図1は、本発明の各実施例としてのカラー複写機100の構成例を示す概念図である。
図1に示すカラー複写機100は、タンデム型のカラー用の画像形成装置の一例を構成するものであり、作像色毎に像担持体を備えて色画像を形成する装置である。この例で、カラー複写機100は、画像濃度補正モード及びドラム位置選定モードを備えている。ここに、画像濃度補正モードとは、像担持体に画像濃度補正用の印画像(以下濃度検知マークMdという)を形成し、当該濃度検知マークMdの画像濃度を読み取って、基準画像濃度に対する差分を算出し、該差分に基づいて画像濃度を補正する動作をいう。
また、ドラム位置選定モードとは、像担持体に濃度変動検知用のテストパターン(以下濃度変化検知ラインLdという)を形成し、当該濃度変化検知ラインLdの画像濃度を読み取って、像担持体で最も濃度変動が少ない画像形成位置を選定する動作をいう。
カラー複写機100は、複写機本体101と画像読取装置102とから構成される。複写機本体101の上部には、自動原稿給紙装置201と原稿画像走査露光装置202から成る画像読取装置102が設置されている。自動原稿給紙装置201の原稿台上に載置された原稿dは、図示しない搬送手段により搬送され、原稿画像走査露光装置202の光学系により原稿の片面又は両面の画像が走査露光され、原稿画像を反映する入射光がラインイメージセンサCCDにより読み込まれる。
ラインイメージセンサCCDにより光電変換されたアナログ画像信号は、図示しない画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正及び画像圧縮処理等がなされ、デジタルの画像情報となる。画像情報は半導体レーザを備えた書込みユニット3Y、3M、3C、3Kへ送られる。書込みユニット3Y、3M、3C、3Kは画像形成手段(部)を構成するものである。
複写機本体101には、画像形成部を構成する複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kが備えられ、各色毎に設けられた感光体ドラムにトナー像を形成すると共に当該トナー像を無終端状の中間転写体(以下中間転写ベルト6という)に転写してカラー画像を形成するようになされる。画像形成部には、再給紙機構(ADU機構)を含む給紙搬送手段や、トナー像を定着するための定着装置17等が含められる。
この例で、画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Y、帯電器2Y、書込みユニット3Y、現像器4Y及び像形成体用のクリーニング部8Yを有して、イエロー(Y)色の画像を形成するようになされる。例えば、中間転写ベルト6の右側上部に近接して感光体ドラム1Yが回転自在に設けられ、ドラム位置選定モード時に濃度変化検知ラインLdや、画像濃度補正モード時に濃度検知マークMd等のY色のトナー像を形成するようになされる。
濃度変化検知ラインLdはドラム1周相当分だけ形成される。この例で、感光体ドラム1Yは、図示しない駆動機構によって、反時計方向に回転される。感光体ドラム1Yの斜め右側下方には、帯電器2Yが設けられ、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電するようになされる。
感光体ドラム1Yのほぼ真横に対峙して書込みユニット3Yが設けられ、事前に帯電された感光体ドラム1Yに対して、Y色用の画像データに基づく所定の強度を有したY色用のレーザビーム光を走査するようになされる。ドラム位置選定モード時には濃度変化検知ラインLdを形成するY色用の画像データや、画像濃度補正モード時には、濃度検知マークMdを形成するY色用の画像データ等が使用される。
レーザビーム光は、例えば、Y色用のポリゴンミラーを回転して偏向走査される。いわゆるY色画像データの主走査方向への書込みである。主走査方向は、感光体ドラム1Yの回転軸に平行する方向である。感光体ドラム1Yは、副走査方向に回転する。副走査方向は、感光体ドラム1Yの回転軸に対して直交する方向である。この感光体ドラム1Yが副走査方向に回転し、かつ、レーザビーム光の主走査方向への偏向走査によって、感光体ドラム1YにはY色用の静電潜像が形成される。
書込みユニット3Yの上方には現像器4Yが設けられ、感光体ドラム1Yに形成されたY色用の静電潜像を現像するように動作する。現像器4Yは、図示しないY色用の現像ローラを有しており、その内部には磁石が配置され、現像器4Y内でキャリアとY色トナー剤を攪拌して 得られる2成分現像剤を感光体ドラム1Yの対向部位に回転搬送し、Y色のトナー剤により静電潜像を現像するようになされる。
感光体ドラム1Yに形成された、ドラム位置選定モード時や、画像濃度補正モード時のY色のトナー像は、1次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に転写される(一次転写)。感光体ドラム1Yの左側下方には、クリーニング部8Yが設けられ、前回の書込みで感光体ドラム1Yに残留したトナー剤を除去(クリーニング)するようになされる。
画像形成ユニット10Yの下方には画像形成ユニット10Mが設けられる。画像形成ユニット10Mは、感光体ドラム1M、帯電器2M、書込みユニット3M、現像器4M及び像形成体用のクリーニング部8Mを有して、マゼンタ(M)色の画像を形成するようになされる。画像形成ユニット10Mの下方には画像形成ユニット10Cが設けられる。画像形成ユニット10Cは、感光体ドラム1C、帯電器2C、書込みユニット3C、現像器4C及び像形成体用のクリーニング部8Cを有して、シアン(C)色の画像を形成するようになされる。
画像形成ユニット10Cの下方には画像形成ユニット10Kが設けられる。画像形成ユニット10Kは、感光体ドラム1K、帯電器2K、書込みユニット3K、現像器4K及び像形成体用のクリーニング部8Kを有して、ブラック(BK)色の画像を形成するようになされる。なお、画像形成ユニット10M〜10Kの構成及び機能については、画像形成ユニット10Yを参照されたい。
上述の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kには有機感光体(Organic Photo Conductor;OPC)ドラムが使用される。帯電器2Y,2M,2C,2Kにはスコロトロン帯電極が使用され、数百[V]単位の直流電圧が印加される。一次転写ローラ7Y,7M,7C及び7Kには、使用するトナー剤と反対極性(本実施例においては正極性)の一次転写バイアス電圧が印加される。
中間転写ベルト6は像担持体の一例を構成し、1次転写ローラ7Y,7M,7C及び7Kによって転写されたトナー像を重合してカラートナー像(カラー画像)を形成する。中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト6が時計方向に回転することで、2次転写ローラ7Aに向けて搬送される。2次転写ローラ7Aは中間転写ベルト6の下方に位置しており、通常の画像形成モード時に、中間転写ベルト6に形成されたカラートナー像を、給紙トレイ20A,20B又は20Cから搬送されてきた用紙に転写するようになされる(2次転写)。
