JP4660282B2 - 電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主として自動車に搭載されて自動車を走行させるモーターを駆動する電源装置に関し、特に電池の液漏れによる弊害を防止できる電源装置に関する。
多数の電池モジュールを直列に接続している電源装置は、電池が異常な状態で充放電されると安全弁が開弁して電解液を排出する。たとえば、車両用の電源装置は、ひとつの電池から10cc以上の電解液を排出することがある。多量の電解液は、隣接する電池モジュールの出力端子を短絡することがある。とくに、上下多段に電池モジュールを配設している電源装置は、上段の電池モジュールから漏れた電解液が上下の電池モジュールの出力端子をショートさせることがある。この状態で電池モジュールをショートさせると、極めて大きな電流が流れて、電池を劣化させる。また、漏れた電解液は電気部品を腐食させる等の弊害もある。
電解液の弊害を防止する技術は開発されている。(特許文献1ないし3参照)
特許文献1は、電池ケースに電池から漏れた電解液の反応阻止剤を充填するカプセルを内蔵している。この構造によると、反応阻止剤を充填するカプセルの製作コストが高くなる。とくに、多量に排出される電解液の反応を阻止するには、多量のカプセルを充填する必要があって、ケースが大きくなる欠点もある。
特許文献2と3は、ケース内に電解液吸収剤を収納している。この構造は、小さい電池から排出される少量の電解液を吸収できる。しかしながら、たとえば車両用の電源装置等に使用される大容量の電池から排出される多量の電解液を速やかに吸収できない。このため、大きな電池から多量の電解液が排出されると、電解液が出力端子をショートさせる等の弊害を阻止できない。
特開平10−16689号公報 特開平10−241646号公報 特開2001−351588号公報
以上のように、電解液を吸収し、あるいは反応阻止剤で酸化還元反応させて過反応を阻止する構造では、一時に多量に排出される電解液による出力端子のショートを有効には防止できない。とくに、上下多段に電池ユニットを配設している電源装置において、上下の電池モジュールのショートを確実には阻止できない。
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、電池から排出される電解液が上下多段に配設している電池モジュールをショートさせるのを確実に阻止して安全性を向上し、さらに電解液が電気部品等を腐食させる弊害をも防止できる電源装置を提供することにある。
本発明の電源装置は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
電源装置は、複数本の電池モジュール2を同一水平面に平行な姿勢でホルダーケース3に並べている電池ユニット1を上下多段に積層して配置している。各々の電池ユニット1は、ホルダーケース3の定位置に配置している電池モジュール2の端部の出力端子5にバスバーを連結して、バスバーでもって各々の電池モジュール2を接続している。さらに、電源装置は、上段電池ユニット1の電池モジュール2と、下段電池ユニット1の電池モジュール2の間に位置し、かつ上段電池ユニット1の電池モジュール2の端部に沿って、隔離部材6を配設している。隔離部材6は、上段電池ユニット1の電池モジュール2の端部から排出される電解液を流下させて受け取ることができる上方開口の受液槽10としている。電源装置は、隔離部材6の受液槽10でもって、上段の電池ユニット1の電池モジュール2から排出される電解液を貯溜し、又は受け取った電解液を所定の位置に移送して排出し、電解液が上下の電池モジュール2を短絡させるのを阻止する。
隔離部材6は、周囲に周壁8を設けて受液槽10を形成することができる。隔離部材6は、感電防止カバーとして、感電防止カバーを電解液の受液槽10に併用することができる。隔離部材6は、電池モジュール2を冷却する空気の流れを調整する空気壁として、この空気壁を電解液の受液槽10に併用することができる。さらに、隔離部材は、底板の周囲に周壁を設けた受液槽として、上段の電池モジュールから排出される電解液を貯溜することができる。さらにまた、隔離部材6は、底板7の周囲に周壁8を設ける受液槽10とし、底板7の所定の位置に電解液の排出口9を設けると共に、底板7の上面を、排出口9に向かって下り勾配に傾斜させることができる。
