JP2007297434A - 押出成形体、並びに、当該押出成形体を用いた自動車用シール部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒドロシリコーン架橋により生産した押出成形体、並びに当該押出成形体を用いた自動車用シール部材を提供する。
【解決手段】自動車ドアにはシール部材としてガラスランが装着されている。ガラスランは押出成形部と型成形部とを備えている。押出成形部となる押出成形体40の製造に際しては、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)ゴムが材料として使用される。このEPDMゴム材料には、架橋剤としてSiH基を1分子中に2個以上有するSiH基含有化合物が含有されるとともに、白金族元素よりなる反応触媒と反応抑制剤が含有されている。そして、ゴム押出機31から押出成形体40の中間成形体32が押出された後、架橋工程においてはヒドロシリコーン架橋が行われる。架橋後及び冷却後のシールリップの平均肉厚は0.8mm〜2.5mmとなる。
【選択図】 図4
【解決手段】自動車ドアにはシール部材としてガラスランが装着されている。ガラスランは押出成形部と型成形部とを備えている。押出成形部となる押出成形体40の製造に際しては、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)ゴムが材料として使用される。このEPDMゴム材料には、架橋剤としてSiH基を1分子中に2個以上有するSiH基含有化合物が含有されるとともに、白金族元素よりなる反応触媒と反応抑制剤が含有されている。そして、ゴム押出機31から押出成形体40の中間成形体32が押出された後、架橋工程においてはヒドロシリコーン架橋が行われる。架橋後及び冷却後のシールリップの平均肉厚は0.8mm〜2.5mmとなる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、自動車等に装着されるガラスランやウエザストリップ等の自動車用シール部材、並びに、これを構成する押出成形体に関するものである。
自動車等にはシール部材としてガラスランやウエザストリップが取付けられる。これらガラスラン等は、耐候性に優れた合成ゴム、例えばEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)ゴム等によって成形されている。
ガラスラン等を製造するに際しては、上記のEPDMゴム材料を使用し、公知の押出成形法により押出成形体を成形した後、所定寸法に切断し、当該押出成形体の端部を金型装置にセットし、押出成形体の端面に対し型成形体を連続的に接続成形することにより製造されている。上記の押出成形体は、押出機から未加硫状態で押し出されたEPDMゴムを加硫することにより得られる。
この通常用いられる硫黄を加硫剤として用いた加硫方式では加硫槽を通過させることにより連続架橋(連続生産)が可能であり、押出成形法に適した架橋方式の一つである反面、架橋(加硫)には長い時間がかかっていた。また、加硫残材が残るとともに、これらの残材の表面へのブルーミングが問題となる場合があった。これに対し、パーオキサイド架橋方式を採用すれば、加硫残材等の問題は生じないが、連続架橋が困難となるため、この方式は押出成形体の生産には適していない。なお、パーオキサイド架橋方式では主鎖の炭素同士が直接的に橋渡しされていると考えられ、実際、圧縮永久歪みの値も硫黄架橋のものよりも優れているので、この方式による連続的な製造方法が強く望まれていた。
近年では、架橋方式の一つとしてヒドロシリコーン架橋方式も知られている。この架橋方式は、加硫剤として硫黄を用いず、SiH基含有化合物を用いており、加硫方式に比べ架橋時間を短縮することができるとともに、連続架橋が可能であるという利点がある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−49057号公報
ところが、特開2001−49057号公報等に開示されている技術では、ゴム組成物をシート状に成形し、その後に熱風架橋して得られるものであって、さらに種々の用途に用いられるゴム組成物の用途の例の1つとしてウエザストリップが例示されているだけであって、実際に押出成形法による押出成形体の生産に適用するには現実的ではない。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ヒドロシリコーン架橋により生産した押出成形体、並びに、当該押出成形体を用いた自動車用シール部材を提供することにある。