2次転写ローラ7Aの左側には定着装置17が設けられ、カラー画像を転写された用紙を定着処理するようになされる。定着装置17は、定着ローラ、加圧ローラ及び加熱ヒータを有している。定着処理は、加熱ヒータによって加熱される定着ローラ及び加圧ローラの間に用紙を通過させることで、当該用紙が加熱・加圧される。定着後の用紙は、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。なお、ドラム位置選定モード時や、画像濃度補正モード時に中間転写ベルト6に転写されたカラートナー像は、別段、用紙に定着することを必要としない。
この例で、中間転写ベルト6の左側上方にはクリーニング部8Aが設けられ、転写後の中間転写ベルト6上に残存するトナー剤をクリーニングするように動作する。クリーニング部8Aは、中間転写ベルト6の電荷を除電する除電部や中間転写ベルト6に残留するトナー等を除去するパッドを有している。このクリーニング部8Aによってベルト面がクリーニングされ、除電部で除電された後の中間転写ベルト6は、次の画像形成サイクルに入る。
この複写機本体101のクリーニング部8Aの上流側であって、中間転写ベルト6上面を見通せる領域には、画像検出手段の一例となる画像濃度センサ12が設けられており、上述した画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kによって中間転写ベルト6に形成された各色毎の画像濃度補正用の濃度検知マークMdや、ドラム位置選定用の濃度変化検知ラインLdを検出するようになされる。
図2は、画像濃度センサ12による濃度変化検知ラインLdの検知例を示す斜視図である。図2に示す画像濃度センサ12は、中間転写ベルト面を見通せる領域であって、中間転写ベルト6のどちらか一方の端上に設けられ、ドラム位置選定モード及び画像濃度補正モード実行時で兼用される。
この例で、画像濃度センサ12は、画像濃度補正モード実行に先立って、ドラム位置選定モードが実行される。これは、各々の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kにおいて、最も濃度変動が少ない画像形成位置で形成された濃度検知マークMdの濃度検出に基づいて画像濃度補正を実行できるようにするためである。画像濃度センサ12は、ドラム位置選定モード実行時、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kによって中間転写ベルト6に形成された濃度変化検知ラインLd(ドラム位置選定ライン)を検出する。
図3A及びBは、感光体ドラム1Y等におけるトナー像濃度の変動例を示す図である。図3Aは、感光体ドラム1Yの画像形成面を展開した図である。
図3Aに示す感光体ドラム1Yの画像形成面に形成されたライン状のトナー像は、中間転写ベルト6に転写される。ドラム位置選定モード実行時、画像濃度センサ12がライン状のトナー像を検出すると、図3Bに示すようなトナー像濃度対ドラム位相の関係例を示すグラフが得られる。
図3Bにおいて、横軸はドラム位相0°,90°,180°,270°,360°である。縦軸は、トナー像濃度を示している。図中、Dtmは、感光体ドラム1周のトナー像濃度の平均値である。感光体ドラムに形成されたトナー像濃度は、ドラム回転軸の偏心等により、感光体ドラム1Yと現像器とのギャップが変動し、これにより、トナー像濃度の平均値を基準にして変化すると考えられる。
この例では、ドラム位置選定モード実行時、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにおいて、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K毎に濃度変化検知ライン用のトナー像を形成する。例えば、各作像色毎にドラム1回転の濃度変化が検出できる濃度変化検知ラインLdを作成する。その後、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト6に転写し、この中間転写ベルト6に転写された濃度変化検知ラインLdに基づくトナー像濃度を検出する。そして、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの各々で最も濃度変動が少ない画像形成位置を各々選定するようになされる。
その際の選定方法は、例えば、副走査方向の濃度変化検知ラインの書出し位置を保持し、その書出し位置からの位相を測定することで、最も濃度変動が少ない画像形成位置が特定される。このような濃度変動が少ない画像形成位置が各々選定された後に、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを介して中間転写ベルト6に、各色毎に、画像濃度補正用の複数の濃度検知マークMdを形成し、当該濃度検知マークMdの画像濃度を読み取って、基準画像濃度に対する濃度検知マークMdの画像濃度の差分を算出し、当該差分に基づいて画像濃度を補正するようになされる。
図4は、画像濃度センサ12による濃度検知マークMdの検知例を示す斜視図である。図4に示す画像濃度センサ12は、画像濃度補正モード実行時、中間転写ベルト6に形成された濃度検知マークMdを検出するようになされる。濃度検知マークMdは、パッチ画像データに基づいて画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kにより形成される。
画像濃度補正モードでは、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを介して中間転写ベルト6に、各色毎に、画像濃度補正用の複数の濃度検知マークMdを形成し、当該濃度検知マークMdの画像濃度を読み取って、基準画像濃度に対する濃度検知マークMdの画像濃度の差分を算出し、当該差分に基づいて画像濃度を補正するようになされる。画像濃度とは、画像データに基づくカラー画像を中間転写ベルト6上に再現する場合に、Y色、M色、C色、K色等の各々のトナー像付着量をいう。この画像濃度は、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに対するトナー像付着量を調整することで補正される。
図5A及びBは、画像濃度センサ12による濃度検知マークMdの検知例(その2)を示す図である。図5Aは、濃度検知マークMdの検知例を示す上面図である。
図5Aに示す濃度検知マークMdは、図示しない中間転写ベルト6が副走査方向(紙面の右側から左側に)に搬送されることで、画像濃度センサ12の配置領域下を通過する。このとき、濃度検知マークMdは、画像濃度センサ12によって読み取られる。例えば、画像濃度センサ12の発光素子から光が濃度検知マークMdへ照射され、その反射光を受光素子で検知するようになされる。
図5Bは、濃度検出信号S2の波形例を示す図である。図5Bにおいて、縦軸は、濃度検出信号S2の振幅レベル(以下濃度検出レベルともいう)である。横軸は時間(時刻)tである。図5Bに示す濃度検出レベルによれば、濃度検知マークMdが正常に形成されていると、ベルト検出レベルL2とパッチ検出レベルL1とが明確に区分されて検出される。特に、同一濃度検知マークMd内に複数の検出ポイントを設定して、サンプリングした場合であって、濃度検知マークMdが正常な場合は、パッチ検出レベルL1内にベルト検出レベルL2やそれに近似するレベルが入り混じって検出されることがない。
