JP2007298151A - ダンパ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 2軸のトルクを調節することができるダンパ装置であって、組み立て性がよく製造コストを抑えること。
【解決手段】 小径室15aと大径室15bとを一体的に連続させるとともに、上記小径室側に底部16を設け、上記大径室側に開口部17を設け、かつ、これら両室の境界部には、軸線に直交する大径室側の壁面15cを形成したケーシング15と、小径室15aに設けた第1のダンパ機構と、大径室15bに設けた第2のダンパ機構とからなり、第2回転体19の軸部25における小径室側端面の直径を上記小径室15aの内径以上とし、第2回転体19を大径室15bに組み込んだ状態で、上記第2回転体の軸部の小径室側端面が上記壁面15cと同一レベル、あるいは上記壁面15cよりも小径室側へ突出するとともに、第2回転体19の羽根部26端面が上記壁面15cに接触する構成にした。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えばトイレの便座と便蓋のように、軸線を同じにした回転軸を有する別部材の回転トルクを制御するためのダンパ装置に関する。
例えば、トイレの便座や便蓋を閉める際に、途中で手を離しても、それらが勢いよく落下して便器に衝突することがないようにするためには、便座の回転軸に連係するダンパ機構と、便蓋の回転軸に連係する便蓋用ダンパ機構とが必要である。これら2つのダンパ機構を1つの装置に設けたダンパ装置として、例えば、特許文献1,2に記載されたものが従来から知られている。
特許文献1に示す装置は、1つのケーシングの中央部に、ケーシングと一体に隔壁を形成し、この隔壁の両側に別々のダンパ機構を設けている。そして、各ダンパ機構の回転軸をケーシングの両端から、反対方向へ突出させたものである。このようなダンパ装置では、個々のダンパ機構を構成する部品をケーシングの両端の開口から別々に挿入するとともに、両側の開口を閉鎖しなければならない。このように、1つのケーシングに対して部品の挿入や取り付けを両側から行なわなければならず、組み立て作業性が悪いという問題や、さらに、回転軸がケーシングの両側に突出するため、全体として軸方向に大きな装置となってしまうという問題があった。
これらの問題を解決したものとして、特許文献2に示すダンパ装置がある。
このダンパ装置は、一方のダンパ機構の回転軸に軸方向に貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔に他方のダンパ機構の回転軸を貫通させて2つの回転軸を2重にし、この2重にした2本の回転軸を、ケーシングの一端から突出させている。そして、便座の回転軸と便蓋の回転軸とを2重にし、これら便座側の2重の回転軸とダンパ装置側の2重の回転軸とを接続して用いるようにするものである。
このような従来のダンパ装置の具体的構成を、図11、図12を用いて説明する。
このダンパ装置は、図11のように、筒状のケーシング1の一方を塞いで底部2とし、他方を開口部3とするとともに、上記底部2と開口部3との中間に、軸に直行する面を有する仕切り部材4を設けている。この仕切り部材4は、図12に示すように円盤状の部材であるが、これによって、ケーシング1内を第1流体室1aと第2流体室1bとに区画している。そして、第1流体室1aには第1回転体5を、第2流体室1bには第2回転体6を設けるとともに、ケーシング1内に粘性流体を充填した状態で開口部3を蓋部材7で塞いでいる。
上記第1回転体5は、軸部8と、上記第1流体室1aの内周を摺動する羽根部9とを備え、第1流体室1aの内周には、上記軸部8の外周を摺動する突部10を設けている。また、上記羽根部9と突部10とで区画形成された圧力室間を流れる流体の流れが、第1回転体5の回転方向や位置に応じて変化することによって、便蓋を閉じる際にダンパ機能を発揮させるようにしている。
