JP2007293180A - 光学補償シートおよびその製造方法、偏光板、ならびに液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイブリッド配向した液晶性化合物を含有する光学補償シートであって、該液晶性化合物の傾斜角が制御され、かつ配向速度を向上させて生産性が向上した光学補償シートの提供。
【解決手段】支持体上に、配向層と光重合開始剤および液晶性化合物を含む液晶性組成物から形成された光学異方性層とを支持体側からこの順に有する光学補償シートであって、該液晶性組成物がカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性基を有するフルオロ脂肪族基含有ポリマーの少なくとも一種を含有し、前記光重合開始剤の感光域が330〜450nmの範囲であり、かつ該光重合開始剤が水素原子を除く原子の数が8以下の炭化水素ラジカルまたはハロゲンラジカルを発生し、かつ該配向層形成用塗布液および/また該液晶性組成物が求核性定数(n)5以上10以下の求核剤を1種以上含有する光学補償シート。
【選択図】なし
【解決手段】支持体上に、配向層と光重合開始剤および液晶性化合物を含む液晶性組成物から形成された光学異方性層とを支持体側からこの順に有する光学補償シートであって、該液晶性組成物がカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性基を有するフルオロ脂肪族基含有ポリマーの少なくとも一種を含有し、前記光重合開始剤の感光域が330〜450nmの範囲であり、かつ該光重合開始剤が水素原子を除く原子の数が8以下の炭化水素ラジカルまたはハロゲンラジカルを発生し、かつ該配向層形成用塗布液および/また該液晶性組成物が求核性定数(n)5以上10以下の求核剤を1種以上含有する光学補償シート。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規な光学補償シートならびにそれを用いた偏光板および液晶表示装置に関する。特に、ディスコティック液晶性組成物からなる光学異方性層の液晶傾斜角を任意に制御可能な光学補償シートに関する。
光学補償シートは画像着色解消や視野角拡大のために、様々な液晶表示装置で用いられている。従来から光学補償シートとしては延伸複屈折フィルムが使用されていたが、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、透明支持体上にディスコティック液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。この光学異方性層は、通常、ディスコティック液晶性化合物を含む組成物を配向膜上に塗布し、配向温度よりも高い温度に加熱してディスコティック液晶性化合物を配向させ、その配向状態を固定することにより形成される。
一般に、ディスコティック液晶性化合物は、大きな複屈折率を有するとともに、多様な配向形態がある。そして、ディスコティック液晶性化合物を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になってきている。
前述のように、ディスコティック液晶性化合物では多様な配向形態が存在するため、所望の光学特性の発現には光学異方性層におけるディスコティック液晶性化合物の配向を制御する必要がある。特に光学補償性能の発現には、ディスコティック液晶性化合物の傾斜角が、局所的にはランダム性をもちつつ支持体面からの距離に伴って変化するように配向させる、いわゆる「ハイブリッド配向」の状態を実現することが重要であり、光学補償シートの性能、すなわち、視野角拡大、視角変化によるコントラスト低下、階調反転、黒白反転、および色相変化等を決める最も重要な因子となる。このハイブリッド配向は、ディスコティック液晶性化合物の配向の方位角を規制する目的で支持体上に設けられる配向膜表面の傾斜角と光学補償シートの最外面である空気側界面の傾斜角との差を利用して実現されている。ディスコティック液晶性化合物を用いて光学補償シートを塗設、乾燥した後、ディスコティック液晶性化合物は、空気界面と配向膜界面の両方でそれぞれ安定な傾斜角でモノドメイン配向する。その結果、膜の厚み方向に連続的に傾斜角が変化した配向状態が形成される。そのため、ハイブリッド配向を実現するには、配向膜界面の傾斜角は、空気界面の傾斜角より大幅に小さくしなくてはならない。ポリビニルアルコールを用いた配向膜は、その傾斜角が0°に近いために目的のハイブリッド配向の実現に好適に用いられている(特許文献1)。しかし、特許文献1に記載の方法によりハイブリッド配向を実現するためには長時間を要するため、生産性向上のためにハイブリッド配向速度を向上することが求められていた。
一方、所望の光学補償機能を得るためには、空気界面側の傾斜角を増大させる必要がある。通常の空気界面で得られる傾斜角である50°を凌ぐ角度を得る方法としてセルロース部分エステル化物を添加する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、本発明者がこれらの光学補償シートを実際に使用してみたところ、偏光板の斜め方向からの光漏れが認められ、視野角が充分に、すなわち、理論的に期待できる程度まで拡大しないものもあることが判明した。光学補償機能が不十分になる理由の一つとして、ディスコティック液晶性化合物の傾斜角が充分に制御できていないことが考えられる。更に、従来の方法では、ハイブリッド配向を実現するためには長時間を要するため、生産性向上のために更なる改善が求められていた。
また、所望のハイブリッド配向した液晶化合物を固定化するために、系中に光重合開始剤を含有させ、強力な紫外光を照射することにより、液晶化合物を重合させて光学異方性層を硬化することが一般に行われるが、生産性向上のためには該重合・硬化反応をより効率的に行わせることが必要であった。
特開平8−50206号公報
特開平8−95030号公報
また、所望のハイブリッド配向した液晶化合物を固定化するために、系中に光重合開始剤を含有させ、強力な紫外光を照射することにより、液晶化合物を重合させて光学異方性層を硬化することが一般に行われるが、生産性向上のためには該重合・硬化反応をより効率的に行わせることが必要であった。
本発明は、光学補償機能に優れ、画像表示装置に適用した場合に、視野角拡大に寄与する新規な光学補償シートを提供することを課題とする。特に、ハイブリッド配向した液晶性化合物を含有する光学異方性層を有する光学補償シートであって、該液晶性化合物の傾斜角が制御され、かつ該液晶性化合物の配向速度を向上させることにより生産性が向上した光学補償シートを提供することを課題とする。 本発明は、さらにTNモード、OCBモード、IPSモード等の液晶表示装置の視野角改善に寄与する光学補償シートを高速生産することを課題とする。さらに、大型の液晶表示装置に適用した場合でも、光学補償シートに起因したムラを生じることなく、表示品位の低下を生じさせない光学補償シート、および偏光機能とともに該光学補償機能を有する偏光板を提供することを課題とする。さらに、本発明は、視野角が改善された、高品位の画像を表示可能な液晶表示装置を提供することを課題とする。
(1)支持体上に、配向層形成用塗布液から形成された配向層と光重合開始剤および液晶性化合物を含む液晶性組成物から形成された光学異方性層とを支持体側からこの順に有する光学補償シートであって、該液晶性組成物がカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基[−PO(OH)2]およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性基を有するフルオロ脂肪族基含有ポリマー(以下、「ポリマーA」という)の少なくとも一種を含有し、該光重合開始剤の感光域が330nm〜450nmの範囲であり、かつ該光重合開始剤が水素原子を除く原子の数が8以下の炭化水素ラジカルまたはハロゲンラジカルを発生し、かつ該配向層形成用塗布液および/また該液晶性組成物が求核性定数(n)5以上10以下の求核剤を1種以上含有する光学補償シート。
(2)前記配向層形成用塗布液がポリマーAを含有する(1)に記載の光学補償シート。
(3)前記ポリマーAが、さらに少なくとも1つのフェニル基および/またはフェニレン基を含有する(1)または(2)に記載の光学補償シート。
(4)前記ポリマーAが、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを含む共重合体である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の光学補償シート。
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し;
Lは下記の連結基群から選ばれる2価の連結基または下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表し、
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基、およびアリーレン基;
Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。)
(5)一般式(1)におけるLがフェニレン基を含む2価の連結基である(4)に記載の光学補償シート。
(6)前記光重合開始剤が下記の化合物群から選択される一種以上の化合物を含む(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(7)前記液晶性組成物が、セルロースエステルを更に含有する(1)〜(6)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(8)前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位が、下記一般式[1]または[2]で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位である(4)〜(7)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(上記一般式[1]において、R11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、Hfは水素原子またはフッ素原子を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
一般式[2]
(上記一般式[2]において、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは2価の連結基を表し、R14は置換基を有してもよいポリ(アルキレンオキシ)基または置換基を有してもよい炭素数1以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。)
(9)前記液晶性組成物が、1,3,5−トリアジン環基を有する化合物を更に含有する(1)〜(8)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(10)前記求核剤が、亜硫酸イオンを生じる亜硫酸塩、チオ硫酸イオンを生じるチオ硫酸塩、および水酸化物イオンを有する化合物から選ばれる少なくとも一種である(1)〜(9)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(11)前記液晶性化合物が、ディスコティック液晶性化合物である(1)〜(10)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(12)前記光学異方性層中、前記液晶性化合物がハイブリッド配向し、かつ該ハイブリッド配向が固定されている(1)〜(11)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(13)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の光学補償シートを有する偏光板。
(14)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の光学補償シートを有する液晶表示装置。
(15)少なくとも、液晶セルと、該液晶セルの両側にそれぞれ配置された一対の偏光子と、前記一対の偏光子の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学補償シートとを有する液晶表示装置。
(2)前記配向層形成用塗布液がポリマーAを含有する(1)に記載の光学補償シート。
(3)前記ポリマーAが、さらに少なくとも1つのフェニル基および/またはフェニレン基を含有する(1)または(2)に記載の光学補償シート。
(4)前記ポリマーAが、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを含む共重合体である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の光学補償シート。
Lは下記の連結基群から選ばれる2価の連結基または下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表し、
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基、およびアリーレン基;
Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。)
(5)一般式(1)におけるLがフェニレン基を含む2価の連結基である(4)に記載の光学補償シート。
(6)前記光重合開始剤が下記の化合物群から選択される一種以上の化合物を含む(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(8)前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位が、下記一般式[1]または[2]で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位である(4)〜(7)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
一般式[2]
(9)前記液晶性組成物が、1,3,5−トリアジン環基を有する化合物を更に含有する(1)〜(8)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(10)前記求核剤が、亜硫酸イオンを生じる亜硫酸塩、チオ硫酸イオンを生じるチオ硫酸塩、および水酸化物イオンを有する化合物から選ばれる少なくとも一種である(1)〜(9)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(11)前記液晶性化合物が、ディスコティック液晶性化合物である(1)〜(10)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(12)前記光学異方性層中、前記液晶性化合物がハイブリッド配向し、かつ該ハイブリッド配向が固定されている(1)〜(11)のいずれか1項に記載の光学補償シート。
(13)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の光学補償シートを有する偏光板。
