以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
本発明は、印刷製本システムにおいて、印刷時間の短縮等を目的として、複数ジョブを1枚の用紙にレイアウトして出力する場合に、自動的に断裁工程までの処理時間が最小になるような設定を選択することで、時間の短縮を可能とする構成について説明する。
また、ギャングジョブ印刷において、複数のジョブから成る様々なレイアウトの組み合わせの中から、決められた印刷コスト内で、断裁工程までの処理時間が最小になるような設定を容易に選択することが可能とする構成について説明する。
また、用紙上のトンボ線(断裁線)に断裁手順(断裁順番号)を印刷することで、断裁処理を行うオペレータの断裁ミスを軽減することを可能とする構成について説明する。
まず、本発明の各実施形態を説明するにあたり、各実施形態で前提となる基本構成について説明する。
[システム全体の構成]
図1は印刷製本システム全体の基本構成の一例を示すブロック図である。
本ブロック図は、1つまたは複数のエンドユーザ環境と、インターネットを介して接続されているPOD(Print On Demand)サイト環境から成っている。エンドユーザ環境は、プリントの発注依頼を行う発注者が存在する。そして、それぞれのエンドユーザ環境(ここでは、エンドユーザ環境A及びエンドユーザ環境B)からそれぞれのクライアントPCを利用して、プリントジョブの依頼を始めとして、ジョブのステータス確認などができる。
一方、PODサイト環境においては、工程管理部、プリプレス部、ディジタルプリント部、そしてポストプレス部の4つの工程から成り立っている。これらは、ネットワークを介して接続されている。
工程管理部は、PODサイト環境における工程管理部、プリプレス部、ディジタルプリント部、ポストプレス部の各工程に対して作業を指示し、コンピュータや各種デバイスにより構成される本システムのワークフローを一元管理する部分である。この工程管理部は、エンドユーザからジョブを受信したり、エンドユーザからのジョブを保管したりする。更には、この工程管理部は、エンドユーザからのジョブの指定に基づいて、各工程における作業をワークフローとして組み立てたり、各デバイスや各作業者における作業を効率よくスケジュールしたりする等の役割を果たす。
プリプレス部は、工程管理部より受信したプリプレスジョブの作業指示に基づいて、スキャナ/MFP等のスキャンデバイスによりエンドユーザから受け取った紙原稿をスキャンする。また、プリプレス部は、そのスキャンによって得られる画像をスキャン画像ファイルとしてプリプレスサーバやクライアントPCに取り込む。
これに加えて、プリプレス部は、画像補正、ファイルのマージやページの挿入/削除、各種ページレイアウト編集、面付け処理等の各種処理を実行する。また、プリプレス部は、必要に応じて最終成果物のレイアウトや色味を確認するためのプルーフ出力を実行したりする等の役割を果たす。
ここで、MFPは、Multi Function Perpheralの略称である。
ディジタルプリント部は、工程管理部あるいはプリプレス部より受信したプリントジョブの作業指示に従って、スキャン&プリントデバイスによりエンドユーザから受け取った紙原稿をコピーする。これに加えて、デジタルプリント部は、クライアントPCからプリンタドライバやホットフォルダを経由して、受信したファイルをプリントデバイスにプリントアウトしたりする等の役割を果たす。
ここで、受信するファイルとしては、エンドユーザから受信した文書/画像ファイル、スキャンデバイスから得られるスキャン画像ファイル、それらを編集した文書/画像ファイル等がある。また、スキャン&プリントデバイスには、白黒MFPやカラーMFP等がある。
ポストプレス部は、工程管理部、プリプレス部あるいはディジタルプリント部より受信したポストプレスジョブの作業指示に従って、紙折り機、中綴じ製本機、くるみ製本機、断裁機、封入機、帳合機等の後処理デバイスを制御する。これに加えて、ポストプレス部は、ディジタルプリント部より出力された記録紙に対して、紙折り、中綴じ製本、くるみ製本、断裁、封入、帳合等の仕上げ処理を実行する等の役割を果たす。
[工程管理部のシステム構成]
図2は工程管理部の構成の一例を示すブロック図である。
工程管理部は、ネットワーク200に接続されたMIS(Management Information System)サーバ201、受注サーバ202、ファイルサーバ203、クライアントPC204等から構成されている。
ここで、MISサーバ201は、受注から納品までのシステム全体のワークフローを管理すると共に、様々な経営情報や販売情報を統括的に管理するシステムにおけるサーバである。
受注サーバ202は、インターネットを利用して、エンドユーザ環境のクライアントPC205や206からジョブを受信するサーバである。受信したジョブは、ジョブのID番号で管理され、ID番号と管理上必要となる情報はMISサーバ201に伝えられ、MISサーバ201の指示に従って、画像データ等のそれ以外の情報と一緒に下流の工程に伝える役割を持っている。
ファイルサーバ203は、エンドユーザ環境のクライアントPC205や206からの同一原稿による再発注に備えて、クライアントPC205や206から受信したジョブを保管するため文書管理サーバである。一般に、ファイルサーバ203には、画像データと前回出力の際のジョブの設定情報(ジョブチケット)を一緒に保存してある。
工程管理部におけるこれらのMISサーバ201、受注サーバ202、ファイルサーバ203、クライアントPC204間でやり取りされる情報は、JDFと呼ばれるジョブの作業指示を記載したジョブチケット等を利用して情報交換している。これにより、ジョブを転送したり、制御コマンドを発行したりして、工程管理部を中心にプリプレス部、ディジタルプリント部、ポストプレス部等と連携をとってトータルなワークフローの自動化を提供している。
ここで、JDFは、Job Definition Formatの略称である。
[プリプレス部のシステム構成]
図3はプリプレス部の構成の一例を示すブロック図である。
プリプレスサーバ302は、スキャナ301/MFP305等のスキャンデバイスにより紙原稿をスキャンして、スキャン画像ファイルとして取り込む。また、プリプレスサーバ302は、この取込んだスキャン画像ファイルに斜行補正や黒点除去等の画像補正を実行する。また、プリプレスサーバ302は、受信した複数個の文書/画像ファイルやスキャンデバイスによりスキャンした複数個のスキャン画像ファイルをマージする。また、プリプレスサーバ302は、ページを挿入/削除したり、ページ番号やアノテーションの追加、インデックス紙や表紙や合紙の挿入、N−up印刷や多連印刷の指定等の各種ページレイアウト編集や面付け処理を実行する。
プリプレス部の構成としては、1つのプリプレスサーバ302と複数のクライアントPC303、304で構成するようにしてもよいし、プリプレスサーバ302なしで複数のクライアントPC303、304のみで構成するようにしてもよい。
受信したジョブがコピージョブの場合は、まず、作業者がスキャナ301/MFP305等のスキャンデバイスにより紙原稿をスキャンして、スキャン画像ファイルとしてプリプレスサーバ302やクライアントPC303、304に取り込む。取り込んだスキャン画像が斜めに傾いてしまった場合は、斜行補正処理を実行することにより、スキャン画像の傾きを補正する。また、取り込んだスキャン画像にパンチ穴やゴミがある場合は、黒点除去処理を実行することにより、スキャン画像のパンチ穴やゴミを除去することが可能である。
また、受信したジョブがプリントジョブの場合は、まず、作業者がプリプレスサーバ302やクライアントPC303、304に受信した文書/画像ファイルを取り込む。また、受信した文書/画像ファイルやスキャンデバイスによりスキャンしたスキャン画像ファイルが複数個存在する場合は、これらのファイルをマージする。
さらに、受信した文書/画像ファイルやスキャンデバイスによりスキャンしたスキャン画像ファイルをさらに編集する必要がある場合は、例えば、作業者が複数ページのレイアウトを確認しながら、編集を行うことが可能である。例えば、編集対象ファイルに対して、他のファイルからのページを挿入したり、編集対象ファイルのページを削除したりすることが可能である。
また、例えば、作業者がページ番号やアノテーション(機密情報を表わすウォーターマークやロゴ等の文字や画像)を追加したり、N−up印刷や多連印刷(1つの印刷面に複数ページをレイアウトする印刷)を指定したりすることが可能である。また、インデックス紙、表紙、合紙を挿入したり、ステープルやパンチやZ折り等の後処理を指定したりする等の各種ページレイアウト編集や面付け処理を実行する。
このプリプレス部では、ダイレクトメールの宛名印刷や顧客別のパンフレット等のワントゥーワンマーケティングを実現するために、プリプレスサーバ302や別サーバに構築したデータベースと連携して、同一ドキュメントを複数部印刷する。そして、これに平行して、宛先や関連データを差し替えて印刷するバリアブル印刷システムを構築することも可能である。
印刷業界では、製版・印刷工程に入る前に、広告主にプレゼンテーションすることを目的としたカラーカンプ(Color Comprehensive Layout)と呼ばれる出力がある。これは、最近では、パーソナルコンピュータを使って出版物を作成するDTPや、印刷工程で画像の修正や合成等に使用するCEPSで処理したディジタルカラー画像を、カラー出力デバイスで出力したカラーのハードコピーがこのカラーカンプに用いられている。
ここで、DTPとは、Desk Top Publishingの略称である。また、CEPSは、Color Electronic Prepress Systemの略称である。また、カラー出力デバイスには、カラーMFP、カラープリンタやカラープロッタがある。
カラーMFP等のカラープリンタを利用したPODでは、カンプに相当するレイアウト確認と簡易的な色味確認やプルーフに相当する詳細な色味確認を含むプルーフ出力を行うことが可能である。これは、具体的には、同じカラーMFP等のカラープリンタ(あるいは白黒MFP等の白黒プリンタ)によりプルーフ出力することが可能である。
このプリプレス部では、必要に応じて、このような最終成果物のレイアウトや色味を確認するために、MFPにプルーフ出力することも可能である。
プリプレス部におけるこれらのプリプレスサーバ302、クライアントPC303、304、スキャナ301、MFP305は、ネットワーク300により接続されている。そして、これらの機器は、ネットワーク300を介して、ジョブを転送したり、制御コマンドを発行したりして、プリプレス部で受信したジョブを処理していくことになる。
[ディジタルプリント部のシステム構成]
図4はディジタルプリント部の構成の一例を示すブロック図である。
ここには、ネットワーク400に接続されたプリントサーバ401、クライアントPC402、403、白黒MFP404、405及びカラーMFP406、407、408がそれぞれ1つまたは複数個接続されている。
プリントサーバ401は、2つの役割を持っている。1つは、ディジタルプリント部の外部と情報の送受信である。ここで、入稿されるジョブの画像情報や設定情報等は、まず、プリントサーバ401に入力され、そのジョブが終了するとステータス等の情報を外部に知らせられる。もう1つは、ディジタルプリント部内部の管理制御である。ここでは、外部から入力されたジョブ及び、ディジタルプリント部の内部で発生したジョブが、プリントサーバにて一元管理される。
