本発明は、メダルを用いた遊技機におけるメダル検出に際しての上記問題点を解決するためになされ、簡易な光学機器配置構成とした上で異物検出の信頼性を高めることをその目的とする。
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の遊技機では、通過するメダルを検出するに当たり、メダル経路を通過するメダルに対して、発光部からメダルの一方の側からメダル表面と斜めに交差する方向で光を射出する。この発光部から照射された光は、メダルの他方の側に位置する受光部にて、前記通過するメダルに対して斜めに交差する方向から受光され、受光部は、該受光した光量に応じた所定の受光信号を出力する。つまり、この発光部と受光部は、前記メダル経路を通過する検出対象物に光を射出して該検出対象物を検出する光透過型の検出部を構成し、この検出部は、前記発光部から射出されて前記受光部に受光される光の光軸を、前記検出対象物に対して傾斜させていることになる。
本発明の遊技機は、上記構成を有するため発光部と受光部の配置構成を、発光部から受光部への光軸が検出対象物たるメダルと斜めに交差するよう検出対象物を挟んで発光部と受光部を配置させた透過型の光学機器配置構成とする。以下、この配置構成を斜交配置構成と称し、既述した従来の配置構成と区別する。
斜交配置構成の本発明の遊技機においてメダルがメダル経路を通過する場合、メダルが発光部と受光部を結ぶ光軸に掛かると、メダルは通常金属製であるために発光部からの光を遮る。これにより、受光部では、それまで受光可能であった光を受光しなくなるので、受光なしに対応する受光信号を出力する。メダルが光軸から脱すると、受光部は、発光部からの光を直接受光し、その受光光量に応じた所定の受光信号を出力する。
今、メダルがないことを装うことを意図した異物(以下、メダル無し擬制異物)が発光部と受光部を結ぶ光軸に掛かったと仮定する。斜交配置構成の本発明の遊技機では、既述したようにメダルが光軸に掛かっていないと受光部は発光部からの光を受光することから、メダル無し擬制異物は透光性を有する透光性異物となる。こうした透光性異物は、通常、空気より大きな屈折率を有しており空気の屈折率と相違することから、発光部から受光部に到るまでの光の挙動は次のようになる。
この透光性異物における発光部側の表面では、異物が透光性を有するとしても光の反射は起き、透光性異物の内部に入り込む光(屈折光)の光量は低減する。そして、この屈折光が透光性異物を透過して受光部側に達する際には、透光性異物における受光部の表面、即ち受光部側の透光性異物内部界面でも光の反射が起きるので、当該界面での反射により、透光性異物を透過して受光部側に達する光の光量低減を来す。従って、斜交配置構成の本発明の遊技機において透光性異物が発光部と受光部を結ぶ光軸に掛かっている場合には、透光性異物の両面での反射に起因させた2度の光量低減により、受光部の受光光量を小さくできる。このため、メダルが光軸に掛かっていない場合と、メダルが光軸に掛かっていないことを装うことを意図した透光性異物(メダル無し擬制異物)が光軸に掛かっている場合とでは、受光部での受光レベルの差をより顕著とできるので、受光信号の出力状況に基づいた真正メダル検出と異物検出(透光性異物検出/メダル無し擬制異物検出)の信頼性を高めることができる。ところが、光軸を検出対象物(透光性異物/メダル無し擬制異物)と直交させた従来の直交配置構成では、発光部からの光は透光性異物の両面で反射することなく受光部に達することから、斜交配置構成の本発明の遊技機で発現できる受光部での受光光量低下は望めない。
光が透光性異物を透過する現象においても、斜交配置構成の本発明の遊技機では、光軸が透光性異物に対して傾斜しているので、光軸が透光性異物と直交する従来の直交配置構成に比して、透光性異物中の光路が長くなる。よって、光が透光性異物を透過する際の光の減衰程度も斜交配置構成の本発明の遊技機では大きくなることから、受光部での受光光量低下が進むことになる。
この結果、上記構成を有する本発明の遊技機によれば、発光部と受光部の配置構成を既述した斜交配置構成とするという簡単な構成で異物検出の信頼性を高めることができる。そして、このように高い信頼性で異物検出ができることから、その検出結果に応じて遊技機の遊技の継続許可と遊技停止との決定についても信頼性が高まる。
本発明の遊技機は、次のような態様とすることもできる。例えば、前記発光部から前記メダル経路における検出対象物に光を射出するに当たり、前記検出対象物が透光性を有する透光性特異検出対象物であるときの該特異検出対象物から前記受光部に向けて光が進む際に、前記特異検出対象物における受光部側表面部材において光の全反射を起こすよう、光を射出するようにできる。換言すれば、前記発光部は、前記特異検出対象物から前記受光部に向けて光が進む際の前記受光部側表面部材における入射角が前記受光部側表面部材が有する臨界角以上の角度となるよう、前記検出対象物に光を射出する。こうすれば、次の利点がある。この場合、前記特異検出対象物は、既述した透光性異物の一例である液晶パネルを例示できる。また、光の全反射は屈折率の大きな媒質から屈折率の小さな媒質への光の入射の際に見られる現象であり、液晶パネルの表面に設けられた透光性表面基板の屈折率は空気より大きいことから、透光性表面基板から受光部に光が進む際には光の反射現象は起きえ、その際の臨界角は透光性表面基板が有する臨界角である。以下の説明では、説明の便宜上、特異検出対象物が液晶パネルであるとして説明する。
