JP2007297330A - 2−メチルグリシジル誘導体の製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、医薬および農薬等の合成中間体として有用な2−メチルグリシジル誘導体の製造法、並びにその合成中間体の製造方法に関するものである。
2−メチルグリシジル誘導体の製造方法としては、3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールをアルカリ金属水酸化物の水溶液(非特許文献1参照)もしくはアルコール溶液(非特許文献2参照)で処理し、生成するグリシドール類縁体を、第3級アミンおよび4−ジメチルアミノピリジン存在下、トリチルクロライドと反応させてトリチル 2−メチルグリシジルエーテルを製造する方法(非特許文献3参照)が提案されている。
しかし、この方法では水溶性であるグリシドール類縁体を反応液中から単離することが難しく、また単離することなく次の保護基導入を行うにしても、その保護基原料が一般的に水やアルコールにより分解し易く、収率の低下や不純物の増加を招くという問題点があった。
また、従来、2−メチルグリシジルエーテルの製造法としては、i)2−メチルグリセロールアセトナイドをハロゲン化アルキルでエーテル化した後、塩酸などの鉱酸を用いた脱アセトナイド体とした後に塩基条件での環化反応を経る方法(非特許文献4)参照,ii)対応する(メタ)アリルアルコールを過酸化物でエポキシ化する方法(非特許文献5参照)、およびiii)イソブテンを塩素化した後にアルコールでエーテル化し、クロロヒドリン化剤でクロロヒドリンとし、脱塩化水素により環化反応を行う方法(特許文献1参照)が知られている。
しかし,方法i)は、工程が多段階に及び高収率は望めない。また、方法ii)は有機過酸化物を使用するため、爆発の危険性を伴う。
ところで、2−メチルグリシジルエーテルは不斉炭素を有し、光学異性が存在する。近年、光学活性化合物からなる医薬品の開発に際して、それぞれの光学活性体についての検討が行なわれている。すなわち、これら一連の化合物の光学活性体を容易にかつ高い光学純度で製造する方法の確立が極めて重要な課題であるが、光学活性2−メチルグリシジルエーテルの製法はほとんど報告されておらず、方法i)において光学活性な原料を用いる方法と、方法ii)において(メタ)アリルアルコールを立体選択的にエポキシ化する方法が知られているのみである。
特公 昭47−30684
Ind. Eng. Chem., 33, 941(1941)
J.Chem.Soc.,1951,2877
Tetrahedron Letters, 36, 3639(1995)
Tetrahedron Asymmetry, 2001, 12, 1383-1388
Synthesis, 1992, 191-195
上記のような背景技術に鑑み、本発明の目的は、3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオールから容易な操作で高収率で2−メチルグリシジル誘導体を得、さらに3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオールが光学活性体の場合にはその光学純度を損なうことなく光学活性2−メチルグリシジル誘導体を得る方法を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、2−メチルエピハロヒドリンから容易な操作で高収率で2−メチルグリシジル誘導体を得、さらに2−メチルエピハロヒドリンが光学活性体の場合にはその光学純度を損なうことなく光学活性2−メチルグリシジル誘導体を得る方法を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、下記の第1および第2の発明を完成するに至った。
(式中、Xはハロゲン原子を意味する。)
で表される3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオールを有機溶媒中、3級塩基の存在下、1級水酸基に選択的に保護基を導入する保護基導入化合物と反応させ、一般式(2)
で表される3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオールを有機溶媒中、3級塩基の存在下、1級水酸基に選択的に保護基を導入する保護基導入化合物と反応させ、一般式(2)
(式中、Aは上記と同義である。)
で表される2−メチルグリシジル誘導体を製造することを特徴とする2−メチルグリシジル誘導体の製造法である。
で表される2−メチルグリシジル誘導体を製造することを特徴とする2−メチルグリシジル誘導体の製造法である。
第1発明において、3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)として光学活性体を用いれば、2−メチルグリシジル誘導体(3)が光学活性体として得られる。
(式中、Xはハロゲン原子を意味する。)
で表される2−メチルエピハロヒドリンを、
一般式(5)
ROH
(5)
(式中、Rは置換もしくは無置換アルキル基、置換もしくは無置換アルケニル基、または、置換もしくは無置換アラルキル基を意味する。)
で表されるアルコールと酸触媒の存在下に反応させ、
一般式(6)
で表される2−メチルエピハロヒドリンを、
一般式(5)
ROH
(5)
(式中、Rは置換もしくは無置換アルキル基、置換もしくは無置換アルケニル基、または、置換もしくは無置換アラルキル基を意味する。)
