JP2007297529A - 熱硬化性樹脂組成物、硬化物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents
熱硬化性樹脂組成物、硬化物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、硬化後の靭性に優れた熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、前記ポリエーテルスルホンの含有量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して30〜70質量部であり、前記ポリエーテルイミドの含有量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜10質量部である熱硬化性樹脂組成物、および、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、前記熱硬化性樹脂と前記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、前記共連続相中に前記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、前記ポリエーテルスルホンの含有量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して30〜70質量部であり、前記ポリエーテルイミドの含有量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜10質量部である熱硬化性樹脂組成物、および、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、前記熱硬化性樹脂と前記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、前記共連続相中に前記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、硬化物、プリプレグおよび繊維強化複合材料に関する。
航空機用構造材料として、繊維に熱硬化性樹脂組成物を含浸させたプリプレグが知られている。このプレプリグに用いられる熱硬化性樹脂組成物には、高い靭性が要求される他、作業性の観点から、ある程度の粘度、タック性、ドレイプ性等が要求される。
熱硬化性樹脂の強靭化の方法として、改質剤として熱可塑性樹脂を添加する方法が知られている。例えば、ポリエーテルスルホンを添加する方法(例えば、特許文献1参照。)、さらにはポリエーテルスルホンとポリエーテルイミドとを併用する方法も知られている(非特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、十分な靭性を得ることはできなかった。また、非特許文献1には、硬化物のモルフォロジーを考慮して改質剤を配合することは記載されておらず、その硬化物のモルフォロジーは粗大であり、靭性の改善効果はほとんど得られなかった。
そこで、本発明は、硬化後の靭性に優れる熱硬化性樹脂組成物を得ることを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂に、ポリエーテルスルホン(以下「PES」ともいう。)と、ポリエーテルイミド(以下「PEI」ともいう。)とを特定の割合で添加すると、驚くべきことに硬化後の靭性が格段に向上することを見出した。また、熱硬化性樹脂とポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し上記共連続相中にポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を硬化物が有すると、その硬化物は格段に優れた靭性を有することを見出した。本発明者は、これらの知見に基づき本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記(1)〜(13)を提供する。
(1)熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、前記ポリエーテルスルホンの含有量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して30〜70質量部であり、前記ポリエーテルイミドの含有量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜10質量部である熱硬化性樹脂組成物。
(2)前記熱硬化性樹脂と前記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、前記共連続相中に前記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる上記(1)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(3)熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、前記熱硬化性樹脂と前記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、前記共連続相中に前記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物。