この例で、図5Bに示す濃度検出信号波形に8個のサンプル点を設定し、制御手段15は一定の間隔でサンプリングし、このサンプリング結果から濃度検出レベルを算出する。図5Bにおいて、時刻t1でパッチ検出レベルL11を示すデータD1が得られ、同様にして、時刻t2〜t8でパッチ検出レベルL12〜L18を示すデータD2〜D8が得られる。これらのデータD1〜D8によるパッチ検出レベルL11〜L18の平均値(L11+L12+L13+L14+L15+L16+L17+L18)/8を算出すると、この平均値から当該濃度検知マークMdの画像濃度レベル(=パッチ検出レベルL1)を得ることができる。
図6は、カラー複写機100の画像転写系#I及び画像形成系#IIの構成例を示すブロック図である。図7は、その画像濃度補正系#IIIの構成例を示すブロック図である。
図6に示すカラー複写機100は、図1に示した中間転写ベルト6や画像濃度センサ12、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K等を含む処理系を画像転写系Iとし、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを画像形成系#IIとして抜き出し、図7に示す画像濃度補正系#IIIは、画像形成系#IIから各々の感光体ドラムの駆動制御部5Y、5M、5C、5Kや画像濃度補正制御部51を抜き出したものである。
図6において、カラー複写機100は、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、画像濃度センサ12、不揮発メモリ14、制御装置15、操作部16、表示部18及び画像処理部70を有している。制御装置15には、画像濃度補正制御部51が備えられる。
画像処理部70は、画像処理回路71、Y−信号切換部72Y、M−信号切換部72M、C−信号切換部72C及び、K−信号切換部72Kを有して構成される。画像処理回路71には図示しないメモリが設けられ、画像濃度補正モード時の濃度検知マーク用の画像データDy’及びドラム位置選定モード時の濃度変化検知ライン用の画像データDy”が格納される。
画像処理回路71は、画像処理制御信号S4に基づいて、画像データDy、Dy’又はDy”をメモリから読み出してY−信号切換部72Yに出力する。Y−信号切換部72Yは、ドラム位置選定モード時、濃度変化検知ライン用の画像データDy”を書込選択信号S5に基づいて選択し、この画像データDy”をY色用の書込みデータWyとして書込みユニット3Yに出力する。画像濃度補正モードには、濃度検知マーク用の画像データDy’を書込選択信号S5に基づいて選択し、この画像データDy’をY色用の書込みデータWyとして書込みユニット3Yに出力する。
なお、画像処理回路71には、R、G、B色用の画像信号又は、Y,M,C,K色用の画像信号が入力され、通常の画像形成モード時、Y−信号切換部72Yは、通常の画像形成用の画像データDyを書込選択信号S5に基づいて選択し、この画像データDyをY色用の書込みデータWyとして書込みユニット3Yに出力する。他のM−信号切換部72M、C−信号切換部72C及び、K−信号切換部72Kについても、Y−信号切換部72Yと同じ構成及び機能を有しているのでその説明を省略する。
画像形成ユニット10Yでは、画像処理部70から出力されるY色用の書込みデータWy=画像データDy”、Dy’又はDyに基づいて感光体ドラム1Yに濃度変化検知ライン用、濃度検知マーク用又は通常の画像形成用の静電潜像を形成するようになされる。これらの静電潜像は、現像器4Yによって現像される。現像器4Yにより現像されたY色の濃度変化検知ライン用、濃度検知マーク用又は通常の画像形成用のトナー像は、1次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に転写される(一次転写)。他の画像形成ユニット10M〜10Kの構成及び機能については、画像形成ユニット10Yを参照されたい。画像形成ユニット10M〜10Kでも、画像形成ユニット10Yと同様にして処理される。上述の画像処理制御信号S4及び書込選択信号S5は制御装置15から画像処理部70に出力される。
制御装置15には画像濃度センサ12が接続され、ドラム位置選定モード実行時、中間転写ベルト6に形成された濃度変化検知ラインLd(ドラム位置選定ライン)を検出して濃度検出信号S2’(濃度検出情報)を出力する。画像濃度センサ12には、反射型の光学センサやイメージセンサ等が使用される。これらのセンサには、発光素子及び受光素子が備えられ、光が発光素子から濃度検知マークMdへ照射され、その反射光を受光素子で検知するようになされる。
制御装置15は、濃度検出信号S2’に基づいてY,M,C,Kの各色,用の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで最も濃度変動が少ない画像形成位置を選定する。
例えば、制御装置15は、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに濃度変化検知ラインLdを形成し、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに形成されたトナー像を中間転写体に転写するように画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを制御し、中間転写体に転写されたトナー像濃度を検出するように画像濃度センサ12を制御し、画像濃度センサ12から得られる濃度検出信号S2’に基づいて感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで最も濃度変動が少ない画像形成位置を選定する。濃度変化検知ラインLdは、各作像色毎に感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの1回転の濃度変化を検出できる濃度変動検知用のテストパターンである。
画像濃度補正モード実行時には、制御装置15が、ドラム位置選定モードにより選定された感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの画像形成位置に、所定の画像濃度を有する濃度検知マーク用のトナー像を形成し、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに形成されたトナー像を中間転写体に転写するように画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを制御する。画像濃度センサ12は、中間転写ベルト6上に形成された濃度検知マークMdを検出して濃度検出信号S2を出力する。制御装置15は、画像濃度センサ12から得られる濃度検出信号S2に基づいて画像濃度を補正する。
例えば、制御装置15は、画像濃度センサ12から得られる濃度検出信号S2をサンプリングして、当該濃度検知マークMdにおける複数の検出ポイントでの画像濃度を示すレベル(以下パッチ検出レベルL1xという)を検出する。画像濃度補正モードでは、各色毎に同一濃度検知マークMd内を複数の検出ポイントで濃度検知をして得られた濃度検出値の平均値を算出し、この平均値を濃度検知マークMdの画像濃度(パッチ検出レベルL1)とするようになされる。
制御装置15は、画像濃度補正モード時、画像濃度センサ12から得られる濃度検出信号S2をアナログ・デジタル変換した後の画像濃度データDgに基づいて現像器3Y,3M,3Cのトナー剤付着量を制御する(図7参照)。制御装置15には不揮発メモリ14が接続されており、画像濃度データDgや画像濃度補正データDεが記憶される。不揮発メモリ14にはハードディスクやEEPROM等が使用される。
