JP2007297245A - 金の超微粒子とアパタイトからなる無機複合材料及びその製造方法、並びに、それを用いた微量一酸化炭素の酸化除去方法 - Google Patents

金の超微粒子とアパタイトからなる無機複合材料及びその製造方法、並びに、それを用いた微量一酸化炭素の酸化除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】空気中又は水素ガス中の微量な一酸化炭素を効率的に除去しうる高性能な触媒を提供する。
【解決手段】カルシウムとリンのモル比率を示すCa/Pの原子比の値が、アパタイトの化学式Ca10(PO(OH)から導かれる理論値である5/3を下回るように調製したカルシウムとリンからなるアパタイトを担体とし、該アパタイト担体に、金の超微粒子を担持させた無機複合材料であって、該無機複合材料を触媒として用いることにより、微量の一酸化炭素を効率的に除去することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生活空間の快適化、無害化技術、或いは水素を用いる燃料電池の高性能技術である、微量一酸化炭素の酸化除去に関し、特に、そのための、金の超微粒子を用いた高性能触媒に関するものである。
一酸化炭素は有害なガスで、人体に対する毒性は1000ppmで頭痛、頭重、吐き気、めまいなどがあらわれ、継続した曝露により自力脱出が困難になり、死亡に至るものであって(非特許文献1)、米国産業衛生専門官会議が定めている時間加重平均曝露限界閾値(TLV-TWA)は25ppmであり、また、米国国立安全衛生研究所が定めている、30分間曝露で生命・健康危険レベル(IDLH)は1200ppmである(非特許文献1)。
生活空間では、石油やガス、木炭、練炭などの燃焼を利用した暖房器具、調理器具が広く普及し、燃料の不完全燃焼により前記の安全基準に達しない程度の微量な一酸化炭素が発生している。一酸化炭素は、微量であっても、血液中のヘモグロビンと結合し、心肺機能の低下、高血圧、動脈硬化、不整脈など健康を害する可能性が高まる。また、健康増進法の施行により公共機関や企業等で喫煙室を設置し、分煙を図ることが義務化されているが、狭い空間内で喫煙をすることにより、局所的に一酸化炭素濃度が高まり、健康に悪影響を及ぼす可能性が生じる。
上記の事情により、一酸化炭素除去触媒が塗布された空気浄化フィルターなどを用いて一酸化炭素を空気中の酸素と反応させて二酸化炭素に変換し除去することが切望されているが、要求を満たす高性能な触媒は開発途上である。
また、近年において燃料電池が次世代のエネルギー発生システムとして注目されており、水素が燃料として用いられることが多いが、水素は炭化水素ガスの改質などで製造され、反応途中に副生する一酸化炭素が水素中に微量残留する。その残留一酸化炭素は、電極材と反応し電極を不活性化し、電極の寿命を大幅に短くする。そのため、水素ガス中の微量の一酸化炭素だけを酸素と反応させて二酸化炭素に転換させることにより、水素の酸化を少量に防ぎつつ一酸化炭素だけを除去しうる触媒の開発が切望されているが、該要求を満たす高性能な触媒は開発途上であって、まだ得られていない。
従来、一酸化炭素の酸化除去には貴金属触媒が使われることが多い。貴金属は、一般的には、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムの8種を称するが、その中でも、粒子サイズを精密にコントロールされ、適切な担体と複合化した金(Au)触媒が、低温、室温での一酸化炭素の酸化除去触媒に好ましく用いられている(非特許文献2、3、特許文献1〜3)。また、白金(Pt)も単独または他の金属類と複合化されて水素ガス中の微量一酸化炭素の酸化除去に好ましく用いられることが多い(非特許文献5、6、特許文献4、5)。
これらの金触媒又は白金触媒は、通常、金属酸化物からなる担体に担持されるか(特許文献1、特許文献2、特許文献4)、或いは、活性炭、シリカゲル、アルミナ等の多孔質体に担持されて(特許文献3、特許文献5)用いられるが、いまだに、前記のごとき空気又は水素ガス中の微量な一酸化炭素だけを効率的に除去しうる高性能な触媒を得るには至っていないのが現状である。