また、ディジタルプリント部の内部にある全てのデバイスと全てのジョブの状況が監視できると共に、ジョブの一時停止、設定変更、印刷再開あるいは、ジョブの複製、移動、削除等の制御が行えるようになっている。
クライアントPC402、403は、入力されたアプリケーションファイルの編集、印刷指示、あるいは、プリントレディファイルの投入の役割と、プリントサーバ401内で管理されているデバイスやジョブの監視や制御の補佐する役割を持っている。
白黒MFP404、405及びカラーMFP406、407、408は、スキャン、プリント、コピー等の様々な機能を有する画像形成装置である。ここで、カラーMFPと白黒MFPとでは、スピードやコスト等が異なるため、それぞれの用途に応じて使い分ける必要がある。
[ポストプレス部のシステム構成]
図5はポストプレス部の構成の一例を示すブロック図である。
ポストプレス部は、ポストプレスサーバ501、クライアントPC502、503及び、紙折り機504、断裁機505、中綴じ製本機506、くるみ製本機507に代表される後処理装置で構成されている。
まず、ポストプレスサーバ501は、後処理工程を統括管理するコンピュータであり、受注サーバ202にて受け付けたジョブの指示やMISサーバ201から出されるジョブの指示等に基づいて、ポストプレス部で仕上げ可能な後処理条件を作成する。そして、エンドユーザの要求通りの後処理(仕上げ処理)工程の指示を行う。一般に、ポストプレスサーバ501がポストプレス部の外とJDF等の情報交換手段を使って、ポストプレス部の内部コマンドやステータスでそれぞれの後処理装置と情報交換している。
後処理装置は、3つの種類に分類することができ、以下のように定義する。また、ここでは、2)ニアラインフィニッシャと3)オフラインフィニッシャに関してのみ説明する。
1)インラインフィニッシャ:紙パスがMFPと物理的に接続されており、かつ、操作指示や状況確認もMFPと電気的に接続されている後処理装置。
2)ニアラインフィニッシャ:紙パスはMFPと接続されておらず、作業者(オペレータ)が出力物の運搬、出力物の設定を行うが、操作指示や状況確認はネットワーク等の通信手段を介して電気的に情報送受可能な後処理装置。
3)オフラインフィニッシャ:紙パスも操作指示や状況確認等の通信手段もMFPと全く接続されておらず、作業者が出力物の運搬、出力物の設定、手作業での操作入力、機器自体が発する状況報告を作業者が目視で確認する後処理装置。
更に、後処理装置は、出力原稿に対する様々なシート加工処理を、MFP等の画像形成装置にて印刷された記録紙に対して施す後処理工程を実行する。この後処理工程には、断裁処理工程、中綴じ製本処理工程、くるみ製本処理工程、紙折処理工程、穴あけ処理工程、封入処理工程、帳合処理工程等がある。この後処理装置は、エンドユーザに提供する製本形態に加工するように制御する。
ポストプレスサーバ501が管理するニアラインフィニッシャ(時には、オフラインフィニッシャも含めて)には、紙折機504、断裁機505、中綴じ製本機506、くるみ製本機507が含まれる。この他にも、ステープラ、穴あけ機、封入機あるいは、帳合機(コレータ)を初めとして様々なものがある。そして、ポストプレスサーバ501は、これらのニアラインフィニッシャと予め決められたプロトコルで逐次ポーリング等でデバイスの状況やジョブの状況を把握し、ジョブの実行状況を管理する。
尚、上記構成においては、上述の複数のシート処理をそれぞれ別々のシート処理装置により実行可能にする構成でも、複数種類のシート処理を1台のシート処理装置が実行可能にする構成でも良い。また、複数のシート処理装置の内のいずれかのシート処理装置を本システムに具備する構成でも良い。
[JDFによる製本のしくみ]
図6はJDF(Job Definition Format)を利用した場合の製本の一例を示す階層図である。
「本」を作成するには、表紙を作ったり、中身を作ったり、あるいは、それらを製本したりと様々な工程を経てエンドユーザに届けられる「本全体」ができあがる。
JDFでは、出力物を構成する際に、物理的な出力物を作成する工程をプロダクトノード、プロダクトノードを作成するための処理工程をプロセスノードと呼んでいる。これに加えて、プロダクトノードを作成するための中間的段階の要素でいくつかのプロセスノードの集合体をプロセスグループノードと呼んでいる。
図6では、表紙と本身をくるみ製本と断裁を行って、本全体を構成する例を示しており、「表紙」プロダクトノードは、「表紙の出力」プロセスグループノード1つから成っている。その「表紙の出力」プロセスグループノードは、表紙をプリントアウトしてできる「表紙出力のプロセス1」プロセスノードと、その出力されたものに対してラミネートやニス加工等で表面加工処理する「表紙の加工処理」プロセスノードから成っている。
同様にして、「本身」プロダクトノードは、「カラーページの出力」プロセスグループノードと、「白黒ページの出力」プロセスグループノードから成っている。更に、それぞれのプロセスグループノードは、対応する「ページのRIP処理」プロセスノードと「ページのプリント処理」プロセスノードから成っている。
そして、「本全体の製本処理」プロセスグループノードを使って、上記「表紙」と「本身」は製本処理され、その「本全体の製本処理」プロセスグループノードは、「くるみ製本処理」プロセスノードと「断裁処理」プロセスノードで成り立っている。
JDFファイルは、これらの各ノード情報とその属性情報が記載されたファイルであり、JDFマネージャと呼ばれるJDFの作成を行う情報処理装置は、このJDFファイルの作成や変更を担当する。
一方、JDFワーカと呼ばれる情報処理装置は、JDFマネージャから吐き出されたJDFファイルを受信して、それに記載された情報に基づいて、必要な作業を担当する。
[MISサーバと工程管理のワークフロー]
MIS(Management Information System)サーバ201(図2)は、工程管理部の主要な機能の一つである。そして、このMISサーバ201は、管理情報システムあるいは、経営管理システムと呼ばれる企業の経営や管理等の意思決定に必要な情報を収集・分析するためのシステムサーバである。
一般的に、MISサーバ201は、宣伝、受注、見積もり、計画、生産、出荷、在庫、購入、販売を始めとする様々な経営情報や販売情報を統括的に管理するシステムにおけるサーバである。ここで、特に、印刷業界におけるMISサーバ201は、印刷生産工程管理システムとしてサーバの側面を持つものである。そして、このMISサーバ201は、印刷生産設備や印刷生産資源を一元管理するとともに、JDFジョブにおける作業指示を記載したジョブチケットで、受注から納品あるいは費用回収に至るまでのトータルなワークフローを自動化する仕組みを提供できる。
MISサーバ201は、この経営管理システムの中心となるサーバコンピュータであり、エンドユーザからのジョブの指定に基づいて、PODサイト環境における各工程に対してジョブにおける作業指示を記載したJDFを発行する。これにより、コンピュータや各種デバイスにより構成される本システムのワークフローを制御する。
また、このMISサーバ201は、PODサイト環境における各工程との間でJMF(Job Messaging Format)と呼ばれるメッセージを交換する。そして、各デバイスが具備する機能情報や能力情報、各デバイスのステータス情報、受け付けたジョブの進捗情報等を取得することにより、本システムのワークフローを一元管理する。
さらに、このMISサーバ201は、ワークフローエディタ、ワークフローエンジンに代表されるプロセス管理機能あるいは、ジョブやデバイスの日程時間管理を行うスケジューラ機能を内蔵している。更には、MISサーバ201これらの機能を持つアプリケーション等と連携する。各工程における作業をワークフローとして組み立てて実行指示するとともに、各デバイスや各作業者における作業を効率よくスケジュールすることにより、各工程におけるワークフローを自動化することも可能である。
但し、MISサーバ201内のこれらの様々な機能は、経営者、工程管理者(工務)、現場のオペレータ、見積もりを用意する営業マン等の様々な作業者が別々なクライアントPCを利用してデータ参照する。そのため、それぞれユーザIDやパスワードなどを用いていたり、アプリケーションソフトウェアとしてもライセンス管理されたりしていることが多い。
[受注サーバのしくみ]
受注サーバ202(図2)は、いわゆるPODにおける電子商取引(EC:Electronic Commerce)の仲介役で、インターネット等の通信媒体を介してエンドユーザ環境のクライアントPCからジョブを受発注するためのサーバである。この受注サーバ201は、エンドユーザ環境から見ると、インターネット上のウェブページを利用した電子店舗となる。
例えば、発注依頼したいジョブがプリントジョブの場合は、エンドユーザ環境のクライアントPCのブラウザからユーザ認証を行った後に、どのようなプリント条件で出力させるかを指定するプリント条件設定やその他のプリント依頼情報等を入力する。これにより、エンドユーザ環境のクライアントPCからこの受注サーバ202に対して、インターネットを経由してプリント条件設定やその他のプリント依頼情報等とともにプリント対象となる文書/画像ファイルを電子データとして送信する。そうすることで、ウェブサーバとして機能する受注サーバ202にプリントジョブを発注する。
受注サーバ202もしくはエンドユーザ環境の各クライアントPCにホットフォルダを具備することにより、プリント対象となる文書/画像ファイルやそれに付随するプリント条件設定やその他のプリント依頼情報等をデータ転送できるように構成してもよい。
このホットフォルダは、プリント条件設定やその他のプリント依頼情報等を属性として含む仮想的なフォルダであり、受注サーバもしくはエンドユーザ環境の各クライアントPCが具備するハードディスク等のメモリ(不図示)に複数個作成可能なものである。
例えば、エンドユーザがエンドユーザ環境の各クライアントPCからこのホットフォルダにプリント依頼する文書/画像ファイルをドラッグ&ドロップする。これにより、受注サーバ202もしくはエンドユーザ環境の各クライアントPCの監視プログラムがその文書/画像ファイルの存在を認識する。次に、そのホットフォルダに付随するプリント条件設定やその他のプリント依頼情報等を関連付けることによって、受注サーバがこれらの情報を読み出すことが可能となる。
また、発注依頼したいジョブがコピージョブの場合は、文書/画像ファイルを電子データとして送付しない代わりに、コピー対象となる紙原稿を物理媒体として宅配便等で別送する。そして、エンドユーザ環境のクライアントPCのブラウザからは、どのようなコピー条件で出力させるかを指定するコピー条件設定やその他のコピー依頼情報のみを入力する。この場合、別送されたコピー対象となる紙原稿と受注サーバに送付されたコピー条件設定やその他のコピー依頼情報等との関連付けをオペレータが判断することになる。
[受発注におけるワークフロー]
図7はエンドユーザからのジョブの受発注におけるワークフローの一例を示す図である。
図における左側のブロックは、エンドユーザである発注者の作業、右側のブロックは、PODサイトにおける作業者の作業を示している。
まず、発注者は、インターネット上のウェブページを利用して、PODサイトの受注サーバに対して、仮発注を実行する。
