<1.第1実施形態>
<A:スロットマシンの外観構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るスロットマシン1の外観を示す斜視図である。スロットマシン1は、前面が開口した箱状の本体2と本体2の前面に配置された前面扉3とから構成されている。本体2と前面扉3とは片側で蝶番により固定され開閉できるようになっている。前面扉3は、遊技者が遊技を行うためのボタン類が配置された操作部OP、リール可変表示装置RLの図柄を視認させるためのリール窓20や遊技を進行するための情報が表示される表示器類が配置されたパネル表示部DP、遊技を進行するための情報が表示される液晶表示器類や電飾装置が配置された演出表示部TP、および受皿部BPから構成されている。
操作部OPには、メダル投入口10、ベットボタン11、スタートレバー12、左ストップボタン13a、中ストップボタン13b、右ストップボタン13c、精算ボタン14、貸出ボタン15、返却ボタン16および度数表示器17が設けられている。操作部OPの上面右側にメダル投入口10が配置され、上面左側にベットボタン11が配置されている。スロットマシン1の遊技は、メダル投入操作またはベットボタン操作により開始できる。ベットボタン11の下部の前面側には、リールR1〜R3の回転を開始させるためのスタートレバー12が配置され、その右側には左リールR1の回転を停止させるための左ストップボタン13a、中リールR2の回転を停止させるための中ストップボタン13bおよび右リールR3の回転を停止させるための右ストップボタン13cが配置され、遊技の基本操作順序となる「ベットボタン操作→スタートレバー操作→左ストップボタン操作→中ストップボタン操作→右ストップボタン操作」という一連の流れの操作を行い易いようになっている。スタートレバー12の左側には、貯留装置に記憶されたクレジットを精算してメダル受皿40にメダルを払い出すための精算ボタン14が配置されている。この精算ボタン14は遊技をやめる場合に操作されるものであり、操作の頻度が低いことや遊技中に誤って操作しないよう、上記一連の操作の流れから外れる位置に配置してある。さらに操作部OPには、プリペイカード式メダル貸機がスロットマシン1に接続されている場合に使用される貸出ボタン15、プリペイカードを返却するための返却ボタン16およびプリペイカードの貸出可能な度数表示が行われる度数表示器17が設けられている。なお、このように、スロットマシン1にプリペイカード式メダル貸機が接続されている場合には、スロットマシン1のこれらのボタン15、16の操作によるプリペイカード式メダル貸機の作動および度数表示器17による度数表示は、プリペイカード式メダル貸機の制御によって行われる。
パネル表示部DPには、リール窓20、入賞ラインL1〜L5、入賞ライン表示器21、遊技ガイド表示器22および遊技価値情報表示部23が設けられている。遊技価値情報表示部23は、クレジット数表示器23a、配当数表示器23cおよび獲得枚数表示器23bから構成される。リール窓20は、1つのリールにつき、3個の連続した図柄をのぞむ透明アクリル板からなり、遊技者は3つのリールで9個分の図柄を、リール窓20を通して目視することができる。この9個分の図柄が表示される位置を、それぞれ左リールR1の上段表示位置(U1)、左リールR1の中段表示位置(M1)、左リールR1の下段表示位置(D1)、中リールR2の上段表示位置(U2)、中リールR2の中段表示位置(M2)、中リールR2の下段表示位置(D2)、右リールR3の上段表示位置(U3)、右リールR3の中段表示位置(M3)、右リールR3の下段表示位置(D3)という。さらにリール窓20上には、水平ラインの入賞ラインL1(M1−M2−M3)、L2(U1−U2−U3)およびL3(D1−D2−D3)と斜めラインの入賞ラインL4(U1−M2−D3)およびL5(D1−M2−U3)が通っている。このリール窓20の左側には、入賞ラインL1〜L5の各々に対応した入賞ライン表示器21が設けられており、メダルが1枚投入されると入賞ラインL1に対応した入賞ライン表示器21が点灯し、メダルが2枚投入されると入賞ラインL1に加えて入賞ラインL2およびL3に対応した入賞ライン表示器21が点灯し、メダルが3枚投入されると入賞ラインL1〜L3に加えて入賞ラインL4およびL5に対応した入賞ライン表示器21が点灯するようになっている。
また、遊技の結果、所定の図柄の組み合わせが成立した場合には、この成立した入賞ラインに対応した入賞ライン表示器21を点滅させ、遊技者に知らせるようになっている。また、リール窓20の右側には、入賞した場合に点灯する表示器やゲーム状態に応じて点灯するLEDなどの複数のLEDが配置された遊技ガイド表示器22が設けられている。さらにリール窓20の下側には、貯留装置に蓄えられたクレジット数を表示するクレジット数表示器23a、入賞した場合に付与された配当数を表示する配当数表示器23c、および所定ゲーム中に付与された配当数を累積して獲得枚数の表示を行う獲得枚数表示器23bから構成される遊技価値情報表示部23を有している。
演出表示部TPには、遊技の進行状態を画像で表示する液晶表示器30、ゲーム状態に応じて色彩や点灯パターンを変化させてゲーム状態を表示する電飾LED31およびゲーム状態に応じて変化させるBGMやボタン操作に応じた操作音、ガイド音声を出力するスピーカ32が設けられている。
受皿部BPには、メダル払出装置が駆動されてメダル払出口40aから排出されたメダルを貯めるメダル受皿40が設けられており、メダル受皿40の左側には灰皿41が設けられている。
<B:スロットマシンの電気的構成>
図2は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、遊技の主たる制御を行うメイン制御基板100A、液晶表示器30に対して表示制御を行い画像を表示する表示制御基板100B、およびパネル表示部DPまたは演出表示部TPのLED類や音の演出の制御を行う電飾制御基板100Cを備えている。メイン制御基板100Aは、CPU(central processing unit)101、クロック発生回路102、クロック発生回路103、ROM(read-only memory)104、RAM(random-access
memory)105、データ送出回路106、入出力ポート107から構成されている。なお、CPU101としてROMやRAMを内蔵しているものを採用することができる。その場合には、外付けのROM104やRAM105は不要となる。
CPU101は、ROM104に格納されたプログラムを、クロック発生回路102で発生したクロック信号CLKのタイミングに基づいて読み出して順次に実行する。CPU101は、電源が投入されると予め定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路103が生成した割込信号INTRのタイミングで、予め定められたアドレスから始まるプログラムを実行する。割込信号INTRの間隔は、クロック発生回路102が発生するクロック信号CLKの周期とは相違し、例えば4ミリ秒である。CPU101はプログラムの実行に応じて、各種のフラグやカウンタまたは各種の遊技情報をRAM105に保存する。外部から供給される電源が遮断した場合でも、RAM105が記憶した情報は電池によって保持されており、その後に電源が復帰した場合には電源断発生の直前の状態から再開する。CPU101は、入出力ポート107を介して各種のボタンやセンサの状態を読み取り、これにより各種のモータやLEDを駆動する。
ベット操作指示信号111a〜111c、開始操作指示信号112、停止操作指示信号113a〜113cおよび精算操作指示信号114は、それぞれ操作部OPに設けられたベットボタン11、スタートレバー12、ストップボタン13a〜13c、精算ボタン14が遊技者によって操作されたことに応じて検知される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。一方、表示制御信号123a〜123cは、それぞれパネル表示部DPに設けられたクレジット数表示器23a、獲得枚数表示器23b、配当数表示器23cに表示するための信号であり、これらの各部に対してCPU101から入出力ポート107を介して供給される。リール位置検出信号155a〜155cはそれぞれリール可変表示装置RLのそれぞれのリールに対応し、リールが1回転するたびに1回検出する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。リール駆動信号154a〜154cは、それぞれリール可変表示装置RLのリールR1〜R3の各々を駆動するための信号であり、CPU101から入出力ポート107を介してリール可変表示装置RLに供給される。
