたはなり得ず、同一の生物学的活性を持つ蛋白質を
依然としてコードする。
【0048】 本明細書で用いるごとく、用語「遺伝子」または「組換え遺伝子」とは、エク
ソンおよび(所望により)イントロン配列双方を含めた、本発明のポリペプチド
の1つをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子をいう。「組
換え遺伝子」とは、ミオシリンポリペプチドをコードし、GLC1A−コーディ
ングエクソン配列を含む核酸をいうが、それは所望により染色体GLC1A遺伝
子から、または非関連染色体遺伝子から由来するイントロン配列を含むことがで
きる。主題のミオシリンポリペプチドをコードする例示的組換え遺伝子は配列番
号7および9に表される。用語「イントロン」とは、蛋白質には翻訳されず、一
般にエクソン間に見いだされる所与のGLC1A遺伝子に存在するDNA配列を
いう。
【0049】 「相同性」または「同一性」とは、2つのペプチド間または2つの核酸分子間
の配列同様性をいう。相同性は比較目的で整列させることができる各配列中の位
置を比較することによって決定することができる。比較された配列中の位置が同
一塩基またはアミノ酸によって占められていると、該分子はその位置において相
同である。配列間の相同性の程度は配列によって共有されたマッチングするまた
は相同位置の数の関数である。「未関連」または「非−相同」配列は、本発明の
GLC1A配列の一つと40%未満の、しかし好ましくは25%未満の同一性を
有する。
【0050】 本明細書で用いられる用語「相互作用する」とは、例えば、酵母2ハイブリッ
ドアッセイを用いて検出できるごとく、分子間の検出可能な相互作用を含むこと
を意味する。用語相互作用する、は分子間の「結合する」相互作用を含むことも
意味する。相互作用は、例えば、天然における蛋白質−蛋白質または蛋白質−核
酸であってもよい。
【0051】 DNAまたはRNAのごとき核酸に関連して本明細書で使用される用語「単離
された」は、マクロ分子の天然源に存在する、各々、他のDNAまたはRNAか
ら分離された分子をいう。例えば、主題のGLC1Aポリペプチドの1つをコー
ドする単離された核酸は、好ましくは、ゲノムDNAにおいて天然ではGLC1
A遺伝子に直ちにフランクする10キロベース(kb)以下の核酸配列、より好
ましくは5kb以下のかかる天然に生じるフランキング配列、最も好ましくは1
.5kb以下のかかる天然に生じるフランキング配列を含む。本明細書で用いら
れる用語単離された、は組換えDNA技術によって生産された場合は細胞物質、
ウイルス物質または培養培地が、化学的に合成された場合は前駆体、または他の
化学物質を実質的に含まない核酸またはペプチドをいう。さらに、「単離された
核酸」は、断片として天然に生じず、天然状態で見いだすことができない核酸断
片を含むことを意味する。また、本明細書では用語「単離された」は、他の細胞
蛋白質から単離されたポリペプチドをいうのに使用され、精製されたおよび組換
えのポリペプチドを共に含むことを意味する。
【0052】 本明細書で使用される用語「変調」とは、例えば、作動することによる上昇調
節(例えば、活性化または刺激);およびミオシリン生物活性に拮抗することに
よる下降調節(例えば、阻害または抑制)を共に意味する。
【0053】 「ミオシリン生物活性」、「生物学的活性」または「活性」とは、(天然また
は変性立体配座であるかを問わず)ミオシリンポリペプチドによって、あるいは
そのいずれかの配列によって直接的または間接的に行われる細胞骨格または抗原
性機能をいうことを意味する。細胞骨格機能は(例えば、光受容体を含む)繊毛
のある神経上皮の発達または構造に関与するプロセスを含む。抗原性機能は天然
に生じるまたは変性ミオシリンポリペプチドまたはその断片に対して生起した抗
体と交差反応できるエピトープまたは抗原性部位の保有を含む。
【0054】 本発明の「非−ヒト動物」は齧歯類、非−ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシの
ごとき哺乳動物、ニワトリ、両生類、爬虫類等を含む。好ましい非−ヒト動物は
ラットおよびマウスを含めた齧歯類科から選択されるが、ツメガエル属のメンバ
ーのごときトランスジェニック両生類、およびトランスジェニックニワトリも例
えば胚発生および組織形成に影響し得る剤を理解し同定するための重要なツール
を提供することができる。用語「キメラ動物」は、ここでは、組換え遺伝子が見
いだされる、あるいは組換え遺伝子が動物のいくつかのしかし全てではない細胞
で発現される動物をいうように使用される。用語「組織−特異的キメラ動物」は
、組換えGLC1A遺伝子の1つがいくつかの組織に存在しおよび/または発現
されまたは破壊されるが、他のものではそうではないことを示す。
【0055】 本明細書で用いるごとく、用語「核酸」とは、デオキシリボ核酸(DNA)お
よび、適当には、リボ核酸(RNA)のごときポリヌクレオチドをいう。該用語
は同等のものとしてヌクレオチドアナログから作成されたRNAまたはDNAの
アナログを含むことが理解され、所望の一本鎖(センスまたはアンチセンス)お
よび二本鎖ポリヌクレオチドである具体例に適用できる。
【0056】 本明細書で使用されるごとく、用語「プロモーター」とは、当該プロモーター
に作動可能に連結した選択DNA配列の発現を調節し、細胞において選択DNA
配列の発現に影響するDNA配列を意味する。該用語は「組織特異的」プロモー
ター、すなわち、特異的細胞(例えば、特異的組織の細胞)においてのみ選択D
NA配列の発現に影響するプロモーターを含む。該用語は1つの組織で主として
選択DNAの発現を調節するが、他の組織では発現を引き起こすいわゆる「遺漏
」プロモーターもカバーする。また、該用語は非−組織特異的プロモーターおよ
び構成的に発現する、あるいは誘導性である(すなわち、発現レベルが制御する
ことができる)プロモーターを含む。
【0057】 用語「蛋白質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、遺伝子産物をいう
場合には相互交換可能に使用される。
【0058】 用語「組換え蛋白質」とは、組換えDNA技術によって生産された本発明のポ
リペプチドをいい、ここに、一般的にはミオシリンポリペプチドをコードするD
NAが、宿主細胞を形質転換して異種蛋白質を生産するのに使用される適当な発
現ベクターに挿入される。さらに、組換えGLC1A遺伝子に関してフレーズ「
に由来する」とは、天然ミオシリン蛋白質のアミノ酸配列、または蛋白質の天然
に生じる形態の(切形を含めた)置換および欠失を含めた突然変異によって創製
されるそれと同様のアミノ酸配列を有する蛋白質を「組換え蛋白質」の意味内に
含めることを意味する。
【0059】 本明細書で用いる「小分子」とは、約5kD未満、最も好ましくは約4kD未
満の分子量を有する組成物をいうことを意味する。小分子は核酸、ペプチド、ポ
リペプチド、ペプチドミメティックス、炭水化物、脂質または他の有機炭素含有
または無機分子であり得る。化学的または生物学的(例えば、菌類、細菌または
藻類抽出物)混合物の広いライブラリーが、本発明のアッセイでのスクリーニン
グに入手可能である。
【0060】 本明細書で用いるごとく、用語「特異的にハイブリダイズする」または「特異
的に検出する」は、配列番号7または9の1つに示されたGLC1A配列、また
はそれに相補的な配列、またはその天然に生じる突然変異体のごとき脊椎動物、
好ましくはGLC1A遺伝子の少なくともほぼ6、12、20、30、50、1
00、150、200、300、350、400、450、500、550、6
00、650、700、750、800、850、900、950、1000、
1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1
400、1450、1460、1470、1480、1490連続ヌクレオチド
にハイブリダイズする本発明の核酸分子の能力をいい、従って、それは、それが
ここに定義する脊椎動物GLC1A蛋白質以外の蛋白質をコードする細胞核酸(
例えば、mRNAまたはゲノムDNA)に対してそうするよりも少なくとも10
倍多いハイブリダイゼーション、好ましくは少なくとも50倍多いハイブリダイ
ゼーション、さらにより好ましくは少なくとも100倍多いハイブリダイゼーシ
ョンを示す。
【0061】 「転写調節配列」とは、それらが作動可能に連結した蛋白質コーディング配列
の転写を誘導または制御する開始シグナル、エンハンサー、およびプロモーター
のごときDNA配列をいうように、明細書を通じて使用される一般的用語である
。好ましい具体例において、組換えGLC1A遺伝子の1つの転写は、発現が意
図される細胞型において組換え遺伝子の発現を制御するプロモーター配列(また
は他の転写調節配列)の制御下にある。また、組換え遺伝子は、ミオシリン蛋白
質の天然に生じる形態の転写を制御する配列と同一またはそれとは異なる転写調
節配列の制御下にあり得る。
【0062】 本明細書で用いるごとく、用語「トランスフェクション」とは、核酸媒介遺伝
子導入による核酸、例えば、発現ベクターの受容体細胞への導入を意味する。本
明細書で用いるごとく、「形質転換」とは、外因性DNAまたはRNAの細胞摂
取の結果として細胞の遺伝子型が変化するプロセスをいい、例えば、形質転換さ
れた細胞は哺乳動物ミオシリンポリペプチドの組換え形態を発現し、あるいは導
入された遺伝子からのアンチセンス発現の場合には、ミオシリン蛋白質の天然に
生じる形態の発現は破壊される。
【0063】 本明細書で用いるごとく、用語「トランスジーン」とは、それが導入されるト
ランスジェニック動物または細胞に対して部分的にまたは全面的に異種である、
すなわち、外来性である、あるいはそれが導入されるトランスジェニック動物ま
たは細胞の内因性遺伝子に対して相同であるが、それが挿入される(例えば、天
然遺伝子のそれとは異なる、またはその挿入の結果、ノックアウトとなる位置に
それが挿入される)細胞のゲノムを改変するように動物ゲノムに挿入されるよう
に設計され、またはそのように導入される(例えば、哺乳動物ミオシリンポリペ
プチドの1つをコードする、またはそれに対するアンチセンス転写体をぶらさげ
る)核酸配列を意味する。トランスジーンは1以上の転写調節配列および選択さ
れた核酸の最適発現に必要であり得るイントロンのごときいずれかの他の核酸を
含むことができる。
【0064】 「トランスジェニック動物」とは、いずれかの動物、好ましくは非−ヒト哺乳
動物、鳥類または両生類をいい、ここに、該動物の1以上の細胞は当該分野でよ
く知られたトランスジェニック技術によるごとき、ヒト介在によって導入された
異種核酸を含有する。核酸は細胞の前駆体への導入によって、マイクロインジェ
クションによるごとき思慮深い遺伝子操作によって、または組換えウイルスでの
感染によって直接的または間接的に細胞に導入される。用語遺伝子操作は古典的
交雑育種、または試験官受精を含まず、むしろ組換えDNA分子の導入に向けら
れる。この分子は染色体内に組み込むことができるか、あるいは染色体外で複製
するDNAであり得る。本明細書で記載される典型的なトランスジェニック動物
において、トランスジーンは、細胞がGLC1A蛋白質の1つの組換え形態、例
えば、アゴニストもしくはアンタゴニスト形態を発現させるようにする。しかし
ながら、組換えGLC1A遺伝子がサイレントであるトランスジェニック動物、
例えば、後記するFLPまたはCRE組換え依存性構築体も考えられる。さらに
、「トランスジェニック動物」は、1以上のGLC1A遺伝子の遺伝子破壊が、
組換えおよびアンチセンス技術双方を含めたヒト介在によって引き起こされる組
換え動物も含む。
【0065】 用語「ベクター」とは、それが連結されているもう1つの核酸を輸送すること
ができる核酸分子をいう。好ましいベクターの1つのタイプはエピソーム、すな
わち、染色体外複製することができる核酸である。好ましいベクターは、それら
が連結された核酸の自律的複製および/または発現が可能であるものである。そ
れらが作動可能に連結した遺伝子の発現を指令することができるベクターは、こ
こでは「発現ベクター」という。一般に、組換えDNA技術における利用性の発
現ベクターは、しばしば、そのベクター形態において、染色体に結合していない
円状二本鎖DNAループを一般的にいう「プラスミド」の形態である。本明細書
においては、「プラスミド」および「ベクター」は相互交換的に使用される。と
いうのは、プラスミドはベクターの最も普通の形態だからである。しかしながら
、本発明は同等の機能を発揮し、引き続いてそれに対する当該分野で知られるよ
うになる発現ベクターのかかる他の形態を含むことを意図する。
【0066】 4.3 本発明の核酸 後記するごとく、本発明の1つの態様は、ミオシリンポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列を含む単離された核酸、および/またはかかる核酸の同等物
に関する。用語同等物は、本明細書に記載するごとき脊椎動物ミオシリン蛋白質
の活性を有する機能的に同等のミオシリンポリペプチドまたは機能的に同等のペ
プチドをコードするヌクレオチド配列を含むと理解される。同等のヌクレオチド
配列は対立遺伝子変異体のごとき1以上のヌクレオチド置換、付加または欠失だ
け異なる配列を含み;従って、遺伝暗号の縮重による配列番号7または9で示さ
れるGLC1A遺伝子のヌクレオチド配列とは異なる配列を含む。
【0067】 好ましい核酸は脊椎動物GLC1A核酸である。特に好ましい脊椎動物GLC
1A核酸は哺乳動物である。種に拘わらず、特に好ましいGLC1A核酸は、ヒ
トGLC1Aのアミノ酸配列と少なくとも90%同様であるポリペプチドをコー
ドする。好ましい核酸は、例えば、配列番号8または10の1つで示された配列
のごとき、脊椎動物GLC1Aのアミノ酸配列と少なくとも90%相同、より好
ましくは94%相同のアミノ酸配列を含むGLC1Aポリペプチドをコードする
。配列番号8または10で表されるアミノ酸配列と少なくとも約95%、より好
ましくは少なくとも約98−99%同様のポリペプチドをコードする核酸もまた
本発明の範囲内にある。特に好ましい具体例において、本発明の核酸は、配列番
号8または10の1つで示されたアミノ酸GLC1A配列をコードする。1つの
具体例において、該核酸は主題のGLC1Aポリペプチドの少なくとも1つの生
物活性を有するペプチドをコードするcDNAである。好ましくは、核酸は配列
番号1−7または9のコーディング領域に対応するヌクレオチド配列の全てまた
は一部を含む。
【0068】 本発明のさらに他の好ましい核酸は、配列番号8または10のアミノ酸残基の
全てまたは一部、例えば、その領域の少なくとも2、5、10、25、50、1
00、150または200アミノ酸残基に対応するポリペプチド配列を含むGL
C1Aポリペプチドをコードする。例えば、プローブ/プライマーまたはアンチ
センス分子として使用される好ましい核酸分子(すなわち、非コーディング核酸
分子)は長さが少なくとも約6、12、20、30、50、100、125、1
50または200塩基対を含むことができ、他方、コーディング核酸分子は約2
00、250、300、350、400、410、420、430、435また
は440塩基対を含むことができる。
【0069】 本発明のもう1つの態様は、配列番号1−7または9の1つによって表される
核酸にハイブリダイズする核酸を提供する。DNAハイブリダイゼーションを促
進する適当なストリンジェンシー条件、例えば、約45℃における6.0×塩化
チトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、続いての50℃における2.0×
SSCは当業者に公知であり、Current Protocols in M
olecular Bioリlogy, John Wiley & Sons
, N.Y. (1989)、6.3.1−6.3.6で見いだすことができる
。例えば、洗浄工程における塩濃度は50℃における約2.0×SSCの低スト
リンジェンシーから50℃における約0.2×SSCの高ストリンジェンシーか
ら選択することができる。加えて、洗浄工程における温度は室温、約22℃にお
ける低ストリンジェンシー条件から約65℃における高ストリンジェンシー条件
まで増加させることができる。温度および塩は共に変化させることができ、ある
いは温度または塩濃度いずれかを他の変数を変化させつつ一定に保持することが
できる。好ましい具体例において、本発明のGLC1A核酸は、中程度ストリン
ジェンシー条件、例えば、約2.0×SSCおよび約40℃で配列番号1または
2のうちの1つに結合するであろう。特に好ましい具体例において、本発明のG
LC1A核酸は高ストリンジェンシー条件下で配列番号1−7または9の1つに
結合するであろう。
【0070】 好ましい核酸は、例えば、配列番号8および10のうちの1つで示される配列
のごとき、哺乳動物GLC1Aのアミノ酸配列と少なくとも約75%相同、より
好ましくは80%、なおより好ましくは少なくとも約85%相同である配列を有
する。配列番号8および10のうちの1つに表された核酸と少なくとも約90%
、より好ましくは約95%、最も好ましくは少なくとも約98−99%相同であ
る核酸は、もちろん、本発明の範囲内のものである。好ましい具体例において、
該核酸は哺乳動物GLC1A遺伝子であり、特に好ましい具体例において、配列
番号1−7または9のうちの1つのコーディング領域に対応するヌクレオチド配
列の全てまたは一部を含む。
【0071】 遺伝暗号の縮重により配列番号1−7または9のうちの1つで示されるヌクレ
オチド配列とは異なる配列を有する核酸もまた本発明の範囲内のものである。か
かる核酸は機能的に同等のペプチド(すなわち、ミオシリンポリペプチドの生物
学的活性を有するペプチド)をコードするが、遺伝暗号における縮重により配列
表で示される配列から配列が異なる。例えば、1を超えるトリプレットによって
多数のアミノ酸が表示される。同一のアミノ酸、または同義を特定するコドン(
例えば、CAUおよびCACは各々ヒスチジンをコードする)の結果、ミオシリ
ンポリペプチドのアミノ酸配列に影響しない「サイレント」突然変異がもたらさ
れ得る。しかしながら、主題のミオシリンポリペプチドのアミノ酸配列の変化に
至らないDNA配列多形が哺乳動物間に存在することが予測される。当業者であ
れば、哺乳動物ミオシリンポリペプチドの活性を有するポリペプチドをコードす
る核酸の1以上のヌクレオチド(例えば、ヌクレオチドの約3−5%まで)にお
けるこれらの変異が天然対立遺伝子変異による所与の種の個体間で存在し得るこ
とを認識するであろう。
【0072】 後記する実施例によって示されるごとく、ミオシリン蛋白質をコードする核酸
は多数の真核生物細胞のいずれかに存在するmRNAから得ることができる。ま
た、成人および胚双方からのゲノムDNAから本発明の哺乳動物ミオシリンポリ
ペプチドをコードする核酸を得ることも可能である。例えば、ミオシリン蛋白質
をコードする遺伝子は、本明細書に記載されたプロトコル、ならびに当業者に一
般的に知られたプロトコルに従って、cDNAまたはゲノムライブラリーからク
ローン化することができる。主題の核酸の単離に適した組織および/またはライ
ブラリーの例は、とりわけ、網膜の光受容体細胞を含む。ミオシリン蛋白質をコ
ードするcDNAは、胚細胞を含めた、細胞、例えば、脊椎動物細胞、哺乳動物
細胞またはヒト細胞から全mRNAを単離することによって得ることができる。
次いで、全mRNAから二本鎖cDNAを調製し、引き続いて多数の公知の技術
のうちのいずれか1つを用いて適当なプラスミドまたはバクテリオファージに挿
入することができる。また、本発明によって提供されるヌクレオチド配列情報に
従い、確立されたポリメラーゼ鎖反応技術を用いて、哺乳動物ミオシリン蛋白質
をコードする遺伝子をクローン化することができる。本発明の核酸はDNAまた
はRNAであり得る。好ましい核酸は配列番号1および2よりなる群から選択さ
れる配列によって表されるcDNAである。
【0073】 4.3.1 ベクター また、本発明は、少なくとも1つの転写調節配列に作動可能に連結した、ミオ
シリンポリメラーゼをコードする核酸を含有する発現ベクターを提供する。「作
動可能に連結した」とは、ヌクレオチド配列が、該ヌクレオチド配列の発現を可
能とするように調節配列に連結されていることを意味することを意図する。調節
配列は当該分野で認められており、主題の哺乳動物ミオシリン蛋白質の発現を指
令するように選択される。従って、用語「転写調節配列」はプロモーター、エン
ハンサーおよび他の発現制御エレメントを含む。かかる調節配列はGoedde
l;Gene Expression Technology: Method
s in Enzymology 185, Academic Press,
San Diego, CA (1990)に記載されている。1つの具体例
において、発現ベクターは主題のミオシリンポリメラーゼのアゴニスト活性を有
するペプチドをコードする、あるいは別法として、ミオシリン蛋白質のアンタゴ
ニスト形態であるペプチドをコードする組換え遺伝子を含む。かかる発現ベクタ
ーを用いて細胞をトランスフェクトし、それにより、本明細書に記載された核酸
によってコードされた融合蛋白質を含めたポリペプチドを生産することができる
。さらに、本発明の遺伝子構築体は遺伝子治療プロトコルの一部として用いて、
主題のミオシリン蛋白質の1つのアゴニストまたはアンタゴニスト形態のいずれ
かをコードする核酸を送達することができる。かくして、本発明のもう1つの態
様は、組織中のミオシリン−誘導シグナリングの機能を再構成するように、また
は別法として該機能をなくするように、特に細胞タイプにおいてミオシリンポリ
ペプチドのイン・ビボもしくはイン・ビトロトランスフェクションおよび発現の
ためのベクターをその要旨とする。これは、例えば、蛋白質の天然に生じる形態
が誤発現される場合に、または組織の分化を改変する蛋白質の形態を送達するた
めに望ましいであろう。発現ベクターは新形成形質転換を阻害するのに使用する
こともできる。
【0074】 前記したもののごときウイルス導入方法に加えて、非ウイルスを使用して動物
の組織において主題のミオシリンポリペプチドの発現を引き起こすこともできる
。遺伝子導入のほとんどの非ウイルス方法は、マクロ分子の摂取および細胞内輸
送のための哺乳動物細胞によって使用される通常のメカニズムに頼る。好ましい
具体例において、本発明の非ウイルス標的化手段は、標的化された細胞による主
題のミオシリンポリペプチド遺伝子の摂取のためのエンドサイトーシス経路に頼
る。このタイプの例示的標的化手段はリポソーム由来系、ポリリシンコンジュゲ
ート、および人工的ウイルスエンベロープを含む。
【0075】 4.3.2 プローブおよびプライマー さらに、哺乳動物生物からのGLC1A遺伝子のクローニングから決定された
ヌクレオチド配列は、さらに、例えば、他の組織からの他の細胞タイプにおける
ホモログ、ならびに他の哺乳動物生物からのホモログを同定しおよび/またはク
ローニングするのに使用されるために設計されたプローブおよびプライマーの創
製を可能とする。例えば、本発明は、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを
含むプローブ/プライア−を提供し、このオリゴヌクレオチドは配列番号1−7
または9よりなる群から選択されるセンスまたはアンチセンス配列の少なくとも
ほぼ12、好ましくは25、より好ましくは40、50または75連続ヌクレオ
チドに対してストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の
領域、またはその天然に生じる突然変異体を含む。例えば、配列番号1−7また
は9に表される核酸に基づくプライマーはホモログをクローン化するためにPC
R反応で用いることができる。本発明の好ましいプライマー対は配列番号12お
よび13;14および15;16および17;18および19;20および21
;22および23;24および25;26および27;28および29;30お
よび31;32および33;34および35;36および37;38および39
;40および41;42および43;44および45;および46および47と
して記載されている。
【0076】 同様に、主題のGLC1A配列に基づくプローブを用いて、同一または相同蛋
白質をコードする転写体またはゲノム配列を指令することができる。好ましい具
体例において、該プローブは、さらに、それに結合した標識基を含み、検出する
ことができ、例えば、標識基は放射同位体、蛍光化合物、酵素、および酵素補因
子等から選択することができる。
【0077】 後記でより詳細に記載するごとく、かかるプローブは、患者からの細胞の試料
中のミオシリンコーディング核酸のレベルを測定する、例えば、GLC1A m
RNAレベルを検出し、またはゲノムGLC1A遺伝子が突然変異されたまたは
欠失されたかを決定するごとく、ミオシリン蛋白質を誤発現する細胞または組織
を同定するための診断キットの一部として用いることができる。略言すれば、ヌ
クレオチドプローブは、ミオシリンをコードする転写体の存在(または不存在)
につき無傷組織および組織試料の組織学的スクリーニングを促進する主題のGL
C1A遺伝子から創製することができる。抗−ミオシリン抗体の診断使用と同様
に、GLC1Aメッセージ、またはゲノムGLC1A配列に向けられたプローブ
の使用は、主題の予測的および治療的評価双方で用いることができる。本明細書
に記載されたイムノアッセイと組み合わせて使用され、オリゴヌクレオチドプロ
ーブは、ミオシリン蛋白質の発現(またはその欠如)に関連したいくつかの異常
性に関与し得る発生的障害のための分子基礎の決定を促進するのを助ける。例え
ば、ポリペプチド合成における変異はコーディング配列中の突然変異から分化さ
せることができる。
【0078】 4.3.3. アンチセンス、リボザイムおよびトリプレックス技術 本発明の1つの態様は、「アンチセンス」療法における単離された核酸の使用
に関する。ここに記載されるごとく、「アンチセンス」療法とは、例えば、転写
および/または翻訳を阻害することによって、その蛋白質の発現を阻害するよう
に、主題のGLC1A蛋白質の1以上をコードする細胞mRNAおよび/または
ゲノムDNAと、細胞条件下で、特異的にハイブリダイズ(例えば、結合)する
オリゴヌクレオチド分子またはその誘導体の投与またはイン・サイチュ創製をい
う。該結合は、二重らせんの主要溝中での特異的相互作用を通じて、例えば、D
NAデュプレックスに対する結合の場合に、通常の塩基対相補性によることがで
きる。一般に、「アンチセンス」療法とは、当該分野で一般的に使用されている
技術の範囲をいい、オリゴヌクレオチド配列への特異的結合に頼るいずれの療法
も含む。
【0079】 本発明のアンチセンス構築体は、例えば、細胞中で転写された場合、ミオシリ
ン蛋白質をコードする細胞mRNAの少なくともユニーク部分に相補的なRNA
を生じる発現プラスミドとして送達することができる。別法として、アンチセン
ス構築体はエクス・ビボで創製され、細胞に導入されると、GLC1A遺伝子の
mRNAおよび/またはゲノム配列とハイブリダイズすることによって発現の阻
害を引き起こすオリゴヌクレオチドである。かかるオリゴヌクレオチドプローブ
は、好ましくは、内因性ヌクレアーゼ、例えば、内因性および/またはエンドヌ
クレアーゼに抵抗性である、従って、イン・ビボで安定な修飾されたオリゴヌク
レオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドとして使用される例示的核酸
分子は、DNAのホスホルアミデート、ホスホチオエートおよびメチルホスホネ
ートアナログである(米国特許第5,176,996号;第5,264,564
号;および第5,256,775号も参照)。加えて、アンチセンス療法で有用
なオリゴマーを構築するための一般的アプローチは、例えば、Van der
Krolら(1988) Biotechniques 6:958−976;
およびSteinら(1988) Cancer Res 48:2659−2
668によってレビューされている。アンチセンスDNAに関しては、例えば、
注目するGLC1Aヌクレオチド配列の−10および+10領域の間の翻訳開始
に由来するオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
【0080】 アンチセンスアプローチは、GLC1A RNAに相補的であるオリゴヌクレ
オチド(DNAまたはRNAいずれか)の設計を含む。アンチセンスオリゴヌク
レオチドはGLC1A mRNA転写体に結合し、翻訳を妨げるであろう。好ま
しいものではあるが、絶対的相補性は必要とはされない。本明細書で言及される
ごとく、mRNAの一部に「相補的な」配列は、RNAとハイブリダイズするこ
とができる十分な相補性を有し、安定なデュプレックスを形成する配列を意味し
;二本鎖アンチセンス核酸の場合には、デュプレックスDNAの一本鎖がかくし
てテストされ、あるいはトリプレックス形成をアッセイすることができる。ハイ
ブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さ双方に依存
するであろう。一般に、ハイブリダイズする核酸が長いと、安定なデュプレック
ス(または当てはまる場合はトリプレックス)を含有し、依然としてそれを形成
するRNAとの塩基ミスマッチは多くなる。当業者であれば、標準的な手法の使
用によってミスマッチの許容される程度を確認して、ハイブリダイズする複合体
の融解温度を決定することができる。
【0081】 メッセージの5’末端に相補的なオリゴヌクレオチド、例えば、AUG開始コ
ドンまでのおよびそれを含めた5’非翻訳配列は翻訳を阻害するにおいて最も効
果的に働く。しかしながら、mRNAの3’非翻訳配列に相補的な配列は、最近
、同様にRNAの翻訳を阻害するにおいて効果的であることが示されている(W
agner, R. 1994, Nature 372:333)。従って、
GLC1A遺伝子の5’または3’非翻訳の非コーディングの領域のいずれかに
相補的なオリゴヌクレオチドをアンチセンスアプローチで用いて、内因性GLC
1A mRNAの翻訳を阻害することができる。mRNAの5’非翻訳領域に相
補的なオリゴヌクレオチドはAUG開始コドンの相補体を含むべきである。mR
NAコーディング領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは翻訳の効果
的ではない阻害剤であるが、本発明で使用できるであろう。GLC1A mRN
Aの5’、3’またはコーディング領域にハイブリダイズするように設計するか
を問わず、アンチセンス核酸は長さが少なくとも6つのヌクレオチド、好ましく
は長さが6ないし約50ヌクレオチドの範囲のオリゴヌクレオチドであるべきで
ある。ある具体例においては、オリゴヌクレオチドは少なくとも10ヌクレオチ
ド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、または少なく
とも50ヌクレオチドである。
【0082】 標的配列の選択に拘わらず、イン・ビトロ実験をまず行って、遺伝子発現を阻
害するアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力を定量するアンチセンスオリゴヌ
クレオチドの能力を定量するのが好ましい。これらの実験はアンチセンス遺伝子
阻害およびオリゴヌクレオチドの非特異的生物学的効果の間を区別する対照を利
用するのが好ましい。また、これらの実験は標的RNAまたは蛋白質のレベルを
内部対照RNAまたは蛋白質のそれと比較するのが好ましい。加えて、アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドを用いて得られた結果を対照オリゴヌクレオチドを用い
て得られたものと比較することが考えられる。対照オリゴヌクレオチドはテスト
オリゴヌクレオチドとほぼ同一の長さであって、オリゴヌクレオチドのヌクレオ
チド配列が、標的配列への特異的ハイブリダイゼーションを妨げるのが必要であ
る以上にはアンチセンス配列と異ならないのが好ましい。
【0083】 該オリゴヌクレオチドはDNAもしくはRNAまたはキメラ混合物またはその
誘導体または修飾されたバージョン、一本鎖または二本鎖であり得る。オリゴヌ
クレオチドは塩基部位、糖部位、またはリン酸骨格で修飾して、例えば、分子、
ハイブリダイゼーション等の安定性を改良することができる。オリゴヌクレオチ
ドは(例えば、イン・ビボで宿主細胞受容体を標的化するための)ペプチドのご
とき他の付着基、あるいは細胞膜(例えば、Letsingerら, 1989
, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:6
553−6556;Lemaitreら, 1987, Proc. Natl
. Acad. Sci. 84:648−652;PCT公開番号WO88/
09810, 1988年12月15日公開参照)または血液脳関門(例えば、
PCT公開番号WO 89/10134, 1988年4月25日公開参照)を
横切る輸送を促進するための剤、ハイブリダイゼーション−トリガード切断剤(
例えば、Krolら, 1988, BioTechniques 6:958
−976参照)またはインターカレーティング剤(例えば、Zon, 1988
, Pharm. Res. 5:539−549参照)を含んでもよい。この
目的で、オリゴヌクレオチドをもう1つの分子、例えば、ペプチド、ハイブリダ
イゼーショントリガード架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション−トリガード
切断剤等にコンジュゲートすることができる。
【0084】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、5−フルオ
ロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、
ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロ
キシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン
、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D
−ガラクトシルケオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチ
ルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデ
ニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−
アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキ
シアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルケオシン、5’−
メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−
N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ウイブトキ
ソシン、シウドウラシル、ウラシル−2−チオシトシン、5−メチル−2−チオ
ウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシ
ル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メ
チル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル
)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンよりなる群から選
択される少なくとも1つの修飾された塩基部位を含むことができる。
【0085】 また、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、アラ
ビノース、2−フルオロアラビノース、キシリロース、およびヘキソースよりな
る群から選択される少なくとも1つの修飾された糖部位を含むことができる。
【0086】 さらにもう1つの具体例において、アンチセンスオリゴヌクレオチドはホスホ
ロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミドチオエート、ホスホロア
ミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエ
ステル、およびホルムアセタールまたはそのアナログよりなる群から選択される
少なくとも1つの修飾されたリン酸骨格を含む。
【0087】 さらにもう1つの具体例において、アンチセンスオリゴヌクレオチドはα−ア
ノマーオリゴヌクレオチドである。α−アノマーオリゴヌクレオチドは相補的R
NAとで特異的二本鎖ハイブリッドを形成し、ここに、通常の立体配座とは対照
的に、ストランドは相互に平行に走る(Gautierら, 1987, Nu
cl. Acids Res. 15:6625−6641)。オリゴヌクレオ
チドは2’−0−メチルリボ核酸(Inoueら, 1987, Nucl.
