JP2007299901A - 電解コンデンサ用電極箔の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用電極箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エッチング後の後処理工程においてエッチド箔表面に緻密で良質な水和皮膜を安定して形成することにより、静電容量の向上およびそのばらつきの圧縮を図ることのできるアルミニウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム箔に対するエッチング工程、脱塩素処理工程および後処理工程を有する電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法において、後処理工程では、水と有機溶剤との混合液中での浸漬処理を行ない、エッチド箔表面に緻密で良質な水和皮膜を安定して形成する。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類を用いることができ、その配合比は1.0〜90.0wt%が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、電解コンデンサ用電極箔の製造方法に関し、特に、低圧の陽極用アルミニウム箔の製造方法に関するものである。
従来、電解コンデンサ用電極箔は、塩化物を主として硫酸、リン酸、硝酸等を含む水溶液中でアルミニウム箔を化学的または/および電気化学的にエッチングすることによって粗面化してエッチング箔を得た後、これに残存する塩素イオン等の陰イオンを脱塩素処理工程のケミカル洗浄処理により除去している。そして、化成処理により酸化皮膜を形成する(例えば、非特許文献1参照)。
また、ケミカル洗浄処理を行った後、化成工程の前に、後処理工程として、エッチング箔を温水に浸漬して水和処理を行う場合もある。
ここで、エッチング後の水和処理は、アルミニウム箔の表面に水和皮膜(水酸化皮膜)を形成することにより化成の際の陽極酸化皮膜の膜質を向上させることを目的とするものである。通常はアルミニウム箔を高温の純水中に浸漬することにより行われている。
永田伊佐也著「電解液陰極アルミニウム電解コンデンサ」日本蓄電器工業株式会社出版、1997年2月24日、第2版第1刷、P262〜265
近年、アルミニウム電解コンデンサの小形化に伴い、単位面積当りの静電容量を増大させる必要があり、そのためエッチング後の水和処理において、より緻密で良質な水和皮膜を形成することが重要である。
しかしながら、従来の水和処理法では静電容量の増大に対応できる良質な水和皮膜を安定して形成することができないという問題点がある。すなわち、アルミニウムは水と極めて反応しやすいため、アルミニウム箔を高温の純水中に浸漬する方法では、浸漬温度や浸漬時間の管理だけでは、緻密で良質な水和皮膜を好適な厚さに形成することができないのである。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、エッチング後の後処理工程においてエッチング箔表面に緻密で良質な水和皮膜を安定して形成することにより、静電容量の向上およびそのばらつきの圧縮を図ることのできる電解コンデンサ用電極箔の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、アルミニウム箔に対するエッチング工程、脱塩素処理工程および後処理工程を有する電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法において、前記の後処理工程では、水と有機溶剤との混合液中での浸漬処理を行うことを特徴とする。
本発明において、前記有機溶媒は、アルコール類、ケトン類、エーテル類、およびエステル類のうちの少なくとも一種である。
上記有機溶媒のうち、アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン等を挙げることができ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等を挙げることができ、エーテル類としては、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等を挙げることができ、エステル類としては、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
本発明において、前記混合液における前記有機溶剤の配合比は、1.0〜90.0wt%であることが好ましい。
上記の範囲よりも有機溶剤の配合比が低い場合には、水和反応が強くなり、エッチングピットが水和皮膜で埋まってしまうため、静電容量が低下する。また、有機溶剤の配合比が上記範囲よりも高い場合には、水和反応が十分、進行せず、静電容量を増加させる効果を得ることができなくなる。
本発明では、後処理工程においてエッチング箔に水和皮膜を形成する際、エッチング箔を水と有機溶媒との混合液に浸漬する。この時、浸漬液中の水の比率が低いので、水和反応の速度を適正に抑えることができ、緻密で良質な水和皮膜を好適な厚さに形成することができる。また、本発明によれば、水和皮膜の膜質や厚さのばらつきを抑えることもできるので、電解コンデンサ用電極箔の静電容量値のばらつきを抑えることができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
[実施例1−1〜1−6]
本発明の実施例1−1〜1−6では、まず、純度99.96%、厚さ50μmのアルミニウム箔の硬質材を、塩酸を7.0wt%、硫酸を0.05wt%、塩化アルミニウムを2.0wt%含む電解液中で温度40℃にて交流電解エッチングを行い、エッチング箔を作製した。交流電流としては、周波数が20Hzの正弦波で、電流密度を280mA/cm2に設定した(エッチング工程)。
次に、温度が60℃の10.0wt%硝酸水溶液で脱塩素処理を2分間行い、エッチング箔から塩素イオン等を除去した(脱塩素処理工程)。
次に、後処理工程として、表1に示す純水とエタノールとの混合液(後処理液)中にエッチング箔を1分間浸漬して水和処理を行った。後処理液の温度は60℃とした。
また、従来例として、純水100%(エタノール0%)の後処理液を使用したものについても同様の処理を行った。
次に、上記のエッチング箔に対して温度が300℃の雰囲気中で10分間の熱処理を行った。このような工程を行った試料5枚を、温度が85℃のアジピン酸アンモニウム8.0wt%の水溶液中で、エッチング箔に化成電圧20Vを印加して定電流化成を行った後、静電容量値を測定し、平均値を算出した。その結果を表1に示す。なお、表1において、静電容量比とは、従来例に対する静電容量比(%)である。
Figure 2007299901
[実施例2−1〜2−6]
次に、表2に示す純水とアセトンとの混合液(後処理液)を使用し、上記実施例1−1〜1−6と同様にして、静電容量値を測定し、静電容量比を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 2007299901
[実施例3−1〜3−6]
次に、表3に示す純水と酢酸エチルとの混合液(後処理液)を使用し、上記実施例1−1〜1−6と同様にして、静電容量値を測定し、静電容量比を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 2007299901
[実施例4〜12]
次に、表4に示す非水溶媒種を、メタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、メチルエチルケトン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトンとしても、純水と混合して10.0wt%の後処理液として用いた以外は、上記実施例と同様にして静電容量値を測定し、静電容量比を算出した。その結果を表4に示す。
Figure 2007299901
(評価結果)
表1〜3から分かるように、有機溶剤の濃度を1.0〜90.0wt%としたときに、静電容量の向上効果が見られ、また、静電容量のばらつきが抑制されるという結果が得られた。
これに対して、有機溶剤の濃度を0.5wt%、または95.0wt%としたときは、静電容量のばらつきは抑制できるものの、静電容量は従来例と同等であった。
また、表4から分かるように、非水溶媒をエタノールに代えてメタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、メチルエチルケトン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトンを用いても実施例1−3と同様な結果が得られた。
よって、後処理工程で用いる処理液としては、有機溶剤の配合比が1.0〜90.0wt%であることが好ましい。
この範囲よりも配合比が低い場合には、水和反応が強くなりエッチングピットが水和皮膜で埋まってしまう結果、静電容量が低下する。また、上記範囲よりも高い場合には、水和反応が十分、進行せず、静電容量を増加させる効果を得ることができなくなる問題がある。

Claims (3)

  1. アルミニウム箔に対するエッチング工程、脱塩素処理工程および後処理工程を有する電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法において、
    前記後処理工程では、水と有機溶剤との混合液中での浸漬処理を行うことを特徴とする電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法。
  2. 前記有機溶媒は、アルコール類、ケトン類、エーテル類、およびエステル類のうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法。
  3. 前記混合液における前記有機溶剤の配合比が1.0〜90.0wt%であることを特徴とする請求項1または2に記載の電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法。
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