(4)前記ドメインが、直径0.1〜10μmである上記(2)または(3)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(5)前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(6)前記硬化剤が、芳香族アミンおよび/またはジシアンジアミドである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(7)前記硬化剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜70質量部である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(8)前記ポリエーテルスルホンと前記ポリエーテルイミドとの質量比が、3/1〜50/1である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(9)前記ポリエーテルスルホンおよび前記ポリエーテルイミドを溶解させ、混合して得られる上記(1)〜(8)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
(11)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物と、繊維とを含有するプリプレグ。
(12)前記繊維が、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選択される少なくとも1種である上記(11)に記載のプリプレグ。
(13)上記(11)または(12)に記載のプリプレグを硬化させて得られる繊維強化複合材料。
(1)熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、前記ポリエーテルスルホンの含有量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して30〜70質量部であり、前記ポリエーテルイミドの含有量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜10質量部である熱硬化性樹脂組成物。
(2)前記熱硬化性樹脂と前記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、前記共連続相中に前記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる上記(1)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(3)熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、前記熱硬化性樹脂と前記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、前記共連続相中に前記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物。
(4)前記ドメインが、直径0.1〜10μmである上記(2)または(3)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(5)前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(6)前記硬化剤が、芳香族アミンおよび/またはジシアンジアミドである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(7)前記硬化剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜70質量部である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(8)前記ポリエーテルスルホンと前記ポリエーテルイミドとの質量比が、3/1〜50/1である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(9)前記ポリエーテルスルホンおよび前記ポリエーテルイミドを溶解させ、混合して得られる上記(1)〜(8)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
(11)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物と、繊維とを含有するプリプレグ。
(12)前記繊維が、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選択される少なくとも1種である上記(11)に記載のプリプレグ。
(13)上記(11)または(12)に記載のプリプレグを硬化させて得られる繊維強化複合材料。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化後の靭性に優れる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、加熱硬化する過程における最低粘度をある程度高く維持できるので樹脂の垂れを防止でき、更に、タック性およびドレイプ性が良好であるので成形性に優れる。したがって、作業性に優れる。
また、本発明のプリプレグは、硬化後の靭性に優れる。
また、本発明の硬化物および繊維強化複合材料は、優れた靭性を有する。
また、本発明のプリプレグは、硬化後の靭性に優れる。
また、本発明の硬化物および繊維強化複合材料は、優れた靭性を有する。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の第1の態様(以下、「第1の組成物」という。)は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、上記ポリエーテルスルホンの含有量が上記熱硬化性樹脂100質量部に対して30〜70質量部であり、上記ポリエーテルイミドの含有量が上記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜10質量部である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の第1の態様(以下、「第1の組成物」という。)は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、上記ポリエーテルスルホンの含有量が上記熱硬化性樹脂100質量部に対して30〜70質量部であり、上記ポリエーテルイミドの含有量が上記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜10質量部である。