一方、第2回転体6は、軸部11と、第2流体室1bの内周を摺動する羽根部12とを備え、第2流体室1bの内周には軸部11の外周を摺動する突部13を設けている。そして、この第2流体室1b内においても、上記第1流体室1aと同様に、上記羽根部12と突部13とによって区画形成される圧力室の圧力が制御され、第2回転体6の回転方向や回転位置に応じてダンパ機能が発揮されるようにしている。なお、第2回転体6の軸部11には、軸方向に貫通孔11aを形成し、この貫通孔11aに第1回転体5の軸部8を貫通させられるようにしている。なお、符号14はシール部材である。
以上のように、ケーシング1内の第1、第2流体室1a、1bのそれぞれに、別々にダンパ機構を設けているが、上記流体室を区画している仕切り部材4は、図12に示すようなリング状の部材であり、直径方向に2つの切り欠き4a,4aを形成している。この切り欠き4aは、第2流体室1bの内周に設けた突部13に一致する形状で、仕切り部材4をケーシング1に組み込んだとき、切り欠き4aと突部13とが一致するようにしている。つまり、この仕切り部材4は、切り欠き4aを上記突部13に嵌め合わせるとこによって円周方向の位置決めができ、第1流体室1aとの境に形成された段部1cに当接させることによって軸方向の位置決めができるようにしている。
特開平10−184741号公報 特開2004−068945号公報
上記したような図11,12に示す従来のダンパ装置を組み立てる際には、次のような方法が考えられる。
第1に、ケーシング1に対して、第1回転体5、仕切り部材4、第2回転体6を、それぞれ別々に開口部3から組み込む方法である。
まず、開口部3を上にしたケーシング1に、第1流体室1aにおいて必要な分量の流体を入れ、次に、第1回転体5を、その羽根部9が、突部13および突部10と衝突しないように位置合わせをして挿入する。次に、仕切り部材4の切り欠き4aを突部13に一致するようにして、仕切り部材4をケーシング1へ挿入する。さらに、第2流体室1bに必要な量の流体を充填し、第2回転体6を、羽根部12が突部13と衝突しない位置に合わせて挿入する。最後に蓋部材7を取り付ける。
上記の方法では、組み立て時の工数が多く、組み立てに時間がかかってしまう。
第2に、予め、ケーシングに必要流体の全量を入れておき、後から個々の部材を挿入する方法である。この場合には、仕切り部材4を流体中に挿入しなければならない。しかも、流体中に挿入する仕切り部材4が、流体の浮力によって浮き上がらないようにしながら、上記切り欠き4aの位置を調整して円周方向の位置合わせをするためには、位置合わせをしながら仕切り部材4を押し込むための治具が必要になる。しかし、治具を用いて仕切り部材4を挿入した後、治具を取り出すと、この治具に付着した流体がケーシング1から外に出てしまう。この治具への流体の付着量は一定しないため、ケーシング内の流体量を正確に管理することは不可能である。そのため、この方法では、治具が必要であるとともに、上記のように流体量が安定しないために、完成したダンパ装置のダンパ効果にばらつきが出てしまうという問題がある。
第3に、第1回転体5、仕切り部材4、第2回転体6の3部材を、予め組み立てて一体化した部品を、必要な流体を全量入れたケーシング1内へ挿入する方法が考えられる。しかし、個々の部材の、ケーシング1に対する位置を考慮して、上記3部材を組み立てることは非常に難しい。
部品の挿入にあたって、第1回転体5は、その羽根部9とケーシング1の突部10とによって挿入角度が制限され、第2回転体6は、その羽根部12とケーシング1の突部13とによって挿入角度が制限される。また、特に、仕切り部材4は、上記切り欠き4aをケーシング1側の突部13に合わせなければならないが、これらが一致する位置は1点しかない。そのため、これら第1回転体5、仕切り部材4、第2回転体6の3つの部材を組み立ててからケーシング1に挿入するためには、上記3部材の相対角度位置を極めて厳格に決めて組み付ける必要がある。さらに、組み付け後は、上記3部材の位置関係が変わらないように維持したうえで、ケーシング1との位置も合わせて挿入しなければならない。従って、3つの部材を組み立てるためには、特殊な治具が必要になってしまう。つまり、特殊な治具を用意するために、コストがかかってしまうという問題があった。
