JP2007289163A - ゲル状栄養食の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食の製造方法に関する。ゲル状栄養食の製造ラインにおいて加熱する必要もなく、密封された容器に内包されたゲル状栄養食を生産効率よく製造できる方法を提供する。
【解決手段】密封された容器内に内包されたゲル状栄養食の製造方法であって、5℃〜60℃の温度条件下でゲル化剤が分散した調合液を製造してこれを容器へ分注し、密封後に105〜140℃に加熱してレトルト殺菌することを特徴とする20℃におけるゲル強度が3N以下である、ゲル状栄養食の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食の製造方法に関する。
近年の医療技術の進歩により、または高齢者増加により、寝たきりである患者の人口が増え、通常の食事を摂取できない人が増加している。1970年始め頃から経中心静脈栄養法が用いられているが、最近では経腸栄養法が、より生理的であり、腸管の機能が維持できるなどの理由から増加している。経腸栄養法を分類すると、経口と経管に分けられ、経管の場合は更に経鼻法と瘻管法に分類される。瘻管法とは、手術によって体表から胃または腸にチューブを挿入固定し、栄養食を注入する方法である。胃の場合は胃瘻、腸の場合は腸瘻と呼ばれる。
胃瘻・腸瘻管法は、悪性腫瘍などにより上部消化管が閉塞している場合などにおいて良い適応であるが、経鼻法に比べ呼吸が楽であり、普通の日常生活行動が可能になるなどの「Quality of Lifeの向上」からも適応される場合が増えている。経鼻法は、呼吸が困難にならないよう、細い栄養チューブが使用されるので、単位時間あたりの投与可能量は少なく、また使用される栄養食は、粘度が低く、固形分のない、流動性の良い品質が求められる。一方、胃瘻・腸瘻管法は、呼吸への配慮が必要ないため、比較的太いチューブが使用される。このため単位時間あたりの投与量を比較的多くすることが多く、場合によってはシリンジ等で一気に押し込み、時間や手間の削減を図ることが多い。
しかし、経鼻法で使用されるような流動性の高い栄養食を胃瘻・腸瘻管法で使用し、単位時間あたりの投与量を増やすと、食道や口への逆流、つまり嘔吐を引き起こす危険がある。最悪の場合は気管に流れ込み、肺炎を引き起こす可能性もあり非常に危険である。
胃瘻・腸瘻管法においては、栄養食をゲル化させることで嘔吐を回避できる可能性が高まるが、一般に市販されている栄養食は、流動性が高く胃瘻・腸瘻管法には適さない。そこで、嘔吐する危険性を回避するため、臨床では、投与前に、市販されている栄養食に寒天や澱粉などを添加し、加熱してこれを溶解させ、室温に戻し増粘させるかゲル化させることが行われている(非特許文献1)。しかし、この操作には手間を要し、また、レトルト殺菌され密封された流動食の容器を開封したあとゲル化剤を添加する等の処理を行うことには衛生上の問題もある。
その他の方法としては、特許文献1にあるようにまず、ペクチン水溶液を投与し、その後に別に栄養食を投与し、胃中または腸中で2液が反応しゲル化することにより嘔吐を回避する方法が知られている。しかし、2液を投与する手間などの煩雑さが必要となるため、はじめからゲル状の密封容器に内包された栄養食、すなわちゲル状栄養食が求められている。
蟹江治郎著「胃瘻PEG合併症の看護と固形化栄養の実践」日総研 再公表特許WO00/13529号公報
その他の方法としては、特許文献1にあるようにまず、ペクチン水溶液を投与し、その後に別に栄養食を投与し、胃中または腸中で2液が反応しゲル化することにより嘔吐を回避する方法が知られている。しかし、2液を投与する手間などの煩雑さが必要となるため、はじめからゲル状の密封容器に内包された栄養食、すなわちゲル状栄養食が求められている。
蟹江治郎著「胃瘻PEG合併症の看護と固形化栄養の実践」日総研
工業的生産において密封された容器に内包されたゲル状栄養食は、まず、ゲル化剤を溶解した調合液が製造され、これを容器に分注し、密封後にレトルト殺菌して製造される。