で表されるアルコールと酸触媒の存在下に反応させ、
一般式(6)
(式中、Rは上記と同義である。)
で表される2−メチルグリシジルエーテルを製造することを特徴とする2−メチルグリシジル誘導体の製造法である。
で表される2−メチルグリシジルエーテルを製造することを特徴とする2−メチルグリシジル誘導体の製造法である。
第2発明において、グリシジル化合物(4)として光学活性体を用いれば、2−メチルグリシジルエーテル(7)が光学活性体として得られる。
第1発明によれば、3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオールから容易な操作で高収率で2−メチルグリシジル誘導体を得、さらに3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオールが光学活性体の場合にはその光学純度を損なうことなく光学活性2−メチルグリシジル誘導体を得ることができる。
第2発明によれば、2−メチルエピハロヒドリンから容易な操作で高収率で2−メチルグリシジル誘導体を得、さらに2−メチルエピハロヒドリンが光学活性体の場合にはその光学純度を損なうことなく光学活性2−メチルグリシジル誘導体を得ることができる。
まず、第1発明について詳しく説明をする。
3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)を有機溶媒中、3級塩基の存在下、1級水酸基に選択的に保護基を導入する保護基導入化合物と反応させ、一般式(1)で表される3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオールの1級水酸基を保護する保護基導入工程において、3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)のハロゲン原子(X)としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、好ましくは塩素原子、臭素原子である。3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)の具体例としては3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール、3−ブロモ−2−メチル−1,2−プロパンジオールなどが挙げられ、特に3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールが好んで用いられる。
3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールは、メタリルクロライドを過酢酸などによる酸化でメチルエピクロルヒドリンとし、これを酸性条件下で水和開裂する方法といった常法により容易に調製することができる。また、3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)の光学活性体も公知の方法、例えば特開昭63−150234号公報記載の方法で調製することができる。これは特願2005−000116号明細書記載の方法で得ることもできる。
保護基導入反応に使用することができる3級塩基としては、3級アミン並びにピリジンおよびその誘導体が例示される。
3級アミンとしては、トリメチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジエチルヘキシルアミン等の、アルキル部分が炭素数1〜6のものであるトリアルキルアミンや、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルジフェニルアミン等の、アルキル部分が炭素数1〜4のものであるジアルキルフェニルアミンまたはモノアルキルジフェニルアミンや、1−メチルピロリジン、1−エチルピペリジン、4−メチルモルホリン等の、炭素数1〜4のアルキル基で置換した、3級アミノ基を有する含窒素飽和複素環化合物が挙げられる。
ピリジン誘導体としては、2−ピコリン、4−エチルピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン等の炭素数1〜4のアルキル基で置換したピリジン化合物や、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、4−N−メチル−N−エチルアミノピリジン等の炭素数1〜4のアルキル基で置換した、3級アミノ基を有するピリジン化合物等が挙げられる。また、これらの第3級塩基を混合して使用することもでき、特に各塩基に触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを加えると、反応が促進され短時間で反応が進行する。
第3級塩基の使用量は3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)に対し好ましくは1.0〜5.0当量、より好ましくは1.0〜1.5当量である。
3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)の1級水酸基に選択的に保護基を導入する保護基導入化合物は、1級および2級水酸基が存在する中、選択的に1級水酸基と反応し1級水酸基に保護基を導入するものであれば、特に限定されず、例えばトリチルクロライド、ピバロイルクロライド、tert-ブチルジメチルシリルクロライド、tert-ブチルジフェニルシリルクロライドなどが挙げられる。