Acids. Res. 15:6131−6148)、またはキメラRNA−
DNAアナログ(Inoueら, 1987, FEBS Lett. 215
:327−330)である。
【0088】 本発明のオリゴヌクレオチドは当該分野で公知の標準的方法によって、例えば
、(Biosearch, Applied Biosystems等から商業
的に入手可能なもののごとき)自動DNA合成器の使用によって合成することが
できる。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドはSteinら(1
988, Nucl. Acids. Res. 16:3209)の方法によ
って合成することができ、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは制御された
ポアガラスポリマー支持体などの使用によって調製することができる(Sari
nら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S
.A. 85:7448−7451)。
【0089】 GLC1Aコーディング領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドを用い
ることができるが、転写された非翻訳領域が最も好ましい。
【0090】 アンチセンスヌクレオチドはイン・ビボでミオシリンを発現する細胞に送達さ
れるべきである。アンチセンスDNAまたはRNAを送達するための多数の方法
が開発されている;例えば、アンチセンス分子は組織部位に直接的に注射するこ
とができ、あるいは所望の細胞を標的化するように設計された修飾アンチセンス
分子(例えば、標的細胞表面で発現された受容体または抗原に特異的に結合する
ペプチドまたは抗体に結合したアンチセンス)を全身投与することができる。
【0091】 しかしながら、内因性mRNAの翻訳を支持するのに十分なアンチセンスの細
胞内濃度を達成するのはしばしば困難である。従って、好ましいアプローチは、
アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なpolまたはpolプロモーター の制御下にある組換えDNA構築体を利用する。患者において標的細胞をトラン
スフェクトするためのかかる構築体の使用の結果、内因性GLC1A転写体とで
相補的塩基対を形成するであろう一本鎖RNAの十分量の転写がもたらされ、そ
れにより、GLC1A mRNAの翻訳を防止する。例えば、細胞によって摂取
され、アンチセンスRNAの転写を指令するように、ベクターをイン・ビボで導
入することができる。転写されて所望のアンチセンスRNAを生産する限り、か
かるベクターはエピソームで留まり、染色体に組み込まれるようになる。かかる
ベクターは当該分野における組換えDNA技術方法によって構築することができ
る。ベクターはプラスミド、ウイルス、または哺乳動物細胞における複製および
発現で使用される当該分野で公知の他のものであり得る。アンチセンスRNAを
コードする配列の発現は、哺乳動物、好ましくはヒト細胞で作用することが当該
分野で知られているいずれかのプロモ−タ−によることができる。かかるプロモ
ーターは誘導性または構成的であってよい。かかるプロモーターは、限定される
ものではないが、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびCh
ambon, 1981, Nature 290:304−310)、ラウス
肉腫ウイルスの3’ロング末端リピートに含有されたプロモーター(Yamam
otoら, 1980, Cell 22:787−797)、ヘルペスチミジ
ンキナーゼプロモーター(Wagnerら, 1981, Proc. Nat
l. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441−1445)、メ
タロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, 1982, Nat
ure, 296:39−42)等を含む。いずれのタイプのプラスミド、コス
ミド、YACまたはウイルスベクターを用いて、組織部位、例えば、脈絡叢また
は視床下部に直接的に導入することができる組換えDNA構築体を調製すること
もできる。別法として、所望の組織に選択的に感染するウイルスベクターを用い
ることができ(例えば、脳では、ヘルペスウイルスを用いることができ)、この
場合、投与はもう1つの経路(例えば、全身)によって達成することができる。
【0092】 GLC1A mRNA転写体を触媒により切断するように設計されたリボザイ
ム分子を用いて、GLC1A mRNAの翻訳およびミオシリンの発現を防止す
ることもできる(例えば、PCT国際公開WO 90/11364、1990年
10月4日公開;Sarverら, 1990, Science 247:1
222−1225参照)。部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザイム
を用いてGLC1A mRNAを破壊することができるが、ハンマーヘッドリボ
ザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッドリボザイムは標的mRNAとで相補的
塩基対を形成するフランキング領域によって指令される位置でmRNAを切断す
る。唯一の要件は、標的mRNAが以下の2塩基の配列を有することである:5
’−UG−3’。ハンマーヘッドリボザイムの構築および生産は当該分野でよく
知られており、HaseloffおよびGerlach, 1988, Nat
ure, 334:585−591に十分に詳細に記載されている。ヒトGLC
1A cDNAのヌクレオチド配列内に数100の可能なハンマーヘッドリボザ
イム切断部位がある。好ましくは、リボザイムは、切断認識部位がGLC1A
mRNAの5’末端近くに位置して、効率を増加させ、非機能的mRNA転写体
の細胞内蓄積を最小化するように設計される。
【0093】 また、本発明のリボザイムはTetrahymena Thermophil
aにおいて天然で生じ(IVS、またはL−19 IVS RNAとして知られ
ている)、Thomas Cechおよび同僚によって広く記載されている(Z
augら, 1984, Science, 224:574−578;Zau
gおよびCech, 1986;Science, 231:470−475;
Zaugら, 1986, Nature, 324:429−433;Uni
versity Patents Inc.による公開された特許出願WO 8
8/04300;BeenおよびCech, 1986, Cell, 47:
207−216)もののごときRNAエンドリボヌクレアーゼ(以後、「Cec
h−タイプリボザイム」)も含む。Cech−タイプリボザイムは標的RNA配
列にハイブリダイズし、しかる後、標的RNAの切断が起こる8塩基対活性部位
を有する。本発明は、GLC1Aに存在する8塩基対活性部位配列を標的化する
Cech−タイプリボザイムを含む。
【0094】 アンチセンスアプローチにおけるごとく、リボザイムは修飾されたオリゴヌク
レオチド(例えば、改良された安定性、標的化等につき)よりなることができ、
イン・ビボでGLC1Aを発現する細胞、例えば、視床下部および/または脈絡
叢に送達されるべきである。送達の好ましい方法は、トランスフェクトされた細
胞が十分量のリボザイムを生産して、内因性GLC1Aメッセージを破壊し、翻
訳を阻害するように、強力な構成的polまたはpolプロモーターの制御 下にあるリボザイムを「コードする」DNA構築体の使用を含む。アンチセンス
分子とは異なりリボザイムは触媒的であるので、より低い細胞内濃度しか効率で
必要でない。
【0095】 また、内因性GLC1A遺伝子発現は、相同組換えを用い、GLC1A遺伝子
またはそのプロモーターの「ノックアウト」を不活化することによって内因性G
LC1A遺伝子発現を減少させることができる(例えば、Simithiesら
, 1985, Nature 317:230−234;Thomas &
Capecchi, 1987, Cell 51:503−512;Thom
psonら, 1989 Cell 5:313−321;その各々を出典明示
してその全部を本明細書の一部とみなす)。例えば、内因性GLC1A遺伝子(
GLC1A遺伝子のコーディング領域または調節領域)に相同なDNAによって
近接された突然変異体の非機能的GLC1A(または完全に無関係のDNA配列
)を、選択マーカーおよび/または負の選択マーカーと共にまたはそれなくして
用いて、イン・ビボでGLC1Aを発現する細胞をトランスフェクトすることが
できる。標的化相同組換えを介する、DNA構築体の挿入の結果、GLC1A遺
伝子の不活化がもたらされる。かかるアプローチは農業分野で特に適し、ここに
、ES(胚幹)細胞に対する修飾を用いて、不活性GLC1Aを持つ動物子孫を
創製することができる(例えば、Thomas & Capecchi 198
7およびThompson 1989, 前掲参照)。しかしながら、このアプ
ローチはヒトで適合されることができる。但し、適当なウイルスベクター、例え
ば、脳組織、例えば、視床下部および/または脈絡叢への送達のためのヘルペス
ウイルスベクターを用い、イン・ビボで所要の部位の直接的に投与しまたは標的
化されるものとする。
【0096】 別法として、内因性GLC1A遺伝子発現は、GLC1A遺伝子の調節領域(
すなわち、GLC1Aプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的にデ
オキシリボヌクレオチド配列を標的化して、身体中の標的細胞におけるGLC1
A遺伝子の転写を防止する三重らせん構造を形成することによって減少させるこ
とができる(例えば、一般に、Helene, C. 1991, Antic
ancer Drug Des., 6(6):569−84;Helene,
C.ら, 1992, Ann, N.Y. Acad. Sci., 66
0:27−36;およびMaher, L.J., 1992, Bioass
ays 14(12):807−15参照)。
【0097】 同様に、本発明のアンチセンス構築体は、ミオシリン蛋白質の1つの正常生物
学的活性に拮抗することによって、組織の操作、例えば、組織分化、イン・ビボ
、エクス・ビボ組織培養で用いることができる。
【0098】 さらに、アンチセンス技術(例えば、アンチセンス分子のマイクロインジェク
ション、またはその転写がGLC1A mRNAまたは遺伝子配列に関してアン
チセンスであるプラスミドでのトランスフェクション)を用いて、発生事象にお
けるミオシリンの役割、ならびに成人組織におけるミオシリンの正常細胞機能を
調べることができる。かかる技術は細胞培養で利用することができるが、後記で
詳細に記載するごとくトランスジェニック動物の創製で用いることができる。
【0099】 リボザイムはRNAの特異的切断を触媒することができる酵素的RNA分子で
ある。リボザイム作用のメカニズムは、相補的標的RNAに対するリボザイム分
子の配列特異的ハイブリダイゼーション、続いてのエンドヌクレアーゼ分解切断
を含む。リボザイム分子の組成は標的遺伝子mRNAに相補的な1以上の配列を
含まなければならず、mRNA切断を担うよく知られた触媒配列を含まなければ
ならない。この配列については、出典明示してその全部において本明細書の一部
とみなす米国特許第5,093,246号参照。ミオシリン蛋白質をコードする
RNA配列のエンドヌクレアーゼ分解切断を特異的かつ効果的に触媒する作成さ
れたハンマーヘッドモチーフリボザイム分子はそれ自体本発明の範囲内である。
【0100】 いずれの可能なRNA標的内の特異的リボザイム切断部位も、以下の配列GU
A、GUUおよびGUCを含むリボザイム切断部位についての注目する分子をス
キャンすることによってまず同定する。一旦同定すれば、切断部位を含有する標
的遺伝子の領域に対応する15および20リボヌクレオチド間の短いRNA配列
を、オリゴヌクレオチドを配列不適当とし得る二次構造のごとき予測される構造
特徴につき評価することができる。候補細胞の適当性は、リボヌクレアーゼ保護
アッセイを用い、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションへのそ
の接近性をテストすることによって標記することもできる。
【0101】 転写の阻害のために三重らせん形成で使用されるべき核酸分子は、好ましくは
、一本鎖であり、デオキシリボヌクレオチドよりなる。これらのオリゴヌクレオ
チドの塩基組成は、一般に、デュプレックスの1つのストランドに存在すべきプ
リンまたはピリミジンいずれかのサイズ可能なストレッチを要する、フーグステ
ィーン塩基対合則を介する三重らせん形成を促進すべきである。ヌクレオチド配
列ピリミジン−ベースであってよく、この結果、得られた三重らせんの3の会合
ストランドを横切るTATおよびCGCトリプレットがもたらされる。ピリミジ
ン−リッチの分子は、そのストランドに対する平行向きのデュプレックスの一本
鎖のプリン−リッチの領域に相補的な塩基を供する。加えて、例えば、G残基の
ストレッチを含有するプリン−リッチな核酸分子を選択することができる。これ
らの分子は、GC対が豊富なDNAデュプレックスとで三重らせんを形成し、こ
こに、プリン残基の大部分は標的化デュプレックスの一本鎖に位置し、トリプレ
ックスにおける3つのストランドを横切るCGCトリプレットが得られる。
【0102】 別法として、三重らせん形成につき標的化することができる可能な配列は、い
わゆる「スイッチバック」核酸分子を創製することによって増加させることがで
きる。スイッチバック分子は、それがデュプレックスの第1ストランドと塩基対
合し、次いで、他のものと対合し、デュプレックスの1つのストランドに存在す
べきプリンまたはピリミジンいずれかのサイズ可能なストレッチの必要性を排除
するように、5’−3’、3’−5’様式で合成される。
【0103】 本発明のアンチセンスRNAおよびDNA、リボザイム、および三重らせん分
子は、DNAおよびRNA分子の合成につき当該分野で知られているいずれかの
方法によって調製することができる。これらは、例えば、固相ホスホルアミダイ
ト化学合成のごとき当該分野でよく知られているオリゴデオキシリボヌクレオチ
ドおよびオリゴリボヌクレオチドを化学的に合成するための技術を含む。別法と
して、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のイン・
ビトロおよびイン・ビボ転写によって創製することができる。かかるDNA配列
は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターのごとき適当なRNAポリメラ
ーゼプロモーターを取り込む非常に種々のベクターに取り込むことができる。別
法として、使用するプロモーターに応じて、RNAを構成的にまたは誘導的にア
ンチセンスを合成するアンチセンスcDNA構築体を細胞系に安定な導入をする
ことができる。
【0104】 さらに、細胞内安定性および半減期を増加させる手段として、核酸分子に対す
る種々のよく知られた修飾を導入することができる。可能な修飾は、限定される
ものではないが、分子の5’および/または3’末端へのリボヌクレオチドまた
はデオキシリボヌクレオチドのフランキング配列の付加またはオリゴデオキシリ
ボヌクレオチド骨格内のホスホジエステラーゼ結合よりもむしろホスホロチオエ
ートまたは2’O−メチルの使用を含む。
【0105】 4.4 本発明のポリペプチド また、本発明は、特に他のシグナル変換因子および/またはミオシリンポリペ
プチドと通常会合することができる転写因子から単離された、または他の細胞蛋
白質が実質的にない、利用可能なミオシリンポリペプチドを作成する。用語(こ
こでは「汚染蛋白質」ともいう)「他の細胞蛋白質が実質的にない」または「実
質的に純粋または精製された調製物」とは、約20(重量)%未満の汚染蛋白質
を有する、好ましくは約5重量%未満の汚染蛋白質を有するミオシリンポリペプ
チドの調製物を含むと定義される。主題のポリペプチドの機能的形態は、ここに
記載するクローン化された遺伝子を用いることによって、精製された調製物とし
てまず調製することができる。「精製された」とは、ペプチドまたはDNAもし
くはRNA配列に言及する場合、示された分子が他の蛋白質のごとき他の生物学
的マクロ分子の実質的に不存在下で存在することを意味する。本明細書で用いる
用語「精製された」とは、好ましくは、存在する同一タイプの生物学的マクロ分
子の少なくとも80乾燥重量%、より好ましくは95−99重量%の範囲、最も
好ましくは少なくとも99.8重量%を意味する(しかし、水、緩衝液、および
他の小分子、特に5000未満の分子量を有する分子は存在できる)。本明細書
で用いるごとく用語「純粋な」とは、好ましくは、直前の「精製された」と同一
の数字的限定を有する。「単離された」および「精製された」は、その天然状態
の天然物質または(例えば、アクリルアミドゲル中で)成分に分離されたが、純
粋な(例えば、汚染蛋白質、または変性剤およびポリマー、例えば、アクリルア
ミドまたはアガロース)物質または溶液を含有する天然物質を含まない。好まし
い具体例において、精製されたGLC1A調製物は、例えば、非−ヒト細胞にお
けるヒトミオシリン蛋白質の組換え発現によって達成することができるように、
ミオシリンがそれから通常は生産される同一動物からのいずれの汚染蛋白質も欠
くであろう。
【0106】 1以上の特定のモチーフおよび/またはドメインに、または任意のサイズ、例
えば、少なくとも5、10、25、50、75、100、125、150アミノ
酸の長さに対応する全長蛋白質または断片は本発明の範囲内である。
【0107】 例えば、単離されたミオシリンポリペプチドは配列番号8または10に表され
たミオシリンポリペプチドに対応するアミノ酸配列の全てまたは一部を含むこと
ができる。ミオシリン蛋白質の単離されたペプチジル部分は、かかるペプチドを
コードする核酸の対応する断片から組換え生産されたペプチドをスクリーニング
することによって得ることができる。加えて、断片は、通常のメリーフィールド
固相f−Mocまたはt−Boc化学のごとき当該分野で知られた技術を用いて
化学的に合成することができる。例えば、本発明のミオシリンポリペプチドは、
断片の重複のない所望の長さの断片に任意に分割し、あるいは好ましくは所望の
長さの重複する断片に分割することができる。該断片は(組換えによりまたは化
学的合成によって)生産することができ、テストして、野生型(例えば、「真性
」)ミオシリン蛋白質のアゴニストまたはアンタゴニストとして機能することが
できるペプチジル断片を同定することができる。
【0108】 本発明のもう1つの態様はミオシリン蛋白質の組換え形態に関する。天然ミオ
シリン蛋白質に加えて、本発明による好ましい組換えポリペプチドは、配列番号
8または10によって表されるアミノ酸配列と少なくとも91%、92%、93
%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%相同である。好ま
しい具体例において、本発明のミオシリン蛋白質はミオシリン蛋白質である。特
に好ましい具体例において、ミオシリン蛋白質は配列番号1−7または9の1つ
のコーディング配列を含む。特に好ましい具体例において、ミオシリン蛋白質は
ミオシリン生物活性を有する。
【0109】 本発明は、さらに、哺乳動物生物に由来する遺伝子によってコードされた、お
よび配列番号8または10に表されたミオシリン蛋白質に進化的に関連するアミ
ノ酸配列を有する主題のミオシリンポリペプチドの1つの組換え形態に関する。
かかる組換えミオシリンポリペプチドは、好ましくは、添付の配列表の野生型(
「真性」)ミオシリン蛋白質の少なくとも1つの生物学的活性のアゴニストまた
はアンタゴニストのいずれかの役割の1つで機能することができる。ミオシリン
蛋白質のアミノ酸配列に関し、用語「進化的に関連した」とは、天然に生起した
アミノ酸配列を有する両ポリペプチド、また例えば組合せ突然変異誘発によって
誘導されたミオシリンポリペプチドの突然変異変異体もいう。本発明で好ましい
かかる進化的に誘導されたミオシリンポリペプチドは、ミオシリン生物活性を有
し、配列番号8または10よりなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも
91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99
%相同である。
【0110】 一般に、ミオシリン蛋白質の活性(例えば、「生物活性」)を有するここで言
及されるポリペプチドは、配列番号8または10で示されるミオシリン蛋白質の
アミノ酸配列の全てまたは一部に対応する(例えば、同一または相同)アミノ酸
配列を有する、および天然に生じるミオシリン蛋白質の生物学的/生化学的活性
の全てまたは一部を模倣しまたはそれに拮抗するポリペプチドと定義される。本
発明によると、ポリペプチドはミオシリン蛋白質の天然に生じる形態の特異的ア
ゴニストまたはアンタゴニストであれば生物学的活性を有する。
【0111】 本発明は、さらに、主題のミオシリンポリペプチドを生産する方法に関する。
例えば、主題のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を指令する核
酸ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を、ペプチドの発現が起こるのを
可能とする適当な条件下で培養することができる。細胞を収穫し、溶解させ、蛋
白質を単離することができる。細胞培養は宿主細胞、培地、他の副産物を含有す
る。細胞培養に適した培地は当該分野でよく知られている。組換えミオシリンポ
リペプチドは細胞培養培地、宿主細胞から、またはイオン交換クロマトグラフィ
ー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、およびかかるペプチド
につき特異的な抗体での免疫アフィニティー精製を含めた蛋白質を精製するため
の当該分野で知られた技術を用いて単離することができる。好ましい具体例にお
いて、組換えミオシリンポリペプチドは、GST融合蛋白質またはポリ(His
)融合蛋白質のごとき、その精製を促進するドメインを含有する融合蛋白質であ
る。
【0112】 さらに、ある条件下では、ミオシリンアゴニスト(ミメティック)またはミオ
シリンアンタゴニストいずれかの1つとして限定された能力で機能して、蛋白質
の天然に生じる形態の生物学的活性のサブセットのみを促進しまたは阻害する主
題のミオシリンポリペプチドの1つのホモログを提供するのが有利であり得るこ
とが一般的に認められるであろう。かくして、限定された機能のホモログでの処
理によって特異的生物学的効果が誘導され得り、ミオシリン蛋白質の天然に生じ
る形態の生物学的活性の全てに指向されるアゴニストまたはアンタゴニストでの
処理に対する副作用は少ない。
【0113】 主題のミオシリン蛋白質の各々のホモログは、区別される点突然変異によって
、または切形によってのごとき、突然変異誘発によって創製することができる。
例えば、それが誘導されたミオシリンポリペプチドの生物学的活性と実質的に同
一または単にサブセットを保有するホモログを突然変異は生起させることができ
る。別法として、ミオシリン蛋白質を含む、生化学的経路の下流または上流メン
バーの競合的に結合することによるごとく、蛋白質の天然に生じる形態の機能を
阻害することができる蛋白質のアンタゴニスト形態を創製することができる。加
えて、構成的に活性である蛋白質のアゴニスト形態を創製することができる。か
くして、ヒトミオシリン蛋白質および本発明によって供されたそのホモログは遺
伝子発現の正または負のレギュレーターのいずれかであり得る。
【0114】 また、本発明の組換えミオシリンポリペプチドは、例えば、ユビキチン化また
は蛋白質と会合した他の酵素的標的化を改変する突然変異による、蛋白質分解切
断に抵抗性である蛋白質のバージョンのごとき、真性ミオシリン蛋白質のホモロ
グを含む。
【0115】 また、グリコシル基、脂質、ホスフェート、アセチル基等のごとき、他の化学
部位との共有結合または凝集コンジュゲートを形成することによって、ミオシリ
ンポリペプチドを化学的に修飾して、誘導体を創製することもできる。ミオシリ
ン蛋白質の共有結合誘導体は、蛋白質のアミノ酸側鎖の官能基またはポリペプチ
ドのN−末端またはC−末端に化学的部位を連結することによって調製すること
ができる。
【0116】 主題のミオシリンポリペプチドの構造の修飾は、治療的または予防的効果、安
定性(例えば、エクス・ビボ寿命およびイン・ビボでの蛋白質分解に対する抵抗
性)、または(例えば、蛋白質のリン酸化パターンを改変するための)翻訳後修
飾を増強する目的であり得る。かかる修飾されたペプチドは、蛋白質の天然に生
じる形態の少なくとも1つの活性を保持し、またはその特異的アンタゴニストを
生じるように設計すると、本明細書で詳細に記載されるミオシリンポリペプチド
の機能的同等体であると考えられる。かかる修飾されたペプチドは、例えば、ア
ミノ酸置換、欠失または付加によって生産することができる。