例えば、発注依頼したいジョブがプリントジョブの場合は、エンドユーザ環境のクライアントPCのブラウザからユーザ認証を行う。その後に、どのようなプリント条件で出力させるかを指定するプリント条件設定やその他のプリント依頼情報等を入力する。これにより、エンドユーザ環境のクライアントPCから該受注サーバに対して、インターネットを経由してプリント条件設定やその他のプリント依頼情報等とともにプリント対象となる文書/画像ファイルを電子データとして送付する。そして、ウェブサーバとして機能する受注サーバ202にプリントジョブを仮発注する。
また、発注依頼したいジョブがコピージョブの場合は、文書/画像ファイルを電子データとして送付しない代わりに、コピー対象となる紙原稿を物理媒体として宅配便等で別送する。そして、エンドユーザ環境のクライアントPCのブラウザからは、どのようなコピー条件で出力させるかを指定するコピー条件設定やその他のコピー依頼情報のみを入力する。この場合、別送されたコピー対象となる紙原稿と受注サーバに送付されたコピー条件設定やその他のコピー依頼情報等との関連付けをオペレータが判断することになる。
発注者から仮発注を受けたPODサイトの受注サーバ202では、仮受注したジョブに対して受付や保存等の仮受注のための処理を実行するとともに、受注サーバ202あるいはMISサーバ201において作業担当者の割り当てを実行する。
作業担当者の割当方法としては、様々な方法がある。一例としては、受注サーバ202のスケジューラにより作業担当者を自動割当する方法、作業者の管理者が適当な作業担当者を手動割当する方法、各作業者が仮受注したジョブを処理することによる手動割当する方法等がある。
さらに、PODサイトの受注サーバあるいはMISサーバ202では、仮受注したジョブに対してコストの見積りを実行する。この見積りは、仮発注時に発注者が入力したプリント条件やコピー条件等を参照して、ジョブに必要な作業や資源に関わる費用や配送料等の諸経費の見積りに基づいたトータルコストを算出し、発注者に対して見積り金額を提示する。
見積り金額の提示を受けた発注者は、管理者からの承認を得た後に、PODサイトの受注サーバに対して、正式発注を実行する。この際、仮発注したジョブのプリント条件やコピー条件等を正式発注時に変更することも可能である。
PODサイトの受注サーバが発注者より正式発注を受けると、工程管理、プリプレス、ディジタルプリント、ポストプレスの各工程を利用して、正式受注したジョブに対する印刷/製本等の各種処理を実行する。
PODサイトにおける印刷/製本等の各種処理を終了したならば、発注者より予め指定された配送先に対して最終成果物(印刷物)を配送することにより、発注者が最終成果物(印刷物)を受け取ることになる。
[ジョブチケットによるワークフロー]
図8はジョブチケットにより実現されるワークフロー構成の一例を示す図である。
尚、図8では、印刷工程と各種印刷後工程を含む各種工程(ジョブ)の管理情報(ジョブ管理情報)であるJDFデータにより実現される印刷システムの一例を示している。
図8において、MISサーバ10は、受注から納品までのシステム全体のワークフローを管理すると共に、様々な経営情報や販売情報を統括的に管理するシステムである。このMISサーバ10には、ワークフローにおける作業指示が記述されたジョブチケットに相当するJDFデータ12を作成するためのJDF(Job Definition Format)作成アプリケーション11が構成されている。
プリントサーバ20は、ディジタルプリント部であるMFP24に投入されるジョブを受信すると共に、MFP24全体を管理制御するためのサーバである。プリンタサーバ20には、JDFデータを解釈するためのJDFパーサ21、PDF/PS等の各種PDLデータを処理するためのPDLコントローラ22、MFP等のプリンタエンジンと接続するためのプリンタインタフェース23が構成されている。
ポストプレスサーバ30は、ポストプレス部であるフィニッシャに投入されるジョブを受信すると共に、フィニッシャ全体を統括管理するためのサーバである。ポストプレスサーバ30には、JDFデータを解釈するためのJDFパーサ31、少なくとも1台のフィニッシャ(後処理装置)を接続するためのフィニッシャインタフェースが構成されている。
尚、図8では、ポストプレスサーバ30には、フィニッシャA34とフィニッシャB35と接続するためのフィニッシャAインタフェース32とフィニッシャBインタフェース33が構成されている例を示している。ここで、必要なフィニッシャの数に応じて、対応するフィニッシャインタフェースがポストプレスサーバ30に構成されることは言うまでもない。
ジョブチケットによるワークフローは、以下のように実現される。
MISサーバ10に受注ジョブが投入されると、作業者は、MISサーバ10にインストールされているJDF作成アプリケーション11により、ワークフローにおける作業指示が記述されたジョブチケットに相当するJDFデータ12を作成する。
作成されたJDFデータ12がプリントサーバ20に渡されると、プリントサーバ20のJDFパーサ21がJDFデータを解釈して、MFP24に対するジョブを実行する。例えば、JDFデータには、出力用紙サイズや両面片面印刷やN−up等の属性が指定されている。JDFデータの内容に従って、PDLコントローラ22がJDFデータにより参照されるPDF/PS等のPDLデータを処理する。そして、これとともにプリンタインタフェース23を介してMFP24に対して印刷を実行する。
プリントサーバ20より作成されたJDFデータがポストプレスサーバ30に渡されると、ポストプレスサーバ30におけるJDFパーサ31がJDFデータを解釈して、フィニッシャに対するジョブを実行する。例えば、JDFデータには、くるみ製本や中綴じ製本や裁断等の属性が指定されている。そして、JDFデータの内容に従って、フィニッシャAインタフェース32とフィニッシャBインタフェース33を介してフィニッシャA34とフィニッシャB35に対して後処理(印刷後工程)を実行する。
[ファイルサーバのしくみ]
ファイルサーバ203は、エンドユーザからの同一原稿による再発注に備えて、エンドユーザの顧客情報(名前、連絡先、クレジット等の口座番号)、受信したジョブ等を保管するためのファイルサーバである。ここで、ジョブには、プリント対象となる文書/画像ファイルやそれに付随するプリント条件設定やその他のプリント依頼情報等の情報が含まれる。また、ジョブには、コピー対象となる紙原稿をスキャンしたスキャン画像ファイルやそれに付随するコピー条件設定やその他のコピー依頼情報等が含まれる。
保管された情報は、後で再印刷の要求が入った場合等に、呼び出して顧客情報や前回のジョブ等を照合や参照して迅速に対応するためのものである。
ファイルの形態は、アプリケーションファイルデータ、PDLデータ、プリントレディデータあるいは、それらの中間データ等、用途に応じてそれらの一つまたは、いくつかを保管しておくことができる。
ここで、プリントレディデータとは、例えば、RIP後のデータであり、ビットマップファイルそのものやTiffファイルのように圧縮された形式がある。また、中間データは、ディスプレイリストのように最終出力ではないが、PDLデータとプリントレディデータとの中間的な存在となるデータである。
保管に当たっては、プリントレディデータの保管は大きな容量のデータとなってしまう。そのため、別の記憶メディア(CD−ROMやMO、ZIP等)に記録されたり、PDLデータであっても古いものや容量の大きいものは同様に別メディアなどに保管されたりする。また、ユーザが希望した場合には、最終出力と一緒に送り返すことも可能である。
このように、ファイルサーバは、エンドユーザからの再印刷要求がなされる度に、その都度、そのユーザのジョブデータを、所望の印刷出力条件でもって、記憶媒体から読み出して再印刷可能に制御する。
一方で、保管されたデータをユーザがリストアして再印刷要求をかけることもある。例えば、受注サーバ202がエンドユーザ環境のクライアントPCより受信したプリントジョブの文書/画像ファイルをオリジナル原稿のまま該ファイルサーバ203が具備するハードディスク等のメモリユニットに格納して、一定期間保持しておくことができる。これにより、エンドユーザからの同一原稿によるプリントジョブの再発注時には、エンドユーザから文書/画像ファイルを再度送信してもらうことなく、再発注を処理することが可能となる。
また、エンドユーザから受け取ったコピージョブの紙原稿をスキャンして、スキャン画像ファイルとして取り込んだ後、そのファイルサーバ203が具備するハードディスク等のメモリユニットに格納して、一定期間保持しておく。これにより、エンドユーザからの同一原稿によるコピージョブの再発注時には、エンドユーザから紙原稿を再度送付してもらうことなく、再発注を処理することが可能となる。
さらに、エンドユーザが所望する出力形態(プリント条件設定やその他のプリント依頼情報等、コピー条件設定やその他のコピー依頼情報等)で、プリントジョブやコピージョブを印刷処理する。その後に、作業者が編集加工した印刷前の最終文書/画像ファイルや印刷処理済の最終印刷データを、ファイルサーバ203が具備するハードディスク等のメモリユニットに格納して、一定期間保持する。これにより、エンドユーザからの再発注時における後工程の作業を軽減することが可能となる。
[顧客からの発注形態]
通常、発注時に発注者は製本工程の詳細部分までは指定せず、おおまかに作成したい形態のみを指示して上述の印刷システムに発注を行う。例えば、顧客は部数、納期設定、紙サイズ、表紙設定、製本時の綴じ方、片面/両面印刷、使用するカラープロファイル情報等の製本情報と、印刷原稿データを指定して、受注サーバ202に見積り依頼を行う。
これらの製本情報をプロダクトインテント情報と呼び、プロダクトノードに記載される。
受注サーバ202は、MISサーバ201にプロダクトインテント情報を送信する。MISサーバ201はプロダクトインテント情報を、プリプレスサーバ302、プリントサーバ401、ポストプレスサーバ501に送信する。
プロダクトインテント情報を受信した各サーバは、自分の管理するJDFワーカの負荷情況や紙やインク等のリソース状況、実行可能な機能を参照して、プロダクトノードを、具体的な処理を表すプロセスノードに変換する。
プロダクトノードからプロセスノードへの変換は一意には決まらず、JDFワーカの状態や能力に応じて様々な変換結果が得られる。例えば、A4サイズの製本物を作成する場合にA4サイズの紙を束ねて製本するのか、A3サイズの用紙を折りや断裁して使用するのかによって、実現できるJDFワーカが異なるため、ワークフローも異なる。
MISサーバ201は、これらのプロセスノードをまとめ、印刷工程全体のワークフローを構築する。MISサーバ201は、印刷ワークフローから納期と料金の見積りを行い、必要があれば印刷物のサンプルを作成して顧客に提示する。
顧客は、サンプルを確認して納期と金額で合意すれば正式に発注を行う。
発注を受けたMISサーバ201は、見積もり時に構築したワークフローに基づいて各工程の処理を行い、印刷製本を行う。
処理時に使用されたインテントノード、プロセスノードが記載されたジョブチケットは再印刷に備え保存される。
[ギャングジョブ印刷]