保護基導入化合物の使用量は、出発原料3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)に対し好ましくは0.8〜2.0当量、より好ましくは0.9〜1.5当量である。
保護機導入工程の反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系炭化水素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましく、これらを単独もしくは混合して用いることができる。好ましい溶媒はハロゲン系炭化水素もしくは芳香族炭化水素であり、最も好ましい溶媒はジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンまたはトルエンである。
保護機導入反応の反応温度は好ましくは−10〜80℃、より好ましくは20〜50℃である。
保護基導入工程の後処理として無機酸水溶液による分液操作を行うことにより、副生した第3級塩基の塩酸塩、過剰の第3級塩基等を除去できる。
次に、3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール誘導体(2)に塩基を作用させ、ハロヒドリンの分子内環化により2−メチルグリシジル誘導体(3)を得る。
この環化反応では、前述した1級水酸基の保護基導入工程に用いた溶媒と同じものを使用でき、従って、第一の反応の終了後、溶媒置換をすることなく、いわゆるワンポットで環化反応を進めることができる。
環化反応は塩基性条件下に行われ、使用する塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムベンジルオキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドまたはアリールオキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、ナトリウムアミド、マグネシウムアミド等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属アミド、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等のアミン類が挙げられるが、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコラート類であり、更に好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウム tert−ブトキシドである。
塩基は、保護基導入反応後の反応混合物に粉末あるいは顆粒状の形態で攪拌下に投入される。アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩の場合は、それらを10〜50%の水溶液の形態で保護基導入工程後の反応混合物に加え、この水層と、1級水酸基が保護基で保護された化合物(2)を含む有機層とを激しく混合することにより環化反応を行うことができる。
塩基の使用量は3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)に対し好ましくは1.0〜10.0当量、より好ましくは1.0〜2.0当量である。上述した水層と有機層の混合による二相反応の場合は、これにテトラブチルアンモニウムブロミドのような4級アンモニウム塩やクラウンエーテルなどのいわゆる相間移動触媒を3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)に対し0.1〜10.0モル%、好ましくは0.2〜1.0モル%添加することで反応が促進される。
環化反応の反応温度は好ましくは0〜50℃、より好ましくは20〜40℃である。この範囲未満の温度では反応の進行が遅く、この範囲を超えると副生成物が増加し好ましくない。反応は通常1〜10時間で終了し、目的物質である2−メチルグリシジル誘導体が得られる。
環化反応終了後、反応液の後処理としては、水による分液操作を行うことにより、簡便に副生塩や過剰の塩基を除去できる。すなわち、有機層を水で洗浄処理した後、溶媒留去し、2−メチルグリシジル誘導体の溶解度が低い溶媒を添加することで同誘導体が結晶化し、容易に高純度の目的物質が得られる。
出発物質として光学純度の高い3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオールを使用すれば、反応中ラセミ化することなく高光学純度の2−メチルグリシジル誘導体を得ることができる。
つぎに、第2発明について詳細に説明をする。
2−メチルエピハロヒドリン(4)をアルコール(5)と酸触媒の存在下に反応させ、2−メチルハロヒドリンエーテル(6)を得る開環反応において、2−メチルエピハロヒドリン(4)のハロゲン原子(X)としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、好ましくは塩素原子、臭素原子である。2−メチルエピハロヒドリン(4)の具体例としては、2−メチルエピクロロヒドリン、2−メチルエピブロモヒドリン等が挙げられ、特に2−メチルエピクロロヒドリンが好んで用いられる。