【0117】 例えば、イソロイシンまたはバリンでのロイシンの、グルタメートでのアスパ
ルテートの、セリンでのスレオニンの単離された置き換え、または構造的に関連
するアミノ酸でのアミノ酸の同様の置き換え(すなわち、等電子および/または
等電子的突然変異)が得られた分子の生物学的活性に対する主要効果を有しない
であろうことを予測するのは合理的である。保存的置換は、その側鎖に関連する
アミノ酸のファミリー内で起こるものである。遺伝子的にコードされるアミノ酸
は、ファミリーに分類される:(1)酸性=アスパルテート、グルタメート;(
2)塩基性=リシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性=アラニン、バリ
ン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリ
プトファン、および(4)非荷電極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、
システイン、セリン、スレオニン、チロシン。同様に、アミノ酸レパートリーは
(1)酸性=アスパルテート、グルタメート;(2)塩基性=リシン、アルギニ
ン、ヒスチジン、(3)脂肪族=グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソ
ロイシン、セリン、スレオニン(セリンおよびスレオニンは所望により脂肪族−
ヒドロキシルとして別に分類することができる);(4)芳香族=フェニルアラ
ニン、チロシン、トリプトファン;(5)アミド=アスパラギン、グルタミン;
および(6)硫黄−含有=システインおよびメチオニンとして分類することがで
きる(例えば、Biochemistry, 第2版, L. Streyer
, WH Freeman and Co.編:1981)。ペプチドのアミノ
酸配列の変化の結果、機能的ミオシリンホモログが得られるか(例えば、得られ
たポリペプチドが野生型形態を模倣するまたはそれに拮抗するという意味で機能
的)は、野生型蛋白質と同様に細胞における応答を生じる、またはかかる応答を
完全に阻害する変異体ペプチドの能力を評価することによって容易に決定するこ
とができる。1を超える置換が起こるポリペプチドは容易に同様にテストするこ
とができる。
【0118】 本発明では、さらに、主題のミオシリン蛋白質ならびに切形突然変異体の組合
せ突然変異体の組を創製する方法が考えられ、それは遺伝子発現を変調するにお
いて機能的である可能な変異体配列(例えば、ホモログ)を同定するのに特に有
用である。かかる組合せライブラリ−をスクリーニングする目的は、例えば、ア
ゴニストまたはアンタゴニストいずれかとして作用できる、あるいは別法として
新規活性を全て一緒に保有する新規ミオシリンホモログを創製することである。
【0119】 同様に、ミオシリンホモログは、選択的に遺伝子発現を阻害する現在の組合せ
アプローチによって創製することができる。例えば、突然変異誘発は、他のシグ
ナル経路蛋白質(またはDNA)に結合するが、なおシグナルの増殖を妨げるこ
とができるミオシリンホモログを提供することができ、例えば、該ホモログは優
性陰性突然変異体であり得る。さらに、本発明によるミオシリンのある種のドメ
インの操作は融合蛋白質で使用するのにより適したドメインを提供することがで
きる。
【0120】 1つの具体例において、変異体の変化したライブラリ−は核酸レベルの組合せ
突然変異体によって創製され、変化した遺伝子ライブラリ−によってコードされ
る。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、可能なGLC1A配列の縮重
組が個々のポリペプチドとして、あるいはGLC1A配列の組をその中に含有す
る(例えば、ファージ提示のための)より大きな融合蛋白質の組として発現でき
るように、遺伝子配列に酵素的に連結することができる。
【0121】 可能なミオシリンホモログのライブラリ−が縮重オリゴヌクレオチド配列から
創製することができる多くの方法がある。縮重遺伝子配列の化学的合成は自動D
NA合成器で行うことができ、次いで、合成遺伝子を適当な発現ベクターに連結
することができる。遺伝子の縮重組の目的は、1つの混合物において、可能なミ
オシリン配列の所望の組をコードする配列の全てを供することである。縮重オリ
ゴヌクレオチドの合成は当該分野でよく知られている(例えば、Narang,
SA(1983) Tetrahedron 39:3; Itakuraら
, (1981) Recombinant DNA Proc 3rd Cl
eveland Sympos. Macromolecules, AG W
alton編, アムステルダム:Elsevier 273−289頁;It
akuraら(1984) Annu. Rev. Biochem. 53:
323;Itakuraら(1984) Science 198:1056;
Ikeら(1983) Nucleic Acid Res. 11:477参
照)。かかる技術は他の蛋白質の指向された進化で使用されてきた(例えば、S
cottら(1990) Science 249:386−390; Rob
ertsら(1992) PNAS 89:2429−2433; Devli
nら (1990) Science 249:404−406;Cwirla ら(1990) PNAS 87:6378−6382;ならびに米国特許出願
第5,223,409号、第5,187,346号および第5,096,815
号参照)。
【0122】 同様に、コーディング配列断片のライブラリ−は、スクリーニングおよび生物
活性断片の引き続いての選択のためのミオシリン断片の変化した集団を創製する
ためのGLC1Aクローンを提供することができる。化学合成を含めた、かかる
ライブラリ−を創製するために種々の技術が当該分野で知られている。1つの具
体例において、(i)ニッキングが分子当たり約1回のみ起こる条件下で、GL
C1Aコーディング配列の二本鎖標準PCR断片をヌクレアーゼで処理し、(i
i)二本鎖標準DNAを変性し、(iii)該DNAを再生して異なるニックト
産物からセンス/アンチセンス対を含むことができる二本鎖標準DNAを形成さ
せ、(iv)S1ヌクレアーゼでの処理によって再形成デュプレックスから一本
鎖標準部分を除去し、次いで(v)得られた断片ライブラリ−を発現ベクターに
連結することによってコーディング配列断片のライブラリ−を創製することがで
きる。この例示的方法によって、種々のサイズのN−末端、C−末端および内部
断片をコードする発現ライブラリ−を誘導することができる。
【0123】 点突然変異または切形によって作成された組合せライブラリ−の遺伝子産物を
スクリーニングし、ある特性を有する遺伝子産物についてのcDNAライブラリ
−をスクリーニングするための広い範囲の技術が当該分野で知られている。かか
る技術は、一般に、GLC1Aホモログの組合せ突然変異誘発によって創製され
た遺伝子ライブラリ−の迅速なスクリーニングに適合するであろう。大きな遺伝
子ライブラリ−をスクリーニングするための最も広く使用される技術は、典型的
には、遺伝子ライブラリ−を複製可能な発現ベクターにクローニングし、適当な
細胞を得られたベクターのライブラリ−で形質転換し、次いで、所望の活性の検
出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離を
促進する条件下で組合せ遺伝子を発現させることを含む。後記する例示的アッセ
イの各々は、組合せ突然変異誘発技術によって創製された多数の縮重GLC1A
配列をスクリーニングするのに必要な高スループット分析に使用することができ
る。組合せ突然変異誘発は、例えば、1026分子のオーダーの突然変異体蛋白
質の非常に大きなライブラリ−を創製する能力を有する。このサイズの組合せラ
イブラリ−は、高スループットスクリーニングアッセイでスクリーニングするこ
とを技術的に挑戦している。この問題を克服するために、新しい技術、レクルシ
ブアンサンブル突然変異体(REM)が最近開発され、これは、ランダムにおい
て非常に高い割合の非機能的蛋白質を回避し、機能的蛋白質の頻度を単に増強さ
せ、かくして、配列スペースの有用なサンプリングを達成するのに必要な複雑性
を減少させる。REMは、適当な選択またはスクリーニング方法が使用される場
合に、ライブラリ−中の機能的突然変異体の頻度を増強させるアルゴリズムであ
る(ArkinおよびYourvan, 1992, PNAS USA 89
:7811−7815;Yourvanら, 1992, Parallel
Problem Solving from Nature, 2, In M
annerl and Manderick編, Elsevir Publi
shing Co., アムステルダム,401−410頁;Delgrave
ら, 1993, Protein Engineering 6(3):32
7−331)。
【0124】 また、本発明は、本発明の哺乳動物ミオシリンポリペプチドの上流または下流
成分との結合を破壊することができるミメティックス、例えば、ペプチドまたは
非ペプチド剤を創製するミオシリン蛋白質の減少を提供する。かくして、前記し
たかかる突然変異誘発は、例えば、それによって正にまたは負に調節されるかを
問わず、(その活性のアクチベーターおよびリプレッサー双方を含めた)上流で
機能できる蛋白質への、またはミオシリンポリペプチドの下流で機能できる蛋白
質または核酸への主題のミオシリンポリペプチドの結合に関与する蛋白質−蛋白
質相互作用に参画するミオシリン蛋白質の決定基をマップするのにも有用である
。説明すると、ミオシリンの上流または下流成分の分子認識に関与する主題のミ
オシリンポリペプチドの臨界的残基は決定でき、それを使用して真性ミオシリン
蛋白質のその部位への結合を競合的に阻害するミオシリン−由来ペプチドミメテ
ィックスを創製することができる。たとえば、他の細胞外蛋白質の結合に関与す
る主題のミオシリン蛋白質の各々のアミノ酸残基をマップするためのスキャンニ
ング突然変異誘発を使用することによって、相互作用を促進するミオシリン蛋白
質の残基を模倣するペプチドミメティックス化合物を創製することができる。次
いで、ミメティックスを用いて、ミメティックス蛋白質の正常機能と相互作用さ
せることができる。例えば、かかる残基の非加水分解正ペプチドアナログは、ベ
ンゼジアゼピン(例えば、Freidingerら, Peptides:Ch
emistry and Biology, G.R. Marshall編,
ESCOM Publisher:Leiden、オランダ、1988参照)
、アゼピン(例えば、Huffmanら, Peptides:Chemist
ry and Biology, G.R. Marshall編, ESCO
M Publisher:Leidn,オランダ,1988)、置換されたガン
マラクタム環(Garveyら, Peptides:Chemistry a
nd Biology,, G.R. Marshall編,ESCOM Pu
blisher:Leiden、オランダ、1988)、ケト−メチレンペプチ
ドミメティックス(Ewensonら(1986) J. Med. Chem
. 29:295;およびEwensonら, Peptides:Struc
ture and Function (Proceedings of th
e 9th American Peptide Symposium) Pi
erce Chemical Co. Rockland, IL, 1985
)、β−ターンジペプチドコア(Nagaiら(1985) Tetrahed
ron Lett 26:647;およびSatoら(1986) J Che
m Soi Perkin Trans 1:1231)、b−アミノアルコ−
ル(Gordonら、(1985) Biochem Biophys Res
. Commun. 126:419;およびDannら(1986) Bio
chem Biophys Res Commun 134:71)を用いて創
製することができる。
【0125】 4.4.1 組換えミオシリンポリペプチドを発現する細胞 また、本発明は、主題のミオシリンポリペプチドの組換え形態を発現するため
にトランスフェクトした宿主細胞に関する。該宿主細胞は原核生物または真核生
物細胞であってよい。かくして、全長蛋白質の全部または選択された部分をコー
ドする、ミオシリン蛋白質のクローニングに由来するヌクレオチド配列を用いて
、微生物または真核生物細胞プロセスを介してミオシリンポリペプチドの組換え
形態を生成させることができる。発現ベクターのごとく、ポリヌクレオチド配列
を遺伝子構築体に連結し、次いで、真核生物(酵母、鳥類、昆虫または哺乳動物
)または原核生物(細菌)細胞いずれかの宿主に形質転換またはトランスフェク
トすることは、他のよく知られた蛋白質、例えば、MAPキナーゼ、53頁、W
T1、PTPホスフォターゼ、SRC等を生産するのに使用される標準的手法で
ある。同様の手法、またはその修飾を使用して、主題の発現に関して微生物手段
または組織−培養技術によって組換えミオシリンポリペプチドを調製することが
できる。
【0126】 組換えGLC1A遺伝子は、ミオシリン蛋白質またはその一部をコードする核
酸を、原核生物細胞、真核生物細胞、または双方での発現に適したベクターに連
結することによって生産することができる。主題のミオシリンポリペプチドの組
換え形態の生産のための発現ベクターはプラスミドおよび他のベクターを含む。
例えば、ミオシリンポリペプチドの発現に適したベクターは、タイプ:E. c
oliのごとき原核生物細胞での発現のためのpBR322−由来プラスミド、
pEMBL−由来プラスミド、pEX−由来プラスミド、pBTac−由来プラ
スミドおよびpUC−由来プラスミドのプラスミドを含む。
【0127】 酵母にて組換え蛋白質の発現のための多数のベクターが存在する。例えば、Y
EP24、YIP5、YEP51、YEP52、pYES2、およびYRP17
は、遺伝子構築体をS. cerevisiaeに導入するのに有用なクローニ
ングおよび発現ベクターである(例えば、Broachら (1983) Ex
perimental; Manipulation of Gene Exp
ression編, M. Inouye Academic Press,
83頁参照,これは出典明示して本明細書の一部とみなす)。これらのベクター
は、pBR322起点の存在のためE.coliで、および酵母2ミクロンプラ
スミドの複製決定基のためS. cerevisiaeで複製することができる
。加えて、アンピシリンのごとき薬物抵抗性マーカーを用いることができる。例
示的具体例において、ミオシリンポリペプチドは、配列番号1−7または9で表
されるGLC1Aの1つのコーディング配列をサブクローニングすることによっ
て発現ベクターを利用して組換えにより生産される。
【0128】 好ましい哺乳動物発現ベクターは、細菌中でのベクターの増殖を促進するため
の原核生物配列、および真核生物細胞で発現される1以上の真核生物転写単位を
共に含有する。pcDNAIamp、pcDNAIneo、pRc/CMV、p
SV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTK2、pRSVne
o、pMSG、pSVT7、pko−neoおよびpHyg由来のベクターは真
核生物細胞のトランスフェクションに適した哺乳動物発現ベクターの例である。
これらのベクターのいくつかはpBR322のごとき細菌プラスミドからの配列
で修飾して、原核生物および真核生物細胞双方において複製および薬物抵抗性を
促進する。別法として、ウシ・パピローマ(BPV−1)、またはエプステイン
−バールウイルス(pHEBo、pREP−由来p205)のごときウイルスの
誘導体を、真核生物細胞における蛋白質の一過性発現で使用することができる。
プラスミドの調製および宿主生物の形質転換で使用される種々の方法は当該分野
でよく知られている。原核生物および真核生物細胞双方での他の適当な発現系、
ならびに一般的組換え手法については、Molecular Cloning
A Laboratory Manual, 第2版, Sambrook,
FritschおよびManiatis (Cold Spring Harb
or Laboratory Press:1989), 第16および17章
参照。
【0129】 いくつかの例において、バクロウイルス発現系の使用によって組換えミオシリ
ンポリペプチドを発現させるのが望ましいであろう。かかるバクロウイルス発現
系の例は(pVL1392、pVL1393およびpVL941のごとき)pV
L−由来ベクター、(pAcUW1のごとき)pAcUW−由来ベクター、およ
び(β−gal含有pBlueBac のごとき)pBlueBac−由来ベ クターを含む。
【0130】 N−末端の一部を欠く形態、すなわち、シグナルペプチドを欠く切形突然変異
体のごとき、ミオシリン蛋白質の一部のみを発現するのが望ましい場合、発現さ
せるべき所望の配列を含有するオリゴヌクレオチド断片に開始コドン(ATG)
を付加するのが必要であろう。N−末端位置におけるメチオニンは、酵素メチオ
ニンアミノペプチダーゼ(MAP)の使用によって酵素的に切断することができ
ることが当該分野で良く知られている。MAPはE. coli(Ben−Ba
ssatら (1987) J. Bacteriol. 169:751−7
57)およびSalmonella typhimuriumからクローン化さ
れており、そのイン・ビトロ活性は組換え蛋白質で証明されている(Mille
r5(1987) PNAS 84:2718−1722)。従って、N−末端
メチオニンの除去は、所望ならば、MAPを生産する宿主(例えば、E.col
iまたはCM89またはS. cerevisiae)においてミオシリン−由
来ポリペプチドをイン・ビボで発現させることによって、精製されたMAPのイ
ン・ビトロ使用によって(例えば、Millerら,前掲の手法)によって達成
することができる。
【0131】 他の具体例において、後記でより詳細に記載されたトランスジェニック動物を
組換え蛋白質を生産するのに使用することができる。
【0132】 4.4.2 融合蛋白質および免疫原 もう1つの具体例において、ポリペプチドについてのコーディング配列は、異
なるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含めた融合遺伝子の一部とし
て取り込むことができる。このタイプの発現系は、ミオシリン蛋白質の免疫原性
断片を生産するのが望ましい条件下で有用であり得る。例えば、ロタウイルスの
VP6キャプシド蛋白質は、モノマー形態またはウイルス粒子の形態いずれかで
、ミオシリンポリペプチドの一部についての免疫学的担体として使用することが
できる。抗体がそれに対して生起される主題のミオシリンの一部に対応する核酸
配列を、ビリオンの一部としてのミオシリンエピトープを含む融合蛋白質を発現
する組換えウイルスの組を生産するのに後記ワクシニアウイルス構造蛋白質につ
いてのコーディング配列を含む融合遺伝子構築体に取り込むことができる。B型
肝炎表面抗原を利用する免疫原性融合蛋白質の使用により、組換え肝炎Bビリオ
ンにつき融合蛋白質を同様にこの役割で利用することができることが証明されて
いる。同様に、ミオシリン蛋白質およびプロウイルスキャプシド蛋白質の一部を
含有する融合蛋白質につきコードするキメラ構築体を創製して、ポリペプチド抗
原の組の免疫原性を増強することができる(例えば、EP公開番号:02514
9;およびEvansら(1989) Nature 339:385;Hua
ngら(1988) J. Virol. 62:3855;およびSchli
engerら(1992) J. Virol. 66:2参照)。
【0133】 ペプチド−ベースの免疫化についての多重抗原ペプチドもまた免疫原を創製す
るのに利用することができ、ここに、ミオシリンポリペプチドの所望の一部は、
オリゴマー分岐リシンコアへのペプチドの有機化学合成から直接的に得られる(
例えば、Posnettら(1988) JBC 263:1719およびNa
rdelliら(1992) J. Immunol. 148:914参照)
。また、ミオシリン蛋白質の抗原決定基を細菌細胞によって発現させ、提示する
ことができる。
【0134】 免疫原性を増強するために融合蛋白質を利用するに加えて、融合蛋白質は蛋白
質の発現を促進することができ、従って、本発明のミオシリンポリペプチドの発
現で使用することができることが広く認められている。例えば、ミオシリンポリ
ペプチドはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST−融合)蛋白質とし
て創製することができる。かかるGST−融合蛋白質は、例えば、グルタチオン
−誘導体化マトリックスの使用によってミオシリンポリペプチドの精製を容易と
することができる(例えば、Current Protocols in Mo
lecular Biology, Ausbelら編(N.Y.: John
Wiley & Sons, 1991)参照)。
【0135】 もう1つの具体例において、組換え蛋白質の所望の部分のN−末端のポリ−(
His)/エンテロキナーゼ切断部位配列のごとき、精製リーダー配列につきコ
ードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いるアフィニティークロマトグラ
フィーによる発現された融合蛋白質の精製を可能とする。次いで、精製リーダー
配列を、引き続いて、精製蛋白質を生成させるためのエンテロキナーゼでの処理
によって除去することができる(例えば、Hochuliら(1987) J.
Chromatography 411:177;およびJanknecht
ら PNAS 88:8972参照)。融合遺伝子を作成するための技術は当業
者に公知である。本質的には、異なるポリペプチド配列につきコードする種々の
DNA断片の接合は、連結のための平滑末端またはスタガー−末端、適切な末端
を生じさせるための制限酵素消化、適当には粘着末端を満たすこと、望ましくな
い接合を回避するためのアルカリ性ホスファターゼ処理、および酵素連結を使用
する、通常の技術により行われる。もう1つの具体例において、融合遺伝子は、
自動DNA合成器を含めた通常の技術によって合成することができる。別法とし
て、遺伝子断片のPCR増幅は、引き続いて、アニールしてキメラ遺伝子配列を
創製することができる2つの連続遺伝子断片の間に相補的突出を生起するアンカ
ープライマーを用いて行うことができる(例えば、Current Proto
cols in Molecular Biology, Ausubelら編
, John Wiley & Sons:1992参照)。
【0136】 4.4.3 抗体 本発明のもう1つの態様は、ミオシリン蛋白質と特異的に反応性である、抗体
またはその結合断片に関する。例えば、cDNA配列に基づき、ミオシリン蛋白
質に由来する免疫原を用いることによって、抗−蛋白質/抗−ペプチド抗血清ま
たはモノクローナル抗体は標準的なプロトコルによって作成することができる(
例えば、Antibodies: A Laboratory Manual,
HarlowおよびLane編(Cold Spring Harbor P
ress:1988)。マウス、ハムスターまたはウサギのごとき哺乳動物をペ
プチドの免疫原性形態(例えば、ミオシリンポリペプチドまたは抗体応答を惹起
することができる抗原断片、または前記した融合蛋白質)で免疫化することがで
きる。蛋白質またはペプチドに免疫原性を付与する技術は、担体へのコンジュゲ
ーションまたは当該分野でよく知られた他の技術を含む。ミオシリン蛋白質の免
疫原性部分をアジュバントの存在下で投与することができる。免疫化の進行は、
血漿または血清中での抗体力価の検出によってモニターすることができる。標準
的なELISAまたは他のイムノアッセイを抗原としての免疫原と共に用いて抗
体のレベルを評価することができる。好ましい具体例において、主題の抗体は、
哺乳動物のミオシリン蛋白質の抗原決定基、例えば、配列番号2によって表され
る蛋白質の抗原決定基または密接に関連するホモログ(例えば、少なくとも92
%相同、より好ましくは少なくとも94%相同)に免疫特異的である。
【0137】 ミオシリンポリペプチドの抗原調製での動物の免疫化に続き、抗−ミオシリン
抗血清を得ることができ、所望ならば、ポリクローナル抗−ミオシリン抗体を血
清から単離することができる。モノクローナル抗体を生産するには、抗体−産生
細胞(リンパ球)を免疫化動物から収穫することができ、ハイブリドーマ細胞を
得るための骨髄腫細胞のごとき死滅化細胞での標準的な体細胞融合手法によって
融合することができる。かかる技術は当該分野でよく知られており、例えば、(
元来KohlerおよびMilstein, (1975) Nature,
256:495−497によって開発された)ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞
ハイブリドーマ技術(Kozbarら(1983) Immunology T
oday, 4:72)、ヒトモノクローナル抗体を生産するためのEBV−ハ
イブリドーマ技術(Coleら, (1985) Monoclonal An
tibodies and Cancer Therapy, Alan R.