液晶パネルが光を透過する状態であれば、その液晶パネルは上記した透光性異物に相当する。液晶パネルは、その表裏に液晶を封じ込めるための透光性表面基板を備え、当該基板は、ガラスやプラスチック等の透明基板であり、これら基板は、通常、空気より大きな屈折率を有する。よって、発光部からの射出光の入射角が透光性表面基板の臨界角に対して上記した関係にあることから、発光部から受光部に到るまでの光の挙動は次のようになる。
光透過の状態の液晶パネルにおける発光部側の透光性表面基板への光の入射は、屈折率の小さい空気の側から空気より屈折率が大きい透光性表面基板へのものであることから、発光部側の透光性表面基板の表面で光の反射は起き、液晶パネル内には光量が低減した状態で屈折光が入り込む。そして、この屈折光が液晶パネルの受光部側の透光性表面基板から受光部に向けて光(屈折光)が進む場合は、空気より屈折率が大きい透光性表面基板から屈折率の小さい空気の側への光の進行になり、この際の透光性表面基板界面での光の挙動は、入射角が透光性表面基板の臨界角に対して上記した関係にあることから、全反射を起こすことになる。よって、液晶パネルを透過して受光部に光が達することはない、若しくは極端に少ない光量の光しか受光部には達しない。このため、光透過の状態の液晶パネルが発光部と受光部を結ぶ光軸に掛かっている場合における上記した光量低減は著しくなるので、メダルが光軸に掛かっていない場合と、メダルが光軸に掛かっていないことを装うことを意図した液晶パネル(光透過の状態)が光軸に掛かっている場合とでの受光レベル差はより一層顕著となり、その分、異物検出の信頼性を高めることができる。
また、上記の本発明の遊技機では、前記発光部から前記受光部に入射する光を、例えばs偏光板によりs偏光光とすることもできる。こうすれば、次の利点がある。液晶パネルは、対向する基板間に捩れた配向の性質(Twisted Nematic)の液晶を封入すると共に基板両側に偏光板を有し、通常この偏光板は、偏光方向が直交する関係、具体的には一方をp偏光板とし他方をs偏光板とされている。つまり、光の入射側の偏光板、例えばp偏光板で液晶パネルに入り込む光をp偏光光とし、出射側のs偏光板からはs偏光光を出射するようにし、液晶配向を捩れた配向状態とすることで、液晶パネルに入射したp偏光光を捩れた液晶配向によりs偏光光に変えて、出射側のs偏光板からs偏光光を出射する。この状態の時、液晶パネルは光透過の状態となる。その一方、液晶配向を捩れのない整列配向とすることでp偏光光をp偏光光のままs偏光板に達するようにして、出射側のs偏光板からは光を透過させないようにするので、液晶パネルは非透過の状態となる。
よって、s偏光光を発光部から受光部に入射するようにした態様では、発光部から液晶パネルにはs偏光光しか達しないため、このs偏光光は液晶パネルが光の入射側に有するp偏光板で反射してしまい、液晶パネルは光透過の状態でありながらこの液晶パネルにおけるs偏光光の透過は阻害される。このため、液晶パネルを透過して受光部に達する光の光量はより一層確実に低減することから、異物検出の信頼性をより高めることができる。p偏光光を発光部から受光部に入射するようにし、液晶パネルが光の入射側にs偏光板を有し出射側にp偏光板を有する場合も同様である。つまりは、液晶パネルにおける光の入射側の偏光板の性質により、受光部に入射する偏光光を定めればよい。
また、受光部の手前で偏光をかけ受光部にs偏光光しか達しないようにしても、液晶パネルを透過したp偏光光については、これを受光部の手前で遮蔽して光量を低減できるので、異物検出の信頼性は高まる。なお、液晶配向に捻れをもたらさずに液晶配向の水平・垂直の切替により透過・非透過を切り替えるタイプの液晶(いわゆるVA(Vertical Alignment)液晶)もあるが、こうした液晶であっても光の入射側・出射側の一方にp偏光板とs偏光板のいずれかの偏光板を有することから、VA液晶パネルにおける偏光板の性質により、受光部に入射する偏光光を定めれば既述したように受光部の光量低減は起きる。また、偏光板の性質によっては、透過させる偏光光以外の偏光光、例えば、p偏光板であればs偏光光を偏光板で吸収してしまうこともあるが、この場合であっても、上記した反射と同様、入射側にp偏光板を有する液晶パネルは光透過の状態でありながらこの液晶パネルにおけるs偏光光の透過は阻害される。このように偏光光の吸収を行う偏光板は、光の吸収に伴う発熱を起こすことから、透過させる偏光光以外の偏光光を反射するタイプの偏光板が液晶パネルには多用されている。
また、前記発光部と前記受光部とを一対の光学系として、該光学系を二対有するようにし、その上で、前記二対の光学系において、一対の光学系では該光学系での前記受光部に入射する光をs偏光光とし、他方の対の光学系では該光学系での前記受光部に入射する光をp偏光光とすることもできる。こうすれば、光軸にメダルがない場合では、二対の光学系における一方の光学系の受光部でs偏光光が受光され、他方の光学系ではp偏光光が受光されるので、両光学系において共に偏光光の光量に応じた所定の受光信号が得られる。これに対し、既述した光透過状態の液晶パネルといったメダル無し擬制異物が光軸に掛かっている場合は、次のようになる。