2−メチルエピハロヒドリン(4)は公知の方法で得られたものであってもよい。2−メチルエピクロロヒドリンの光学活性体は、上述した特開昭63−150234または特願2005−000116に記載の方法に従って製造した光学活性な3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールの一級水酸基をピリジン等の有機塩基の存在下、ベンゼンスルホニルクロリド等のスルホニルハライドを用いてスルホニル化し、次いでこれを水酸化ナトリウム等の無機塩基で処理することにより取得することができる。
開環反応に使用するアルコール(ROH)の基Rは、メチル、エチル、プロピル、2−プロヒ゜ル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基、アリルなどの炭素数3〜6のアルケニル基、ベンジルなどの炭素数7〜12のアラルキル基等であり、上記アルキル基、アルケニル基およびアラルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。アルコール(5)としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルキルアルコール、アリルアルコールなどのアルケニルアルコール、ベンジルアルコールなどのアラルキルアルコール等が挙げられる。これらのアルコールを溶媒として使用することもできる。
アルコールの使用量は、2−メチルエピハロヒドリンに対して2〜10当量、好ましくは2〜5当量である。
開環反応に使用する酸触媒としては、ブレンステッド酸として硫酸、フッ化水素など、ルイス酸として三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素のエーテル錯体、三フッ化ホウ素のフェノール錯体、三フッ化ホウ素の水との錯体等のフッ化ホウ素類、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、二塩化亜鉛、四塩化錫、三塩化鉄等の金属ハロゲン化物等が挙げられるが、好ましくは三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素のエーテル錯体等の三フッ化ホウ素類が用いられる。
触媒の使用量は、2−メチルエピハロヒドリン(4)に対して好ましくは0.0001〜0.1当量、より好ましくは0.001〜0.05当量である。
開環反応では必要に応じて溶媒を使用することができる。溶媒としては、上述のアルコール類以外に、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ならびにこれらの混合溶媒が挙げられる。
開環反応の反応温度は0℃〜溶媒の還流温度の範囲、好ましくは20〜40℃である。
次に、開環工程で得られた2−メチルハロヒドリンエーテル(6)に塩基を作用させ、分子内環化させることにより、2−メチルグリシジルエーテル(7)が得られる。
この環化工程で使用する塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムベンジルオキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドまたはアリールオキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、ナトリウムアミド、マグネシウムアミド等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属アミド、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等のアミン類が挙げられるが、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコラート類であり、更に好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウム tert−ブトキシドである。
環化工程で使用する塩基の使用量は、2−メチルハロヒドリンエーテル(6)に対して好ましくは0.5〜5当量であり、より好ましくは0.9〜2.0当量である。
尚、本反応には必要に応じて反応促進剤を使用することができる。反応促進剤としては、4−ジメチルアミノピリジン、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテル類、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のヨウ化アルカリ金属塩、臭化ナトリウム、臭化カリウム等の臭化アルカリ金属塩等を用いることができ、2−メチルハロヒドリンエーテル(6)に対して0.1〜10モル%添加することによって反応が促進される。
環化反応に使用する溶媒としては、水溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。これらの溶媒の使用量は特に制限はない。
前掲した溶媒の中で、非水溶性溶媒は、塩基を含む水溶液との二相系溶媒を構成する溶媒としても使用することができる。水溶液の形態で調製できる塩基としては、前掲したものの中で、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。また、二相系溶媒中での反応の場合、相間移動触媒を用いることで反応が著しく促進される。使用できる相間移動触媒としては、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、N−ベンジルキニウムクロリド等の四級アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド等の四級ホスホニウム塩、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテル類が挙げられる。相間移動触媒の添加量は2−メチルハロヒドリンエーテル(6)に対して好ましくは0.1〜10モル%である。