検出信号160aおよび160bは、メダル投入センサ60aおよび60bから出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。メダル投入センサ60aおよび60bは、前面扉3の内側に固定されたメダル検出装置に搭載され、メダル投入口10から投入された遊技用のメダルを光学的に検出する手段である。また、メダルセンサ電源線160cは、メダル投入センサ60aおよび60bの各々に電源を供給する配線である。メダル投入センサ60aに対する電源の供給はCPU101による制御のもとにオン/オフされる。なお、以下の説明においてメダル投入センサ60aおよび60bの何れかを特定する必要がない場合には単に「メダル投入センサ60」と表記する。同様に、メダル投入センサ60の各々から出力される信号も単に「検出信号160」と表記する場合がある。
メダルブロック信号161はメダル検出装置に設けられたメダルブロックソレノイド61を駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101からメダルブロックソレノイド61に供給される。メダル払出信号162はメダル払出装置のメダル放出部に設けられたメダルを検出するセンサ信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。また、払出駆動信号163はメダル払出装置に設けられたモータを駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101からメダル払出装置に供給される。
CPU101は、データ送出回路106を介して表示制御基板100Bおよび電飾制御基板100Cへ各種のコマンドを出力する。電飾制御基板100Cは、メイン制御基板100Aから各種のコマンドを受信し、入賞ライン表示器21、遊技ガイド表示器22、電飾LED31による電飾装置の点灯制御、リール可変表示装置RLに設けられたバックライト装置53a〜53cの点灯制御およびBGMなどのサウンドをスピーカ32から出力する。
表示制御基板100Bは、CPU(central processing unit)191、クロック発生回路192、クロック発生回路193、ROM(read-only memory)194、RAM(random-access memory)195、データ入力回路196およびグラフィックLSIとその周辺回路からなる表示回路197を備えている。このCPU191は、ROM194に格納されたプログラムを、クロック発生回路192で発生したクロック信号CLKのタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU191は、電源が投入されると予め定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路192の周期とは異なるクロック発生回路193で発生した割込信号INTR1のタイミングで、予め定められたアドレスから始まるプログラムを実行する。割込信号INTR1の間隔は、例えば4ミリ秒である。CPU191は、プログラムの実行に応じて、各種のフラグやカウンタ、または各種の遊技情報をRAM195に保存する。
また、メイン制御基板100Aのデータ送出回路106からのデータ送出タイミングに同期して送出されるストローブ信号に基づいて割込信号INTR2を発生させ、この割込信号INTR2のタイミングで、予め定められたアドレスから始まるプログラムを実行する。
<C:スロットマシンのメダル通路およびその周辺の構成>
図3は、スロットマシンの傾斜メダル通路220およびその周辺の要素を概略的に示す模式図である。メダル投入口10(図1)に投入されたメダルは、メダルがその自重により転がりながら下流に向けて通過する傾斜メダル通路220に落下する。傾斜メダル通路220には、メダル選別器200が設けられている。メダル選別器200は、投入されたメダルが所定の直径(スロットマシン1で使用される正規のメダルの直径)よりも小さい場合に、メダルブロックソレノイド61をオフし、傾斜メダル通路220からメダルが落下することによりメダルを選別することが可能である(以下ではこのように小径のメダルのみが落下する状態を「メダル受付可能状態」という)。また、スロットマシンの遊技準備が未完了の場合やスロットマシンが稼動状態にない場合には、メダルブロックソレノイド61をオフし、投入されたメダルをすべて傾斜メダル通路220から落下させるようになっている(以下ではこの状態を「メダル受付不能状態」という)。
メダル選別器200から落下した小径メダルはメダル払出口40a(図1)を経てメダル受皿40に排出される。他方、メダル受付可能状態では、正規のメダルはメダル選別器200から落下することなく、傾斜メダル通路220を進行し続けて各メダル投入センサ60を通過する。
傾斜メダル通路220において、メダル選別器200がメダルを選別する位置よりも下流にはメダル投入センサ60aが配置され、さらにその下流にはメダル投入センサ60bが配置されている。メダル投入センサ60a,60bは、自身が設けられた位置でメダルの通過を光学的に検知する光学センサであり、例えばフォトインタラプタ(透過型)やフォトリフレクタ(反射型)がある。
傾斜メダル通路220を通過したメダルは、メダルホッパ210に導入される。メダルホッパ210は、スロットマシン1に投入されたメダルを実際に蓄積する。遊技者が精算ボタン14を押して、貯留装置に記憶されたクレジットを精算すると、クレジットに対応する個数のメダルがメダルホッパ210からメダル受皿40に払い出される。
図4は、前面扉3(図1)の裏側から見た傾斜メダル通路220およびその周辺の斜視図である。同図においては、理解の容易のために、一部の部品を取り去った状態が図示されている。
図4に示すように、傾斜メダル通路220は、互いに通じた第1の通路部220aと第2の通路部220bとを備えている。第1の通路部220aと第2の通路部220bは同一直線上にはない。メダル投入口10に投入されたメダルMは、仮想線で示すように第1の通路部220aに導かれ、第1の通路部220aでは、メダルMの表面および裏面が鉛直に保たれた状態でメダルMが自重により転がる。第1の通路部220aと第2の通路部220bとは開口案内部(図示略)を介して通じている。メダル受付可能状態において、正規のメダルMは第1の通路部220aから開口案内部を通じて第2の通路部220bへ排出される。第2の通路部220bは、メダルMが転がるように案内する溝を有するガイドレール205で構成されている。
図4に示すように、上述したメダル選別器200は、鉛直な基準壁200eと、傾斜した直線状の下方ガイド傾斜部200aと、基準壁200eの裏側(図4では紙面手前側)にある規制ガイド板200bと、基準壁200eの表側(図4では紙面奥側)に配置されたメダルブロックソレノイド61(図2参照)と、可動な突出片200dを有する。基準壁200eと下方ガイド傾斜部200aと規制ガイド板200bとは、傾斜メダル通路220の第1の通路部220aの要素でもあり、メダルMをその自重により転がらせるガイドとなる。メダル投入口10に投入されたメダルMは、規制ガイド板200bの下端と基準壁200eの間を通過しながら基準壁200eに沿って落下して、下方ガイド傾斜部200aに受け止められる。
メダル選別器200の規制ガイド板200bは、その下端縁が基準壁200eと間隔をおいてこれと平行になるように配置されている。また規制ガイド板200bの下端縁は、下方ガイド傾斜部200aとも平行である。規制ガイド板200bは、基準壁200eに近い位置と遠い位置との間を移動可能になっている。
