JP2007294270A - 電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池から排出される電解液が上下多段に配設している電池モジュールをショートさせるのを確実に阻止する。
【解決手段】電源装置は、ホルダーケース3に複数本の電池モジュール2を並べた電池ユニット1を上下多段に積層している。電源装置は、上下の電池ユニット1の電池モジュール2の間で、かつ上段の電池モジュール2の端部に沿って隔離部材6を配設している。隔離部材6は、上方開口の受液槽10とすると共に、裏面に、ゴム状弾性体からなる弾性シート11を付着している。弾性シート11は、隔離部材6の外周縁から突出する突出部分11aをホルダーケース3との間の隙間を閉塞する突出パッキン15としている。電源装置は、隔離部材6でもって、上段の電池モジュール2から排出される電解液を受け取って貯溜し、又は所定の位置から排出し、電解液が上下の電池モジュール2を短絡させるのを阻止している。
【選択図】図6

Description

本発明は、主として自動車に搭載されて自動車を走行させるモーターを駆動する電源装置に関し、特に電池の液漏れによる弊害を防止できる電源装置に関する。
多数の電池モジュールを直列に接続している電源装置は、電池が異常な状態で充放電されると安全弁が開弁して電解液を排出する。たとえば、車両用の電源装置は、ひとつの電池から10cc以上の電解液を排出することがある。多量の電解液は、隣接する電池モジュールの出力端子を短絡することがある。とくに、上下多段に電池モジュールを配設している電源装置は、上段の電池モジュールから漏れた電解液が上下の電池モジュールの出力端子をショートさせることがある。この状態で電池モジュールをショートさせると、極めて大きな電流が流れて、電池を劣化させる。また、漏れた電解液は電気部品を腐食させる等の弊害もある。
電解液の弊害を防止する技術は開発されている。(特許文献1ないし3参照)
特許文献1は、電池ケースに電池から漏れた電解液の反応阻止剤を充填するカプセルを内蔵している。この構造によると、反応阻止剤を充填するカプセルの製作コストが高くなる。とくに、多量に排出される電解液の反応を阻止するには、多量のカプセルを充填する必要があって、ケースが大きくなる欠点もある。
特許文献2と3は、ケース内に電解液吸収剤を収納している。この構造は、小さい電池から排出される少量の電解液を吸収できる。しかしながら、たとえば車両用の電源装置等に使用される大容量の電池から排出される多量の電解液を速やかに吸収できない。このため、大きな電池から多量の電解液が排出されると、電解液が出力端子をショートさせる等の弊害を阻止できない。
特開平10−16689号公報 特開平10−241646号公報 特開2001−351588号公報
以上のように、電解液を吸収し、あるいは反応阻止剤で酸化還元反応させて過反応を阻止する構造では、一時に多量に排出される電解液による出力端子のショートを有効には防止できない。とくに、上下多段に電池ユニットを配設している電源装置において、上下の電池モジュールのショートを確実には阻止できない。
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、電池から排出される電解液が上下多段に配設している電池モジュールをショートさせるのを確実に阻止して、さらに電解液が電気部品等を腐食させる弊害をも防止できる電源装置を提供することにある。
本発明の電源装置は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
電源装置は、複数本の電池モジュール2を同一水平面に平行な姿勢でホルダーケース3に並べている電池ユニット1を上下多段に積層して配置している。各々の電池ユニット1は、ホルダーケース3の定位置に配置している電池モジュール2の端部の出力端子5にバスバーを連結して、バスバーでもって各々の電池モジュール2を接続している。さらに、電源装置は、上段電池ユニット1の電池モジュール2と、下段電池ユニット1の電池モジュール2の間に位置し、かつ上段電池ユニット1の電池モジュール2の端部に沿って、隔離部材6を配設している。隔離部材6は、上段電池ユニット1の電池モジュール2の端部から排出される電解液を流下させて受け取ることができる上方開口の受液槽10としている。さらに、隔離部材6の裏面には、ゴム状弾性体からなる弾性シート11を付着している。この弾性シート11は、隔離部材6の外周縁から突出する外形であって、隔離部材6からの突出部分11aをホルダーケース3との間の隙間を閉塞する突出パッキン15としている。電源装置は、この隔離部材6でもって、上段の電池ユニット1の電池モジュール2から排出される電解液を貯溜し、又は受け取った電解液を所定の位置から排出し、電解液が上下の電池モジュール2を短絡させるのを阻止している。