この発明の目的は、例えば便座と便蓋のような2軸のトルクを調節することができるダンパ装置であって、組み立て性がよく製造コストを抑えることができるダンパ装置を提供することである。
この発明は、小径室と大径室とを一体的に連続させるとともに、上記小径室側に底部を設け、上記大径室側に開口部を設け、かつ、これら両室の境界部には、軸線に直交する大径室側の壁面を形成したケーシングと、小径室に設けた第1のダンパ機構と、大径室に設けた第2のダンパ機構とからなるダンパ装置である。
そして、第1の発明は、上記第1のダンパ機構が、上記小径室に組み込むとともに、軸部およびこの軸部外周に放射状に設けた羽根部からなり、上記ケーシングに対して相対回転自在にした第1回転体と、小径室内周に形成し、上記第1回転体の軸部外周を摺動する突部と、これら第1回転体の羽根部と小径室の突部とが相まって区画形成された圧力室と、この圧力室の圧力を制御するダンピング制御手段とからなり、第2のダンパ機構は、上記大径室に組み込むとともに、上記第1回転体の軸部が貫通する貫通孔を有する軸部および軸部の外周に放射状に設けた羽根部からなり、上記ケーシングおよび上記第1回転体と相対回転自在にした第2回転体と、上記大径室内周に形成し、第2回転体の軸部外周を摺動する突部と、これら羽根部とケーシングの突部とが相まって区画された圧力室と、この圧力室の圧力を制御するダンピング力制御手段とからなり、しかも、上記第2回転体の軸部における小径室側端面の直径を上記小径室の内径以上とし、第2回転体を大径室に組み込んだ状態で、上記第2回転体の軸部における小径室側端面が上記壁面と同一レベル、あるいは上記壁面よりも小径室側へ突出するとともに、第2回転体の羽根部端面が上記壁面に接触する構成にした点に特徴を有する。
第2の発明は、上記第1の発明を前提とし、上記第2回転体の軸部を小径室に挿入して軸受けとする点に特徴を有する。
第3の発明は、上記第2の発明を前提とし、小径室側に突出させた第2回転体の軸部と、この軸部に対抗する小径室内周との間に、小径室と大径室とを連通させる連通路を形成した点に特徴を有する。
第1〜第3の発明では、ケーシング内に小径室と大径室とを形成するとともに、大径室側に挿入する第2回転体の軸部における小径室側端面の直径を、小径室の内径以上にすることによって、この軸部端面で小径室の開口を閉鎖するように構成した。そのため、2つのダンパ機構を備えた流体室を区画するため、従来必要とされた仕切り部材を不要にできた。従来の仕切り部材は、ケーシングに対する位置決めが難しい部材であったが、この部材が不要になったので、第1回転体と第2回転体とを予め一体化してからケーシングに挿入する作業が簡単にできるようになった。
従って、この発明によれば、ダンパ装置の組み立て工数が少なく、組み立ての作業性もよくなり、製造コストを抑えることができるようになる。
また、ケーシングに部品を挿入するための治具を用いないので、ケーシングに予め充填した流体が、治具に付着して外に出てしまうことがない。そのため、流体量がばらついて、ダンパ効果にばらつきが出てしまうようなこともない。
第2の発明では、第2回転体の軸部を小径室で軸受けすることによってケーシング内に軸受けを構成したので、第2回転体の軸をより安定して支持できるようになる。
第3の発明によれば、小径室に第2回転体の軸部を挿入する場合にも、小径室が密閉状態になることがない。そのため、小径室に第2回転体の軸部を挿入して軸受けを構成する場合でも、部品の挿入がスムーズにでき、組み立て時の作業性を落とすことがない。
図1〜図7にこの発明の第1実施形態を示す。