第1の組成物に用いられる熱硬化性樹脂としては、公知の熱硬化性樹脂を特に制限なく使用できるが、具体的には、例えば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の耐久性という点から、エポキシ樹脂が好ましい。
第1の組成物に用いられるエポキシ樹脂は、少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物であればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂をはじめとして、臭素化エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の各種のエポキシ樹脂や、これらの変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記エポキシ樹脂は、少なくとも1つの芳香環を有するのが、硬化物の機械的強度および耐熱性に優れる点から好ましい。特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、ジシクロペンタジエニル型エポキシ樹脂、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノールが、作業性、耐熱性および耐水性に優れることから好ましい。
上記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。好ましくは100〜1000であり、より好ましくは100〜500である。
第1の組成物に用いられる硬化剤としては、使用する熱硬化性樹脂の種類に応じて、通常用いられる硬化剤を特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、フェノール系硬化剤、チオール系硬化剤、イミダゾール、3フッ化ホウ素−アミン錯体、グアニジン誘導体等を使用することができる。
上記アミン系硬化剤としては、具体的には、例えば、メタキシリレンジアミン(MXDA)、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、ノルボルナンジアミン(NBDA)、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン(IPDA)、ジシアンジアミド、ジメチルベンジルアミン、ケチミン化合物、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド骨格のポリアミン、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。
中でも、メタキシリレンジアミン(MXDA)、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、ノルボルナンジアミン(NBDA)、ジアミノジフェニルスルホン等が、作業性が良く、硬化性も高いという点から好ましい。また、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、ジアミノジフェニルスルホンの各種変性体は、芳香核を骨格内に有し、耐熱性が高く、可使時間が長いため好適であり、例えば、プリプレグ用途等に好適に用いられる。
中でも、メタキシリレンジアミン(MXDA)、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、ノルボルナンジアミン(NBDA)、ジアミノジフェニルスルホン等が、作業性が良く、硬化性も高いという点から好ましい。また、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、ジアミノジフェニルスルホンの各種変性体は、芳香核を骨格内に有し、耐熱性が高く、可使時間が長いため好適であり、例えば、プリプレグ用途等に好適に用いられる。
上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が、室温で液状であり、作業性が良く、硬化性も高いという点から好ましい。
中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が、室温で液状であり、作業性が良く、硬化性も高いという点から好ましい。
上記フェノール系硬化剤としては、具体的には、例えば、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、またはビスメトキシメチルビフェニルとナフトール類もしくはフェノール類との縮合物等およびこれらの変性物等が挙げられる。
上記チオール系硬化剤としては、具体的には、例えば、ブタンジチオール類、炭素数5〜10のジチオール類、芳香族チオール類、エピキュアQX40(ジャパンエポキシレジン社製)等のポリチオール等のチオール化合物が挙げられる。
アミノ安息香酸エステル類としては、具体的には、例えば、トリメチレングリコール−p−アミノベンゾエート、ネオペンチルグリコール−p−アミノベンゾエート等が挙げられる。
これらの硬化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化剤の中でも、特に硬化物の耐久性が高いという点から芳香族アミン、ジシアンジアミドが好ましい。
上記硬化剤の中でも、特に硬化物の耐久性が高いという点から芳香族アミン、ジシアンジアミドが好ましい。
上記硬化剤の含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して、1〜70質量部が好ましく、10〜60質量部がより好ましく、20〜50質量部が更に好ましい。