既述したように、液晶パネルは、s偏光板とp偏光板を一方を入射側に他方を出射側に有する。そして、この液晶パネルは、いずれの光学系においても、入射側の偏光板を発光部側とし、出射側の偏光板を受光部側に配置する。今、液晶パネルが入射側にp偏光板を有し、出射側にs偏光板を有するとして、光の透過状態の液晶パネルにおける様子を説明する。二対の光学系のうち、s偏光光を射出する一方の光学系では、この射出したs偏光光は、液晶パネルの入射側のp偏光板により既述したようにその透過が阻害されるので、射出されたs偏光光の光量に応じた所定の受光信号は得られない。その一方、p偏光光を射出する他方の光学系では、p偏光光は、液晶パネルの入射側のp偏光板を透過し、捩れた配向状態の液晶によりs偏光光とされて、出射側のs偏光板を透過するので、射出されたp偏光光の光量に応じた受光信号が得られる。
つまり、二対の光学系における一方の光学系ではs偏光光を用い、他方の光学系ではp偏光光を用いるようにすれば、液晶パネルが表裏に有するs偏光板とp偏光板によって、一方の光学系では偏光光の光量に応じた所定の受光信号が得られるのに、他方の光学系では偏光光の光量に応じた所定の受光信号を得ることができないという特異な現象が現れる。このように光学系ごとに受光信号の状態が相違することは、光軸にメダルが無い場合では起き得ない。液晶パネルが入射側にs偏光板を有し、出射側にp偏光板を有する場合も同様である。よって、二対の光学系において一方の光学系での光をs偏光光とし他方ではp偏光光とした形態とすれば、メダルを擬制する液晶パネルが光の入射側にp偏光板・s偏光板のいずれを有するとしても、それぞれの光学系での受光状態は、光軸にメダルがない場合と大きく相違するようにできるので、この態様によれば、より一層、異物検出の信頼性を高めることができる。なお、二対の光学系としたが、二対以上の光学系を備え、s偏光光を用いる光学系とp偏光光を用いる光学系とを混在させるようにすることもできる。
本発明は、既述した遊技機の他、メダル検出装置やメダル経路を通過するメダル検出方法として適用できる。そして、本発明のメダル検出装置と検出方法によっても、簡単な構成で異物検出の信頼性を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。本実施例では、メダル検出が不可欠な遊技機の一例であるスロットマシン100について説明する。図1はスロットマシン100の概略構成を表す斜視図、図2はスロットマシン100の内部構造の概略を表す斜視図である。
図示するように、スロットマシン100は、中空の箱状をなす本体102に対して前面扉103を開閉自在に備え、正面視略矩形状とされている。本体102は、スロットマシン100の骨格をなす部材であり、スロット遊技に必要な種々の機器を収納するが、本発明の要旨とは直接関係しないので、概略的な詳細に止めることとする。
図2に示すように、本体102は、その内部上段に、各種の図柄等が表示され三つの回胴111を回転可能に備え、内部下段には、ホッパ装置112や電源ボックス113を備える。ホッパ装置112は、メダルを貯留する補助タンク112a内のメダルを前面扉103の側のメダル払出口114へ払い出す。電源ボックス113は、スロットマシン100の遊技を制御する制御装置120を始めとする種々の機器に電源を供給する。
前面扉103は、その前面に、それぞれの回胴111を臨ませる窓103aを備える他、遊技者に操作されるボタン群やライン表示灯、メダル投入口104、メダル払出口114からのメダルを受け取るメダル受皿115等を有する。また、前面扉103は、その背面側に、既述した制御装置120の他、扉ロック用のキーシリンダ118や、メダル識別機構200、メダル補給経路116、メダル排出経路117等を有する。メダル識別機構200は、メダル投入口104から投入されたメダルをメダル補給経路116とメダル排出経路117に振り分ける機能も果たす。つまり、メダル識別機構200は、使用できるメダルと否であるメダルとをメダル直径に応じて選別する周知の振分機構を有し、メダル投入口104から投入されたメダルがスロットマシン100に不適合のメダルであった場合には、このメダル識別機構200にて選別され、その下方に位置するメダル排出経路117へ排出される。
一方、メダル投入口104から投入されたメダルがスロットマシン100に適合するメダルであった場合には、このメダル識別機構200にて選別されたメダルは、メダル補給経路116へと排出される。このメダル補給経路116は、前面扉103から奥方(本体102の背面側)にむかって延出されており、前面扉103が閉状態となると、補助タンク112aの上方にその先端部が位置するように構成されている。これにより、本スロットマシン100に適合するメダルは、メダル識別機構200とメダル補給経路116とにより導かれて、補助タンク112aに補給され当該タンクにて貯留される。
また、メダル識別機構200は、メダル投入口104から投入されたメダルの真偽判別や計数に必要なセンサ信号を取得し、当該信号を制御装置120に送信する。制御装置120は、メダル識別機構200からのセンサ信号に基づいてメダルの真偽判別や計数を行う。こうしたセンサ信号収得については、メダル識別機構200の構成と共に後述する。
ここで、スロットマシン100による遊技の様子について簡単に説明する。遊技者が前面扉103のメダル投入口104にメダルを投入すると、当該メダルは、メダル投入口104からメダル識別機構200にメダルを導く後述のメダル経路を通過し、メダル識別機構200に達する。メダル識別機構200は、メダル経路を通過するメダルが既述した適正のものであれば、メダルをホッパ装置112に振り分けて送り込み、適正でなければ、メダルをメダル排出経路117を経て外部に排出する。この振り分けと共に、メダル識別機構200は、後述するようなセンサ信号を制御装置120に出力するので、制御装置120にてメダル真偽が判定され、真正のメダルであれば、遊技が開始できる状態となる。真正なメダルでなければ、制御装置120は、その旨を前面扉103の表示灯等で報知する。