環化反応の反応温度は−80℃から溶媒の還流温度の範囲、好ましくは−10〜50℃である。
出発物質として光学純度の高い2−メチルエピハロヒドリン(4)を用いれば、反応中ラセミ化することなく高光学純度の2−メチルグリシジルエーテル(7)が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(9.60g、77.40mmol)を含むトルエン(77ml)溶液にトリエチルアミン(9.39g、92.88mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.09g、0.77mmol)、およびトリチルクロライド(21.58g、77.40mmol)を加え、40℃で5時間攪拌後、反応液を5%塩酸(40ml)ついで水(40ml)で洗浄した。
この有機層に24%水酸化ナトリウム水溶液(23ml)と硫酸水素テトラブチルアンモニウム(0.13g、0.38mmol)を加え、30℃で6時間攪拌後、有機層を分液した。有機層を水(50ml)で3回洗浄した後、約半量のトルエンが留去するまで濃縮し、この濃縮液にメタノール(180ml)を加えて結晶を生成させ、ろ過、乾燥により、トリチル 2−メチルグリシジルエーテル19.42gを得た(収率76%)。化学純度は99.0%であった。
1H NMR (CDCl3, 270 MHz) δ: 7.10-7.20(m, 15H), 3.46(d, J=12Hz, 1H), 3.26(d, J=12 Hz, 1H), 2.50(d, J=6 Hz, 1H), 2.39(d, J=6 Hz, 1H), 1.26(s, 3H)
実施例2(tert-ブチルジフェニルシリル 2−メチルグリシジルエーテル の合成)
実施例2(tert-ブチルジフェニルシリル 2−メチルグリシジルエーテル の合成)
3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(19.2g、0.155mol)を含む1,2−ジクロロエタン(150ml)溶液に2,6−ルチジン(37.29g、0.348mol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.27g、2.31mmol)およびtert-ブチルジフェニルシリルクロライド(63.77g、0.232mol)を加え、40℃で8時間攪拌後、反応液を5%塩酸(80ml)ついで水(80ml)で洗浄した。
この有機層に24%水酸化ナトリウム水溶液(48ml)と硫酸水素テトラブチルアンモニウム(0.26g、0.76mmol)を加え、50℃で8時間攪拌後、有機層を分液した。有機層を水(100ml)で3回洗浄した後、約半量の1,2−ジクロロエタンが留去するまで濃縮し、この濃縮液にヘキサン (360ml)を加えて結晶を生成させ、ろ過、乾燥により、tert-ブチルジフェニルシリル 2−メチルグリシジルエーテル135.85gを得た(収率71%)。化学純度は98.0%であった。
1H NMR (CDCl3, 270 MHz) δ: 7.55(m, 4H), 7.40-7.31(m, 6H), 3.86(d, J=11Hz, 1H), 3.65(d, J=11 Hz, 1H), 2.46(d, J=4 Hz, 1H), 2.32(d, J=4 Hz, 1H), 1.24(s, 3H), 0.98(s, 9H)
実施例3(tert-ブチルジメチルシリル 2−メチルグリシジルエーテル の合成)
実施例3(tert-ブチルジメチルシリル 2−メチルグリシジルエーテル の合成)
3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(19.2g、0.155mol)を含むジクロロメタン(150ml)溶液にトリエチルアミン(18.82g、0.186mol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.27g、2.31mmol)およびtert-ブチルジメチルシリルクロライド(25.59g、0.170mol)を加え、室温で10時間攪拌後、反応液を5%塩酸(80ml)ついで水(80ml)で洗浄した。
この有機層に24%水酸化ナトリウム水溶液(48ml)と硫酸水素テトラブチルアンモニウム(0.26g、0.76mmol)を加え、50℃で8時間攪拌後、有機層を分液した。有機層を水(100ml)で3回洗浄した後、約半量のジクロロメタンが留去するまで濃縮し、この濃縮液にヘキサン (360ml)を加え結晶を生成させ、ろ過、乾燥により、tert-ブチルジメチルシリル 2−メチルグリシジルエーテル24.72gを得た(収率79%)。化学純度は98.2%であった。
1 H NMR (CDCl3, 270 MHz) δ: 3.85(d, J=11Hz, 1H), 3.64(d, J=11 Hz, 1H), 2.46(d, J=4 Hz, 1H), 2.32(d, J=4 Hz, 1H), 1.25(s, 3H), 0.98(s, 9H), 0.06(s, 3H),
0.05(s, 3H)
実施例4(2−メチルグリシジルピバレートの合成)
0.05(s, 3H)
実施例4(2−メチルグリシジルピバレートの合成)