(14)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の光学補償シートを有する液晶表示装置。
(15)少なくとも、液晶セルと、該液晶セルの両側にそれぞれ配置された一対の偏光子と、前記一対の偏光子の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学補償シートとを有する液晶表示装置。
本発明の光学補償シートは、光学異方性層または配向層を形成するための組成物においてハイブリッド配向する液晶性化合物とともに、特定のポリマーおよび求核剤が用いられているため液晶性化合物の配向速度が著しく向上しており、さらに、光重合効率の良い光重合開始剤を用いて光学異方性層形成のためのUV硬化処理が行われているので、従来よりも著しく高速に生産することができる。さらに光学異方性層を形成するための液晶性組成物にセルロースエステルを添加することにより、液晶性化合物の空気界面側の傾斜角を制御が可能になっているため、本発明の光学補償シートは光学補償機能に優れ、かつ画像表示装置に適用した場合、広い視野角拡大性能を与えることができる。また、本発明の光学補償シートは、上記求核剤や特定のポリマー等の使用により、光学異方性層作製時における塗布性が改善され、ムラ、ハジキ、欠陥の発生が抑制されている。
以下、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2 - nz) x d --- 式(2)
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2 - nz) x d --- 式(2)
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx-nz)/(nx-ny)が更に算出される。
本発明の光学補償シートは、透明支持体上に配向層と液晶性組成物から形成される光学異方性層とをこの順に有する光学補償シートである。前記液晶性組成物は、液晶性化合物の少なくとも一種と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基[−PO(OH)2]およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性基を有するフルオロ脂肪族基含有ポリマー(ポリマーA)の少なくとも一種とを含有し、かつ、前記配向層形成のための配向層形成用塗布液および/または前記液晶性組成物は、求核性定数(n)が5以上10以下の求核剤を1種以上含有する。
まず、本発明に用いられる求核性定数(n)が5以上10以下の求核剤について説明する。
まず、本発明に用いられる求核性定数(n)が5以上10以下の求核剤について説明する。
[求核剤]
本発明において、配向層形成用塗布液および/または光学異方性層を形成するための液晶性組成物は、Pearson等の求核性定数(nCH3I)が5以上10以下の求核剤を1種以上含有することを特徴とする。前記求核剤は、好ましくはPearson等の求核性定数(n)が6以上10以下であり、より好ましくは6.5以上10以下である(以降、求核性定数(nCH3I)を求核性定数(n)と表記することもある)。ここで、Pearson等の求核性定数(nCH3I)は、R.G.Pearson、et al.、J.Am.Chem.Soc.、89、1827(1967)に基づくものであり、岡本邦男、「講座有機反応機構3、求核置換反応」pp147((株)東京化学同人(1970年刊))等に記載の内容のものが挙げられる。上記の求核性定数(n)となる求核剤として、例えば以下の求核剤が挙げられる(括弧の数字は求核性定数(n)を示す)。
有機塩基(例えば、トリエチルアミン(6.66)、ジエチルアミン(7.00)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(6.73)、ピリジン(5.23)、ピロリジン(7.23)、ピペリジン(7.30)、アニリン(5.70)、N,N−ジメチルアニリン(5.64)等)、NH3(5.5)、ArO-(Arはアリール基を表し、フェニル基、トリル基、キシリル基、メトキシフェニル基等が挙げられ、例えばフェノレートアニオン(5.75)等)、ヒドロキリルアミン(6.60)、SCN-(6.70)、チオ尿素(7.27)、OH-(6.58)、I-(7.42)、(R)3P(Rは炭化水素基またはOR1基(R1は炭化水素基)を表す。:炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。例えばトリエチルフォスフィン(8.72)、トリブチルフォスフィン(8.69)、トリフェニルフォスフィン(7.00)、トリメトキシフォスフィン(5.00)等)、RS-(Rは炭化水素基を表し、例えばブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。フェニルチオラートイオン(9.92)等)、SO3 2-(8.53)、S2O3 2-(8.95)などが挙げられる。
本発明において、配向層形成用塗布液および/または光学異方性層を形成するための液晶性組成物は、Pearson等の求核性定数(nCH3I)が5以上10以下の求核剤を1種以上含有することを特徴とする。前記求核剤は、好ましくはPearson等の求核性定数(n)が6以上10以下であり、より好ましくは6.5以上10以下である(以降、求核性定数(nCH3I)を求核性定数(n)と表記することもある)。ここで、Pearson等の求核性定数(nCH3I)は、R.G.Pearson、et al.、J.Am.Chem.Soc.、89、1827(1967)に基づくものであり、岡本邦男、「講座有機反応機構3、求核置換反応」pp147((株)東京化学同人(1970年刊))等に記載の内容のものが挙げられる。上記の求核性定数(n)となる求核剤として、例えば以下の求核剤が挙げられる(括弧の数字は求核性定数(n)を示す)。
有機塩基(例えば、トリエチルアミン(6.66)、ジエチルアミン(7.00)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(6.73)、ピリジン(5.23)、ピロリジン(7.23)、ピペリジン(7.30)、アニリン(5.70)、N,N−ジメチルアニリン(5.64)等)、NH3(5.5)、ArO-(Arはアリール基を表し、フェニル基、トリル基、キシリル基、メトキシフェニル基等が挙げられ、例えばフェノレートアニオン(5.75)等)、ヒドロキリルアミン(6.60)、SCN-(6.70)、チオ尿素(7.27)、OH-(6.58)、I-(7.42)、(R)3P(Rは炭化水素基またはOR1基(R1は炭化水素基)を表す。:炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。例えばトリエチルフォスフィン(8.72)、トリブチルフォスフィン(8.69)、トリフェニルフォスフィン(7.00)、トリメトキシフォスフィン(5.00)等)、RS-(Rは炭化水素基を表し、例えばブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。フェニルチオラートイオン(9.92)等)、SO3 2-(8.53)、S2O3 2-(8.95)などが挙げられる。
上記の求核剤として挙げられるアニオン分子は、無機カチオンと塩を形成した化合物として用いられる(本発明で称する「求核剤」)。無機カチオンとしては特に限定されないが、具体的にはアンモニウムカチオン、金属カチオン(金属としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の何れでもよい。例えば、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Ba、Ce、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Co、Cu、Ag、Zn、B、Al等)が挙げられる。より好ましくは、アンモニウムカチオン、またはLi、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Ti、Zr、Co、Ni、Znから選ばれる金属イオンが挙げられる。
前記アニオン分子は、無機カチオンとともに、水/メタノールに対しての溶解性が良い塩を形成していることがより好ましい。これにより、配向層形成用塗布液または液晶性組成物(塗布液)への溶解性が高くなり、これらの組成物を塗布した面の形状が良好になり白抜け等の光学的欠陥を軽減若しくは解消することができる。
前記アニオン分子は、無機カチオンとともに、水/メタノールに対しての溶解性が良い塩を形成していることがより好ましい。これにより、配向層形成用塗布液または液晶性組成物(塗布液)への溶解性が高くなり、これらの組成物を塗布した面の形状が良好になり白抜け等の光学的欠陥を軽減若しくは解消することができる。
本発明において、特に好ましい求核剤として、亜硫酸イオンを生じる亜硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、チオ硫酸イオンを生じるチオ硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、水酸化物イオンを有する化合物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)が挙げられる。
本発明の光学補償シートは、前記求核剤を、配向層形成用塗布液、液晶性組成物のいずれか一方のみに含むこともでき、双方に含むこともできる。但し、配向速度向上のためには、前記求核剤が、少なくとも、配向層形成用塗布液に含まれることが好ましい。求核剤を配向層形成用塗布液に添加すると、共存する架橋剤が安定かつ均一に分布され、光学異方性層形成のための液晶性組成物を塗設した時に液晶分子の配向状態への影響を小さくさせることができると考えられる。当然、添加量により効果は異なってくるため、適時量を調整することが好ましい。前記求核剤は、配向層形成用塗布液(組成物)中に、0.001〜1.0質量%の割合で添加することが好ましい。添加量は、さらには、0.002〜0.5質量%が好ましい。添加量がこの範囲であると、膜の強度が十分に保持された、白抜け等の光学的な欠陥の無い光学補償シートが得られ、さらに液晶性組成物に前記ポリマーAを添加することで、ハイブリッド配向の傾斜角が制御され、かつ液晶化合物の配向速度が著しく向上した光学補償シートが得られる。さらに、長尺フィルムを連続して製造しても、極めて安定な性能で製造することができる。
本発明の光学補償シートは、前記求核剤を、配向層形成用塗布液、液晶性組成物のいずれか一方のみに含むこともでき、双方に含むこともできる。但し、配向速度向上のためには、前記求核剤が、少なくとも、配向層形成用塗布液に含まれることが好ましい。求核剤を配向層形成用塗布液に添加すると、共存する架橋剤が安定かつ均一に分布され、光学異方性層形成のための液晶性組成物を塗設した時に液晶分子の配向状態への影響を小さくさせることができると考えられる。当然、添加量により効果は異なってくるため、適時量を調整することが好ましい。前記求核剤は、配向層形成用塗布液(組成物)中に、0.001〜1.0質量%の割合で添加することが好ましい。添加量は、さらには、0.002〜0.5質量%が好ましい。添加量がこの範囲であると、膜の強度が十分に保持された、白抜け等の光学的な欠陥の無い光学補償シートが得られ、さらに液晶性組成物に前記ポリマーAを添加することで、ハイブリッド配向の傾斜角が制御され、かつ液晶化合物の配向速度が著しく向上した光学補償シートが得られる。さらに、長尺フィルムを連続して製造しても、極めて安定な性能で製造することができる。
配向層形成用塗布液の調製法としては、(a)配向層形成用塗布液の中に架橋剤、求核剤を別々に添加する方法、(b)高濃度の架橋剤の溶液を作製してその中に求核剤を添加し、その混合溶液を配向層形成用塗布液に添加する方法、(c)配向層形成用塗布液に高濃度の架橋剤と求核剤を溶解させた混合溶液を添加した溶液を添加する方法が挙げられる。高濃度の架橋剤の溶液においては、架橋剤が10〜50質量%であることが好ましい。本発明においては(b)乃至(c)の方法が好ましい。
さらに配向層形成用塗布液は、pH5〜12であることが好ましく、pH6〜10であることがより好ましい。
さらに配向層形成用塗布液は、pH5〜12であることが好ましく、pH6〜10であることがより好ましい。
配向層は、ポリマー(好ましくは後述のポリマーA)、アルデヒド化合物等の硬化性化合物、および求核剤を含有する配向用形成用塗布液(組成物)を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥させ(架橋し)、配向処理することにより形成することができる硬化膜である。架橋反応は、前述のように、配向層用組成物を透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行うことができる。本発明において使用される配向層形成用組成物は、ポリビニルアルコールおよび/または変性ポリビニルアルコールを主成分として含有するものであることが好ましい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向層形成用塗布液に用いる場合には、塗布液には、消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)と水の混合溶媒を使用することが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1であることが好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向層、さらには光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
[配向層の形成方法]
配向層は、上記のような配向層形成用塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法、ダイコート法(エクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)、スライドコート法、押し出しコート法)等の方法を用いて塗布、乾燥させることによって形成することができる。塗布方式に関しては、各種文献(例えば、Modern Coating and Drying Technology,Edward Cohen and Edgar B. Gutoff, Edits., VCH Publishers, Inc, 1992)に記載されている。少ない塗布量域でも安定に操作できるロッドコーター法、グラビアコーター法、ブレードコーター法、ダイコーター法が好ましい。特に、ロッドコーター法またはダイコーター法が好ましくい。
配向層は、上記のような配向層形成用塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法、ダイコート法(エクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)、スライドコート法、押し出しコート法)等の方法を用いて塗布、乾燥させることによって形成することができる。塗布方式に関しては、各種文献(例えば、Modern Coating and Drying Technology,Edward Cohen and Edgar B. Gutoff, Edits., VCH Publishers, Inc, 1992)に記載されている。少ない塗布量域でも安定に操作できるロッドコーター法、グラビアコーター法、ブレードコーター法、ダイコーター法が好ましい。特に、ロッドコーター法またはダイコーター法が好ましくい。