Liss, Inc., 77−96頁)を含む。ハイブリドーマ細胞を、本
発明のミオシリンポリペプチドと特異的に反応性である抗体の生産につき免疫化
学的にスクリーニングし、かかるハイブリドーマ細胞を含む培養からモノクロー
ナル抗体を単離することができる。
【0138】 本明細書で用いる用語抗体は、主題の哺乳動物ミオシリンポリペプチドの1つ
と特異的に反応性であるその断片を含ませる意図である。従来技術を用いて抗体
を断片化し、断片を全抗体につき前記したのと同様に利用性につきスクリーニン
グすることができる。例えば、ペプシンで抗体を処理することでF(ab)2断
片を創製することができる。F(ab)2断片を処理してジスルフィド架橋を減
少させてFab断片を得ることができる。本発明の抗体は、さらに、抗体の少な
くとも1つのCDR領域によって付与されたミオシリン蛋白質に対する親和性を
有するジ特異的およびキメラ分子を含ませる意図である。
【0139】 ミオシリンエピトープに特異的に結合する抗体を組織試料の免疫化学的染色で
用いて、主題のミオシリンポリペプチドの各々の発現の豊富さおよびパターンを
評価することもできる。免疫−沈殿およびイムノブロッティングで抗−ミオシリ
ン抗体を診断的に用いて、臨床試験手法の一部として組織におけるミオシリン蛋
白質レベルを検出し、評価することができる。例えば、かかる測定は、増殖障害
の開始または進行の予測的評価で有用であり得る。同様に、個体におけるミオシ
リン蛋白質レベルをモニターする能力は、かかる障害に罹った個体のための所与
の治療法の効率の測定を可能とすることができる。ミオシリンポリペプチドのレ
ベルは、大脳脊髄体液または羊膜体液の試料中のごとき、体液中の細胞から測定
することができ、あるいはバイオプシーによって生産されるごとく、組織中で測
定することができる。抗−ミオシリン抗体を用いる診断アッセイは、例えば、変
性障害、特に誕生時に発現されるものの初期診断を助けるように設計されたイム
ノアッセイを含むことができる。また、抗−ミオシリンポリペプチド抗体を用い
る診断アッセイは、初期診断および表現型真性物または過形成障害で助けるよう
に設計されたイムノアッセイを含むことができる。
【0140】 本発明の抗−ミオシリン抗体のもう1つの適用は、gtll、gt18−23
、ZAP、およびORF8のごとき発現ベクターで構築されたcDNAライブラ
リーの免疫学的スクリーニングにおけるものである。正しいリーディングフレー
ムおよび向きに挿入されたコーディング配列を有するこのタイプのメツセンジャ
ーライブラリーは融合蛋白質を生産することができる。例えば、gtllは、そ
のアミノ酸がβ−ガラクトシダーゼアミノ酸配列よりなり、そのカルボキシ末端
が外来性ポリペプチドよりなる融合蛋白質を生産するであろう。ミオシリン蛋白
質の抗原エピトープ、例えば、特定のミオシリン蛋白質の他のオルソログまたは
同一種からのパラログを、次いで、例えば、感染プレートからリフトされたニト
ロセルロースフィルターを抗−ミオシリン抗体と反応させるものとして、抗体で
検出することができる。このアッセイによって検出された陽性ファージを、次い
で、感染プレートから単離することができる。かくして、ミオシリンホモログの
存在を検出し、ヒトからの(スプライシング変異体を含めた)別のイソ形態がそ
うできるように、他の動物からクローン化することができる。
【0141】 4.5 トランスジェニック動物 本発明は、さらに、種々の目的で用いて、例えば、ミオシリン治療剤を同定す
ることができるトランスジェニック動物を提供する。本発明のトランスジェニッ
ク動物は、GLClAプロモーターの制御下にある、または異種プロモーターの
制御下にある、異種GLClA遺伝子またはその断片を含有する非ヒト動物を含
む。従って、本発明のトランスジェニック動物は、野生型ミオシリン蛋白質もし
くはその断片、またはその突然変異体および多形変異体を含めたその変異体をコ
ードするトランスジーンを発現する動物であり得る。かかる動物は、例えば、多
形差異のごとき、配列番号8または10に記載された配列からのミオシリン蛋白
質のアミノ酸配列の差異の効果を測定するのに使用できる。また、これらの動物
を用いて、特異的部位におけるミオシリン蛋白質の発現の効果を測定し、または
ミオシリン治療剤を同定し、またはイン・ビボでその活性を確認するために使用
することもできる。
【0142】 トランスジェニック動物は、GLClAプロモーターまたはその断片の制御下
にある、レポーター遺伝子のごとき、トランスジーンを含有する動物でもあり得
る。これらの動物は、例えば、GLClA遺伝子発現を変調することによるごと
く、ミオシリンの生産を変調する薬物を同定するのに有用である。GLClA遺
伝子プロモーターは、例えば、GLClA cDNA断片でゲノムライブラリー
をスクリーニングすることによって単離し、当該分野で公知の方法に準じて特徴
付けすることができる。本発明の好ましい具体例において、該GLClA遺伝子
を含有するトランスジェニック動物を用いて、GLClA発現を変調するその能
力につきステロイドホルモンとして知られている生物活性分子のクラスをスクリ
ーニングする。
【0143】 本発明の範囲内にあるさらに他の非ヒト動物は、内因性GLClA遺伝子の発
現が突然変異されたまたは「ノックアウトされた」ものを含む。「ノックアウト
」動物は、特定の遺伝子または遺伝子類のホモ接合またはヘテロ接合を担うもの
である。これらの動物を用いて、GLClAの不存在の結果、特定の表現型が得
られるか否か、特にこれらのマウスが心臓病または癌に対する高い感受性のごと
き、特異的病気を有するか、または発症するようであるかを判断することができ
る。さらに、これらの動物は、後記で概説するごとくGLClA遺伝子の突然変
異に起因する疾患を軽減しまたは緩和する薬物におけるスクーニングで有用であ
る。また、これらの動物は、GLClA遺伝子における、特異的アミノ酸差異、
または対立遺伝子変異の効果を測定するのにも有用である。すなわち、GLCl
Aノックアウト動物は、例えば、GLClAの突然変異形態または対立遺伝子変
異体を発現するトランスジェニック動物と交差させることができ、かくして、野
生型ミオシリン蛋白質ではなく突然変異蛋白質のみを発現する動物が得られる。
【0144】 トランスジェニックおよびノックアウトされた非ヒト動物を得るための方法は
当該分野でよく知られている。ノックアウトマウスは、ノックアウトされるべき
遺伝子をコードするマウス胚幹細胞染色体に「ノックアウト」構築体を相同組込
することによって創製される。1つの具体例において、動物のゲノムを修飾する
ための相同組換えを用いる方法である遺伝子標的化を用いて、培養された胚幹細
胞に変化を導入することができる。注目するGLClA遺伝子をES細胞に標的
化することによって、これらの変化を動物の生殖系に導入してキメラを創製する
ことができる。遺伝子標的化は、組織培養細胞に、標的GLClA遺伝子座に相
同なセグメントを含み、GLClAゲノム配列に対する意図した配列修飾(例え
ば、挿入、欠失、点突然変異)を含むDNA標的化構築体を導入することによっ
て達成される。次いで、処理された細胞を正確な標的化につきスクリーニングし
て、適切に標的化されたものを同一し単離する。
【0145】 胚幹細胞における遺伝子標的化は、事実、1以上のGLClAゲノム配列での
相同組換えを受けるように節敬された標的化トランスジーン構築体の使用を介し
てGLClA遺伝子機能を破壊するための手段として本発明では考えられるスキ
ームである。標準化構築体はGLClA遺伝子のエレメントでの組換えに際して
、陽性選択マーカーが遺伝子のコーディング配列に挿入される(または置き換え
られる)ように並べられる。挿入された配列は、陽性選択特性を供しつつ、GL
ClA遺伝子を機能的に破壊する。例示的GLClA標的化構築体は後記で詳細
に記載する。
【0146】 一般に、ノックアウト動物を生産するのに使用される胚幹細胞(ES細胞)は
、創製すべきノックアウト動物と同一の種のものであろう。かくして、例えば、
マウス胚幹細胞は、通常、ノックアウトマウスの創製で使用されるであろう。
【0147】 胚幹細胞は、Doetchmanら(1985)J. Embryol. E
xp. 87:27−45)によって記載されているもののごとき当業者によく
知られた方法を用いて創製され維持される。しかしながら、いずれのES細胞系
を用いることもでき、選択された系は、典型的には、発生する胚の生殖系に取り
込み、その一部となって、ノックアウト構築体の生殖系伝達を創製する細胞の能
力につき選択される。かくして、この能力を有すると考えられるいずれのES細
胞系もここで使用に適する。典型的には、ES細胞の生産で使用される1つのマ
ウス株は129J株である。もう1つの好ましいES細胞系はネズミ細胞系D3
である(American Type Culture Collection
, カタログ番号CKL 1934)。さらにもう1つの好ましいES細胞系は
WW6細胞系である(Ioffeら(1995) PNAS 92:7357−
7361)。Teratocarcinomas and Embryonic
Stem Cells: A Practical Approach, E
. J. Robertson編, IRL Press, ワシントンD.C
.[1987])においてRobertsonにより;Bradleyら(19
86) Current Topics in Devel. Biol. 2
0:357−371)により;およびHoganら(Manipulating
the Mouse Embryo: A Laboratory Manu
al, Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess, Cold Spring Harbor, NY[1986])によ
り記載されているもののごとき、当業者によく知られた方法を用いてノックアウ
ト構築体挿入のために細胞を培養し調製される。
【0148】 ノックアウト構築体とは、幹細胞系に導入され、突然変異させるべき注目する
遺伝子の染色体遺伝子座においてゲノムと組み換えることを可能とする核酸のユ
ニークに配置された断片をいう。かくして、所与のノックアウト構築体は、破壊
のために標的化されるべき所与の遺伝子に特異的である。それらも拘わらず、多
くの共通するエレメントがこれらの構築体の間に存在し、これらのエレメントは
当該分野でよく知られている。典型的なノックアウト構築体は、突然変異させる
べき遺伝子をコードするゲノム遺伝子座の5’および3’末端双方からの約0.
5kb以上10.0kb以下の核酸断片を含有する。これらの2つの断片は、ネ
オマイシン抵抗性遺伝子(neo)のごとき陽性選択マーカーをコードする核
酸の介入断片によって分離される。注目するゲノム遺伝子座の極3’末端から核
酸に連結された陽性選択マ−カ−をコ−ドする核酸に連結されたゲノム遺伝子座
の極5’末端からの核酸よりなる、得られた核酸断片は、ノックアウトされるべ
きGLClAについてのコーディング配列または注目する他の遺伝子のほとんど
を省く。得られた構築体をこの遺伝子座において染色体と相同的に組み換えると
、その結果、ゲノム遺伝子座から、構造遺伝子として知られた省略されたコーデ
ィング配列が喪失する。かかる稀な相同組換え事象が起こった幹細胞は、陽性選
択マーカーをコードする遺伝子の核酸のゲノムへの安定な組込、および続いての
適当な薬物(本例ではネオマイシン)の存在下でマーカー遺伝子を発現する細胞
についての選択によって選択することができる。この塩基技術に対する変形が存
在し、当該分野でよく知られている。例えば、「ノックイン」構築体とは、3’
ゲノム遺伝子座断片をコードする核酸に連結されるが、コーディング配列のいず
れも省略されず、かくして、使用された5’および3’ゲノム断片が、陽性選択
マーカー遺伝子をコードする核酸の導入によって破壊される前にまず連続した点
で異なる陽性選択マーカーをコードする核酸に連結した5’ゲノム遺伝子座断片
をコードする核酸の同一塩基配置をいう。この「ノックイン」タイプの構築体は
、かくして、シグナルエクソンのごとき、突然変異させるべき遺伝子のゲノム遺
伝子座の限定された領域のみがクローニングおよび遺伝子操作で利用できる場合
、突然変異トランスジェニック動物の構築で非常に有用である。別法として、「
ノックイン」構築体を用いて、標的化遺伝子の単一機能的ドメインを特異的に排
除し、その結果、コードされたポリペプチドの他のドメインの機能を保持しつつ
、1つの機能が欠失した標的化遺伝子のポリペプチドを発現するトランスジェニ
ック動物が得られる。このタイプの「ノックイン」突然変異体は、頻繁に、いわ
ゆる「優性陰性」突然変異体の特徴を有する。何故ならば、特にホモ多量体化す
る蛋白質の場合、それは、それが由来する野生型遺伝子のポリペプチド産物の作
用(または「毒」)を特異的にブロックすることができるからである。ノックイ
ン技術の変形において、マーカー遺伝子の発現が標的化遺伝子の転写調節エレメ
ントの制御下とするように、マーカー遺伝子を注目するゲノム遺伝子座に組み込
む。マーカー遺伝子は、その活性が検出できる酵素(例えば、β−ガラクトシダ
ーゼ)をコードするものであり、酵素基質は適当な条件下で細胞に添加すること
ができ、酵素活性を分析することができる。当業者ならば、他の有用なマーカー
および所与の細胞においてその存在を検出する方法に精通しているであろう。全
てのかかるマーカーは、本発明の教示の範囲内に含まれると考えられる。
【0149】 前記したごとく、前記した「ノックアウト」および「ノックイン」構築体の相
同組換えは非常に稀であり、しばしば、かかる構築体はゲノムのランダム領域に
非相同的に挿入され、そこでは、欠失につき標的化された遺伝子に対して効果は
なく、およびそこでは、支配的に組換えられて、改変されることを意図していな
いもう1つの遺伝子を破壊する。かかる非相同組換え事象は、前記ノックアウト
およびノックイン構築体を、それらがいずれかの端部において陰性選択マーカー
によって近接挟まれるように修飾することによってそれに対して選択することが
できる(恐らくは、当該分野でよく知られた適当な組織培養培地中で細胞系を発
現することに対してそのポリペプチド産物を選択することができる、チミジンキ
ナーゼ遺伝子の2つの対立遺伝子変異体、すなわち、5−ブロモデオキシウリジ
ンのごとき薬物を含有するものの使用を介する)。かくして、本発明のかかるノ
ックアウトおよびノックイン構築体の好ましい具体例は、陰性選択マーカーをコ
ードする第2の核酸に連結される同一ゲノム遺伝子座の3’末端をコードする核
酸に連結された陽性選択マーカーの核酸に連結したゲノム遺伝子座の5’末端を
コードする核酸の連結した陰性選択マーカーをコードする核酸よりなる。得られ
たノックアウト構築体およびゲノムの間の非相同組換えは、通常、これらの陰性
選択マーカー遺伝子の一方または双方の安定な組込が得られ、よって、非相同組
換えを受ける細胞は、適当な選択培地(例えば、5−ブロモデオキシウリジンの
ごとき薬物を含有する培地)中での増殖によって選択することができる。陽性選
択マーカーについてのおよび陰性選択マーカーに対する同時選択の結果、ノック
アウト構築体が突然変異されるべき遺伝子の遺伝子座で相同組換えされたクロー
ンがひどく豊富となる。得られたノックアウトされた幹細胞系における標的化遺
伝子遺伝子座での予測される染色体改変の存在は、当業者によく知られたサザー
ンブロット分析技術によって確認することができる。別法として、PCRを使用
することができる。
【0150】 細胞に挿入されるべき各ノックアウト構築体は、まず、線状形態でなければな
らない。従って、もしノックアウト構築体がベクター(前掲)に挿入されたなら
ば、線状化は、当該DNAを、ノックアウト構築体配列内ではなくベクター配列
内のみを切断するように選択された適当な制限エンドヌクレアーゼで消化するこ
とによって達成される。
【0151】 挿入のために、当業者に公知のごとく、ノックアウト構築体は、選択された挿
入方法のための適当な条件下でES細胞に添加される。例えば、もしES細胞が
エレクトロポレーションに付されるべき場合、ES細胞およびノックアウト構築
体DNAが、エレクトロポレーションマシーンを用い、製造業者の使用ガイドラ
インに従って、電気パルスに暴露される。エレクトロポレーションの後、ES細
胞は、典型的には、適当なインキュベーション条件下で回復できるようになる。
次いで、細胞を、前記説明のごとく、ノックアウト構築体の圧力につきスクリー
ニングする。1以下の構築体をES細胞に導入すべき場合、各ノックアウト構築
体は同時にまたはある時点で導入することができる。
【0152】 適当な位置にノックアウト構築体を含有する適当なES細胞が前記で概説した
選択技術によって同定された後、細胞を胚に挿入することができる。挿入は当業
者に知られた種々の技術で達成されるが、好ましい方法はマイクロインジェクシ
ョンによるものである。マイクロインジェクションでは、約10−30細胞をマ
イクロピペットに収集し、発生の適当な段階に胚に注入して、ノックアウト構築
体を含有する外来性ES細胞を発生している胚に取り込むことを可能とする。例
えば、形質転換されたES細胞は未分化胚芽細胞にマイクロインジェクションす
ることができる。ES細胞の挿入に使用される胚についての発生の適当な段階は
非常に種依存性であるが、マウスでは、それは約3.5日である。胚は、妊娠雌
の子宮を灌流することによって得られる。これを投与するための適当な方法は当
業者に公知であり、例えば、Bradleyら(前掲)によって記載されている
【0153】 発生の正しい段階のいずれの胚も使用するのに適するが、好ましい胚を作成す
る。マウスにおいては、好ましい胚はES細胞遺伝子によってコードされた被覆
色彩とは異なる被覆色彩につきコードする遺伝子を有することができる。このよ
うにして、(ES細胞が発生する胚に取り込まれたことを示す)モザイク被覆色
彩を探すことによって、ノックアウト構築体の存在につき子孫を容易にスクリー
ニングすることができる。かくして、例えば、もしES細胞系が白色毛皮につい
ての遺伝子を担うならば、選択された胚は黒色または茶色毛皮についての遺伝子
を担うであろう。
【0154】 ES細胞が胚に導入された後、該胚は摂取につき偽妊娠養母の子宮に移植する
ことができる。いずれの養母を使用することもできるが、養母は、典型的には、
十分に育種し再生する能力につき、および幼児を世話する能力につき選択される
。かかる養母は、典型的には、同一種の精管切除雄と接合させることによって調
製する。偽妊娠養母の段階は成功する移植につき重要であり、それは種依存性で
ある。マウスについては、この段階は約2−3日偽妊娠である。
【0155】 養母から生まれた子孫は、まず、被覆色彩選択戦略が(前記したごとく、添付
の実施例におけるごとく)使用されたモザイク被覆色彩につきスクリーニングす
ることができる。加えて、あるいは代替法として、子孫の尾組織からのDNAは
、前記したサザーンブロットおよび/またはPCRを用いてノックアウト構築体
の前駆体につきスクリーニングすることができる。次いで、モザイクであるよう
に見える子孫を相互に交雑させて、もしそれらがその生殖系においてノックアウ
ト構築体を担うと考えられれば、ホモ接合ノックアウト動物を創製させる。ホモ
接合体は、この交雑の産物であるマウス、ならびにヘテロ接合体であることが知
られているマウスおよび野生型マウスからのゲノムDNAの同等量のサザーンブ
ロットによって同定することができる。
【0156】 ノックアウト子孫を同定し特徴付ける他の手段は利用できる。例えば、ノーザ
ンブロットを用いて、ノックアウトされた遺伝子、マーカー遺伝子、または双方
いずれかをコードする転写体の存在または不存在につきmRNAをプローブする
ことができる。加えて、ウェスタンブロットを用いて、ウェスタンブロットを特
定のミオシリン蛋白質に対する抗体、またはマーカー遺伝子産物に対する抗体で
プローブすることによって子孫の種々の組織においてノックアウトされたGLC
lA遺伝子の発現のレベルを評価することができ、ここにこの遺伝子は発現され
る。最後に、(細胞の固定および動物の標識のごとき)イン・サイチュ分析およ
び/または子孫からの種々の細胞のFACS(蛍光活性化細胞ソーティング)を
、ノックアウト構築体遺伝子産物の存在または不存在につき探すための適当な抗
体を用いて行うことができる。
【0157】 ノックアウトまたは破壊トランスジェニック動物を作成するさらに他の方法も
一般に知られている。例えば、Manipulating the Mouse
Embryo, (Cold Spring Harbor Laborat
ory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.,
1986)参照。例えば、リコンビナーゼ配列(後記)によってGLClA遺
伝子の不活化の組織特異的および/または一過性制御を制御できるように、例え
ば、標的配列を挿入するための相同組換えによって、リコンビナーゼ依存性ノッ
クアウトも創製することができる。
【0158】 1を超えるノックアウト構築体および/または1を超えるトランスジーン発現
構築体を含有する動物を、いくつかの方法のうちいずれかで調製する。調製の好
ましい方法は、各々が所望のトランスジェニック表現型の1つを含有する一連の
哺乳動物を創製することである。かかる動物を一連の交雑、戻し交雑および選抜
を介して一緒に育種して、全ての所望のノックアウト構築体および/または発現
構築体を含有する単一動物を最終的に創製させ、ここに、該動物は、ノックアウ
ト構築体および/またはトランスジーンの存在を除いて野生型に対して類遺伝子
性(遺伝的に同一)である。
【0159】 GLClAトランスジーンは蛋白質の野生型形態をコードすることができ、あ
るいはアゴニストおよびアンタゴニスト、ならびにアンチセンス構築体を含めた
、そのホモログをコードすることができる。好ましい具体例において、トランス
ジーンの発現は、例えば、所望のパターンで発現を制御するシス−作用性配列を
利用して細胞、組織または発生段階の特異的サブセットに制限される。本発明に
おいては、ミオシリン蛋白質のかかるモザイク発現は、系列分析の多くの形態で
必須であり得、加えて、例えば、正常胚内の組織の小パッチでの発生を大いに改
変し得るGLClA発現の欠如の効果を評価する手段を提供する。これに向けて
、組織特異的調節配列および条件調節配列を用いて、ある種の空間パターンにお
いてトランスジーンの発現を制御することができる。さらに、発現の一時的パタ
ーンを、例えば、組換え系または原核生物転写調節配列によって提供することが
できる。
【0160】 トランスジーンの発現を可能とする遺伝子技術は、イン・ビトロで部位−特異
的遺伝子操作を介して調節することができ;当業者に公知である。例えば、標的
配列の遺伝子組み換えを触媒するリコンビナーゼの調節された発現を可能とする
遺伝子系は利用できる。本明細書で用いるごとく、フレーズ「標的配列」とは、
リコンビナーゼによって遺伝的に組み換えられたヌクレオチド配列をいう。標的
遺伝子はリコンビナーゼ認識配列によって近接挟まれ、一般に、リコンビナーゼ
活性を発現する細胞において切除されまたは逆位とされる。リコンビナーゼ触媒
組換え事象は、標的配列の組換えの結果、主題のミオシリン蛋白質の1つの発現
の活性化または抑制いずれかがもたらされるように設計することができる。例え
ば、アンタゴニストホモログまたはアンチセンス転写体をコードするもののごと
き、組換えGLClA遺伝子の発現に干渉する標的配列の切除は、その遺伝子の
発現を活性化するように設計することができる。蛋白質の発現とのこの干渉は、
プロモーターエレメントまたは内部停止コドンからのGLClA遺伝子の空間的
分離のごとき種々のメカニズムに由来することができる。さらに、遺伝子の配列
がリコンビナーゼ認識配列によって近接挟まれ、最初に、プロモーターエレメン
トに関して3’または5’向きに細胞にトランスフェクトされるトランスジーン
を作成することができる。かかる場合において、標的配列の逆位は、プロモータ
ー駆動転写活性化を可能とするプロモーターエレメントに関する向きにコーディ
ング配列の5’末端を置くことによって主題の遺伝子を再度配向させるであろう
【0161】 本発明のトランスジェニック動物は全てその複数の細胞内に本発明のトランス
ジーンを含み、そのトランスジーンは細胞増殖、死滅および/または分化の調節
に関して「宿主細胞」の表現型を改変する。本明細書に記載された1以上のトラ
ンスジーン構築体を利用して本発明のトランスジェニック生物を生産することが
できるので、一般的記載は、一般的に外因性遺伝物質に言及することによってト
ランスジェニック生物の生産を与える。この一般的記載は当業者によって採用さ
れて、後記する方法および材料を利用し、特異的トランスジーン配列を生物に取
り込むことができる。
【0162】 例示的具体例において、バクオリオファードP1(Laksoら(1992)
PNAS 89:6232−6236;Orbanら(1992) PNAS
89:6861−6865)またはSaccharomyces cerev
isiae (O’Gormanら (1991) Science 251:
1351−1335;PCT公開WO 92/15694)のcre/loxP
リコンビナーゼ系いずれかを用いて、イン・ビボ部位−特異的遺伝子組み換え系
を創製することができる。CreリコンビナーゼはloxP配列間に位置する介
入標的配列の部位−特異的組換えを触媒する。loxP配列は、Creリコンビ
ナーゼがそれに結合し、Creリコンビナーゼ媒介遺伝子組み換えで必要な34
塩基対ヌクレオチドリピート配列である。lox配列の向きは、Creリコンビ
ナーゼが存在する場合に介入標的配列が切除されまたは逆転されるかを決定し(
Abremskiら(1984) J. Biol. Chem. 259:1
509−1514);loxP配列が直接的リピートとして向く場合は標的配列
の切除を触媒し、loxP配列が逆転リピートとして向く場合は標的配列の逆転
を触媒する。
【0163】 従って、標的配列の遺伝子組換えはCreリコンビナーゼの発現に依存する。
リコンビナーゼの発現は、調節制御、例えば、組織−特異的、発生段階−特異的
、外部から添加された剤によって誘導性または抑制性であるものに付されるプロ
モーターエレメントによって調節することができる。この調節された制御の結果
、リコンビナーゼ発現がプロモーターエレメントによって媒介される細胞におい
てのみ標的配列の遺伝子組み換えがもたらされる。かくして、組換えミオシリン
蛋白質の活性化発現はリコンビナーゼ発現の制御を介して調節することができる
【0164】 組換えミオシリン蛋白質の発現を調節するためのcre/loxPリコンビナ
ーゼ系の使用は、Creリコンビナーゼおよび主題の蛋白質を共にコードするト
ランスジーンを含有するトランスジェニック動物の構築を要する。Creリコン
ビナーゼおよび組換えGLClA遺伝子を共に含有する動物は、「二重」トラン
スジェニック動物の構築を介して提供することができる。かかる動物を提供する
便宜な方法は、各々がトランスジーン、例えば、GLClA遺伝子およびリコン
ビナーゼ遺伝子を含有する2つのトランスジェニック動物を作成することである
【0165】 同様の条件トランスジーンは、GLClAトランスジーンの発現を促進するた
めに同時に発現されるべき原核生物蛋白質を要する原核生物プロモーター配列を
用いて提供することができる。例示的プロモーターおよび対応するトランス−活
性化原核生物蛋白質が米国特許第4,833,080号に与えられる。
【0166】 さらに、条件トランスジーンの発現は、遺伝子治療−様方法によって誘導する