第1の組成物において、ポリエーテルスルホンの含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して30〜70質量部であり、ポリエーテルイミドの含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜10質量部である。ポリエーテルスルホンとポリエーテルイミドの含有量が上記の範囲であると、硬化物の靭性を大幅に向上できる。
硬化物の靭性により優れる点から、ポリエーテルスルホンの含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して、30〜60質量部が好ましく、35〜55質量部がより好ましい。
また、硬化物の靭性により優れる点から、ポリエーテルイミドの含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して、1〜8質量部が好ましく、2〜7質量部がより好ましい。
硬化物の靭性により優れる点から、ポリエーテルスルホンの含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して、30〜60質量部が好ましく、35〜55質量部がより好ましい。
また、硬化物の靭性により優れる点から、ポリエーテルイミドの含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して、1〜8質量部が好ましく、2〜7質量部がより好ましい。
第1の組成物の硬化物が優れた靭性を有する理由は、ポリエーテルスルホンとポリエーテルイミドの含有量が上記の範囲である場合、得られる組成物の硬化物が、熱硬化性樹脂とポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、共連続相中にポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有するように硬化物のモルフォロジーを適切に制御でき、上記共連続相中にポリエーテルイミドから形成されるドメインが点在するためであると考えられる。
したがって、第1の組成物は、上記熱硬化性樹脂と上記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、上記共連続相中に上記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい。このドメインは、ポリエーテルイミドのみから形成されていてもよく、ポリエーテルイミドがマトリックスとなりその中にエポキシ樹脂が島状に点在する逆海島構造を有していてもよい。
したがって、第1の組成物は、上記熱硬化性樹脂と上記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、上記共連続相中に上記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい。このドメインは、ポリエーテルイミドのみから形成されていてもよく、ポリエーテルイミドがマトリックスとなりその中にエポキシ樹脂が島状に点在する逆海島構造を有していてもよい。
一方、ポリエーテルイミドの含有量が10質量部を超える場合は、後述する比較例1のように熱硬化性樹脂とポリエーテルスルホンとの共連続相構造と、熱硬化性樹脂とポリエーテルイミドとの逆海島構造とが存在する2相系、または後述する比較例2のように熱硬化性樹脂とポリエーテルスルホンとの海島構造と、熱硬化性樹脂とポリエーテルイミドとの逆海島構造とが存在する2相系になる。硬化物がこれらのモルフォロジーを有すると、ポリエーテルスルホンやポリエーテルイミドを添加した効果が十分に発揮されず、靭性が低くなる。また、ポリエーテルイミドの含有量が1質量部未満である場合も、ポリエーテルイミドを添加した効果が十分に発揮されず、十分な靭性を得ることができない。
上記ドメインは、硬化後の靭性に優れる点から、直径0.1〜10μmであるのが好ましく、0.1〜8μmであるのがより好ましく、0.1〜6μmであるのが更に好ましい。
本明細書において、ドメインの直径は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物から膜厚90〜100nmの超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した拡大画像内のドメインの径が最も大きくなる部分を定規で計測し、拡大倍率で除した値の平均値(n=5)である。
本明細書において、ドメインの直径は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物から膜厚90〜100nmの超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した拡大画像内のドメインの径が最も大きくなる部分を定規で計測し、拡大倍率で除した値の平均値(n=5)である。
上記ポリエーテルスルホンと上記ポリエーテルイミドとの質量比(PES/PEI)は、硬化後の靭性に優れる点から、3/1〜50/1であるのが好ましく、7/2〜40/1であるのがより好ましく、4/1〜30/1であるのが更に好ましい。
第1の組成物は、上記ポリエーテルスルホンおよび上記ポリエーテルイミドを溶解させ、混合して得られるものであるのが好ましい。このようにして得られる組成物は、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルイミドの分散状態が良好であるため、硬化後のモルフォロジーが微細になり靭性に優れると考えられる。
以下、本発明の第2の態様の熱硬化性樹脂組成物(以下、「第2の組成物」という。)について説明する。