高圧ガス保安技術 第二次改訂版 高圧ガス保安協会編 Masatake Haruta, Catalysis Today 36 (1997) 153-166 Masakazu Date,他、Catalysis Today 72 (2002) 89-94 Masakazu Date, 他, Angewandte Chemie International Edition Volume 43,Issue 16, Date: April 13, 2004, Pages: 2129-2132 Attila Wootsch,他Journal of Catalysis 225 (2004) 259-266 I. H. Son, 他 Journal of Catalysis 210, 460-465 (2002) 特許公開平8−295502号公報 特許公開2004−188243号公報 特許公開平11−235169号公報 特許公開2003−48702号公報 特許公開2005−246116号公報
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、空気中又は水素ガス中の微量な一酸化炭素を効率的に除去しうる高性能な触媒を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、金の超微粒子を、特定の担体に担持させた新規な無機複合物が一酸化炭素を効率的に除去する触媒機能を有することを見出し、本発明の完成に至ったものである。
本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものであり、以下のとおりのものである。
(1)カルシウムとリンのモル比率を示すCa/Pの原子比の値が、アパタイトの化学式Ca10(PO(OH)から導かれる理論値である5/3を下回るように調製したカルシウムとリンからなるアパタイトを担体とし、該アパタイト担体に、金の超微粒子を担持させたことを特徴とする無機複合材料。
(2)前記アパタイト担体に担持されている金の超微粒子の平均粒径が、10ナノメートル以下であることを特徴とする上記(1)の無機複合材料。
(3)金担持後の前記複合材料の比表面積が、50m/gを超えることを特徴とする上記(1)又は(2)の無機複合材料。
(4)前記アパタイト担体を調製するに際し、金の超微粒子を担持させる以前には、50℃を超える温度に加熱しないことを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかの無機複合材料の製造方法。
(5)塩素配位子を持つ金錯体の水溶液にアルカリ溶液を添加してpHを調整することにより、前記塩素配位子が水酸化物配位子に交換された金の水酸化物錯体を得、得られた金の水酸化物錯体とアパタイト担体の表面の電気的親和力により、或いは得られた金の水酸化物錯体とアパタイトの構成元素とのイオン交換により、アパタイト担体の表面に金の水酸化物錯体を担持させることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかの無機複合材料の製造方法。
(6)触媒存在下、ガス中の微量の一酸化炭素を酸素と反応させて二酸化炭素に転換することにより酸化除去し、ガスを無害化する方法であって、該触媒として上記(1)ないし(3)のいずれかの無機複合材料を用いることを特徴とする微量一酸化炭素の酸化除去方法。
(7)前記ガスが、空気又は水素である上記(6)の微量一酸化炭素の酸化除去方法。
本発明の無機複合材料は、ガス中の微量の一酸化炭素を効率的に除去しうる高性能な触媒作用を提供するものであり、特に、(1)空気中の微量の一酸化炭素を酸化して二酸化炭素に転換して無害化しうる触媒作用、(2)水素ガス中の微量の一酸化炭素だけを酸素と反応させて二酸化炭素に転換させることにより、水素の酸化を少量に防ぎつつ一酸化炭素だけを除去しうる触媒作用を提供するものである。また、本発明の無機複合材料の製造方法によれば、金担持後の前記複合材料の比表面積が50m/gを超える高比表面積を有する無機複合材料、すなわち金の超微粒子が効率よく担持され、反応ガスとの接触効率が高い無機複合材料を得ることができる。さらに、本発明の無機複合材料の製造方法は、リンとカルシウムの原子比であるCa/Pの値が5/3を下回るアパタイト担体に、金の超微粒子を担持させる方法として優れた方法を提供するものである。