遊技開始ができる状態となれば、遊技者は、前面扉103のスタートレバー105を操作する。そうすると、制御装置120は、回胴111をそれぞれ回転させるので、遊技者は、回胴111に対応したストップボタン106を押圧する。その押圧を受けて、制御装置120は回胴111をそれぞれ停止させる。そして、停止した三つの回胴111の縦横斜めの図柄の一致状況に基づいて景品メダルをメダル受皿115に排出する。
次に、メダル識別機構200について説明する。図3はメダル識別機構200の概略構成を示す説明図である。図示するように、メダル識別機構200は、投入を受けたメダルMを導くメダル経路202を有する。このメダル経路202は、メダルが1列で通過するよう形成されており、前面扉103のメダル投入口104からメダル補給経路116(図2参照)を経てメダルMを受け取り、下流に通過させる。メダル経路202は、装置上方から図において装置右方に湾曲した軌道を有する主経路203と、装置上方から真っ直ぐ下方に延びる軌道の排出経路204とを分岐して備える。主経路203は、上記の湾曲軌道に沿ってメダルMを通過させ、当該メダルを既述した図2のメダル補給経路116に送り出す。排出経路204は、主経路203の経路分岐箇所に設置された通路切替片205の駆動による経路切替により、メダルMをメダル排出経路117に送り出す。通路切替片205は、図示しないソレノイドによりメダル経路202の経路内に突出し、これにより経路を切り替える。なお、ソレノイド駆動を伴うこうした経路切替は、直径に基づく既述したメダル振り分けの結果に応じて行われる他、メダル詰まり時の遊技者による返却スイッチ操作によっても行われる。また、上記した各メダル経路は、メダル設置箇所が凸条とされており、メダルMは凸条の頂上に接しつつ転がるように搬送される。
メダル識別機構200は、主経路203の経路途中に、メダル検出部210を有する。図4はメダル検出部210の外観を概略的に示す説明図、図5はメダル検出部210を破断して示す説明図である。これら図面に示すように、メダル検出部210はボディ212を備え、メダル識別機構200の筐体にネジ止め固定される。メダル検出部210は、主経路203を通過するメダルMの手前側(図3の紙面での手前側)にボディ212から突出した光路形成体214を備え、当該形成体基部に、発光ダイオードからなる発光部216を2個有する。
発光部216から射出された光(射出光)は、発光部216の前方側の小径の貫通孔217を光路として進み、光路形成体214先端の反射面218にて反射する。反射面218は、図示するように傾斜して形成されていることから、反射面218での反射光は、図中に符号Aで示す軌跡を光軸として斜めにボディ212の側に進む。よって、メダル検出部210は、主経路203を通過するメダルMに対して、メダル表面と斜めに交差する方向から光を射出することになり、本実施例では、発光部216と反射面218とで本願に云う発光部を構成する。
メダル検出部210は、ボディ212にフォトセンサからなる受光部220を備える。反射面218が光路形成体214の先端側に位置し、受光部220がボディ212の側に位置し、メダルMは光路形成体214と受光部220との間に位置するという位置関係から、受光部220は、本願に云う発光部と主経路203を挟んで反対側に位置することになる。そして、メダル検出部210は、主経路203を通過するメダルMに対して斜めに交差する方向から受光部220にて光を受光して、その受光光量に応じた所定の受光信号を出力する。発光部216と受光部220のこうした位置関係から、この発光部216と受光部220は、主経路203を通過するメダルMに光を射出して検出する光透過型の検出部を構成し、この検出部は、発光部216から射出されて受光部220に受光される光の光軸を、メダルMに対して傾斜させていることになる。
メダル検出部210は、上記したメダル検出部210と反射面218および受光部220を対として一対の光学系を構成し、この光学系をボディ212に二対組み込んで備える。図6は発光部・受光部を有する二対の光学系の様子を模式的に示した説明図である。なお、以下の説明に際しては、二対の上記の光学系を区別するため、それぞれの光学系の発光部と受光部とを添え字a、bを付して区別し、第1発光部216a、第2発光部216b、第1受光部220a、第2受光部220bと呼ぶ。
図6に模式的に示されているように、第1発光部216aと第1受光部220aを有する光学系(第1光学系)と第2発光部216bと第2受光部220bとを有する光学系(第2光学系)とは、所定の間隔、上記の発光部・受光部のメダル検出部210への組み込み間隔だけ隔たっている。メダルMが主経路203を通過すると、まず、メダル通過が第1光学系により第1受光部220aの受光光量の推移から検出され、次いで、第2光学系により第2受光部220bの受光光量の推移から検出される。そして、主経路203を通過するメダルMの経路に沿った両光学系の間隔が所定のものであり、主経路203におけるメダルMの通過速度も予め判明していることから、両光学系での受光タイミングのズレ(メダル通過時間差)により、主経路203におけるメダル通過の有無検出、即ちメダル検出が行われる。こうしたメダル検出処理については、本発明の要旨と直接関係しないものの、その概要については後述する。