本発明の電源装置は、電池から排出される電解液が上下多段に配設している電池モジュールをショートさせるのを確実に阻止して安全性を向上できる特長がある。それは、本発明の電源装置が、上下の電池ユニットに配置される電池モジュールの間に位置し、かつ上段電池ユニットの電池モジュールの端部に沿って隔離部材を配設しており、この隔離部材を、上段電池ユニットの電池モジュールの端部から排出される電解液を流下させて受け取ることができる上方開口の受液槽としているからである。この構造の電源装置は、上段の電池ユニットの電池モジュールから排出される電解液を隔離部材の受液槽に貯溜し、あるいは受け取った電解液を所定の位置に移送して排出するので、上段の電池モジュールから排出される電解液が下段の電池モジュールの出力端子に接触するのを防止して、上下の電池モジュールが短絡するのを確実に阻止でき、安全性を向上できる。さらに、この電源装置は、上段の電池モジュールから排出される電解液を隔離部材の受液槽で受け取るので、排出される電解液が他の電気部品等に接触してこれらの部品を腐食させるのを確実に阻止できる特長もある。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置を例示するものであって、本発明は電源装置を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図1の分解斜視図は、車両に搭載されて車両を走行させるモーターを駆動するのに使用される電源装置を示す。この図に示す電源装置は、上段の電池ユニット1と下段の電池ユニット1を、上下多段に積層している。上下の電池ユニット1は、ネジ(図示せず)等で互いに定位置に連結されている。各々の電池ユニット1は、複数本の電池モジュール2を同一水平面に平行な姿勢でホルダーケース3に並べている。
ホルダーケース3はプラスチック製で、図2に示すように、上下のホルダー3Aに分割して成形している。上下のホルダー3Aは、対向面に電池モジュール2を嵌着して定位置に保持する嵌着部(図示せず)を設けている。上下のホルダー3Aは、嵌着部に電池モジュール2を配置する状態で連結されて、電池モジュール2を定位置に保持する。ホルダーケース3は、内部に収納する電池モジュール2を冷却するために上下に貫通して空気孔を開口している。
電池モジュール2は、複数の素電池4を直列に直線状に連結している。図3の電池モジュール2は5個の素電池4を直列に接続している。素電池4は、円筒型電池の二次電池である。ただ、電池モジュールは、4個以下、又は6個以上の素電池を直列に接続することもできる。また、素電池を角型電池とすることもできる。二次電池である素電池4は、ニッケル−水素電池である。ただ、素電池は、リチウムイオン二次電池やニッケル−カドミウム電池等の充電できる全ての電池を使用することができる。電池モジュール2は、素電池4の間に接続体(図示せず)を配設し、この接続体を介して直列に直線状に連結される。電池モジュール2は、一方の素電池4の封口板と他方の素電池4の外装缶とを接続体で接続している。接続体は、金属板をプレス成形したもので、対向して配設される素電池4の電池端面に溶接して接続されて、素電池4を直列に電気接続する。
各々の電池モジュール2は、図4に示すように、端部に出力端子5を溶接して固定している。凸部電極側にはプラス側の出力端子5Aを、その反対側にある外装缶の底部にはナイマス側の出力端子5Bを固定している。電池モジュール2は、図4に示すように、隣接する電池モジュール2の正負の出力端子5を交互に逆とする姿勢で、平行に配設される。この配列の電池モジュール2は、隣接する電池モジュール2の出力端子5をバスバー(図示せず)で連結して、直列に接続できる。各々の電池ユニット1は、出力端子5にバスバーを連結して、ホルダーケース3に収納している全ての電池モジュール2を直列に接続している。また、上下に積層される電池ユニット1も直列に接続される。
各々の素電池4は、凸部電極側の封口板に安全弁を内蔵している。安全弁は異常な状態で充放電されて内圧が異常に高くなると開弁する。安全弁が開弁すると、素電池4内のガスや電解液が排出される。図の電池モジュール2は、複数の素電池4を直線状に連結して、その表面を熱収縮チューブ等の絶縁フィルム(図示せず)で被覆している。絶縁フィルムは電解液を通過させない。このため、絶縁フィルム内に排出される電解液は、素電池4と絶縁フィルムとの間に蓄えられ、あるいは絶縁フィルムの端部から外部に排出される。
図3の電池モジュール2は、凸部電極4Aにプラス側の出力端子5Aを固定しているプラス側の端部に連結している素電池4の安全弁から排出される電解液を、絶縁フィルムとの間に排出することなく外部に排出する。しかしながら、他の4個の素電池4、すなわち凸部電極を隣の素電池4の外装缶の底部に連結している素電池4から排出される電解液は、絶縁フィルムの内側に排出される。絶縁フィルムの内側に排出される電解液は、絶縁フィルムと素電池4との隙間に蓄えられるので、全てが電池モジュール2の外部には排出されない。このため、絶縁フィルムの内側に排出される電解液は、絶縁フィルムでもって一時に多量に排出されるのが防止される。しかしながら、出力端子5を固定している凸部電極4Aの安全弁から排出される電解液は、絶縁フィルムの内側に排出されず、直接に外部に排出されるので、一時に多量に排出される。