本明細書において、隔離部材は、電池モジュールから排出される電解液を蓄える受液槽を設ける面を表面として、その反対側を裏面とする。
本発明の電源装置は、弾性シート11を、同じ厚さのゴム状弾性体からなるシートを隔離部材6の外形よりも大きな形状に裁断したものとすることができる。
本発明の電源装置は、隔離部材6の周囲に周壁8を設けて受液槽10を形成することができる。さらに、本発明の電源装置は、弾性シート11の隔離部材6からの突出部分11aを、周壁8の外周面に沿って折曲して突出パッキン15とすることができる。
本発明の電源装置は、隔離部材6を感電防止カバーとして、この感電防止カバーを電解液の受液槽10に併用することができる。また、本発明の電源装置は、隔離部材6を、電池モジュール2を冷却する空気の流れを調整する整流壁として、この整流壁を電解液の受液槽10に併用することができる。
本発明の電源装置は、弾性シート11を、独立気泡を有する軟質の合成樹脂発泡体とすることができる。
本発明の電源装置は、電池から排出される電解液が上下多段に配設している電池モジュールをショートさせるのを確実に阻止できる特長がある。それは、本発明の電源装置が、上下の電池ユニットに配置される電池モジュールの間に位置し、かつ上段電池ユニットの電池モジュールの端部に沿って隔離部材を配設しており、この隔離部材を、上段電池ユニットの電池モジュールの端部から排出される電解液を流下させて受け取ることができる上方開口の受液槽とすると共に、この隔離部材の裏面には、ゴム状弾性体からなる弾性シートを付着し、この弾性シートを隔離部材の外周縁から突出する外形として、隔離部材からの突出部分をホルダーケースとの間の隙間を閉塞する突出パッキンとしているからである。この構造の電源装置は、上段の電池ユニットの電池モジュールから排出される電解液を隔離部材の受液槽に貯溜し、あるいは受け取った電解液を所定の位置から排出するので、電解液が上下の電池モジュールを短絡させるのを有効に阻止できる。とくに、本発明の電源装置は、隔離部材の裏面に付着した弾性シートの外周部であって、隔離部材の外周縁から突出する突出部分を突出パッキンとして、隔離部材とホルダーケースとの間の隙間を閉塞するので、隔離部材の外周とホルダーケースとの間の隙間から電解液が流下するのを確実に防止して、上下の電池モジュールが短絡するのを確実に阻止できる。
さらに、本発明の電源装置は、上段の電池モジュールから排出される電解液を隔離部材の受液槽で受け取り、また、この電解液が隔離部材とホルダーケースとの間の隙間から流下するのを突出パッキンで確実に阻止するので、排出される電解液が電気部品等に接触してこれらの部品を腐食させるのを確実に阻止できる特長もある。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置を例示するものであって、本発明は電源装置を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図1の分解斜視図は、車両に搭載されて車両を走行させるモーターを駆動するのに使用される電源装置を示す。この図に示す電源装置は、上段の電池ユニット1と下段の電池ユニット1を、上下多段に積層している。上下の電池ユニット1は、ネジ(図示せず)等で互いに定位置に連結されている。各々の電池ユニット1は、複数本の電池モジュール2を同一水平面に平行な姿勢でホルダーケース3に並べている。
ホルダーケース3はプラスチック製で、図2に示すように、上下のホルダー3Aに分割して成形している。上下のホルダー3Aは、対向面に電池モジュール2を嵌着して定位置に保持する嵌着部(図示せず)を設けている。上下のホルダー3Aは、嵌着部に電池モジュール2を配置する状態で連結されて、電池モジュール2を定位置に保持する。ホルダーケース3は、内部に収納する電池モジュール2を冷却するために上下に貫通して空気孔を開口している。