印刷の一形態として、複数の印刷ジョブを1枚の用紙にレイアウトして印刷するギャングジョブ印刷(結合ジョブ印刷)がある。商業印刷では印刷時に、プレートを作成して、印刷を行う。1面のプレートに複数のジョブをレイアウトすることで1ジョブ当りのプレート版作成のコストを下げることができる。印刷時の色処理や印刷用紙は均一になるが、これにより、1ジョブ当りの印刷代を軽減することができる。プリントされた用紙は、断裁機でジョブ毎に断裁され、各顧客に納入される。
[断裁処理]
断裁機による断裁処理では、用紙上のトンボ線(裁ち落とし位置目印(断裁線)、単にトンボとも呼ばれる)に沿って用紙を断裁する。一般に、ギャングジョブ印刷によってレイアウトされる領域は、複雑になっている。また、ギャングジョブ印刷によって用紙上に印刷された画像のレイアウトに従って、オペレータは用紙を移動、回転させながら断裁線に沿ってジョブ毎に断裁を行う。
<実施形態1>
次に、本発明の実施形態1における印刷製本システムについて、図9Aを用いて説明する。
図9Aは本発明の実施形態1の印刷製本システムの構成例を示す図である。
図9Aに示す印刷製本システムは、図1の印刷製本システムで示される構成の内、特に、実施形態1に関わる構成要素を抜粋した構成で示している。図9Aにおいて、印刷製本システムは、クライアントPC901、MISサーバ903、プリプレスサーバ910、デバイス904、断裁機908を備えている。
MISサーバ903は、ユーザのクライアントPC901からの依頼(ジョブ902)を受信する。このMISサーバ903は、受信したジョブ(あるいはギャングジョブ)を順次プリプレスサーバ910へ送信する。プリプレスサーバ910は、受信したジョブ902を印刷用紙に印刷するためのレイアウト処理、ジョブがレイアウトされた印刷用紙上に断裁線を設定したり、その断裁手順を設定する断裁手順決定処理を実行する。その後、レイアウト処理や断裁手順決定処理によって生成した印刷データをデバイス904へ送信する。
また、プリプレスサーバ910には、断裁機908やデバイス904等のデバイスに関する情報を管理するデバイス情報DB(データベース)905と、断裁処理を行うオペレータの情報を管理するオペレータDB(データベース)906が接続されている。プリプレスサーバ910は、必要に応じて、各DBを参照することが可能である。
デバイス904は、プリプレスサーバ910から受信した印刷データに基づいて、ジョブ(原稿データ)及び断裁線を印刷する。デバイス904の後段には、デバイス904から出力された、複数ジョブから構成された出力物907の後処理装置が構成されている。ここでは、後処理装置として、断裁処理を行う断裁機908が構成されている。断裁機908は、複数ジョブから構成された出力物907に対して、断裁処理を行うことで、各ジョブに対する出力物909を生成する。ここで、断裁機908では、オペレータによって、処理対象の出力物(印刷用紙)上に印刷されている断裁線に応じて、その出力物の向きを回転させて断裁処理がなされることになる。
本実施形態1の印刷製本システムでは、例えば、プリプレスサーバ903(あるいはクライアントPC901)内の一般アプリケーションにより作成されたデータファイルが、電子原稿ライタによって電子原稿ファイルに変換される。製本アプリケーション(面付けアプリケーション)は、その電子原稿ファイルを編集する機能を提供している。
尚、本例では、印刷製本システムで実現される各種機能が明瞭になるように、一般アプリケーション、電子原稿ライタ、製本アプリケーション、電子原稿デスプーラ等の各機能を分離して示しているが、ユーザに提供されるパッケージはこれらに限定されない。例えば、これらの各種機能は、それらを組み合わせたアプリケーションやグラフィックエンジンとして提供されても良い。
<印刷製本システムのソフトウェア構成例>
図9Bは本発明の実施形態1の印刷製本システムのソフトウェア構成を示す図である。ここでは、実施形態1の主要構成となる、コンピュータ910(プリプレスサーバ910)とデバイス904(プリンタ9107)との関係に着目した形で説明する。
印刷製本システムは、本発明の文書処理装置(情報処理装置)の好適な実施形態であるコンピュータ9100(以下、ホストコンピュータとも呼ばれる)によって実現されている。このコンピュータ9100は、代表的には、プリプレスサーバ910に対応する。しかしながら、最終的に印刷を行うデバイス904(例えば、MFP)へ印刷データを投入することが可能な機器であれば、印刷製本システム内で構成される各種サーバ(例えば、MISサーバ)やクライアントPCがその役割を果たすことも可能である。あるいは、デバイスを制御するコントローラが、コンピュータ9100の役割を果たすことも可能である。
一般アプリケーション9101は、ワードプロセシングやスプレッドシート、フォトレタッチ、ドローあるいはペイント、プレゼンテーション、テキスト編集等の各種機能を提供するアプリケーションプログラムである。この一般アプリケーション9101は、コンピュータ9100上で動作するOS(オペレーティングシステム)に対する印刷機能を有している。これらの一般アプリケーション9101は、作成された文書データや画像データ等のアプリケーションデータを印刷するにあたって、OSにより提供される所定のインタフェースを利用する。この所定のインタフェースは、一般に、GDI:Graphic Device Interfaceと呼ばれる。
即ち、任意の一般アプリケーション9101は、作成したデータを印刷するために、所定のインタフェースを提供するOSの出力モジュール(不図示)に対して、OSに依存する所定形式の出力コマンド(GDI関数と呼ばれる)を送信する。出力コマンドを受信した出力モジュールは、プリンタ等の出力デバイスが処理可能な形式にその出力コマンドを変換し、変換されたコマンド(DDI:Device Driver Interface関数と呼ばれる)を出力する。
出力デバイスが処理可能な形式は、デバイスの種類やメーカ、機種等によって異なるために、デバイス毎にそれを制御するためのデバイスドライバが提供されている。OSでは、そのデバイスドライバを利用してコマンドの変換を行い、印刷データを生成し、JL(Job Language)でくくることにより印刷ジョブが生成される。OSとしてマイクロソフト社のウインドウズを利用する場合には、前述した出力モジュールとしては、GDI(Graphic Device Interface)と呼ばれるモジュールが相当する。
電子原稿ライタ9102は、前述のデバイスドライバを改良したものであり、本印刷製本システム実現のために提供されるソフトウェアモジュールである。但し、電子原稿ライタ9102は、特定の出力デバイスを目的としておらず、後述の製本アプリケーション9104やプリンタドライバ9106により処理可能な形式に出力コマンドを変換する。
この電子原稿ライタ9102による変換後の形式(以後、「電子原稿形式」と呼ぶ)は、ページ単位の原稿を詳細な書式をもって表現可能であれば、特に、その形式は問わない。実質的な標準形式の内では、例えば、米国のアドビシステムズ社によるPDF形式や、W3Cにより公開されているSVG(Scalabele Vector Graphics)形式等が電子原稿形式として採用できる。
一般アプリケーション9101により電子原稿ライタ9102を利用させる場合には、出力に使用するデバイスドライバとして電子原稿ライタ9102を指定してから印刷を実行させる。但し、電子原稿ライタ9102によって作成されたままの電子原稿ファイルは、電子原稿ファイルとして完全な形式を備えていない。
そのため、デバイスドライバとして電子原稿ライタ9102を指定するのは製本アプリケーション9104であり、その管理下でアプリケーションデータの電子原稿ファイルへの変換が実行される。製本アプリケーション9104は、電子原稿ライタ9102が生成した新規の不完全な電子原稿ファイルを、後述する形式を備えた電子原稿ファイルとして完成させる。
以下では、この点を明瞭に識別する必要がある際には、電子原稿ライタ9102によって作成されたファイルを電子原稿ファイルと呼び、製本アプリケーション9104によって構造を与えられた電子原稿ファイルをブックファイルと呼ぶ。また、特に、区別する必要がない場合は、アプリケーションにより生成されるドキュメントファイル、電子原稿ファイル、及びブックファイルをいずれも文書ファイル(または文書データ)と呼ぶ。
このようにデバイスドライバとして電子原稿ライタ9102を指定し、一般アプリケーション9101によりそのアプリケーションデータを印刷させる。これにより、アプリケーションデータは、一般アプリケーション9101によって定義されたページ(以後、「論理ページ」あるいは「原稿ページ」と呼ぶ)を単位とする電子原稿形式に変換される。そして、この電子原稿形式のアプリケーションデータは、電子原稿ファイル9103としてハードディスク等の記憶媒体に格納される。
尚、ハードディスクは、本実施形態の印刷製本システムを実現するコンピュータが備えているローカルドライブであっても良いし、ネットワークに接続されている場合にはネットワーク上に提供されるドライブであっても良い。
また、一般アプリケーション9101自身が電子原稿形式のデータを作成する能力を有する場合には、電子原稿ライタ9102を指定して印刷を実行する必要はない。この場合は、一般アプリケーション9101自身が生成した電子原稿形式のデータを、製本アプリケーション9104の管理下で、アプリケーションデータを電子原稿ファイルへ変換することも可能である。
製本アプリケーション9104は、電子原稿ファイルあるいはブックファイル9103を読み込み、それを編集するための機能を利用者に提供する。
製本アプリケーション9104によって編集されたブックファイル9103を印刷する際には、製本アプリケーション9104によって電子原稿デスプーラ9105が起動される。電子原稿デスプーラ9105は、製本アプリケーション9104と共にコンピュータ内にインストールされるプログラムモジュールである。この電子原稿デスプーラ9105は、製本アプリケーション9104で利用するドキュメント(ブックファイル)を印刷する際に、プリンタドライバ9106へ描画データを出力するために使用されるモジュールである。
電子原稿デスプーラ9105は、指定されたブックファイル9103をハードディスクから読み出し、それに記述された形式で各ページを印刷するために、OSの出力モジュールに適合する出力コマンドを生成して、それを出力モジュールに出力する。その際に、出力デバイスとして使用されるプリンタ9107のプリンタドライバ9106がデバイスドライバとして指定される。出力モジュールは、指定されたプリンタ9107のプリンタドライバ9106を用いて受信した出力コマンドを、プリンタ9107で解釈実行可能なデバイスコマンドに変換する。そして、デバイスコマンドはプリンタ9107に送信され、プリンタ9107によってデバイスコマンドに応じた画像が印刷用紙に印刷される。
<印刷製本システムのハードウェア構成例>
図9Cは本発明の実施形態1の印刷製本システムのハードウェア構成を示す図である。
図9Cにおいて、9100はホストコンピュータであり、CPU9201を備える。CPU9201は、ROM9203のプログラム用ROM9203bあるいは外部メモリ9211に記憶された文書処理プログラム(アプリケーションプログラム)、印刷処理関連プログラム等のプログラムに基づく処理を実行する。この処理には、図形、イメージ、文字、表(表計算等を含む)等の構成要素が混在した文書処理がある。更に、CPU9201は、ホストコンピュータ9100内のシステムバス9204に接続される各デバイスを総括的に制御する。