したがって、ゲル状栄養食を製造する場合には、調合中に少なくとも80℃以上に加熱してゲル化剤を溶解し均一化して、分注時においても加熱保持して温度の低下によるゲル化を防止する必要性がある。ゲル化剤は、溶解のために一定温度以上の高温度とした後に、室温に戻すとゲル化することになる。しかし、一般的な栄養食の製造ラインは、もともと高温状態にて製造するための設計にはなっておらず、高温保持ができない、充填適性が無いなど製造上の不都合が生じる。さらに、栄養食においても長時間にわたって高温に維持された場合には、ビタミン類や香料などの熱に弱い成分が分解するだけでなく、最も重要な品質の一つである乳化安定性が損なわれ、場合によっては主成分である蛋白質の変性凝集を誘発する場合もある。また、80℃以上の高温に加熱するためには、製造コストにおいて高コスト化も考えられる。さらに、ゲルが生じると熱交換器やストレーナーに調合液が詰まったり、ポンプ等の動力に過剰な負荷がかかったり、充填量の不安定化や液ダレなどの充填不具合が生じ、その維持が容易ではない。
したがって、ゲル状栄養食を製造する場合には、調合中に少なくとも80℃以上に加熱してゲル化剤を溶解し均一化して、分注時においても加熱保持して温度の低下によるゲル化を防止する必要性がある。ゲル化剤は、溶解のために一定温度以上の高温度とした後に、室温に戻すとゲル化することになる。しかし、一般的な栄養食の製造ラインは、もともと高温状態にて製造するための設計にはなっておらず、高温保持ができない、充填適性が無いなど製造上の不都合が生じる。さらに、栄養食においても長時間にわたって高温に維持された場合には、ビタミン類や香料などの熱に弱い成分が分解するだけでなく、最も重要な品質の一つである乳化安定性が損なわれ、場合によっては主成分である蛋白質の変性凝集を誘発する場合もある。また、80℃以上の高温に加熱するためには、製造コストにおいて高コスト化も考えられる。さらに、ゲルが生じると熱交換器やストレーナーに調合液が詰まったり、ポンプ等の動力に過剰な負荷がかかったり、充填量の不安定化や液ダレなどの充填不具合が生じ、その維持が容易ではない。
本発明は、以上のような背景のもとでなされたもので、本発明の目的は、胃瘻・腸瘻用に使用されるゲル状栄養食の工業的な製造方法を提供することにある。より詳細には、ゲル状栄養食の製造ラインにおいて加熱する必要もなく、密封された容器に内包されたゲル状栄養食を生産効率よく製造できる方法を提供するものである。
本発明の第1の発明は、密封された容器内に内包されたゲル状栄養食の製造方法であって、5℃〜60℃の温度条件下でゲル化剤が分散した調合液を製造してこれを容器へ分注し、密封後に105〜140℃に加熱してレトルト殺菌することを特徴とする20℃におけるゲル強度が3N以下である、ゲル状栄養食の製造方法である。
本発明の第2の発明は、ゲル化剤が、寒天、ジェランガム、ネイティブジェランガムのいずれかである第1の発明のゲル状栄養食の製造方法である。
本発明の第1の発明によれば、流動食の製造ラインにおいて加熱する必要もなく、20℃におけるゲル強度が3N以下である、密封された容器に内包されたゲル状栄養食を生産効率よく製造できる。製造されるゲル状栄養食は、熱による劣化もなく、胃瘻または腸瘻用ゲル状栄養食に適している。
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、より効率よく製造することができる。
本発明における調合液とは、総合栄養食などとも呼ばれる蛋白質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、その他の栄養成分を、栄養学的にバランスよく配合した栄養食を作るための製造物であり、最終的な栄養食を得る過程の殺菌及び充填前の状態をいう。
調合液の組成は、一般的に、水、カゼインNaなどの蛋白質、ナタネ油などの油脂、デキストリンなどの糖質、カルシウムやマグネシウムや鉄などミネラル類、ビタミンAやビタミンB群やビタミンCなどのビタミン類、その他香料などからなる。
ゲル化剤を添加する前の調合液の粘度は、一般には20℃で3〜50mPa・sである。
調合液の組成は、一般的に、水、カゼインNaなどの蛋白質、ナタネ油などの油脂、デキストリンなどの糖質、カルシウムやマグネシウムや鉄などミネラル類、ビタミンAやビタミンB群やビタミンCなどのビタミン類、その他香料などからなる。
ゲル化剤を添加する前の調合液の粘度は、一般には20℃で3〜50mPa・sである。
本発明に使用するゲル化剤は、食品において一般的に使用されるゲル化剤であればかまわない。具体的には、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸Na、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物、タマリンドガム、カードラン、グルコマンナンなどがある。これらのゲル化剤は、1種あるいはそれ以上で使用することができる。