規制ガイド板200bを移動させる機構についての詳細な説明は省略するが、メダル受付可能状態では、規制ガイド板200bの下端部はメダルブロックソレノイド61によって駆動されて基準壁200eに接近する。基準壁200eに近いこの位置では、規制ガイド板200bの下端部と基準壁200eの間の間隔は、正規のメダルMの厚さよりわずかに大きいだけであり、規制ガイド板200bの下端縁と下方ガイド傾斜部200aの間の間隔は、正規のメダルMの直径より小さい。正規のメダルMは、その上端が規制ガイド板200bの下端部と基準壁200eの間に挟まれた状態でこれらに案内され、メダルMの表面および裏面が鉛直に保たれた状態で自重により下方ガイド傾斜部200aの上を転がる。
他方、メダル受付不能状態では、規制ガイド板200bの下端部は、メダルブロックソレノイド61の駆動力が解除されることによって基準壁200eから離間する。基準壁200eから遠いこの位置では、規制ガイド板200bの下端部と基準壁200eの間の間隔は、正規のメダルMの厚さよりかなり大きくなり、規制ガイド板200bの下端縁と下方ガイド傾斜部200aの間の間隔も大きくなる。下方ガイド傾斜部200aの上に受け止められた正規のメダルよりも小径のメダルは、このようにして規制ガイド板200bの規制を失い、下方ガイド傾斜部200aから落下する。
メダル選別器200の突出片200dは、下方ガイド傾斜部200a上の第1の通路部220aに突き出したり、第1の通路部220aから退避したりできるように移動可能に支持されている。突出片200dは、平常時は図示しないバネに押されて、基準壁200eから第1の通路部220a内に向けて突出している。正規のメダルMが規制ガイド板200bの下端部と基準壁200eの間に挟まれた状態で下方ガイド傾斜部200aの上を転がると、これに押されて突出片200dは第1の通路部220aから退避する。他方、正規のメダルよりも小径のメダルが下方ガイド傾斜部200aの上を転がった場合には、このメダルは規制ガイド板200bに規制されていないので、バネ力が与えられた突出片200dにより基準壁200eから離れる方向に押される。このように突出片200dは、確実に小径のメダルを下方ガイド傾斜部200aから落下させることに寄与する。
メダル投入センサ60aおよび60bは、突出片200dでメダルMが押される位置よりも下流に配置される。各メダル投入センサ60は発光素子と受光素子とを含む。本実施形態におけるメダル投入センサ60はフォトインタラプタ(透過型)であり、図4中の符号60aおよび60bは、それぞれ二つの発光素子を示している。第1の通路部220aを挟んでこれらの発光素子に対向する位置には対向素子支持部201が設けられ、ここには二つの発光素子にそれぞれ対応する受光素子が設けられている。ただし、発光素子と受光素子の位置は逆でもよい。第1の通路部220aを通過するメダルMが各メダル投入センサ60の発光素子と受光素子との間隙に位置する場合には発光素子からの出射光がメダルMによって遮蔽される(非受光状態)。これに対し、メダルMが各メダル投入センサ60の発光素子と受光素子との間隙に位置しない場合には発光素子からの出射光は受光素子に到達する(受光状態)。各メダル投入センサ60は、受光素子が受光状態および非受光状態の何れにあるのかを示す検出信号160(図2)を生成してCPU101に供給する。メダル投入センサ60aおよび60bを通過した後、メダルMはガイドレール205によって進行方向を変え、ガイドレール205に案内されて図3のメダルホッパ210に落下する。
なお、2個のメダル投入センサ60(60a,60b)を配置しているのは、メダルMの通過の方向を検知するためである。この方向の検知によって、既に投入されたメダルMを引き戻す不正な行為を発見することができる。したがって、単に枚数をカウントするためにメダルMを検出するのであれば、メダル投入センサ60は一つであってもよい。
2個のメダル投入センサ60のうち上流側に位置するメダル投入センサ60aが出力する検出信号160aは、メダルMの検出に加えて投入偽装行為の検出のためにも利用される。図5は、このメダル投入センサ60aの電気的な構成を示す回路図である。同図に示すように、メダル投入センサ60aは、発光ダイオードなどの発光素子601と、フォトダイオードなどの受光素子602と、受光素子602からの出力を増幅する増幅器603とを備える。増幅器603から出力される信号が図2の検出信号160aである。発光素子601のカソード端子は接地(GND)され、そのアノード端子はメダルセンサ電源線160cを介してトランジスタ180のソース端子に接続される。トランジスタ180は、発光素子601の発光および非発光を切り替えるためのスイッチング素子であり、ドレインが抵抗器181を介して電源Vccに接続される。トランジスタ180はCPU101によって導通状態(オン状態またはオフ状態)が制御される。CPU101によってトランジスタ180がオン状態に制御されると、メダル投入センサ60aに電源Vccが供給されて発光素子601が発光する。一方、CPU101によってトランジスタ180がオフ状態に制御されると、メダル投入センサ60aに対する電源Vccの供給が停止して発光素子601は消灯する。図5のコネクタ182は、メダル投入センサ60aを入出力ポート107に接続するための端子であり、入出力ポート107からメダル投入センサ60aに対する電源(Vcc、GND)の供給と、メダル投入センサ60から入出力ポート107に対する検出信号160aの供給とを中継する。
<D:スロットマシンの検知処理の概要>
次に、図6を参照して、メダル投入センサ60によるメダルMの検知のためにスロットマシン1のCPU101(図2)が実行する処理の内容を説明する。以下の説明では、発光素子601と受光素子602とが対向する区間(以下「検出区間」という)にメダルMが介在するとき(すなわち受光素子602が非受光状態にあるとき)にメダル投入センサ60がローレベル(0)の検出信号160を出力し、この検出区間にメダルMが存在しないとき(すなわち受光素子602が受光状態にあるとき)にメダル投入センサ60がハイレベル(1)の検出信号160を出力する場合を想定する。もっとも、メダルMが検出区間に存在するときに検出信号160がハイレベルとなりメダルMが存在しないときに検出信号160がローレベルとなる構成としてもよい。
図6は、傾斜メダル通路220を進行するメダルMがメダル投入センサ60の検出区間を通過する様子を示す概略図である。同図に示すように、傾斜メダル通路220の上流側からメダル投入センサ60に向かって進行するメダルMの前縁部が検出区間に到達した時点(検知開始点)において検出信号160はハイレベルからローレベルに遷移する。その後に検出信号160はローレベルを維持し、メダルMの後縁部がメダル投入センサ60の検出区間を経過する時点(検知終了点)において検出信号160はローレベルからハイレベルに遷移する。CPU101は、こうしてメダル投入センサ60から出力される検出信号160を所定のサンプリング周期t(例えば4ミリ秒)で読み取り、これをセンサ情報Aとして取得する。
ところで、メダル投入センサ60から出力される検出信号160は、例えば電気的なノイズの発生や傾斜メダル通路220での異物の通過などの影響を受けてレベルが瞬間的に変動する場合がある。そこで、本実施形態のCPU101は、検出信号160がハイレベルからローレベルに変化すると、所定の期間(例えばサンプリング周期tの4周期分)にわたってローレベルが維持された場合に初めてメダルMの検出の開始を確定し、ローレベルの期間が所定の期間よりも短い場合にはこのレベルの変動を無視する。同様に、検出信号160がローレベルからハイレベルに変化した場合、CPU101は、ハイレベルが所定の期間(例えばサンプリング周期tの4周期分)にわたって維持された場合に初めてメダルMの検出の終了を確定し、ハイレベルの期間が所定の期間よりも短い場合にはこのレベルの変動を無視する。このような処理を実行することにより、ノイズなどの偶発的な要因による瞬間的な検出信号160の変動を除外してメダルMの通過によるレベルの変化のみを高精度に検出することができる。