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.未架橋状態のエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)ゴムに、SiH基を1分子中に2個以上有するSiH基含有化合物と、白金族元素よりなる反応触媒と反応抑制剤を含有したものを立体形状で押出し、ヒドロシリコーン架橋して得られた押出成形体であって、
平均肉厚が0.8mm〜2.5mmのシール部を備えてなる押出成形体。
平均肉厚が0.8mm〜2.5mmのシール部を備えてなる押出成形体。
上記手段1によれば、架橋方式としてヒドロシリコーン架橋方式を採用しているため、硫黄を用いた加硫方式に比べ架橋時間を短縮することができ、製造ラインの短縮化や生産性の向上を図ることができる。また、本手段の押出成形体は、平均肉厚が0.8mm〜2.5mmのシール部を備えているため、未架橋状態のゴム材料を立体形状で押出して成形するといった実際の押出成形体の生産に適している。シール部の平均肉厚が0.8mm未満の場合には、未架橋状態のゴム材料を立体形状で押出したとしてもその形状を維持することができず、押出成形体を生産することは事実上困難となる。逆に、シール部の平均肉厚が2.5mmを超える場合には、剛性が高くなり過ぎて、シール部としての適正な機能を確保することが困難となる。また、高周波加熱によりヒドロシリコーン架橋することとすれば、熱風加熱に比べて架橋時間を短縮することができ、さらなる製造ラインの短縮化や生産性の向上を図ることができる。
手段2.前記シール部は、架橋後及び冷却後の硬度が70〜90IRHDとなる非発泡形態(ソリッド状)ゴムよりなることを特徴とする手段1に記載の押出成形体。
上記手段2によれば、押出成形体、ひいては当該押出成形体を用いた自動車用シール部材におけるシール部の形状維持性を高めることができる。結果として、自動車用シール部材におけるシール性などの適正な機能を確保することができる。
手段3.前記シール部は、架橋後及び冷却後の比重が0.97〜1.1となる微発泡形態ゴムよりなることを特徴とする手段1に記載の押出成形体。
上記手段3によれば、押出成形体、ひいては当該押出成形体を用いた自動車用シール部材におけるシール部の可撓性等を高めることができる。結果として、自動車用シール部材におけるシール性などの適正な機能を確保することができる。
手段4.架橋後及び冷却後の前記シール部の表面の少なくとも一部に皮膜部を形成したことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の押出成形体。
上記手段4によれば、押出成形体、ひいては当該押出成形体を用いた自動車用シール部材におけるシール部の耐磨耗性や摺動性等を高めることができる。
手段5.前記シール部としてシールリップを備えた上記手段1乃至4のいずれかに記載の押出成形体を用いた自動車用シール部材。
このような自動車用シール部材としては、例えば「車両用ドアに取付けられ、基底部並びに当該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部からなる断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び車外側側壁部からそれぞれ本体部内側へ延び、ドアガラスとの間でシールを行うシール部としての一対のシールリップとを備えたガラスラン」が一例に挙げられる。
手段6.前記シール部は、架橋後及び冷却後の比重が0.5〜0.6となる発泡形態(スポンジ状)ゴムよりなることを特徴とする手段1に記載の押出成形体。
上記手段6によれば、押出成形体、ひいては当該押出成形体を用いた自動車用シール部材におけるシール部の可撓性等を高めることができる。結果として、自動車用シール部材におけるシール性などの適正な機能を確保することができる。
手段7.前記シール部として中空状のシール部を備えた上記手段1又は手段6に記載の押出成形体を用いた自動車用シール部材。
このような自動車用シール部材としては、例えば「車両本体又はドアに固定される基部と、当該基部から突出して設けられ、車両本体とドアとの間をシールする中空状のシール部とを備えたウエザストリップ」ものが一例に挙げられる。
〔第1実施形態〕
以下に、第1実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、車両としての自動車1のドア開口部2には車両用ドアとしてのフロントドア3(以下、単にドアという)が開閉可能に設けられている。ドア3は、昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応した自動車用シール部材としてのガラスラン4とを備えている。