これらのゲル化剤を調合液に添加すると、調合液の粘度が増加することになる。本発明においては、ゲル化剤を調合液に添加した後、ゲル化剤が均質に分散されることが必要である。
ゲル化剤の分布に濃淡があると、これを容器に分注し製造されたゲル状栄養食の品質にバラツキが生じるばかりか、ゲル状栄養食中に不溶物(ダマ)が生じることがある。
調合液中にゲル化剤を均質に分散させるためには、ゲル化剤を添加後、5〜60℃の温度で攪拌する。この後、マントンゴーリン式等の均質機を用い、5〜80MPaの圧力下で分散させることがより好ましい。
5℃未満の温度で調合液を製造すると、原材料の溶解が不十分になったり、粘度が高くなりすぎたりし、60℃を超える温度で調合液を製造すると製造ライン中で温度が下がったとき、ゲル化するおそれがある。
これらのゲル化剤を調合液に添加すると、調合液の粘度が増加することになる。本発明においては、ゲル化剤を調合液に添加した後、ゲル化剤が均質に分散されることが必要である。
ゲル化剤の分布に濃淡があると、これを容器に分注し製造されたゲル状栄養食の品質にバラツキが生じるばかりか、ゲル状栄養食中に不溶物(ダマ)が生じることがある。
調合液中にゲル化剤を均質に分散させるためには、ゲル化剤を添加後、5〜60℃の温度で攪拌する。この後、マントンゴーリン式等の均質機を用い、5〜80MPaの圧力下で分散させることがより好ましい。
5℃未満の温度で調合液を製造すると、原材料の溶解が不十分になったり、粘度が高くなりすぎたりし、60℃を超える温度で調合液を製造すると製造ライン中で温度が下がったとき、ゲル化するおそれがある。
本発明において、使用するゲル化剤としては、寒天、ジェランガム、ネイティブジェランガムが好ましい。
これらのゲル剤を室温で、調合液に分散しても粘度の増加が少ないばかりか、レトルト殺菌温度である105℃以上の温度では容易に溶解し、室温に戻すと、ゲル強度が3N以下である目的のゲルを形成することができる。
これらのゲル剤を室温で、調合液に分散しても粘度の増加が少ないばかりか、レトルト殺菌温度である105℃以上の温度では容易に溶解し、室温に戻すと、ゲル強度が3N以下である目的のゲルを形成することができる。
本発明における寒天は、食品で一般的に使用される寒天を使用できる。より詳細には、テングサ(天草)、オゴノリなどの紅藻類の粘液質を凍結・乾燥したものであり、D−ガラクトースと、3,6アンヒドロ−L−ガラクトースから構成される直鎖状の多糖類である。また、低温溶解性寒天など加工処理した寒天も使用できる。
本発明におけるジェランガムおよびネイティブジェランガムは、食品で一般的に使用されるジェランガムおよびネイティブジェランガムが使用できる。より詳細には、水草に存在する微生物「シュードモナス・エロディア」が醗酵して、精製する多糖類であり、脱アシル型はジェランガム、ネイティブ型はネイティブジェランガムと分類される。脱アシル型ジェランガムは、1−3結合したグルコース、1−4結合したグルコースおよび1−4結合したラムノースの4分子の糖を構成単位とする直鎖状の高分子多糖類である。1構成単位当たりカルボキシル基1残基を有する。ネイティブジェランガムはこの1−3結合したグルコース残基に1構成単位当たりグリセリル基1残基とアセチル基が平均1/2残基結合したものである。
調合液においてゲル化剤を分散させた後の調合液の粘度は、20℃の粘度で5〜200mPa・s以下であることが好ましい。
調合液の粘度が5mPa・s未満の場合は、分散したゲル化剤が沈降しやすく、容器に分注する前の調合液の保存後の均一性が悪くなる。
200mPa・sを超える粘度であると、分注等の製造効率が低下し、加圧可能な特殊な製造設備が必要となる。粘度は、100mPa・s以下であることがより好ましく、更に好ましくは50mPa・s以下であり、それ以上に好ましくは30mPa・s以下である。
調合液の粘度は、一般に使用されるB型粘度計にて測定することができる。
調合液の粘度が5mPa・s未満の場合は、分散したゲル化剤が沈降しやすく、容器に分注する前の調合液の保存後の均一性が悪くなる。
200mPa・sを超える粘度であると、分注等の製造効率が低下し、加圧可能な特殊な製造設備が必要となる。粘度は、100mPa・s以下であることがより好ましく、更に好ましくは50mPa・s以下であり、それ以上に好ましくは30mPa・s以下である。
調合液の粘度は、一般に使用されるB型粘度計にて測定することができる。