ことができ、ここに、トランス−作用性蛋白質、例えば、リコンビナーゼまたは
原核生物蛋白質をコードする遺伝子は、細胞型特異的方法で、組織に送達され、
発現させる。この方法によって、GLClAトランスジーンは、トランス−アク
チベーターの導入によって「スイッチが入れられる」まで成人までサイレントの
ままである。
【0167】 例示的具体例において、本発明の「トランスジェニック非ヒト動物」は、非ヒ
ト動物の生殖系にトランスジーンを導入することによって生産される。種々の発
生段階の胚標的細胞を用いてトランスジーンを導入することができる。胚標的細
胞の発生段階に依存して、異なる方法を用いる。本発明を実施するのに使用され
るいずれかの動物の特異的系は、一般的良好な健康、良好な胚収率、胚における
良好な前核可視性、および良好な再生フィットネスにつき選択される。加えて、
ハプロタイプは重要な因子である。例えば、トランスジェニックマウスを生産す
べき場合、C57BL/6またはFVB系のごとき株がしばしば使用される(J
ackson Laboratory, Bar Harbor, ME)。好
ましい株はC57BL/6またはDBA/1のごときH−2、H−2または
H−2ハプロタイプを持つものである。本発明を実施するのに使用される系は
それ自体トランスジェニックであり、および/またはノックアウトであり得る(
すなわち、1以上の部分的にまたは完全に抑制された遺伝子を有する動物から得
られる)。
【0168】 1つの具体例において、トランスジーン構築体は単一段階胚に導入される。接
合体はマイクロインジェクションに最良の標的である。マウスにおいて、雄前核
は直径ほぼ20ミクロンのサイズに達し、これはDNA溶液の1−2plの再現
可能な注射を可能とする。遺伝子導入のための標的としての接合体の使用は、ほ
とんどの場合に、注射されたDNAが最初の切断前に宿主遺伝子に導入されるで
あろう点で主要な利点を有する(Brinsterら(1985) PNAS
82:4438−4442)。その結果、トランスジェニック動物の細胞は組み
込まれたトランスジーンを担うであろう。これは、一般に、創製体の子孫に対す
るトランスジーンの効果的な遺伝で反映されるであろう。というのは、生殖細胞
の50%がトランスジーンを保有するからである。
【0169】 通常、受精胚を 前核が出現するまで適当な培地でインキュベートする。ほぼ
この時点において、トランスジーンを含むヌクレオチド配列を後記するごとく雌
または雄前核に導入される。マウスのごときいくつかの種において、雌前核が好
ましい。卵子核または接合体雌前核によってそれが加工される前に、外因性遺伝
物質が接合体の雄DNA相補体に添加されるのが最も好ましい。卵子核または雌
前核は、恐らくは、雄DNAのプロタミンをヒストンで置き換えることによって
雄DNA相補体に影響する分子を放出し、それにより、雌および雄DNA相補体
の組合せを促進してジプロイド接合体を形成する。
【0170】 かくして、雌前核によってそれが影響される前に外因性遺伝物質をDNAの雄
相補体またはDNAのいずれかの他の相補体に添加するのが好ましい。例えば、
雄前核の形成後できる限り速やかに外因性遺伝物質を初期雄前核に添加し、これ
は、雄および雌前核がよく分離され、共に細胞膜に近くに位置する場合である。
別法として、外因性遺伝子物質を、それが脱縮合を受けるように誘導された後に
精子の核に添加し得る。次いで、外因性遺伝物質を卵子に添加することができる
か、あるいは脱縮合精子を、しかる後速やかにトランスジーン構築体と共に卵子
に添加し得る。
【0171】 トランスジーンヌクレオチド配列の胚への導入は、例えば、マイクロインジェ
クション、エレクトロポレーション、またはリポフェクションのごとき当該分野
で公知のいずれかの手段によって達成することができる。トランスジーンヌクレ
オチド配列の胚への導入後に、該胚を種々の時間の長さでイン・ビトロでインキ
ュベートすることができ、あるいは代理宿主に再移植することができ、あるいは
双方ができる。母性へのイン・ビトロインキュベーションは本発明の範囲内のも
のである。1つの共通の方法は、種に応じて、約1−7日間イン・ビトロで胚を
インキュベートし、次いで、それらを代理宿主に再移植することである。
【0172】 本発明の目的では、接合体は、完全な生物に発育することができるジプロイド
細胞の実質的な形成である。一般に、接合体は、配偶子または複数の配偶子から
の2つのハプロイド核の融合によって天然または人工的に形成された核を含有す
る卵よりなるであろう。かくして、配偶子核は天然で適合するもの、すなわち、
分化を受け、機能する生物に発育することができる生きた接合体がもたらされる
ものでなければならない。一般に正倍数性の接合体が好ましい。もし異数体接合
体が得られるならば、染色体の数はいずれかの配偶子が由来する生物の異数体に
関して1を超えて変化すべきではない。
【0173】 同様の生物学的考慮に加えて、物理的なものは、接合体の核に、または接合体
核の一部を形成する遺伝物質に添加することができる外因性遺伝物質の量(例え
ば、容量)も支配する。もし遺伝物質が除去されないならば、添加することがで
きる外因性遺伝物質の量は、物理的に破壊されることなく吸着されるであろう量
によって制限される。一般に、その代わりに、外因性遺伝物質の容量は約10ピ
コリットルを超えないであろう。添加の物理的効果は、接合体の生存性を物理的
に破壊する程は大きくあってはならない。DNA配列の数および種類の生物学的
制限は特定の接合体に応じて変化し、外因性遺伝物質の機能は当業者に容易に明
らかとなる。何故ならば、得られた接合体の外因性遺伝物質を含めた遺伝物質は
、機能的生物への接合体の分化および発育を開始し維持できるものでなければな
らない。
【0174】 接合体に添加されるトランスジーン構築体のコピー数は添加された外因性遺伝
物質の全量に依存し、遺伝子形質転換が起こるのを可能とする量であろう。理論
的には、1コピーのみが必要である;しかしながら、一般に、多数コピー、例え
ば、1,000−20,000コピーのトランスジーン構築体を利用して、1つ
のコピーが機能的であることを保証する。本発明に関しては、外因性DNA配列
の表現型発現を増強する挿入された外因性DNA配列の各々の1を超える機能す
るコピーを有するという利点がしばしばあるであろう。
【0175】 核遺伝物質への外因性遺伝物質の添加を可能とするいずれの技術も、それが細
胞、核膜または他の存在する細胞もしくは遺伝子構造を破壊しない限り利用する
ことができる。外因性遺伝物質はマイクロインジェクションによって核遺伝物質
に優先的に挿入される。細胞または細胞構造のマイクロインジェクションは知ら
れており、当該分野で使用される。
【0176】 再移植は標準的な方法を用いて達成される。通常、代理宿主を麻酔し、胚を卵
管に挿入する。特定の宿主に移植された胚の数は種によって変化し、通常、種が
天然で生じる子孫の数に匹敵するであろう。
【0177】 代理宿主のトランスジーン子孫は、いずれかの適当な方法によってトランスジ
ーンの存在および/または発現につきスクリーニングされ得る。スクリーニング
は、しばしば、トランスジーンの少なくとも一部に相補的なプローブを用いて、
サザーンブロットまたはノーザンブロットによって達成される。トランスジーン
によってコードされる蛋白質に対する抗体を用いるウェスタンブロット分析は、
トランスジーン産物の存在につきスクリーニングするために別法もしくはさらな
る方法として使用することができる。典型的には、DNAは尾組織から調製され
、トランスジーンにつきサザーン分析またはPCRによって分析される。別法と
して、最高レベルでトランスジーンを発現すると考えられる組織または細胞はサ
ザーン分析またはPCRを用いてトランスジーンの存在および発現につきテスト
されるが、いずれの組織または細胞タイプもこの分析で用いることができる。
【0178】 トランスジーンの存在を評価するための別のまたはさらなる方法は、限定され
るものではないが、酵素および/または免疫学的アッセイのごとき適当に生化学
的アッセイ、特定のマーカーまたは酵素活性のための組織学的染色、フローサイ
トメトリー分析等を含む。また、血液の分析は、血液中のトランスジーン産物の
存在を検出し、ならびに血液細胞および他の血液成分の種々のタイプのレベルに
対するトランスジーンの効果を評価するのに有用であり得る。
【0179】 トランスジェニック動物の子孫は、トランスジェニック動物を適当なパートナ
ーと接合させることによって、またはトランスジェニック動物から得られた卵お
よび/または精子のイン・ビトロ受精によって得ることができる。パートナーと
の交配を行うべき場合、パートナーはトランスジェニックおよび/またはノック
アウトであってよく、またはなくてもよく、それがトランスジェニックである場
合、それは同一または異なるトランスジーンまたは双方を含有することができる
。別法として、パートナーは親系であり得る。イン・ビトロ受精を用いる場合、
受精した胚は代理宿主に移植することができ、あるいはイン・ビトロでインキュ
ベートすることができる。いずれかの方法を用い、子孫は、前記した方法、また
は他の適当な方法を用い、トランスジーンの存在につき評価することができる。
【0180】 本発明により生産されたトランスジェニック動物は、外因性遺伝物質を含むで
あろう。前記したごとく、外因性遺伝物質は、ある具体例においては、ミオシリ
ン蛋白質(アゴニストまたはアンタゴ二スト)の生産をもたらすDNA配列、ア
ンチセンス転写体またはミオシリン突然変異体である。さらに、かかる具体例に
おいては、配列は、特別のタイプの細胞で生産されたトランスジーンの発現を可
能とする発現を好ましくは可能とする転写制御エレメント、例えば、プロモータ
ーに結合されるであろう。
【0181】 また、レトロウイルス感染を用いてトランスジーンを非ヒト動物に導入するこ
とができる。発生する非ヒト胚をイン・ビトロで未分化胚芽細胞段階で培養する
ことができる。この時間の間、胚芽細胞はレトロウイルス感染に対する標的であ
り得る(Jaenich,R. (1976) PNAS 73:1260−1
264)。胚芽細胞の効果的な感染は透明体(Manipulating th
e Mouse Embryo, Hogan編 (Cold Spring
Harbor Laboratory Press, Cold Spring
Harbor, 1986)を除去する酵素治療によって得られる。トランス
ジーンを導入するのに使用されるウイルスベクター系は、典型的には、トランス
ジーンを担う複製欠陥レトロウイルスである(Jahnerら(1985) P
NAS 82:6927−6931;Van der Puttenら(198
5) PNAS 82:6148−6152)。トランスフェクションは容易で
あり、ウイルス生産細胞の単層で胚芽細胞を培養することによって効果的に得ら
れる(Van der Putten, 前掲;Stewartら(1987)
EMBO J. 6:383−388)。別法として、感染は後記段階で行う
ことができる。ウイルス−ウイルス生産細胞を胚芽細胞に注入することができる
(Jahnerら(1982) Nature 298:623−628)。創
製体のほとんどはトランスジーンに対してモザイクである。というのは、組込は
トランスジーン非ヒト動物を形成した細胞のサブセットにおいてのみ起こる。さ
らに、創製体は、一般に子孫において分離するゲノムにおいて異なる位置でトラ
ンスジーンの種々のレトロウイルス挿入を含有することができる。加えて、中期
妊娠胚の子宮内レトロウイルス感染によって生殖系にトランスジーンを導入する
こともできる(Jahnerら(1982),前掲)。
【0182】 トランスジーン導入に対する第3のタイプの標的は胚幹細胞(ES)である。
ES細胞はイン・ビトロで培養したプレ−移植胚から得られ、胚と融合される(
Evansら(1981) Nature 292:154−156;Brad
leyら(1984) Nature 309:255−258;Gossle
rら(1986) PNAS 83:9065−9069;およびRobert
sonら(1986) Nature 322:445−448)。トランスジ
ーンはDNAトランスフェクションまたはレトロウイルス−媒介導入によってE
S細胞に効果的に導入することができる。かかる形質転換ES細胞は、従って、
非ヒト動物から胚芽細胞と組み合わされることができる。しかる後、ES細胞は
胚をコロニー化し、得られたキメラ動物の生殖系に寄与する。レビューについて
は、Jaenisck, R. (1988) Science 240:14
68−1474。
【0183】 4.6 GLClA治療剤についての薬物スクリーニングアッセイ 緑内障の存在に関連する遺伝子におけるGLClA遺伝子および特異的突然変
異の発見に基づいて、当業者であれば、緑内障の発症に干渉しまたはそれを妨げ
る薬物をスクリーニングするための種々の標準的なアッセイのいずれかを使用す
ることができる。緑内障の分子的基礎にアドレスすることによって、これらの剤
を用いて存在する治療剤よりも優れることが予測される。
【0184】 例えば、これらの突然変異に関連した正確な表現型の同定は、蛋白質の重要な
領域を機能的に同定することができる。これらの特異的突然変異は、次いで、細
胞系における過剰発現およびトランスジェニック動物の創製を含む他の実験で用
いることができる。理想的には、個体の寿命において非常に異なる時点で緑内障
を再現良く引き起こす突然変異を同定することができ、これらの突然変異が細胞
の発現システムやトランスジェニック動物への効果に同様の違いを持っているこ
とを示すことが出来る。
【0185】 加えて、GLClA遺伝子産物および蛋白質をコードする遺伝子と相互作用す
る蛋白質は今や同定することができる。というのは、GLClA遺伝子と相互作
用するる蛋白質は種々のタイプの緑内障の病院における関与につき重要な標的で
あろう。
【0186】 さらに、ヒトにおいて緑内障を引き起こすことが知られている突然変異が組織
ならびに動物モデルにおいて蛋白質トラッキングを改変するか否かを発見する実
験が試みられるだろう。というのは、GLClA遺伝子における突然変異におい
てそれを通じて病気を引き起こす1つのメカニズムは他の重要な遺伝子産物の発
現を改変するでろう。これは、例えば細胞質網膜のレベルで突然変異体蛋白質の
増大した除去によって引き起こされた細胞内で全蛋白質輸送に影響することによ
って起こり得る。
【0187】 緑内障の病因のさらなる理解は、緑内障の治療で有用であり得る薬物の新しい
クラスを同定するのに有用である。例えば、GLClAは細胞のステロイドに対
する暴露によって誘導されることが見いだされている。従って、このステロイド
効果をブロックすることができる薬物は、緑内障の発症を防止しまたは遅延され
るのに有用であることが判明するはずである。
【0188】 さらに後記するごとく、化合物の非滋養に高いスループットスクリーニングに
適当なイン・ビトロアッセイを行うことができる。このアプローチの最も単純な
例として、GLClA遺伝子産物に対する抗体を用いて、GLClA遺伝子産物
の誘導のための単純なELISAアッセイを開発し、次いで、96ウェルマイク
ロタイタープレート様式でこのアッセイを行って、遺伝子産物のステロイド誘導
をブロックするにおいて効率につき非常に多数の薬物をスクリーニングすること
ができる。このようにして、自動的方法を用いて、効率につき何千もの閾値治療
化合物をスクリーニングすることができる。
【0189】 また、GLClA遺伝子の構造/機能の知識は、直ちに、緑内障に関与し得る
他の遺伝子を示唆する。かかる鍵は、ホモロジーの実験、進化、遺伝子内の構造
的モチーフの評価、およびポリジーン病を引き起こす遺伝子を同定するように設
計された分析を用いる遺伝実験から来る。
【0190】 ここに記載された元の連鎖実験において、緑内障遺伝子の22の絶対キャリア
ーのうち3つはひどい緑内障表現型を発現しないことが認められた。この情報は
、他の遺伝子がGLClA突然変異の効果を静めることができるのを示唆する。
かかる緩和遺伝子につきサーチする1つの強力な方法は、異なるバックグラウン
ドにおいて緑内障を引き起こす遺伝子を発現することである。これは、トランス
ジェニック動物を創製し、異なる遺伝マウス株につき緑内障を引き起こす遺伝子
を育種することによってなすことができる。もし異なる株で表現型が改変される
ならば、これらの動物は緩和遺伝子が同定することができるように戻し交配する
ことができる。
【0191】 前記したアッセイのいくつかは、今や、さらに詳細に後記する。
【0192】 4.6.1 細胞フリーアッセイ 化合物のライブラリーおよび天然抽出物をテストするプログラムをスクリーニ
ングする多くの薬物において、所与の時間で考えられる化合物の数を最大化する
にし高スループットアッセイが望ましい。精製されたまたは半精製された蛋白質
で誘導することができるように、無細胞系で行われるアッセイは、しばしば、そ
れらを創製して迅速な開発およびテスト化合物によって媒介される分子標的での
改変の比較的容易な検出を可能とすることができる点で好ましい「一次」スクリ
ーニングである。さらに、テスト化合物の細胞毒性および/または生物学的利用
性は、一般に、イン・ビトロ系では無視することができ、その代わり分子標的に
対する薬物の効果に主として焦点を当てるアッセイが、上流または下流エレメン
トでの結合親和性の改変で発現され得る。従って、本発明の例示的スクリーニン
グアッセイにおいて、注目する化合物を、それらがそれによって正にまたは負に
調節されるかを問わず、(その活性のアクチベーターおよびリプレッサーを共に
含む)上流で機能し得る蛋白質またはミオシリンポリペプチドの下流で機能し得
る蛋白質または核酸と接触させる。次いで、化合物および上流または下流エレメ
ントの混合物に、ミオシリンポリペプチドを含有する組成物を添加する。ミオシ
リンとその上流または下流エレメントとの複合体の検出および定量は、ミオシリ
ンおよびミオシリン−結合エレメントの間の阻害(または増強)複合体としての
化合物の効率を決定する手段を提供する。化合物の効率は、テスト化合物の種々
の濃度を用いて得られたデータから用量依存性曲線を創製することによって評価
することができる。さらに、対照アッセイを行って、比較のためのベースライン
を供することもできる。対照アッセイにおいては、単離され精製されたミオシリ
ンポリペプチドを、ミオシリン−結合エレメントを含有する組成物に添加し、複
合体の形成をテスト化合物の不存在下で定量する。
【0193】 ミオシリンポリペプチドおよびミオシリン結合エレメントの間の複合体形成は
、種々の技術によって検出することができる。複合体の形成の変調は、例えば、
イムノアッセイによって、またはクロマトグラフィー検出によって、放射標識、
蛍光標識、または酵素標識ミオシリンポリペプチドのごとき検出可能に標識され
た蛋白質を用いて定量することができる。
【0194】 典型的には、蛋白質の1つまたは双方の非複合体化形態の複合体の分離を容易
とするミオシリンまたはその結合蛋白質を固定化し、ならびにアッセイの自動化
を収容するのが望ましいであろう。候補剤の存在下または不存在下において、上
流または下流エレメントへのミオシリンの結合は、反応体を含有するために適し
たいずれかの容器中で達成することができる。その例はマイクロタイタープレー
ト、テストチューブ、およびミクロ遠心チューブを含む。1つの具体例において
、蛋白質がマトリックスに結合するのを可能とするドメインを付加する融合蛋白
質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/
ミオシリン(GST/ミオシリン)融合蛋白質をグルタチオンセファロースビー
ド(Sigma, Chemical, St. Louis, MO)または
グルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着させ、これを、次いで
、細胞溶解物、例えば、35S−標識したもの、およびテスト化合物と組み合わ
せ、混合物を塩およびpHについての生理学的条件において、複合体形成に対し
て導電的条件下でインキュベートするが、わずかによりストリンジェントな条件
も望まれ得る。インキュベーションに続き、ビーズを洗浄していずれの未結合標
識も除去し、マトリックスを固定化し、放射標識を直接的に(例えば、シンチラ
ント中に置かれたビーズ)、または複合体が引き続いて解離された後に上清中で
測定する。別法として、複合体はマトリックスから解離でき、SDS−PAGE
によって分離でき、添付の実施例に記載したごとくビーズ画分で見いだされるミ
オシリン−結合蛋白質のレベルを標準的な電気泳動技術を用いてゲルから定量し
た。
【0195】 マトリックス上に蛋白質を固定化するための他の技術もまた主題のアッセイで
使用するのに利用できる。例えば、ミオシリンまたはその同族結合蛋白質はビオ
チンおよびストレプトアビジンのコンジュゲ−ションを利用して固定化すること
ができる。例えば、ビオチン化ミオシリン分子は、当該分野でよく知られている
技術を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製す
ることができ(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals
, Rockford, IL)、ストレプトアビジン−被覆した96ウェルプ
レート(Pierce Chemical)のウェル中で固定化することができ
る。別法として、ミオシリンと反応性であるが、上流または下流エレメントの結
合に干渉しない抗体をプレートのウェルに誘導体化し、ミオシリンを抗体コンジ
ュゲーションによってウェル中で捕獲する。前記したごとく、ミオシリン−結合
蛋白質およびテスト化合物の調製はプレートのミオシリン−提示ウェル中でイン
キュベートし、ウェルに捕獲された複合体の量を定量することができる。かかる
複合体を検出する例示的方法は、GST−固定化複合体につき前記したものに加
えて、ミオシリン結合エレメントと反応性である、あるいはミオシリン蛋白質と
反応性であって、結合エレメントと競合する抗体を用いる複合体の免疫検出;な
らびに結合エレメントと会合する酵素活性、固有または外因的活性を検出するこ
とに頼る酵素連結アッセイを含む。後者の例において、酵素は化学的にコンジュ
ゲートすることができるか、あるいはミオシリン−BPとの融合蛋白質として供
することができる。説明すると、ミオシリン−BPはホースラディッシュペルオ
キシダーゼと化学的に架橋するかまたはそれと遺伝子的に融合することができ、
複合体中に捕獲されたポリペプチドの量を、酵素の発色基質、例えば、3,3’
−ジアミノ−ベンザジン四塩化物または4−クロロ−1−ナフトールで評価する
ことができる。同様に、ポリペプチドおよびグルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼを含む融合蛋白質を提供することができ、1−クロロ−2,4−ジニトロベ
ンゼンを用いてGST活性を検出することによって複合体形成を定量することが
できる(Habigら(1974) J. Biol. Chem. 249:
7130)。
【0196】 複合体中に捕獲された蛋白質の1つを定量するための免疫検出に頼るプロセス
では、抗−ミオシリン抗体のごとき蛋白質に対する抗体を用いることができる。
別法として、複合体中で検出される蛋白質は、ミオシリン配列に加えて、(例え
ば、商業的源から)容易に入手できる第2ポリペプチドを含む融合蛋白質の形成
で「タグされたエピトープ」であり得る。例えば、前記したGST融合蛋白質は
GST部位に対する抗体を用いる結合の定量で使用することもできる。他の有用
なエピトープタグは、c−mycからの10−残基を含むmyc−エピトープ(
例えば、Ellisonら(1991) J. Biol. Chem. 26
6:21150−21157参照)、ならびにpFLAG系(Internat
ional Biotechnologies, Inc.)またはpEZZ−
蛋白質A系(Pharamacia, NJ)を含む。
【0197】 4.6.2 細胞ベースの系 前記したごとき無細胞アッセイに加えて、本発明によって提供された突然変異
体および機能的GLClA核酸および蛋白質の容易に入手できる源は、小分子ア
ゴニスト/アンダコニスト等を同定するための細胞−ベースのアッセイの創製を
容易とする。例えば、細胞を注目するテスト剤の存在下および不存在下で組換え
ミオシリン蛋白質を過剰生産するようにでき、該アッセイはテスト剤によって媒
介された標的細胞によるミオシリン応答での変調のためにスコア取りする。無細
胞系アッセイに関しては、ミオシリン−依存性応答(阻害または増強)における
統計学的に有意な変化を生じる剤を同定することができる。例示的具体例におい
て、ミオシリンの発現または活性は細胞中で変調され、(組織分化、増殖、腫瘍
形成性のごとき)注目するリードアウトに対する注目する化合物の効果を測定す
る。例えば、ミオシリン−依存性シグナルカスケードに応答して上昇または下降
調節される遺伝子の発現をアッセイすることができる。好ましい具体例において
、かかる遺伝子の調節領域、例えば、5’フランキングプロモーターおよびエン
ハンサー領域は、容易に検出することができる遺伝子産物をコードする(ルシフ
ェラーゼのごとき)検出可能なマーカーに作動可能に連結されている。
【0198】 例示的細胞または細胞系は眼組織(例えば、小柱ネットワークまたは線毛体上
皮細胞);ならびにHeLa細胞およびCOS細胞、例えば、COS−7(AT
CC# CRL−1651)のごとき哺乳動物属細胞系に由来することができる
。さらに、ここに議論したトランスジェニック動物を用いて、この障害のための
細胞培養モデルとして使用することができる、緑内障に関与する1以上のタイプ
を含有する細胞系を創製することができる。本発明の緑内障性トランスジェニッ
ク動物に由来する一次培養を利用することができるが、連続的細胞系の創製が好
ましい。トランスジェニック動物からの連続的細胞系を駆動することができる技
術(例えば、Smallら, 1985, Mol. Cell Biol.
5:642−648参照)。
【0199】 これらの細胞を用い、細胞増殖、移動、ファゴサイトーシス、(例えば、細胞
外マトリックス成分の)接着および/または生合成を含めた種々の終点に対する
テスト化合物の効果をテストすることができる。次いで、該細胞を、限定される
ものでないが、細胞形態、細胞増殖、細胞移動、および細胞接着の変化を含めた
緑内障に関連する表現型につき調べることができる。
【0200】 ミオシリン蛋白質それ自体、または他の蛋白質の複合体においてDNAに結合
し、遺伝子の転写を修飾することができる事象において、ミオシリン応答性調節
配列が検出可能なマーカー遺伝子に作動可能に連結した転写ベースのアッセイを
用いることができよう。
【0201】 細胞に対する化合物の影響をモニタリングするのは、基本的な薬物スクリーニ
ングにおいてのみならず、臨床試験において適用することができる。かかる臨床
試験においては、遺伝子のパネルの発現を特定の薬物の治療効果の「リードアウ
ト」として使用することができる。
【0202】 さらにもう1つの態様において、ミオシリンに結合するまたはそれと相互作用
する他の細胞蛋白質(「ミオシリン−結合蛋白質」または「ミオシリン−bp」
についてのコーディング配列を単離するために、主題のミオシリンポリペプチド
を用いて、「2ハイブリッド」アッセイを創製することができる(例えば、米国
特許第5,283,317号;Zervosら(1993) Cell 72:
223−232;Maduraら(1993) J. Biol. Chem.