制御装置15には操作部16が接続され、通常のプリントモード時にユーザによって画像形成条件等の操作データD31が入力される。操作はユーザによってなされる。制御装置15には操作部16の他に表示部18が接続され、例えば、表示データDvに基づいて画像濃度補正モード内容を表示するようになされる。表示部18には液晶ディスプレイが使用され、液晶ディスプレイは、操作部16を構成する図示しないタッチパネルと組み合わせて使用される。
図7に示す画像濃度補正制御部51には駆動手段の一例を構成するYドラム制御&駆動部5Y、Mドラム制御&駆動部5M、Cドラム制御&駆動部5C、Kドラム制御&駆動部5Kが接続され、各作像色毎に感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの回転を個別に制御及び駆動するようになされる。
Yドラム制御&駆動部5Yは位相指令値Sφyに基づいて感光体ドラム1Yの位相制御をする。Yドラム制御&駆動部5Yには図示しない制御量算出用のローカル・CPUや速度指令部が設けられ、基準クロックをカウントして感光体ドラム1Yの位相を調整するようになされる。例えば、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの各々が反時計方向に回転する場合、基準となる感光体ドラム1Kに比べて位相が進んでいる場合は、回転速度を低下させて感光体ドラム1Yの位相を時計方向に遅らせるようになされる。反対に、感光体ドラム1Kに比べて位相が遅れている場合は、回転速度を上昇させて感光体ドラム1Yの位相を反時計方向に進めるようになされる。
Yドラム制御&駆動部5Yには感光体ドラム1Yにおいて、図示しない駆動部が接続される。駆動部には例えば、DCブラシレスモータが使用される。Yドラム駆動制御部5Yは、位相指令値Sφyに基づく速度指令値を駆動部に出力して感光体ドラム1Yを位相制御するようになされる。Yドラム制御&駆動部5Yは、例えば、感光体ドラム1Yに関する位相制御を終了すると、画像濃度補正制御部51に動作基準信号Fyを出力する。
なお、Mドラム制御&駆動部5M、Cドラム制御&駆動部5C及びKドラム制御&駆動部5Kも、Yドラム制御&駆動部5Yと同様にして、各々の感光体ドラム1M,1C,1Kにおいて、図示しない駆動部が接続される。Mドラム駆動制御部5Mは、位相指令値Sφmに基づく速度指令値を駆動部に出力して感光体ドラム1Mを位相制御するようになされる。Cドラム駆動制御部5Cは、位相指令値Sφcに基づく速度指令値を駆動部に出力して感光体ドラム1Cを位相制御するようになされる。Kドラム駆動制御部5Kは、位相指令値Sφkに基づく速度指令値を駆動部に出力して感光体ドラム1Kを位相制御するようになされる。
Mドラム制御&駆動部5Mは、例えば、感光体ドラム1Mに関する位相制御を終了すると、画像濃度補正制御部51に動作基準信号Fmを出力する。Cドラム制御&駆動部5Cは、例えば、感光体ドラム1Cに関する位相制御を終了すると、画像濃度補正制御部51に動作基準信号Fcを出力する。画像濃度補正制御部51は、例えば、感光体ドラム1Kを基準にしたとき、動作基準信号Fy,Fm,Fcが揃った時点で、4色同時書込みモードを実行するようになされる。
4色同時書込みモードとは、最も濃度変動が少ない画像形成位置として選定された箇所に関して、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの回転を個別に制御及び駆動して、所定のドラム間ピッチに位相を合わせ、位相合わせ後の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに濃度検知マーク用の画像データDy,Dm,Dc,Dk(第2のテストパターン)を同時に書込み、4色のトナー像を同時に形成する動作をいう。4色同時書込みモードについては第2の実施例で説明する。
現像器4Yは、画像濃度補正制御部51から供給される現像補正信号Syに基づいて感光体ドラム1Yへのトナー剤の付着量を調整するようになされる。例えば、感光体ドラム1Yと現像器4Yとの間のバイアス電圧を調整し、このバイアス電圧が調整された現像器4Yから感光体ドラム1Yへ、Y色用の2成分現像剤を搬送付着するようになされる。この感光体ドラム1Yに形成されたY色のトナー像は、図1に示した1次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に転写される(1次転写)。他の現像器4M,4C,4Kも同様に構成される。
続いて、本発明に係る画像形成方法に関して第1の画像濃度補正例について説明する。図8は第1の実施例としての画像濃度補正例を示すフローチャートである。
この実施例では、作像色毎に感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kにトナー像を形成し、これらのカラートナー画像を中間転写ベルト6に転写してカラー画像を形成する場合であって、各色の画像濃度補正制御時に、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの使用する箇所を限定し、中間転写ベルト6上のテストパターンパッチ画像の濃度を検出して印字濃度を補正する場合を例に採る。
これらを画像形成条件にして図8に示すフローチャートのステップA1でドラム1周の濃度変動検出用のパターンとして、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに濃度変化検知ライン用のトナー像(第1のテストパターン)を形成する。このとき、画像処理回路71では、画像処理制御信号S4に基づいて、濃度変化検知ライン用の画像データDy”がメモリから読み出されてY−信号切換部72Yに出力される。Y−信号切換部72Yは、画像データDy”を書込選択信号S5に基づいて選択し、この画像データDy”をY色用の書込みデータWyとして書込みユニット3Yに出力する。他のM−信号切換部72M、C−信号切換部72C及び、K−信号切換部72Kについても、Y−信号切換部72Yと同様に動作される。
画像形成ユニット10Yでは、Y色用の書込みデータWy=画像データDy”、に基づいて感光体ドラム1Yに濃度変化検知ライン用の静電潜像を形成するようになされる。この静電潜像は、現像器4Yによって現像される。現像器4Yにより現像されたY色の濃度変化検知ライン用のトナー像は、1次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に転写される(一次転写)。他の画像形成ユニット10M〜10Kについても、同様に動作する。
次に、ステップA2で画像濃度センサ12は、中間転写ベルト6の濃度変化検知ラインを読み込んで濃度検出情報を取得する。例えば、画像濃度センサ12は、中間転写ベルト6に形成された濃度変化検知ラインLd(ドラム位置選定ライン)を検出して濃度検出情報となる濃度検出信号S2’を制御装置15に出力する。
そして、ステップA3で制御装置15は、各々の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで最も濃度変動が少ない画像形成位置を選定する。例えば、制御装置15は、副走査方向の濃度変化検知ラインの書出し位置を保持し、その書出し位置からの位相を測定することで、最も濃度変動が少ない画像形成位置が特定される。これにより、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの1周内のトナー像濃度の変動の影響を受けない画像形成位置を特定することができ、各色の感光体ドラム1回転のうちの補正制御に使用する箇所を選定できるようになる。