調合液におけるゲル化剤の添加量は、ゲル化剤の種類にもよるが、ゲル化剤添加前の調合液100質量部に対して0.1〜3質量部が適している。0.1質量部を超えない場合、製造される栄養食においてゲル化せず、嘔吐の防止に効果が期待できないことが多い。また3質量部を超える場合、調合液の粘度が高くなり過ぎ、シリンジ等で分注するためには困難となる場合がある。
ゲル化剤を分散させた調合液は、所定量が容器に分注される。分注操作としては、一般的に食品製造で使用される充填機、例えばピストン運動によるプランジャーポンプで一定量を分注する充填機などでかまわないが、本発明においては、加熱または保温装置が備わっていない充填機で製造することが可能である。
分注操作は5〜60℃で行うものとする。5℃未満の温度で分注すると粘度が高くなりすぎたりし、60℃を超えた温度で分注すると温度が下がったとき、分注操作中にゲル化するおそれがある。
分注操作は5〜60℃で行うものとする。5℃未満の温度で分注すると粘度が高くなりすぎたりし、60℃を超えた温度で分注すると温度が下がったとき、分注操作中にゲル化するおそれがある。
本発明における容器とは、食品において一般的に使用される密封可能な容器であればいずれでもかまわない。缶、アルミパウチなどが代表例として挙げられるが、最近は軟包材(ナイロン、PET、ポリエステル、ポリプロピレンなど)で形成された容器、特に栄養食の流出口(スパウト)が付いたソフトバッグと呼ばれる容器が多く開発されている。またいわゆるチアパックと呼ばれる流出口付きのアルミパウチも、携帯性に優れるため使用される。本発明の目的は、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であるので、胃瘻または腸瘻に接続しやすい形状、また投与しやすい形状であることがより好ましい。
また、加圧バッグと呼ばれる手動式の加圧機を、容器からの内容物押し出しの際に使用することも可能である。加圧バッグを使用することにより内容物を一定時間に一定量を継続的に胃に注入することができる。例えば、「INFU-SURG(500mL)」(ETHOX社製)などの加圧バッグがある。
また、加圧バッグと呼ばれる手動式の加圧機を、容器からの内容物押し出しの際に使用することも可能である。加圧バッグを使用することにより内容物を一定時間に一定量を継続的に胃に注入することができる。例えば、「INFU-SURG(500mL)」(ETHOX社製)などの加圧バッグがある。
本発明における密封とは、充填後に行われるレトルト殺菌および、その後の輸送に耐えうる密封状態であり、内容物の流出、異物や微生物の混入がないシール状態である。密封状態は、例えば、アルミパウチの場合、密閉部が熱圧着されることにより達成される。
本発明において、ゲル化剤を均質に分散させた調合液は、これを容器に分注され、密封後に105〜140℃に加熱される。
ゲル化剤を均質に分散させた調合液は、105℃以上に加熱されることにより、ゲル化剤が溶解し固形物を含まない均一な調合液となる。加熱後に室温になるとゲル化し、目的の20℃におけるゲル強度が3N以下であるゲル状流動食を製造することができる。
ゲル化剤を均質に分散させた調合液は、105℃以上に加熱されることにより、ゲル化剤が溶解し固形物を含まない均一な調合液となる。加熱後に室温になるとゲル化し、目的の20℃におけるゲル強度が3N以下であるゲル状流動食を製造することができる。
本発明では、調合液が密封された容器中で加熱されることにより、レトルト殺菌される。レトルト殺菌とは、食品を容器に充填し密封してから、高温高圧化で微生物を殺菌処理する方法である。その条件は、内容物を無菌状態にできればかまわないが、一般的には105℃〜140℃、1秒〜1時間である。
本発明において、調合液を容器に分注し、容器密閉部の密封後に105〜140℃に加熱することにより、ゲル化剤の溶解とレトルト殺菌が同時になされることになる。加熱時間は、レトルト殺菌の効果を上げるため、115〜125℃で3〜30分が好ましい。加熱温度が高過ぎたり、加熱時間が長過ぎたりすると、調合液が劣化することもある。
本発明において、調合液を容器に分注し、容器密閉部の密封後に105〜140℃に加熱することにより、ゲル化剤の溶解とレトルト殺菌が同時になされることになる。加熱時間は、レトルト殺菌の効果を上げるため、115〜125℃で3〜30分が好ましい。加熱温度が高過ぎたり、加熱時間が長過ぎたりすると、調合液が劣化することもある。