268:12046−12054;Bartel(1993)Biotech
niques 14:920−924;Iwabuchiら(1993) On
cogene 8:1693−1696;およびBrent WO94/103
00参照)。
【0203】 略言すれば、2ハイブリッドアッセイは、2つの別の融合蛋白質からのイン・
ビボで機能的な転写アクチベーター蛋白質を再構成するのに頼る。特に、該方法
はハブリッド蛋白質を発現するキメラ遺伝子を利用する。説明すると、第1のハ
イブリッド遺伝子は、ミオシリンポリペプチドについてのコーディング配列に枠
内で融合した転写アクチベーターのDNA−結合ドメインについてのコーディン
グ配列を含む。第2のハイブリッド蛋白質は、cDNAライブラリーからの試料
遺伝子に枠内で融合した転写活性化ドメインをコードする。もし餌および試料ハ
イブリッド蛋白質が相互作用できる、例えば、ミオシリン−依存性複合体を形成
することができるならば、それらは転写アクチベーターの2つのドメインに近接
させる。この近接は、転写アクチベーターに応答する転写調節部位に作動可能に
連結するレポーター遺伝子の転写を引き起こすのに十分であり、レポーター遺伝
子の発現を検出し、それを用いてミオシリンおよび試料蛋白質の相互作用につき
スコア取りすることができる。
【0204】 本発明は、さらに、前記スクリーニングアッセイによって同定された新規剤お
よびここに記載した処理のためのその使用に関する。
【0205】 4.7 病気を治療する方法 緑内障に加えて、本発明のミオシリン治療剤が治療で使用できる種々の病理的
疾患があり得る。
【0206】 野生型ミオシリンのアンタゴニストまたはアゴニストであるかを問わず、「ミ
オシリン治療剤」は、適当には、単離されたポリペプチド、遺伝子治療構築体、
アンチセンス分子、ペプチドミメティックス、非核酸、非ペプチド小分子、また
はここに提供された薬物アッセイで同定された剤を含めた、前記調製のいずれか
であり得る。
【0207】 前記したごとく、ある種の突然変異体GLClA遺伝子を有する主題は緑内障
を発症する傾向にある。突然変異体GLClA遺伝子発現の下降調節および/ま
たは突然変異体ミオシリン蛋白質の活性の減少(例えば、アンチセンス、リボザ
イム、三重らせんまたは抗体分子を使用)および/または野生型GLClA遺伝
子発現の上昇調節および/または野生型ミオシリン蛋白質の活性の得られた減少
(例えば、遺伝子治療または蛋白質置換治療剤を使用)は、従って、病気の兆候
を軽減するのに有用であることが判明するはずである。GLClA遺伝子発現ま
たはミオシリン蛋白質活性を増加させるまたは減少させるものとして同定された
化合物は、緑内障に関連する兆候を治療または軽減するのに治療的有効量で対象
に投与することができる。
【0208】 4.7.1 有効量 かかる化合物の毒性および治療効果は、例えば、LD50(集団の50%で致
死的な用量)およびED50(集団の50%で治療的に有効な量)を測定するた
めに、細胞培養または実験動物において標準的な医薬的手法によって測定するこ
とができる。毒性および治療的効果の間の用量比は治療指標であり、それは比率
LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指標を呈する化合物が
好ましい。毒性効果を呈する化合物を使用することができるが、かかる化合物を
患部組織に標的化する送達系を設計して未感染細胞に対する可能な損傷を最小化
し、それにより、副作用を減少させるように注意する。
【0209】 細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトで使用されるあ
る範囲の用量を処方するのに使用することができる。かかる化合物の用量は、好
ましくは、ほとんどまたは全く毒性を持たないED50を含むある範囲の循環濃
度内にある。用量は使用される投与形態および利用される投与経路に依存してそ
の範囲内で変化させ得る。本発明の方法で使用されるいずれの化合物についても
、治療有効量はまず細胞培養アッセイから評価することができる。細胞培養で測
定されたIC50(すなわち、兆候の半最大阻害を達成するテスト化合物の濃度
)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために用量を動物において処方することが
できる。かかる処方を用いて、ヒトにおいて有用な用量をより正確に測定するこ
とができる。血漿中のレベルは、例えば、高効率液体クロマトグラフィーによっ
て測定することができる。
【0210】 4.7.2 処方および使用 本発明により使用される医薬組成物は、1以上の生理学的に許容される担体お
よび賦形剤を用いて常法により処方することができる。かくして、化合物および
生理学的に許容される塩および溶媒を、例えば、注射、注入または(口または鼻
を通じての)ガス注入または経口、口腔、非経口または直腸経路によって投与の
ために処方することができる。
【0211】 かかる治療のためには、本発明のオリゴマーは、全身および局所または局所化
投与を含めた種々の投与負荷のために処方することができる。技術および処方は
、一般に、Remmington’s Pharmaceutical Sci
ences, Meade Publishing Co., Easton,
PAに見いだすことができる。全身投与では、筋肉内、静脈内、腹腔内および
皮下を含めた注射が好ましい。注射では、本発明のオリゴマーは、好ましくはハ
ンクスの溶液またはリンゲル溶液のごとき生理学的に適合する緩衝液中にて、液
体溶液に処方することができる。加えて、オリゴマーは固体形態に処方すること
ができ、使用に先立って再溶解または懸濁させることができる。凍結乾燥形態も
含まれる。
【0212】 経口投与では、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、予備ゲル化されたト
ウモロシデンブン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセル
ロース);充填剤(例えば、ラクトース、マイクロクリスタリンセルロースまた
はリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タル
クまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンブングリコ
ール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のごと
き医薬上許容される賦形剤での常法手段によって調製された錠剤またはカプセル
剤の形態を取ることができる。錠剤は当該分野でよく知られている方法によって
被覆することができる。経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液、シロッ
プ剤または懸濁剤の形態を取ることができ、あるいはそれらは使用前に水または
他の適当なビヒクルとの構成で乾燥生成物として提示することができる。かかる
液体製剤は懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または
水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒク
ル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分別植物油
);および保存剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエ
ートまたはソルビン酸)のごとき医薬上許容される添加剤での常法手段によって
調製することができる。また、該製剤は緩衝剤塩、フレーバー剤、着色剤および
甘味剤を適当には含有することができる。
【0213】 経口投与用の製剤は、適当には、活性化合物の制御放出を与えるように処方す
ることができる。
【0214】 口腔投与では、組成物は常法で処方した錠剤またはロゼンジの形態を取ること
ができる。
【0215】 吸入による投与では、本発明で使用される化合物は、便宜には、適当なプロペ
ラント、例えば、ジクロロジフルオロメチン、トリクロロフルオロメチン、ジク
ロロテトラフルオロエチン、二酸化炭素または他の適当なガスを使用して、圧力
パックまたはネビュライザーからアエロゾルスプレイ提示の形態で送達すること
する。圧縮アエロゾルの場合には、投与単位は計量された量を送達するためのバ
ルブを供することによって測定することができる。吸入機または注入器で使用さ
れる、例えば、ゼラチンのカプセル剤およびカートリッジは、化合物の粉末ミッ
クスまたはラクシートまたはデンプンのごとき適当な粉末ベースを含有するよう
に処方することができる。
【0216】 化合物は、注入、例えば、ボーラス注射または連続的点滴によって非経口投与
用に処方することができる。注射用の処方は、単位投与形態で、保存剤を添加し
たアンプルまたは多重用量容器中で提示することができる。組成物は油性または
水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンのごとき形態を取ることがで
きる。別法として、有効成分は適当な使用前にビヒクル、例えば、滅菌パイロジ
ェンフリー水とでの構成のための粉末中に存在させることができる。
【0217】 また、化合物は、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドのごとき通常の
坐薬基剤を含有する坐薬または保持浣腸のごとき直腸組成物に処方することがで
きる。
【0218】 前記した処方に加えて、該化合物はデポ調製として処方することができる。か
かる長期持続処方は移植(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内
注射によって投与することができる。かくして、例えば、(例えば、許容される
油中のエマルジョンとしての)適当なポリマーまたは疎水性物質とで、またはイ
オン交換樹脂、または貧溶性誘導体として、例えば、貧溶性塩として処方するこ
とができる。
【0219】 全身投与は経粘膜または経皮手段によることもできる。経粘膜または経皮投与
では、予め浸透させるためにバリアーに対して適した浸透剤を処方で用いる。か
かる浸透剤は一般的に当該分野で知られており、例えば、経粘膜投与胆汁酸塩お
よびフシジン酸誘導体を含む。加えて、洗剤を用いて浸透を容易とすることがで
きる。経粘膜投与は鼻孔スプレイを通じてまたは坐薬を用いることができる。局
所投与では、本発明のオリゴマーは当該分野で一般的に知られている軟膏、唾液
、ゲルまたはクリームに処方される。
【0220】 臨床的状況では、治療GLClA遺伝子のための遺伝子送達系を、各々当該分
野で精通されている、多数の方法のうちのいずれかによって患者に導入すること
ができる。例えば、遺伝子送達系の医薬製剤を、例えば、静脈内注射によって全
身導入することができ、標的細胞における蛋白質の特異的導入は、受容体遺伝子
の発現を制御する転写調節配列による遺伝子送達ビヒクル、細胞型または細胞型
発現、またはその組合せによって供されたトランスフェクションの特異性から支
配的に起こる。他の具体例において、組換え遺伝子の最初の送達は、かなり局所
化された動物への導入でより限定されている。例えば、遺伝子送達ビヒクルはカ
テーテル(例えば、米国特許第5,328,470号)によって、または定位注
射(例えば、Chenら(1994) PNAS 91:3054−3057)
によって導入することができる。配列番号1または2、それに対する配列ホモロ
グよりなる群から選択される群で表される配列のうちのいずれかの1つのごとき
GLClA遺伝子を、例えば、Devら((1994) Cancer Tre
at Rev. 20:105−115)によって記載されている技術を用いる
エレクトロポレーションによって遺伝子治療構築体にて送達することができる。
特異的な効果的かつ高度に局所化された目の病気の治療を供するウイルスよりな
る遺伝子治療ベクターはErikssonに対する公開された国際出願番号WO
95/34580に記載されている。
【0221】 遺伝子治療構築体の医薬製剤は、実質的に適当な希釈剤中の遺伝子送達系より
なることができ、あるいは遺伝子送達ビヒクルが包埋された徐放マトリックスを
含むことができる。別法として、完全な遺伝子送達系、例えば、レトロウイルス
ベクターが組換え細胞から無傷で生産することができ、医薬製剤は遺伝子送達系
を生産する1以上の細胞を含むことができる。
【0222】 該組成物は、所望ならば、有効成分を含有する1以上の単位投与形態を含有す
ることができるパックまたはディスペンサーデバイスにて提示することができる
。該パックは、例えば、ブリスターパックのごとき金属またはプラスチックフォ
イルを含むことができる。該パックまたはディスペンサーデバイスは投与の指示
によって達成することができる。
【0223】 4.8 予測される医薬 本発明は、さらに、対象におけるコードされたミオシリン蛋白質の発現レベル
および/または機能に影響する、新規GLClA遺伝子の同一性および遺伝子お
よび関連経路遺伝子における改変に部分的に基づく予測される医薬をその要旨と
する。
【0224】 例えば、(単独または、同一病気に寄与するもう1つの遺伝子欠陥に対する情
報と組み合わせた)ここに記載された診断アッセイを用いて得られた情報は、兆
候のある対象(例えば、緑内障についての兆候的対象)が緑内障を引き起こすま
たはそれに寄与する(例えば、GLClA遺伝子における、またはGLClA遺
伝子の発現を調節する遺伝子における)遺伝子欠陥を有することを診断するのに
またはそれを確認するのに有用である。別法として、(単独または同一病気に寄
与するもう1つの遺伝子欠陥についての常法と組み合わせた)常法は、非兆候対
象が緑内障を発症するようであるか否かを予測するのに予後的に用いることがで
きる。予後情報に基づいて、医師は、個体における緑内障の開始を防止しまたは
延長するのに有用な、推奨される療法または治療プロトコルを推奨することがで
きる。
【0225】 加えて、単独または緑内障に寄与する他の遺伝子欠陥に対する情報と組み合わ
せて、特定の改変または個体における欠陥もしくは欠損GLClA遺伝子または
蛋白質の結果となる改変の知識は、個体の遺伝子プロフィール、「ファルマコゲ
ノミックス」の目標に対する治療のあつらえを可能とする。例えば、個体のGL
ClA遺伝子プロフィールまたは緑内障の遺伝子プロフィールは医師が1)緑内
障の分子的基礎にアドレスする薬物をより効果的に記載する;および2)特定の
薬物の適当な用量を良好に決定するのを可能とする。例えば、単独または緑内障
に寄与することが知られている他の遺伝子の発現レベルと組み合わせた、ミオシ
リン蛋白質の発現レベルは、緑内障の転写または発現プロフィールを創製する病
気の種々の段階で多くの患者で測定することができる。次いで、個体患者の発現
パターンを適当な薬剤および患者に投与される用量を決定する緑内障の発現プロ
フィールと比較することができる。
【0226】 GLClAまたは緑内障遺伝子プロフィールに基づいた最高の臨床利点を示す
ことが予測される標的集団の能力は1)失望するマーケット結果を持つ市販薬物
を再配置し;2)その臨床開発が、患者亜群−特異的である安全または効率制限
の結果として中断される薬物候補の救済;および3)薬物候補およびより最適な
薬物標識についての加速されより安価な開発を可能とすることができる(例えば
、マーカーとしてのGLClAの使用は効果的な用量を最適化するのに有用であ
る)。
【0227】 これらのおよび他の方法は以下のセクションでさらに詳細に記載される。
【0228】 4.8.1 予後および診断アッセイ 対象が(予後的)緑内障を有するか(診断的)またはそれを発症する危険性が
あるかを決定するための手段を本発明の方法は提供する。
【0229】 1つの具体例において、該方法は、対象がノーザンブロット分析、逆転写酵素
−ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)、イン・サイチュハイブリダイゼーショ
ン、免疫沈殿、ウェスタンブロットハイブリダイゼーション、または免疫組織何
学のごとき、異常GLClA mRNAおよび/またはミオシリン蛋白質レベル
を有するか否かを判断することを含む。該方法によると、対象から細胞を得、G
LClA mRNAのレベルまたはミオシリンレベルを測定し、健康な対象にお
いてmRNAまたは蛋白質レベルと比較する。GLClA mRNAまたはその
ためのミオシリンの異常レベルは異常ミオシリン生物活性の指標である。
【0230】 もう1つの具体例において、該方法は、ミオシリンのすくなくとも1つの活性
を測定することを含む。同様に、対象のミオシリン蛋白質の結合パートナーとの
親和性の定数を測定することができる。得られた結果と健康対象からのミオシリ
ン蛋白質で行った同様の分析での結果との比較は、対象が異常ミオシリン活性を
有するか否かの指標である。
【0231】 好ましい具体例において、対象が緑内障を有するかまたはそれを発症する危険
性を有するかを決定する方法は、対象からの細胞の試料において、(i)ミオシ
リンポリペプチドをコードする遺伝子の統合に影響する改変、または(ii)G
LClA遺伝子の誤発現のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる遺伝子
改変の存在または不存在を検出することを含むことを特徴とする。例えば、かか
る遺伝子改変は、(i)GLClA遺伝子からの1以上のヌクレオチドの検出、
(ii)GLClA遺伝子に対する1以上のヌクレオチドの付加、(iii)G
LClA遺伝子の1以上のヌクレオチドの置換、(iv)GLClA遺伝子の大
きな染色体再配置、(v)GLClA遺伝子のメッセンジャーRNA転写体のレ
ベルの大きな改変、(vi)ゲノムDNAのメチル化パターンのもののごときG
LClA遺伝子の異常修飾、(vii)GLClA遺伝子のメッセンジャーRN
A転写体の非野生型スプライシングパターンの存在、(viii)ミオシリンポ
リペプチドの非野生型レベル、(ix)GLClA遺伝子の対立遺伝子喪失およ
び/または(x)ミオシリンポリペプチドの不適切な翻訳後修飾のうちの少なく
とも1つの存在を確認することによって検出することができる。後記するごとく
、本発明は、GLClA遺伝子において改変を検出するための種々のアッセイ技
術を提供する。これらの方法は、限定されるものではないが、配列分析、サザー
ンブロットハイブリダイゼーション、制限酵素部位マッピングを含む方法、およ
び分析されるべき核酸およびプローブとの間のヌクレオチド対合の不存在の検出
を含む方法を含む。さらにこれらの方法や他の方法を記載する。
【0232】 特別の病気または障害、例えば、遺伝病または障害は、必ずしも突然変異した
蛋白質をコードしないある種の遺伝子の多形領域の特異的対立遺伝子変異体に関
連する。かくして、対象における、単一ヌクレオチド多形(「SNP」)のごと
き、遺伝子の多形領域の特異的対立遺伝子変異体の存在は、対象が特異的病気ま
たは障害を発症するのに感受性とすることができる。GLClA遺伝子における
多形領域は、個体の集団における遺伝子のヌクレオチド配列を測定することによ
って同定することができる。多形領域、例えば、SNPが同定されるならば、特
異的病気とのリンクは、個体、例えば、緑内障を発症した個体の特異的集団を調
べることによって決定することができる。多形領域は、エクソン、イントロン、
およびプロモーター領域のコーディングまたは非コーディング領域においていず
れかの領域に位置することができる。
【0233】 GLClA遺伝子は、その特異的対立遺伝子が特異的病気または疾患に、また
はかかる病気または疾患を発症する増大した確率と関連し得る多形領域を含む。
かくして、該発明は、対象におけるGLClA遺伝子の対立遺伝子またはその多
形領域り対立遺伝子変異体の同定を測定して、それにより、多形領域の特異的対
立遺伝子変異体に関連した病気または障害を対象が有するまたはそれを発症する
危険性があるかを判断する方法を提供する。
【0234】 例示的具体例において、GLClA遺伝子またはその天然に生じる突然変異体
のセンスもしくはアンチセンス配列、または対象のGLClA遺伝子またはその
天然に生じる変異体に天然で関連する5’もしくは3’フランキング配列または
イントロン配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の領域を含
めた核酸プローブを含む核酸組成物が提供される。細胞の核酸はハイブリダイゼ
ーションのために接近可能とされ、プローブを試料の核酸と接触させ、プローブ
の試料核酸へのハイブリダイゼーションが検出される。かかる技術を用いて、欠
失、置換等を含めたゲノムまたはmRNAレベルにおける改変または対立遺伝子
変異体を検出してmRNA転写体レベルを決定することができる。
【0235】 好ましい検出方法は、突然変異または多形部位と重複する、および突然変異ま
たは多形領域の回りに約5、10、20、25または30ヌクレオチドを有する
対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションである。本発明の好ましい具体例にお
いて、単一ヌクレオチド多形のごとき対立遺伝子変異体に特異的にハイブリダイ
ズできるいくつかのプローブを固相支持体、例えば、「チップ」に付着させる。
リソグラフィーを含めた種々のプロセスによってオリゴヌクレオチドを個体支持
体に結合させることができる。例えば、チップは250,000オリゴヌクレオ
チドを保有することができる。「DNAプローブアッセイ」とも言う、オリゴヌ
クレオチドを含むこれらのチップを用いる突然変異検出分析は、例えば、Cro
ninら(1996) Human Mutation 7:244に記載され
ている。1つの具体例において、チップは遺伝子の少なくとも1つの多形領域の
全ての対立遺伝子変異体を含む。次いで、固相支持体をテスト核酸ハイブリダイ
ゼーションと接触させ、特異的プローブを検出する。従って、1以上の遺伝子の
多数の対立遺伝子変異体の同一性は、単純なハイブリダイゼーション実験で同定
することができる。
【0236】 ある具体例において、改変の検出は、アンカーPCRまたはRACE PCR
、のごとき多形鎖反応(PCR)(米国特許第4,683,195と4,683
,202号)において、あるいは別法として、リガーゼ鎖反応(LCR)(例え
ば、Landegranら(1988) Science 241:1077−
1080;およびNakazawaら(1994) PNAS 91:360−
364)においてプローブ/プライマーを利用することを含み、この後者はGL
ClA遺伝子における点突然変異を検出するのに特に有用である(Abrava
yaら(1995) Nuc. Acd Res 23:675−682)。単
に例示的具体例において、該方法は、(i)患者から細胞の試料を収集し、(i
i)試料の細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたは双方)を単離し、(
iii)GLClA遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が(もし存在す
れば)起こる条件下でGLClA遺伝子に特異的にハイブリダイズする1以上の
プライマーと核酸試料を接触させ、次いで、(iv)増幅産物の存在または不存
在を検出し、あるいは増幅産物のサイズを検出し、または長さを対照試料と比較
する工程を含む。PCRおよび/またはLCRは、ここに記載された突然変異を
検出するのに使用される技術のうちのいずれかと組み合わせて予備的増幅工程と
して使用するのが望ましいと予測される。
【0237】 別の増幅方法は:自己保持配列複製(Guatelli, J.C.ら, 1
990, Proc. natl. Acad. Sci, USA 87:1
874−1878(転写増幅システム(Kwoh, D.Y.ら, 1989,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173−
1177)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardi, P.M.ら, 19
88, Bio/Technology 6:1197)、またはいずれかの他
の核酸増幅方法、続いての当業者によく知られた技術を用いる増幅された分子の
検出を含む。これらの検出スキームは、かかる分子が非常に少ない数で存在すれ
ば、核酸分子の検出で特に有用である。
【0238】 主題のアッセイの好ましい具体例において、試料細胞からのGLClA遺伝子
の対立遺伝子変異体における突然変異は、制限酵素切断パターンにおける改変に
よって同定される。例えば、試料および対照DNAを単離し、(所望により)増
幅し、1以上の制限エンドヌクレアーゼで消化し、断片長サイズをゲル電気泳動
によって測定する。さらに、配列特異的リボザイム(例えば、米国特許第5,4
98,531号)の使用を用いて、リボザイム切断部位の発生または喪失によっ
て特異的突然変異の存在につきスコア取りすることができる。
【0239】 さらにもう1つの具体例において、当該分野で知られている種々の配列決定反
応のいずれかを用いて、GLClA遺伝子を直接的に配列決定し、試料GLCl
Aの配列を対応する野生型(対照)配列と比較することによって突然変異を検出
することができる。例示的配列決定反応は、MaximおよびGilbert
(Proc. Acad. Natl. Sci USA(1977) 74:
560)またはSanger(Sangerら(1977) Proc. Na
t. Acad. Sci 74:5463)によって開発された技術に基づく
ものを含む。また、種々の自動配列決定手法のうちのいずれかが、質量分析(例
えば、PCT出願WO 94/16101;Cohenら(1996) Adv
. Chromatogr. 36:127−162:およびGriffnら(
1993) Appl. Biochem. Biotechnol 38:1
47−159)を含めた、主題のアッセイを行う場合に利用することができる(
Biotechniques (1995) 19:448)。以下のことは、
当業者には明らかである。ある具体例では、核酸塩基の1、2または3のみの出
現は配列決定反応で測定される必要がある。例えば、A−トラック等が、例えば
、1つの核酸が検出される場合、それを行うことができる。
【0240】 さらなる具体例において、(ヌクレアーゼ、ヒドロキシルアミンまたは四酸化
オスミウムのごときまたはピペリジンでのごとき)切断剤からの保護はRNA/
RNAまたはRNA/DNAまたはDNA/DNAヘテロデュプレックスにおけ
るミスマッチ塩基を検出するために用いることができる(Myersら(198
5) Science 230:1242)。一般に、「ミスマッチ切断」の技
術は野生型GLClA配列を含むRNAまたはDNAを組織試料から得られた可
能な突然変異体RNAまたはDNAとハイブリダイズさせることによって形成さ
れたヘテロデュプレックスを供することによって開始する。二本鎖デュプレック
スは、対照および試料ストランドの間の塩基対ミスマッチにより存在するごとく
デュプレックスの一本鎖領域を切断する剤で処理する。例えば、RNA/DNA
デュプレックスはRNaseで処理し、DNA/DNAハイブリッドはS1ヌク
レアーゼで処理して、ミスマッチした領域を酵素的に消化することができる。他
の具体例において、DNA/DNAまたはRNA/DNAデュプレックスをヒド
ロキシルアミンまたは四酸化オスミウムで、およびピペリジンで処理して、ミス
マッチ領域を消化することができる。ミスマッチ領域の消化の後、次いで、得ら
れた物質を変性ポリアクリルアミドゲルでのサイズによって分離して突然変異を
測定することができる。例えば、Cottonら(1988) Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 85:4397;Saleebaら
(1992) Methods Enzymol. 217:286−295。
好ましい具体例において、対照DNAまたはRNAを検出のために標識すること
ができる。
【0241】 さらにもう1つの具体例において、ミスマッチ切断反応は、細胞の試料から得
られたGLClA cDNAにおける点突然変異を検出しマッピングするための
規定されたシステムにおいて、二本鎖DNAにおけるミスマッチ塩基対を認識す
る1以上の蛋白質を使用する(いわゆる「DNAミスマッチ修復」)。例えば、
E.coliのmutY酵素はG/AミスマッチでAを切断し、HeLa細胞か
らのチミジンDNAグリコシダーゼはG/TミスマッチのTを切断する(Hsu
ら(1994) Carcinogenesis 15:1657−1662)
。例示的具体例によると、GLClA配列、例えば、野生型GLClA配列に基
づくプローブはテスト細胞からのcDNAまたは他のDNA産物にハイブリダイ
ズする。デュプレックスをDNAミスマッチ修復酵素で処理し、切断産物は、も
し存在すれば、電気泳動プロトコル等から検出することができる。例えば、米国
特許第5,459,039号参照。
【0242】 他の具体例において、電気泳動移動度における改変を用いて、GLClA遺伝
子における多形領域の対立遺伝子変異体の突然変異または同一性を同定すること
ができる。例えば、一本鎖立体配座(SSCP)を用いて、突然変異体および野
生型核酸の間の電気泳動移動度の差異を検出することができる(Oritaら,
(1989) Proc. Natl. Acad, Sci. USA 8
6:2766, またはCotton (1993) Mutat Res 2
85:125−144;およびHayashi(1992) Genet An
al tech Appl 9:73−79)。試料および対照GLClA核酸
の一本鎖DNA断片を変性し、再生させる。一本鎖核酸の二次構造は、配列に従
って変化し、電気泳動移動度で得られた改変は単一塩基変化でさえの検出を可能
とする。DNA断片は標識プローブで標識または検出することができる。アッセ
イの感度は(DNAよりもむしろ)RNAを用いて増強るすことができ、ここに
、二次構造は配列の変化により敏感である。好ましい具体例において、主題の方
法は、電気泳動移動度の変化に基づいて二本鎖デュプレックスを分離するのに利
用する(Keenら(1991) Trends Genet 7:5)。
【0243】 さらにもう1つの具体例において、変性剤のグラジエントを含有するポリアク
リルアミドゲル中での突然変異体または野生型断片の移動は、変性グラジエント
電気泳動(DGGE)を用いてアッセイする(Meyrsら(1985) Na
ture 313:495)。DGGEを分析の方法として用いる場合、DNA
を修飾して、それが、例えば、PCRによるほぼ40bpの高融解点GC−リッ
チDNAのGCクランプを添加することによって完全に変性しないことを保証す
る。さらなる具体例において、温度グラジエントを、変性剤グラジエントの代わ
りに用いて、対照および試料DNAの移動度の差異を同定する(Rosenba
umおよびReissner(1987) Biopys Chem 265:
12753)。
【0244】 多形領域の対立遺伝子変異体の点突然変異または同一性を検出するための他の
技術の例は、限定されるものではないが、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダ
イゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長を含む。例えば、(例
えば、対立遺伝子変異体における)公知の突然変異またはヌクレオチド差異を中
心的に置き換え、次いで、完全なマッチが見いだされる場合にのみハイブリダイ
ゼーションを可能とする条件下で標的DNAにハイブリダイズさせるオリゴヌク
レオチドプライマーを調製することができる(Saikiら(1986) Na
ture 324:163);Saikiら(1989) Proc. Nat
l. Acad. Sci USA 86:6230)。かかる対立遺伝子特異
的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技術を用いて、オリゴヌクレオチ
ドがPCR増幅標的DNAにハイブリダイズする場合は反応当たりの1つの突然
変異または多形領域を、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする膜に付着され
、標識標的DNAとハイブリダイズする場合は多形領域をテストすることができ
る。
【0245】 別法として、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術を本発明
と組み合わせて使用することができる。特異的増幅でプライマーとして使用され
るオリゴヌクレオチドは、(増幅が異なるハイブリダイゼーションに依存するよ
うに)分子の中心に、または適当に条件下で、多形伸長を防止しまたは減少させ
ることができる場合に1つのプライマーの極3’末端に注目する突然変異または
多形領域を担うことができる(Prossner(1993) Tibtech
11:238)。加えて、突然変異の領域における新規制限部位を導入して切
断ベースの検出を創製することができる(Gaspariniら(1992)
Mol. Cell Probes 6:1)。ある具体例において、増幅のた
めにTaqリガーゼを用いて増幅を行うことができる(Barany(1991
) Proc. Natl. Acad. Sci USA 88:189)。
かかる場合において、もし5’配列の3’末端に完全なマッチがあり、増幅の存
在または不存在を探すことによって特異的部位に公知の突然変異の存在を検出す
ることが可能となる場合にのみ連結が起こる。
【0246】 もう1つの具体例において、対立遺伝子変異体の同定は、例えば、米国特許第
4,998,617号およびLandegren、U.ら、Science 2
41:1077−1080(1988)に記載されているオリゴヌクレオチド連
結アッセイを用いて行われる。OLAプロトコルは、標的の一本鎖の配列に隣接
する配列にハイブリダイズすることができるように設計された2つのオリゴヌク
レオチドを用いる。オリゴヌクレオチドの1つは分離マーカー、例えば、ビオチ
ン化されたものに連結され、他のものは検出可能に標識される。もし正確な相補
的配列が標的分子に見いだされるならば、オリゴヌクレオチドは、その末端が隣
接するようにハイブリダイズし、連結基質を生じる。次いで、連結は標識オリゴ
ヌクレオチドがアビジン、またはもう1つのビオチンリガンドを用いて回収され
ることを可能とする。Nickerson, D.A.ら, Proc. Na
tl. Acad. Sci (U.S.A.)87:8923−8927(1
990)。この方法において、PCRを用いて、標的DNAの指数関数的増幅を
達成し、これを次いでOLAを用いて検出する。
【0247】 このOLA方法に基づくいくつかの技術が開発されており、これを用いてGL
ClA遺伝子の多形領域の特異的対立遺伝子変異体を検出する。米国特許第5,
593,826号は、ホスホルアミデートを有するコンジュゲートを形成するた
めに3’−アミノ基および5’−リン酸化オリゴヌクレオチドを有するオリゴヌ
クレオチドを用いてOLAを開示する。Tobeら((1996) Nucle
ic Acids Res 24:3728)に記載されているOLAのもう1
つの変異体において、PCRと組み合わせたOLAは、単一マイクロタイターウ
ェルにおいて2つの対立遺伝子のタイプ分けを可能とする。ユニークなハプテン
、すなわち、ジゴキシゲニンおよびフルオレセインを持つ対立遺伝子−特異的プ
ライマーの各々を作成することによって、各OLA反応は、異なる酵素レポータ
ー、アルカリ性ホスファターゼまたはホースラディッシュペルオキシダーゼで標
識されるハプテン特異的抗体を用いることによって検出することができる。この
系は、2つの異なる色彩の生産に導く高スループット様式を用いて2つの対立遺
伝子の検出を可能とする。
【0248】 本発明は、さらに、GLClA遺伝子において単一のヌクレオチド多形を検出
する方法を提供する。単一ヌクレオチド多形は非変異体配列の領域な近接挟まれ
た変異の部位を構成するので、その分析は、変異の部位に存在する単一ヌクレオ
チドの同一性の測定を必要とするに過ぎず、各患者につき完全な遺伝子配列を決
定する必要はない。いくつかの方法が、かかる単一ヌクレオチド多形の分析を容
易とするために開発されてきた。
【0249】 1つの具体例において、例えば、Mundy,C.R.(米国特許第4,65
6,127号)に開示されている特殊化されたエキソヌクレアーゼ−抵抗性ヌク
レオチドを用いて検出することができる。該方法によると、該多形の直ぐに3’
側の対立遺伝子配列に相補的なプライマーは、特定の動物またはヒトから得られ
た標的分子にハイブリダイズすることを可能とする。もし標的分子上の多形部位
が存在する特定のエキソヌクレアーゼ−抵抗性ヌクレオチド誘導体に相補的であ
るヌクレオチドを含有すれば、その誘導体はハイブリダイズしたプライマーの末
端に取り込まれるであろう。かかる取り込みはプライマーをエキソヌクレアーゼ
に対して抵抗性とし、それにより、その検出を可能とする。試料のエキソヌクレ
アーゼ−抵抗性誘導体の同一性は知られているので、プライマーがエキソヌクレ
アーゼに抵抗性となるという発見は、標的分子の多形部位に存在するヌクレオチ
ドは反応で使用されるヌクレオチド誘導体のそれと相同である。この方法は有利
である。というのは、それは大量の外来性配列の測定を必要としないからである
【0250】 本発明のもう1つの具体例において、溶液−ベースの方法は、多形部位のヌク
レオチドの同一性を測定するのに使用される、Cohen,D.ら(フランス特
許第2,650,840号;PCT出願番号WO91/02087)。米国特許
第4,656,127号のMundy方法におけるごとく、多形部位の直ぐに3
’側の対立遺伝子配列に相補的であるプライマーを用いる。該方法は、もし多形
部位のヌクレオチドに対する相補性がプライマーの末端に取り込まれるようにな
ると、標識されたジデオキシヌクレオチド誘導体を用いるその部位のヌクレオチ
ドの同一性を測定する。
【0251】 Genetic Bit AnalysisまたはGBATMとして知られて
いる別の方法は、Goelet, P.ら(PCT出願92/15712)によ
って記載されている。Goelet,P.らの方法は、標識されたターミネータ
ーおよび多形部位の3’側に相補的なプライマーの混合物を使用する。取り込ま
れた標識ターミネーターは、かくして、評価されるべき標識分子の多形部位に存
在するヌクレオチドによって、およびそれに対する相補性によって測定される。
Cohenらの方法(フランス特許第2,650,840号;PCT出願番号W
O91/02087)の方法とは対照的に、Goelet,P.らの方法は、好
ましくは、プライマーまたは標的分子が固相に固定化された異種相アッセイであ
る。
【0252】 最近、DNA中の多形部位をアッセイするためのいくつかのプライマー−ガイ
ドヌクレオチド取り込み方法が記載されている(Komher, J.S.ら,
Nucl. Acids. Res. 17:7779−7784(1989
);Sokolov, B.P., Nucl. Acids Res. 18
:3671(1990);Syvanen,A.−Cら, Genomics
8:684−692(1990);Kuppuswamy, M.N.ら, P
roc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.)88:114
3−1147(1991);Prezant,T.R.ら, Hum. Mut
at. 1:159−164(1992);Ugozzoli, L.ら, G
ATA 9:107−112(1992);Nyren,P.ら, Anal.