以下に、第1実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、車両としての自動車1のドア開口部2には車両用ドアとしてのフロントドア3(以下、単にドアという)が開閉可能に設けられている。ドア3は、昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応した自動車用シール部材としてのガラスラン4とを備えている。
図2に示すように、ガラスラン4は、その長手方向にみて上辺部に対応する上押出成形部6、前後の縦辺部に対応する縦押出成形部7,8と、各押出成形部6,7,8の端部同士を接続する型成形部9,10(図2で散点模様を付した部分)とに区別される。
図2のJ−J線断面図である図3に示すように、ガラスラン4は、図示しないドアサッシュに取付けられる基底部14並びに当該基底部14の両端から延びる車内側側壁部15及び車外側側壁部16からなる断面略コ字状をなす本体部11と、車内側側壁部15及び車外側側壁部16の先端からそれぞれ本体部11内側へ延び、ドアガラスGとの間でシールを行うシール部としての一対のシールリップ12,13とを備えている。
次にガラスラン4の製造方法について説明する。先ず各押出成形部6〜8となる押出成形体の製造過程について説明する。図4は押出成形体40の製造ラインの一部を示す模式図であり、押出成形体40となるワークはこの図中において左側から右側に進みながら製造される。
まず、押出工程においては、ゴム押出機31に対し未架橋ゴムが連続的に供給される。そして、ゴム押出機31のダイスから押出成形体40の中間成形体32が立体形状で押出される。なお、本実施形態では、押出成形体40の材料としてエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)ゴムが使用される。
続く架橋工程では、押出された中間成形体32が高周波加硫槽(UHF)33に案内され、架橋が施される。上記EPDMゴム材料には、架橋剤としてSiH基を1分子中に2個以上有するSiH基含有化合物が含有されるとともに、白金族元素よりなる反応触媒と反応抑制剤が含有されている。すなわち、本実施形態では、架橋方式として、SiH基含有化合物がEPDMと反応し架橋剤として作用するヒドロシリコーン架橋方式が採用されている。そして、中間成形体32は、その全体が、ヒドロシリコーン架橋後及び冷却後にソリッド状(非発泡形態)ゴムとなり、その硬度が70〜90IRHDとなる。また、本実施形態では、架橋後及び冷却後のシールリップ12,13の平均肉厚D1が0.8mm〜2.5mmとなるように設定されている。但し、中間成形体32の圧縮永久歪み(CS)が70%以下となることがより好ましい。
その後、皮膜工程において、上記シールリップ12,13のガラス摺動面となる部位に皮膜部としての摺動層を形成する。本実施形態ではPEシート35を貼り付ける。もちろん、これに限らず、摺動層をウレタン塗膜層等により形成してもよし、摺動層を省略した構成としてもよい。
皮膜工程を経た中間成形体32は、カッター38で所定の寸法に裁断され、押出成形体40となる。
そして、型成形工程において、各押出成形部6〜8に対応する押出成形体40をそれぞれ図示しない金型装置にセットし、型成形部9,10を接続成形する。より詳しくは、金型装置を型締めした状態からキャビティ内に未架橋のEPDMゴムを注入し、充填させる。その後、EPDMゴムを架橋し、金型装置を型開きし、ガラスラン4を得る。
以上詳述したように、本実施形態では、架橋方式としてヒドロシリコーン架橋方式を採用しているため、硫黄を用いた加硫方式に比べ架橋時間を短縮することができ、製造ラインの短縮化や生産性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態における押出成形体40は、平均肉厚D1が0.8mm〜2.5mmのシールリップ12,13を備えているため、未架橋状態のゴム材料を立体形状で押出して成形するといった実際の押出成形体の生産に適している。シールリップ12,13の平均肉厚が0.8mm未満の場合には、未架橋状態のゴム材料を立体形状で押出したとしてもその形状を維持することができず、押出成形体40(シールリップ12,13)を生産することは事実上困難となる。逆に、シールリップ12,13の平均肉厚が2.5mmを超える場合には、剛性が高くなり過ぎて、シールリップ12,13としての適正な機能を確保することが困難となる。
また、本実施形態では、高周波加熱によりヒドロシリコーン架橋を施しているため、熱風加熱に比べて架橋時間を短縮することができ、さらなる製造ラインの短縮化や生産性の向上を図ることができる。
〔第2実施形態〕
以下に、第2実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、ドア3周縁には自動車用シール部材としてウエザストリップ5が装着されている。