ROM9203のプログラム用ROM9203bあるいは外部メモリ9211には、BIOSや、CPU9201の制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)等のプログラムも記憶している。また、ROM9203のフォント用ROM9203aあるいは外部メモリ9211には、文書処理の際に使用するフォントデータ等のデータを記憶している。また、ROM9203のデータ用ROM9203cあるいは外部メモリ9211には、文書処理等の各種処理を行う際に使用する各種データを記憶する。
9202はRAMであり、CPU9201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。9205はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)9209からのキー入力やポインティングデバイス(不図示)からのコマンド入力を制御する。9206はCRTコントローラ(CRTC)であり、CRTディスプレイ(CRT)9210の表示を制御する。尚、CRTコントローラ9206及びCRTディスプレイ9210の代りに、LCDコントローラ及びLCDを用いても良い。
9207はディスクコントローラ(DKC)であり、ハードディスク(HD)、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等の外部メモリ9211とのアクセスを制御する。この外部メモリ9211は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、印刷制御コマンド生成プログラム(以下、プリンタドライバ)等の各種データを記憶する。
9208はプリンタコントローラ(PRTC)であり、所定の双方向性インタフェース(インタフェース)921を介してプリンタ9107に接続されて、プリンタ9107との通信制御処理を実行する。双方向性インタフェースの例には、USBインタフェース、IEEE1394インタフェース、無線LANインタフェース等がある。
尚、CPU9201は、例えば、RAM9202上に設定された表示情報RAMへのアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行してGUIを提供することで、CRT9210上でのWYSIWYGを可能としている。また、CPU9201は、CRT9210上のマウスカーソル(不図示)等で指示されたコマンドに基づいて、登録された種々のウインドウを開き、種々のデータ処理を実行する。ユーザは、印刷を実行する際、印刷の設定に関するウインドウ(操作画面)を開き、プリンタの設定や、印刷モードの選択を含むプリンタドライバに対する印刷方法の設定を行える。
プリンタ(印刷装置)9107において、9312はプリンタCPUであり、プリンタCPU9312は、プリンタ制御部1000内のシステムバス9315に接続される各デバイスを総括的に制御する。また、プリンタCPU9312は、印刷部インタフェース(I/F)9316を介して、出力情報としての画像信号を印刷部(プリンタエンジン)9317に出力する。尚、この出力は、ROM9313のプログラム用ROM9313bあるいは外部メモリ9314に記憶された制御プログラム等のプログラムに基づくものである。
ROM9313のプログラム用ROM9313bには、プリンタCPU9312の制御プログラム等のプログラムを記憶している。また、ROM9313のフォント用ROM9313aには、上記出力情報を生成する際に使用するフォントデータ等のデータを記憶している。また、ハードディスク(HD)、ICカード等の外部メモリ9314がないプリンタの場合には、ROM9313のデータ用ROM9313cには、ホストコンピュータ9100上で利用される情報等を記憶している。
プリンタCPU9312は、入力部9318を介してホストコンピュータ9100との通信処理が可能となっており、プリンタ9107内のステータス情報等の各種情報をホストコンピュータ9100に通知可能に構成されている。9319は、プリンタCPU9312の主メモリ、ワークエリア等として機能するRAMである。このRAM9319は、増設ポート(不図示)に接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。
尚、RAM9319は、出力情報展開領域、環境データ格納領域、NVRAM等に用いられる。外部メモリ9314は、メモリコントローラ(MC)9320によりアクセスが制御される。外部メモリ9314は、オプションとして接続され、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータ等のデータを記憶する。また、9321は操作部であり、プリンタ9107に対する各種操作を実現するための操作パネルやスイッチ、LED表示器等が構成されている。
また、外部メモリ9314は1個に限らず、少なくとも1個以上備え、内蔵フォントに加えてオプションフォントカード、言語系の異なるプリンタ制御言語を解釈するプログラムを格納した外部メモリを複数接続できるように構成されていても良い。さらに、NVRAM(不図示)を有し、操作部9321からのプリンタモード設定情報を記憶するようにしてもよい。
[システム処理概要フロー]
ディジタルプリントでは、コンベンショナルプリントのギャングジョブ印刷とは異なり、版作成コストは非常に低い。
その印刷工程は、レイアウトにほとんど依存しないが、断裁工程ではレイアウトに応じて断裁手順が異なる。また、断裁手順が複雑になるにつれて、断裁線の本数と、断裁時に行われる回転の回数は増加する。
そのため、本発明では、断裁にかかるコストを計る尺度として、断裁線数と回転回数から得られる断裁の難易度を使用する。そこで、まず、実施形態1の印刷製本システムの処理概要について、図10を用いて説明する。
尚、ここで断裁線数は、その断裁線数分の断裁を行うことになるので、通常、断裁線数と断裁回数は等しくなる。但し、断裁方法によっては、複数分の断裁線を1度に断裁すること場合もあり得る。そのため、断裁線数と断裁回数が必ずしも等しくとなるとは限らず、断裁線数に対して断裁回数が異なる(通常は、少なくなる)場合もあり得る。しかしながら、上記の断裁の難易度については、この断裁線数を基準にした場合と、断裁回数を基準にした場合との差異は大きくないので、以下では、断裁線数を基準にした断裁の難易度を使用する場合を例に挙げて説明する。もちろん、より厳密な断裁の難易度を必要とする場合には、断裁線数に基づく断裁回数を基準にした断裁の難易度を使用することが可能であることは言うまでもない。
図10は本発明の実施形態1の印刷製本システムの処理を示すフローチャートである。
本動作は、具体的には、クライアントPC901、MISサーバ903、プリプレスサーバ910、デバイス904、断裁機908の各機器のメモリ上に記憶されるプログラムに基づいて、各機器に内蔵されるCPUが演算処理することにより実現される。ここで、その動作主体の理解を容易にするために、各機器(クライアントPC901、MISサーバ903、プリプレスサーバ910、デバイス904、断裁機908)の名称を用いて、その動作を説明する。
ステップS1001で、ユーザのクライアントPC901から発行されたジョブ902を、受注サーバ903を介して、プリプレスサーバ910は、自身に投入する。
ステップS1002で、ユーザは、クライアントPC901を介して、ジョブと同時にコストや納期等の発注情報を入力する。尚、この発注情報は、プリプレスサーバ910を介して、入力しても良い。
ステップS1003で、ユーザは、クライアントPC901を介して、ジョブ902に対する断裁設定において、印刷用紙に対する断裁線数か回転回数のどちらを重視するかを設定する。尚、この設定は、例えば、クライアントPC901のモニタ上で表示される断裁設定画面(図16)に基づいて実現することができる。そして、この断裁設定画面によって設定された設定情報を、プリプレスサーバ910が受信することになる。プリプレスサーバ910は、その受信した設定情報に基づいて、断裁線数の重要度(係数)α、回転回数の重要度(係数)βを決定する。
ステップS1004で、プリプレスサーバ910は、デバイス情報DB905及びオペレータDB906と通信を行い、断裁機908とそのオペレータに関する情報を取得する。プリプレスサーバ910は、受信した複数のジョブ(原稿データ)を印刷用紙上にレイアウトするためのレイアウト処理を行う。尚、このレイアウト処理の詳細については、後述する。また、このレイアウト処理により、複数のレイアウト候補が決定されることになる。
ステップS1005で、プリプレスサーバ910は、ステップS1004で決定された各レイアウト候補に対して、断裁手順を決定する断裁手順決定処理を実行する。尚、この断裁手順決定処理の詳細については、後述する。
ステップS1006で、プリプレスサーバ910は、ステップS1003で決定された係数α及びβと、ステップS1005で決定された断裁手順から、各レイアウト候補の断裁難易度を計算する。ここでは、尺度として、断裁処理時の断裁線数と印刷用紙の回転回数を用いる。具体的には、断裁難易度=断裁線数×α+回転回数×βを計算する。
ステップS1007で、プリプレスサーバ910は、全レイアウト候補から断裁難易度が最小のレイアウトを選択する。
ステップS1008で、プリプレスサーバ910は、ステップS1002で設定した発注情報から得られるコスト定数と、ステップS1007で選択したレイアウトの最小断裁難易度とを比較する。コスト定数が最小断裁難易度より大きい場合(ステップS1008でYES)、プリプレスサーバ910は、選択したレイアウトに基づいて、印刷データを生成し、デバイス904へ出力する。一方、コスト定数が最小断裁難易度以下である場合(ステップS1008でNO)、ステップS1002に進み、再度条件を入力する。
尚、プリプレスサーバ910が生成する印刷データは、決定されたレイアウトで複数のジョブをレイアウトし、かつ設定された断裁線及びその断裁順序を示す断裁順番号を印刷するためのデータとなっている。
ステップS1009で、デバイス904は、プリプレスサーバ910から受信した印刷データに設定されている印刷設定情報(最少断裁難易度のレイアウト)に基づいて、その印刷データの印刷を行う。
ステップS1010で、断裁機908は、ステップS1009で印刷された印刷物をレイアウト及び断裁線に従って断裁を行い、断裁された出力物909をユーザに納品して終了する。尚、印刷された印刷物をオフラインフィニッシャで後処理する場合には、その印刷物をオペレータが断裁機608へセットして、オペレータ操作(印刷用紙の回転)が介在する断裁処理を実行することになる。
[レイアウト処理]
次に、図10のステップS1004のレイアウト処理の詳細について、図11を用いて説明する。
図11は本発明の実施形態1のレイアウト処理の詳細を示すフローチャートである。
本動作は、具体的には、製本アプリケーション104のプログラムに基づいてCPU201が演算処理することにより実現されるが、理解を容易にすべく製本アプリケーション104の動作として説明する。
ステップS1101で、製本アプリケーション104は、レイアウトされるジョブの番号(ジョブ番号)を表すnを0に初期化する。ステップS1102で、製本アプリケーション104は、印刷用紙上にレイアウトされる印刷領域を表す変数m(印刷領域番号)を0に初期化する。