この第1実施形態のダンパ装置は、図1に示すように、筒状のケーシング15の一方を塞いで底部16とし、他方を開口部17とするとともに、上記底部16側を小径室15aとし、開口部17側を大径室15bとしている。そして、これら小径室15aと大径室15bと境界部には、軸線に直交する壁面15cを設けている。
また、上記小径室15aには第1回転体18を設け、大径室15bには第2回転体19を設けている。そして、ケーシング15内に粘性流体を充填した状態で開口部17を蓋部材20で塞ぐようにしている。
上記第1回転体18は、図2、図3に示すように、軸部21と、上記小径室15aの内周を摺動する羽根部22とを備えている。一方、小径室15aの内周には、上記軸部21の外周を摺動する突部23を設けている。
また、軸部21には、流体通路21a,21bを形成している。これらの流体通路21a,21bは、軸部21の軸方向位置をずらすとともに、180度位相をずらして形成されている。どちらの流体通路21a,21bも、大きな開口αと、小さな開口βとを備えた貫通孔である。そして、それぞれ上記羽根部22と突部23とで区画形成される圧力室24aと24b、圧力室24cと24dとの間を連通したり、その連通を遮断したりする機能を果たしている。
例えば、流体通路21aは、図2に示す状態では、上記圧力室24aと24bとを連通させていないが、第1回転体18が矢印A方向へ回転して図3に示す状態になるまでの間で、開口βが突部23を越えると、開口βが圧力室24b内に位置し、圧力室24a内に位置する開口αとの間で、圧力室24aと24bとを連通させることになる。このとき流体通路21bでも、流体通路21aと同様に、圧力室24cと24dとを連通させる。
このように、流体通路21aによって両圧力室24a,24bが連通し、流体通路21bによって圧力室24cと24dが連通しているときには、回転が軽くなり、連通していないときには回転が重くなる。
つまり、上記第1回転体18が、図2の状態から矢印A方向へ回転するときには、前半は回転が重く、後半、流体通路21aが圧力室24a,24b間を、流体通路21bが圧力室24c,24d間を連通させると、回転が軽くなる。また、反対に、第1回転体18が、図3の状態から、矢印B方向へ回転するときには、はじめ回転が軽く、後半、ダンパが効くようになる。従って、図3の状態を、便蓋などの開位置に設定するようにすると、閉じるとき、後半でダンパ機能が発揮されて、便蓋などが急激に落下してしまうようなことがない。
そして、上記流体通路21a,21bが、隣り合う圧力室間を連通させていない状態では、圧縮される圧力室内の流体は、上記突部23と軸部21の外周面との隙間や、羽根部22と小径室15aの内周面との隙間を通って拡張する圧力室へ流れ、このときの流動抵抗が回転トルクとなる。
なお、この第1実施形態では、上記突部23と軸部21の外周面とで形成する隙間や、羽根部22と小径室15aの内周面とで形成する隙間が、この発明の圧力室の圧力を制御するダンピング機構を構成する。そして、このダンピング機構と、第1回転体18の羽根部22と、小径室15aの突部23とによってこの発明の第1のダンパ機構を構成している。
一方、大径室15bに設けた第2回転体19は、軸部25と、羽根部26とからなり、この羽根部26の先端には、図4に示すように、第2回転体19の回転にともなって大径室15bの内周を摺動する弁体27を設けている。また、大径室15bの内周には軸部25の外周を摺動する突部28を設け、この突部28と上記羽根部26とによって圧力室31a,31b,31c,31dを区画形成している。
そして、この大径室15b内においても、上記小径室15aと同様に、上記羽根部26と突部28とによって区画形成される圧力室31a,31b,31c,31dの圧力が制御され、第2回転体19の回転方向や回転位置に応じてダンパ機能が発揮されるように構成している。