Biochem 208:171−175(1993))。これらの方法は、
それらが全て多形部位における塩基間を区別するための標識デオキシヌクレオチ
ドの取り込みに頼る点でGBATMとは異なる。かかる様式において、シグナル
は取り込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するので、同一ヌクレオチドの
ランで起こる多形の結果、該ランの長さに比例したシグナルが得られる(Syv
anen, A.C.ら, Amer. J. Hum. Genet.52:
46−59(1993))。
【0253】 蛋白質翻訳の未成熟終止を生じる突然変異については、蛋白質切形テスト(P
TT)は効果的な診断アプローチを供する(Roestら, (1993) H
um. Mol. Genet. 2:1719−21; van der L
uijtら(1994) Genomics 20:1−4)。PTTでは、R
NAをまず利用可能な組織および逆転写PCRから単離し、注目するセグメント
をPCRによって増幅する。次いで、逆転写PCRの産物を、真核生物翻訳を開
始するためのRNAポリメラーゼプロモーターおよび配列を含有するプライマー
でのネステッドPCR増幅のための鋳型として用いる。注目する領域の増幅後、
プライマーに取り込まれたユニークなモチーフは順次のイン・ビトロ転写および
PCR産物の翻訳を可能とする。翻訳産物のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動に際して、切形されたポリペプチドの出現は、翻訳の未
成熟終止を引き起こす成熟の存在をシグナルとする。この技術の変形において、
注目する標的領域が単一エクソンに由来する場合、(RNAとは反対に)DNA
をPCR鋳型として使用する。
【0254】 本明細書に記載された方法を、例えば、臨床的状況で通常使用して緑内障の兆
候または家族履歴を呈する患者を診断することができる、少なくとも1つのプロ
ーブ核酸、プライマー組;および/またはここに記載される抗体試薬を含むプレ
パック診断キットを利用することによって行うことができる。
【0255】 いずれの細胞タイプまたは組織も後記する診断で利用することができる。好ま
しい具体例において、体液、例えば血液を対象から得て、GLClA遺伝子の多
形領域の対立遺伝子変異体の突然変異または同一性の存在を測定する。体液、例
えば、血液は、公知の技術(例えば、静脈穿刺)によって得ることができる。別
法として、核酸テストを乾燥試料(例えば、毛髪または皮膚)につき行うことが
できる。親診断のために、胎児核酸試料をBianchiに対する国際出願番号
WO91/07660に記載された母親血液から得ることができる。別法として
、アミノサイクルまたは絨毛は親テストを行うのに得ることができる。
【0256】 GLClA遺伝子の多形領域の特異的対立遺伝子変異体の突然変異の存在を測
定するためのRNAまたは蛋白質を使用する場合、利用することができる細胞ま
たは組織はGLClA遺伝子を発現しなければならない。これらの方法で使用さ
れる好ましい細胞は、網膜の光受容体を含む。使用することができる別の細胞ま
たは組織は、ノーザンブロット分析のごとき、対象における特異的GLClA遺
伝子の発現パターンを測定することによって同定することができる。
【0257】 診断手法は、核酸精製が必要ではないように、バイオプシーまたはリセクショ
ンから得られた患者組織の組織セクション(固定および/または凍結)に際して
イン・サイチュで直接的に行うことができる。核酸試薬は、かかるイン・サイチ
ュ手法のためのプローブおよび/またはプライマーとして用いることができる(
例えば、Nuovo, G.J., 1992, PCR in situ h
ybridization: protocols and applicat
ions, Raven Press, NY)。
【0258】 1つの核酸配列の検出に主として焦点を当てる方法に加えて、かかる検出スキ
ームでプロフィールを創製することができる。フィンガープリントを、例えば、
異なるディスプレイ手法、ノーザン分析および/またはRT−PCRを利用する
ことによって創製することができる。
【0259】 前記で議論した野生型または突然変異体ミオシリンポリペプチドまたはその対
立遺伝子変異体に対する抗体を病気診断および予後で使用することができる。か
かる診断方法を用いて、ミオシリンポリペプチド発現のレベル、またはミオシリ
ンポリペプチドの構造および/または細胞または細胞下位置の異常を検出するこ
とができる。構造的差異は、例えば、正常ミオシリンポリペプチドに対する突然
変異体ミオシリンポリペプチドのサイズ、電気陰性度、または抗原性の差異を含
むことができる。分析すべき組織または細胞タイプからの蛋白質は、限定される
ものではないがウェスタンブロット分析を含めた当該分野でよく知られた技術を
用いて容易に検出することができ、あるいは単離することができる。ウェスタン
ブロット分析を行うための方法の詳細な説明については、Sambrookら,
1989, 前掲,第18章参照。ここに使用される蛋白質検出および単離方
法は、出典明示して本明細書の一部とみなす例えばHarlowおよびLane
, (Harlow, E.およびLane, D. 1988, 「Anti
bodies: A Laboratory Manual」, Cold S
pring Harbor Laboratory Press, Cold
Spring Harbor, New York)に記載されているもののご
ときであり得る。
【0260】 これは、例えば、顕微鏡、フローサイトメトリー、または蛍光検出とカップリ
ングさせた蛍光標識抗体(後記参照)を使用する免疫蛍光技術によって達成する
ことができる。本発明で有用に抗体(またはその断片)は、加えて、ミオシリン
ポリペプチドのイン・サイチュ検出のために、免疫蛍光または免疫電子顕微鏡に
おけるごとく、組織学的に使用することができる。イン・サイチュ検出は、患者
からの組織学的検体を取り出し、本発明の標識抗体をそれに適用することによっ
て達成することができる。抗体(または断片)は、好ましくは、生物学的試料へ
標識抗体(または断片)を重複することによって適用される。かかる手法の使用
を通じて、ミオシリンポリペプチドの存在のみならず、調べた組織におけるその
分布も測定することが可能である。本発明を用い、当業者であれば、(染色手法
のごとき)非常に種々の組織学的方法のいずれかを修飾してかかるイン・サイチ
ュ検出を達成することができる。
【0261】 しばしば、固相支持体または担体を抗原または抗体を結合することができる支
持体として使用する。よく知られた支持体または担体はガラス、ポリスチレン、
ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然お
よび修飾セルロース、ポリアクリルアミドゲル、ガブロス、およびマグネタイト
を含む。担体の性質は、本発明の目的では、ある程度可溶性であるか、または不
溶性である。支持体物質は、カップリングした分子が抗原または抗体に結合する
ことができる限り、実質的にいずれかの可能な構造立体配座を有することができ
る。かくして、支持体立体配座は、ビーズ、または円筒におけるごとく、テスト
チューブの内部表面、またはロッドの外部表面におけるごとく、球形であり得る
。別法として、表面はシート、テスト片等のごとき平坦であり得る。好ましい支
持体はポリスチレンビーズを含む。当業者であれば、抗体または抗原を結合させ
るための多くの他の適当な担体を知っているか、あるいはルーチン的実験の使用
によってそれを確認できるであろう。
【0262】 抗−ミオシリンポリペプチド特異的抗体を標識する1つの手段は、酵素への連
結および酵素イムノアッセイ(EIA)での使用を介する(Voller, 「
The Enzyme Linkage Immunosorbent Ass
ay (ELISA)」, Diagnostic Horizons 2:1
−7, 1978, Microbiological Associates
Quarterly Publication, Walkersville
, MD;Vollerら, J. Clin. Pathol, 31:50
7−520(1978); Butler, Meth. Enzymol.
73:482−523(1981); Maggio(編) Enzyme I
mmunoassay, CRC Press, Boca Raton, F
L, 1980;Ishikawaら(編) Enzyme Immunoas
say, Kgaku Shoin, Tokyo, 1981)。抗体に結合
した酵素は、例えば、分光法、蛍光法によって、または可視手段によって検出す
ることができる化学的部位を生じるように、適当な基質、好ましくは、色原体基
質と反応するであろう。検出可能に抗体を標識するのに使用できる酵素は、限定
されるものではないが、マレートデヒドロゲナーゼ、スタフィロコッカスヌクレ
アーゼ、デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナー
ゼ、アルファ−グリセロホスフェート、デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イ
ソメラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ
、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、リ
ボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲ
ナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼを含む。検出は、
酵素のための色原体基質を使用する発色方法によって達成することができる。検
出は同様に調製された標準と比較して基質の酵素反応の程度の可視的比較によっ
て達成することができる。
【0263】 また、検出は、種々の他のイムノアッセイのいずれかを用いて達成することが
できる。例えば、抗体または抗体断片を放射標識することによって、ラジオイム
ノアッセイ(RIA)の使用を通じてフィンガープリント遺伝子野生型または突
然変異体ペプチドを検出するのが可能である(例えば、出典明示して本明細書の
一部とみなすWeintraub, B. Principles of Ra
dioimmunoassays, Seventh Training Co
urse on Radioligand Assay Techniques
, The Endocrine Society, 1986, 3月参照)
。放射活性同位体はガンマカウンターまたはシンチレーションカウンターの使用
のごとき手段によって検出することができる。
【0264】 また、抗体を蛍光化合物で標識することもできる。蛍光的に標識された抗体を
適当な波長の光に暴露する場合、その存在は蛍光により検出することができる。
最も通常に使用される蛍光標識化合物の中には、フルオレセインイソチオシアネ
ート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、
o−フタルアルデヒドおよびフルオレスカミンがある。
【0265】 抗体は152Euまたはランタニド系列の他のもののごとき蛍光発光金属を用
いて検出可能に標識することもできる。これらの金属は、ジエチレントリアミン
四酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のごとき金属キ
レート基を用いて抗体に付着させることができる。
【0266】 また、抗体は、それをケミルミネセンス化合物にカップリングさせることによ
って検出可能に標識することができる。次いで、ケミルミネセンス−タグド抗体
の存在は、化学反応の間に生起するルミネセンスの存在を検出することによって
測定することができる。特に有用なケミルミネセンス標識化合物の例はルミナー
ル、イソルミナール、テロマチィックアクリジニウムエステル、イミダゾール、
アクリジニウム塩およびオキサレートエステルである。
【0267】 同様に、バイオルミネセンス化合物を用いて、本発明の抗体を標識することが
できる。バイオルミネセンスは、触媒蛋白質が化学ルミネセンス反応の効率を増
加させる生物学的系で見いだされるケミルミネセンスのタイプである。バイオル
ミネセンス蛋白質の存在は、ルミネセンスの存在を検出することによって測定さ
れる。標識の目的の重要なバイオルミネセンス化合物はルシフェリン、ルシフェ
ラーゼおよびエコリンである。
【0268】 さらに、遺伝子または遺伝子産物または多形変異体における改変を検出するた
めの前記方法のいずれかを用いて治療または療法の進行をモニターすることがで
きる。
【0269】 4.8.2 ファルマコゲノミィックス 単独または緑内障に寄与する他の遺伝的欠陥についての情報と組み合わせて、
個体における欠陥または欠失GLClA遺伝子または蛋白質の結果となる(GL
ClA遺伝子プロフィール)の結果となる、特定の改変または複数改変の知識は
、個体の遺伝子プロフィールに対する緑内障についての治療についてのあつらえ
、「ファルマコゲノミィックス」の目標を可能とする。例えば、GLClA遺伝
子の特異的対立遺伝子を有する対象は緑内障の兆候を呈することができるか、ま
たは呈することができない、あるいは兆候緑内障を発症する素因がある。さらに
、それらの対象が兆候的であれば、それらはある種の薬物、例えば、特異的GL
ClA治療剤に応答することができるかまたはできず、しかしもう1つのものに
は応答できる。かくして、緑内障について兆候的である対象の集団からのGLC
lA遺伝子的プロフィールの創製(例えば、緑内障の発症に関連したGLClA
遺伝子の改変のカテゴリー化)および個体のGLClAプロフィールの集団プロ
フィールに対する個体GLClAプロフィールの比較は、特定の患者または患者
集団(すなわち、同一遺伝子改変を有する患者の群)にとってより安全またはよ
り効果的であるべきである薬物の選択またはデザインを可能とする。
【0270】 例えば、GLClA集団プロフィールは、GLClAプロフィール、例えば、
緑内障を有する患者集団におけるGLClA遺伝子の同一性を測定することによ
って行うことができる。所望により、GLClA集団プロフィールは、さらに、
1)GLClA関連病気に関連した兆候の重症度、2)GLClA遺伝子発現レ
ベル、3)GLClA mRNA、および/または4)GLClA蛋白質レベル
をモニターすることを含めた種々の方法のいずれかを用い、(iii)GLCl
A遺伝子またはGLClA経路遺伝子に存在する特定の遺伝的改変または複数改
変に基づいて集団を分割するまたはカテゴリー分けし、GLClA治療剤に対す
る集団の応答に関する情報を含むことができる。また、GLClA遺伝子集団プ
ロフィールは、所望により、患者が特定の治療剤に応答性または非応答性であり
得る特定の改変を示す。従って、この情報または集団プロフィールは、いずれの
個体がそれらの個々のGLClAプロフィールに基づいて、特定の薬物に応答す
べきかを予測するのに有用である。
【0271】 好ましい具体例において、GLClAプロフィールは、転写または発現レベル
プロフィールであり、工程(i)は、単独または同病気に寄与することが知られ
ている他の遺伝子の発現レベルと組み合わせて、GLClA蛋白質の発現レベル
を測定することよりなる。GLClAプロフィールは病気の種々の段階において
多くの患者で測定することができる。
【0272】 ファルマコゲノミィックス実験は、トランスジェニック動物を用いて行うこと
ができる。例えば、GLClA遺伝子の特異的対立遺伝子変異体を含有する、例
えばここに記載されたトランスジェニックマウスを生産することができる。これ
らのマウスは、例えば、その野生型GLClA遺伝子をヒトGLClA遺伝子の
対立遺伝子で置き換えることによって創製することができる。これらのマウスの
特異的GLClA治療剤に対する応答を測定することができる。
【0273】 4.8.3 臨床試験の間のGLClA治療剤の効果のモニタリング GLClAまたは病気遺伝子プロフィールに基づく、最高臨床利点を示すこと
が予測される標的集団の能力は、1)失望するマーケット結果を持つ市販薬物の
置き換え;2)その臨床的発症が患者亜群特異的である、安全性または効率限定
の結果として中断された薬物の救済、および3)(例えば、マーカーとしてGL
ClAの使用は効果的用量を最適化するのに有用であるので)薬物候補およびよ
り最適に薬物標識についての加速されたおよびより少ない価格の開発を可能とす
る。
【0274】 個体のGLClA治療剤での治療は、ミオシリン蛋白質レベルもしくは活性、
GLClA mRNAレベル、および/または転写レベルのごとき、GLClA
特徴を測定することによってモニターすることができる。この測定は、治療が効
果的であるか否か、あるいはそれが調整されるかまたは最適化することができる
か否かを示す。かくして、GLClAは臨床試験の間の薬物の効率についてのマ
ーカーとして使用することができる。
【0275】 好ましい具体例において、本発明は、(i)剤の投与に先立って、対象から予
備投与試料を得、(ii)予備投与試料におけるミオシリン蛋白質、mRNA、
またはゲノムDNAの発現のレベルを検出し、(iii)対象から1以上の投与
後試料を得、(iv)投与後試料中のミオシリン蛋白質、mRNA、またはゲノ
ムDNAの発現または活性のレベルを検出し、(v)予備投与試料中のミオシリ
ン蛋白質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルを投与後試
料または複数試料中のミオシリン蛋白質、mRNA、またはゲノムDNAと比較
し、(vi)該剤の対象への投与をそれに従って改変する工程を含む剤(例えば
、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティックス、蛋白質、ペプチド、
核酸、小分子、または他の薬物候補、例えば、ここに記載するスクリーニングア
ッセイによって同定された薬物候補)での対象の治療の効果をモニターする方法
を含む。例えば、該剤の増大した投与は、野生型GLClA遺伝子の発現または
野生型ミオシリン蛋白質の発現を検出されるより高いレベルまで増加させるのが
望ましいであろう。別法として、該剤の減少した投与は、突然変異体ミオシリン
遺伝子の発現または突然変異体GLClA蛋白質の発現を検出されるよりも低い
レベルまで減少させるのが望ましいであろう。
【0276】 対象の細胞を、GLClA治療剤の投与の前後に得て、GLClA以外の発現
のレベルを検出し、GLClA治療剤が有害であり得る遺伝子の発現を増加また
は減少しないことを証明することもできる。これは、例えば、転写プロファイリ
ングの方法を用いることによってなすことができる。かくして、イン・ビボでG
LClA治療剤に暴露された細胞からのmRNAおよびGLClA治療剤に暴露
されなかった同一タイプの細胞からのmRNAは逆転写し、多数の遺伝子からの
DNAを含有するチップにハイブリダイズさせ、それにより、GLClA治療剤
で処理したまたは処理しなかった細胞における遺伝子の発現を比較できる。もし
、例えば、GLClA治療剤が個体におけるプロトオンコジーンの発現にスイッ
チを入れるならば、この特定のGLClA治療剤の使用は望ましくないであろう
【0277】 本発明は、さらに、断じて限定するものとは解釈されるべきではない以下の例
によって説明される。(本出願を通じて引用された文献、発行された特許、公開
された特許出願を含めた)全ての引用文献の内容は、明示的に、出典明示して本
明細書の一部とみなす。特記しない限り、本発明の実施は、当業者の技量内にあ
る細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、
組換えDNA、および免疫学の通常の技術を使用する。例えば、Molecul
ar Cloning A Laboratory Manual,第2版,
Sambrook, FritschおよびManiatis (Cold S
pring Harbor Laboratory Press:1989);
DNA Cloning, Volumes IおよびII(D.N.Glov
er編,1985);Oligonucleotide Synthesis
(M. J. Gait編, 1984);Mullisら, 米国特許第4,
683,195号;Nucleic Acid Hybridization
(B.D. Hames & S.J. Higgins編,1984);Tr
anscription And Translation(B.D.Hame
s & S.J. Higgins編,1984);Culture Of A
nimal Cells (R.I.Freshney, Alan R. L
iss, Inc.,1987);Immobilized Cells An
d Enzymes (IRL Press, 1986);B.Perbal
, A Practical Guide To Molecular Clo
ning (1984); the treatise, Methods i
n Enzymology (Academic Press, Inc.,
N.Y.); Gene Transfer Vectors For Mam
malian Cells (J.H.MillerおよびM.P.Calos
編,1987,Cold Spring Harbor Laboratory
);Methods In Enzymology,154巻および155巻(
Wuら編), Immunochemical Methods in Cel
l And Molecular Biology (Mayer and W
alker編,Academic Press, London, 1987)
;Handbook Of Experimental; Immunolog
y, I−IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編,1
986);Manipulating the Mouse Embryo (
Cold Spring harbor Laboratory Press,
Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)。
【0278】 本発明を、さらに、断じて限定的なものと解釈されるべきではない以下の実施
例によって説明する。本出願を通じて引用された(文献、発行された特許、公開
された特許出願、および同時係属特許出願を含めた)全ての引用文献の内容は、
出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0279】 5.1 家族性開放角緑内障の染色体1q21−q31への遺伝連鎖 材料および方法 家系 虹彩角膜角異常なくして若年開始解放角緑内障に罹った5つの連続世代が同定
された家族。該家族は、1800年代の後期の中部西部米国にドイツ国から移住
した婦人の子孫からなる。罹患家族メンバーにおける病気状態は寿命の最初の3
0年の間の開始、正常後室角、高眼内圧力、全身または他の眼異常、および罹患
個体における緑内障を制御する外科手術の必要性を含んだ。緑内障の50%危険
性の合計35家族メンバーは、屈折に関する可視的激烈、スリット−ランプバイ
オ顕微鏡、圧平トモメトリー、ゴニオスコピー、ステレオディスク写真術および
Humphrey, GoldmannまたはOctopus視野測定を含めた
完全な眼調査を有した。2つの他の罹患患者は他の眼科医の記録をレビューする
ことによって確認した。患者は、もし彼らが30mmHgよりも大きな圧力およ
び視覚神経または視野損傷の証拠を書き残しているならば、あるいは彼らが22
mmHgを超える眼内圧力および明白に罹患した子供を有するならば、連鎖につ
き罹患されていると考えられる。罹患家族メンバーは、診断の初期年齢、正常な
出現小柱メッシュワーク、非常に高い眼内圧力(しばしば50mmHgを超える
)、および比較的圧力−抵抗性の視神経によって特徴付けられる。図1は家系の
絵表示である。
【0280】 DNAタイピング 血液試料は、全ての生存する罹患家族メンバーならびに子供を持つ罹患患者の
6人の配偶者から得た。10ml血液をEDTA−含有ガラスチューブにおける
各患者から得た。DNAは非有機抽出手法を用いて血液から調製した(Grim
berg, J.ら, Nucl. Acids. Res. 17, 839
0(1989))。全常染色体ゲノムを横切って分布した短いタンデムリピート
多形(STRPS)は文献またはJ.L.Weberによって親切にも供された
ものから選択した。大部分は[dC−dA]−[dG−dT]ジヌクレオチドリ
ピートであった。各STRPを近接挟むオリゴヌクレオチドプライマーを、標準
的なホスホルアミダイト化学を用いて合成した(Applied Biosys
temsモデル391DNA合成器)。各STRPの増幅は、以下の:1.25
1 10×緩衝液(100mMトリス−HCl pH8.8,500mM KC
l, 15mM MgCl、0.01%w/vゼラチン)、dCTP、dGT
PおよびdTTPの各300M、37M dATP、50ピコモルの各プライマ
ー、0.251−35S−dATP(Amersham>1000Ciミリモル −1 )、および0.25U Taqポリメラーゼ(Perkin−Elmer/
Cetus)のうちの各々を含有する8.35I PCR中の50ngの各患者
のDNAで行った。試料は以下の条件:30秒間の94C、30秒間の55C、
および30秒間の72C下で35サイクルの間、DNAサーモサイクラー(Pe
rkin−Elmer/Cetus)中でインキュベートした。増幅に続き、5
リットルの停止溶液(95%ホルムアミド、10mM NaOH、0.05%ブ
ロモフェノールブルー、0.05%キシレンシアノール)を各試料に添加した。
95Cにおける3分間の変性に続き、各試料は直ちに予め加温したポリアクリル
アミドゲル(6%ポリアクリルアミド、7M尿素)に負荷し、3−4時間電気泳
動に付した。次いで、ゲルをワットマン3mmペーパー上に置き、スラブゲル乾
燥機で乾燥した。オートラジオグラフィーをKodak Xomat ARフイ
ルムを乾燥したゲルに24−36時間暴露することによって創製した。
【0281】 連鎖分析 オートラジオグラフィーからの遺伝子型データをマッキントッシュコンピュー
ターにエンターした。Hypercard−ベースのプログラム(Nichol
s, BEら, Am J Hum Genet 51 A369(1992)
)を用いて、マーカーデータを貯蔵しレビューし、ならびにコンピュータープロ
グラムLINKAGE(バージョン5.1)(Lathrop, GMおよびL
aLouel, JM 359,794−801(1992))を備えた分析用
のDOS−コンパチブルマシーンにそれを輸送した。対立遺伝子頻度は各マーカ
ーで同等であると推定した。MLINKルーチンは対分析で用いた。病気および
2つのマーカー(D1S191およびD1S194)の全ての可能な順序の相対
的オッズはILINKプログラム下で行った。連鎖の有意性は標準的な基準を用
いて評価した(Zmax>3.0)。
【0282】 結果 臨床的知見 37の家族メンバーの全ては既知の罹患親または同胞のため病気を有する50
%危険性であった。これらの患者のうちの19人は、主題開放角緑内障の診断に
合致する上昇した眼内圧力および視野欠陥を有した。3人のさらなる患者は中程
度に上昇した眼内圧力および明白に罹患した子供を有した。
【0283】 連鎖分析 90を超える短いタンデムリピート多形をタイプ分けし、連鎖前の家族を染色
体1の長い腕にマップしたマーカーで検出した。全ての利用可能な家族メンバー
および33の染色体1マーカーを用いる2点最大確率計算はそれらのうちの8つ
に対する有意な連鎖を明らかとした(表2)。D1S212は家族の全ての罹患
メンバーにつき情報的であり、対の連鎖分析は6.5のロッドスコアを生じた(
=0)。多重点連鎖分析はピークにロッドスコアを与えなかった。従って、緑内
障遺伝子座は、D1S191およびD1S194の間のサイズが約20センチモ
ルガン(cM)の領域に位置すると判断された。これらのマーカーの双方は、家
族中の罹患個体における複数組換え体(各々、2および3)を示した。順序D1
S191−緑内障−D1S194は他の2つの可能なオーダーよりも1,000
倍大きいようであった。
【0284】
【表6】 5.2 若年初代開放角緑内障遺伝子座の遺伝微細マッピングおよび緑内障遺 伝子の同定および特徴付け 一旦初代連鎖が同定されたならば、クローニングを位置付けすることによって
いずれかの病気遺伝子を同定するにおける次の工程は、最小の可能な遺伝領域に
対する候補遺伝子座を狭くすることである。実施例5.1に記載された最初の実
験は、初代開放角緑内障遺伝子が染色体1q上のマーカーD1S194およびD
1S191によって近接挟まれたほぼ20cM領域内にある。さらなるマーカー
および家族を得、これを用いて、これらの家族のうちの2つを用い、2.5cM
領域に対して遺伝子座を精錬した。第3の家族は間隔をさらに狭くすることを可
能とする。
【0285】 家族源に加えて、多形DNAマーカーおよび遺伝子マップを用いて、1q緑内
障遺伝子座を精錬した。STRPを用い、各家族の遺伝子型を測定した。以下の
プロトコルを用い、各STRPの増幅を行った: 1)ゲノムDNA(約1g/l)を1/50に希釈した、すなわち、201「
ストック」DNAおよび980 dd HO。
【0286】 2)PCRについての鋳型としての「希薄」DNAの2.51を使用。
【0287】 3)以下のごとくPCR反応ミックスを調製 1.25l×緩衝液(Stratagene) 1.12lの各プライマー(50ピコモルの各プライマー) 0.5l dNTP(5mM C、T&Gおよび0.625mM A「冷」
) 3.5l dd HO 0.25l35S−dATP 0.1l Taqポリメラーゼ 油(1滴) 4)所与のプライマーについての最適条件でPCRを行い(通常94 30秒
、55 30秒および72 30秒)、35サイクルを行う。
【0288】 5)5lの停止溶液(95%ホルムアミド、10mM NaOH、0.05%
ブロモフェノールブルー、0.05%キシレンシアノール)を各チューブに添加
する。
【0289】 6)95Cにおいて3分間試料を変性し、予め加温したポリアクリルアミドゲ
ルに直ちに負荷した。
【0290】 7)ワットマンペーパー上でゲルを乾燥し、1〜2日間オートラジオグラフィ
ーフイルムに暴露した。
【0291】 可能な場合、ゲル上の異なるSTRPの多重負荷を行った。ゲル当たり6まで
のマーカーが成功して負荷された。加えて、PCR増幅(3マーカーまで)が成
功して増幅された。若年緑内障遺伝子は調べた家族内の観察された組換えに基づ
いてAFM238およびAT3(8センチモルガン間隔)の間に存在すると考え
られる。家族間のハプロタイプ分析は、さらに、この間隔をD1S210および
AT3の間の2センチメーター間隔まで狭くした。
【0292】 遺伝子間隔は有意に狭くなったので、物理的マッピング戦略を用いることがで
きる。注目する領域へのYACマッピングを同定するための全ヒトゲノム酵母人
工染色体(YAC)ライブラリーをスクリーニングする最も親密なフランキング
マーカー。CEPHおよびCEPHメガ−YACライブラリーはこの目的で使用
することができる(Centre d’Etude du Polymorph
isme Humain(CEPH)パリ、フランス国)。CEPHメガ−YA
Cライブラリーにおけるクローンの44%は560kbの平均サイズを有し、さ
らなる21%は800kbの平均サイズを有し、35%は120kbの平均サイ
ズを有する。このライブラリーは格子付マイクロ滴定プレートフォーマットで得
られるので、50−200PCR反応が、STSを含有するユニークなYACを
同定するのに特異的配列タグド部位(STS)を用いて行う必要がある。CEP
Hによって同定されたYAC contigを用いて、1q候補領域を横切るc
ontigの構築を開始した(図11参照)。YAC末端を用いるYACcon
tigを構築して、さらなるYACを同定した。YAC末端はアンカードPCR
を用いて救済でき(Riley, J.ら(1990) Nucleic Ac
ids Res. 18:2887−2890)、次いで、末端を配列決定し、
該配列を用いて配列タグド部位(STS)を開発することができる。該STSを
用いてYACライリブラリーを再スクリーニングして重複する隣接YACを得る
ことができる。
【0293】 いくつかのYACはキメラである、または欠失または再配置、特にメガYAC
ライブラリーからのものを含有することが示されているので、各YAC con
tigの正確性は領域のパルスフィールドマップを構築することによって証明す
ることができる。加えて、キメラYACは、YACが蛍光イン・サイチュハイブ
リダイゼーション(FISH)によって単一染色体にマップされ、2つのYAC
末端がモノ染色体細胞ハイブリッドを用いて同一染色体にマップされることを保
証することによって最小化される(NIGM パネル2)。加えて、YACキメ
ラの問題は、所与の染色体セグメントにわたるいずれかの単一YACに頼ること
によらず、むしろ少なくとも2つの独立したYACを得て所与の領域の被覆を保
証することによって最小化することができる。
【0294】 一旦候補領域にわたるYAC contigが単離されれば、この領域を用い
て、潜在的により微細な遺伝子マッピングのためのさらなる遺伝子マーカーを創
製することができる。加えて、YACを用いて、領域特異的ラムダおよびコスミ
ドクローンのごときより高い分解物理的マッピング試薬を作成することができる
。ラムダおよびコスミドクローンは、候補遺伝子の単離で用いることができる。
エクソン増幅(Buckler, A.J.(1991) Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 88:4005−4009)として知ら
れている「エクソントラッピング」(Duyk, G.M. (1990) P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8995−89
99)は、領域内の遺伝子からのエクソンを同定するのに使用することができる
。候補領域から補足されたエクソンは、cDNAを単離するためにcDNAライ
ブラリーをスクリーニングするためのプローブとして用いることができる。必要
であれば、コスミドにサブクローンされたYAC断片でのcDNAライブラリー
のスクリーニング、ズーブロット分析、ビオチン−ストレプトアビジンタグドコ
スミドクローンでのcDNAの直接的選択のごとき同時クローニング戦略(Mo
rgan, J.G.ら(1992) Nucleic Acid res.