電池モジュール2は、複数の素電池4を直列に直線状に連結している。図2の電池モジュール2は5個の素電池4を直列に接続している。素電池4は、円筒型電池の二次電池である。ただ、電池モジュールは、4個以下、又は6個以上の素電池を直列に接続することもできる。また、素電池を角型電池とすることもできる。二次電池である素電池4は、ニッケル−水素電池である。ただ、素電池は、リチウムイオン二次電池やニッケル−カドミウム電池等の充電できる全ての電池を使用することができる。電池モジュール2は、素電池4の間に接続体(図示せず)を配設し、この接続体を介して直列に直線状に連結される。電池モジュール2は、一方の素電池4の封口板と他方の素電池4の外装缶とを接続体で接続している。接続体は、金属板をプレス成形したもので、対向して配設される素電池4の電池端面に溶接して接続されて、素電池4を直列に電気接続する。
各々の電池モジュール2は、図2と図3に示すように、端部に出力端子5を溶接して固定している。凸部電極側にはプラス側の出力端子5Aを、その反対側にある外装缶の底部にはナイマス側の出力端子5Bを固定している。電池モジュール2は、図に示すように、隣接する電池モジュール2の正負の出力端子5を交互に逆とする姿勢で、平行に配設される。この配列の電池モジュール2は、隣接する電池モジュール2の出力端子5をバスバー(図示せず)で連結して、直列に接続できる。各々の電池ユニット1は、出力端子5にバスバーを連結して、ホルダーケース3に収納している全ての電池モジュール2を直列に接続している。また、上下に積層される電池ユニット1も直列に接続される。
各々の素電池4は、凸部電極側の封口板に安全弁を内蔵している。安全弁は異常な状態で充放電されて内圧が異常に高くなると開弁する。安全弁が開弁すると、素電池4内のガスや電解液が排出される。図の電池モジュール2は、複数の素電池4を直線状に連結して、その表面を熱収縮チューブ等の絶縁フィルム(図示せず)で被覆している。絶縁フィルムは電解液を通過させない。このため、絶縁フィルム内に排出される電解液は、素電池4と絶縁フィルムとの間に蓄えられ、あるいは絶縁フィルムの端部から外部に排出される。
図3の電池モジュール2は、凸部電極4Aにプラス側の出力端子5Aを固定しているプラス側の端部に連結している素電池4の安全弁から排出される電解液を、絶縁フィルムとの間に排出することなく外部に排出する。しかしながら、他の4個の素電池4、すなわち凸部電極を隣の素電池4の外装缶の底部に連結している素電池4から排出される電解液は、絶縁フィルムの内側に排出される。絶縁フィルムの内側に排出される電解液は、絶縁フィルムと素電池4との隙間に蓄えられるので、全てが電池モジュール2の外部には排出されない。このため、絶縁フィルムの内側に排出される電解液は、絶縁フィルムでもって一時に多量に排出されるのが防止される。しかしながら、出力端子5を固定している凸部電極4Aの安全弁から排出される電解液は、絶縁フィルムの内側に排出されず、直接に外部に排出されるので、一時に多量に排出される。
電池モジュール2の端部から多量の電解液が一時に排出されると、これが流下して、上下の電池モジュール2をショートさせるおそれがある。上下の電池モジュール2は相当な電位差があるので、ここでショートするとショート電流が流れる。ショート電流は、電池モジュール2に電気的なダメージを与えるばかりでなく、ショート経路に位置するセルのみ充電深度を低下させ、パック内の充電深度のばらつきを生じさせる。とくに、上下多段に電池ユニット1を積層している電源装置は、各々の電池ユニット1において、全ての電池モジュール2を直列に接続し、さらに、上下の電池ユニット1を直列に接続している。このため、上下の電池モジュール2間の電位差は、数百Vと極めて高くなる。
電解液のショートを防止するために隔離部材6が利用される。隔離部材6は、上下の電池ユニット1を積層する電源装置においては、感電防止カバーとして設けられ、あるいは、上下に電池ユニット1に収納している電池モジュール2を冷却するために強制送風される空気の流れを調整する整流壁として設けられる。
