JP2007290389A - 加飾シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル樹脂からなる基材フィルム11の表面にマットコート剤からなるマット層12を積層し、該基材フィルムの裏面に絵柄インキ層13を積層してなり、かつ該マット層面及び/又は該絵柄インキ層面に該基材フィルム面内をも含むエンボス加工をしてなる加飾シート10であって、該マットコート剤が二液硬化型樹脂及び艶消し剤を含むことを特徴とする加飾シートである。
【選択図】図1
Description
また、熱可塑性透明樹脂の基材フィルムに熱圧を加えるエンボス加工を施して凹凸模様を賦形した加飾シートを使用する方法も知られている。この方法によれば、基材フィルムの表面又は裏面のいずれにも賦形し得る。
さらに、紫外線等の電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂のインキによる盛上げ印刷によって、加飾シートに凹凸模様を付与する方法が提案されている。(例えば、特許文献1及び2参照)
そして、基材フィルムに熱可塑性樹脂シートを用いる場合では、成形品の立体面を加飾する為に、射出成形工程に先立ち真空成形工程にて加飾シートを予備成形する時の熱によって、エンボスされた凹凸模様の凹凸形状が消失してしまう場合があった。
また、硬化性樹脂のインキによる盛上げ印刷による方法は、電離放射線照射の制御が難しかった。
従って、製造し易い方法である加飾シート又はその基材フィルムにエンボス加工を施して凹凸模様を賦形する方法の改良が望まれていた。
しかしながら、いずれも熱可塑性樹脂の基材フィルムに艶消し剤を添加するので、真空成形時に表面の艶(グロス値)が所望する水準より高くなり、マット調が損なわれる問題があり、加えて、これらの加飾シートを用いた加飾成形品の使用時に100℃以上の高温にさらされた場合、加飾成形品の表面に艶消し剤が浮き出てきて(ブリード現象)、表面の艶が低下する問題もあった。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.アクリル樹脂からなる基材フィルムの表面にマットコート剤からなるマット層を積層し、該基材フィルムの裏面に絵柄インキ層を積層してなり、かつ該マット層面及び/又は該絵柄インキ層面に該基材フィルム面内をも含むエンボス加工をしてなる加飾シートであって、該マットコート剤が二液硬化型樹脂及び艶消し剤を含むことを特徴とする加飾シート。
2.二液硬化型樹脂がアクリルポリオール及びイソシアネートからなる上記1に記載の加飾シート。
3.アクリルポリオールが塩化ビニル変性アクリルポリオールである上記2に記載の加飾シート。
4.艶消し剤が、シリカである上記1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
5.基材フィルムのアクリル樹脂のガラス転移点が95〜110℃である上記1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
図1及び2にあるように、本発明の加飾シート10は、基材フィルム11の表面にマットコート剤からなるマット層12を積層し、基材フィルムの裏面に絵柄インキ層13を積層してなり、かつ加飾シート10にエンボス加工を施したものである。
図1は、マット層12面にエンボス加工を施した本発明の加飾シート10を示す。このエンボス加工は、図1のように基材フィルム11面内をも含むものである。また、必要に応じて、図1のように絵柄インキ層13面内を含んでもよい。
図2は、絵柄インキ層13面にエンボス加工を施した本発明の他の加飾シート10を示す。このエンボス加工は、図2のように基材フィルム11面内をも含むものである。
エンボス加工は、マット層12面又は絵柄インキ層13面の一方のみにしてもよいし、双方にしてもよい。
ここで、ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、エポキシポリオール等、種々のものがあるが、アクリルポリオールが好ましい。このアクリルポリオールとしては、塩化ビニル変性アクリルポリオール、塩化ビニル−酢酸ビニル変性アクリルポリオール、塩素化ポリオレフィン変性アクリルポリオール、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、オクチル(メタ)アクリレート−エチルヘキシル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等が挙げられるが、塩化ビニル変性アクリルポリオールが特に好ましい。
マット層12を成すマットコート剤が熱硬化型樹脂により製造工程で硬化するので、真空成形工程において加飾シートの表面の艶が維持される。さらに、加飾成形品が使用時に110℃の温度にさらされても、マット層12中の艶消し剤がマット層の表面に浮き出てきて、表面の艶が低くなることを防止し得る。
バインダーの樹脂は、アクリル樹脂単独又はアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物を主成分とするのが好ましい。基材フィルム11としてアクリル樹脂を用いる場合は、基材フィルム11との密着性を出す為にアクリル樹脂を用い、更に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体又は別のアクリル樹脂を混合すると印刷適性、成形適性がより好適となる。
ここで、アクリル樹脂としては、上述の基材フィルムのところで列記したものと同様のものの中から適宜選択する他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオールを用いることも出来る。