電池モジュール2の端部から多量の電解液が一時に排出されると、これが流下して、上下の電池モジュール2をショートさせる。上下の電池モジュール2は相当な電位差があるので、ここでショートすると極めて大きなショート電流が流れる。過大なショート電流は、電池モジュール2に著しい電気的なダメージを与えるばかりでなく、安全性をも低下させる。とくに、上下多段に電池ユニット1を積層している電源装置は、各々の電池ユニット1において、全ての電池モジュール2を直列に接続し、さらに、上下の電池ユニット1を直列に接続している。このため、上下の電池モジュール2間の電位差は、数百Vと極めて高くなる。
電解液のショートを防止するために隔離部材6が利用される。隔離部材6は、上下の電池ユニット1を積層する電源装置においては、感電防止カバーとして設けられ、あるいは、上下に電池ユニット1に収納している電池モジュール2を冷却するために強制送風される空気の流れを調整する空気壁として設けられる。
感電防止カバーの隔離部材6は、電池モジュール2を内蔵する上下の電池ユニット1を連結して組み立て、さらに、所定の位置に回路基板や他の部品をセットするときに、隣の電池モジュール2の出力端子5やバスバーに金属が接触してショートするのを防止するために設けられる。すなわち、組み立て時に、誤ってネジ等の金属部品を隙間に落下させ、あるいはドライバー等の金属工具がバスバーや出力端子5に接触して、隣の電池モジュール2をショートさせるのを防止するためである。とくに、各々の電池ユニット1は、互いに接近して平行に多数の電池モジュール2を収納するので、電池モジュール2を直列に接続するバスバーや出力端子5は互いに接近している。このため、隣に配設されるバスバーや出力端子5に金属が接触することがある。隣の出力端子5やバスバーがショートすると、2本の電池モジュール2がショートされて大電流で放電される。このため、2本の電池モジュール2がダメージを受けて故障することがあり、また高電圧な出力端子5に接触して作業の安全性も確保されなくなることがある。この弊害を防止するために、上下の電池ユニット1の間に感電防止カバーを配設して、下段に積層される電池ユニット1の出力端子5やバスバーに金属が接触しない状態に保護している。
空気壁の隔離部材6は、強制送風される空気の流れをコントロールするために設けられる。上下に電池ユニット1を積層する電源装置は、上下の電池ユニット1に強制送風して電池モジュール2を冷却している。さらに、電源装置には回路基板等も配設される。この構造の電源装置は、強制送風する空気の流れをコントロールするために、上下の電池ユニット1の間に空気壁を設けて、ここを流れる空気をコントロールしている。
電源装置は、上下の電池ユニット1の間に配設している隔離部材6を、上段の電池モジュール2から排出される電解液の受液槽10に併用する。隔離部材6の受液槽10は、上段の電池モジュール2から排出される電解液が下段の電池モジュール2に流れて、上下の電池モジュール2をショートさせるのを阻止する。図4と図5に示す隔離部材6は、底板7の周囲に周壁8を設けて受液槽10としている。
隔離部材6は、図1ないし図4、図6及び図7に示すように、上段電池ユニット1の電池モジュール2と、下段電池ユニット1の電池モジュール2の間に位置し、かつ上段電池ユニット1の電池モジュール2の端部に沿って配設される。さらに、この隔離部材6は、上段電池ユニット1の電池モジュール2の端部から排出されて流下する電解液を受け取ることができる上方開口の受液槽10としている。隔離部材6の受液槽10は、上段の電池ユニット1の電池モジュール2から排出される電解液を貯溜し、あるいは又は受け取った電解液を所定の位置に移送、排出して、電解液が上下の電池モジュール2を短絡させるのを阻止する。
図5と図6の隔離部材6からなる受液槽10は、底板7の周囲に周壁8を設けると共に、底板7の両端部に電解液の排出口9を設け、この排出口9に向かって、底板7の上面を下り勾配に傾斜させている。この受液槽10は、図の矢印で示すように、電池モジュール2から排出して流下させる電解液を、排出口9に向かって速やかに流して排出する樋となる。排出口9から流出される電解液は、ホースや配管を介して電源装置の外部に排出される。ただ、排出口から排出される電解液を、電源装置の隅部に流して、上下の電池モジュールのショートを防止することもできる。