[ポリマーA]
次に、本発明の光学補償シートの光学異方性層形成用液晶性組成物に用いられるポリマーAについて説明する。
ポリマーAは、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基[−PO(OH)2]およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性基を有するフルオロ脂肪族基含有ポリマーである。ポリマーAは、ハイブリッド配向の傾斜角、とりわけ空気界面側の傾斜角の制御に有効である。更に、ポリマーAが少なくとも1つのフェニル基および/またはフェニレン基を含むことにより、配向速度を効果的に向上させることもできる。前記ポリマーAは、好ましくはフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを含む共重合体である。
次に、本発明の光学補償シートの光学異方性層形成用液晶性組成物に用いられるポリマーAについて説明する。
ポリマーAは、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基[−PO(OH)2]およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性基を有するフルオロ脂肪族基含有ポリマーである。ポリマーAは、ハイブリッド配向の傾斜角、とりわけ空気界面側の傾斜角の制御に有効である。更に、ポリマーAが少なくとも1つのフェニル基および/またはフェニレン基を含むことにより、配向速度を効果的に向上させることもできる。前記ポリマーAは、好ましくはフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを含む共重合体である。
式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し;Lは下記の連結基群から選ばれる2価の連結基または下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表し、
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基、およびアリーレン基;Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基、およびアリーレン基;Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。
ポリマーの種類としては、「改訂 高分子合成の化学」(大津隆行著、発行:株式会社化学同人、1968)1〜4ページに記載があるポリマー種のいずれであってもよく、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリカーボナート類、ポリエーテル類、ポリアセタール類、ポリケトン類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリアリレート類、PTFE類、ポリビニリデンフロライド類、セルロース誘導体などが挙げられる。前記ポリマーAは、ポリオレフィン類であることが好ましい。
前記ポリマーAに含まれるフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位は、下記一般式[1]または[2]で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位であることが好ましい。
上記の繰り返し単位については特開2004−333861号公報に詳細に記載されている。
次に前記ポリマーAに含まれる一般式(1)の繰り返し単位について説明する。
上記一般式(1)において、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。Qはカルボキシル基(−COOH)またはその塩、スルホ基(−SO3H)またはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}またはその塩を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基、およびアリーレン基。
上記一般式(1)において、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。Qはカルボキシル基(−COOH)またはその塩、スルホ基(−SO3H)またはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}またはその塩を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基、およびアリーレン基。
一般式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または下記に例示した置換基群から選ばれる置換基を表す。
(置換基群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
(置換基群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、または後述する−L−Qで表される基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子、−L−Qで表される基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基であることが特に好ましく、R2およびR3が水素原子で、R1が水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、適当な置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基などが挙げられる。なお、アルキル基の炭素数は、置換基の炭素原子を含まない。以下、他の基の炭素数についても同様である。
Lは、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NR4−のR4は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくは水素原子またはアルキル基である。また、−PO(OR5)−のR5はアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。R4およびR5がアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す場合の炭素数は「置換基群」で説明したものと同じである。Lとしては、液晶化合物の配向速度を向上させるとともに、液晶化合物のハイブリッド配向における空気界面側の傾斜角を制御する点で、単結合、−O−、−CO−、−NR4−、−S−、−SO2−、アルキレン基またはアリーレン基を含むことが好ましく、単結合、−CO−、−O−、−NR4−、アルキレン基またはアリーレン基を含んでいることが特に好ましく、アリーレン基、またはアラルキレン基(アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基)であることが特に好ましい。更に、Lがフェニレン基を含むことが最も好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラブチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアラルキレン基を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては先にR1〜R3における置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
以下にLの具体的構造を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
以下にLの具体的構造を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
前記式(1)中、Qはカルボキシル基、カルボキシル基の塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウムなど)、ピリジニウム塩など)、スルホ基、スルホ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、ホスホノキシ基、ホスホノキシ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)を表す。より好ましくはカルボキシル基、スルホ基、ホスホ基であり、特に好ましくはカルボキシル基またはスルホ基であり、最も好ましくはカルボキシル基である。
前記ポリマーAは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また前記ポリマーAは、前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位を1種または2種以上有していてもよい。さらに、前記ポリマーAはそれら以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。前記ポリマーAは、下記モノマー群から選ばれるモノマーから誘導される繰り返し単位を1種含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
モノマー群
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエンおよび2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエンおよび2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
(3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
(3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
(3d)α、β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
(4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレンおよびその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレンおよびその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
(7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;および
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;および
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
また、前記ポリマーAは、特開2004−333861号公報の一般式[2]に記載のモノマーから誘導される繰り返し単位を含むことが好ましい。
前記ポリマーAにおけるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該ポリマーの構成モノマー総量の5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位において、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の量は、該フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位の構成モノマー総量の0.5質量%以上であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましい。
前記ポリマーAの質量平均分子量は1,000,000以下であることが好ましく、500,000以下であることがより好ましく、5,000以上50,000以下であることがさらに好ましい。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
なお、前記ポリマーAは、ディスコティック液晶性化合物の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
以下に、前記ポリマーAとして本発明に好ましく用いられる具体例を示すが、本発明はこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値(a、b、c、d等の数値)は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはTSK Gel GMHxL、TSK Gel G4000 HxL、TSK Gel G2000 HxL (いずれも東ソー(株)の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した質量平均分子量である。
光学異方性層形成用液晶性組成物における前記ポリマーAの含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、液晶性組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)全量に対して、0.005〜8質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.01〜1質量%であることがさらに好ましい。前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位の添加量が0.005質量%未満では効果が不十分であり、また8質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、光学フィルムとしての性能(例えばレターデーションの均一性等)に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。
前記光学異方性層形成用液晶性組成物は、前記ポリマーAを2種以上含有していることが好ましい。また、前記光学異方性層形成用液晶性組成物は、塗布性向上のために、前記ポリマーAとともに、前記ポリマーAに含まれるフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位を有するポリマーAには該当しないフルオロ脂肪族基含有ポリマーをさらに含有していてもよい。
[セルロースエステル]
前記光学異方性層形成用液晶性組成物中に、セルロースエステルを含有させると、空気界面側の液晶性化合物の分子の傾斜角をより増加させることができるので、好ましい。また、セルロースエステルは、組成物を支持体面上等に塗布した際のハジキの発生を軽減することにも寄与する。本発明に使用可能なセルロースエステルの好ましい例には、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースが含まれる。中でも、セルロースアセテートブチレートが好ましい。前記セルロースエステルの添加量は、液晶性化合物の総量に対して質量百分率で、好ましくは0.01〜8%、より好ましくは0.01〜4%、さらに好ましくは0.01〜2%である。