ステップS1103で、製本アプリケーション104は、印刷領域S[m]に用紙全面を設定する。ステップS1104で、製本アプリケーション104は、レイアウトされる印刷用紙上の印刷領域(印刷可能領域)の角を示すCに左上を示す0を設定する。ここで、C=0、1、2、3はそれぞれ矩形の印刷領域の左上、右上、右下、左下を示す。
ステップS1105で、製本アプリケーション104は、ジョブ数により以後のレイアウト処理を分岐する。ここで、ジョブ数が増えると、計算数が増えてパフォーマンスに影響があるため、いくつかのジョブ(原稿ページ)は予め決められたルールで配置する。ジョブ数が5未満である場合(ステップS1105でYES)、ステップS1106に進む。一方、ジョブ数が5以上である場合(ステップS1105でNO)、ステップS1107に進む。
まず、ジョブ数が5未満である場合について、以下に説明する。
ステップS1106で、製本アプリケーション104は、ジョブを投入時刻順にソートする。ステップS1108で、製本アプリケーション104は、ジョブ番号nがジョブ数より少ないか否かを判定する。ジョブ番号nがジョブ数未満である場合(ステップS1108でYES)、ステップS1109に進む。一方、ジョブ番号nがジョブ数以上である場合(ステップS1108でNO)、レイアウト処理を終了する。
ステップS1109で、製本アプリケーション104は、未レイアウトのジョブnの矩形領域の左上と、印刷領域S[m]の角Cを重ねて、他のジョブと重ならずにレイアウト可能であるか否かを判定する。レイアウト可能である場合(ステップS1109でYES)、ステップS1110に進む。一方、レイアウト不可能である場合(ステップS1109でNO)、ステップS1116に進む。
ステップS1110で、製本アプリケーション104は、ジョブnの矩形領域の左上を印刷領域S[m]の角Cにレイアウトする。ステップS1111で、製本アプリケーション104は、ジョブnのレイアウトフラグをONにする。ステップS1112で、製本アプリケーション104は、印刷領域S[m]の角Cを1加算する。
ステップS1113で、製本アプリケーション104は、用紙全面の角がレイアウトされていれば、さらに内部の未レイアウト領域を使用する。印刷領域S[0],C>3の場合、ジョブがレイアウトされていない未レイアウト領域を矩形に分割して印刷領域S[p]とする。分割された新規印刷領域は、これまでレイアウトされた印刷領域と辺を共有するため、新規印刷領域にレイアウトされたジョブは、既にレイアウトされたジョブと境界線を共有することが可能となる。
ステップS1114で、製本アプリケーション104は、ステップS1113で未レイアウト領域を分割した結果に合わせて、印刷領域番号mを再設定する。ステップS1115で、製本アプリケーション104は、ジョブ番号nを1加算して、次のジョブを処理する。その後、ステップS1108に戻る。
一方、ステップS1109で、レイアウト不可能である場合(ステップS1109でNO)、ステップS1116で、製本アプリケーション104は、ジョブnの矩形領域を90度回転する。ステップS1117で、製本アプリケーション104は、未レイアウトのジョブnの矩形領域の左上と、印刷領域S[m]の角Cを重ねて、他のジョブと重ならずにレイアウト可能であるか否かを判定する。レイアウト可能である場合(ステップS1117でYES)、ステップS1110に進む。一方、レイアウト不可能である場合(ステップS1117でNO)、ステップS1115に進む。
一方、ステップS1105で、ジョブ数が5以上である場合(ステップS1105でNO)、ステップS1107で、製本アプリケーション104は、ジョブを面積順にソートする。
ステップS1118で、製本アプリケーション104は、未レイアウトの面積最大のジョブの矩形領域の左上と、印刷領域S[m]の角Cを重ねて、他のジョブと重ならずにレイアウト可能であるか否か判定する。レイアウト可能である場合(ステップS1118でYES)、ステップS1119に進む。ステップS1119で、製本アプリケーション104は、面積が最大のジョブの矩形領域の左上を印刷領域S[m]の角Cにレイアウトする。ステップS1120で、製本アプリケーション104は、レイアウトされたジョブのレイアウトフラグをONにする。ステップS1121で、製本アプリケーション104は、印刷領域S[m]の角Cを1加算する。
一方、レイアウト不可能である場合(ステップS1118でNO)、ステップS1122に進む。ステップS1122で、製本アプリケーション104は、次に面積の大きなジョブを選択する。その後、ステップS1118に進む。
尚、図11のレイアウト処理では、処理対象のジョブを1つずつ印刷領域上に適宜配置して、その最終的なレイアウト位置を決定する構成としているが、これに限定されない。例えば、使用する印刷用紙のサイズや、各ジョブをレイアウトするために必要なレイアウトサイズ(仕上がりページサイズ)は、通常、処理時には、ジョブ自身あるいは設定情報から取得することが可能である。
そのため、印刷用紙のサイズに対して、配置するジョブ数、各ジョブのレイアウトサイズの組み合わせに基づく、最適なジョブレイアウトを予めテンプレートデータとして確保しておく。そして、処理時には、そのテンプレートデータを参照して、処理対象のジョブと条件が合致するテンプレートデータを選択して、そのテンプレートデータで定義されるレイアウトを、最終的なレイアウトとして決定することも可能である。
[レイアウト例]
図12は本発明の実施形態1の図11のレイアウト処理によるレイアウト例を示す図である。
図12(a)では、3つのジョブをレイアウトした例を示している。この場合、図11では、ステップS1106以降の処理が実行されることになる。
3つのジョブが投入された場合に、1つ目のジョブ1のレイアウト結果がレイアウト1201及びレイアウト1202である。レイアウト1202は、ジョブ1を90度回転してレイアウトしたものである。その後、残りのジョブを投入時刻順にレイアウトする。
ジョブ1のレイアウト結果に対して、2つ目のジョブ2をレイアウトした結果、レイアウト1204が生成される。ここで、ジョブが重なるレイアウト1203(×印)を除くと、4種類のレイアウトが可能となる。
ジョブ1、2のレイアウト結果に対して、ジョブ3をレイアウトした結果、レイアウト1206が生成される。ジョブが重なるレイアウト1205(×印)を除くと、最終的に6種類のレイアウトが可能となる。
そのため、この場合には、この6種類のレイアウト候補に対して、それぞれ断裁難易度が計算されることになる。
図12(b)は、5つのジョブをレイアウトした例を示している。この場合、図11のステップS1107以降の処理が実行されることになる。
面積最大のジョブ2を、領域1207にレイアウトする。その後、残りのジョブを面積順にレイアウトする。この場合、それぞれ領域1208、1209、1210及び1211に、ジョブ1、3、4及び5がレイアウトされる。尚、ジョブ4及び5については、ジョブ1及び3によって形成された領域にレイアウトされる。これにより、レイアウト済のジョブと領域の線を共有することが可能となる。
[断裁手順決定処理]
次に、図10のステップS1005の断裁手順決定処理の詳細について、図13を用いて説明する。
図13は本発明の実施形態1の断裁手順決定処理の詳細を示すフローチャートである。
本動作は、具体的には、製本アプリケーション104のプログラムに基づいてCPU201が演算処理することにより実現されるが、理解を容易にすべく製本アプリケーション104の動作として説明する。ここでは、以下の処理で成立する複数のレイアウトに対して、断裁線(点線)の位置と回転のタイミングを計算して、印刷後の断裁機による断裁手順を決定する。
まず、ステップS1301で、製本アプリケーション104は、印刷用紙上の断裁線数を表す変数CLを初期化(CL=0)する。ステップS1302で、製本アプリケーション104は、断裁処理時の印刷用紙の回転回数を示す変数Rotを初期化(Rot=0)する。ステップS1303で、製本アプリケーション104は、断裁線の優先度を表すNを初期化(N=1)する。ステップS1304で、製本アプリケーション104は、用紙全体の外枠を断裁線として設定する。
ステップS1305で、製本アプリケーション104は、Nに1加算する。ステップS1306で、製本アプリケーション104は、変数CLに4加算する。ステップS1307で、製本アプリケーション104は、変数Rotに2加算する。ステップS1308で、製本アプリケーション104は、各ジョブの矩形を構成する各辺を断裁線として設定する。ステップS1309で、製本アプリケーション104は、変数CLにステップS1308で設定した断裁線数(ジョブ数×4)を追加する。ステップS1310で、製本アプリケーション104は、重複して設定されている断裁線を削除する。
ステップS1311で、製本アプリケーション104は、ステップS1310で削除した断裁線数を変数CLから減算する。ステップS1312で、製本アプリケーション104は、レイアウトのY軸方向を走査して、ジョブの印刷領域にかからない断裁線を検索する。
ステップS1313で、製本アプリケーション104は、断裁線が存在するか否かを判定する。断裁線が存在しない場合(ステップS1313でNO)、ステップS1316に進む。一方、断裁線が存在する場合(ステップS1313でYES)、ステップS1314に進む。ステップS1314で、製本アプリケーション104は、ステップS1312で検索された断裁線に、優先度Nを設定する。ステップS1315で、製本アプリケーション104は、変数Rotに1加算する。
ステップS1316で、製本アプリケーション104は、優先度Nに1加算する。ステップS1317で、製本アプリケーション104は、レイアウトのX軸方向を走査して、ジョブの印刷領域にかからない断裁線を検索する。
ステップS1318で、製本アプリケーション104は、断裁線が存在するか否かを判定する。断裁線が存在しない場合(ステップS1318でNO)、ステップS1321に進む。一方、断裁線が存在する場合(ステップS1318でYES)、ステップS1319に進む。ステップS1319で、製本アプリケーション104は、ステップS1317で検索された断裁線に、優先度Nを設定する。ステップS1320で、製本アプリケーション104は、変数Rotに1加算する。
ステップS1321で、製本アプリケーション104は、優先度Nに1加算する。
ステップS1322〜ステップS1332で、ループ処理を実行する。この処理は、すべての断裁線に優先度が設定されるまで、ステップS1322〜ステップS1332の処理を繰り返す。
ステップS1323で、製本アプリケーション104は、優先度が設定済の断裁線により断裁処理後の各領域について、レイアウトのY軸方向を走査して、ジョブの印刷領域にかからない断裁線を検索する。
ステップS1324で、製本アプリケーション104は、断裁線が存在するか否かを判定する。断裁線が存在しない場合(ステップS1324でNO)、ステップS1327に進む。一方、断裁線が存在する場合(ステップS1324でYES)、ステップS1325に進む。ステップS1325で、製本アプリケーション104は、ステップS1323で検索された断裁線に、優先度Nを設定する。ステップS1326で、製本アプリケーション104は、変数Rotに1加算する。
ステップS1327で、製本アプリケーション104は、優先度Nに1加算する。