以下、本発明の特定のカルシウムとリンの原子比を有するアパタイトからなる担体と、金の超微粒子とを複合化した無機複合材料について、詳細に説明する。
本発明における担体としてのアパタイトは、文献などで公知になっている手法を用いて調製したものを用いることができるが、代表的な調製法は、前駆体に硝酸カルシウムとリン酸二水素アンモニウムを用いた湿式合成法(Sugiyama, S.; Minami, T.; Hayashi, H.; Tanaka, M.;higemoto, N.;Moffat, J. B. J. Chem Soc., Faraday Trans. 1996年, 92巻, 293頁参照)や、塩化カルシウム水溶液とリン酸水素カリウム水溶液を混合する方法(http://www.ab11.yamanashi.ac.jp/oneday/2.pdf)などが良く知られている。本発明のアパルタイトの調製法は、これらの方法に限定されず、公知の方法であれば、すべて適用可能である。
以下に、化学式Ca10(PO(OH)で表される、カルシウムとリンからなるアパルタイトについて詳述するが、構成元素が異なっている全てのアパタイト系無機化合物に適用可能である。
好ましい調製法の一つである、前駆体に硝酸カルシウムとリン酸二水素アンモニウムを用いた湿式合成法は、アンモニア水などでpHを適切な値に調製した硝酸カルシウム水溶液と、同様にpHを調製したリン酸二水素アンムニウム水溶液とを混合して沈殿を得て、その沈殿を洗浄、乾燥処理を行って担体を得る。真空乾燥や室温で放置などの乾燥処理の後、300℃以上の高温で加熱焼成する調製法もあるが、本発明においては、金の超微粒子の担持前に不必要な加熱を行うことは、結晶化の進行により表面積の低下が起こりやすく、特に50℃以上の加熱は避けたほうが好ましい。低温での調製により、金担持後の前記複合材料が、触媒として好ましい大きな比表面積、たとえば50m/g以上、更に好ましくは(請求項3に合致する記載にしました。)80m/g以上の比表面積を有するものが得られる。このことは、得られた無機複合材料が、金の超微粒子を効率よく担持し、反応ガスとの接触効率が高いことを意味している。
リンとカルシウムからなるアパタイトは化学式ではCa10(PO(OH)で表され、リンとカルシウムの理論的な原子比はCa/P=5/3である。このアパタイトは比較的自由にCa/Pの比率を変化させることが出来るので、本発明においては、金を担持する担体として用いる場合は、そのCa/Pの原子比が5/3を下回るように調製したものを用いる。すなわち、本発明において、金の超微粒子を担持する担体として用いる前記アパタイトは、そのCa/Pの原子比が5/3を下回ることが必要であるが、その理由は、アパタイトの表面の電位が、金の水酸化物錯体が好ましく吸着する条件になるからであると推測される。本発明において、特に好ましい原子比は1.0〜1.6である。
本発明において、前記アパタイト担体に担持されている金の超微粒子の平均粒径は、これまでに公知になっている酸化チタン、酸化ケイ素、アルミナ、水酸化マグネシウムなどの担体上に担持された金触媒では10ナノメートル以下、好ましくは5ナノメートル以下の状態で高い一酸化炭素の酸化活性を示しているという事実より、10ナノメートル以下、好ましくは、5ナノメートル以下であることが望ましい。
次に、一酸化炭素除去に効果的な金の複合化方法について詳述する。
金の超微粒子の担持方法としては、前述の担体の表面に均一に直径10nm以下の粒子を担持することができる析出沈殿法が最も好ましい。
以下、析出沈殿法の概要を述べる。なお、この析沈殿法は、酸化チタン担体に金を担持する手法としてすでに公知であるが、リンとカルシウムの原子比であるCa/Pの値が5/3を下回るアパタイト担体に適用して成功した例はまだ知られていない。