3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(9.60g、77.40mmol)を含むジクロロメタン(77ml)溶液にトリエチルアミン(9.39g、92.88mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.09g、0.77mmol)およびピバロイルクロライド(9.33g、77.40mmol)を加え、25℃で5時間攪拌後、反応液を5%塩酸(40ml)ついで水(40ml)で洗浄した。
この有機層に炭酸カリウム (10.70g、77.40mmol)を加え、全体を30℃で6時間攪拌した。有機層を水(50ml)で3回洗浄した後、約半量のジクロロメタンが留去するまで濃縮し、この濃縮液にヘキサン(180ml)を加え結晶を生成させ、ろ過、乾燥により、2−メチルグリシジルピバレート10.66gを得た(収率80%)。化学純度は98.6%であった。
1 H NMR (CDCl3, 270 MHz) δ: 4.22(d, J=11Hz, 1H), 4.00(d, J=11 Hz, 1H), 2.50(d, J=4 Hz, 1H), 2.39(d, J=4 Hz, 1H), 1.24(s, 9H), 1.22(s, 3H)
実施例5(光学活性トリチル 2−メチルグリシジルエーテルの合成)
実施例5(光学活性トリチル 2−メチルグリシジルエーテルの合成)
(S)−3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(9.60g、77.40mmol)を含むトルエン(77ml)溶液にトリエチルアミン(9.39g、92.88mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.09g、0.77mmol)およびトリチルクロライド(21.58g、77.40mmol)を加え、40℃で5時間攪拌後、反応液を5%塩酸(40ml)ついで水(40ml)で洗浄した。
この有機層に24%水酸化ナトリウム水溶液(23ml)と硫酸水素テトラブチルアンモニウム(0.13g、0.38mmol)を加え、30℃で6時間攪拌後、有機層を分液した。この有機層を水(50ml)で3回洗浄した後、約半量のトルエンが留去するまで濃縮し、この濃縮液にメタノール(180ml)を加え結晶を生成させ、ろ過、乾燥により、(R)−トリチル 2−メチルグリシジルエーテル20.44gを得た(収率80%)。化学純度は99.0%、光学純度は98.3%eeであった。
参考例1(光学活性3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールの合成)
実施例5における出発物質(S)−3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールは、次の方法で調製した。
実施例5における出発物質(S)−3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールは、次の方法で調製した。
オルトチタン酸テトライソプロピル7.9.ml(26mmol)、水素化カルシウム150mg(2.5mmol)、シリカゲル150mg(2.5mmol)およびL−酒石酸ジブチル5ml(30mmol)を塩化メチレン150ml中にて−18℃で10分間放置した。次にβ−メタリルアルコールI.6ml(25mmol)およびクメンヒドロパーオキシド(クメン中66%)7ml(50mmol)を加え、混合物を−18℃で16時間放置した。次にジエチルエーテル300mlと水酸化ナトリウム溶液(28%)50ml(0.35mmol)を加え、混合物を室温で1.5時間攪拌した。次に混合物をエーテルで抽出し、有機相を塩化マグネシウム20.3g(0.1モル)で処理し、室温で16時間撹伴した。次に混合物を濾過し、濾液を蒸発させ、クメンおよびクメンアルコールを水蒸気蒸留した。残渣を濃縮し、[α]20 D=+5.4°(e=3%、CHCl3}及びガスクロマトグラフ法による光学純度98%(e.e.)以上の無色の油として、(S)−3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール2.47gを得た。
メタノール 8.08g(252mmol)と三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体 35.48mg(0.25mmol)の混合溶液に(R)−2−メチルエピクロロヒドリン 10.66g(100mmol)を温度が30℃を超えないように滴下し、温度20〜25℃で14時間撹拌後、炭酸水素ナトリウム 135mg(1.61mmol)、純水 450mgを加え、混合物を30分間撹拌し、減圧下濃縮して過剰のメタノールを留去し、不溶物を濾別することにより、粗(S)−メチル 2−メチルクロロヒドリンエーテルを得た。これに24%水酸化ナトリウム水溶液 16.67g(100mmol)を添加し、15時間撹拌後、反応混合物を5%塩酸でpH=8に中和し、分液し、有機層を濃縮することにより、粗(S)−メチル 2−メチルグリシジルエーテルを得、これを減圧蒸留することにより、(S)−メチル 2−メチルグリシジルエーテル6.85g(67.1%)を得た。光学純度は99%e.e.であった。