20(19):5173−5179)、およびHTFアイランド分析(Bird
, A.P.(1987) Trends Genet 3:342−247)
を含めた他の戦略を利用して、ゲノムDNAを同定することができる。有望な遺
伝子は、さらに、GC−クランプト変性グラジエントゲル電気泳動(Sheff
ield, V.C.ら(1989) Genomics 16:325−33
2)、一本鎖立体配座多形(SSCP)分析(Orita,M.ら(1989)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2766−
2770)および直接的配列決定を用いて突然変異をサーチすることによって評
価することができる。
【0295】 5.3 緑内障に対する病気素因を有する対象を同定するのに使用されるプラ イマー対 緑内障を引き起こす突然変異を保有するヒトゲノムDNAからの190塩基対
配列を増幅するためのポリメラーゼ鎖反応と組み合わせて2つのプライマー対(
表7におけるプライマー1および2)を同定した。
【0296】
【表7】 これらのプライマー対を用いて、緑内障を持つ410人の患者および81人の
正常個体をスクリーニングした。4アミノ酸改変配列変化を12人の全緑内障患
者で検出した(2.9%)。アミノ酸改変配列変化は正常個体では観察されなか
った。
【0297】 これらのプライマー対によって増幅されたDNAのセグメントにおける突然変
異の優性性は、適当な検出方法と組み合わせたこれらのプライマーの使用を用い
て、米国単独におけるほぼ100,000患者で緑内障に対する病気素因を同定
することができる。
【0298】 5.4 さらなるプライマー対および緑内障に対する病気素因を有する対象を 同定するためのその使用 該実験はUniversity of IowaのHuman Subjec
ts Review Committeeによって認可され、知らされた内容は 全ての実験参加者から得られた。初代開放角緑内障は、21mmHgを超える眼
内圧力の存在ならびに緑内障視神経頭部損傷の証拠として定義される。視神経頭
部損傷単独は、もし視神経頭部カップの記載された拡大があれば許容された。そ
うでなければ、薄い神経リムおよび特徴的視神経関連視野を持つ大きな視神経頭
部カップ双方が要求された。もし患者が緑内障の診断に先立って目の外科手術の
履歴または脱皮または色素分布のごとき、二次緑内障の証拠を有すれば、彼らは
排除された。正常ボランティアは40歳の年齢を超え、20mmHg下の眼内圧
力を有し、緑内障の家族または個人履歴を有しなかった。一次開放角緑内障(P
OAG)に罹患した716人の無関係患者および91人のボランティアを、GL
ClA遺伝子のコーディング配列における突然変異につきスクリーニングした。
これは、一本鎖立体配座多形分析(SSCP)として知られている電気泳動手法
で達成された。GLClAアッセイで使用されたオリゴヌクレオチドプライマー
の配列は表8に示す。
【0299】
【表8】 突然変異は自動DNA配列決定で確認した。患者の227人(32%)は緑内
障の陽性家族履歴のため確認され、他方、402人(56%)は単一緑内障クリ
ニックで連続的に確認された(the University of Iowa
)。総じて、患者の563人はIowa、オーストラリアでの97人および米国
の他の場所からの残りで確認された。正常ボランティアの全てはIowaで収集
された。各群における患者の75%を超えて白人であった。GLClA遺伝子の
一部は、これらの同一緑内障患者の330人および全ての91人の正常ボランテ
ィアにおいて突然変異で従前に評価されている(前記参照)。しかしながら、こ
の研究では、全コーディング配列を評価した。未知の緑内障状態を持つさらなる
505人の無関係対照個体は配列変化につき評価した。これらの対照患者の38
0人はエクソン3の一部における突然変異につき従前にスクリーニングされた。
これらの一般的集団対照の184人はIowaおよびおよびオーストラリアの1
3でコメクトされた。GLClA配列変化を保有することが見いだされたプロバ
ンドの家族メンバーは突然変異につき評価した。全ての分子的に罹患した家族メ
ンバーの医療記録を調べまたはレビューする努力がなされた。開始の年齢および
最高の記録された眼内圧力はKruskal−Wallis非パラメーター偏差
分析で評価された6つの異なる突然変異と関連付けられた。全てのp値は両側の
ものであった。4つの最大家族において、GLClA突然変異および病気表現型
の共分離は前記したごとくLODスコア方法で評価した。
【0300】 5.5 ヒトおよびマウスGLClAのクローニングおよび配列決定および発 現のノーザンブロット分析 BACスクリーニング。ヒトGLClA遺伝子を含有するBACクローンは、
PCR−ベースのアッセイにて、ヒトBACライブラリープールをスクリーニン
グすることによって同定された(Research Genetics, Hu
ntsville, AL)。1マイクロリットルのBACプールDNAを、1
.25μlの10×緩衝液(100mMトリス−HCl、pH8.3、500m
M Kcl、15 mM MgCl2);デオキシヌクレオチドdCTP、dA
TP、dTTP、およびdGTP(各々300μM);1ピコモルの各プライマ
ー;および0.25ユニットのTaqポリメラーゼ(Boehinger Ma
nnheim, Indianapolis, IN)を含有する8.35μl
PCR反応における鋳型として用いた。スクリーニングアッセイで使用したプ
ライマーはGLClAのエクソン3に特異的であった(FWD:5’ATACT
GCCTAGGCCACTGGA3’(配列番号34)およびREV:5’CA
ATGTCCGTGTAGCCACC3’(配列番号35))。試料を94℃で
5分間変性し、DNAサーモサイクラー(Omnigene, Tedding
ton, Middlesex, UK)にて94℃30秒、55℃30秒、7
2℃30秒インキュベートした。増幅後、5μlの停止溶液(95%ホルムアミ
ド、10mM NaOh、0.5% ブロモフェニルブルー、0.05%キシレ
ンシアノール)を添加した。増幅産物を、50Wでほぼ2時間、6%ポリアクリ
ルアミドゲル−5%グリセロールゲル上の電気泳動に付した。電気泳動後、ゲル
を硝酸銀(Bassam 1991)で染色した。マウスGLClAオルソログ
を含有するBACを、マウス129BACライブラリープール(Researc
h Genetics, Huntsville AL)をスクリーニングする
ことによって同定した。前記したごとく、ヒトGLClA遺伝子のエクソン3に
特異的なプライマー(FWD:5’TGGCTACCACGGACAGTTC3
’(配列番号36)およびREV:5’CATTGGCCACTGACTGCT
TA3’(配列番号37)を一次PCR−ベースのスクリーニングで使用した。
一次スクリーニングはマウスGLClA遺伝子を含有するBACのサブプールを
同定した。サブプールにおいてBACでブロットしたフィルター(Resear
ch Genetics, Huntsville , AL)は、Geniu
s Systemハイブリダイゼーションキット(Boehringer Ma
nnheim, インジアナポリス,IN)を用い、ジゴキシゲニンプローブで
のハイブリダイゼーションによってスクリーニングした。ハイブリダイゼーショ
ンのためのジゴキシゲニン標識プローブは、3.75μlの10×緩衝液、1.
5μlの標識dNTP混合物(1mM dATP、1mM dCTP、1mM
dGTP 0.65 mM dTTP、および0.35mMのジゴキシゲニンコ
ンジュゲーテッドdUTP);各7.6ピコモルのFWDおよびREVプライマ
ー;および1.25ユニットのTaqポリメラーゼ(Boehringer M
annheim,インジアナポリス、IN)を含有する25μl反応中のマウス
129DNAの50ngを増幅するPCRによって創製した。PCR条件は前記
した通りであった。ハイブリダイゼーションは製造業者によって推奨されたごと
きであった。
【0301】 鋳型としてヒトおよびマウスゲノムDNA双方を用いる場合、ヒトGLClA cDNA配列を用いて、同一サイズの増幅産物を生じたPCRプライマーを選
択した。増幅産物を配列決定して、それらがヒトGLClA遺伝子およびこの遺
伝子のマウスオルソログからのものであることを確認した。次いで、PCR産物
を用いて、ヒトおよびマウスBACライブラリーをスクリーニングした。GLC
lA遺伝子を含有するヒトおよびマウスBAC双方を同定し、プラスミドにサブ
クローン化し、各GLClA遺伝子をカバーするいくつかのクローンを同定した
。これらのサブクローンを用いて、ヒトおよびマウスゲノムGLClA配列を創
製した。
【0302】 サブクローニング。GLClA遺伝子を含有するマウスおよびヒトBACをE
coRl、Aval、Accl、またはBamHlで消化し、pT7−ブルー(
Novagen, Milwaukee,WI)またはpUC19いずれかに連
結した。
【0303】 配列決定。PCR産物およびBACサブクローンを、Applied Bio
systems (ABI)モデル373または377自動シーケンサーにて蛍
光ジデオキシヌクレオチドで配列決定した。
【0304】 GLClA CAリピート多形。GLClA遺伝子の上流のCAリピート多形
をプライマー5’−TTCCTTCAGGTTGGGAGATG−3’(配列番
号42)および5’−GAGAGCACCAGGAGATGGAG−3’)配列
番号43)でPCR増幅した。PCR反応条件はBACスクリーニングセクショ
ンに記載した通りである。上流多形についての対立遺伝子頻度は対立遺伝子1、
1.1%、対立遺伝子2、2.2%、対立遺伝子3、48.9%、対立遺伝子4
、1.1%、対立遺伝子5、21.1%、対立遺伝子6、25.6%である。下
流多形についての対立遺伝子多形は対立遺伝子1、25.3%、対立遺伝子2、
13%、対立遺伝子3、60.3%、対立遺伝子4、1.4%である。
【0305】 配列比較。DNA配列を整列させ、Sequencher DNA分析パッケ
ージ(DNA Codes, Ann Arbor, MI)を用いて、con
tigを形成させた。インターネット源TESS(http://agave.
humgen.upenn.edu.utess/)および転写因子結合部位デ
ータセットTRANSFACv3.2を用いて推定エンハンサーおよびプロモー
ターエレメントを同定した。予測された蛋白質配列を、PROSITE,Tmp
red,NetOgly,および http:expasy.hcuge.chsprot/prosite.h
tml; http://ulrec3.unil.ch/software/TMPR
D_form.html; http://genome.cbs.dtu.dk/services/n
etOGLYC/; http:/www.cbs.du.dk/services/Signal
P/. のインターネットで入手可能なSignalPソフトウェアパッケージで分析し
た。GLClA遺伝子の発現のためのデータベースサーチは、http://w
ww.ncbi.nlm.nih.gov/cgi−bin/BLAST/np
h−blast?Jform=0で入手可能なプログラムBLASTおよびデー
タベースdbestおよびNRを用いた。
【0306】 ノーザンブロット分析。ヒト多重組織ノーザン(MIN)ブロット(Clon
tech, San Francisco, CA)を全ヒトGLClA cD
NA配列で、または終止部位に対するコドン315に対応するヒトGLClA遺
伝子のエクソン3のセクションでプローブした。Ready−To−Go DN
A標識ビーズ(−dCTP)(Pharmacia Biotech, Pis
cataway,NJ)を用いる32P−(dCTP)で標識した。ハイブリダ
イゼーションは50%ホルムアミド、5×標準セーラインクエン酸塩(5×SS
C:0.75M塩化ナトリウム、0.075M酢酸ナトリウム)、1×デンハル
トの溶液、20mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)、1%ドデシル硫酸ナトリウ
ム(SDS)、100μg/mlサケ精子DNA、および10%デキストラン硫
酸中、42℃における16時間であった。ハイブリダイゼーションに続き、ブロ
ットを1×SSC中室温で2回洗浄し、65℃にて1×SSC/1%SDS中で
2回すすぎ、0.1×SSC、0.1%SDS中で1回洗浄して、ハイブリダイ
ゼーションの特異性を確認した。Dupont Cronex Lightni
ng Plus増感スクリーンで−70℃にてKodak XAR−5フイルム
(DuPont, Wilmington,DE)でオートラジオグラフィーを
行った。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、エクソン1およびフランキングプロモーターおよびイントロン1配列
を 示す。
【図2】 図2は、図1の続きである。
【図3】 図3は、図2の続きである。
【図4】 図4は、図3の続きである。
【図5】 図5は、図4の続きである。
【図6】 図6は、エクソン2およびフランキングイントロン1およびイントロン2配列
を 示す。
【図7】 図7は、エクソン3およびフランキングイントロン2および下流配列を示す。
【図8】 図8は、図7の続きである。
【図9】 図9は、図8の続きである。
【図10】 図10はヒトおよびマウス・ミオシリン蛋白質の間で保存された推定モチーフ
の模式的表示である。
【図11】 図11はマウスおよびヒトGLClA遺伝子によって予測された蛋白質の整列
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シェフィールド,ヴァル シー アメリカ合衆国 アイオワ州 52240 コ ーラルヴィル エヌイー オーク パーク プレイス 13 (72)発明者 オルワード,ウォレイス エル エム アメリカ合衆国 アイオワ州 52245 ア イオワ シティー リッジウェイ ドライ ヴ 2015 (72)発明者 フィンガート,ジョン アメリカ合衆国 アイオワ州 52246 ア イオワ シティー ウェットウィンズ ド ライヴ 481 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 CA01 CA03 CA04 CA09 CA12 CA20 HA13 HA14 4B063 QA01 QA13 QA17 QA19 QQ42 QQ43 QQ53 QR08 QR32 QR40 QR42 QR56 QR62 QR83 QS16 QS25 QS34 QX02 QX07

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号16、17、18、19、20、21、22、23
    、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35
    、36、37、38、39、40、41、42または43のいずれかに記載され
    た核酸分子または核酸分子の相補体を含む単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 配列番号16および17、配列番号18および19、配列番
    号20および21、配列番号22および23、配列番号24および25、配列番
    号26および27、配列番号28および29、配列番号30および31、配列番
    号32および33、配列番号34および35、配列番号36および37、配列番
    号38および39、配列番号40および41、配列番号42および43よりなる
    群から選択されるプライマー対でGLC1A遺伝子を増幅させることによって得
    られた核酸分子または核酸分子の相補体を含む単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 図1〜5のエクソン1内に出現するかまたはエクソン1内に
    出現する核酸分子の相補体であることを特徴とする請求項2記載の単離された核
    酸分子。
  4. 【請求項4】 図6のエクソン2内に出現するかまたはエクソン2内に出現
    する核酸分子の相補体であることを特徴とする請求項2記載の単離された核酸分
    子。
  5. 【請求項5】 図7〜9のエクソン3内に出現するかまたはエクソン3内に
    出現する核酸分子の相補体であることを特徴とする請求項2記載の単離された核
    酸分子。
  6. 【請求項6】 前記プライマー対が配列番号16および17;配列番号18
    および19;配列番号20および21、配列番号22および23、配列番号24
    および25、配列番号26および27よりなる群から選択されるメンバーを含む
    ことを特徴とする請求項3記載の単離された核酸。
  7. 【請求項7】 前記プライマー対が配列番号28および29を含むことを特
    徴とする請求項4記載の単離された核酸。
  8. 【請求項8】 前記プライマー対が配列番号30および31、配列番号32
    および33、配列番号34および35、配列番号36および37、配列番号38
    および39、配列番号40および41を含むことを特徴とする請求項5記載の単
    離された核酸。
  9. 【請求項9】 GLC1A遺伝子の上流にあって、配列番号42および43
    によって増幅されたことを特徴とする請求項2記載の核酸分子。
  10. 【請求項10】 対象が一次解放角緑内障を有するかまたはそれを発症する
    可能性を有するかを決定する方法であって; a)対象からゲノムDNAまたはその相補体を含有する生物学的試料を得; b)配列番号16および17、配列番号18および19、配列番号20およ
    び21、配列番号22および23、配列番号24および25、配列番号26およ
    び27、配列番号28および29、配列番号30および31、配列番号32およ
    び33、配列番号34および35、配列番号36および37、配列番号38およ
    び39、配列番号40および41、配列番号42および43よりなる群から選択
    されるプライマー対を用いてゲノムDNAに対する増幅を行い、それにより、増
    幅産物が得られ;次いで、 c)突然変異の存在につき増幅産物を分析し、ここに突然変異の存在が、対
    象が一次解放角緑内障を有するかまたはそれを発症する可能性を有するかを示す
    各工程を含むことを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 工程c)において、一本鎖立体配座多形(SSCP)分析
    を用いて増幅産物を分析することを特徴とする請求項10記載のスクリーニング
    方法。
  12. 【請求項12】 工程c)において、配列決定によって増幅産物を決定する
    ことを特徴とする請求項10記載のスクリーニング方法。
  13. 【請求項13】 a)配列番号16および17、配列番号18および19、
    配列番号20および21、配列番号22および23、配列番号24および25、
    配列番号26および27、配列番号28および29、配列番号30および31、
    配列番号32および33、配列番号34および35、配列番号36および37、
    配列番号38および39、配列番号40および41、配列番号42および43よ
    りなる群から選択されるプライマー対;および b)増幅を行うためのプライマー対の使用についての指示書; を含むことを特徴とする一次解放角緑内障を有する対象を診断するためのキット
JP2000542490A 1998-04-07 1999-04-07 緑内障の治療剤および診断剤 Withdrawn JP2002510508A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/056,285 1998-04-07
US09/056,285 US6403307B1 (en) 1997-03-21 1998-04-07 Glaucoma therapeutics and diagnostics
PCT/US1999/007671 WO1999051779A2 (en) 1998-04-07 1999-04-07 Glaucoma therapeutics and diagnostics

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002510508A true JP2002510508A (ja) 2002-04-09

Family

ID=22003412

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000542490A Withdrawn JP2002510508A (ja) 1998-04-07 1999-04-07 緑内障の治療剤および診断剤

Country Status (6)

Country Link
US (1) US6403307B1 (ja)
EP (1) EP1070143A2 (ja)
JP (1) JP2002510508A (ja)
AU (1) AU3479899A (ja)
CA (1) CA2324378A1 (ja)
WO (1) WO1999051779A2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7138511B1 (en) 1997-01-28 2006-11-21 The Regents Of The University Of California Nucleic acids, kits and methods for the diagnosis, prognosis and treatment of glaucoma and related disorders
US6475724B1 (en) * 1997-01-28 2002-11-05 The Regents Of The University Of California Nucleic acids, kits, and methods for the diagnosis, prognosis and treatment of glaucoma and related disorders
KR20020063242A (ko) 1999-12-20 2002-08-01 엑손 케미칼 패턴츠 인코포레이티드 지지된 이온 촉매를 이용한 폴리올레핀 수지의 제조 방법
JP2002306165A (ja) * 2000-05-17 2002-10-22 Tsubota:Kk 正常眼圧緑内障を含む開放隅角緑内障の関連遺伝子
US20030119000A1 (en) * 2001-11-05 2003-06-26 Jon Polansky Methods to screen and treat individuals with glaucoma or the propensity to develop glaucoma
US6727354B2 (en) * 2001-12-12 2004-04-27 Quest Diagnostics Investments, Inc. Compositions and methods for TIGR genotyping assays
EP1491627B1 (en) * 2002-03-29 2006-09-27 Sysmex Corporation Gene examination method for judging the onset risk of glaucoma
WO2005117938A2 (en) * 2004-04-13 2005-12-15 Regents Of The University Of Minnesota Methods of treating ocular conditions
RU2582956C2 (ru) * 2014-02-27 2016-04-27 Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Институт биохимии и генетики Уфимского научного центра Российской академии наук (ИБГ УНЦ РАН) СПОСОБ ВЫЯВЛЕНИЯ МУТАЦИИ p.Q368X В ГЕНЕ МИОЦИЛИНА (MYOC), ВЫЗЫВАЮЩЕЙ РАЗВИТИЕ ПЕРВИЧНОЙ ОТКРЫТОУГОЛЬНОЙ ГЛАУКОМЫ

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5606043A (en) 1994-11-03 1997-02-25 The Regents Of The University Of California Methods for the diagnosis of glaucoma
FR2733251B1 (fr) 1995-04-18 1997-07-04 Inst Nat Sante Rech Med Depistage du glaucome juvenile
WO1998020131A1 (en) 1996-11-08 1998-05-14 University Of Iowa Research Foundation Glaucoma-associated protein and corresponding nucleic acid and their therapeutic and diagnostic uses
US6171788B1 (en) 1997-01-28 2001-01-09 The Regents Of The University Of California Methods for the diagnosis, prognosis and treatment of glaucoma and related disorders

Also Published As

Publication number Publication date
EP1070143A2 (en) 2001-01-24
CA2324378A1 (en) 1999-10-14
WO1999051779A9 (en) 2000-02-17
US6403307B1 (en) 2002-06-11
AU3479899A (en) 1999-10-25
WO1999051779A3 (en) 1999-12-29
WO1999051779A2 (en) 1999-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5800998A (en) Assays for diagnosing type II diabetes in a subject
US5885776A (en) Glaucoma compositions and therapeutic and diagnositic uses therefor
JP2010004892A (ja) 新規なヒトデルタ3組成物ならびにそれらの治療および診断への使用方法
JP2001521382A (ja) 新規なヒトデルタ3組成物ならびにそれらの治療および診断への使用方法
US6143491A (en) Therapeutic compositions and methods and diagnostic assays for type II diabetes involving HNF-1
US6399760B1 (en) RP compositions and therapeutic and diagnostic uses therefor
US6833239B1 (en) Methods to identify modulators of FKHL7 DNA-binding activity
US6593104B1 (en) Macular degeneration diagnostics and therapeutics
US6403307B1 (en) Glaucoma therapeutics and diagnostics
US6518411B1 (en) RGS compositions and therapeutic and diagnostic uses therefor
AU5436498A (en) Glaucoma-associated protein and corresponding nucleic acid and their therapeut ic and diagnostic uses
WO1998046748A1 (en) Therapeutic compositions and diagnostic assays for diseases involving trbp
AU766890B2 (en) Glaucoma therapeutics and diagnostics based on a novel human transcription factor
US20030022170A1 (en) Novel fibroblast growth factors and therapeutic and diagnostic uses therefor
US6956103B2 (en) Glaucoma therapeutics and diagnostics
US6271026B1 (en) Glaucoma compositions
US20050123960A1 (en) Glaucoma therapeutics and diagnostics
WO1998021363A1 (en) Compositions and methods for treating type ii diabetes involving hnf-4
US6306586B1 (en) Methods and compositions for the diagnosis and treatment of cataracts
CA2386177A1 (en) Oculomedin and glaucoma
AU3556402A (en) Glaucoma-associated protein and corresponding nucleic acid and their therapeutic and diagnostic uses
WO1998040495A1 (en) Doublin, a gene involved in neuronal development and uses therefor

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060704