JP2007292262A - パイロット式切換弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】対をなす弁体と弁座との間のシールを確保するための部品の製造コストを抑えることができるとともに、弁体と弁座を組み立てて、全体の組み立て前に弁体と弁座の間のシール性の検査を行うことができ、生産性を向上させることができるパイロット式切換弁を提供する。
【解決手段】パイロット式切換弁11において、弁座形成部材22がシリンダ部13内に収容されることにより、弁室24に弁座31が設けられている。ピストン28において、弁座形成部材22を貫通して弁室24まで延びた延設部28dに弁体30が一体化されているとともに、コイルばね32のばね力によって、弁体30は弁座31に着座する方向へ付勢されている。主弁20は、弁座形成部材22のガイド部22bにピストン28が挿入され、さらに、該ピストン28の延設部28dに弁体30が取り付けられてなる弁組立体55がシリンダ部13内に収容されることによって構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】パイロット式切換弁11において、弁座形成部材22がシリンダ部13内に収容されることにより、弁室24に弁座31が設けられている。ピストン28において、弁座形成部材22を貫通して弁室24まで延びた延設部28dに弁体30が一体化されているとともに、コイルばね32のばね力によって、弁体30は弁座31に着座する方向へ付勢されている。主弁20は、弁座形成部材22のガイド部22bにピストン28が挿入され、さらに、該ピストン28の延設部28dに弁体30が取り付けられてなる弁組立体55がシリンダ部13内に収容されることによって構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、パイロット流体の給排に伴うピストンの上下動に基づいて弁座に対して弁体が離間又は着座することにより、入力ポートと出力ポートとを連通する流路を開閉させる主弁を備えるとともに、ピストンを動作させるためのパイロット流体を主弁に給排するパイロット弁を備えたパイロット式切換弁に関する。
この種のパイロット式切換弁としては、例えば特許文献1に開示されるものが挙げられる。図8に示すように、特許文献1に開示のパイロット式切換弁70(パイロット式電磁弁)は、主弁80とパイロット弁90(パイロット流体制御用電磁弁)とを備えている。前記主弁80の本体81には圧力流体の入力ポート81aと出力ポート81bが形成されているとともに、各ポート81a,81bに連通するシリンダ部86及び弁室82が形成されている。前記弁室82内には弁体83が上下動可能に支持され、弁体83の上下動は弁室82の周面によってガイドされるようになっている。また、該弁体83と弁室82の底面との間にはコイルスプリング84が配設されているとともに、弁室82の上部には弁座85が設けられている。そして、弁体83は前記コイルスプリング84の付勢力により、常には弁座85に着座して入力ポート81aと出力ポート81bとの連通を遮断するようになっている。
また、前記弁室82の上側にはシリンダ部86が形成され、そのシリンダ部86内には弁座形成部材95が収容されているとともに、該弁座形成部材95内にはピストン87が上下動可能に支持されている。このピストン87の上下動は、前記弁座形成部材95の内周面によってガイドされるようになっている。前記ピストン87の下部には、連接軸87aが一体に形成され、その連接軸87aが前記弁室82の上部まで延設されて、前記弁体83の上面に当接している。また、ピストン87の上部において、前記シリンダ部86は連通孔88を介してパイロット弁90のパイロット流体出力ポート91に連通されている。そして、前記パイロット弁90のソレノイド92が励磁されると、パイロット弁90のパイロット流体入力ポート93とパイロット流体出力ポート91が連通され、前記連通孔88を介してピストン87の上部へパイロット流体が供給されるようになっている。すると、前記ピストン87によって弁体83が下方へ押し下げられ、弁体83が弁座85から離間して入力ポート81aと出力ポート81bとが連通して、出力ポート81bから圧力流体が出力される。一方、前記パイロット弁90のソレノイド92が励磁されないと、パイロット流体出力ポート91とパイロット流体排出ポート94が連通され、ピストン87の上部へはパイロット流体が供給されないようになっている。このため、弁体83は弁座85に着座した状態が維持され、出力ポート81bからは圧力流体が出力されないようになっている。
特開平2005−299815号公報