受液槽に併用される隔離部材は、排出口を設けることなく、上段の電池モジュールから排出される電解液を蓄えて、下段に流下させない構造、すなわち貯溜槽とすることもできる。この受液槽は、電池モジュールから排出される電解液を蓄える内容積とされる。現実の使用状態において、複数の素電池が一緒に電解液を排出することはない。たとえば、他の素電池に比較して劣化の大きい特定の素電池が電解液を排出する。ひとつの素電池から排出される電解液の総量は、たとえば車両用に使用される定格容量を5.6〜6.5Ahで、大きさを単1サイズとするニッケル水素電池からなる素電池を直列に接続している電池モジュールは、ひとつの素電池が排出する電解液の最大量は、約10ccである。このため、電解液を蓄えるタイプの受液槽は、電解液の収納容量をひとつの素電池から排出される電解液の最大量よりも大きくして、電池モジュールから排出される電解液を漏らさず貯溜できる。
以上の電源装置は、上段の電池ユニット1の電池モジュール2から排出される電解液を隔離部材6の受液槽10に貯溜し、又は所定の位置に排出して、電解液が上下の電池モジュール2を短絡させるのを阻止する。また、下段の電池ユニット1の電池モジュール2から排出される電解液は、下方に流下するが、この電池モジュール2の下には電池モジュールがないので、これが上下の電池モジュール2をショートすることはない。
以上の実施例は、電池ユニット1を上下2段に積層するが、本発明の電源装置は、電池ユニットを3段以上に積層することができる。この電源装置は、各段の電池ユニットの間に配設する隔離部材を受液槽として、電解液が上下の電池モジュールをショートさせるのを阻止する。
本発明の一実施例にかかる電源装置の分解斜視図である。 図1に示す電源装置の下段の電池ユニットを示す斜視図である。 上下の電池モジュールと隔離部材の位置関係を示す斜視図である。 図3に示す電池モジュールと隔離部材の拡大斜視図である。 隔離部材の斜視図である。 図3に示す上下の電池モジュールと隔離部材の位置関係を示す横断面図である。 図3に示す上下の電池モジュールと隔離部材の位置関係を示す縦断面図である。
符号の説明
1…電池ユニット
2…電池モジュール
3…ホルダーケース 3A…ホルダー
4…素電池 4A…凸部電極
5…出力端子 5A…プラス側の出力端子
5B…マイナス側の出力端子
6…隔離部材
7…底板
8…周壁
9…排出口
10…受液槽

Claims (6)

  1. 複数本の電池モジュール(2)を同一水平面に平行な姿勢でホルダーケース(3)に並べている電池ユニット(1)を上下多段に積層して配置している電源装置であって、
    各々の電池ユニット(1)は、ホルダーケース(3)の定位置に配置している電池モジュール(2)の端部の出力端子(5)にバスバーを連結して、バスバーでもって各々の電池モジュール(2)を接続しており、
    さらに、上段電池ユニット(1)の電池モジュール(2)と、下段電池ユニット(1)の電池モジュール(2)の間に位置し、かつ上段電池ユニット(1)の電池モジュール(2)の端部に沿って、隔離部材(6)を配設しており、
    隔離部材(6)が、上段電池ユニット(1)の電池モジュール(2)の端部から排出される電解液を流下させて受け取ることができる上方開口の受液槽(10)としており、隔離部材(6)の受液槽(10)でもって、上段の電池ユニット(1)の電池モジュール(2)から排出される電解液を貯溜し、又は受け取った電解液を所定の位置に移送して排出し、電解液が上下の電池モジュール(2)を短絡させるのを阻止するようにしてなる電源装置。
  2. 隔離部材(6)が、周囲に周壁(8)を設けて受液槽(10)を形成している請求項1に記載される電源装置。
  3. 隔離部材(6)が感電防止カバーで、感電防止カバーを電解液の受液槽(10)に併用している請求項1に記載される電源装置。
  4. 隔離部材(6)が、電池モジュール(2)を冷却する空気の流れを調整する空気壁で、この空気壁を電解液の受液槽(10)に併用している請求項1に記載される電源装置。
  5. 隔離部材が、底板の周囲に周壁を設けた受液槽で、上段の電池モジュールから排出される電解液を貯溜する請求項1に記載される電源装置。
  6. 隔離部材(6)が、底板(7)の周囲に周壁(8)を設けた受液槽(10)で、さらに底板(7)の所定の位置に電解液の排出口(9)を設けると共に、底板(7)の上面を、排出口(9)に向かって下り勾配に傾斜させてなる請求項1に記載される電源装置。
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