以下に、第2実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、ドア3周縁には自動車用シール部材としてウエザストリップ5が装着されている。
図5に示すように、ウエザストリップ5はドア3周縁に沿うようにしてEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)ゴムにより、環状に構成されている。
ウエザストリップ5は、押出成形部51,52と型成形部(同図散点模様を付した部分)53,54とを備えている。押出成形部51,52は、図示しない押出成形機によりほぼ直線状に(長尺状に)形成される。また、型成形部53,54は、隣接する押出成形部51,52の端縁を連結するようにして所定の金型装置によって形成されている。
図5のK−K線断面図である図6に示すように、ウエザストリップ5は、ドア3周縁の図示しないリテーナに取付けられる基部としての基底部55、当該基底部55から延び、内部に中空部56を有してなる中空状のシール部57及びシール部57の基端部から延びるリップ部58等を備えている。
押出成形部51,52となる押出成形体は、上記第1実施形態と同様に製造される。つまり、架橋剤としてSiH基を1分子中に2個以上有するSiH基含有化合物が含有されるとともに、白金族元素よりなる反応触媒と反応抑制剤が含有されたエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)ゴムが、押出成形体の材料として使用される。そして、架橋後及び冷却後のシール部57の平均肉厚D2が0.8mm〜2.5mmとなるように設定されている。但し、この押出成形体は、その全体が、ヒドロシリコーン架橋後及び冷却後にスポンジ状(発泡形態)ゴムとなり、その比重が0.5〜0.6となる。
従って、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記第1実施形態では、フロントドア3に取付けられるガラスラン4について具体化されているが、リアドアに取付けられるガラスラン等の他のドアに取付けられるガラスランに具体化することもできる。
(b)上記第2実施形態では、フロントドア3外周に取付けられるウエザストリップ5について具体化されているが、リアドア外周に取付けられるウエザストリップ等の他のドアに取付けられるウエザストリップに具体化することもできる。もちろん、ドア3に対応するボディ側の開口部2周縁など、他の部位に取付けられるウエザストリップにも適用できる。
(c)上記各実施形態で使用されるEPDMゴムは、架橋後の硬度など上記各実施形態の物性に限定されるものではない。
例えば、第1実施形態では、押出成形体40の全体が架橋後及び冷却後にソリッド状ゴムとなり、その硬度が70〜90IRHDとなるよう構成されているが、これに限らず、押出成形体40の全体又はシールリップ12,13のみが、架橋後及び冷却後の比重が0.97〜1.1となる微発泡形態ゴムにより構成されることとしてもよい。
(d)上記実施形態では、高周波加熱によりヒドロシリコーン架橋を施す構成となっているが、加熱方式はこれに限定されるものではなく、例えば熱風加熱であってもよい。但し、高周波加熱の方が架橋時間を短縮する点においてはより好ましい。
1…自動車、3…ドア、4…ガラスラン、12,13…シールリップ、40…押出成形体、D1…平均肉厚。
Claims (7)
- 未架橋状態のエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムに、SiH基を1分子中に2個以上有するSiH基含有化合物と、白金族元素よりなる反応触媒と反応抑制剤を含有したものを立体形状で押出し、ヒドロシリコーン架橋して得られた押出成形体であって、
平均肉厚が0.8mm〜2.5mmのシール部を備えてなる押出成形体。 - 前記シール部は、架橋後及び冷却後の硬度が70〜90IRHDとなる非発泡形態ゴムよりなることを特徴とする請求項1に記載の押出成形体。
- 前記シール部は、架橋後及び冷却後の比重が0.97〜1.1となる微発泡形態ゴムよりなることを特徴とする請求項1に記載の押出成形体。
- 架橋後及び冷却後の前記シール部の表面の少なくとも一部に皮膜部を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の押出成形体。
- 前記シール部としてシールリップを備えた請求項1乃至4のいずれかに記載の押出成形体を用いた自動車用シール部材。
- 前記シール部は、架橋後及び冷却後の比重が0.5〜0.6となる発泡形態ゴムよりなることを特徴とする請求項1に記載の押出成形体。
- 前記シール部として中空状のシール部を備えた請求項1又は6に記載の押出成形体を用いた自動車用シール部材。
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