ベンジルアルコール 27.14g(251mmol)と三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体 35.47mg(0.25mmol)の混合溶液に(R)−2−メチルエピクロロヒドリン 10.67g(100mmol)を温度が30℃を超えないように滴下し、温度20〜25℃で14時間撹拌後、炭酸水素ナトリウム 135mg(1.61mmol)と純水 450mgを加え、混合物を30分間撹拌し、減圧下濃縮して過剰のメタノールを留去し、不溶物を濾別することにより、粗(S)−ベンジル 2−メチルクロロヒドリンエーテルを得た。これに24%水酸化ナトリウム水溶液 16.67g(100mmol)を添加し、15時間撹拌後、反応混合物を5%塩酸でpH=8に中和し、分液し、有機層を濃縮することにより、粗(S)−ベンジル 2−メチルグリシジルエーテルを得、これを減圧蒸留することにより、(S)−ベンジル 2−メチルグリシジルエーテル12.31g(69.1%)を得た。光学純度は99%e.e.であった。
tert−ブタノール18.60g(251mmol)と三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体 35.47mg(0.25mmol)の混合溶液に(S)−2−メチルエピクロロヒドリン 10.67g(100mmol)を温度が30℃を超えないように滴下し、温度20〜25℃で14時間撹拌後、炭酸水素ナトリウム 135mg(1.61mmol)と純水 450mgを加え、混合物を30分間撹拌し、減圧下濃縮して過剰のメタノールを留去し、不溶物を濾別することにより、粗(S)−tert−ブチル 2−メチルクロロヒドリンエーテルを得た。これに24%水酸化ナトリウム水溶液 16.67g(100mmol)を添加し、15時間撹拌後、5反応混合物を%塩酸でpH=8に中和し、分液し、有機層を濃縮することにより、粗(R)−tert−ブチル 2−メチルグリシジルエーテルを得、これを減圧蒸留することにより、(R)−tert−ブチル 2−メチルグリシジルエーテル10.26g(71.2%)を得た。光学純度は99%e.e.であった。
参考例2(光学活性2−メチルエピクロロヒドリンの合成)
実施例6における出発物質(R)−2−メチルエピクロロヒドリンは、次の方法で合成した。
実施例6における出発物質(R)−2−メチルエピクロロヒドリンは、次の方法で合成した。
(R)−3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール7.0g(56.2mmol、光学純度99%ee)、2,6−ルチジン7.2g(56.2mmol)、及び1,2−ジクロロエタン35mLの混合物に、氷冷下p−トルエンスルホニルクロリド10.7g(56.2mmol)を加え、全体を25℃で12時間撹拌した。反応終了後、水を加え、有機層を取り出し、飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮した。残った粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して目的物である(R)−3−クロロ−2−メチル−1−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−プロパノール13.3g(47.9mmol、収率85.2%、光学純度99%ee)を無色透明油状物質として得た。
次いで、得られた(R)−3−クロロ−2−メチル−1−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−プロパノール6.80g(24.4mmol、光学純度99%ee)とジクロロメタン13.6mLの混合物に、24%水酸化ナトリウム水溶液4.47g(26.8mmol)を滴下し、全体を25℃で5時間撹拌した。反応終了後、ジクロロメタン層を取り出し、飽和食塩水で洗浄した後、減圧下濃縮した。残った粗生成物を減圧蒸留にて精製して目的物である(R)−2−メチルエピクロロヒドリン2.14g(20.1mmol、収率82.3%、光学純度99%ee)を無色透明油状物質として得た。
Claims (14)
- 一般式(1)および一般式(2)におけるXが塩素原子である請求項1記載の2−メチルグリシジル誘導体の製造法。
- Aがトリチル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基またはピバロイル基である請求項1または2に記載の2−メチルグリシジル誘導体の製造法。
- 環化工程で用いる塩基が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである請求項1〜3のいずれかに記載の2−メチルグリシジル誘導体の製造法。
- 3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール(1)として光学活性体を用い、光学活性2−メチルグリシジル誘導体(3)を製造する請求項1〜4のいずれかに記載の2−メチルグリシジル誘導体の製造法。
- 一般式(4)および一般式(6)におけるXが塩素原子である請求項8に記載の2−メチルグリシジル誘導体の製造法。
- 酸触媒としてルイス酸もしくはその錯体を用いる請求項8または9に記載の2−メチルグリシジル誘導体の製造法。
- 酸触媒として三フッ化ホウ素もしくはその錯体を用いる請求項8〜10のいずれかに記載の2−メチルグリシジルエーテルの製造法。
- 2−メチルエピハロヒドリン(4)として光学活性体を用い、光学活性2−メチルグリシジルエーテル(7)を製造する請求項8〜11のいずれかに記載の2−メチルグリシジル誘導体の製造法。
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