第2の組成物は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、上記熱硬化性樹脂と上記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、上記共連続相中に上記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物である。
第2の組成物に用いられる熱硬化性樹脂および硬化剤は、上述した第1の組成物に用いられるものと同様である。
第2の組成物は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、上記熱硬化性樹脂と上記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、上記共連続相中に上記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物である。
第2の組成物に用いられる熱硬化性樹脂および硬化剤は、上述した第1の組成物に用いられるものと同様である。
上記ドメインは、硬化後の靭性に優れる点から、直径0.1〜10μmであるのが好ましく、0.1〜8μmであるのがより好ましく、0.1〜6μmであるのが更に好ましい。
第2の組成物において、硬化物の靭性に優れる点から、ポリエーテルスルホンの含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して、30〜70質量部が好ましく、30〜60質量部がより好ましく、35〜55質量部が更に好ましい。
また、硬化物の靭性により優れる点から、ポリエーテルイミドの含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましく、2〜7質量部が更に好ましい。
また、硬化物の靭性により優れる点から、ポリエーテルイミドの含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましく、2〜7質量部が更に好ましい。
上記ポリエーテルスルホンと上記ポリエーテルイミドとの質量比(PES/PEI)は、硬化後の靭性に優れる点から、3/1〜50/1であるのが好ましく、7/2〜40/1であるのがより好ましく、4/1〜30/1であるのが更に好ましい。
第2の組成物は、上記ポリエーテルスルホンおよび上記ポリエーテルイミドを溶解させ、混合して得られるものであるのが好ましい。このようにして得られる組成物は、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルイミドの分散状態が良好なため、硬化後のモルフォロジーが微細になり靭性に優れると考えられる。
第2の組成物は、得られる組成物の硬化物が、熱硬化性樹脂とポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、共連続相中にポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有し、上記共連続相中にポリエーテルイミドから形成されるドメインが点在するため、硬化後の靭性に優れる。
上述した第1の組成物および第2の組成物(以下、これらの組成物を「本発明の組成物」という。)は、更に、硬化触媒を含有するのが好ましい。
硬化触媒としては、使用する熱硬化性樹脂の種類に応じて、通常用いられる硬化触媒を特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第三級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物、第四級ホスホニウム塩、3−フッ化ホウ素−アミン錯体、3−塩化ホウ素−アミン錯体等が挙げられる。中でも触媒作用が強い点から、3−フッ化ホウ素−アミン錯体等が好ましい。
硬化触媒としては、使用する熱硬化性樹脂の種類に応じて、通常用いられる硬化触媒を特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第三級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物、第四級ホスホニウム塩、3−フッ化ホウ素−アミン錯体、3−塩化ホウ素−アミン錯体等が挙げられる。中でも触媒作用が強い点から、3−フッ化ホウ素−アミン錯体等が好ましい。
硬化触媒の含有量は、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜0.5質量部がより好ましい。
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤等の各種添加剤等を含有することができる。
充填剤としては、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;ケイソウ土;マイカ;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグレシウム;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物が挙げられる。
反応遅延剤としては、具体的には、例えば、アルコール系等の化合物が挙げられる。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、カーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。
可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。可塑剤の含有量は、作業性の観点から、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して、30質量部以下であるのが好ましい。