そして、ステップA4で制御装置15は、他の作像色の画像濃度情報の取得処理が有る否かを判別する。他の作像色の画像濃度情報の取得処理が有る場合は、ステップA1に戻って上述の処理を繰り返すようになされる。他の画像形成ユニット10M〜10Kについても、画像形成ユニット10Yと同様に動作する。
他の作像色の画像濃度情報の取得処理が無い場合は、ステップA5に移行して感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの各々の選定箇所へ濃度検知マーク用のトナー像(第2のテストパターン)を形成する。このとき、画像処理部70では、濃度検知マーク用の画像データDy’を書込選択信号S5に基づいて選択し、この画像データDy’をY色用の書込みデータWyとして書込みユニット3Yに出力する。他のM−信号切換部72M、C−信号切換部72C及び、K−信号切換部72Kについても、Y−信号切換部72Yと同様に動作される。
更に、制御装置15は画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを制御して、先のドラム位置選定モードにより選定された感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの画像形成位置に、所定の画像濃度を有する濃度検知マーク用のトナー像を形成する。
画像形成ユニット10Yでは、画像処理部70から出力されるY色用の書込みデータWy=画像データDy’に基づいて感光体ドラム1Yに濃度検知マーク用の静電潜像を形成するようになされる。この静電潜像は、現像器4Yによって現像される。現像器4Yにより現像されたY色の濃度検知マーク用のトナー像は、1次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に転写される(一次転写)。他の画像形成ユニット10M〜10Kについても、同様に動作する。
その後、ステップA6で画像濃度センサ12は中間転写ベルト6上の濃度検知マーク用のトナー像の濃度を読み込んで濃度検出情報を取得する。例えば、画像濃度センサ12は、中間転写ベルト6に形成された濃度検知マーク(パッチ画像)を検出して濃度検出情報となる濃度検出信号S2を制御装置15に出力する。そして、ステップA7で制御装置15は、画像濃度センサ12からの濃度検出信号S2に基づいて画像濃度を補正する。例えば、画像濃度補正制御部51は、画像濃度センサ12から得られた濃度検出信号S2をサンプリングして、当該濃度検知マークMdにおける複数の検出ポイントでのパッチ検出レベルL1xを検出する。制御装置15は、各色毎に同一濃度検知マークMd内を複数の検出ポイントで濃度検知をして得られた濃度検出値の平均値を算出し、この平均値を濃度検知マークMdの画像濃度(パッチ検出レベルL1)となされる。
画像濃度補正制御部51はパッチ検出レベルL1を各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kへの濃度補正データに反映するようになされる。例えば、現像器4Yは、画像濃度補正制御部51から供給される現像補正信号Syに基づいて感光体ドラム1Yへのトナー剤の付着量を調整する。これにより、画像濃度補正モード時のトナー像の濃度検出信号S2に基づいて画像濃度を補正できるようになる。
このように、第1の実施例に係るカラー複写機及び画像形成方法によれば、画像濃度補正時、制御装置15は、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで最も濃度変動が少ない画像形成位置を選定する。上述した例では、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに、ドラム1回転の濃度変化を検出可能な濃度変化検知ラインを成すトナー像(第1のテストパターン)を形成し、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト6に転写し、中間転写ベルト6に転写されたトナー像濃度を検出して感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで最も濃度変動が少ない画像形成位置を選定する。ここに選定された感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの画像形成位置に濃度検知マーク用のトナー像(第2のテストパターン)を形成し、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト6に転写するように画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを制御するようになる。
従って、最も濃度変動が少ない画像形成位置から中間転写ベルト6に転写されたトナー像の濃度により画像濃度補正を実行できるようになる。これにより、濃度変動を含んだ画像形成位置から中間転写ベルト6に転写されたトナー像の濃度により画像濃度を補正する場合に比べて高精度に画像濃度補正制御を実行できるようになる。しかも、トナー像濃度の安定化制御時に、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの限定箇所(1周の濃度ムラの所定な部分)のみを使用することで、安定化制御時の不安定要因を抑制できるようになる。
なお、制御装置15は、各作像色毎に選定された感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで最も濃度変動が少ない画像形成位置を各作像色同時書き込み位置に揃え込む位相制御を実行する(実施例2参照)。
図9A〜Dは、第2の実施例としての4色同時書込モード時の位相制御例を示す図であり、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kのトナー像濃度検知例を示すグラフ図である。
この実施例では、ドラム1周の濃度変動を検出して使用箇所を決定し、Y,M,C,Kの4色同時書込みモードによる濃度検出を実行することにより、効率良くテストパターン及びそのトナー像濃度を検出できるようにした。
この例では、図1に示したタンデム型のカラー複写機100において、Y,M,C,Kの各色の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、Yドラム制御&駆動部5Y、Mドラム制御&駆動部5M、Cドラム制御&駆動部5C、Kドラム制御&駆動部5K、画像濃度センサ12及び画像濃度補正制御部51を備え、位相制御時、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの回転を個別に制御及び駆動して位相を合わせ、4色同時書込モードにおいて、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに濃度検知マーク用のトナー像(第2のテストパターン)を形成し、その後、中間転写ベルト6上に転写されたトナー像の濃度を検出し、各色の第2のテストパターンの濃度の検出結果に基づいて印字濃度を補正するようになされる。