感電防止カバーの隔離部材6は、電池モジュール2を内蔵する上下の電池ユニット1を連結して組み立て、さらに、所定の位置に回路基板や他の部品をセットするときに、隣の電池モジュール2の出力端子5やバスバーに金属が接触してショートするのを防止するために設けられる。すなわち、組み立て時に、誤ってネジ等の金属部品を隙間に落下させ、あるいはドライバー等の金属工具がバスバーや出力端子5に接触して、隣の電池モジュール2をショートさせるのを防止するためである。とくに、各々の電池ユニット1は、互いに接近して平行に多数の電池モジュール2を収納するので、電池モジュール2を直列に接続するバスバーや出力端子5は互いに接近している。このため、隣に配設されるバスバーや出力端子5に金属が接触することがある。隣の出力端子5やバスバーがショートすると、2本の電池モジュール2がショートされて大電流で放電される。このため、2本の電池モジュール2がダメージを受けて故障することがあり、また高電圧な出力端子5に接触して作業の安全性も確保されなくなることがある。この弊害を防止するために、上下の電池ユニット1の間に感電防止カバーを配設して、下段に積層される電池ユニット1の出力端子5やバスバーに金属が接触しない状態に保護している。
整流壁の隔離部材6は、強制送風される空気の流れをコントロールするために設けられる。上下に電池ユニット1を積層する電源装置は、上下の電池ユニット1に強制送風して電池モジュール2を冷却している。さらに、電源装置には回路基板等も配設される。この構造の電源装置は、強制送風する空気の流れをコントロールするために、上下の電池ユニット1の間に整流壁を設けて、ここを流れる空気をコントロールしている。
電源装置は、上下の電池ユニット1の間に配設している隔離部材6を、上段の電池モジュール2から排出される電解液の受液槽10に併用する。隔離部材6の受液槽10は、上段の電池モジュール2から排出される電解液が下段の電池モジュール2に流れて、上下の電池モジュール2をショートさせるのを阻止する。図2と図4に示す隔離部材6は、底板7の周囲に周壁8を設けて受液槽10としている。
隔離部材6は、図1ないし図3に示すように、上段電池ユニット1の電池モジュール2と、下段電池ユニット1の電池モジュール2の間に位置し、かつ上段電池ユニット1の電池モジュール2の端部に沿って配設される。さらに、この隔離部材6は、上段電池ユニット1の電池モジュール2の端部から排出されて流下する電解液を受け取ることができる上方開口の受液槽10としている。隔離部材6の受液槽10は、上段の電池ユニット1の電池モジュール2から排出される電解液を貯溜し、あるいは又は受け取った電解液を所定の位置に移送、排出して、電解液が上下の電池モジュール2を短絡させるのを阻止する。
図に示す隔離部材6からなる受液槽10は、上段の電池モジュール2から排出される電解液を蓄えて、下段に流下させない構造、すなわち貯溜槽としている。この受液槽10は、電池モジュール2から排出される電解液を蓄える内容積としている。電源装置は、現実の使用状態において、複数の素電池が一緒に電解液を排出することはない。たとえば、他の素電池に比較して劣化の大きい特定の素電池が電解液を排出する。車両用に使用される定格容量を5.6〜6.5Ahで、大きさを単1サイズとするニッケル水素電池からなる素電池を直列に接続している電池モジュールでは、ひとつの素電池から排出される電解液の最大量は、約10ccである。このため、図に示すように、電解液を蓄えるタイプの受液槽10は、電解液の収納容量をひとつの素電池から排出される電解液の最大量よりも大きくして、電池モジュール2から排出される電解液を漏らさず貯溜できる。
受液槽に併用される隔離部材は、図示しないが、周囲に周壁を設けた底板の端部に電解液の排出口を設け、この排出口に向かって底板の上面を下り勾配に傾斜させて、上段の電池モジュールから排出される電解液を排出口から排出することもできる。この受液槽は、受け取った電解液を、排出口に向かって流して排出する樋となる。排出口から流出される電解液は、ホースや配管を介して電源装置の外部に排出することができる。ただ、排出口から排出される電解液を、電源装置の隅部に流して、上下の電池モジュールのショートを防止することもできる。
さらに、隔離部材6は、ゴム状弾性体の弾性シート11を裏面に付着している。弾性シート11は、厚さを0.1〜5mm、好ましくは0.3〜3mm、さらに好ましくは0.5〜2mmとする自由に変形できる柔軟なシートである。この弾性シート11は、独立気泡を有する軟質の合成樹脂発泡体である。ただし、弾性シート11には、天然又は合成のゴムシート、あるいは軟質合成樹脂シートなども使用できる。弾性シート11は、このゴム状弾性体からなるシートを、隔離部材6の外周縁から突出する外形に裁断して製作される。隔離部材6の全周から突出する弾性シート11は、図3と図5に示すように、その外形を隔離部材6の外形よりも大きくする形状に裁断して製作される。ただし、弾性シートは、軟質合成樹脂を隔離部材から突出する外形のシート状に発泡成形して製作することもできる。弾性シート11は、隔離部材6に付着される付着面とその反対側の面を平面状とするシート状、すなわち全体を同じ厚さのシート状としている。