揺変性付与剤としては、具体的には、例えば、エアロジル(日本エアロジル(株)製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルイミドを予め加熱して溶解させたものと、エポキシ樹脂、硬化剤、その他の任意成分とを混合して本発明の組成物を得る方法や、エポキシ樹脂、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルイミドを加熱混合し、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルイミドを溶解させた後、硬化剤を加えて本発明の組成物を得る方法等が好適に挙げられる。
上述した本発明の組成物は、硬化後の靭性に優れる。また、本発明の組成物は、加熱硬化する過程における最低粘度をある程度高く維持できるので樹脂の垂れを防止でき、更に、タック性およびドレイプ性が良好であるので成形性に優れる。したがって、作業性に優れる。
なお、本明細書において、タック性とは、樹脂の粘着性を意味する。また、ドレイプ性とは樹脂の柔軟性を意味する。
なお、本明細書において、タック性とは、樹脂の粘着性を意味する。また、ドレイプ性とは樹脂の柔軟性を意味する。
本発明の組成物は、本発明の組成物が有する優れた特性を生かして広範な用途に用いることができる。具体的には、例えば、接着剤、塗料、電気・電子材料、航空機用構造材料、自動車用構造材料等が挙げられる。特に、プリプレグのマトリックス樹脂として好適に用いられる。
本発明の硬化物は、上述した本発明の組成物を硬化させて得られる硬化物である。本発明の硬化物は、優れた靭性を有する。そのため、広範な用途に用いることができ、例えば、電気・電子材料、自動車部品、自動車用構造材料等として好適に用いることができる。
本発明のプリプレグは、上述した本発明の組成物と、繊維とを含有するプリプレグである。
上記繊維は、特に限定されず、例えば、繊維織布状、長繊維状のものを用いることができる。上記繊維は、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましく、軽量で強度が高い点から、炭素繊維がより好ましい。
繊維の含有量は、プリプレグ全体の容積に対して30〜65体積%が好ましく、40〜60体積%がより好ましい。
上記繊維は、特に限定されず、例えば、繊維織布状、長繊維状のものを用いることができる。上記繊維は、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましく、軽量で強度が高い点から、炭素繊維がより好ましい。
繊維の含有量は、プリプレグ全体の容積に対して30〜65体積%が好ましく、40〜60体積%がより好ましい。
本発明のプリプレグは、従来公知の方法により製造することができ、具体的には、上記繊維に本発明の組成物を含浸させて製造される。含浸させる際は、ホットメルト法、ウェット法を用いることができる。ウェット法でプリプレグの製造を行う場合は、本発明の組成物を溶剤に溶解させ、ワニスを調製してから繊維に含浸させる。ワニス調製時に使用する溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類の溶剤が好ましい。溶剤の使用量は、本発明の組成物100質量部に対して、1〜20質量部であるのが、乾燥工程が短くて済むので好ましい。また、本発明の組成物が比較的低粘度である場合、本発明の組成物をそのまま繊維に含浸させてプリプレグを製造することができる。
上述した本発明のプリプレグは、硬化後の靭性に優れる。
上述した本発明のプリプレグは、硬化後の靭性に優れる。
本発明の繊維強化複合材料は、上述した本発明のプリプレグを硬化させて得られる繊維強化複合材料である。本発明の繊維強化複合材料は、優れた靭性を有する。そのため、広範な用途に用いることができ、例えば、航空機用構造材料、自動車用構造材料等として好適に用いることができる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜4および比較例1〜4)
下記第1表に示す各成分(3,3′−DDSおよびDICYを除く。)を、第1表に示す組成(質量部)で混合し、150℃に加熱して完全に溶解させた。次に、80℃まで冷却し、3,3′−DDSおよびDICYを第1表に示す量添加し、均一になるまで混合して各熱硬化性樹脂組成物を得た。得られた各組成物の硬化過程での最低粘度(η min)、タック性およびドレイプ性を下記の方法により評価した。結果を下記第1表に示す。
(実施例1〜4および比較例1〜4)
下記第1表に示す各成分(3,3′−DDSおよびDICYを除く。)を、第1表に示す組成(質量部)で混合し、150℃に加熱して完全に溶解させた。次に、80℃まで冷却し、3,3′−DDSおよびDICYを第1表に示す量添加し、均一になるまで混合して各熱硬化性樹脂組成物を得た。得られた各組成物の硬化過程での最低粘度(η min)、タック性およびドレイプ性を下記の方法により評価した。結果を下記第1表に示す。
(粘度)
製造直後の各組成物について、粘弾性測定装置(RDS−II、TAインスツルメント社製)を用いて、昇温速度2℃/分、周波数10rad/秒、歪み1.0%の条件で、40〜200℃の範囲における最低粘度を測定した。
製造直後の各組成物について、粘弾性測定装置(RDS−II、TAインスツルメント社製)を用いて、昇温速度2℃/分、周波数10rad/秒、歪み1.0%の条件で、40〜200℃の範囲における最低粘度を測定した。
(タック性)
25℃、40%RHの下、製造直後の各組成物を型に流し込み、縦300mm×横200mm×厚さ5〜10mmのシート状に成形した。このシートを縦に半分に折り曲げてシートの両端部を貼り合せて、粘着性を評価した。
シートの両端部を貼り合せた後に手を離しても剥離せず、手で剥離したときに軽く剥がれたもの(比較例1)を基準「5」として10段階で粘着性が高いものほど高い数値として評価した。
25℃、40%RHの下、製造直後の各組成物を型に流し込み、縦300mm×横200mm×厚さ5〜10mmのシート状に成形した。このシートを縦に半分に折り曲げてシートの両端部を貼り合せて、粘着性を評価した。