また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20質量%程度、平均重合度350〜900程度のものが用いられる。必要に応じ、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体に更にマレイン酸、フマル酸等のカルボン酸を共重合させても良い。アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合比は、アクリル樹脂/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体=1/9〜9/1(質量比)程度である。この他、副成分の樹脂として、必要に応じて、適宜その他の樹脂、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン等の樹脂を混合しても良い。
さらに、着色剤として、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、ペリレンレッド等の有機顔料、アルミニウム、真鍮等の金属の粉末又は鱗片等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母の粉末又は鱗片等の真珠光沢(パール)顔料、或いは染料等が用いられる。
次に、加飾シート10は公知の方法でマット層12面及び/又は絵柄インキ層13面に公知の方法でエンボス加工される。エンボス加工時の加飾シート加熱温度は通常200℃以上であり、エンボス版温度は通常100℃以上である。
図3及び4に示す加飾成形品30は、本発明の加飾シート10を用いて、例えば、サーモジェクト成形により製造される。即ち、本発明の加飾シート10は、所定温度に加熱した後、射出成形金型内で真空成形により所定の型付けを完了した後直ちに射出樹脂を射出し、成形樹脂層20を形成する。射出成形完了し、冷却した後、射出成形金型から加飾成形品30を取り出す。
図1のように、マット層12面にエンボス加工を施した場合であっても加飾シート10のマット層12が二液硬化型樹脂及び艶消し剤を含むマットコート剤から成り硬質化するので、真空成形時においても射出成形時の成形圧力によっても、エンボスされた凹凸模様の凹凸形状が消失することを抑制し、意匠性が確保される。
また、図2のように、絵柄インキ層13面にエンボス加工を施した場合は、射出樹脂が高温であっても、絵柄インキ層13面の凹部に直ちに射出樹脂が満たされるので、同様にエンボスされた凹凸模様の凹凸形状が消失することがない。
なお、60度グロス値及びエンボス加工の凹凸は、下記の方法に従って測定した。
1.60度グロス値
60度グロスメーター((株)コニカミノルタ製)を用いて、測定した。
2.エンボス加工の凹凸
目視により、下記の基準で評価した。
○:エンボス加工時の凹凸が維持され、意匠感に変化がない。
×:エンボス加工時の凹凸が減り、意匠感が変わっている。
ガラス転移点が104℃であるアクリル樹脂からなる基材フィルム(膜厚125μm)の表面に、塩化ビニル変性アクリルポリオール(OH価:72mgKOH/g)と1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)とキシレンジイソシアネート(XDI)とシリカとを質量比(塩化ビニル変性アクリルポリオール/HMDI/XDI/シリカ=73.96/0.33/2.94/22.77)で配合したマットコート剤〔シリカ含有量はマットコート剤基準(溶剤分を除く)で22.77質量%〕をロールコートで塗工し、マット層を形成した後、その塗工面とは反対側の基材フィルムの表面にポリブチルメタクリレート/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(質量比:2/1)からなる絵柄インキ層をグラビア印刷し、乾燥後マット層に所定のエンボス加工(シート加熱温度200℃、エンボス版温度120度)を施して実施例1の加飾シートを得た。
実施例1と同じアクリル樹脂とシリカとを質量比(77.23/22.77)で配合してなる基材フィルム(膜厚125μm)の表面に、ポリブチルメタクリレート/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(質量比:2/1)からなる絵柄インキ層を実施例1と同様にグラビア印刷し、乾燥後絵柄インキ層とは反対側の基材フィルムの表面に実施例1と同じエンボス加工を施して比較例1の加飾シートを得た。
エンボス加工を絵柄インキ層面に施した以外は、実施例2は実施例1と同様にして、実施例2の加飾シートを得た。この加飾シートについて、真空成形時のシート加熱温度を120℃として実施例1と同様にして加飾成形品を得た。得られた加飾成形品の表面の艶を60度グロス値により評価した結果、実施例1と同じ結果を得た。また、加飾シートのエンボス加工による凹凸模様が変化したかどうか目視により評価した所、凹凸模様は維持され意匠感に変化がなかった。
さらに、得られた加飾成形品を110℃で1,000時間の環境下で耐熱試験をした後、加飾成形品の試験前及び試験後の表面の艶を60度グロス値により評価した所、表面の艶が低下せず良好であった。
11 基材フィルム
12 マット層
13 絵柄インキ層
20 成形樹脂層
30 加飾成形品
Claims (5)
- アクリル樹脂からなる基材フィルムの表面にマットコート剤からなるマット層を積層し、該基材フィルムの裏面に絵柄インキ層を積層してなり、かつ該マット層面及び/又は該絵柄インキ層面に該基材フィルム面内をも含むエンボス加工をしてなる加飾シートであって、該マットコート剤が二液硬化型樹脂及び艶消し剤を含むことを特徴とする加飾シート。
- 二液硬化型樹脂がアクリルポリオール及びイソシアネートからなる請求項1に記載の加飾シート。
- アクリルポリオールが塩化ビニル変性アクリルポリオールである請求項2に記載の加飾シート。
- 艶消し剤が、シリカである請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
- 基材フィルムのアクリル樹脂のガラス転移点が95〜110℃である請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
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