水溶性の塩化金酸(テトラクロロ金酸)をイオン交換水などに溶解し酸性の水溶液を調製する。その溶液にアルカリを添加して中和しpHの値が中性〜アルカリ性である7.0以上に調整する。この場合、pHの値が7.0未満である酸性側では、アパタイトの溶解の恐れがあり、あまり好ましくはない。ここで用いることができるアルカリは特に限定されるものではないが、水酸化ナトリウムがもっとも好ましく、それ以外にはアンモニア水、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなども好ましく用いられる。この際、金原子に配位している塩素配位子(Cl)が水酸化物配位子(OH)に交換される。金に水酸化物イオンが配位している状態になると、アパタイトの表面との電気的親和力が働き、金錯体はアパタイト表面に高分散状態で吸着する。pHの調整後のスラリー液を30〜80℃に保ち、好ましくは1分〜24時間、さらに好ましくは1時間〜5時間撹拌し、吸着状態を安定化させるのが好ましい。金錯体が十分吸着した後に、蒸留水、イオン交換水などで十分に洗浄し、残留している塩素や、吸着しきれなかった金錯体を洗浄除去して、真空乾燥などの方法で乾燥処理を行う。その後、金属の担持後は金属を活性状態にするために適切な温度での加熱が好ましい。活性化のための加熱温度は200℃〜700℃が好ましく、中でも250℃〜450℃が特に好ましい。
この方法を用いると、含浸法など他の公知の手法を用いたときと異なり、アパタイト表面に担持された金の粒子は、10ナノメートルを超える大きな粒子に凝集することがなく、10ナノメートル以下のほぼ均一な超微粒子状で担持することが出来る。
一酸化炭素が微量含まれているガス中から一酸化炭素を酸素と反応させて除去する反応は、大きく2種類の用途がある。一つは、空気中からの除去、もう一つは水素中からの除去である。ここでは、空気中の除去を中心に述べるが、水素からの除去にも本触媒は適用可能である。
空気は十分に乾燥剤などを用いて十分に乾燥した状態から、日常生活空間での相対湿度の最も高い状態に相当する相対湿度100%までの範囲で好ましく用いることが出来る。触媒の使用法は、燃料の不完全燃焼や喫煙の副流煙など、何らかの理由で微量の一酸化炭素を含有する空気をポンプやファンなどを用いて触媒を充填した層を通過させるか、触媒や触媒を塗布した支持体に吹き付けるなどの方法で、効率的に接触させ、一酸化炭素を二酸化炭素に変換しほぼ無害化する。二酸化炭素も、2%以上で呼吸困難のような毒性を有するが、1%以下の低濃度では、一酸化炭素と比較すれば人体に対する影響は極めて少ない。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈アパタイトの調製〉
所定量の硝酸カルシウム4水和物をテフロン(登録商標)製薬さじで計り取り、ビーカーで水に溶解した。その後、アンモニア水と混合しpH11〜12になるのを確認し溶液(A)とした。所定量のリン酸水素二アンモニウムを計りとり、ビーカーで水に溶解した。その後、ドラフトでアンモニア水と混合し生じた沈殿物が完全に溶解するまでイオン交換水を加えた。pHは11〜12になるのを確認した。この溶液を溶液(B)とした。
溶液(A)を撹拌羽根で撹拌しながら、溶液(B)をスポイト等でゆっくりと徐々に滴下し、乳白色の沈殿物を得た。撹拌羽根で120分撹拌後、室温で一晩放置し沈殿物の熟成を行った。
熟成後の沈殿物を遠心分離装置を用いてイオン交換水で洗浄し最後に吸引濾過を行い沈殿物を分離した。その後、室温で48時間真空乾燥処理を行った。ここまでの工程で、温度が50℃を上回った状態にならないようにした。
上記の所定量を代えて、カルシウムとリンのモル比(Ca/O)の値が、1.40、5/3(≒1.67 以下、「1.67」と記載する。)、1.8となるように3種のアパタイトを同様な手法で合成した。それぞれの比表面積をBET法で測定し、Ca/P比が1.4のアパタイトは199m/g、Ca/P比が1.67のアパタイトは173m/g、Ca/P比が1.8のアパタイトは197m/gであった。
X線回折測定をRIGAKU-RINT2000を用いて行った。比較対象の和光純薬株式会社製の単斜晶構造のアパタイトと比較した結果、本法はピークの鋭さなどから結晶性が落ちるが、同じ位置にピークが現れ、また、帰属できない不明ピークも無かったので、アパタイト構造が得られていることが確認できた。
〈金超微粒子の担持〉