シートの両端部を貼り合せた後に手を離しても剥離せず、手で剥離したときに軽く剥がれたもの(比較例1)を基準「5」として10段階で粘着性が高いものほど高い数値として評価した。
(ドレイプ性)
25℃、40%RHの下、上記タック性試験で用いたシートと同じものを90度に折り曲げた後、シートが折り曲げられる前の形状に戻ろうとする速さにより柔軟性を評価した。比較例1を基準「5」として10段階で元の形状に戻ろうとする速さが遅いほど高い数値として評価した。
25℃、40%RHの下、上記タック性試験で用いたシートと同じものを90度に折り曲げた後、シートが折り曲げられる前の形状に戻ろうとする速さにより柔軟性を評価した。比較例1を基準「5」として10段階で元の形状に戻ろうとする速さが遅いほど高い数値として評価した。
また、各組成物をモールドに注ぎ、70℃から毎分2℃ずつ昇温して180℃で2時間養生して硬化させた。得られた各硬化物について、ASTM E399に準じて破壊靭性値(K1c)を測定した。結果を下記第1表に示す。
また、実施例4および比較例4の組成物を炭素繊維に含浸させたプリプレグシートにてサンドイッチパネルを作製し、ASTM D1781に準じてCDP(Climbing Drum Peel)試験を行い剥離強度を評価した。結果を下記第1表に示す。
また、実施例1および3ならびに比較例1〜3については破壊靭性値測定後の試験片の破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した(実施例3についてはTEMでのみ観察し、比較例2についてはSEMでのみ観察した)。
図1(A)は実施例1の硬化物のSEM写真(3000倍)であり、図1(B)は実施例1のTEM写真(3000倍)である。
図2は、実施例3のTEM写真(3000倍)である。
図3(A)は比較例1の硬化物のSEM写真(1000倍)であり、図3(B)は比較例1の硬化物のSEM写真(200倍)であり、図3(C)は比較例1の硬化物のTEM写真(3000倍)である。
図4(A)は比較例2の硬化物のSEM写真(5000倍)であり、図4(B)は比較例2の硬化物のSEM写真(100倍)である。
図5(A)は比較例3の硬化物のSEM写真(3000倍)であり、図5(B)は比較例3の硬化物のSEM写真(200倍)であり、図5(C)は比較例3の硬化物のTEM写真(3000倍)である。
図1(A)は実施例1の硬化物のSEM写真(3000倍)であり、図1(B)は実施例1のTEM写真(3000倍)である。
図2は、実施例3のTEM写真(3000倍)である。
図3(A)は比較例1の硬化物のSEM写真(1000倍)であり、図3(B)は比較例1の硬化物のSEM写真(200倍)であり、図3(C)は比較例1の硬化物のTEM写真(3000倍)である。
図4(A)は比較例2の硬化物のSEM写真(5000倍)であり、図4(B)は比較例2の硬化物のSEM写真(100倍)である。
図5(A)は比較例3の硬化物のSEM写真(3000倍)であり、図5(B)は比較例3の硬化物のSEM写真(200倍)であり、図5(C)は比較例3の硬化物のTEM写真(3000倍)である。
図1および図2から、実施例1および実施例3は、それぞれ、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホンが共連続相構造2を形成し、この共連続相の中にポリエーテルイミドから形成されるドメイン1が点在するミクロ相分離構造となっていることが分かった。実施例1のドメイン1の直径は1μmであり、実施例3のドメイン1の直径は4μmであった。
また、図3から、比較例1は、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホンが共連続相構造2を形成し、この相とは分離して、エポキシ樹脂とポリエーテルイミドが逆海島構造3(エポキシ樹脂が島、PEIが海)を形成していることが分かった。
また、図4から、比較例2は、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホンが海島構造4(エポキシ樹脂が海、PESが島)を形成し、この相とは分離して、エポキシ樹脂とポリエーテルイミドが逆海島構造(エポキシ樹脂が島、PEIが海)3を形成していることが分かった。
また、図5から、比較例3は、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホンが共連続相構造2を形成していることが分かった。
また、図3から、比較例1は、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホンが共連続相構造2を形成し、この相とは分離して、エポキシ樹脂とポリエーテルイミドが逆海島構造3(エポキシ樹脂が島、PEIが海)を形成していることが分かった。
また、図4から、比較例2は、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホンが海島構造4(エポキシ樹脂が海、PESが島)を形成し、この相とは分離して、エポキシ樹脂とポリエーテルイミドが逆海島構造(エポキシ樹脂が島、PEIが海)3を形成していることが分かった。
また、図5から、比較例3は、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホンが共連続相構造2を形成していることが分かった。
上記第1表中の各成分は下記のとおりである。
・エポキシ樹脂1:トリグリシジル−p−アミノフェノール、MY−0510、ハンツマン・アドバンス・マテリアルズ社製
・エポキシ樹脂2:ビスフェノールFジグリシジルエーテル、エピコート806、ジャパンエポキシレジン社製
・PES(ポリエーテルスルホン):スミカエクセル5003P、住友化学工業社製
・PEI(ポリエーテルイミド):ULTEM1000、ジー・イー・プラスチックス社製