ここで、本実施例のスロットマシン100の電気的な構成について、本発明に関連する構成を中心に説明する。図7はスロットマシン100の電気的な構成の概略を示すブロック図である。
制御装置120は、本装置全般の制御を司る制御部121を備える。この制御部121は、論理演算を実行するCPUを中心に構成され、遊技プログラム等を記憶したROM、データの一時的な記憶を行うRAM等と協働して、メダル検出、メダル真偽判定、メダル計数、表示機器制御、回胴111の回動制御等を行う。制御部121は、CPUの他、メダル数カウンタ等も備え、リセットスイッチ122、スタートレバー105、第1発光部216a、第2発光部216b、第1受光部220a、第2受光部220bや、各種センサ・スイッチ群123、表示機器や回胴、その他の制御対象機器群124と接続されている。本発明に関与する構成としては、第1発光部216a、第2発光部216b、第1受光部220a、第2受光部220bが上げられ、制御装置120は、第1、第2の発光部を所定規則に従ってパルス状に発光制御し、この発光部の発光周期に合わせた第1、第2の受光部からの受光信号(センサ出力)に応じて、メダル検出、投入メダルの真偽判定を行う。ここで、メダル検出の様子について簡単に説明する。
既述したように、御装置120は、第1発光部216a、第2発光部216bを所定周期に従ってパルス状に発光制御するので、各光学系の受光部は、メダル通過がない場合には、発光部のパルスに応じてパルス状の受光信号(ON信号)を周期的に出力する。その一方、メダルMが投入されると、メダル通過に伴って第1光学系の第1発光部216aの光が遮られ、次いで第2光学系の第2発光部216bの光が遮られる。第1光学系と第2光学系との隔たりがメダル径より大きければ、第1光学系の第1受光部220aで第1発光部216aの各パルス状発光の光を受光しない期間が続いた後に、第1発光部216aでは受光(パルス状のON信号出力)して第2光学系の第2受光部220bでは第2発光部216bの各パルス状発光の光を受光しない期間が続き、最後に第2発光部216bで受光(パルス状のON信号出力)することになる。この受光タイミングにより、メダルMの検出がなされる。
その一方、経路の短縮等のために第1光学系と第2光学系との隔たりをメダル径より小さくすることが多々ある。こうした場合には、メダルMの通過に伴って第1光学系、第2光学系の順で発光部からのパルス状の光が遮られるものの、両光学系で同時に光が遮られた後、第1光学系、第2光学系の順に再度、発光部からの光が受光部で受光される。よって、各光学系での受光部でのパルス状の受光信号の出力は、メダル通過に伴ってまず最初に第1光学系での第1受光部220aでの未受光(OFF信号)の期間があり、次いで、両光学系での未受光(OFF信号)の期間、第1光学系での第1受光部220aでは受光(パルス状のON信号出力)で第2光学系での第2受光部220bでは未受光(OFF信号)の期間、両光学系で受光(パルス状のON信号出力)の期間が連続することになる。こうしたパルス状の信号の入力の推移の様子から、メダルMの検出がなされる。この場合、メダルMの通過方向も検出(判断)可能となる。
次に、本実施例における真性のメダル検出、メダルを擬した異物検出の様子について説明する。図8はメダルの有無とメダルを擬した異物の検出の様子を対比して示す説明図、図9はメダルの有無とメダルを擬した異物の検出結果の概要を対比して示す説明図である。この図8においては、上段がメダルMについてであり左方がメダル有りの場合を右方がメダル無しの場合の様子を示し、下段が異物についてであり左方がメダル有りの異物の場合を右方がメダル無しを擬制した異物の場合の様子を表している。
図8の上段左側に示すように、メダルMが図示しない主経路203を通過する場合、メダルMは、発光部216からの射出光が反射面218で反射して受光部220に到る光軸に掛かる。メダルMは通常金属製であるために発光部216からの射出光(反射面218での反射光)を遮る。これにより、受光部220では、それまで受光可能であった光を受光しなくなるので、受光なしに対応する受光信号(最低レベル信号=ゼロレベル信号)を制御装置120に出力する。メダルMが主経路203を更に通過し光軸から脱すると、上段右側に示すように、受光部220は、発光部216からの射出光(反射面218での反射光)を直接受光し、その受光光量に応じた受光信号(最大レベル信号)を制御装置120に出力する。つまり、図9に示すように、受光信号は、主経路203におけるメダルMの通過により、受光信号が最低レベルから最大レベルに推移する。なお、こうした受光信号レベルの推移は、発光がパルス状であることから、その各パルスの光を受光したパルス状の受光信号のそれぞれで発現する。
制御装置120は、こうした受光光量の推移に基づく受光信号(センサ出力)を、図6で示したように、第1光学系の第1受光部220aと第2光学系の第2受光部220bとから、メダル検出で説明したようなタイミングで入力する。そして、制御装置120は、こうした信号入力を受けることで、メダルMの通過を検知してメダル計数を行うと共に、図9で示したような最低レベルと最大レベルの受光信号レベル差(センサ出力差)に基づいて投入メダル(通過メダル)の真偽判定を行う。ここでメダルMが真正なメダルであると判定されると、制御装置120は、その後のスロットマシン100の遊技の継続を許可するので、遊技者はスタートレバー105やストップボタン106の操作を伴う遊技を行うことができる。その一方、制御装置120は、上記したような信号入力がないと検出した対象物は真正のメダルMではないとして、遊技を停止するよう、各種機器を制御する。例えば、スタートレバー105やストップボタン106の操作を無効として遊技できないようにしたり、種々の表示装置やスピーカー等にて、真正ではないメダルMが検出されたと報知する。つまり、制御装置120は、ROMに記憶した真偽判定プログラムやCPU等と協働して、本願に云う検出部と遊技継続決定部を構成する。なお、上記したような信号入力がない場合については、後述の液晶パネル異物の検出の際に説明する。