本発明におけるゲル状栄養食は、20℃におけるゲル強度が3N以下であることが好ましい。ゲル強度が3Nより大きいと、胃瘻・腸瘻管へゲル状栄養食をシリンジで圧注するためには困難となり、ゲルが形成していないと、嘔吐の防止に効果が期待できない。ゲル強度は効果を上げるため、0.1〜2Nが好ましく、更には0.2〜1Nが好ましい。
本発明におけるゲル状栄養食は、pHが5.5〜7.5であることが好ましい。タンパク質の凝集を防止でき、長期保存に適する。
本発明におけるゲル状栄養食は、pHが5.5〜7.5であることが好ましい。タンパク質の凝集を防止でき、長期保存に適する。
(粘度の測定)
本発明におけるレトルト殺菌以前の調合液の粘度は、下記の粘度測定法により測定した。包装材料に充填する前の液またはレトルト殺菌後の液を、東機産業社製B型粘度計で直径46mm・高さ150mmの容器に約200mLを秤取り、容器温度を20℃に設定した後、10分間放置し測定した。回転数およびローターは表1のように使用した。
本発明におけるレトルト殺菌以前の調合液の粘度は、下記の粘度測定法により測定した。包装材料に充填する前の液またはレトルト殺菌後の液を、東機産業社製B型粘度計で直径46mm・高さ150mmの容器に約200mLを秤取り、容器温度を20℃に設定した後、10分間放置し測定した。回転数およびローターは表1のように使用した。
(ゲル強度の測定)
本発明におけるレトルト殺菌後のゲル状栄養食のゲル強度は、下記のゲル強度測定法により測定した。レトルト殺菌終了後のゲル化前の液を、直ちに直径50mm、高さ55mmのゼリーカップ容器に、高さが25mmになるように充填し、室温まで冷却した後、20℃の恒温器で1晩放置した。その後、レオナーII(山電社製)を用いて、直径8mm円柱状のプランジャーを進入速度1mm/秒で、破断時のゲル強度を測定した。
本発明におけるレトルト殺菌後のゲル状栄養食のゲル強度は、下記のゲル強度測定法により測定した。レトルト殺菌終了後のゲル化前の液を、直ちに直径50mm、高さ55mmのゼリーカップ容器に、高さが25mmになるように充填し、室温まで冷却した後、20℃の恒温器で1晩放置した。その後、レオナーII(山電社製)を用いて、直径8mm円柱状のプランジャーを進入速度1mm/秒で、破断時のゲル強度を測定した。
実施例1
表2の寒天(伊那食品工業社製S−9)とその他の原材料を、粉体溶解機を用いて50℃の水に分散溶解させ、マントンゴーリン式均質化機にて50MPaで2回均質化した(三和機械社製No.3235)。これを室温にて1時間静置保持した後、室温にてアルミパウチに200mLずつ分注した。密封後、122℃6分でレトルト殺菌(日阪製作所社製フレーバーエースRCS−40RTG)した。
表2の寒天(伊那食品工業社製S−9)とその他の原材料を、粉体溶解機を用いて50℃の水に分散溶解させ、マントンゴーリン式均質化機にて50MPaで2回均質化した(三和機械社製No.3235)。これを室温にて1時間静置保持した後、室温にてアルミパウチに200mLずつ分注した。密封後、122℃6分でレトルト殺菌(日阪製作所社製フレーバーエースRCS−40RTG)した。
均質処理後の調合液には寒天が均一に分散しており、その粘度は20℃で46mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で0.81Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
実施例2
実施例1において、寒天(伊那食品工業社製S−9)の使用量を30gとし、その他は同様にして、流動食を製造した。
均質処理後の調合液には寒天が均一に分散しており、その粘度は20℃で80mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で2.05Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
実施例1において、寒天(伊那食品工業社製S−9)の使用量を30gとし、その他は同様にして、流動食を製造した。
均質処理後の調合液には寒天が均一に分散しており、その粘度は20℃で80mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で2.05Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
実施例3
実施例1において、寒天(伊那食品工業社製S−9)の代わりにジェランガム(大日本住友製薬社製ケルコゲル)4gとし、その他は同様にして、ゲル状栄養食を製造した。