前記光学異方性層形成用液晶性組成物中に、セルロースエステルを含有させると、空気界面側の液晶性化合物の分子の傾斜角をより増加させることができるので、好ましい。また、セルロースエステルは、組成物を支持体面上等に塗布した際のハジキの発生を軽減することにも寄与する。本発明に使用可能なセルロースエステルの好ましい例には、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースが含まれる。中でも、セルロースアセテートブチレートが好ましい。前記セルロースエステルの添加量は、液晶性化合物の総量に対して質量百分率で、好ましくは0.01〜8%、より好ましくは0.01〜4%、さらに好ましくは0.01〜2%である。
[1,3,5−トリアジン環基を有する化合物]
前記光学異方性層形成用液晶性組成物は、1,3,5−トリアジン環基を有する化合物の少なくとも一種を含有していることが好ましい。該化合物は、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物を、水平配向状態からハイブリッド配向状態に安定的に転移させるために寄与する。1,3,5−トリアジン環基を有する化合物は、光学異方性層を形成する際に用いる組成物中に含有させることができる。1,3,5−トリアジン環基を有する化合物としては、下記一般式(5)または(6)で表される化合物が好ましい。
前記光学異方性層形成用液晶性組成物は、1,3,5−トリアジン環基を有する化合物の少なくとも一種を含有していることが好ましい。該化合物は、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物を、水平配向状態からハイブリッド配向状態に安定的に転移させるために寄与する。1,3,5−トリアジン環基を有する化合物は、光学異方性層を形成する際に用いる組成物中に含有させることができる。1,3,5−トリアジン環基を有する化合物としては、下記一般式(5)または(6)で表される化合物が好ましい。
一般式(5)において、L1、L2およびL3はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表し、A1、A2およびA3はそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、m2、m3およびm4は0以上の整数を表す。R10、R11およびR12はそれぞれ独立に有機基であり、m2が0の時、R10はアルキル基であり、m3が0の時、R11はアルキル基であり、m4が0の時、R12はアルキル基である。
一般式(6)において、X4およびY4はそれぞれ独立に、NRa(Raは水素原子またはアルキル基を表す)、OおよびSのいずれかを表し、Z4は二価の連結基を表し、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に、置換基を表す。
まず、前記一般式(5)で表される化合物について詳細に説明する。
L1、L2およびL3で各々表される二価の連結基の例としては、例えば−CO−、―NRa−(Raはアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。より好ましくは、−CO−、−NRa−、−O−、−S−、−SO2−およびそれらの群より選ばれる二価の連結基であり、さらに好ましくは−CO−、−NRa−、−O−、−S−およびSO2−からなる群選ばれる二価の連結基、または該群から選ばれる二価の連結基の2種または3種の組み合わせである。最も好ましくは、−NRa−、−O−およびS−からなる群より選ばれる二価の連結基、または該群から選ばれる二価の連結基の2種または3種の組み合わせである。
L1、L2およびL3で各々表される二価の連結基の例としては、例えば−CO−、―NRa−(Raはアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。より好ましくは、−CO−、−NRa−、−O−、−S−、−SO2−およびそれらの群より選ばれる二価の連結基であり、さらに好ましくは−CO−、−NRa−、−O−、−S−およびSO2−からなる群選ばれる二価の連結基、または該群から選ばれる二価の連結基の2種または3種の組み合わせである。最も好ましくは、−NRa−、−O−およびS−からなる群より選ばれる二価の連結基、または該群から選ばれる二価の連結基の2種または3種の組み合わせである。
A1、A2およびA3で各々表されるアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また置換されていてもよい。前記置換もしくは無置換のアルキレン基は、炭素数2〜30のアルキレン基であるのが好ましく、その例には、−CH2−、−(CH2)2−、−CH2CH(CH3)−、−CH2C(CH3)2−および(CH2)4−)が含まれる。好ましくは−(CH2)2−、−CH2CH(CH3)−、−(CH2)4−である。
m2、m3およびm4は0以上の整数を表わし、好ましくは1〜10で、より好ましくは1〜5である。
R10、R11およびR12で各々表される有機基としては、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、ドデシル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−エチルヘキシル基、2‐へキシルデシル基、2−オクチルドデシル基、3−(2、4−ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピル基、
シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基が挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ(1.2.2)ヘプタン−2−イル基、ビシクロ(2.2.2)オクタン−3−イル基)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、
アルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基、多シクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ(2.2.1)ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ(2.2.2)オクト−2−エン−4−イル基またはトリシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基、o−2−(パーフルオロヘキシル)エトキシフェニル基、o−3−(パーフルオロヘキシル)プロピルオキシフェニル基、o−2−(6H−ドデカフルオロヘキシル)エトキシフェニル基、o−(8H−ヘキサデカフルオロオクチル)メトキシフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族ヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、等が挙げられる。
前記一般式(5)で表される化合物の中でも、下記一般式(5a)で表される化合物が好ましい。
一般式(5a)において、A1、A2およびA3はそれぞれ独立し、アルキレン基を表し、m2、m3およびm4は0以上の整数を表し、R10、R11およびR12はそれぞれ独立し有機基であり、m2が0の時、R10はアルキル基であり、m3が0の時、R11はアルキル基であり、m4が0の時、R12はアルキル基である。
一般式(5a)においてA1、A2およびA3、m2、m3およびm4、R10、R11およびR12は一般式(5)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同一である。
次に、前記一般式(6)で表される化合物について詳細に説明する。
式中、Z4で表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価のアリール基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
式中、Z4で表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価のアリール基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
R13、R14、R15およびR16で各々表される置換基としては、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、ドデシル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−エチルヘキシル基、2‐へキシルデシル基、2−オクチルドデシル基、3−(2、4−ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピル)基、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基が挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ(1.2.2)ヘプタン−2−イル基、ビシクロ(2.2.2)オクタン−3−イル基)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、
アルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基が挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ(2.2.1)ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ(2.2.2)オクト−2−エン−4−イル基)、やトリシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい。)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基、o−2−(パーフルオロヘキシル)エトキシフェニル基、o−3−(パーフルオロヘキシル)プロピルオキシフェニル基、o−2−(6H−ドデカフルオロヘキシル)エトキシフェニル、o−(8H−ヘキサデカフルオロオクチル)メトキシフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノキシ基、2−パーフルオロヘキシルエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基、o−2−(パーフルオロヘキシル)エトキシフェノキシ基、o−3−(パーフルオロヘキシル)プロピルオキシフェノキシ基、o−2−(6H−ドデカフルオロヘキシル)エトキシフェノキシ基、o−(8H−ヘキサデカフルオロオクチル)メトキシフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、3−パーフルオロヘキシルプロピルアミノ基、3−(2、4−ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピルアミノ、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミノ基、3−(2−ヘキシルデカノオキシ)プロピルアミノ基、3−ドデシルオキシプロピルアミノ基、3−(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)プロピルアミノ基、3−(3−(6H−パーフルオロヘキシル)プロピルオキシ)プロピルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基、2−メチルオキシアニリノ基、2−(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)アニリノ基、2−(2−パーフルオロブチルエチルオキシ)アニリノ基、2、4−ジ(2−パーフルオロヘキシルエチルオキシ)アニリノ基、2−(6H−パーフルオロヘキシルメチルオキシ)アニリノ基、3,4−ジ(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)アニリノ基、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイ基ル、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N'−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、
アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールアゾ基およびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)が挙げられる。
上記置換基の中で水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基などが挙げられる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を2つ以上有する場合は、それらの置換基は同一でも、異なっていてもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
好ましくはR13、R14、R15およびR16は、置換もしくは無置換のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはヘテロ環アミノ基であり、さらに好ましくは置換もしくは無置換のアルキルアミノ基(例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、3−パーフルオロヘキシルプロピルアミノ基、3−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピルアミノ基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミノ基、3−(2−ヘキシルデカノオキシ)プロピルアミノ基、3−ドデシルオキシプロピルアミノ基、3−(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)プロピルアミノ基、3−(3−(6H−パーフルオロヘキシル)プロピルオキシ)プロピルアミノ)基、アリールアミノ基(例えばアニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基、2−メチルオキシアニリノ基、2−(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)アニリノ基、2−(2−パーフルオロブチルエチルオキシ)アニリノ基、2,4−ジ(2−パーフルオロヘキシルエチルオキシ)アニリノ基、2−(6H−パーフルオロヘキシルメチルオキシ)アニリノ基、3,4−ジ(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)アニリノ基)である。