図7は、図6における検知開始点の前後にてメダル投入センサ60から出力される信号の波形を拡大して示すタイミングチャートである。図7(A)には、発光素子601が定常的に発光する従来の構成のもとでメダル投入センサ60から出力される信号(以下「仮想信号」という)の波形が、本実施形態の検出信号160(同図(B))との対比例として示されている。図7(A)に示すように、従来の構成においては発光素子601が定常的に発光するから、仮想信号は、メダルMの先端が検出区間に到達する検知開始点までハイレベルを維持し、この検知開始点においてローレベルに遷移する。CPU101は、サンプリング周期t(例えば4ミリ秒)ごとに仮想信号をサンプリングしてそのレベルを示すセンサ情報Aを生成する。
これに対し、本実施形態においては、メダル投入センサ60aに対する電源の供給と遮断とがCPU101によって交互に繰り返されるから、検出信号160aは、図7(B)に「実信号」として示すように、図7(A)の仮想信号の波形とは相違した波形となる。すなわち、投入偽装行為が実施されていないと仮定すれば、検出信号160aは、検知開始点に到達するまでの期間のうちメダル投入センサ60aに電源が供給される期間においてはハイレベルを維持するとともにメダル投入センサ60aに対する給電が停止される期間においてはローレベルを維持する(すなわち交互にハイレベルおよびローレベルとなる)。一方、検知開始点に到達すると検出信号160aはローレベルを維持する。
CPU101は、メダル投入センサ60aに電源が供給される期間内に検出信号160aを読み取ってそのレベルを示すセンサ情報Aを生成する。センサ情報Aがサンプリングされるタイミングにおいて発光素子601は発光しているから、CPU101が順次に生成するセンサ情報Aは、図7(A)の仮想信号をサンプリングした場合と同様となる。さらに本実施形態におけるCPU101は、メダル投入センサ60aに対する給電が停止される期間(すなわち発光素子601が消灯する期間)内に検出信号160aを読み取ってそのレベルを示す情報(以下「センサ情報B」という)を生成する。このようにセンサ情報Bがサンプリングされるタイミングにおいて発光素子601は消灯する(すなわちこれらのタイミングにおいて検出信号160はローレベルを維持する)から、投入偽装行為が実施されていないとすれば、CPU101が順次に生成するセンサ情報Bは「0」となる。
一方、図7(C)は、投入偽装行為が実施されているときの検出信号160aの波形を示す。この投入偽装行為は、メダル投入口10に対する投入偽装器具の挿入によって偽装用の発光素子(以下「偽発光素子」という)をメダル投入センサ60aの検出区間に設置したうえで偽発光素子を点滅させるという行為である。いま、図7(C)の検知開始点まで偽発光素子が点灯するともに検知開始点から偽発光素子が消灯した場合を想定する。図7(B)に示したように、メダル投入センサ60aに対する給電が停止している期間においては本来ならば(つまり投入偽装行為が実施されていなければ)センサ情報Bは「0」を示す。これに対し、投入偽装行為が実施されている場合にはメダル投入センサ60aに対する給電が停止している期間であってもセンサ情報Bは「1」を示す。そこで、本実施形態においては、メダル投入センサ60aに対する給電が停止している期間にサンプリングされたセンサ情報Bが「0」および「1」の何れであるかが判定され、センサ情報Bが「1」である場合に投入偽装行為と判定されるようになっている。
<E:スロットマシンの遊技方法>
図8は、本発明の一実施形態にかかるスロットマシン1の遊技方法のうちメダルの流れを示す説明図である。
(1)投入ベット処理
スロットマシン1での遊技は、遊技者がメダルMをメダル投入口10に投入(投入操作)することで始まる。この投入操作により、メダルの1枚目の投入で入賞ラインを1本(L1)選択して有効化され、2枚目の投入で入賞ラインをさらに2本(L2、L3)選択して有効化され、3枚目の投入で入賞ラインをさらに2本(L4、L5)選択して有効化される(投入ベット操作)。
(2)投入クレジット処理
遊技者がメダルMをさらに投入すると、メダルが50枚分までクレジットとして貯留装置に貯留される。貯留されたメダル枚数が50枚に到達した後に、遊技者がさらにメダルMを投入した場合は、このメダルMはメダル受皿40に戻される。
(3)貯留ベット処理
貯留装置にクレジットが貯留された状態においては、このクレジットを利用することによってもベットボタン11の押下のたびに入賞ラインを有効化することができる(貯留ベット操作)。この貯留ベット操作と投入ベット操作を合わせて単にベット操作と言う。
(4)配当クレジット処理
遊技者がスタートレバー12を押下することにより3つのリールR1〜R3の回転が開始され、遊技者がストップボタン13a〜13cを押下することにより、各ストップボタンに対応したリールR1〜R3が停止される。全てのリールR1〜R3が停止されたときに、予め定められた図柄組み合わせが有効化された入賞ライン上に揃うと入賞となり、図柄組み合わせ(役)ごとに定められた遊技価値が付与される。遊技価値としてメダルが配当として付与される場合は、メダルは、まず貯留装置にクレジットとして貯留される。
(5)配当払出処理
配当を付与する過程で、貯留されたメダル枚数が50枚に到達した場合は、メダル払出装置の駆動によって残りのメダルがメダル受皿40に払い出される。
(6)自動ベット処理
遊技の結果、再遊技賞の入賞となった場合は前ゲームと同じメダルの数が自動的にベットされる。
(7)返却払出処理
ベット操作により入賞ラインが有効化された後であって、遊技者がスタートレバー12を押下する前に、遊技者が精算ボタン14を押下することにより、メダル払出装置の駆動によって入賞ラインを有効化した分のメダルがメダル受皿40に払い出される。
(8)精算払出処理
貯留装置にメダルがクレジットとして貯留されている場合であって、遊技者がスタートレバー12を押下する前に、遊技者が精算ボタン14を押下することにより、貯留した分のメダルがメダル払出装置の駆動によってメダル受皿40に払い出される。なお、精算ボタン14を受付したときに、入賞ラインを有効化した分のメダルと貯留した分のメダルがある場合には、返却払出処理と精算払出処理を合わせて処理をする。
(9)貸出クレジット処理
スロットマシン1がメダル貸機等の遊技媒体貸機に接続されている場合には、遊技者が貸出ボタン15を押下した場合に、貸出分のメダルが貯留装置にクレジットとして貯留される。
(10)貸出払出処理
スロットマシン1がメダル貸機等の遊技媒体貸機に接続されている場合には、遊技者が貸出ボタン15を押下した場合に、貸出分のメダルがメダル払出装置の駆動によってメダル受皿40に払い出されるようにしてもよい。
<F:スロットマシンの全体動作>
次に、スロットマシン1の全体動作の詳細を説明する。スロットマシン1の電源が投入されると、CPU101は、所定の初期化処理を実行したうえで図9のフローチャートに示す処理を実行する。
<F−1:1ゲームの流れ>
図9は、1ゲームの流れの内容を示すフローチャートである。まずCPU101は、遊技者がスタートレバー12を操作したことを示すスタートレバー操作フラグがセットされているか判定し、スタートレバー操作フラグがセットされるまで待機する(S100)。ステップS100でスタートレバー操作フラグがセットさていると判定した場合には、続いて、ゲームを開始するためのメダル投入かベットボタン操作が行われたことを示すベット操作フラグがセットされているか判定し、ベット操作フラグがセットされていない場合は、ステップS100に戻る(S101)。なお、スタートレバー操作フラグやベット操作フラグは、後述するタイマ割込処理の中で遊技者の操作を検知してセットされる。ステップS100でベット操作フラグがセットさていると判定した場合には、ベット操作を禁止する(S102)。具体的には、メダルブロック信号161によりメダル選別器200のメダルブロックソレノイド61をOFFにし、規制ガイド板200bを基準壁200eから離間させて、メダルがメダル投入口10から投入された場合でもメダル受皿40に排出されるようにする。つまりメダル受付不能状態を実現する。また、ベット操作指示信号111a〜111cも受け付けないようにする。
ステップS103では、CPU101は、0000Hから3FFFHの範囲で10ナノ秒毎に順次インクリメントし約1.6ミリ秒で1巡回するカウンタ回路から、入出力ポート107を介して計数値を取得し乱数値とする。次にゲーム種別データを参照して、当ゲームの種類に応じた賞抽選テーブルを選択する(S104)。選択された賞抽選テーブルを使用して、取得した乱数値が賞抽選テーブル上の賞ごとに設定されたどの数値の範囲に属するかの判定を行い、その賞の当選フラグをセットする(S105)。次にステップS105で設定された当選フラグに基づき停止制御で参照する停止データテーブル群を選択する(S106)。