具体的には、上記弁体27を羽根部26に対して相対移動可能にし、第2回転体19の回転に応じて、上記羽根部26に形成した通路26aを、上記弁体27が開閉する構成にしている。さらに、軸部25の外周面には切り欠き25bを形成し、この切り欠き25bと突部28との相対位置によって、軸部25周面に沿った流れを制御する構成にしている。このように、上記弁体27、切り欠き25b、弁体27と大径室内周面との間の隙間、突部28と軸部25の外周面との隙間とによって、大径室15b内で円周方向に隣接する圧力室間の流体の流れを制御し、圧力室の圧力を制御するダンピング制御手段を構成している。そして、このダンピング制御手段と、上記軸部25の羽根部26と、弁体27と、大径室15bの突部28とによってこの発明の第2のダンパ機構を構成している。
なお、上記軸部25には、軸方向に貫通する貫通孔25aを形成するとともに、小径室15a側端部には、突出部25cを形成している。この突出部25cの外径を上記小径室15aの内径と同じにし、突出部25cを小径室15aに挿入したときにぴったりはまるようにしている。
また、上記貫通孔25aには、第1回転体18の軸部21を貫通させている。このように、第1回転体18の軸部21を貫通孔25aに貫通させた状態で、第1、第2回転体18,19をケーシング15に組み込んだとき、図5に示すように、第2回転体19の羽根部26の端面がケーシングの壁面15cに当接し、突出部25cが小径室15a内に挿入され、軸部25が小径室15aで軸受けされるようにしている。
このように構成したので、第1実施形態のダンパ装置では、第2回転体19の軸部25の突出部25cが、小径室15aの開口を閉鎖し、小径室15aと大径室15bとを別々の流体室として区画することができる。そのため、従来例のように、2つの流体室を区画するための仕切り部材を用いる必要がない。
また、軸部25の突出部25cが小径室15aで軸受けされるため、第2回転体19の回転軸が安定する。この第1実施形態では、図1に示したように、軸部25の外周に設けたシール部材14の部分でも軸受けを構成しているが、このように、上記突出部25c以外の部分にも、軸受けを設ければ、2箇所で軸受けされることになり、回転軸がより安定することになる。
ただし、上記小径室15aにおいて、挿入された突出部25cに対応する部分には、図4〜図6に示すように、長さL1の溝15dを形成している。この溝15dの長さL1は、上記壁面15cから突出部25cの端面までの長さと同等か僅かに大きい長さであり、この溝15dが小径室15aと大径室15bとを連通する連通路を形成している。
なお、図1中符号14は、シール部材であり、符号30は流体を示している。
このようなダンパ装置は、1つのケーシング15内に形成された小径室15aと大径室15bとに、ぞれぞれ、第1のダンパ機構と第2のダンパ機構とを備えている。そして、蓋部材20から突出した軸部21と軸部25とに、便座や弁蓋など、別々の回転部材を取り付けることによって、これらの回転部材の回転にダンパ機能を付与することができる。
また、図1において、第1回転体18の軸部21には、アダプタ29を接続し、このアダプタ29を介して、上記軸部21を、例えば、便蓋などの回転体に接続するようにしている。第1回転体の軸部21は、第2回転体19の軸部25の貫通孔25aを貫通するため、貫通孔25aの内径よりも太くできないが、組み付け後に、軸部25から突出した部分にアダプタ29を取り付ければ、回転軸を任意の太さにすることができる。
この第1実施形態のダンパ装置は、上記したように従来のダンパ装置で必要としていた仕切り部材を必要としないため、その分の部品点数を減らすことができるだけでなく、組み立ても簡単である。
このダンパ装置を組み立てる時には、図7に示すように、第2回転体19に第1回転体18を組み付けて一体化した部品を予め作成し、ケーシング15に必要な流体の全量を充填してから、その中に上記部品を挿入することができる。
両回転体18,19は、それぞれの羽根部22、26が、ケーシング15内の突部23,28と衝突しないように挿入しなければならないが、ケーシング15内において、上記突部23や突部28以外の部分は、羽根部22,26と比べて十分に大きいので、各羽根部が突部に衝突しないように挿入することは簡単である。