前記一般式(6)で表される化合物の中でも、下記一般式(6a)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(6a)において、Z5はポリ(アルキレンオキシ)基を表し、Raは水素原子またはアルキル基を表し、R17、R18、R19およびR20はそれぞれ独立に置換基を表し、j1、j2、j3およびj4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。j1、j2、j3およびj4が2以上のとき複数の、R17、R18、R19およびR20はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
j1、j2、j3およびj4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。好ましくは1、2または3である。
R17、R18、R19およびR20で各々表される置換基の例としては、前記一般式(6)におけるR13、R14、R15およびR16として挙げた基が挙げられる。好ましくは置換もしくは無置換のアルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基である。さらに好ましくは置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノキシ基、2−パーフルオロヘキシルエトキシ基、3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ基、2−パーフルオロブチルエチルオキシ基、6H−パーフルオロヘキシルメチルオキシ基)である。
本発明に使用可能な1,3,5−トリアジン環基を有する化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。
1,3,5−トリアジン環基を有する化合物の添加量としては、液晶性化合物(好ましくはディスコティック液晶性化合物)に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることがさらに好ましい。
[液晶性化合物]
本発明の光学補償シートは、液晶性化合物の配向によって発現された光学異方性を有する。光学異方性層中において液晶性化合物の分子は、配向状態に固定されていることが好ましく、ハイブリッド配向状態に固定されていることがより好ましい。本発明において、光学異方性層形成用液晶性組成物に用いられる液晶性化合物については特に制限はなく、種々の化合物を用いることができる。棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物を用いることが好ましく、ディスコティック液晶性化合物を用いることがより好ましい。また、液晶性化合物は、高分子液晶でも低分子液晶であってもよい。さらに、光学異方性層を形成する際に架橋され、液晶性を示さなくなるものであってもよい。
本発明の光学補償シートは、液晶性化合物の配向によって発現された光学異方性を有する。光学異方性層中において液晶性化合物の分子は、配向状態に固定されていることが好ましく、ハイブリッド配向状態に固定されていることがより好ましい。本発明において、光学異方性層形成用液晶性組成物に用いられる液晶性化合物については特に制限はなく、種々の化合物を用いることができる。棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物を用いることが好ましく、ディスコティック液晶性化合物を用いることがより好ましい。また、液晶性化合物は、高分子液晶でも低分子液晶であってもよい。さらに、光学異方性層を形成する際に架橋され、液晶性を示さなくなるものであってもよい。
[棒状液晶性化合物]
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、本発明において棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。棒状液晶性化合物については、例えば、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載のものを採用できる。
棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、本発明において棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。棒状液晶性化合物については、例えば、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載のものを採用できる。
棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、不飽和重合性基またはエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基がさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基が最も好ましい。
[ディスコティック液晶性化合物]
ディスコティック液晶性化合物には、C.Destradeらの研究報告(Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年))に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告(Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990))に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告(Angew.Chem.96巻、70頁(1984年))に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告(J.Chem.Commun.,1794頁(1985年))、J.Zhangらの研究報告(J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年))に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
ディスコティック液晶性化合物には、C.Destradeらの研究報告(Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年))に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告(Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990))に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告(Angew.Chem.96巻、70頁(1984年))に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告(J.Chem.Commun.,1794頁(1985年))、J.Zhangらの研究報告(J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年))に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
ディスコティック液晶性化合物としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。ディスコティック液晶性化合物から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物がディスコティック液晶性化合物である必要はなく、例えば、低分子のディスコティック液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。ディスコティック液晶性化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記式(III)で表わされる化合物であることが好ましい。
一般式(III)
D(−LQ)n
一般式(III)中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
D(−LQ)n
一般式(III)中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
式(I)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
式(III)の重合性基(P)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示す。
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることが最も好ましい。
式(III)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。液晶性化合物は、光学異方性層の全量に対し、50質量%〜99.9質量%の範囲で使用され、好適な範囲は70質量%〜99.9質量%、更に好適な範囲は80質量%〜99.5質量%である。
式(III)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。液晶性化合物は、光学異方性層の全量に対し、50質量%〜99.9質量%の範囲で使用され、好適な範囲は70質量%〜99.9質量%、更に好適な範囲は80質量%〜99.5質量%である。
ハイブリッド配向では、液晶性化合物の長軸(ディスコティック液晶性化合物では円盤面)と支持体の面との角度、すなわち傾斜角が、光学異方性層の深さ(すなわち、透明支持体に垂直な)方向に増加または減少している。角度は、支持体面からの距離の増加と共に増加していることが好ましい。さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加および減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。しかしながら、傾斜角は連続的に変化することが好ましい。
液晶性化合物の長軸(ディスコティック液晶性化合物では円盤面)の平均方向(各分子の長軸方向の平均)は、一般に液晶性化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の液晶性化合物の長軸(ディスコティック液晶性化合物では円盤面)方向は、液晶性化合物の種類を選択することによって、および液晶性化合物と共に使用する、ポリマーAの作用により調整することができる。
前記光学異方性層形成用液晶性組成物が求核剤を含む場合、求核剤は、光学異方性層形成用塗布液(組成物)中に0.01〜4質量%の割合で添加することが好ましい。さらには、0.02〜0.5質量%が好ましい。
光学異方性層中には、液晶性化合物、ポリマーA、求核剤、セルロースエステル、1,3,5−トリアジン環基を有する化合物以外に、他の添加剤を含有させてもよい。他の添加剤の例には、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマーなどが含まれる。これらの添加剤は、液晶性化合物等の必須成分に対し相溶性を有し、液晶性化合物の傾斜角の制御に寄与するか、または配向を阻害しないことが好ましい。
[光学異方性層の製造方法]
本発明の光学補償シートは、光学異方性層形成用液晶性組成物(通常は塗布液)を、配向層表面に塗布して、液晶性化合物の分子を配向させ、該配向状態に固定することで作製することができる。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。均一性の高い光学フイルムを作製する場合には、塗布液の表面張力は、25mN/m以下であることが好ましく、22mN/m以下であることがさらに好ましい。
本発明の光学補償シートは、光学異方性層形成用液晶性組成物(通常は塗布液)を、配向層表面に塗布して、液晶性化合物の分子を配向させ、該配向状態に固定することで作製することができる。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。均一性の高い光学フイルムを作製する場合には、塗布液の表面張力は、25mN/m以下であることが好ましく、22mN/m以下であることがさらに好ましい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。ワイヤーバーコーティング法、ダイコーティング法による塗布が好ましく、ダイコーティング法による塗布が最も好ましい。
前記塗布液の塗布後、乾燥工程と同時にまたは乾燥工程の後に、液晶性化合物を、所望の配向状態とした後、その配向状態に固定して光学異方性層を形成することができる。本発明では、光学異方性層形成のための液晶性組成物中のポリマーA、、1,3,5−トリアジン環基を有する化合物、更には液晶性組成物中または配向層形成用塗布液中の求核剤の作用により、液晶性化合物を、水平配向を経てハイブリッド配向させることができる。水平配向からハイブリッド配向への移行は、例えば、配向温度を上昇させることにより促進される。
塗布液中の光重合開始剤の作用により、光重合反応で液晶性化合物の固定化を行う。このため、塗布液中には、液晶性化合物の固定化に寄与する、重合性モノマーを含有させることが好ましい。重合性モノマーとしては、例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。上記化合物の添加量は、液晶性化合物に対して、一般に1〜50質量%であり、5〜30質量%であるのが好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が3以上のモノマーを混合して用いると、配向層と光学異方性層間の密着性を高めることができる。
[光重合開始剤]
光重合開始剤としては、感光域が330nm〜450nmの範囲にあり、重合開始ラジカルとして、ハロゲンラジカルまたは水素を除く原子の数が8以下の炭化水素ラジカルを発生するものを用いる。ハロゲンラジカルとしては、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素のラジカルが挙げられるが、特にクロルラジカルが好ましい。水素原子を除く原子の数8以下の炭化水素ラジカルは、ハロゲン化炭化水素ラジカル等の置換基を有する炭化水素ラジカルであってもよく、例としては、メチルラジカル、エチルラジカル、プロピルラジカル、ブチルラジカル、フェニルラジカル、トリルラジカル、クロロフェニルラジカル、ブロモフェニルラジカル、ベンゾイルラジカル等が挙げられる。感光波長と光源のマッチングは高感度化の必要な要件である。330nm〜450nmに感光域のある光重合開始剤は、メタルハライドランプや高圧水銀灯などのUV光源とのマッチングがよく、低出力のUV光での重合反応の促進を可能とするだけでなく、光学補償シートの着色が少ないという利点を有する。また、上述のように、光重合開始剤のラジカルの嵩が小さいと、光学異方性層と配向膜との密着がよくなる。これは、嵩が小さい光学異方性層の重合性ラジカルが配向膜まで拡散される結果、配向膜の表面で化学結合が生成し、また配向膜表面附近が硬化して、密着が改良しているものと推定される。