弾性シート11は、図4に示すように、隔離部材6の裏面、この図においては隔離部材6の下面に付着される。隔離部材6は、図4と図5に示すように、外周縁から内側に延びるスリット12を設けている。このスリット12は、図6の一部拡大図に示すように、ホルダーケース3に設けているいるリブ13を案内するために設けられる。隔離部材6は、スリット12に沿って上面に周壁8を設けている。弾性シート11は、図5に示すように、スリット12の中心に沿って線状に切断して切断部11bを設けている。この弾性シート11が隔離部材6の裏面に付着されて、スリット12にホルダーケース3のリブ13を挿入する状態を図6と図7に示している。これらの図に示すように、スリット12に入れるホルダーケース3のリブ13でもって、弾性シート11の突出部分11aをリブ13に沿って折曲させる。折曲される突出部分11aは、ホルダーケース3のリブ13に弾性的に押圧されて、リブ13とスリット12の隙間を水密に閉塞する突出パッキン15となる。また、弾性シート11は、図8の拡大断面図に示すように、隔離部材6の外周縁からの突出部分11aを、ホルダーケース3の垂直壁14に沿って折曲して、垂直壁14と隔離部材6の隙間を閉塞する突出パッキン15となる。
弾性シート11は、好ましくは隔離部材6の全周から突出する外形に製作される。この弾性シート11は、隔離部材6の全周とホルダーケース3との隙間を突出パッキン15で閉塞して電解液の漏れを確実に阻止する。
弾性シート11は、両面に粘着層を設けている両面接着テープを介して隔離部材6の裏面に簡単に付着できる。ただ、弾性シートは、接着剤で隔離部材に付着することもできる。また、隔離部材の裏面に、たとえば弾性シートに挿通して連結するフック状の連結部を設け、この連結部を弾性シートに挿通して連結することもできる。
図6と図7に示す電源装置は、下段の電池ユニット1の上面に受液槽10である隔離部材を配設すると共に、上段の電池ユニット1の下面にも受液槽10として隔離部材6を配設している。上段の電池ユニット1に配設される隔離部材6は、上段の電池モジュール2から排出される電解液を受け取ることができるように、上方開口の姿勢で上段の電池ユニット1のホルダーケース3の下面に連結している。上段の電池ユニット1に配設される隔離部材6は、下段の電池ユニット1に配設される隔離部材6に対向する位置であって、上段の電池モジュール2の端部に沿って配置している。このように、上段の電池ユニット1の下面に、受液槽10として隔離部材6を配設する電源装置は、上段の受液槽10と下段の受液槽10の両方で上段の電池モジュール2から排出される電解液を受け取ることができるので、排出される電解液が下段の電池モジュール2まで流下して、上下の電池モジュール2がショートするのを確実に阻止できる特長がある。ただ、本発明の電源装置は、下段の受液槽10である隔離部材6とホルダーケース3との間に突出パッキン15を設けて、この部分から電解液が流下するのを阻止するので、必ずしも上段の電池ユニットに受液槽である隔離部材を設ける必要はない。
さらに、上段の電池ユニット1の下面に配設される受液槽10である隔離部材6も、図7の鎖線で示すように、ホルダーケース3との間に弾性シート11を配設して、隔離部材6とホルダーケース3との隙間を水密に閉塞することができる。この隔離部材6は、底板7を含む全体の上面にゴム状弾性体の弾性シート11を付着しており、この弾性シート11の外周部をホルダーケース3と隔離部材6との間に介在させて、水密に閉塞している。ただ、隔離部材は、図示しないが、少なくとも周壁の上面を含む外周部にのみ弾性シートを配設することもできる。図7に鎖線で示す弾性シート11は、スリット12内に突出する突出部分11aを、スリット12に入れるホルダーケース3のリブ13でもって、リブ13に沿って折曲させている。この構造は、折曲される突出部分11aをリブ13に弾性的に押圧させて、リブ13とスリット12の隙間を閉塞する突出パッキン15として、より確実に水密に閉塞できる。さらに、図示しないが、この弾性シートは、外周部を隔離部材の外周縁から突出させると共に、この突出部分をホルダーケースの垂直壁に沿って折曲させて、垂直壁と隔離部材の隙間を閉塞する突出パッキンとすることもできる。