図9A〜Dにおいて、横軸はドラム位相であり、図中の0°は、いずれも、位相制御時の濃度変化検知ラインの副走査方向におけるトナー像濃度変動の測定開始点である。縦軸はトナー像濃度であり、濃度変化検知ラインを検出して得た画像検出信号S2’に基づくものである。
この例で、濃度変化検知ライン用のトナー像を各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで同時に書き込んだ場合であって、図9Aに示す曲線Iは、Y色用の感光体ドラム1Yにおけるトナー像濃度の1周検知結果例である。この例では、位相270°の点が最も濃度変動が少ない画像形成位置として選定される。図9A〜Dにおいて、最も濃度変動が少ない画像形成位置の選定基準は、各色ドラム1周の濃度変動のうち、トナー像濃度の平均値が長く得られる箇所を選定する場合とする。
図9Bに示す曲線IIは、M色用の感光体ドラム1Mにおけるトナー像濃度の1周検知結果例である。この例では、位相210°の点が最も濃度変動が少ない画像形成位置として選定される。図9Cに示す曲線IIIは、C色用の感光体ドラム1Cにおけるトナー像濃度の1周検知結果例である。この例では、位相45°の点が最も濃度変動が少ない画像形成位置として選定される。図9Dに示す曲線IVは、K色用の感光体ドラム1Kにおけるトナー像濃度の1周検知結果例である。この例では、位相120°の点が最も濃度変動が少ない画像形成位置として選定される。
このような各々の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで最も濃度変動が少ない画像形成位置は、制御装置15が副走査方向の濃度変化検知ラインの書出し位置を保持し、その書出し位置からの位相を測定することで、最も濃度変動が少ない画像形成位置を特定するようになされる。
図10A〜Dは、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの位相制御例(その1)を示すドラム回転軸の方向から見た図である。図10A〜Dにおいて、図中の0°は、いずれも、位相制御時の濃度変化検知ラインの副走査方向におけるトナー像濃度変動の測定開始点である。
図10Aに示すY色用の感光体ドラム1Yでは、位相270°の点が最も濃度変動が少ない画像形成位置Pyとして選定された箇所である。この選定箇所のY色のトナー像は、書込みユニット3Yにより濃度変化検知ライン用の画像データDy’が感光体ドラム1Yに書き込まれ、現像器4Yにより現像された濃度変化検知ラインLdである。
図10Bに示すM色用の感光体ドラム1Mでは、位相210°の点が最も濃度変動が少ない画像形成位置Pmとして選定された箇所である。この選定箇所のM色のトナー像は、書込みユニット3Mにより濃度変化検知ライン用の画像データDm’が感光体ドラム1Mに書き込まれ、現像器4Mにより現像された濃度変化検知ラインLdである。
図10Cに示すC色用の感光体ドラム1Cでは、位相45°の点が最も濃度変動が少ない画像形成位置Pcとして選定された箇所である。この選定箇所のC色のトナー像は、書込みユニット3Cにより濃度変化検知ライン用の画像データDc’が感光体ドラム1Cに書き込まれ、現像器4Cにより現像された濃度変化検知ラインLdである。
図10Dに示すK色用の感光体ドラム1Kでは、位相120°の点が最も濃度変動が少ない画像形成位置Pkとして選定された箇所である。この選定箇所のK色のトナー像は、書込みユニット3Kにより濃度変化検知ライン用の画像データDk’が感光体ドラム1Kに書き込まれ、現像器4Kにより現像された濃度変化検知ラインLdである。
この例では、最も濃度変動が少ない画像形成位置Py,Pm,Pc,Pkとして選定された箇所に関して、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの回転を個別に制御及び駆動して、所定のドラム間ピッチに位相を合わせるようになされる。これは画像濃度補正モード時に、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに濃度検知マーク用の画像データDy,Dm,Dc,Dk(第2のテストパターン)を同時に書込み、4色のトナー像を同時に形成するためである(以下4色同時書込みモードという)。このように、ドラム位相合わせ+同時書き込み動作を実行することにより、画像濃度補正時間を短縮できるようになる。
図11A〜Dは、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの位相制御例(その2)を示すドラム回転軸の方向から見た図である。図11A〜Dにおいて、図中の0°は、いずれも、位相制御時の濃度変化検知ラインの副走査方向におけるトナー像濃度変動の測定開始点である。
図11Aに示すPyは感光体ドラム1Yにおける位相制御後の画像形成位置である。図10Aに示した最も濃度変動が少ない画像形成位置Pyとして選定された箇所(270°)を位相制御することにより、各作像色の同時書き込み位置(K色基準=120°又は300°)に揃え込むようになされる。例えば、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの各々が反時計方向に回転し、ドラム間ピッチを1周の1/2としたとき、図10Aに示した例では、基準となる感光体ドラム1Kに比べて位相が30°だけ遅れている場合となる。
この場合、Yドラム制御&駆動部5Yでは、位相指令値Sφyに基づいて回転速度を数十%程度上昇させ、基準クロックをカウントして感光体ドラム1Yの位相が30°だけ進んだ時点で元の回転速度に戻すような制御がなされる。この制御により、最も濃度変動が少ない画像形成位置Pyとして選定された箇所に関して、所定のドラム間ピッチ180°に位相を合わせることができる。
図11Bに示すPmは感光体ドラム1Mにおける位相制御後の画像形成位置である。図10Bに示した最も濃度変動が少ない画像形成位置Pmとして選定された箇所(210°)を位相制御をすることにより、各作像色の同時書き込み位置(K色基準=120°)に揃え込むようになされる。感光体ドラム1Yと同様に感光体ドラム1Mが反時計方向に回転し、ドラム間ピッチを1周の1/2としたとき、図10Bに示した例では、基準となる感光体ドラム1Kに比べて位相が90°だけ進んでいる場合となる。
この場合、Mドラム制御&駆動部5Mでは、位相指令値Sφmに基づいて回転速度を数十%程度低下させ、基準クロックをカウントして感光体ドラム1Mの位相を90°だけ遅れるように制御される。この制御により、最も濃度変動が少ない画像形成位置Pmとして選定された箇所に関して、所定のドラム間ピッチ180°に位相を合わせることができる。
図11Cに示すPcは感光体ドラム1Cにおける位相制御後の画像形成位置である。図10Cに示した最も濃度変動が少ない画像形成位置Pcとして選定された箇所(45°)を位相制御をすることにより、各作像色の同時書き込み位置(K色基準=300°)に揃え込むようになされる。感光体ドラム1Y,1Mと同様に感光体ドラム1Cが反時計方向に回転し、ドラム間ピッチを1周の1/2としたとき、図10Cに示した例では、基準となる感光体ドラム1Kに比べて位相が105°だけ進んでいる場合となる。
この場合、Cドラム制御&駆動部5Cでは、位相指令値Sφcに基づいて回転速度を数十%程度低下させ、基準クロックをカウントして感光体ドラム1Cの位相を105°だけ遅らせるように制御される。この制御により、最も濃度変動が少ない画像形成位置Pcとして選定された箇所に関して、所定のドラム間ピッチ180°に位相を合わせることができる。