次に、メダルが有る状態とメダルが無い状態の擬制が可能な異物、例えば、液晶パネル異物がメダルMに代わって投入された場合について説明する。この液晶パネル異物は、両側の透光性表面基板間に液晶を封入し、電圧印加制御を経た液晶配列変更を介して所定形状の非透光性部位を形成し、この非透光性部位をメダルMに擬制させる。そして、液晶パネル異物は、この非透光性部位の位置を電圧印加対象となる部位を変えることで移動させ、非透光性部位の移動によりメダルMの通過を擬制する。今、この液晶パネル異物が非透光性部位をメダルMに代わって光軸に掛けているとする。この状態は、図8の下段左側に示されており、液晶パネル異物は光軸に非透光性部位を掛けているため、発光部216からの射出光(反射面218での反射光)は遮られる。よって、この場合は、メダルMが光軸にある場合と同程度の受光信号が受光部220から得られる。
静止するメダルMが有ることを検出するだけであれば、液晶パネル異物の非透光性部位は静止するメダルMが有ることを擬制できるものの、本実施例のスロットマシン100ではメダルMは主経路203を通過することを前提としている。よって、主経路203でのメダル通過に伴って、受光信号は最低レベルを脱して既述したように最大レベルに推移するので、液晶パネル異物においてそれまで非透光性部位であった箇所を透光性に切り替えることは不可欠となる。換言すれば、この非透光性部位は、メダルMが経路を通過していくようにして移動する必要がある。そして、非透光性部位がその移動に伴い非透光性から透光性に切り替えられた場合の受光部220での受光の様子は次のようになる。
図8の下段右側は、液晶パネル異物においてそれまで非透光性部位であった箇所が透光性とされて光軸に掛かっている様子を示している。この場合における発光部216からの射出光(反射面218での反射光)の挙動は次のようになる。液晶パネル異物は、非透光性・透光性に限らず、その表面に位置する透光性表面基板は、ガラスやプラスチック等の透明基板であり、これら基板は、通常、空気と異なる屈折率、詳しくは空気より大きな屈折率を有する。そして、本実施例では、上記した光学系の配置により、こうした液晶パネル異物に対しては、発光部216からの射出光(反射面218での反射光)を液晶パネル異物に対して斜めに照射する。図10は液晶パネル異物における光の挙動を示す説明図である。
よって、発光部216からの射出光(反射面218での反射光)を受ける側の液晶パネル異物における透光性表面基板の表面では、この透光性表面基板が透光性を有するとしても光の反射は起き、図10に示す射出光DLが透光性とされた液晶パネル異物の内部に入り込む光(屈折光KL)の光量は反射光RL1の光量に応じて低減する。そして、この屈折光KLが液晶パネル異物を透過して受光部220の側に達する際には、液晶パネル異物における受光部220の側の透光性表面基板の表面、即ち受光部側の透光性表面基板の内部界面でも光の反射が起きるので、当該界面での反射(図における反射光RL2)により、透光状態の液晶パネル異物を透過して受光部220の側に達する光の光量はより低減する。従って、本実施例のスロットマシン100では、透光状態の液晶パネル異物が発光部216からの射出光(反射面218での反射光)が受光部220に到る光軸に掛かっている場合には、透光状態の液晶パネル異物の両面での上記反射(反射光RL1、RL2)に起因する2度の光量低減により、受光部220の受光光量を小さくできる。
このため、メダルMが光軸に掛かっていない場合と、メダルMが光軸に掛かっていないことを装うことを意図した透光状態の液晶パネル異物が光軸に掛かっている場合とでは、前者の場合での受光部220での受光レベルと後者の場合での受光部220での受光レベルに差をもたらすと共に、その受光レベルの差をより顕著とできる。具体的には、メダルMが光軸に掛かっていないことを装うことを意図した透光状態の液晶パネル異物が光軸に掛かっている場合の受光レベルは、メダルMが光軸に掛かっていない場合の受光レベルより顕著に小さなくなり、図9に示すように、信号推移はメダルMの場合と大きく異なる。この結果、本実施例のスロットマシン100によれば、こうした受光レベル差により、或いは受光レベルの推移の様子により、液晶パネル異物の有無、引いてはメダルの真偽判定を高い信頼性で検出することができる。
また、射出光DL(詳しくは屈折光KL)が透光状態の液晶パネル異物を透過する現象においても、射出光DLの光軸が透光状態の液晶パネル異物に対して傾斜しているので、光軸が透光状態の液晶パネル異物と直交する場合に比して、透光状態の液晶パネル異物中の光路が長くなる。よって、射出光DL(詳しくは屈折光KL)が透光状態の液晶パネル異物を透過する際の光の減衰程度も大きくなることから、受光部220での受光光量低下が進むことになる。