均質処理後の調合液には均質処理後の調合液にはジェランガムが均一に分散しており、その粘度は20℃で160mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で0.23Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
実施例1において、寒天(伊那食品工業社製S−9)の代わりにジェランガム(大日本住友製薬社製ケルコゲル)4gとし、その他は同様にして、ゲル状栄養食を製造した。
均質処理後の調合液には均質処理後の調合液にはジェランガムが均一に分散しており、その粘度は20℃で160mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で0.23Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
実施例4
実施例1において、寒天(伊那食品工業社製S−9)の代わりにネイティブジェランガム(大日本住友製薬社製ケルコゲルHM)6gとし、その他は同様にして、ゲル状栄養食を製造した。 均質処理後の調合液には均質処理後の調合液にはネイティブジェランガムが均一に分散しており、その粘度は20℃で153mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で0.09Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
実施例1において、寒天(伊那食品工業社製S−9)の代わりにネイティブジェランガム(大日本住友製薬社製ケルコゲルHM)6gとし、その他は同様にして、ゲル状栄養食を製造した。 均質処理後の調合液には均質処理後の調合液にはネイティブジェランガムが均一に分散しており、その粘度は20℃で153mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で0.09Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
実施例5
実施例1において、寒天(伊那食品工業社製S−9)の代わりに低温溶解性寒天(伊那食品工業社製マックス)6gとし、その他は同様にして、ゲル状栄養食を製造した。
均質処理後の調合液には原料の寒天が均一に分散しており、その粘度は20℃で145mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、問題なく円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で0.84Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
実施例1において、寒天(伊那食品工業社製S−9)の代わりに低温溶解性寒天(伊那食品工業社製マックス)6gとし、その他は同様にして、ゲル状栄養食を製造した。
均質処理後の調合液には原料の寒天が均一に分散しており、その粘度は20℃で145mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、問題なく円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で0.84Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
実施例6
表3の寒天(伊那寒天社製S−9)とその他の原材料を、粉体溶解機を用いて50℃の水に分散溶解させ、マントンゴーリン式均質化機にて50MPaで2回均質化した(三和機械社製No.3235)。これを室温にて1時間静置保持した後、室温にてアルミパウチに200mlずつ分注した。122℃6分でレトルト殺菌(日阪製作所社製フレーバーエースRCS−40RTG)し、目的のゲル状栄養食が得られるか試験を実施した。
表3の寒天(伊那寒天社製S−9)とその他の原材料を、粉体溶解機を用いて50℃の水に分散溶解させ、マントンゴーリン式均質化機にて50MPaで2回均質化した(三和機械社製No.3235)。これを室温にて1時間静置保持した後、室温にてアルミパウチに200mlずつ分注した。122℃6分でレトルト殺菌(日阪製作所社製フレーバーエースRCS−40RTG)し、目的のゲル状栄養食が得られるか試験を実施した。