図12A〜Iは、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの位相制御例(その3)を示す動作タイムチャートである。この例では、4色同時書込みモード時、ドラム間ピッチをドラム1周の1/2(180°)とした場合であって、K色用の感光体ドラム1Kの選定箇所(120°)に他色用の感光体ドラム1Y,1M,1Cのドラム位相を合わせる場合を例に挙げる。
図12A〜Iにおいて、図中の横軸はいずれも、時間tである。図12Aに示す基準クロックCLKは、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの駆動部に印加する電圧Vy,Vm,Vcをサンプリングする周波数fの基準信号(パルス信号)である。
図中、T1は、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの駆動部に100%の電圧Vk,Vy,Vm,Vcを印加することで、N回転が得られる時間である。この例で、N+1回転(+360°位相が進む)を得るためには、T1時間中に110%の電圧Vk,Vy,Vm,Vcを印加するようになされる。反対に、N−1回転(−360°位相が遅れる)を得るためには、T1時間中に90%の電圧Vk,Vy,Vm,Vcを印加するようになされる。
つまり、位相を180°進める場合は、110%の電圧Vk,Vy,Vm,VcをT2=T1/2時間だけ感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの駆動部に印加し、反対に、位相を180°遅らせる場合は、90%の同電圧をT2時間だけ印加する。
位相を90°進める場合は、110%の電圧Vk,Vy,Vm,VcをT3=T1/4時間だけ感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの駆動部に印加し、反対に、位相を90°遅らせる場合は、90%の同電圧をT3時間だけ印加するようになされる。
更に、位相を45°進める場合は、110%の電圧Vk,Vy,Vm,VcをT4=T1/8時間だけ感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの駆動部に印加し、反対に、位相を45°遅らせる場合は、90%の同電圧をT4時間だけ印加する。また、位相を30°進める場合は、110%の電圧Vk,Vy,Vm,VcをT5=T1/12時間だけ感光体ドラムの駆動部に印加し、反対に、位相を30°遅らせる場合は、90%の同電圧をT5時間だけ印加するようになされる。
更に、位相を15°進める場合は、110%の電圧Vk,Vy,Vm,VcをT6=T1/24時間だけ感光体ドラムの駆動部に印加し、反対に、位相を15°遅らせる場合は、90%の同電圧をT6=T1/24時間だけ感光体ドラムの駆動部に印加するようになされる。
図12Bに示す電圧Vkは、感光体ドラム1Kの駆動部に印加される電圧であって、相対値100%(基準)である。図12Cに示す位相φkは、感光体ドラム1Kの位相であって、φk=0°(基準)である。
図12Dに示すVyは感光体ドラム1Yの駆動部へ印加される電圧である。この例で、Yドラム制御&駆動部5Yは、基準クロックCLKの立ち上がり時刻t1’で電圧Vyを100%から110%に増加し、その立ち下がり時刻t2’で110%から100%に戻すようになされる。つまり、T5=T1/12時間だけ感光体ドラム1Yの駆動部に110%の電圧Vyを印加するようになされる。このT5時間で位相差=+30°が無くなる。これにより、図12Eに示す感光体ドラム1Yの位相φyを270°から300°に移動することができる。
図12Fに示すVmは感光体ドラム1Mの駆動部へ印加される電圧である。この例で、Mドラム制御&駆動部5Mは、基準クロックの立ち上がり時刻t1’で電圧Vmを100%から90%に低減し、その立ち下がり時刻t3’で90%から100%に戻すようになされる。つまり、T3=T1/4時間だけ感光体ドラム1Mの駆動部に90%の電圧Vmを印加するようになされる。このT3時間で位相差=−90°が無くなる。これにより、図12Gに示す感光体ドラム1Mの位相を210°から120°に移動することができる。
図12Hに示すVcは感光体ドラム1Cの駆動部へ印加される電圧である。この例で、Cドラム制御&駆動部5Cは、基準クロックCLKの立ち上がり時刻t1’で電圧Vcを100%から90%に低減し、その立ち下がり時刻t4’で90%から100%に戻すようになされる。つまり、T3+T6=T1{(1/4)+(1/24)}時間だけ感光体ドラム1Mの駆動部に90%の電圧Vmを印加する。この(T3+T6)時間で位相差=−105°が無くなる。これにより、図12Iに示す感光体ドラム1Cの位相を45°から300°に移動することができる。Kドラム制御&駆動部5Kは、基準であるので位相制御は行われない。
このような位相制御によって、最も濃度変動が少ない画像形成位置Py,Pm,Pc,Pk(基準)として、各色の感光体ドラム1Y,1M,1Cで選定された箇所に関して、所定のドラム間ピッチ180°に位相φy,φm,φc,φkを合わせることができる(位相合わせ制御:位相制御)。
位相制御を実行した後の制御装置15は、各作像色同時書き込み位置に揃え込まれた感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの画像形成位置Py,Pm,Pc,Pk(基準)で濃度検知マーク用のトナー像を形成し、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト6に転写するように画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを制御するようになる。つまり、濃度補正及び安定化を目的とした補正動作時のドラム位相合わせ及び4色同時書き込みモードを実行する点に特徴がある。
続いて、本発明に係る画像形成方法に関して、第2の画像濃度補正例について説明する。図13は第2の実施例としての画像濃度補正例を示すフローチャートである。
この実施例では、ドラム位相が基準クロックCLKに対する相対的な位置関係を有しており、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kが停止してしまうと、位置関係が保持できなくなるため、一連の補正制御中、感光体ドラム1K,1Y,1M,1Cの回転を停止せずに制御を実行する。この例でも、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの1回転の濃度変化を検出して画像濃度補正に使用する箇所を選定し、その後、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの位相を制御して使用箇所同士の画像形成位置を合わせ込み、その後、全色の第2のテストパターンを各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの画像形成位置に同時に書き込み、中間転写ベルト6上の第2のテストパターンのトナー像濃度を検出して、印字濃度を補正する場合を例に採る。