塩化金酸4水和物を所定量計り取り、イオン交換水に溶解した。充分溶解させた後に、水酸化ナトリウムの希釈溶液を用いてpHを8.6〜8.8の範囲に調整した。その後、上述の乾燥後のアパタイト粉末を溶液に分散しそのスラリー液を70℃で3時間撹拌した。その後、金が吸着したアパタイトを遠心分離し、イオン交換水で十分洗浄後、室温で一晩、真空乾燥した。その後、乾燥後のアパタイト粉末を空気中で400℃で加熱焼成し、紫色の金担持アパタイト触媒を得た。フルイを用いて、粒度を調節し反応に供した。BET法で表面積を測定したところCa/P比が1.4の担体を用いて調整した触媒は120m/g、同様にCa/P比が1.67のアパタイト担体では109m/g、Ca/P比が1.8の担体では108m/gであった。
〈空気中の一酸化炭素の酸化除去活性の測定〉
前記触媒を100ミリグラム量り取り、ガラス製の反応管に充填した。250℃で30分乾燥空気を流通し、加熱処理をした後に、所定温度まで冷却した。その後、反応ガスに切り替え触媒の活性を測定した。反応ガスは、一酸化炭素を1.0体積%含有する乾燥空気で、流速は毎分33ミリリットルになるようにマスフローコントローラーで調節した。また、反応ガスに含まれる水分量を静電容量式露点計にて測定した。触媒層を通さないバイパスラインでガスクロマトグラフ(島津製作所GC-8A)の感度校正を行い、触媒の一酸化炭素の除去活性である一酸化炭素除去率を一酸化炭素に帰属されるピーク面積の減少量を用い以下の式で算出した。
除去率(%)=(バイパスラインの面積値−触媒層通過後の面積値)÷(バイパスラインの面積値)×100
〈触媒の活性比較〉
触媒調製法において、Ca/P比=1.4、溶液に溶解した金の仕込み量5.0wt%調製操作を行った触媒では、室温(20℃)において、触媒層通化後のガス中の一酸化炭素含有量がガスクロマトグラフの感度限界以下まで低下しCO除去率=100%となり、優れた酸化除去活性を示した。そのとき、触媒層の温度がわずかに上昇して、発熱反応である一酸化炭素の酸化反応が進行していることが明らかになった。露点計による露点温度は−50℃であった。
また、反応温度−15℃まで温度を低下させても、一酸化炭素の転化率=100%を維持した。さらに反応温度を−37℃まで低下させても、転化率は50%を下回ることは無かった。この実施例によるCO除去反応の結果をグラフに表したのが、図1である。
この活性は、最近の文献で公開されている、金を酸化セリウムに担持した触媒(Journal of Catalysis 237 (2006) 303-313、Applied Catalysis A:General 299 (2006) 266-273)、金を酸化鉄に担持した触媒(Applied Catalysis A:General 291 (2005) 151-161)、金をゼオライトに担持した触媒(Applied Catalysis A:General 291 (2005) 162-169)に匹敵、又はそれらを上回っており優秀な活性であるといえる。
〈比較例〉
実施例と同様の手法でCa/Pの原子比が理論値である1.67になるように調製したアパタイト担体を用いて実施例と同様に金を担持し、CO酸化反応を行った。反応温度−4℃で除去率が48.6%と、実施例よりも劣る結果になった。またCa/Pの原子比が理論値を上回る1.8になるように調製した触媒では反応温度2℃でCO除去率が64%と実施例に劣った。この結果より、担体の仕込みCa/P原子比に活性は大きく影響されて、理論比の1.67およびそれを上回る値の担体では十分な活性を得にくいことが明らかであり、実施例のように、仕込み時のCa/P比を1.67よりも小さい値にする効果が大きいことが明確にわかる。
〈空気中の水素の酸化除去活性の測定〉
前述の活性測定において一酸化炭素を1.0%含有する空気ガスに代えて、水素を1.0%含有する空気ガスを流通させ、水素の酸化除去活性の測定を行った。測定装置、測定方法、活性算出方法は、一酸化炭素の場合と同じ条件で行った。その結果を、図2に示す。CO酸化よりも高温が必要であり、水素中のCO除去に必要な、水素を酸化せずにCOを酸化する機能が期待でき、有効な触媒となりうることが示唆される。
〈アパタイトに担持した金の超微粒子の透過電子顕微鏡による撮影〉
実施例の一酸化炭素の除去性能が高い触媒を透過型電子顕微鏡を用いて観察した。その結果を図3に示す。図中、4個の矢印で、代表的な粒子を示しているが、この濃い灰色の粒子が、金の超微粒子に帰属され、直径は約2〜4ナノメートルであった。また、金の超微粒子は、一箇所に固まるようなことは無く、担体の表面全体に均一に分散していることも確認できた。