以上の電源装置は、上段の電池ユニット1の電池モジュール2から排出される電解液を、隔離部材6の受液槽10に貯溜し、又は所定の位置に排出する。さらに、受液槽10で受け取った電解液が、周壁8をオーバーフローしてホルダーケース3と隔離部材6との隙間を流下するのを突出パッキン15で阻止する。したがって、この電源装置は、電解液が上下の電池モジュール2を短絡させるのを確実に阻止する。また、下段の電池ユニット1の電池モジュール2から排出される電解液は、下方に流下するが、この電池モジュール2の下には電池モジュールがないので、これが上下の電池モジュール2をショートすることはない。
以上の実施例は、電池ユニット1を上下2段に積層するが、本発明の電源装置は、電池ユニットを3段以上に積層することができる。この電源装置は、各段の電池ユニットの間に配設する隔離部材を受液槽として、電解液が上下の電池モジュールをショートさせるのを阻止する。
本発明の一実施例にかかる電源装置の分解斜視図である。 図1に示す電源装置の下段の電池ユニットを示す分解斜視図である。 上下の電池モジュールと隔離部材の位置関係を示す斜視図である。 隔離部材と弾性シートを示す斜視図である。 隔離部材と弾性シートの連結状態を示す拡大斜視図である。 本発明の一実施例にかかる電源装置の一部拡大断面斜視図である。 図6に示す電源装置の拡大断面視図である。 ホルダーケースの垂直壁と隔離部材との位置関係を示す拡大断面図である。
符号の説明
1…電池ユニット
2…電池モジュール
3…ホルダーケース 3A…ホルダー
4…素電池 4A…凸部電極
5…出力端子 5A…プラス側の出力端子
5B…マイナス側の出力端子
6…隔離部材
7…底板
8…周壁
10…受液槽
11…弾性シート 11a…突出部分
11b…切断部
12…スリット
13…リブ
14…垂直壁
15…突出パッキン

Claims (7)

  1. 複数本の電池モジュール(2)を同一水平面に平行な姿勢でホルダーケース(3)に並べている電池ユニット(1)を上下多段に積層して配置している電源装置であって、
    各々の電池ユニット(1)は、ホルダーケース(3)の定位置に配置している電池モジュール(2)の端部の出力端子(5)にバスバーを連結して、バスバーでもって各々の電池モジュール(2)を接続しており、
    さらに、上段電池ユニット(1)の電池モジュール(2)と、下段電池ユニット(1)の電池モジュール(2)の間に位置し、かつ上段電池ユニット(1)の電池モジュール(2)の端部に沿って、隔離部材(6)を配設しており、
    隔離部材(6)が、上段電池ユニット(1)の電池モジュール(2)の端部から排出される電解液を流下させて受け取ることができる上方開口の受液槽(10)としており、さらに、隔離部材(6)の裏面にはゴム状弾性体からなる弾性シート(11)を付着しており、この弾性シート(11)は隔離部材(6)の外周縁から突出する外形であって、隔離部材(6)からの突出部分(11a)をホルダーケース(3)との間の隙間を閉塞する突出パッキン(15)としており、この隔離部材(6)でもって、上段の電池ユニット(1)の電池モジュール(2)から排出される電解液を貯溜し、又は受け取った電解液を所定の位置から排出し、電解液が上下の電池モジュール(2)を短絡させるのを阻止するようにしてなる電源装置。
  2. 弾性シート(11)が、同じ厚さのゴム状弾性体からなるシートを隔離部材(6)の外形よりも大きな形状に裁断したものである請求項1に記載される電源装置。
  3. 隔離部材(6)が、周囲に周壁(8)を設けて受液槽(10)を形成している請求項1に記載される電源装置。
  4. 弾性シート(11)の隔離部材(6)からの突出部分(11a)が、周壁(8)の外周面に沿って折曲されて突出パッキン(15)となっている請求項3に記載される電源装置。
  5. 隔離部材(6)が感電防止カバーで、感電防止カバーを電解液の受液槽(10)に併用している請求項1に記載される電源装置。
  6. 隔離部材(6)が、電池モジュール(2)を冷却する空気の流れを調整する整流壁で、この整流壁を電解液の受液槽(10)に併用している請求項1に記載される電源装置。
  7. 弾性シート(11)が、独立気泡を有する軟質の合成樹脂発泡体である請求項1に記載される電源装置。
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