次にCPU101は、10ステップの加速期間を経て3つのリールR1〜R3を全て一定回転速度に到達させた後(S107)、ストップボタン13a〜13cの受け付けができることを知らせるために、ストップボタンに内蔵したLEDを点灯させる。停止操作指示信号113a〜113cを検出し、ストップボタンの操作があった場合は、ステップS106で選択した停止データテーブル群に基づき、ストップボタンの操作の位置と停止データテーブル群の停止データから停止させる図柄番号PNを決定し、全ての巻線相を同時に励磁する全相励磁によってブレーキ力を与えて、全相励磁を開始してから15ステップ相当分の惰性で回転して停止させるリール停止処理をそれぞれのリールに対して行う(S108)。リールR1〜R3の回転開始後、30秒経過しても停止操作が行われなかったリールに対しては自動的にリールを停止させる。
次にCPU101は、全てのリールが停止した場合、有効な入賞ライン上に役が成立して入賞したかを判定し(S109)、入賞している場合には役毎に設定した遊技価値を付与する。次にゲーム種別データを参照して、BBゲーム中またはRBゲーム中か否かを判定し(S110)、BBゲーム中またはRBゲーム中であると判定した場合には、BB・RBゲーム終了判定処理を行い(S111)、続いて当選フラグクリア処理を行う(S112)。ここでは、そのゲームで成立した当選フラグがフラグの持ち越しできる開始賞であれば、入賞した場合にだけ当選フラグをクリアし、入賞せずに取りこぼした場合には当選フラグをクリアせずそのままとする。一方そのゲームで成立した当選フラグがフラグの持ち越しできない開始賞または小役賞であれば、入賞または取りこぼしを問わずその当選フラグをクリアする。
さらにセットされているベット操作フラグをクリアする(S113)。続いてステップS102で行ったベット操作の禁止を解除し(S114)、メダルの投入またはベットボタン11の入力の受け付けを行えるようにする。メダルの受付可能状態にするには、具体的には、メダルブロック信号161によりメダル選別器200のメダルブロックソレノイド61をONにし、規制ガイド板200bを基準壁200eに接近させて、正規のメダルがメダル投入口10から投入された場合に傾斜メダル通路220に沿ってメダル投入センサ60a,60bへと転がるようにする。この後、次のゲームの開始に備えるため、ステップS100へ戻る。
<F−2:タイマ割込処理>
図2に示したクロック発生回路103(図2)は、4ミリ秒ごとにCPU101に対して割込信号INTRを出力する。CPU101は、この割込信号INTRを受け付けると、それまで実行していたプログラムを中断したうえで図10のタイマ割込処理を実行する。このタイマ割込処理は、操作スイッチ検知処理(S200)と検知処理(S300)とを含む。これらの処理が完了すると、CPU101は中断していたプログラムを再開する。
図11は、タイマ割込処理のうち操作スイッチ検知処理の内容を示すフローチャートである。この操作スイッチ検知処理においては、遊技者が操作スイッチを操作したか否かが順次に判定され、操作したと判定した場合は該当する操作フラグがセットされる。まず、CPU101は、ベットボタン信号111a〜111cを検知したか判定し(S201)、これらの信号を検知した場合はライン賭け処理を行い(S202)、ベット操作フラグをセットする(S203)。続いてCPU101は、スタートレバー信号112を検知したか判定し(S204)、この信号を検知した場合はスタートレバー操作フラグをセットする(S205)。同様に、CPU101は、左ストップボタン信号113aを検知した場合は(S206)左ストップボタン操作フラグをセットし(S207)、中ストップボタン信号113bを検知した場合は(S208)中ストップボタン操作フラグをセットし(S209)、右ストップボタン信号113cを検知した場合は(S210)右ストップボタン操作フラグをセットする(S211)。また、精算ボタン信号114を検知すると(S212)、CPU101は、精算ボタン操作フラグをセットする(S213)。
次に、図12は、タイマ割込処理のうち検知処理の内容を示すフローチャートである。この検知処理は次の6つの処理を含む。
第1処理:不正検知情報取得処理(ステップS310)
第2処理:メダル検知情報取得処理(ステップS320)
第3処理:メダル検知前判定処理(ステップS340)
第4処理:メダル検知後判定処理(ステップS350)
第5処理:正規メダル判定処理(ステップS370)
第6処理:不正判定処理(ステップS390)
これらの処理のうち第1処理および第6処理は投入偽装行為を検出するための処理(以下ではこれらの処理を総称して「不正検出処理」という)である。これに対し、第2処理〜第5処理はメダルの投入を検出するための処理(以下ではこれらの処理を総称して「メダル検出処理」という)である。
まずCPU101は、第1処理としての不正検知情報取得処理を行う(S310)。図13は、この処理の内容を示すフローチャートである。CPU101は、トランジスタ180をオフ状態に制御することによってメダル投入センサ60aへの給電を遮断する(S311)。そして、CPU101は、メダル投入センサ60aへの給電が停止された状態における検出信号160aをセンサ情報BとしてサンプリングしてRAM105に書き込む(S312)。すなわち、CPU101は、トランジスタ180をオフ状態に制御することによってメダル投入センサ60aへの電源を遮断し、これによって発光素子601を非発光状態に制御したときに検出部たるメダル投入センサ60aから出力されている検出信号160aを、センサ情報B(第2センサ情報)として記憶手段たるRAM105に書き込んで記憶させる。このセンサ情報Bは、投入偽装行為を検知するための情報である。
続いて、CPU101は、図12に示すように第2処理としてのメダル検知情報取得処理を行う(S320)。図14は、この処理の内容を示すフローチャートである。CPU101は、トランジスタ180をオン状態に制御することによってメダル投入センサ60aに電源を供給する(S321)。そして、CPU101は、メダル投入センサ60aに対する給電が維持された状態における検出信号160aをセンサ情報AとしてサンプリングしてRAM105に書き込む(S322)。すなわち、CPU101は、トランジスタ180をオン状態に制御することによってメダル投入センサ60aに電源を供給し、これによって発光素子601を非発光状態から発光状態に変化させたときに検出部たるメダル投入センサ60aから出力された検出信号160aを、センサ情報A(第1センサ情報)として記憶手段たるRAM105に書き込んで記憶させる。このセンサ情報Aは、遊技者によるメダルMの投入を検知するための情報である。
図12に示すように、続いてCPU101は、メダル検出中フラグを参照して、第3処理としてのメダル検知前判定処理(S340)を行うか、第4処理としてのメダル検知後判定処理(S350)を行うかを判定する(S330)。メダル検知前判定処理とは図6の検知開始点に関する処理であり、メダル検知後判定処理とは図6の検知終了点に関する処理である。メダル検出中フラグは、メダル検知前判定処理によってセットされてメダルの検出中であることを示すフラグである。ステップS330においてCPU101は、メダル検出中フラグがセットされていない場合にはメダル検知前判定処理に処理を移行し、メダル検出中フラグがセットされている場合にはメダル検知後判定処理に処理を移行する。