ところで、パイロット式切換弁においては、出力ポート81bからの出力が行われないときは、入力ポート81aと出力ポート81bとの連通を遮断して圧力流体が入力ポート81aから出力ポート81bへ供給されないようにしなければならない。このため、パイロット式切換弁においては、前記弁体83は円滑に弁室82の内周面を摺動し、弁座85に着座したとき該弁体83と弁座85の間を確実にシールしなければならない。弁体83の円滑な摺動と確実なシールのためには、弁座85に確実に着座する方向へ弁体83ががたつき少なく移動するようにガイドする必要があるとともに、弁座85を弁室82と同軸上に配置しなければならない。そして、特許文献1においては、弁体83のガイドは弁室82の内周面によって行われ、弁座85は弁座形成部材95をシリンダ部86内へ収容することで設けられる。したがって、本体81の製造時において、弁座85と弁室82の中心軸とを同軸上に位置させるために、弁座形成部材95が収容されるシリンダ部86と、弁室82とを中心軸が同軸上に位置するように形成しなければならない。このため、シリンダ部86の内周面と弁室82の内周面との間に高い同軸度や寸法精度が要求され、その結果としてパイロット式切換弁の部品の製造コストが嵩んでしまっていた。
また、特許文献1に開示のパイロット式切換弁においては、全ての部材を組み立てた後に、はじめてパイロット式切換弁として機能するため、全ての部材の組立が終了した後にしか前記弁座85と弁体83との間のシール性の検査を行うことができなかった。このため、万一、シール性に問題があり、圧力流体の漏れ等の不具合があった場合には、組み立てたパイロット式切換弁を全て分解しなければ不良箇所の修正を行うことができず、パイロット式切換弁の生産性向上の妨げとなっていた。
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、対をなす弁体と弁座との間のシールを確保するための部品の製造コストを抑えることができるとともに、弁体と弁座を組み立てて、全体の組み立て前に弁体と弁座の間のシール性の検査を行うことができ、生産性を向上させることができるパイロット式切換弁を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、弁ボディに圧力流体の入力ポート及び出力ポートが形成され、パイロット流体の給排に伴うピストンの上下動に基づいて弁座に対して弁体が離間又は着座することにより、前記入力ポートと出力ポートとを連通する流路を開閉させる主弁を備えるとともに、前記ピストンを動作させるためのパイロット流体を前記主弁に給排するパイロット弁を備えたパイロット式切換弁であって、前記弁ボディに形成されたシリンダ部内に、前記弁座を一体に備えた筒状をなす弁座形成部材が収容され、前記弁座形成部材によってシリンダ部内に前記流路の一部を構成する弁室が区画形成されているとともに該弁室に前記弁座が設けられ、さらに、前記弁座形成部材に、前記弁座と中心軸が同軸上に位置するガイド部が形成され、該ガイド部に前記ピストンが挿入されているとともに、該ピストンは中心軸がガイド部の中心軸に沿って上下動するように前記ガイド部にガイド可能にされ、前記ピストンにおいて前記弁座形成部材を貫通して前記弁室まで延びた延設部に前記弁体が取り付けられ、該弁体はピストンと一体に上下動可能に設けられているとともに付勢手段の付勢力によって弁座に着座する方向へ付勢されており、前記主弁は、前記弁座形成部材の前記ガイド部に前記ピストンが挿入され、さらに、該ピストンの延設部に前記弁体が取り付けられてなる弁組立体が前記シリンダ部内に収容されることによって構成されていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパイロット式切換弁において、前記弁ボディには複数のシリンダ部が設けられ、各シリンダ部内に前記弁組立体が収容されて複数の主弁を備えていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のパイロット式切換弁において、前記弁ボディ、及び弁組立体は合成樹脂材料より形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のパイロット式切換弁において、前記付勢手段は、前記弁座形成部材とピストンとの間に介在されたコイルばねよりなるとともに、前記弁体は前記コイルばねによりピストンを介して付勢され、該コイルばねは前記ガイド部の外周側に設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のパイロット式切換弁において、前記付勢手段は、前記弁座形成部材とピストンとの間に介在されたコイルばねよりなるとともに、前記弁体は前記コイルばねによりピストンを介して付勢され、該コイルばねは前記ガイド部の外周側に設けられていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のパイロット式切換弁において、前記弁組立体は、前記コイルばねも含むことを要旨とする。