さらに、光重合開始剤は、100mJ/cm2のエネルギー量で30%以上分解するものであることが好ましい。光重合開始剤の例を以下に記すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
光重合開始剤としては、感光域が330nm〜450nmの範囲にあり、重合開始ラジカルとして、ハロゲンラジカルまたは水素を除く原子の数が8以下の炭化水素ラジカルを発生するものを用いる。ハロゲンラジカルとしては、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素のラジカルが挙げられるが、特にクロルラジカルが好ましい。水素原子を除く原子の数8以下の炭化水素ラジカルは、ハロゲン化炭化水素ラジカル等の置換基を有する炭化水素ラジカルであってもよく、例としては、メチルラジカル、エチルラジカル、プロピルラジカル、ブチルラジカル、フェニルラジカル、トリルラジカル、クロロフェニルラジカル、ブロモフェニルラジカル、ベンゾイルラジカル等が挙げられる。感光波長と光源のマッチングは高感度化の必要な要件である。330nm〜450nmに感光域のある光重合開始剤は、メタルハライドランプや高圧水銀灯などのUV光源とのマッチングがよく、低出力のUV光での重合反応の促進を可能とするだけでなく、光学補償シートの着色が少ないという利点を有する。また、上述のように、光重合開始剤のラジカルの嵩が小さいと、光学異方性層と配向膜との密着がよくなる。これは、嵩が小さい光学異方性層の重合性ラジカルが配向膜まで拡散される結果、配向膜の表面で化学結合が生成し、また配向膜表面附近が硬化して、密着が改良しているものと推定される。
さらに、光重合開始剤は、100mJ/cm2のエネルギー量で30%以上分解するものであることが好ましい。光重合開始剤の例を以下に記すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これらの光重合開始剤は光学異方性層の全量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射には、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜5000mJ/cm2の範囲にあることが好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2の範囲にあることがより好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
この様にして形成された光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。また、光学異方性層上に、保護層を設けてもよい。
[透明支持体]
本発明の光学補償シートは、前記光学異方性層を支持する支持体を有する。支持体は、ガラスまたは透明なポリマーフィルムであることが好ましい。 支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ポリマーフィルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースジアセテート)、ノルボルネン系ポリマーおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートンおよびゼオネックスいずれも商品名))を用いてもよい。
中でもセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。とくに炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)が好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
本発明の光学補償シートは、前記光学異方性層を支持する支持体を有する。支持体は、ガラスまたは透明なポリマーフィルムであることが好ましい。 支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ポリマーフィルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースジアセテート)、ノルボルネン系ポリマーおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートンおよびゼオネックスいずれも商品名))を用いてもよい。
中でもセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。とくに炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)が好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
なお、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、国際公開WO00/26705号公報に記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明の光学フィルムに用いることもできる。偏光板保護フィルム、もしくは位相差フィルムに本発明の光学補償シートを使用する場合は、ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることがさらに好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算によって求められる。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.0〜1.65であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.0〜1.65であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度または多い方が好ましい。
2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがさらに好ましく、32〜40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがさらに好ましく、32〜40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
本発明の光学補償シートは、単独で液晶表示装置の部材に用いることができ、偏光板と一体化して、偏光板中の一部材として液晶表示装置に組み込むこともできる。本発明の光学補償シートが一体化された偏光板は、偏光機能を有するのみならず、液晶表示装置の視野角の拡大にも寄与する。さらに、偏光膜の保護フィルムとして本発明の光学補償シートを用いた偏光板を用いることは、液晶表示装置の薄型化にも寄与する。
以下、本発明の光学補償シートを付加した偏光板について詳細に説明する。
以下、本発明の光学補償シートを付加した偏光板について詳細に説明する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光膜と前記光学補償シートとを有する。偏光板は一般に、基材フィルムに二色性物質を吸着、配向させて作製された偏光膜と、該偏光膜の少なくとも片面に貼合された保護膜とを有する。偏光膜の基材フィルムに使用されるポリマーとしては、ポリビニルアルコール(以下、PVA)系ポリマーが一般的である。二色性物質としてはヨウ素あるいは、二色性染料が単独、あるいは組み合わせて用いられる。保護膜としては、低複屈折性、透明性、適度な透湿性、寸度安定性等の物性が求められ、従来はセルロースアセテートフィルムが広く用いられ、その作製において塩素系有機溶媒であるメチレンクロライドを使用しており、環境保全の観点でその改良が望まれている。非塩素系有機溶媒を用いて作製されたセルロースアシレートフィルムは、その作製に際して非塩素系溶媒で流延しフィルム化することで、これらを改良したものである。
本発明の偏光板は、偏光膜と前記光学補償シートとを有する。偏光板は一般に、基材フィルムに二色性物質を吸着、配向させて作製された偏光膜と、該偏光膜の少なくとも片面に貼合された保護膜とを有する。偏光膜の基材フィルムに使用されるポリマーとしては、ポリビニルアルコール(以下、PVA)系ポリマーが一般的である。二色性物質としてはヨウ素あるいは、二色性染料が単独、あるいは組み合わせて用いられる。保護膜としては、低複屈折性、透明性、適度な透湿性、寸度安定性等の物性が求められ、従来はセルロースアセテートフィルムが広く用いられ、その作製において塩素系有機溶媒であるメチレンクロライドを使用しており、環境保全の観点でその改良が望まれている。非塩素系有機溶媒を用いて作製されたセルロースアシレートフィルムは、その作製に際して非塩素系溶媒で流延しフィルム化することで、これらを改良したものである。
ここで偏光膜に用いるPVAは、通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性、偏光性、耐熱、耐湿性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、フィルム強度や耐熱、耐湿性、延伸性などから1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。また、PVAのシンジオタクチシチーについては特に限定されず、目的に応じ任意の値をとることもできる。
PVAを染色、延伸して偏光膜を作製する手順には、原反となるPVAフィルムを乾式または湿式で延伸した後、ヨウ素あるいは二色性染料の溶液に浸漬する方法、ヨウ素あるいは二色性染料の溶液中でPVAフィルムを延伸し配向させる方法、ヨウ素あるいは二色性染料にPVAフィルムを浸漬後、湿式または乾式で延伸し配向させる方法などがある。また、PVA原反を溶液製膜法により製膜する際、PVA溶液中に二色性物質をあらかじめ含有させる手法もとることができる。
代表的な偏光板の湿式延伸による製造法を以下に述べる。まず、原反PVAフイルムを水溶液で予備膨潤する。次いで二色性物質の溶液に浸漬し、二色性物質を吸着させる。さらにホウ酸等のホウ素化合物の水溶液中で進行方向に一軸延伸する。必要に応じ色味調整浴、硬化浴等をこの後に設けてもよい。ある程度乾燥したところでPVA等の接着剤を用い保護膜を貼合する。さらに乾燥して偏光板が得られる。
予備膨潤液中には、各種有機溶媒、無機塩、可塑剤、ホウ酸類等を水溶液中に添加してもよい。
染色液は、二色性物質としてヨウ素を用いる場合を例にすると、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液を用いる。ヨウ素は0.1〜20g/リットル、ヨウ化カリウムは1〜100g/リットル、ヨウ素とヨウ化カリウムの重量比は1〜100が好ましい。染色時間は30〜5000秒が好ましく、液温度は5〜50℃が好ましい。染色液中にホウ素化合物等PVAを架橋する化合物を含有させることも好ましい。延伸浴中のホウ素化合物は、ホウ酸が特に好ましい。ホウ酸濃度は、好ましくは1〜200g/リットルであり、さらに好ましくは10〜120g/リットルである。延伸浴には、ホウ素化合物の他にヨウ化カリウム等の無機塩、各種有機溶媒、あるいは二色性染料等を含むことができる。色味調整浴、硬化浴には二色性染料のほか、ヨウ化カリウム等の無機塩、ホウ素化合物等を必要に応じ含有させる。
PVAの延伸工程としては、上に例示した如く連続フィルムの進行方向に張力を付与し、進行方向にフィルムを延伸、配向させる方法が一般的であるが、いわゆるテンター方式等の延伸手段でフィルムの幅手方向に張力を付与し、幅手方向に配向させる方法も適用可能である。延伸は一軸方向に3倍以上行うことが好ましく、4.5倍以上がより好ましい。偏光膜の使用目的により二軸延伸を行ってもよい。延伸後の膜厚は特に限定されないが、取り扱い性、耐久性、経済性の観点より、5〜100μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。延伸時の温度は延伸条件によって異なるが、通常10〜250℃である。100℃以上の温度で乾式延伸する場合は、窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。また、予め延伸したフィルムを染色する前には、100℃以上の温度で結晶化処理を行うことが好ましい。
染色方法としては上に例示した浸漬法だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、既に述べた液層吸着のみでなく、寄贈による吸着も必要に応じ行うことができる。二色性色素で染色することも好ましい。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物をあげることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。又、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。
二色性分子の代表的なものとしては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド28、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開2000−48105号、特開2000−65205号、特開平7−261024号の各公報に記載の色素等を挙げることができる。特に、シー.アイ.ダイレクト.レッド28(コンゴーレッド)は古くよりこの用途に好ましいとして知られている。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。
これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光素子または偏光板として偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光率とも優れており好ましい。
偏光膜の耐熱、耐湿性を高める観点から、偏光膜の製造工程においてPVAに架橋させる添加物を含ませることが好ましい。架橋剤としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩を偏光膜に含有させることも、耐久性を高めることが知られており好ましい。これら架橋剤、金属塩は、上に述べた予備膨潤浴、二色性物質染色浴、延伸浴、硬化浴、色調整浴等のいずれの工程に含有させても良く、工程の順序は特に限定されない。保護膜と偏光膜を接着する接着剤としては特に限定はなく、PVA系、変性PVA系、ウレタン系、アクリル系等、知られているものを任意に用いることができる。接着層の厚みは0.01〜20μmが好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましい。
偏光膜の一方の表面には、本発明の光学補償シート(支持体表面が偏光膜と接する様に)貼合し、その反対側の表面には、セルロースアシレート等からなるポリマーフィルムを配置する(光学異方性層/偏光膜/ポリマーフィルムの配置とする)ことが好ましい。