この結果、上記構成を有する本実施例のスロットマシン100によれば、発光部216からの射出光DL(反射面218での反射光)をメダルMに対して斜めに照射し、メダル表面における照射側とは反対側の受光部220でメダルMに対して傾斜した方向から受光するという簡単な構成で、異物検出の信頼性を高めることができる。
ところで、先に述べた特許文献では、本実施例における受光部220をメダルMの反射光を受光するようにした点で相違するが、上記した本実施例での異物検出の信頼性向上は望めない。つまり、メダル真偽の判定に用いる受光部220での光量低減は、発光部216からの射出光DLがメダルM或いは液晶パネル異物の表面(受光部側表面)での反射によるものだけであるのに対して、上記した本実施例では液晶パネル異物両面での反射に起因する2度の光量低減を起こすからである。
本実施例では、光の射出源である発光部216を受光部220と同じ側、詳しくはメダル検出部210のボディ212に上下に組み込み、反射面218での反射光がメダルMに斜めに照射されるようにした。よって、発光部216と受光部220とを対向配置して、メダルMに光が斜めに照射されるようにした場合に比して、コンパクト化を図ることができる。
更に、本実施例では、発光部216と受光部220とを有する光学系を二対備え、両光学系を一つのメダル検出部210に組み込んで、いわゆるワンパッケージ化を図った。よって、二対の光学系の設置や保守等に要する作業性を高めることができる。
次に、変形例について説明する。図11は第1変形例の光の挙動を示す説明図である。この第1変形例は、発光部216からの射出光DL(詳しくは反射面218での反射光)の入射角θ1を調整することで、液晶パネル異物の内部に入り込んだ光(屈折光KL)の全反射を受光部220の側の透光性表面基板の表面(受光部220の側の透光性表面基板の内部界面)で起こさせた点に特徴がある。この点を、図11を持って説明する。
透光状態の液晶パネル異物に対しての発光部216からの射出光DL(詳しくは反射面218での反射光)の入射は、屈折率の小さい空気の側から空気より屈折率が大きい透光性表面基板へのものであることから、透光性表面基板LCK1の表面で光の反射は起き、液晶パネル異物内には光量が低減した状態で屈折光KLが入り込む。そして、この屈折光KLが液晶パネル異物の受光部220側の透光性表面基板LCK2から受光部220に向けて光(屈折光KL)が進む場合は、空気より屈折率が大きい透光性表面基板LCK2から屈折率の小さい空気の側への光の進行になり、この際の透光性表面基板界面での光(屈折光KL)の挙動は、図示する入射角θ2が透光性表面基板LCK2の臨界角以上の角度であれば、全反射を起こすことになる。
よって、液晶パネル異物を透過して受光部220に光が達することはない、若しくは極端に少ない光量の光しか受光部220には達しない。このため、透光状態の液晶パネル異物が受光部220に到る光の光軸に掛かっている場合における上記した光量低減は著しくなるので、メダルMが光軸に掛かっていない場合と、メダルMが光軸に掛かっていないことを装うことを意図した透光状態の液晶パネル異物が光軸に掛かっている場合とでの受光レベル差はより一層顕著となり、その分、異物検出の信頼性を高めることができる。つまり、この第1変形例では、発光部216からの射出光DL(詳しくは反射面218での反射光)を液晶パネル異物に照射するに当たり、この液晶パネル異物から受光部220に向けて屈折光KLが進む際に、液晶パネル異物における受光部220側の透光性表面基板LCK2において光の全反射を起こすよう、光を射出する。つまり、液晶パネル異物から受光部220に向けて屈折光KLが進む際の受光部220側の透光性表面基板における入射角θ2がこの透光性表面基板が有する臨界角以上の角度となるよう、発光部216からの射出光DL(詳しくは反射面218での反射光)の入射角θ1を調整する。本実施例では、射出光DLを反射面218で反射させているので、反射面218の角度を調整することになる。
上記の臨界角(入射角θ2)は、液晶パネル異物が透光性表面基板として採用する材料の屈折率に依存して定まり、当該基板を屈折率1.5のガラスとした場合には、臨界角(入射角θ2)は約48度となる。従って、図11に示すように、屈折光KLが受光部220側の透光性表面基板LCK2に入射する入射角θ2がこの臨界角約48度となるよう、発光部216からの射出光DLの入射角θ1を調整することになる。液晶パネル異物が透光性表面基板として透光性の樹脂を採用する場合には、その樹脂の屈折率に依存して定まる臨界角となるよう、発光部216からの射出光DLの入射角θ1を調整することになる。上記した説明は、ガラス等の透光性表面基板が最外部にあるとして説明したが、液晶パネル異物はその表裏に有する偏光板を最外部に有する場合には、上記の臨界角は偏光板の臨界角となる。
次に、第2変形例について説明する。図12は第2変形例におけるメダルの有無とメダルを擬した異物の検出の様子を対比して示す説明図、図13は第2変形例におけるメダルの有無とメダルを擬した異物の検出結果の概要を対比して示す説明図である。この第2変形例は、受光部220に入射する光をs偏光光とする点に特徴がある。つまり、第2変形例では、図12に示すように、発光部216と反射面218との間にs偏光板219sを設置して、検出対象であるメダルMや液晶パネル異物の表面にs偏光光しか達しないようにする。この第2変形例における光の挙動は次のようになる。