図15は、メダル検知前判定処理の内容を示すフローチャートである。同図に示すように、CPU101は、センサ情報Aが「0」であるか否かをチェックする(S341)。ここでセンサ情報Aが「0」であると判定した場合(すなわち発光素子601が発光している期間における検出信号160aが受光素子602の非受光状態を示すローレベルである場合)、CPU101は、メダル通過中フラグをセットしたうえで(S342)、センサONカウンタを「1」だけインクリメントする(S343)。次いで、CPU101は、センサONカウンタが「4」に達したか否かを判定する(S344)。ここでセンサONカウンタが「4」に達したと判定すると、CPU101は、メダル検出中フラグをセットする(S345)。このメダル検出中フラグは、メダルMの検出中(図6に「メダル検出中」と表記された期間)であることを示すフラグである。センサ情報Aが「0」となった場合に直ちにメダルの投入と判断しないのは、ノイズなどの要因によって検出信号160aが瞬間的にローレベルとなる場合があるからである。つまり、4ミリ秒ごとに実行されるタイマ割込処理のメダル検知前判定処理にて4回にわたって連続してセンサ情報Aが「0」である場合に初めてメダルの検出が確定する。一方、ステップS341でセンサ情報Aが「0」でないと判定した場合(すなわち発光素子601が発光している期間における検出信号160aが受光素子602の受光状態を示すハイレベルである場合)、CPU101はセンサONカウンタをクリアする(S346)。
なお、メダル検知前判定処理においてセンサ情報Aが「0」であると判定された場合にはステップS342でメダル通過中フラグがセットされる。したがって、ノイズなどの要因によって瞬間的に検出信号160aがローレベルとなる場合であってもメダル通過中フラグはセットされる。そこで、所定の期間にわたってメダル通過中フラグがセットされたままである場合にはメダル通過中フラグがクリアされる構成としてもよい。このメダル通過中フラグは不正判定処理の契機となるフラグであり、これがセットされる期間と現実にメダルMが検出区間を通過する期間とが一致している必要は必ずしもない。後述するようにメダルの通過中には不正判定処理が停止されるため、実際にメダルが通過する期間よりもマージンをとってメダル通過中フラグがセットされることが好ましい。
図12において、ステップS330でメダル検出中フラグがセットされていると判定した場合、CPU101は、第4処理たるメダル検知後判定処理を行う(S350)。図16は、このメダル検知後判定処理の内容を示すフローチャートである。CPU101は、センサ情報Aが「1」であるか否かをチェックする(S351)。ここでセンサ情報Aが「1」であると判定した場合(すなわち受光素子602が受光状態にある場合)、CPU101はセンサOFFカウンタを「1」だけインクリメントする(S352)。次いで、CPU101は、センサOFFカウンタが「4」に達したか否かを判定する(S353)。ここでセンサOFFカウンタが「4」に達したと判定すると、CPU101は、メダル検出完了フラグをセットする(S354)。このメダル検出完了フラグは、メダルMの検出が終了したこと(すなわちメダルMの検出区間の通過が確定したこと)を示すフラグである。センサ情報Aが「1」となった場合に直ちにメダルの検出の完了と判断しないのは、メダル検知前判定処理と同様に、ノイズなどの要因による検出信号160aの変動の影響を排除するためである。つまり、4ミリ秒ごとに実行されるタイマ割込処理のメダル検知後判定処理にて4回にわたって連続してセンサ情報Aが「1」である場合に初めてメダルMの検出の完了(つまりメダルMの通過)が確定する。一方、ステップS351でセンサ情報Aが「1」でないと判定した場合(すなわち発光素子601が発光している期間における検出信号160が受光素子602の非受光状態を示すローレベルである場合)、CPU101はセンサOFFカウンタをクリアする(S355)。
図15のメダル検知前判定処理または図16のメダル検知後判定処理が完了すると、CPU101は、図12に示すようにメダル検出完了フラグがセットされているか否かを判定する(S360)。メダル検出完了フラグのセットはメダルMが検出されたことを意味している。このメダル検出フラグがセットされているとステップS360で判定すると、CPU101は、第5処理たる正規メダル判定処理を実行する(S370)。図17は、正規メダル判定処理の内容を示すフローチャートである。この処理を開始すると、CPU101は、メダル検知前判定処理やメダル検知後判定処理にて使用したフラグやカウンタをクリア(初期化)する。より具体的には、CPU101は、メダル検出完了フラグとメダル検出中フラグとメダル通過中フラグとをクリアし(S371)、センサONカウンタおよびセンサOFFカウンタをゼロに初期化する(S372)。
続いてCPU101は、メダル投入枚数カウンタの数値Cmを「1」だけインクリメントする(S373)。次に、CPU101は、数値Cmが最大ベット枚数(例えば3)を越えたか否か判定する(S374)。最大ベット枚数を越えていないと判定した場合、CPU101はライン賭け処理を行う(S375)。ライン賭け処理では、メダルが1枚投入された場合には入賞ラインL1を有効化してこれに対応した入賞ライン表示器21を点灯させ、メダルが2枚投入された場合には入賞ラインL1に加えて入賞ラインL2およびL3を有効化してこれらに対応した入賞ライン表示器21を点灯させ、メダルが3枚投入された場合には入賞ラインL1〜L3に加えて入賞ラインL4およびL5を有効化してこれらに対応した入賞ライン表示器21を点灯させる。この後、CPU101は、ベット操作(この場合、投入ベット操作)が完了したことを示すベット操作フラグをセットし(S377)、当処理を終了させる。さらに、ステップS374でメダル投入枚数が最大ベット枚数(例えば3)を越えたと判定した場合には、クレジット加算処理を実行したうえで(S377)、図17の正規メダル判定処理を終了する。クレジット加算処理では、貯留装置にメダルが1枚加算されたことが記憶される。
図12に示すように、ステップS360においてメダル検出完了フラグがセットされていないと判定した場合または図17の正規メダル判定処理が完了した場合、CPU101は、メダル通過中フラグがセットされているか否かを判定する(S380)。ここでメダル通過中フラグがセットされていないと判定すると、CPU101は第6処理としての不正判定処理を実行する(S390)。
図18は、この不正判定処理の内容を示すフローチャートである。同図に示すように、CPU101は、今回のタイマ割込処理のステップS320にてRAM105に格納したセンサ情報Aが「1」であるか否かを判定する(S391)。ここで、センサ情報Aが「0」である場合、すなわち発光素子601が発光する期間における検出信号160aが受光素子602の非受光状態を示すローレベルである場合には、検出信号160がローレベルとなった要因が、メダルMが通過したためなのか投入偽装行為に際して偽発光素子が消灯したためなのかを確定することができない。そこで、センサ情報Aが「0」である場合、CPU101は、投入偽装行為を検出するための処理(S392およびS395)を実行することなく図18の不正判定処理を終了する。これに対し、センサ情報Aが「1」である場合(すなわち受光素子602が受光状態にある場合)、CPU101は投入偽装行為を検出するための処理(S392およびS395)を実行する。このように本実施形態においては、受光素子602が非受光状態にある場合には投入偽装行為を検出する処理(S392)を実行せず、受光素子602が受光状態にある場合に限って投入偽装行為を検出する処理(S392)を実行するから、受光状態および非受光状態の如何に拘わらずステップS392の処理が実行される構成と比較して、処理の負荷を軽減しながら投入偽装行為の検出の精度を向上させることができる。
ステップS392において、CPU101は、今回のタイマ割込処理のステップS310にて取得したセンサ情報BをRAM105から読み出し、このセンサ情報Bが「1」であるか否かを判定する。センサ情報Bは、メダル投入センサ60aへの給電を遮断した状態(すなわち発光素子601が非発光状態にある状態)で検出信号160aを読み取ったものであるから、投入偽装行為が実行されていない場合には「0」となる。これに対し、受光素子602の近傍に配置された偽発光素子が点灯している場合(すなわち投入偽装行為が実行されている場合)にセンサ情報Bは「1」となる。そこで、CPU101は、ステップS392にてセンサ情報Bが「1」であると判定した場合には不正であると判断してエラー報知を実行し(ステップ395)、センサ情報Bが本来の「0」であると判定した場合にはステップS395を経ずに図12の検知処理を終了する。エラー報知は、例えば警告音や警告画像の出力、あるいはスロットマシン1の動作の強制的な停止といった処理を含む。