本発明の光学補償シートは、種々の液晶表示装置に用いることができる。本発明の光学補償シートを、液晶セルと、該液晶セルの両側にそれぞれ配置された一対の偏光膜とを有する液晶表示装置に配置する場合は、前記一対の偏光膜の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に配置することが好ましい。本発明の光学補償シートは、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶性化合物を補償するように、光学異方性層の光学特性を決定することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶性化合物の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なるので、前記光学異方性層の光学特性の好ましい範囲も、用途によって異なる。液晶セル中の液晶性化合物の配向状態に関しては、IDW'00、FMC7−2のP411〜414等に記載されている。
本発明の光学補償シートの光学特性は、前記した様に、その用途、例えば、いずれのモードの液晶セルの光学補償に用いられるかによって、好ましい範囲が異なる。一般的には、光学異方性層のReは0〜70nmであることが好ましく、20〜70nmであることがより好ましく、Rthは50〜400nmであることが好ましく、100〜400nmであることがより好ましい。かかる光学特性を示す光学異方性層を形成するには、例えば、ディスコティック液晶性化合物を用い、ハイブリッド配向に固定して光学異方性層を形成する場合は、最小傾斜角0〜90°(より好ましくは0〜60°)で、且つ最大傾斜角が30〜90°(より好ましくは50〜90°)のハイブリッド配向とすることが好ましい。また、透明支持体のReは0〜70nmであることが好ましく、0〜50nmであることがより好ましく、Rthは、10〜400nmであることが好ましく、40〜250nmであることがより好ましい。但し、前記一例であり、本発明の光学補償シートの光学特性は、この範囲に限定されるものではない。
以下、液晶表示装置であって、各液晶モードにおける、本発明の光学補償シートの好ましい形態について説明する。
(TNモード液晶表示装置)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性化合物が寝た配向状態にある。
(TNモード液晶表示装置)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性化合物が寝た配向状態にある。
ホメオトロピック配向(円盤面が寝ている水平配向)の液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が85〜95度の状態で配向している。
ホモジニアス配向(長軸が寝ている水平配向)の液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が5度未満の状態で配向している。
ハイブリット配向(長軸の傾きが偏光膜との距離に伴って変化している配向)の液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が15度以上であることが好ましく、15度〜85度であることがさらに好ましい。
ホモジニアス配向(長軸が寝ている水平配向)の液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が5度未満の状態で配向している。
ハイブリット配向(長軸の傾きが偏光膜との距離に伴って変化している配向)の液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が15度以上であることが好ましく、15度〜85度であることがさらに好ましい。
支持体もしくはディスコティック液晶性化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、または、棒状液晶性化合物がホモジニアス配向している光学異方性層、さらにはホメオトロピック配向したディスコティック液晶性化合物とホモジニアス配向した棒状液晶性化合物の混合体からなる光学異方性層は、上記式で定義されるRthレターデーション値が40nm〜200nmであり、上記式で定義されるReレターデーション値が0〜70nmであることが好ましい。
ホメオトロピック配向(水平配向)しているディスコティック液晶性化合物層およびホモジニアス配向(水平配向)している棒状液晶性化合物層に関しては、特開2000−304931号および同2000−304932号の各公報に記載されている。ハイブリッド配向しているディスコティック液晶性化合物層に関しては、特開平8−50206号公報に記載がある。
ホメオトロピック配向(水平配向)しているディスコティック液晶性化合物層およびホモジニアス配向(水平配向)している棒状液晶性化合物層に関しては、特開2000−304931号および同2000−304932号の各公報に記載されている。ハイブリッド配向しているディスコティック液晶性化合物層に関しては、特開平8−50206号公報に記載がある。
(OCBモード液晶表示装置)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性化合物を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性化合物が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性化合物が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性化合物が寝た配向状態にある。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性化合物を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性化合物が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性化合物が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性化合物が寝た配向状態にある。
黒表示にTNモードと液晶の配向は同じ状態であるため、好ましい態様もTNモード対応を同じである。ただし、TNモードに比べ、OCBモードの方がセル中央部で液晶性化合物が立ち上がった範囲が大きいために、ディスコティック液晶性化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性化合物がホモジニアス配向している光学異方性層について、若干のレターデーション値の調整が必要である。具体的には、(透明)支持体上のディスコティック液晶性化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性化合物がホモジニアス配向している光学異方性層は、Rthレターデーション値が150nm〜500nmであり、Reレターデーション値が20〜70nmであることが好ましい。
支持体もしくはディスコティック液晶性化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性化合物がホモジニアス配向している光学異方性層は、Rthレターデーション値が150nm〜500nmであり、Reレターデーション値が20〜70nmであることが好ましい。
(その他液晶表示装置)
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
(光学補償シートKH−1の作製)
本発明の光学補償シートKH−1は、セルロースアセテート支持体の作製、配向層の形成、光学異方性層の形成の順で作製した。詳しくは以下のとおりである。
(セルロースアセテート支持体の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成(質量部) 内層 外層
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部 0.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤)
3.9質量部 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 293質量部 314質量部
メタノール(第2溶媒) 71質量部 76質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5質量部 1.6質量部
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0質量部 0.8質量部
下記レターデーション上昇剤 1.4質量部 0質量部
────────────────────────────────────
[実施例1]
(光学補償シートKH−1の作製)
本発明の光学補償シートKH−1は、セルロースアセテート支持体の作製、配向層の形成、光学異方性層の形成の順で作製した。詳しくは以下のとおりである。
(セルロースアセテート支持体の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
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セルロースアセテート溶液組成(質量部) 内層 外層
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酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部 0.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤)
3.9質量部 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 293質量部 314質量部
メタノール(第2溶媒) 71質量部 76質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5質量部 1.6質量部
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0質量部 0.8質量部
下記レターデーション上昇剤 1.4質量部 0質量部
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得られた内層用ドープおよび外層用ドープを三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテートフィルムCF−1(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。
得られたセルロースアセテートフィルム(CF−1)は幅1340mm、厚さ80μmの透明な支持体であった。KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、波長630nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、8nmであった。また、波長630nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、93nmであった。
CF−1を2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥することにより表面をケン化処理した。ケン化後のCF−1の表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
CF−1を2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥することにより表面をケン化処理した。ケン化後のCF−1の表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
(配向層の形成)
50質量部のグルタルアルデヒドの水溶液を作製し、その水溶液中に亜硫酸ナトリウム0.05質量部を加えて4時間室温で放置した。その液を下記の変性ポリビニルアルコールの溶解した水/メタノール溶液に添加して、下記の組成の配向層形成用塗布液を作製した。
50質量部のグルタルアルデヒドの水溶液を作製し、その水溶液中に亜硫酸ナトリウム0.05質量部を加えて4時間室温で放置した。その液を下記の変性ポリビニルアルコールの溶解した水/メタノール溶液に添加して、下記の組成の配向層形成用塗布液を作製した。
(配向層形成用塗布液組成)
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
亜硫酸ナトリウム(Na2SO3) 0.05質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
亜硫酸ナトリウム(Na2SO3) 0.05質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
上記のアルカリケン化処理したCF−1フィルム表面上に、配向膜塗布液をロッドコーターで28mL/m2の塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し配向膜を作製した。なお、配向層形成用塗布液のpHは約6.5であった。
セルロースアセテートフィルムCF−1の遅相軸(波長632.8nmで測定)と平行方向に配向膜にラビング処理を実施した。
(光学異方性層の形成)
光学異方性層の組成物
下記のディスコティック液晶性化合物 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0・2、イーストマンケミカル社製) 0.18質量部
ポリマーA(P−94) 0.18質量部
光重合開始剤(A−2) 1.35質量部
光学異方性層の組成物
下記のディスコティック液晶性化合物 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0・2、イーストマンケミカル社製) 0.18質量部
ポリマーA(P−94) 0.18質量部
光重合開始剤(A−2) 1.35質量部
上記光学異方性層の組成物を、102質量部のメチルエチルケトンに溶解し塗布液とし、これを配向膜上に、#3.6のワイヤーバーで連続的に塗布し、125℃の状態で加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。配向に要した時間は60秒であった。次に、80℃で高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層付き光学補償シート(KH−1)を作製した。
波長546nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は52nmであった。偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シートのムラを観察したところ、正面、および法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
波長546nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は52nmであった。偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シートのムラを観察したところ、正面、および法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