・3.3′−DDS(3.3′−ジアミノジフェニルスルホン):和歌山精化工業社製
・DICY(ジシアンジアミド):エピキュアDICY15、ジャパンエポキシレジン社製
・エポキシ樹脂1:トリグリシジル−p−アミノフェノール、MY−0510、ハンツマン・アドバンス・マテリアルズ社製
・エポキシ樹脂2:ビスフェノールFジグリシジルエーテル、エピコート806、ジャパンエポキシレジン社製
・PES(ポリエーテルスルホン):スミカエクセル5003P、住友化学工業社製
・PEI(ポリエーテルイミド):ULTEM1000、ジー・イー・プラスチックス社製
・3.3′−DDS(3.3′−ジアミノジフェニルスルホン):和歌山精化工業社製
・DICY(ジシアンジアミド):エピキュアDICY15、ジャパンエポキシレジン社製
上記第1表に示す結果から明らかなように、ポリエーテルイミドを含有しない組成物(比較例3および4)は、靭性が十分ではなかった。また、ポリエーテルイミドの量が多い組成物(比較例1)は、ポリエーテルイミドを含有しない組成物(比較例3)よりも靭性が低かった。ポリエーテルスルホンの量が少なく、ポリエーテルイミドの量が多い組成物(比較例2)は、比較例1よりも更に靭性が低かった。
一方、実施例1〜4は、比較例1〜4と比較して靭性が優れていた。特に、実施例3と比較例1を比較した場合、両者の配合はポリエーテルイミドの含有量が2質量部異なるだけであるのに、実施例3のK1Cは比較例1のK1Cに対して驚くべきことに50%以上高くなっていた。また、実施例1〜4は、ポリエーテルイミド未添加の組成物(比較例3)に比べて、粘度が高く、タック性およびドレイプ性も同等以上だった。
一方、実施例1〜4は、比較例1〜4と比較して靭性が優れていた。特に、実施例3と比較例1を比較した場合、両者の配合はポリエーテルイミドの含有量が2質量部異なるだけであるのに、実施例3のK1Cは比較例1のK1Cに対して驚くべきことに50%以上高くなっていた。また、実施例1〜4は、ポリエーテルイミド未添加の組成物(比較例3)に比べて、粘度が高く、タック性およびドレイプ性も同等以上だった。
1 ドメイン
2 エポキシ/PES共連続相構造
3 エポキシ/PEI逆海島構造
4 エポキシ/PES海島構造
2 エポキシ/PES共連続相構造
3 エポキシ/PEI逆海島構造
4 エポキシ/PES海島構造
Claims (13)
- 熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、前記ポリエーテルスルホンの含有量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して30〜70質量部であり、前記ポリエーテルイミドの含有量が前記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜10質量部である熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂と前記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、前記共連続相中に前記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂と、硬化剤と、ポリエーテルスルホンと、ポリエーテルイミドとを含有し、前記熱硬化性樹脂と前記ポリエーテルスルホンとが共連続相を形成し、前記共連続相中に前記ポリエーテルイミドがドメインを形成したミクロ相分離構造を有する硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物。
- 前記ドメインが、直径0.1〜10μmである請求項2または3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化剤が、芳香族アミンおよび/またはジシアンジアミドである請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜70質量部である請求項1〜6のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリエーテルスルホンと前記ポリエーテルイミドとの質量比が、3/1〜50/1である請求項1〜7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリエーテルスルホンおよび前記ポリエーテルイミドを溶解させ、混合して得られる請求項1〜8のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物と、繊維とを含有するプリプレグ。
- 前記繊維が、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選択される少なくとも1種である請求項11に記載のプリプレグ。
- 請求項11または12に記載のプリプレグを硬化させて得られる繊維強化複合材料。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010055811A1 (ja) * | 2008-11-13 | 2010-05-20 | 東邦テナックス株式会社 | 熱硬化性樹脂組成物とそれを用いたプリプレグ |
CN108467571A (zh) * | 2018-03-14 | 2018-08-31 | 武汉理工大学 | 一种电阻率宽分布导电复合材料及其制备方法 |
CN114641551A (zh) * | 2019-12-24 | 2022-06-17 | 富士胶片株式会社 | 内窥镜用粘接剂及其固化物、以及内窥镜及其制造方法 |
-
2006
- 2006-05-01 JP JP2006127600A patent/JP2007297529A/ja not_active Withdrawn
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