本発明によれば、対をなす弁体と弁座との間のシールを確保するための部品の製造コストを抑えることができるとともに、弁体と弁座を組み立てて、全体の組み立て前に弁体と弁座の間のシール性の検査を行うことができ、生産性を向上させることができる。
以下、本発明を具体化したパイロット式切換弁の一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態のパイロット式切換弁11は、複数(本実施形態では3つ)の主弁20を備えるとともに、該主弁20それぞれに1つずつ対応して設けられた複数(本実施形態では3つ)のパイロット弁としてのパイロット電磁弁61を備えている。パイロット式切換弁11の外郭は、合成樹脂材料製の弁ボディ12の上部に、該弁ボディ12に凹設されたシリンダ部13を開閉する合成樹脂材料製の蓋部材14が取り付けられ、さらに、該蓋部材14に前記複数のパイロット電磁弁61が取り付けられて形成されている。また、図5に示すように、前記弁ボディ12には複数(本実施形態では3つ)のシリンダ部13が凹設され、各シリンダ部13にはそれぞれ弁組立体55が収容されている。
図1、図2及び図5に示すように、弁ボディ12には、1つの入力ポート15が弁ボディ12の一側面に開口するように形成され、該入力ポート15には圧力流体が供給されるようになっている。また、弁ボディ12には、入力ポート15に供給された圧力流体を出力する出力ポート16が複数(本実施形態では3箇所)に形成されている。各出力ポート16は、流路を介して入力ポート15に連通されている。そして、各主弁20は、入力ポート15と各出力ポート16とを連通する各流路を開閉するようになっている。なお、パイロット式切換弁11において、3つの主弁20は全て同じ構成であり、3つのパイロット電磁弁61も全て同じ構成であるため、以下の説明においては、1つの主弁20及び1つのパイロット電磁弁61を用いて説明する。
まず、前記主弁20の全体構成について説明する。図1に示すように、前記弁ボディ12において、シリンダ部13内には、合成樹脂材料により略円筒状に形成された弁座形成部材22が収容されているとともに、弁座形成部材22の外周面とシリンダ部13の内周面との間にはOリング23が介在され、シリンダ部13と弁座形成部材22との間からの圧力流体の漏れを防止している。シリンダ部13内に弁座形成部材22が収容された状態では、弁座形成部材22とシリンダ部13とが同軸上に位置している。また、前記弁座形成部材22がシリンダ部13内に収容されることによって、シリンダ部13の下部には、弁室24が区画形成されている。この弁室24は前記入力ポート15と連通孔27を介して連通されている。また、シリンダ部13の上部であって、前記弁座形成部材22の上部には受圧室25が区画形成されている。さらに、弁座形成部材22には、断面視がT字状をなす流路形成孔22aが形成されている。そして、弁座形成部材22がシリンダ部13内に収容された状態では、流路形成孔22aは前記弁室24と連通するとともに、前記出力ポート16に連通するようになっている。すなわち、シリンダ部13は、弁座形成部材22によって、シリンダ部13の下側の弁室24と、シリンダ部13の上側の受圧室25に区画されている。また、入力ポート15と出力ポート16とは、連通孔27、弁室24、流路形成孔22aを介して連通可能になっており、該連通孔27、弁室24、及び流路形成孔22aが入力ポート15と出力ポート16の間に介在する流路を構成している。
図1、図3及び図4に示すように、前記弁座形成部材22の中央部には、円筒状に上下方向に延びるガイド部22bが立設されているとともに、該ガイド部22b内にはピストン28が上下動可能に挿入されている。このピストン28は、ガイド部22bの内周面によって、ピストン28の中心軸L1がガイド部22bの中心軸L2に沿って上下動するように、すなわち、ガイドされるようにガイド部22bと同軸上に位置している。ガイド部22bの外周側には付勢手段としてのコイルばね32が装着され、該コイルばね32の下端(一端)は、ガイド部22bの外周側となる弁座形成部材22に当接しているとともに、コイルばね32の上端(他端)は前記ピストン28に当接している。そして、ピストン28は、コイルばね32のばね力(付勢力)によって上方に向けて付勢されている。