ステップS1328で、製本アプリケーション104は、優先度が設定済の断裁線により断裁処理後の各領域について、レイアウトのX軸方向を走査して、ジョブの印刷領域にかからない断裁線を検索する。
ステップS1329で、製本アプリケーション104は、断裁線が存在するか否かを判定する。断裁線が存在しない場合(ステップS1329でNO)、ステップS1332に進む。一方、断裁線が存在する場合(ステップS1329でYES)、ステップS1330に進む。ステップS1330で、製本アプリケーション104は、ステップS1328で検索された断裁線に、優先度Nを設定する。ステップS1331で、製本アプリケーション104は、変数Rotに1加算する。
ステップS1332で、製本アプリケーション104は、優先度Nに1加算する。
ステップS1322のループ処理の終了条件を満たさない場合、ステップS1323に進む。終了条件を満たす場合、断裁手順決定処理を終了する。
[断裁手順の設定例]
図14は本発明の実施形態1の断裁手順設定例を示す図である。
ここでは、あるレイアウトに対して、図13の断裁手順決定処理に基づいて、断裁手順を設定した例を示している。
印刷用紙1401上に、3つのジョブA、B、Cがレイアウトされている。印刷用紙1401の印刷領域の4辺と、各ジョブの印刷領域の4辺をそれぞれ断裁線とする。重複したものを除外すると、図14での断裁線は10本となる。
初めに、印刷用紙1401の印刷領域の外枠を表す線に、断裁線1、2、3、4を設定する。断裁線1、2の断裁後、印刷用紙1401を90度回転して断裁を行う必要があるため、回転回数を1加算する。
次に、縦軸方向の断裁線を走査して、各ジョブ領域にかからない断裁線を検索する。このとき、90度回転する(横軸で検索)ので、回転回数を1加算する。
図14ではジョブAとジョブB間の2本の線を、断裁線5、6として設定する。
次に、横軸でジョブの印刷領域にかからないに断裁線を検索するが、そのような線は存在しないため、ここでは断裁線に設定しない。また、回転回数も増やさない。
次に、断裁線5、6で断裁された場合に、作成される3つの矩形領域について、断裁手順を設定する。各矩形領域は以下のようになる。
矩形領域(1):断裁線5の左側(ジョブAとCを含む)
矩形領域(2):断裁線5と6の間(ジョブを含まない)
矩形領域(3):断裁線6の右側(ジョブBを含む)
この内、矩形領域(2)はジョブを含まないので除外する。矩形領域(1)について、断裁線を走査する。縦軸方向にジョブにかからない断裁線はみつからないため、設定しない。矩形領域(3)についても同様に断裁線は見つからないため設定しない。
次に、90度回転して、矩形領域(1)及び(3)について、ジョブにかからない断裁線を検索する。矩形領域(1)については、断裁線7と8を設定する。また、矩形領域(3)については、断裁線9を設定する。更に、回転回数を1加算する。
次に、矩形領域(1)を断裁線7と8で断裁することにより作成される矩形領域の内、断裁線8の下側の矩形領域を矩形領域(4)とする。再度、縦軸で矩形領域(4)の断裁線を検索すると断裁線10を設定できる。更に、回転回数を1加算する。
ここで、全ての断裁線を設定し終わったので、断裁手順の設定を終了する。
[断裁設定例]
図15は本発明の実施形態1の断裁設定例を示す図である。
ここでは、複数のレイアウト候補に対して、図13の断裁手順決定処理で断裁手順を設定した例を示している。
ここでは、レイアウト1501、1502、1503、1504、1505、1506の6つのレイアウトに対して断裁線と回転を設定している。図中( )内の番号は、各回転時の断裁を示す。つまり、(1)は、1回90度回転後の断裁を表す。この中では、レイアウト1504がもっとも断裁線数及び回転回数が少ないことが分かる。
つまり、図15のレイアウト候補それぞれにおいて得られる断裁難易度の内、レイアウト1504の断裁難易度が最小になることがわかる。
[レイアウト処理における重視項目設定UI]
図16は本発明の実施形態1の重要度を設定するための断裁設定画面の一例を示す図である。
図16の断裁設定画面1600は、図10のステップS1003において、レイアウト作成時に重視する項目を設定するための重視項目UI(ユーザインタフェース)である。このUIは、例えば、製本アプリケーション104によって生成され、必要に応じて、クライアントPC109のディスプレイに表示する。
断裁線数をできるだけ少なくしたいレイアウトを構築したい場合は、断裁設定画面1600上で「断裁線数を重視」(ボタンコントロール1601)を選択する。また、断裁時の回転回数を減らしたレイアウト構築したい場合は、設定画面1600上で「回転回数を重視」(ボタンコントロール1602)を選択する。
双方ともバランスよく考慮する場合は、断裁設定画面1600上で「両方とも重視」(ボタンコントロール1603)を選択する。
また、この断裁設定画面1600では、レイアウト作成時の制限値を入力することも可能である。制限値を入力する場合には、「制限値を入力」(ボタンコントロール1604)を選択すると、サブウインドウ1605が表示され、このサブウインドウ1605において、制限値として、断裁線数及び回転回数の数値を指定することが可能である。尚、この制限値に係る実施形態については、実施形態3として後述する。
そして、このサブウインドウ1605上で、数値の指定後、OKボタンが操作されると、サブウインドウ1605を閉じるとともに、その数値が制限値として一旦、コンピュータ9100のRAM9202に保持する。一方、キャンセルボタンが操作されると、サブウインドウ1605を閉じる。
断裁設定画面1600において、各種操作をした後、OKボタン1606が操作されると、操作に応じた設定値を、コンピュータ9100のRAM9202に保持する。一方、キャンセルボタン1607が操作されると、断裁設定画面1600を閉じる。
[断裁手順の印刷]
図17は本発明の実施形態1の印刷用紙上の断裁線(トンボ線)に断裁順番号の印刷例を示す図である。
オペレータは、この印刷手順に従って断裁処理を行うことで、断裁ミスを軽減することが可能となる。その際、断裁順番号は、余白領域に印刷される。
また、断裁順番号は余白領域中で、断裁後に必要としなくなる部分に印刷される。図17で、0番の断裁順番号は、断裁後は切り落とされた紙に記載されるため、処理済の断裁順番号を参照することがなくなり、その後の工程での断裁ミスを減らすことができる。そのためオペレータは、常に用紙上で最小の断裁順番号を探して断裁すればよい。
また、断裁順番号が印刷される向きは、断裁時に正方向となるよう印刷される。図17では、断裁順番号3は、図17の状態から90度回転して断裁を行うので、90度回転して番号を印刷する。
以上説明したように、実施形態1によれば、複数のジョブを1つの印刷用紙にレイアウトして印刷する際に、印刷後の印刷用紙に対する断裁処理の断裁線数や印刷用紙の回転回数が最小となるレイアウトの印刷データを生成することができる。
また、この印刷データを生成する際には、処理の重視項目として、断裁線数及び回転回数を重要視する比率を指定することができるので、使用する断裁機の仕様に応じて、より適切なレイアウトの印刷データを生成することができる。
<実施形態2>
実施形態1では、特に、複数のジョブを1つの印刷用紙にレイアウトして印刷する際に、印刷後の印刷用紙に対する断裁処理の断裁線数や印刷用紙の回転回数が最小となるレイアウトの印刷データを生成する構成について説明した。
これに対し、実施形態2では、実施形態1の構成を採用しつつ、特に、同一の断裁難易度のレイアウトが作成された場合に、その同一のレイアウトから所望のレイアウトあるいはそれ以外のレイアウトを選択することを可能にする構成について説明する。
図18は本発明の実施形態2の印刷製本システムの処理を示すフローチャートである。
本動作は、具体的には、クライアントPC901、MISサーバ903、プリプレスサーバ910、デバイス904、断裁機908の各機器のメモリ上に記憶されるプログラムに基づいて、各機器に内蔵されるCPUが演算処理することにより実現される。ここで、その動作主体の理解を容易にするために、各機器(クライアントPC901、MISサーバ903、プリプレスサーバ910、デバイス904、断裁機908)の名称を用いて、その動作を説明する。
ステップS1801で、ユーザのクライアントPC901から発行されたジョブ902を、受注サーバ903を介して、プリプレスサーバ910は、自身に投入する。
ステップS1802で、ユーザは、クライアントPC901を介して、レイアウト選択指示を入力する。尚、このステップS1802の処理は、通常は、ステップS1809からの処理から遷移する場合に実行される。
ステップS1803で、プリプレスサーバ910は、受信した複数のジョブを印刷用紙上にレイアウトするためのレイアウト処理を実行して、レイアウト候補となる全パターンのレイアウト作成を行う。ステップS1804で、プリプレスサーバ910は、ステップS1803で作成されたレイアウトに対して、断裁手順を決定する断裁手順決定処理を実行する。尚、この断裁手順決定処理の詳細については、後述する。
ステップS1805で、プリプレスサーバ910は、ステップS1805で決定された断裁手順から断裁難易度を計算する。ここでは、尺度として、断裁処理時の断裁千数と印刷用紙の回転回数を用いる。具体的には、断裁難易度=断裁線数×α+回転回数×βを計算する。尚、ここでは、α及びβは、予め設定されていても、別途、プリプレスサーバ910おいて設定しても良い。
ステップS1806で、プリプレスサーバ910は、ステップS1805で計算した断裁難易度を判定して、最小の断裁難易度のレイアウトを選択する。そして、選択した最小の断裁難易度を有するレイアウトが複数存在するか否かを判定する。複数存在する場合(ステップS1806でNO)、ステップS1807に進む。
ステップS1807で、プリプレスサーバ910は、ユーザに最小の断裁難易度を持つレイアウトが複数存在することを示すダイアログをクライアントPC901に提示して、ユーザが自らレイアウトを選択するかどうかの指示を受け付ける。
ダイアログを介して、ユーザが自らレイアウトを選択することの指示がある場合(ステップS1807でYES)、プリプレスサーバ910は、最小の断裁難易度を有するレイアウトからなるレイアウト確認画面をクライアントPC901に提示する。ユーザは、レイアウト確認画面の中から所望のレイアウトを選択することが可能である。特に、このレイアウト確認画面においてレイアウトが選択された場合、その選択されたレイアウトを特定した上で、ステップS1808に進む。
一方、レイアウト確認画面においてレイアウトが選択されない場合(ステップS1807でNO)、ステップS1809に進む。
ステップS1809で、プリプレスサーバ910は、レイアウト選択においてシステムのデフォルト設定に従うか否かを問い合わせる確認画面をクライアントPC901に提示する。その確認画面を介して、デフォルト設定に従う指示が入力された場合(ステップS1809でYES)、プリプレスサーバ910は、デフォルト設定のレイアウトを選択して、ステップS1808に進む。一方、デフォルト設定に従わない指示が入力された場合(ステップS1809でNO)、ステップS1802に戻り、プリプレスサーバ910は、ユーザが所望するレイアウトを選択するためのレイアウト選択画面をクライアントPC901に提示する。そして、このレイアウト選択画面を介して、ユーザが所望するレイアウト選択指示を入力する。