これらを画像形成条件にして図13に示すフローチャートのステップB1でドラム1周の濃度変動検出用のパターンとして、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに濃度変化検知ライン用のトナー像(第1のテストパターン)を形成する。このとき、画像処理回路71では、第1の実施例と同様にして画像処理制御信号S4に基づいて、濃度変化検知ライン用の画像データDy”がメモリから読み出されてY−信号切換部72Yに出力される。Y−信号切換部72Yは、画像データDy”を書込選択信号S5に基づいて選択し、この画像データDy”をY色用の書込みデータWyとして書込みユニット3Yに出力する。他のM−信号切換部72M、C−信号切換部72C及び、K−信号切換部72Kについても、Y−信号切換部72Yと同様に動作される。
画像形成ユニット10Yでは、Y色用の書込みデータWy=画像データDy”、に基づいて感光体ドラム1Yに濃度変化検知ライン用の静電潜像を形成するようになされる。この静電潜像は、現像器4Yによって現像される。現像器4Yにより現像されたY色の濃度変化検知ライン用のトナー像は、1次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に転写される(一次転写)。他の画像形成ユニット10M〜10Kについても、同様に動作する。
次に、ステップB2で画像濃度センサ12は、中間転写ベルト6の濃度変化検知ラインを読み込んで濃度検出情報を取得する。例えば、画像濃度センサ12は、第1の実施例と同様にして、中間転写ベルト6に形成された濃度変化検知ラインLd(ドラム位置選定ライン)を検出して濃度検出情報となる濃度検出信号S2’を制御装置15に出力する。
そして、ステップB3で制御装置15は、各々の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで最も濃度変動が少ない画像形成位置を選定する。例えば、制御装置15は、第1の実施例と同様にして、副走査方向の濃度変化検知ラインの書出し位置を保持し、その書出し位置からの位相を測定することで、最も濃度変動が少ない画像形成位置が特定される。これにより、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの1周内のトナー像濃度の変動の影響を受けない画像形成位置を特定することができ、各色の感光体ドラム1回転のうちの補正制御に使用する箇所を選定できるようになる。
そして、ステップB4で制御装置15は、他の作像色の画像濃度情報の取得処理が有る否かを判別する。他の作像色の画像濃度情報の取得処理が有る場合は、ステップB1に戻って上述の処理を繰り返すようになされる。他の画像形成ユニット10M〜10Kについても、画像形成ユニット10Yと同様に動作する。
他の作像色の画像濃度情報の取得処理が無い場合は、ステップB5に移行して各色の感光体ドラム1Y,1M,1Cで感光体ドラム1Kを基準とした位相制御を実行する。このとき、最も濃度変動が少ない画像形成位置Py,Pm,Pc,Pkとして選定された箇所に関して、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの回転を個別に制御及び駆動して、所定のドラム間ピッチに位相を合わせるようになされる(図9〜図12参照)。
次に、ステップB6に移行して、所定のドラム間ピッチに位相が合わせられた感光体ドラム1Y,1M,1Cの各々の画像形成位置Py,Pm,Pc,Pkに同時に、第2のテストパターンを同時に書き込んで濃度検知マーク用のトナー像を形成する。このとき、画像処理部70では、濃度検知マーク用の画像データDy’を書込選択信号S5に基づいて選択し、この画像データDy’をY色用の書込みデータWyとして書込みユニット3Yに出力する。他のM−信号切換部72M、C−信号切換部72C及び、K−信号切換部72Kについても、Y−信号切換部72Yと同様に動作される。
更に、制御装置15は画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを制御して、先のドラム位置選定モードにより選定された感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの画像形成位置Py,Pm,Pc,Pkに、所定の画像濃度を有する濃度検知マーク用のトナー像を形成する。
画像形成ユニット10Yでは、画像処理部70から出力されるY色用の書込みデータWy=画像データDy’に基づいて感光体ドラム1Yに濃度検知マーク用の静電潜像を形成するようになされる。この静電潜像は、現像器4Yによって現像される。現像器4Yにより現像されたY色の濃度検知マーク用のトナー像は、1次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に転写される(一次転写)。他の画像形成ユニット10M〜10Kについても、同様に動作する。このように、位相合わせた条件で全色同時露光を行うと、中間転写ベルト6上には、ドラム間ピッチで下流側から第2のテストパターを印字できるようになる。
その後、ステップB7で画像濃度センサ12は中間転写ベルト6上の濃度検知マーク用のトナー像の濃度を読み込んで濃度検出情報を取得する。例えば、画像濃度センサ12は、中間転写ベルト6に形成された濃度検知マーク(パッチ画像)を検出して濃度検出情報となる濃度検出信号S2を制御装置15に出力する。
そして、ステップB8で制御装置15は、画像濃度センサ12からの濃度検出信号S2に基づいて画像濃度を補正する。例えば、第1の実施例と同様にして、画像濃度補正制御部51は、画像濃度センサ12から得られた濃度検出信号S2をサンプリングして、当該濃度検知マークMdにおける複数の検出ポイントでのパッチ検出レベルL1xを検出する。制御装置15は、各色毎に同一濃度検知マークMd内を複数の検出ポイントで濃度検知をして得られた濃度検出値の平均値を算出し、この平均値を濃度検知マークMdの画像濃度(パッチ検出レベルL1)となされる。
画像濃度補正制御部51はパッチ検出レベルL1を各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kへの濃度補正データに反映するようになされる。例えば、現像器4Yは、画像濃度補正制御部51から供給される現像補正信号Syに基づいて感光体ドラム1Yへのトナー剤の付着量を調整する。これにより、画像濃度補正モード時のトナー像の濃度検出信号S2に基づいて画像濃度を補正できるようになる。
このように、第2の実施例に係るカラー複写機及び画像形成方法によれば、各作像色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで最も濃度変動が少ない画像形成位置Py,Pm,Pc,PKを選定し、その後、各々の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの画像形成位置Py,Pm,Pc、Pkを各作像色の同時書き込み位置に揃え込む位相合わせを実行し、位相合わせされた感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの画像形成位置Py,Pm,Pc、Pkに濃度検知マーク用のトナー像を同時に形成するようになされる。
従って、Y,M,C,Kの各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで最も濃度変動が少ない画像形成位置Py,Pm,Pc、Pkに同時に形成された濃度検知マーク用のトナー像を検出することができ、濃度検出信号S2に基づいて効率良くかつ短時間に画像濃度を補正できるようになる。