また、第2回転体19における軸部25の突出部25cが小径室15aに挿入される過程では、小径室15aへの突出部25cの挿入量に対応した量の流体が、小径室15aから大径室15bへ流出することになるが、上記突出部25cが小径室15aの開口を塞いでしまうと、小径室15aからの流体の流出がスムーズにできなくなり、ロックしたようになって第2回転体19を挿入し難くなり、挿入に時間がかかってしまうことがある。
しかし、第1実施形態のダンパ装置では、ケーシング15に溝15dを形成し、流体が小径室15aから大径室15bへ流れるようにしているため、第2回転体19をスムーズに挿入することができる。
なお、この組み立て工程において、小径室15aから大径室15bへの流体の流れを可能にするために形成する連通路としては、上記のようにケーシング15に形成した溝15dのほか、軸部25の突出部25cに形成した溝でもよい。軸部25側に溝を形成する場合には、その溝の軸方向の長さを、上記突出部25cの端面から上記壁面15cまでの長さと同等か、それよりも僅かに長くする必要がある。また、ケーシング15側、軸部25側の両方に溝を形成して連通路を構成するようにしてもよい。
上記のように、第1実施形態のダンパ装置は、第1回転体18と第2回転体19との組み付け、流体の充填、一体化した部品の挿入、蓋部材20の取り付けという少ない工程で、組み立てることができる。しかも、各工程は、特別な治具を必要としない作業性の良い工程である。そのため、組み立て作業性が向上し、このダンパ装置の製造コストを低く抑えることができる。また、部品挿入のための治具を用いないので、予めケーシング内に充填した流体が治具に付着して、外に出てしまうことがない。
なお、上記小径室15aと大径室15bとを連通させる連通路を形成しない場合には、連通路が形成されている場合と比べて、部品の挿入時に、挿入方向の力や時間が必要になるが、その場合でも、組み立て工数が少なく、治具を必要としないメリットは得られる。従って、上記溝15dなどで構成する連通路は必須の構成ではない。
図8〜図10に示す第2実施形態は、第2回転体19における軸部25の小径室側端面に、突出部を設けていない点が上記第1実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態と同じである。この第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には、同じ符号を用いるとともに、詳細な説明は省略する
この第2実施形態のダンパ装置も、小径室15a内には第1回転体18を備えた第1のダンパ機構を備えているが、この第1のダンパ機構は、上記第1実施形態の第1のダンパ機構と、構成も作用も同じである。
また、大径室15b内には、図9に示すように第2回転体19を備えた第2のダンパ機構を備えている。この第2のダンパ機構も、上記第1実施形態の第2のダンパ機構と同様に機能するが、上記したように、軸部25が小径室側に突出部を備えていない(図8、図10参照)。このように、第2回転体19の軸部25は、小径室15aへの突出部を備えていないが、軸部25の小径室側端面の直径を小径室15aの内径以上とし、その端面を、大径室15bと小径室15aとの境界部に設けた壁面15cと同一レベルにしている。そのため、小径室15aの開口径以上の直径を有する軸部25が、小径室15aの開口を閉鎖して、小径室15aと大径室15bとを二つの流体室として区画することになる。
つまり、この第2実施形態においても、小径室15aと大径室15bとを区画するために、従来例のような仕切り部材を必要としない。
従って、仕切り部材の分の部品を減らすことができるとともに、第1実施形態と同様に、第1回転体18と第2回転体19とを一体化した部品を、流体を充填したケーシング15に挿入して、ダンパ装置を簡単に組み立てることができる。従って、第2実施形態のダンパ装置も組み立て性がよく、製造コストを低く抑えることができる。