以上に説明したように、本実施形態においては、発光素子601が間欠的に発光するから、発光素子601が非発光状態にあるときの検出信号160aのレベル(センサ情報B)に基づいて投入偽装行為を有効に検出することができる。
さらに、本実施形態においては、メダル投入センサ60aが出力する検出信号160aに基づいて投入偽装行為が検出されるから、メダルMの検出のために従来から利用されていたひとつのメダル投入センサ60aを投入偽装行為の検出のために兼用することができる。したがって、例えば投入偽装行為の検出のための機器がメダル投入センサ60aとは別個に設置される構成と比較してスロットマシン1の構成を簡素化することが可能である。
また、本実施形態のようにメダルMを検出するメダル投入センサ60aが投入偽装行為の検出のために兼用される構成によれば、メダルMを検出するメダル投入センサ60aと投入偽装行為の検出のためのセンサとが別個に設置された構成と比較して、投入偽装行為の発覚を回避することが困難になるという利点がある。この点について詳述すると以下の通りである。
いま、投入偽装行為を検出するためのセンサ(以下「不正検出用センサ」という)が、メダルMを検出するメダル投入センサ60aから独立して設置された構成を想定する。この構成における不正検出用センサは、例えば傾斜メダル通路220を挟んで対向するように設置された発光素子と受光素子とを含む。この構成において投入偽装器具がメダル投入口10に挿入されている場合には、発光素子からの出射光が投入偽装器具によって遮蔽されて受光素子に到達しない。したがって、受光素子の非受光状態が所定の時間(例えばメダルMが通過する時間よりも充分に長い時間)にわたって継続する場合には投入偽装器具の挿入を検出する可能である。しかしながら、この構成においては、例えば投入偽装器具のうち不正検出用センサの受光素子と発光素子との間に介在する部位を切除することによって、不正検出用センサの発光素子から受光素子への光の進行を阻害せずに偽発光素子をメダル投入センサ60aの受光素子602の近傍に進入させることが可能である。そして、この場合には投入偽装行為の検出が困難となる。これに対し、本実施形態においてはひとつのメダル投入センサ60aがメダルMの検出と投入偽装行為の検出とに兼用されるから、メダルMの検出を偽装しながら投入偽装行為の発覚を回避することは極めて困難である。
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態においては、1回のタイマ割込処理における検知処理のなかでメダル検出処理および不正検出処理の双方が実行される構成を例示した。これに対し、本実施形態においては、タイマ割込処理ごとにメダル検出処理と不正検出処理とが交互に実行される。すなわち、1回のタイマ割込処理における検知処理にて実行されるのはメダル検出処理および不正検出処理の一方のみである。
なお、本実施形態に係るスロットマシン1の機械的ないし電気的な構成は第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態のうち第1実施形態と同様の要素については共通の符号を付してその説明を省略する。本実施形態のスロットマシン1で実行される1ゲームの流れは図9と同様であるが、タイマ割込処理のうち図12の検知処理(図10のステップS300)の内容が図19の処理に置き換えられる。図19のうち図12と同様の処理には共通の符号が付されている。
図19に示すように、検知処理を開始すると、CPU101はまず、割込発生カウンタを「1」だけインクリメントする(S301)。この割込発生カウンタは割込信号INTRの発生のたびに「1」ずつ増加していく。ただし、割込発生カウンタは奇遇のみが参酌され、その数値の大小に意味はない。すなわち、割込発生カウンタが偶数である場合には不正検出処理が実行される一方、この数値が奇数である場合にはメダル検出処理が実行される(S302)。したがって、あるタイマ割込処理の検知処理でメダル検出処理が実行された場合には次回のタイマ割込処理の検知処理では不正検出処理が実行され、さらにその直後のタイマ割込処理の検知処理ではメダル検出処理が実行されるといった具合に、タイマ割込のたびにメダル検出処理と不正検出処理とが交互に実行される。
メダル検出処理を実行する場合(割込発生カウンタが奇数である場合)、CPU101は、メダル検知情報取得処理(S320)を実行したうえで、メダル検出中フラグがセットされているか否かを判定する(S330)。そして、CPU101は、メダル検出中フラグがセットされている場合には図16のメダル検知後判定処理を実行し(S350)、メダル検出中フラグがセットされていない場合には図15のメダル検知前判定処理を実行する(S340)。これらの処理が完了すると、CPU101は、メダル検出完了フラグがセットされているか否かを判定し(S360)、セットされている場合に限って正規メダル判定処理を実行する(S370)。
一方、不正検出処理を実行する場合(割込発生カウンタが偶数である場合)、CPU101はまず、図13の不正検知情報取得処理を行う(S310)。続いてCPU101は、メダル通過中フラグがセットされているかを判定し(S380)、セットされていないと判定した場合には図18の不正判定処理を行う(S390)。
本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が奏される。加えて、本実施形態においては、タイマ割込のたびにメダル検出処理および不正検出処理の一方のみが実行されるから、タイマ割込のたびに双方の処理が実行される第1実施形態と比較してCPU101による処理の負荷を軽減することができる。以上の説明においては特に言及していないが、メダル検出処理は、2個のメダル投入センサ60からの検出信号160に基づいてメダルMの進行の方向や速度を特定する処理を含み得る。タイマ割込に際してメダル検出処理および不正検出処理の一方のみを実行すれば足りる本実施形態は、このようにメダル検出処理に際して多様な処理が要求される場合に特に有効である。
<3.第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態においては、1回のタイマ割込処理における検知処理のなかでメダル検出処理および不正検出処理の双方が実行される構成を例示した。これに対し、本実施形態においては、メダルの投入が許容される期間においてはタイマ割込ごとにメダル検出処理が実行され、メダルの投入が禁止される期間においてはタイマ割込ごとに不正検出処理が実行される。すなわち、第2実施形態と同様に、1回のタイマ割込処理における検知処理にて実行されるのはメダル検出処理および不正検出処理の一方のみである。
なお、本実施形態に係るスロットマシン1の機械的ないし電気的な構成は第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態のうち第1実施形態と同様の要素については共通の符号を付してその説明を省略する。本実施形態のスロットマシン1で実行される1ゲームの流れは図9と同様であるが、タイマ割込処理のうち図12の検知処理の内容が図20の処理に置き換えられる。なお、図20のうち図12と同様の処理には共通の符号が付されている。
図20に示すように、検知処理を開始すると、CPU101は、ベット操作が禁止されているか否か(すなわちメダル受付不能状態にあるか否か)を判定する(S303)。そして、CPU101は、ベット操作が禁止されていると判定した場合(メダル受付不能状態にある場合)には不正検出処理を実行し、ベット操作が禁止されていない場合(メダル受付可能状態にある場合)にはメダル検出処理を実行する。
メダル検出処理を実行する場合、CPU101は、メダル検知情報取得処理(S320)を実行したうえで、メダル検出中フラグがセットされているか否かを判定する(S330)。そして、CPU101は、メダル検出中フラグがセットされている場合には図16のメダル検知後判定処理を実行し(S350)、メダル検出中フラグがセットされていない場合には図15のメダル検知前判定処理を実行する(S340)。これらの処理が完了すると、CPU101は、メダル検出完了フラグがセットされているか否かを判定し(S360)、セットされている場合に限って正規メダル判定処理を実行する(S370)。一方、不正検出処理を実行する場合、CPU101は、図13の不正検知情報取得処理を行い(S310)、続いて図18の不正判定処理を行う(S390)。