図1に示すように、前記ピストン28の下部には延設部28dが一体形成されているとともに、延設部28dは前記流路形成孔22aを貫通して弁室24にまで達している。また、弁室24内に位置する延設部28dの周面には、一対の爪部28a,28bが突設されているとともに、一対の爪部28a,28bは、ピストン28の中心軸L1方向に沿って互いに離間して設けられている。そして、ピストン28の延設部28dにおいて、前記爪部28a,28bの間には弁体30がクリップ59によって取り付けられているとともに、該弁体30が弁室24内に配設されている。なお、前記クリップ59は、図3(b)に示すように、金属製の線材を二条となるように折り返し、隣り合う線材の先端の間からピストン28の延設部28dを挿入可能になっている。そして、前記弁体30は、該爪部28a,28b及びクリップ59によって弁体30のピストン28の中心軸L1方向への移動が阻止されるように延設部28dに取り付けられているとともに、ピストン28と一体に上下動可能になっている。前記弁体30は、合成樹脂材料製の基板30aの上面にゴム材料製の当接面30bが接合されて円盤状に形成されている。この弁体30の外径は、弁室24の直径より小さく、弁体30の周面と弁室24の周面との間には、弁室24の径方向に沿う幅が一定の隙間が形成され、弁体30の周面が弁室24の周面に摺接しないようになっている。また、弁体30は、当接面30bがピストン28の中心軸L1に対して直交するようにピストン28に取り付けられている。
前記弁座形成部材22の下部において、前記弁室24に臨むこととなる下面であって、前記流路形成孔22aの口元には弁座31が形成されている。この弁座31は、その中心軸L3がガイド部22bの中心軸L2と同軸上に位置するように形成されている。このため、ガイド部22bによって上下動がガイドされるピストン28は、その中心軸L1が弁座31の中心軸L3に沿って上下動するようになっている。そして、ピストン28がコイルばね32によって上方に向けて付勢された状態では、弁体30は当接面30bが弁座31に着座(当接)して、弁室24と流路形成孔22aとの連通を遮断するようになっている。逆に、ピストン28が下動した状態では、弁体30は当接面30bが弁座31から離間して、弁室24と流路形成孔22aとを連通させるようになっている。
ピストン28の上下動において、弁体30(当接面30b)が弁座31に着座する方向への移動(上動)のガイドは、ガイド部22bの内周面によって行われる。すなわち、ピストン28は、ガイド部22bの内周面によって、該ピストン28の中心軸L1がガイド部22bの中心軸L2に沿うように上動する。ガイド部22bの中心軸L2は、弁座31の中心軸L3と同軸上に位置するため、ガイド部22bの中心軸L2に沿って上動するピストン28は、その中心軸L1が弁座31の中心軸L3に沿って上動する。さらに、弁体30は、当接面30bがピストン28の中心軸L1に対して直交するようにピストン28に取り付けられている。したがって、弁体30は、弁座31に対して傾くことなく、弁座31に着座して弁体30と弁座31との間を確実にシールするようになっている。前記受圧室25は、蓋部材14を貫通する連通孔33を介して前記パイロット電磁弁61のパイロット流体出力ポート62に連通されている。また、前記入力ポート15には、上方に延びる分岐孔34が連通され、該分岐孔34はパイロット電磁弁61のパイロット流体入力ポート63に連通されている。
次に、前記パイロット電磁弁61について説明する。パイロット電磁弁61は、励磁電流に基づいて励磁されるコイル65と、コイル65の励磁動作と、非励磁動作に基づいて往復動作を行う可動鉄芯66と、その可動鉄芯66の往復動作に基づいて前記パイロット流体出力ポート62と、パイロット流体入力ポート63と、パイロット流体排気ポート64を開閉する弁軸67とを備えている。前記パイロット流体排気ポート64は、パイロット電磁弁61の外面に開放されている。
そして、図6に示すように、上記パイロット式切換弁11において、コイル65が励磁されると、可動鉄芯66及び弁軸67が移動してパイロット流体入力ポート63とパイロット流体出力ポート62が連通され、パイロット電磁弁61が開路されて、圧力流体がパイロット流体として主弁20の受圧室25に供給されるようになっている。主弁20において、パイロット流体の供給に基づいてピストン28が押し下げられる(移動する)。この結果、ピストン28と一体に弁体30も下方へ移動(下動)して、弁体30(当接面30b)が弁座31から離間するため、圧力流体の流路が開路され、圧力流体が入力ポート15から出力ポート16へ流通可能となり、出力ポート16から出力される。一方、図1に示すように、コイル65を非励磁とすると、パイロット流体入力ポート63とパイロット流体出力ポート62との連通が遮断され、パイロット流体出力ポート62とパイロット流体排気ポート64とが連通される。すると、パイロット流体排気ポート64からパイロット流体が大気開放されるとともに、受圧室25へのパイロット流体の供給が停止される。すると、コイルばね32の付勢力によりピストン28が上方へ向けて移動(上動)して、弁体30(当接面30b)が弁座31に着座する。すなわち、圧力流体の流路が閉路され、圧力流体が出力ポート16から出力されない。