(偏光板HB−1の作製)
偏光板HB−1は、別途作製した偏光子と光学補償シートKH−1を貼りあわせることにより作製した。以下に詳述する。
(偏光子の作製)
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が110mmで厚みは左端が120μm、右端が135μmになるように製膜した。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45度方向に斜め延伸してそのままよう素0.5g/L、よう化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、よう化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽において20度で10秒間水洗したのち80℃で5分間乾燥してよう素系偏光子(HF−01)を得た。偏光子は、幅660mm、厚みは左右とも20μmであった。
偏光板HB−1は、別途作製した偏光子と光学補償シートKH−1を貼りあわせることにより作製した。以下に詳述する。
(偏光子の作製)
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が110mmで厚みは左端が120μm、右端が135μmになるように製膜した。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45度方向に斜め延伸してそのままよう素0.5g/L、よう化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、よう化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽において20度で10秒間水洗したのち80℃で5分間乾燥してよう素系偏光子(HF−01)を得た。偏光子は、幅660mm、厚みは左右とも20μmであった。
(偏光板の作製)
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、KH−1(光学補償シート)を支持体(CF−1)側の面で前記偏光子の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。
偏光子の透過軸とポリマー基材(PK−1)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光子の透過軸と上記トリアセチルセルロースフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板(HB−1)を作製した。
(光学補償シートKH−2〜KH−16の作製)
光学補償シートKH−2〜KH−16は、KH−1に対し、表1に示すとおりに、配向膜に含む求核剤の種類とpH、光学異方性層形成用塗布液のポリマーAの種類と量、同塗布液へのトリアジン環を有する化合物の追加、同塗布液の光重合開始剤の種類と量、をそれぞれ変更して作製した。
本発明の光学補償シートであるか、比較例または参考例のシートであるかは、表1に記した。
(偏光板HB−2〜HB−16の作製)
偏光板HB−1の作製に対して、光学補償シートKH−1の代わりにKH−2〜KH−16を用いて、偏光板HB−2〜HB−16をそれぞれ作製した。
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、KH−1(光学補償シート)を支持体(CF−1)側の面で前記偏光子の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。
偏光子の透過軸とポリマー基材(PK−1)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光子の透過軸と上記トリアセチルセルロースフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板(HB−1)を作製した。
(光学補償シートKH−2〜KH−16の作製)
光学補償シートKH−2〜KH−16は、KH−1に対し、表1に示すとおりに、配向膜に含む求核剤の種類とpH、光学異方性層形成用塗布液のポリマーAの種類と量、同塗布液へのトリアジン環を有する化合物の追加、同塗布液の光重合開始剤の種類と量、をそれぞれ変更して作製した。
本発明の光学補償シートであるか、比較例または参考例のシートであるかは、表1に記した。
(偏光板HB−2〜HB−16の作製)
偏光板HB−1の作製に対して、光学補償シートKH−1の代わりにKH−2〜KH−16を用いて、偏光板HB−2〜HB−16をそれぞれ作製した。
(TN液晶セルでの評価)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AQUOS LC20C1S、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例1で作製した偏光板(HB−1)を、光学補償シート(KH−1)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、視野角を測定した。測定結果を表1に示す。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AQUOS LC20C1S、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例1で作製した偏光板(HB−1)を、光学補償シート(KH−1)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、視野角を測定した。測定結果を表1に示す。
表1に示した結果から、ポリマーAを含有しない光学補償シートでは、水平配向を経由しないため、液晶性化合物の配向に倍以上の時間を要したことが分かる(KH-14・KH−16)。また求核剤を含有しない光学補償シートでは塗布後の面状に多くの欠陥が発生したため液晶表示装置の視野角が充分に拡大されなかったことが理解できる(KH−15)。一方、求核剤とポリマーAの両方を含有する光学補償シート(KH−1〜KH−13)では、水平配向を経由した後ハイブリッド配向するため液晶性化合物の配向速度が著しく向上し、かつ欠陥のない面状が得られたことがわかる。さらにセルロースエステルを添加することで、視野角の拡大に大きく寄与したことが理解できる。
そして、本発明の光重合開始剤を併用することにより、同じUV照射量でもフィルムの密着性に大きな差が生じた。本発明の光重合開始剤を用いたKH−1〜KH−9,KH−14・KH−15は、いずれも配向固定も充分で、かつ密着性に優れていた。
そして、本発明の光重合開始剤を併用することにより、同じUV照射量でもフィルムの密着性に大きな差が生じた。本発明の光重合開始剤を用いたKH−1〜KH−9,KH−14・KH−15は、いずれも配向固定も充分で、かつ密着性に優れていた。
[実施例2]
実施例1で用いたレターデーション上昇剤の添加量および乾燥の温度を適宜変更することにより、Rthを80、90、110、120、130nmにしたセルロースアセテート支持体を作製したこと以外は、実施例1のKH−1/HB−1もしくはと同様にして、光学補償シート、さらには光学補償シート付き偏光板を作製した。ポリマー基材のRthを80、90、110、120、130nmに変えても、上下左右の視野角は実施例1で得られた視野角とほぼ同等であった。
実施例1で用いたレターデーション上昇剤の添加量および乾燥の温度を適宜変更することにより、Rthを80、90、110、120、130nmにしたセルロースアセテート支持体を作製したこと以外は、実施例1のKH−1/HB−1もしくはと同様にして、光学補償シート、さらには光学補償シート付き偏光板を作製した。ポリマー基材のRthを80、90、110、120、130nmに変えても、上下左右の視野角は実施例1で得られた視野角とほぼ同等であった。
[実施例3]
実施例1で用いたレターデーション上昇剤を、下記のレターデーション上昇剤に代え、適当に量を調節することにより、Rthを80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nmにしたセルロースアセテートフィルム支持体を作製した以外は、実施例1のKH−1/HB−1と同様にして、光学補償シート、さらには、光学補償シート付き偏光板をそれぞれ作製した。上下左右の視野角は実施例1で得られた視野角とほぼ同等であった。
実施例1で用いたレターデーション上昇剤を、下記のレターデーション上昇剤に代え、適当に量を調節することにより、Rthを80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nmにしたセルロースアセテートフィルム支持体を作製した以外は、実施例1のKH−1/HB−1と同様にして、光学補償シート、さらには、光学補償シート付き偏光板をそれぞれ作製した。上下左右の視野角は実施例1で得られた視野角とほぼ同等であった。
[実施例4]
光学補償シートKH−1〜KH−16を、長尺フィルムに連続塗布する工程で製造した。配向工程(125℃の加熱処理ゾーン)とUV硬化工程(100℃でUV照射)を連続して通る同一の生産設備で製造すると、比較例のKH−14〜KH−16では配向時間が律速で生産速度が18m/分であり、比較例のKH−10〜KH−13においては、充分な密着性と配向固定を達成するための時間が律速で生産速度が20m/分が限界であったのに対し、本発明のKH−1〜KH−9においては、配向時間とUV硬化のいずれの工程も、KH−16の約半分の時間で済むために、36m/分で生産することが可能であった。
すなわち、従来と同一の生産設備を用いているのにも関わらず、本発明の処方により、生産速度は約2倍を達成することができた。
光学補償シートKH−1〜KH−16を、長尺フィルムに連続塗布する工程で製造した。配向工程(125℃の加熱処理ゾーン)とUV硬化工程(100℃でUV照射)を連続して通る同一の生産設備で製造すると、比較例のKH−14〜KH−16では配向時間が律速で生産速度が18m/分であり、比較例のKH−10〜KH−13においては、充分な密着性と配向固定を達成するための時間が律速で生産速度が20m/分が限界であったのに対し、本発明のKH−1〜KH−9においては、配向時間とUV硬化のいずれの工程も、KH−16の約半分の時間で済むために、36m/分で生産することが可能であった。
すなわち、従来と同一の生産設備を用いているのにも関わらず、本発明の処方により、生産速度は約2倍を達成することができた。
Claims (15)
- 支持体上に、配向層形成用塗布液から形成された配向層と光重合開始剤および液晶性化合物を含む液晶性組成物から形成された光学異方性層とを支持体側からこの順に有する光学補償シートであって、該液晶性組成物がカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基[−PO(OH)2]およびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性基を有するフルオロ脂肪族基含有ポリマー(以下、「ポリマーA」という)の少なくとも一種を含有し、前記光重合開始剤の感光域が330nm〜450nmの範囲であり、かつ該光重合開始剤が水素原子を除く原子の数が8以下の炭化水素ラジカルまたはハロゲンラジカルを発生し、かつ該配向層形成用塗布液および/また該液晶性組成物が求核性定数(n)5以上10以下の求核剤を1種以上含有する光学補償シート。
- 前記配向層形成用塗布液がポリマーAを含有する請求項1に記載の光学補償シート。
- 前記ポリマーAが、さらに少なくとも1つのフェニル基および/またはフェニレン基を含有する請求項1または2に記載の光学補償シート。
- 前記ポリマーAが、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを含む共重合体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学補償シート。
Lは下記の連結基群から選ばれる2価の連結基または下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表し、
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基、およびアリーレン基;
Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。) - 一般式(1)におけるLがフェニレン基を含む2価の連結基である請求項4に記載の光学補償シート。
- 前記液晶性組成物が、セルロースエステルを更に含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位が、下記一般式[1]または[2]で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位である請求項4〜7のいずれか1項に記載の光学補償シート。
一般式[2]
- 前記液晶性組成物が、1,3,5−トリアジン環基を有する化合物を更に含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 前記求核剤が、亜硫酸イオンを生じる亜硫酸塩、チオ硫酸イオンを生じるチオ硫酸塩、および水酸化物イオンを有する化合物から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 前記液晶性化合物が、ディスコティック液晶性化合物である請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 前記光学異方性層中、前記液晶性化合物がハイブリッド配向し、かつ該ハイブリッド配向が固定されている請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学補償シートを有する偏光板。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学補償シートを有する液晶表示装置。
- 少なくとも、液晶セルと、該液晶セルの両側にそれぞれ配置された一対の偏光子と、前記一対の偏光子の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学補償シートとを有する液晶表示装置。
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JP2006123308A JP2007293180A (ja) | 2006-04-27 | 2006-04-27 | 光学補償シートおよびその製造方法、偏光板、ならびに液晶表示装置 |
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JP2010042623A (ja) * | 2008-08-14 | 2010-02-25 | Jsr Corp | 積層フィルムおよび積層フィルムの製造方法、ならびにそれを備える偏光板および液晶表示素子 |
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-
2006
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