なお、第2実施形態では、第1、第2回転体18,19をケーシング15に組みこんだ状態で、小径室15aと大径室15bと連通する連通路を備えていないが、上記回転体18,19をケーシング15に挿入し、上記軸部25の小径室側端面が壁面15cと同一レベルになる瞬間までは、小径室15aと大径室15bとが軸部25の外周を介して連通している。そのため、特に連通路を形成していなくても、回転体の挿入過程において、小径室15aの流体が大径室15b側へ流出可能となり、第1、第2回転体18,19をスムーズに挿入できる。
また、上記第1、第2実施形態において、ケーシング15の底部16は、ケーシング15と一体化しているが、底部16を別部材で構成してもかまわない。底部を取り付けてから流体を充填し、部品を挿入すれば、上記実施形態と比べて組み立て作業性が悪くなることはない。
さらに、第1のダンパ機構や第2のダンパ機構は、上記第1、第2実施形態の構成に限らない。軸部外周に設けた羽根部と、ケーシング内周に設けた突部とによって区画形成される圧力室の圧力を利用する構成であれば、どのようなものでもよい。
第1実施形態の軸方向の断面図である。 図1のII-II線断面図である。 第1実施形態において、図2の状態から第1回転体が回転した状態である。 図1のIV-IV線断面図である。 図1の部分拡大図である。 図1のVI-VI線断面図である。 第1実施形態の組み立て工程を説明するための斜視図である。 第2実施形態の軸方向の断面図である。 図8のIX-IX線断面図である。 図8の部分拡大図である。 従来例の軸方向の断面図である。 従来例の組み立て工程を説明するための斜視図である。
符号の説明
15 ケーシング
15a 小径室
15b 大径室
15c 壁面
15d 溝
16 底部
17 開口部
18 第1回転体
19 第2回転体
21 軸部
22 羽根部
23 突部
24a,24b、24c、24d 圧力室
25 軸部
25a 貫通孔
25b 切り欠き
25c 突出部
26 羽根部
27 弁体
28 突部
31a,31b,31c,31d 圧力室

Claims (3)

  1. 小径室と大径室とを一体的に連続させるとともに、上記小径室側に底部を設け、上記大径室側に開口部を設け、かつ、これら両室の境界部には、軸線に直交する大径室側の壁面を形成したケーシングと、小径室に設けた第1のダンパ機構と、大径室に設けた第2のダンパ機構とからなり、上記第1のダンパ機構は、上記小径室に組み込むとともに、軸部およびこの軸部外周に放射状に設けた羽根部からなり、上記ケーシングに対して相対回転自在にした第1回転体と、小径室内周に形成し、上記第1回転体の軸部外周を摺動する突部と、これら第1回転体の羽根部と小径室の突部とが相まって区画形成された圧力室と、この圧力室の圧力を制御するダンピング制御手段とからなり、第2のダンパ機構は、上記大径室に組み込むとともに、上記第1回転体の軸部が貫通する貫通孔を有する軸部および軸部の外周に放射状に設けた羽根部からなり、上記ケーシングおよび上記第1回転体と相対回転自在にした第2回転体と、上記大径室内周に形成し、第2回転体の軸部外周を摺動する突部と、これら羽根部とケーシングの突部とが相まって区画された圧力室と、この圧力室の圧力を制御するダンピング力制御手段とからなり、しかも、上記第2回転体の軸部における小径室側端面の直径を上記小径室の内径以上とし、第2回転体を大径室に組み込んだ状態で、上記第2回転体の軸部における小径室側端面が上記壁面と同一レベル、あるいは上記壁面よりも小径室側へ突出するとともに、第2回転体の羽根部端面が上記壁面に接触する構成にしたダンパ装置。
  2. 上記第2回転体の軸部を小径室に挿入して軸受けとする請求項1に記載のダンパ装置。
  3. 小径室側に突出させた第2回転体の軸部と、この軸部に対抗する小径室内周との間に、小径室と大径室とを連通させる連通路を形成した請求項2に記載のダンパ装置。
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