上記構成のパイロット式切換弁11において、主弁20はシリンダ部13内に弁組立体55を収容することにより形成されている。前記弁組立体55は、前記弁座形成部材22と、ピストン28と、弁体30と、コイルばね32とを一体に組み立てて形成されている。弁組立体55を組み立てるには、まず、弁座形成部材22のガイド部22bの外周側にコイルばね32を配設する。次に、図3に示すように、弁座形成部材22のガイド部22b内に、ピストン28を延設部28d側から挿入し、該ピストン28の延設部28dを流路形成孔22aを貫通させる。次に、ピストン28の延設部28dを弁体30の中央部に挿入して爪部28aに当接面30bを当接させ、さらに、弁体30(基板30a)の下面と爪部28bとの間にクリップ59を嵌入し、該クリップ59によって弁体30の当接面30bを爪部28aに押し当てる。すると、図4に示すように、クリップ59によって弁体30がピストン28に対して抜け落ち不能に取り付けられ、弁座形成部材22と、ピストン28と、コイルばね32と、弁体30とが一体に組み立てられた弁組立体55が形成される。
この弁組立体55が完成した状態では、ピストン28は弁座形成部材22に対して移動可能になっているとともに、コイルばね32のばね力によってピストン28が付勢され、弁体30(当接面30b)が弁座31に着座する方向へ付勢されている。そして、弁組立体55においては、ピストン28の上下動、弁体30の弁座31に対する離間又は着座を検査することができるようになっている。このため、パイロット式切換弁11の組立においては、弁組立体55を組み立てた段階で、弁体30と弁座31とのシール性の検査が行われ、該検査の後、弁組立体55がそれぞれシリンダ部13に収容される。その後、弁ボディ12の上面に蓋部材14を取り付けてシリンダ部13を閉塞した後、パイロット電磁弁61を蓋部材14に取り付けることによりパイロット式切換弁11が形成される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ピストン28に弁体30が一体移動可能に取り付けられ、ピストン28は中心軸L1がガイド部22bの中心軸L2に沿って上下動するようにガイド部22bによってガイドされる。そして、弁座31の中心軸L3は、前記ガイド部22bの中心軸L2と同軸上に位置するように弁座形成部材22に形成されている。したがって、ピストン28の上下動をガイドするガイド部22bの内周面と弁座31の寸法精度を高めることで、弁体30が弁座31に確実に着座するように調整することができ、弁体30と弁座31とのシール性を確保することができる。特許文献1に開示のパイロット式切換弁のように、弁体83とピストン87が別体に形成されていた場合は、弁体83を弁座85の中心に確実に着座させるためには、弁座形成部材95の弁座85の中心軸が弁室82の中心軸と同軸上に位置するように、シリンダ部86と弁室82を形成しなければならない。すなわち、特許文献1のパイロット式切換弁は、弁室82の内周面とシリンダ部86の内周面の両内周面を同軸上に位置させる高い同軸度や寸法精度が要求され、この同軸度や寸法精度の確保のために部品の製造コストが嵩んでいた。これに対し、本実施形態のパイロット式切換弁11においては、シリンダ部13の内周面と弁室24の内周面とを同軸上に形成する必要がないため、特許文献1のような高い同軸度や寸法精度を必要とせず、パイロット式切換弁11の部品の製造コストを抑えることができる。言い換えれば、弁室24(シリンダ部13)の成形については、高い寸法精度は必要とされず、弁ボディ12の形成が容易になる。