以上のように、本実施形態においても、タイマ割込のたびにメダル検出処理および不正検出処理の一方のみが実行されるから、第2実施形態と同様の効果が奏される。
<4.第1実施形態〜第3実施形態のまとめ>
図21は、メダル検出処理および不正検出処理の各々がタイマ割込処理のなかで実行されるタイミングを各実施形態ごとに模式的に示すタイミングチャートである。なお、同図においては、メダル検出処理が「A処理」と表記され、不正検出処理が「B処理」と表記されている。
図21(A)に示すように、第1実施形態においては、割込信号INTRが発生するたびに不正検出処理およびメダル検出処理の双方が実行される。これに対し、第2実施形態においては、図21(B)に示すように、割込信号INTRの発生のたびに不正検出処理とメダル検出処理とが交互に実行される。また、第3実施形態においては、図21(C)に示すように、メダル受付可能状態にある場合にはメダル検出処理が実行され、メダル受付不能状態にある場合には不正検出処理が実行される。何れの実施形態においても、メダル検出処理に利用されるセンサ情報Aを取得する時点ではメダル投入センサ60aに電源が供給され、不正検出処理に利用されるセンサ情報Bを取得する時点ではメダル投入センサ60aに対する給電が停止される。
<5.変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)各実施形態においては、センサ情報Bが「1」である場合(すなわち、発光素子601が非発光状態にあるときの検出信号160が受光素子602の受光状態を示す場合)に直ちに不正と判定する構成を例示したが、センサ情報Bが連続して「1」となったタイマ割込処理の回数を計数し、この計数値が所定値に達した場合に不正と判定する構成としてもよい。この構成においては、各実施形態における図18の不正判定処理が図22の処理に置き換えられる。なお、図22のうち図18と同様の処理には共通の符号を付してその詳細な説明を省略する。
CPU101はまず、センサ情報Aが「1」であるか否かを判定する(S391)。ここでセンサ情報Aが「0」であると判定した場合には、第1実施形態と同様に以後の処理を実行することなく図22の不正判定処理を終了する。これに対し、センサ情報Aが「1」であると判定した場合、CPU101は、続いてセンサ情報Bが「1」であるか否かを判定する(S392)。ここでセンサ情報Bが「1」であると判定した場合(すなわち、発光素子601の発光ではない事情によって受光素子602が受光状態にある場合)、CPU101はエラー発生カウンタを「1」だけインクリメントする(S393)。次に、CPU101は、エラー発生カウンタが「10」を超えたか否かを判定し(S394)、「10」を超えている場合に限ってエラー報知を行う(S395)。
検出信号160aはノイズなどの外的な要因によって瞬間的に変動し得るから、実際には投入偽装行為が実行されていなくてもセンサ情報Bが偶発的に「1」となる場合がある。本変形例においては、センサ情報Bが連続して「1」となった場合に初めて不正と判断してエラー報知を実行するから、投入偽装行為の誤検出の可能性を低減することができる。なお、本変形例のようにセンサ情報Bが「1」となった回数をカウントする構成においては、ノイズなどの要因に起因してエラー発生カウンタが加算されるから、所定のタイミングで適宜にエラー発生カウンタをクリアする必要がある。例えば、スタートレバー12や精算ボタン14を操作したタイミングでエラー発生カウンタがクリアされる。
(2)各実施形態においては、メダル投入センサ60に対する電源の供給および停止がCPU101によって制御される構成を例示したが、この制御はハードウェア回路によって実現されてもよい。例えば、所定の周期でハイレベルおよびローレベルの一方から他方に遷移するタイミング信号をハードウェア回路によって発生し、このタイミング信号の供給によってトランジスタ180を周期的にオン状態またはオフ状態に制御する構成としてもよい。この構成において、CPU101は、タイミング信号に同期して発生する割込信号を契機として、トランジスタ180がオン状態にあるときの検出信号160aをセンサ情報Aとして読み取り、トランジスタ180がオフ状態にあるときの検出信号160aをセンサ情報Bとして読み取る。この構成によっても各実施形態と同様の効果が奏される。
(3)各実施形態においては、発光素子601と受光素子602とが傾斜メダル通路220を挟んで対向する透過型の光学センサがメダル投入センサ60として採用された構成を例示したが、反射型の光学センサがメダル投入センサ60として採用された構成としてもよい。図23は、反射型のメダル投入センサ60の構成を示す概略図である。
同図に示すように、本変形例のメダル投入センサ60は、傾斜メダル通路220に沿って相互に隣接する発光素子601および受光素子602(さらには受光素子602から出力される信号を増幅する増幅器など(図示略))を含む。発光素子601の発光面と受光素子602の受光面とは傾斜メダル通路220を通過するメダルMに対向する。図23(A)に示すようにメダルMが検出区間に存在しない場合、発光素子601からの出射光は受光素子602に到達することなく傾斜メダル通路220を横断する。これに対し、図23(B)に示すようにメダルMが検出区間を通過している場合には発光素子601からの出射光がメダルMの表面で反射して受光素子602の受光面に到達する。したがって、電源が供給される期間にメダル投入センサ60から出力される検出信号160は、各実施形態とは逆に、メダルMが通過しているときにハイレベルとなってメダルMが存在しない場合にローレベルとなる。
この構成における検知処理(例えば図12)では、センサ情報Aが「1」である場合にメダルMの投入が検出される。一方、メダル投入センサ60に対する電源の遮断時に、投入偽装行為が実施されていない場合には受光素子602が非受光状態となり、投入偽装行為が実施されている場合には受光素子602が受光状態となる点は以上の各実施形態と同様である。したがって、不正判定処理(例えば図18)において、CPU101は、各実施形態と同様に、センサ情報Bが「1」であれば不正と判断してエラー報知(S395)を実行し、センサ情報Bが「0」であれば不正なしと判断する。
なお、透過型のメダル投入センサ60aを利用した各実施形態の構成で、メダル投入センサ60aに対する電源の供給時における検出信号160aがローレベルである場合(センサ情報Aが「0」である場合)には、その直前に取得したセンサ情報Bに応じた不正の判定を実施しない構成とした。検出信号160aのローレベルへの遷移がメダルMの通過および投入偽装行為の何れに起因するのかを確定できないからである。本変形例においても同様の趣旨から、メダル投入センサ60aに電源が供給されているときの検出信号160aのレベルに応じて不正の判定の可否を切り替えるようにしてもよい。すなわち、発光期間内にメダル投入センサ60aから出力された検出信号160aが非受光状態に対応したローレベルを示す場合(センサ情報Aが「0」である場合)、CPU101は、その直前の非発光期間内における検出信号160a(センサ情報B)に基づいて不正の有無を判定する。これに対し、発光期間における検出信号160aが受光状態に対応したハイレベルを示す場合(センサ情報Aが「1」である場合)、CPU101は、その直前の非発光期間における検出信号160aに応じた不正の有無の判定を実行しない。この構成によっても各実施形態と同様の効果が奏される。
(4)各実施形態においては、下流側のメダル投入センサ60bがメダルMの進行の方向や速度を検出するために利用される構成を例示したが、メダル投入センサ60aおよびメダル投入センサ60bの双方を投入偽装行為の検出に利用してもよい。例えば、各実施形態において検出信号160aについて説明した処理を、メダル投入センサ60bから出力される検出信号160bについても実行し、検出信号160aおよび検出信号160bの何れか一方に基づいて不正が検出された場合にはエラー報知(S395)が実行される構成としてもよい。