〈X線回折による分析〉
活性の高いCa/P比が1.4の触媒のX線回折(XRD)測定をRIGAKU RINT2000型X線回折装置を用いて行った。その結果を図4に示す。図中、(1)は比較用の標準試料として測定した、単斜晶構造のヒドロキシアパタイト(和光純薬株式会社製)である。Ca/Pは理論値の1.67である。(2)は実施例に示した湿式合成法で調製したCa/P比が1.4の担体で、室温での真空乾燥が終わった直後(金粒子担持前)のXRDパターンで、(3)は(2)の担体に金粒子を担持した処理後に400度で3時間加熱焼成した後の触媒のXRDパターンである。(2)は(1)の参照用試料に比べて細かいピークが不明瞭であったり、ピークの幅が広くなっているが、ピークの位置はほぼ同じで、結晶性の低いアパタイト構造になっているといえる。また、(1)のピークに帰属できない不明ピークも無く、アパタイト構造以外の結晶構造の存在は確認できない。(3)は金粒子の担持後の触媒であるが、金や金化合物に帰属されるピークは確認できない。XRDでは高分散状態や直径4〜5nm以下の粒子は観測できないとされているので、金は4〜5nm以下の超微粒子状になっていると推定された。また、(1)、(2)と比較しても大きな結晶構造の変化は見られなかった。したがって、(3)は担体が結晶性の低いアパタイト構造をとっていることを示しており、透過電子顕微鏡写真と併せて、アパタイトに金の超微粒子を複合化させた無機材料の調製が成功したことを示している。
生活空間において、本発明の一酸化炭素除去用触媒を、空気浄化フィルターなどに塗布して用いることにより、空気中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換し除去することができる。また、水素を用いた燃料電池において、本発明の一酸化炭素除去用触媒を用いることにより、水素の酸化を少量に防ぎつつ一酸化炭素だけを除去することができる。
実施例によるCO除去反応の結果を示すグラフ 水素の酸化除去反応の結果を示すグラフ 触媒の透過電子顕微鏡写真 触媒と参照用標準試料のX線回折パターンの比較

Claims (7)

  1. カルシウムとリンのモル比率を示すCa/Pの原子比の値が、アパタイトの化学式Ca10(PO(OH)から導かれる理論値である5/3を下回るように調製したカルシウムとリンからなるアパタイトを担体とし、該アパタイト担体に、金の超微粒子を担持させたことを特徴とする無機複合材料。
  2. 前記アパタイト担体に担持されている金の超微粒子の平均粒径が、10ナノメートル以下であることを特徴とする請求項1に記載の無機複合材料。
  3. 金担持後の前記複合材料の比表面積が、50m/gを超えることを特徴とする請求項1又は2に記載の無機複合材料。
  4. 前記アパタイト担体を調製するに際し、金の超微粒子を担持させる以前には、50℃を超える温度に加熱しないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無機複合材料の製造方法。
  5. 塩素配位子を持つ金錯体の水溶液にアルカリ溶液を添加してpHを調整することにより、前記塩素配位子が水酸化物配位子に交換された金の水酸化物錯体を得、得られた金の水酸化物錯体とアパタイト担体の表面の電気的親和力により、或いは得られた金の水酸化物錯体とアパタイトの構成元素とのイオン交換により、アパタイト担体の表面に金の水酸化物錯体を担持させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無機複合材料の製造方法。
  6. 触媒存在下、ガス中の微量の一酸化炭素を酸素と反応させて二酸化炭素に転換することにより酸化除去し、ガスを無害化する方法であって、該触媒として請求項1ないし3のいずれかに記載の無機複合材料を用いることを特徴とする微量一酸化炭素の酸化除去方法。
  7. 前記ガスが、空気又は水素である請求項6記載の微量一酸化炭素の酸化除去方法。
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