(1)ピストン28に弁体30が一体移動可能に取り付けられ、ピストン28は中心軸L1がガイド部22bの中心軸L2に沿って上下動するようにガイド部22bによってガイドされる。そして、弁座31の中心軸L3は、前記ガイド部22bの中心軸L2と同軸上に位置するように弁座形成部材22に形成されている。したがって、ピストン28の上下動をガイドするガイド部22bの内周面と弁座31の寸法精度を高めることで、弁体30が弁座31に確実に着座するように調整することができ、弁体30と弁座31とのシール性を確保することができる。特許文献1に開示のパイロット式切換弁のように、弁体83とピストン87が別体に形成されていた場合は、弁体83を弁座85の中心に確実に着座させるためには、弁座形成部材95の弁座85の中心軸が弁室82の中心軸と同軸上に位置するように、シリンダ部86と弁室82を形成しなければならない。すなわち、特許文献1のパイロット式切換弁は、弁室82の内周面とシリンダ部86の内周面の両内周面を同軸上に位置させる高い同軸度や寸法精度が要求され、この同軸度や寸法精度の確保のために部品の製造コストが嵩んでいた。これに対し、本実施形態のパイロット式切換弁11においては、シリンダ部13の内周面と弁室24の内周面とを同軸上に形成する必要がないため、特許文献1のような高い同軸度や寸法精度を必要とせず、パイロット式切換弁11の部品の製造コストを抑えることができる。言い換えれば、弁室24(シリンダ部13)の成形については、高い寸法精度は必要とされず、弁ボディ12の形成が容易になる。
(2)また、本実施形態のパイロット式切換弁11は、弁座形成部材22(ガイド部22bと弁座31)の寸法精度を高めるだけで良く、シリンダ部13と弁室24の同軸性を必要としなくて済む。このため、弁ボディ12を合成樹脂材料によって製造しても合成樹脂材料特有のソリ変形等による同軸度の狂いの影響を受けにくくなる。したがって、加工コストの高い金属材料に替えて合成樹脂材料によってパイロット式切換弁11を製造することにより、パイロット式切換弁11の製造コストを抑えることができる。
(3)弁座31を形成する弁座形成部材22と、弁体30と、該弁体30を移動させるピストン28と、弁体30を付勢するコイルばね32とを組み立た弁組立体55をシリンダ部13内に収容することで主弁20を形成可能とした。このため、弁組立体55を組み立てた段階で、対をなす弁座31と弁体30が確定する。この弁組立体55を個別に収容可能な加圧治具(図示せず)を用意することにより、弁座31と弁体30との着座状態、すなわちシール性の検査を、パイロット式切換弁11の組立前(事前)に行うことができ、シール性に不具合がある弁組立体55がパイロット式切換弁11に組み入れられることが無くなる。したがって、全ての部材を組み立ててパイロット式切換弁11を形成した後でしか、シール性の検査を行うことができず、シール性に不具合が合った場合には、該不具合箇所の交換等のために全ての部材を分解するといった作業の必要が無くなる。その結果として、パイロット式切換弁11の組み立て後の不良発生数を低減させてパイロット式切換弁11の生産性を向上させることができる。
(4)特に、本実施形態のパイロット式切換弁11は、複数(3つ)の主弁20及びパイロット電磁弁61を備えたタイプである。このように複数の主弁20及びパイロット電磁弁61を備えたパイロット式切換弁11において、全ての部材を組み立てた後にしか検査ができず、シール性に不具合が合った場合に全ての部材を分解しなければならないことは、非常に生産性が悪くなる。これに対し、本実施形態のパイロット式切換弁11は、その全体の組み立て前に弁組立体55毎にシール性の検査を行うことができるため、組み立て後に不具合が発生することをほとんど無くすことができ、結果としてパイロット式切換弁11の組み立て後の分解作業もほとんど無くすことができる。よって、パイロット式切換弁11は、複数の主弁20を備えたタイプにおいて特に効果を発揮する。
(5)弁体30は、ピストン28と弁座形成部材22との間に介在されたコイルばね32によって弁座31に着座する方向へ付勢されている。そして、ピストン28はガイド部22bによってその上下動がガイドされているため、ピストン28がコイルばね32によって付勢されることにより、コイルばね32の付勢力によって弁体30が弁座31に確実に着座する方向へ弁体30を移動(上動)させることができる。すなわち、例えば、コイルばね32を弁室24の底面に設けて弁体30を付勢する場合のように、弁体30がコイルばね32の平行度や垂直度などの精度の影響を受けることがなく、弁体30の弁座31へ向けた移動(上動)を正確なものとし、弁体30が弁座31に着座したときのシール性を良好とすることができる。
(6)コイルばね32は、弁座形成部材22のガイド部22bの外周側に設けられ、ピストン28を上下動させるために確保される空間に設けられている。すなわち、コイルばね32は主弁20を形成するのに必要な空間を用いて設けられている。したがって、例えば、特許文献1のように、コイルスプリング84を弁体83と弁室82の底面との間に設け、コイルスプリング84用の空間を本体81に設けることによって、本体81が大型化することを防止することができる。