図12の上段左右と下段左側の場合には、発光部216からの射出光DL(詳しくは反射面218での反射光)が受光部220に達する様子は既述した通りであるが、射出光DLはs偏光光となったので光量は低下し、メダル無しの場合の受光部220の受光信号の最大レベルは下がる。ところが、図の下段右側の透光状態の液晶パネル異物では、次のようになる。液晶パネル異物は、発光部216からの光が入射する側にp偏光板を備え、出射側にs偏光板を備え、基板間に封入した液晶を捩れた配向(Twisted Nematic)としておくことで透光状態となる。つまり、光の入射側のp偏光板を透過したp偏光光を液晶の捩れた配向によりs偏光光に変えて、このs偏光光を出射側のs偏光板から透過させるので、光透過状態となる。従って、図12の下段右側に示す透光状態の液晶パネル異物では、入射光がs偏光光であることから、この入射光たるs偏光光はp偏光板で反射してしまうので、液晶パネル異物は、透光状態でありながらs偏光光を受光部220の側に透過させないようになる。よって、この第2変形例では、図13に示すように、透光状態の液晶パネル異物を透過して受光部220に達する光の光量をより一層、確実に低減させて、異物検出の信頼性をより高めることができる。
このようにs偏光光とする場合、メダル検出部210における二つの光学系の両者においてs偏光板219sを設置できるほか、一方の光学系にs偏光板219sを設置することができる。
上記の変形例では、発光部216の側にs偏光板219sを設置したが、偏光板の設置位置は受光部220の手前側とするようにもできる。発光部216の側に偏光板がなければ、液晶パネル異物の光の入射側では、p偏光板によりp偏光光が液晶パネル異物に入り込み、当該異物からはs偏光板によりs偏光光が出射する。よって、この場合には、受光部220にはs偏光光しか達しないので、受光部220の手前にp偏光板を設置して受光部220への光の到達を起きないようにできる。つまり、受光部220の手前に偏光板を設けても、透過状態の液晶パネル異物を透過した光(偏光光)を受光部220の手前の偏光板により受光部220の手前で遮蔽して光量を低減できるので、異物検出の信頼性は、発光部216の側に偏光板を設けた場合と同様に高まる。また、受光部220の手前はメダルMの通過領域であるため、機器構成上、遮蔽物のない状態となるので、受光部手前への偏光板設置が簡便となる。
次に、第3変形例について説明する。図14は第3変形例の構成を概略的に示す説明図である。この第3変形例は、メダル検出部210に組み込んだ二つの光学系のうち第1光学系における第1受光部220aに入射する光をs偏光光とし、第2光学系における第2受光部220bに入射する光をp偏光光とする点に特徴がある。つまり、第3変形例では、図14に示すように、第1発光部216aと反射面218との間にs偏光板219sを設置し、第2発光部216bと反射面218との間にp偏光板219pを設置して、検出対象であるメダルMや液晶パネル異物の表面に、第1光学系ではs偏光光しか達しないようにし、第2光学系ではp偏光光しか達しないようにする。この第3変形例における光の挙動は次のようになる。なお、第1光学系ではp偏光光しか達しないようにし、第2光学系ではs偏光光しか達しないようにすることもできる。
図14に示す第3変形例では、光軸にメダルMがない場合では、二対の光学系における第1光学系の第1受光部220aでs偏光光が受光され、第2光学系の第2受光部220bではp偏光光が受光される。この場合、二対の光学系のそれぞれのでは、偏光光の光量に応じた受光信号がそれぞれ得られる。これに対し、メダルMが光軸に掛かっていないことを擬制した透光状態の液晶パネル異物が光軸に掛かっている場合は、s偏光板219sによりs偏光光を発する第1光学系では、既述したように液晶パネル異物が光の入射側に有するp偏光板によりs偏光光の透過が阻害されるので、このs偏光光の光量に応じた受光信号は得られない。しかも、p偏光板219pによりp偏光光を発する第2光学系では、p偏光光は入射側のp偏光板を透過し、液晶の配向に倣った捩れによりs偏光光となって出射側のs偏光板を透過して第2受光部220bで受光され、第2受光部220bはp偏光光の光量に応じた受光信号を発する。つまり、両光学系での受光状態は、一方の光学系では偏光光の光量に応じた所定の受光信号が得られるのに、他方の光学系では偏光光の光量に応じた所定の受光信号を得ることができないという特異な現象が現れることから、光軸にメダルMが無い場合の両光学系での受光状態と大きく相違する。液晶パネル異物が入射側にs偏光板219sを備え出射側にp偏光板219pを備える場合も同様である。よって、s偏光光を受光する第1受光部220aとp偏光光を受光する第2受光部220bとで起きる上記した特異な現象に基づいて、より一層、異物検出の信頼性を高めることができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記した実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。例えば、上記の実施例と変形例では、発光部216の射出光DLを反射面218にて反射させ、その反射光を射出光DLとしてメダルMや液晶パネル異物と言った検出対象物に照射したが、発光部216自体を反射面218の設置箇所に配設し、発光部216の射出光DLを直接検出対象物に照射するようにすることもできる。
また、メダルMを用いて遊技するスロットマシンを例に挙げ説明したが、本発明は、スロットマシン以外の遊技機であってメダルMを用いる他の遊技機に加え、メダル検出装置やメダル経路を通過するメダル検出方法としても適用できる。
また、