均質処理後の調合液には寒天が均一に分散しており、その粘度は20℃で78mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、問題なく円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で1.38Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
(実施例7)
表4の寒天(伊那寒天社製S−9)とキサンタンガム(大日本住友製薬)、およびその他の原材料を、粉体溶解機を用いて50℃の水に分散溶解させ、マントンゴーリン式均質化機にて50MPaで2回均質化した(三和機械社製No.3235)。これを室温にて1時間静置保持した後、室温にてアルミパウチに200mlずつ分注した。122℃6分でレトルト殺菌(日阪製作所社製フレーバーエースRCS−40RTG)し、目的のゲル状栄養食が得られるか試験を実施した。
表4の寒天(伊那寒天社製S−9)とキサンタンガム(大日本住友製薬)、およびその他の原材料を、粉体溶解機を用いて50℃の水に分散溶解させ、マントンゴーリン式均質化機にて50MPaで2回均質化した(三和機械社製No.3235)。これを室温にて1時間静置保持した後、室温にてアルミパウチに200mlずつ分注した。122℃6分でレトルト殺菌(日阪製作所社製フレーバーエースRCS−40RTG)し、目的のゲル状栄養食が得られるか試験を実施した。
均質処理後の調合液には寒天とキサンタンガムが均一に分散しており、その粘度は20℃で187mPa・sであった。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、問題なく円滑に作業を終えた。レトルト処理後のゲル強度は20℃で0.93Nであり、胃瘻または腸瘻に適したゲル状栄養食であった。
比較例1
表2の寒天(伊那寒天社製S−9)とその他の原材料を、粉体溶解機を用いて50℃の水に分散溶解させ、その後98℃まで加温し10分間保持し、マントンゴーリン式均質化機にて50MPaで2回均質化した(三和機械社製No.3253)。これを室温にて1時間静置保持した後、室温にてアルミパウチに200mL分注しようとした。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、部分的にゲル化し、シリンジに吸い取ることができなくなったため、不適であった。
表2の寒天(伊那寒天社製S−9)とその他の原材料を、粉体溶解機を用いて50℃の水に分散溶解させ、その後98℃まで加温し10分間保持し、マントンゴーリン式均質化機にて50MPaで2回均質化した(三和機械社製No.3253)。これを室温にて1時間静置保持した後、室温にてアルミパウチに200mL分注しようとした。分注作業は、プランジャーポンプ式充填機を用いて分注したが、部分的にゲル化し、シリンジに吸い取ることができなくなったため、不適であった。
Claims (2)
- 密封された容器内に内包されたゲル状栄養食の製造方法であって、5℃〜60℃の温度条件下でゲル化剤が分散した調合液を製造してこれを容器へ分注し、密封後に105〜140℃に加熱してレトルト殺菌することを特徴とする、20℃におけるゲル強度が3N以下であるゲル状栄養食の製造方法。
- ゲル化剤が、少なくとも寒天、ジェランガム、ネイティブジェランガムのうちいずれかを含む請求項1に記載のゲル状栄養食の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007086384A JP2007289163A (ja) | 2006-03-30 | 2007-03-29 | ゲル状栄養食の製造方法 |
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Publications (1)
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ID=38760401
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JP2007086384A Pending JP2007289163A (ja) | 2006-03-30 | 2007-03-29 | ゲル状栄養食の製造方法 |
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-
2007
- 2007-03-29 JP JP2007086384A patent/JP2007289163A/ja active Pending
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