(7)弁組立体55の組立作業において、クリップ59によって弁体30をピストン28に対して移動不能に取り付けることができる。したがって、例えば、弁組立体55の組立作業において、弁体30を接着やねじ止め等でピストン28に取り付ける場合に比して作業性を高めることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 図7に示すように、ピストン28への弁体30に取り付けにおいて、クリップ59を削除し、弁体30を爪部28a,28bによってピストン28に係留させてもよい。
○ 図7に示すように、ピストン28への弁体30に取り付けにおいて、クリップ59を削除し、弁体30を爪部28a,28bによってピストン28に係留させてもよい。
○ コイルばね32は、弁体30の下面と弁室24の底面との間に設けられていてもよい。
○ 付勢手段として、圧力流体によってピストン28を付勢してもよい。この場合は、コイルばね32は削除されるため、弁組立体55は、弁座形成部材22と、ピストン28と、弁体30とから構成される。
○ 付勢手段として、圧力流体によってピストン28を付勢してもよい。この場合は、コイルばね32は削除されるため、弁組立体55は、弁座形成部材22と、ピストン28と、弁体30とから構成される。
○ パイロット式切換弁11において、主弁20は金属材料によって製造されていてもよい。
○ パイロット式切換弁11は、主弁20を1つ備え、該主弁20に対応してパイロット電磁弁61を1つだけ備えたタイプであってもよい。
○ パイロット式切換弁11は、主弁20を1つ備え、該主弁20に対応してパイロット電磁弁61を1つだけ備えたタイプであってもよい。
○ パイロット式切換弁11は、主弁20を2つ又は4つ以上備え、該主弁20に対応してパイロット電磁弁61を2つ又は4つ以上備えたタイプであってもよい。
L1,L2,L3…中心軸、11…パイロット式切換弁、12…弁ボディ、13…流路を構成するシリンダ部、15…入力ポート、16…出力ポート、20…主弁、22…弁座形成部材、22a…流路を構成する流路形成孔、22b…ガイド部、24…流路を構成する弁室、27…流路を構成する連通孔、28…ピストン、28d…延設部、30…弁体、31…弁座、32…付勢手段としてのコイルばね、55…弁組立体、61…パイロット弁としてのパイロット電磁弁。
Claims (5)
- 弁ボディに圧力流体の入力ポート及び出力ポートが形成され、パイロット流体の給排に伴うピストンの上下動に基づいて弁座に対して弁体が離間又は着座することにより、前記入力ポートと出力ポートとを連通する流路を開閉させる主弁を備えるとともに、前記ピストンを動作させるためのパイロット流体を前記主弁に給排するパイロット弁を備えたパイロット式切換弁であって、
前記弁ボディに形成されたシリンダ部内に、前記弁座を一体に備えた筒状をなす弁座形成部材が収容され、前記弁座形成部材によってシリンダ部内に前記流路の一部を構成する弁室が区画形成されているとともに該弁室に前記弁座が設けられ、
さらに、前記弁座形成部材に、前記弁座と中心軸が同軸上に位置するガイド部が形成され、該ガイド部に前記ピストンが挿入されているとともに、該ピストンは中心軸がガイド部の中心軸に沿って上下動するように前記ガイド部にガイド可能にされ、
前記ピストンにおいて前記弁座形成部材を貫通して前記弁室まで延びた延設部に前記弁体が取り付けられ、該弁体はピストンと一体に上下動可能に設けられているとともに付勢手段の付勢力によって弁座に着座する方向へ付勢されており、
前記主弁は、前記弁座形成部材の前記ガイド部に前記ピストンが挿入され、さらに、該ピストンの延設部に前記弁体が取り付けられてなる弁組立体が前記シリンダ部内に収容されることによって構成されていることを特徴とするパイロット式切換弁。 - 前記弁ボディには複数のシリンダ部が設けられ、各シリンダ部内に前記弁組立体が収容されて複数の主弁を備えている請求項1に記載のパイロット式切換弁。
- 前記弁ボディ、及び弁組立体は合成樹脂材料より形成されている請求項1又は請求項2に記載のパイロット式切換弁。
- 前記付勢手段は、前記弁座形成部材とピストンとの間に介在されたコイルばねよりなるとともに、前記弁体は前記コイルばねによりピストンを介して付勢され、該コイルばねは前記ガイド部の外周側に設けられている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のパイロット式切換弁。
- 前記弁組立体は、前記コイルばねも含む請求項4に記載のパイロット式切換弁。
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