ステップS1806で最小の断裁難易度を持つレイアウトが唯一存在する場合、ステップS1807でユーザがレイアウトを選択した場合、あるいはステップS1809でデフォルト設定に従う場合、プリプレスサーバ910は、選択されたレイアウトに基づいて、印刷データを生成して、デバイス904へ出力する。
ステップS1808で、プリプレスサーバ910から受信した印刷データに設定されている印刷設定情報に基づいて、その印刷データの印刷を行う。
ステップS1810で、断裁機908は、ステップS1009で印刷された印刷物をレイアウト及び断裁線に従って断裁を行い、断裁された出力物909をユーザに納品して終了する。尚、印刷された印刷物をオフラインフィニッシャで後処理する場合には、その印刷物をオペレータが断裁機608へセットして、オペレータ操作(印刷用紙の回転)が介在する断裁処理を実行することになる。
[断裁手順決定処理]
次に、図18のステップS1804の断裁手順決定処理の詳細について、図19を用いて説明する。
図19は本発明の実施形態2の断裁手順決定処理を示すフローチャートである。
本動作は、具体的には、製本アプリケーション104のプログラムに基づいてCPU201が演算処理することにより実現されるが、理解を容易にすべく製本アプリケーション104の動作として説明する。
ステップS1901で、製本アプリケーション104は、印刷用紙上の断裁線数を表す変数CLを初期化(CL=0)する。ステップS1902で、製本アプリケーション104は、断裁処理時の印刷用紙の回転回数を示す変数Rotを初期化(Rot=0)する。ステップS1903で、製本アプリケーション104は、断裁線の優先度を表すNを初期化(N=1)する。ステップS1904で、製本アプリケーション104は、レイアウトされた全てのジョブ座標から、全ジョブの座標値の最小値P_min(Xmin,Ymin)と最大値P_max(Xmax,Ymax)を取得する。
ステップS1905で、製本アプリケーション104は、P_maxとP_minで矩形Rを作成し、その4辺を断裁線として設定する。ステップS1906で、製本アプリケーション104は、矩形RのY軸方向の線に、断裁優先度を表すNを設定する。ステップS1907で、製本アプリケーション104は、Nに1加算する。ステップS1908で、製本アプリケーション104は、変数CLに4加算する。ステップS1909で、製本アプリケーション104は、変数Rotに1加算する。
ステップS1910で、製本アプリケーション104は、レイアウトされた各ジョブの各辺を断裁線として設定する。ステップS1911で、製本アプリケーション104は、変数CLにステップS1910で設定した断裁線数(ジョブ数×4)を加算する。ステップS1912で、製本アプリケーション104は、重複して設定されている断裁線を削除する。
ステップS1913で、製本アプリケーション104は、ステップS1912で削除した断裁線数を変数CLから減算する。ステップS1914で、製本アプリケーション104は、レイアウトのY軸方向を走査して、ジョブの印刷領域にかからない断裁線を検索する。
ステップS1915で、製本アプリケーション104は、断裁線が存在するか否かを判定する。断裁線が存在しない場合(ステップS1915でNO)、ステップS1918に進む。一方、断裁線が存在する場合(ステップS1915でYES)、ステップS1916に進む。ステップS1916で、製本アプリケーション104は、ステップS1914で検索された断裁線に、優先度Nを設定する。ステップS1917で、製本アプリケーション104は、変数Rotに1加算する。
ステップS1918で、製本アプリケーション104は、優先度Nに1加算する。ステップS1919で、製本アプリケーション104は、矩形RのX軸方向の線に、断裁優先度を表すNを設定する。ステップS1920で、製本アプリケーション104は、Nに1加算する。ステップS1921で、製本アプリケーション104は、変数Rotに1加算する。
ステップS1922で、製本アプリケーション104は、レイアウトのX軸方向を走査して、ジョブの印刷領域にかからない断裁線を検索する。ステップS1923で、製本アプリケーション104は、断裁線が存在するか否かを判定する。断裁線が存在しない場合(ステップS1923でNO)、ステップS1926に進む。一方、断裁線が存在する場合(ステップS1923でYES)、ステップS1924に進む。ステップS1924で、製本アプリケーション104は、ステップS1922で検索された断裁線に、優先度Nを設定する。ステップS1925で、製本アプリケーション104は、変数Rotに1加算する。
ステップS1926で、優先度Nに1加算する。
ステップS1927〜ステップS1937で、ループ処理を実行する。この処理は、実施形態1の図13のステップS1322〜ステップS1322に対応するので、その説明は省略する。
以上説明したように、実施形態2によれば、実施形態1で説明した効果に加えて、同一の断裁難易度のレイアウトが複数種類存在する場合には、その中から、あるいは別のレイアウトをユーザに選択させることが可能となる。
これにより、必要に応じて、ユーザがより意図するレイアウトを選択することが可能となり、システムの柔軟性を向上することが可能となる。
<実施形態3>
実施形態3では、実施形態1の構成に加えて、断裁線数及び回転回数の制限値を入力する構成について説明する。
図20は本発明の実施形態3の印刷製本システムの処理を示すフローチャートである。
本動作は、具体的には、クライアントPC901、MISサーバ903、プリプレスサーバ910、デバイス904、断裁機908の各機器のメモリ上に記憶されるプログラムに基づいて、各機器に内蔵されるCPUが演算処理することにより実現される。ここで、その動作主体の理解を容易にするために、各機器(クライアントPC901、MISサーバ903、プリプレスサーバ910、デバイス904、断裁機908)の名称を用いて、その動作を説明する。
ステップS2001で、ユーザのクライアントPC901から発行されたジョブ902を、受注サーバ903を介して、プリプレスサーバ910は、自身に投入する。
ステップS2002で、ユーザは、クライアントPC901を介して、ジョブと同時にコストや納期等の発注情報を入力する。また、ユーザは、クライアントPC901を介して、断裁設定画面1600(図16)によって、断裁線数と断裁時の回転回数の制限値を入力することができる。
そこで、ステップS2003で、プリプレスサーバ910は、ユーザのクライアントPC901からの制限値の入力の有無を判定する。制限値の入力がある場合(ステップS2003でYES)、その制限値をRAM9202に記憶し、ステップS2005に進む。ステップS2005で、プリプレスサーバ910は、断裁設定画面1600に対する入力操作に応じて、断裁線数、回転回数の制限値を入力する。
一方、制限値の入力がない場合(ステップS2003でNO)、ステップS2004で、プリプレスサーバ910は、断裁処理を行うデバイスを選択する。インラインフィニッシャで断裁処理を行う場合、ステップS2007に進む。一方、ニアラインフィニッシャまたはオフラインフィニッシャで断裁処理を行う場合、ステップS2006に進む。ステップS2006で、プリプレスサーバ910は、オペレータDB906から断裁難易度係数α(断裁線数に対するもの)とβ(回転回数に対するもの)を取得する。
ステップS2007で、プリプレスサーバ910は、デバイス情報DB905から断裁難易度係数αとβを取得する。尚、既に、ステップS2006で断裁難易度係数αとβを取得済の場合は、それらの内の高いほうの数値を使用する。
ステップS2008で、プリプレスサーバ910は、所定のアルゴリズムに基づきジョブのレイアウト処理を行い、全てのレイアウトを生成する。ステップS2009で、プリプレスサーバ910は、ステップS2008で生成されたレイアウトに対して、断裁手順を決定する断裁手順決定処理を実行する。
ステップS2010で、プリプレスサーバ910は、ステップS2009で決定された断裁手順から断裁線数と回転回数を取得して、断裁難易度を計算する。ここでは、尺度として、断裁処理時の断裁線数と印刷用紙の回転回数を用いる。具体的には、断裁難易度=断裁線数×α+回転回数×βを計算する。
ステップS2011で、プリプレスサーバ910は、制限値が入力されているか否かを判定する。制限値が入力されている場合(ステップS2011でYES)、ステップS2012に進む。ステップS2012で、プリプレスサーバ910は、制限値に合致するレイアウトが存在するか否かを判定する。換言すれば、制限値以下の断裁線数と回転回数のレイアウトが存在するか否かを判定する。条件に合致するレイアウトが存在する場合(ステップS2012でYES)、プリプレスサーバ910は、それ以外のレイアウトを削除して、ステップS2013に進む。一方、条件に合致するレイアウトが存在しない場合(ステップS2012でNO)、ステップS2005に進み、クライアントPC901に対して、再度、制限値の入力を促す。
ステップS2013で、プリプレスサーバ910は、全レイアウト候補から断裁難易度が最小のレイアウトを選択する。そして、選択したレイアウトに基づいて、印刷データを生成し、デバイス904へ出力する。
ステップS2014で、デバイス904は、プリプレスサーバ910から受信した印刷データに設定されている印刷設定情報(最少断裁難易度のレイアウト)に基づいて、その印刷データの印刷を行う。
ステップS2015で、断裁機908は、ステップS2015で印刷された印刷物をレイアウト及び断裁線に従って断裁を行い、断裁された出力物909をユーザに納品して終了する。尚、印刷された印刷物をオフラインフィニッシャで後処理する場合には、その印刷物をオペレータが断裁機608へセットして、オペレータ操作(印刷用紙の回転)が介在する断裁処理を実行することになる。
[デバイスデータベースとオペレータデータベース]
次に、図20のステップS2006で参照するオペレータDB(データベース)と、ステップS2007で参照するデバイス情報DB(データベース)の一例について、図21を用いて説明する。
図21は本発明の実施形態3のオペレータDBとデバイス情報DBの概念図である。
デバイス情報DB2101は、デバイスの種別と、システムに接続された断裁機の能力情報を管理している。断裁機の能力情報は、直線の断裁能力と回転を行う能力を数値化したものである。
また、オペレータDB2102は、各オペレータの、デバイス毎の処理能力を数値化したものである。断裁機が、インラインフィニッシャである場合、直接、断裁機からその能力情報をプリプレスサーバが取得することが可能となるので、オペレータデータベースは参照されない。
以上説明したように、実施形態3によれば、実施形態1で説明した効果に加えて、断裁線数及び回転回数の制限値を設けることで、ユーザが意図する断裁線数及び回転回数に合致するレイアウトの印刷データを生成することができる。
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスクがある。また、更に、記録媒体としては、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、その接続先のホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。また、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。