JP2007288887A - 多相回転電機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】多相回転電機の回転速度が高い領域であっても、瞬時電流値制御により多相回転電機の制御性を高く維持することのできる多相回転電機の制御装置を提供する。
【解決手段】要求トルクを生成する際に想定される正弦波形状のモータの相電圧が、インバータの入力電圧(電源電圧Ve)内に収まっているときには、通常の瞬時電流値制御を行う。これに対し、上記相電圧が電源電圧Veからはみ出すときには、インバータのスイッチング状態の切り替えを禁止する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、多相回転電機に対する指令電流によって定まる所定のヒステリシス領域の上限及び下限と前記多相回転電機を流れる実電流との大小に基づき、インバータのスイッチング素子を操作することで、前記実電流を、要求トルクを生成するための要求電流値にフィードバック制御する多相回転電機の制御装置に関する。
インバータにより3相モータの各相に正弦波形状の電流を流してモータの出力トルクを制御するものとしては、三角波形状の搬送波を用いたPWM制御を行うものが一般的である。しかし、この方式は、インバータの入力電圧に対するモータの相間電圧の実効値で定義される電圧利用率が低いため、高回転速度・大出力トルクとすることが困難である。
これに対し、電圧利用率を理論上最大とする制御手法として、要求トルクを生成するための要求電流の半周期と一致する駆動パルスにてインバータのスイッチング素子を操作するいわゆる1パルス制御が知られている。この1パルス制御によれば、電圧利用率を最大とすることができるため、高回転速度・大出力トルクとする制御を実現できる。
ただし、1パルス制御は開ループ制御であるため、モータを流れる電流が最大定格電流を超えて過度に大きくなるおそれがある。更に、電圧利用率が固定であるため、低回転速度・低出力トルク領域では、電力損失の増大が問題となる。
そこで従来は、例えば下記特許文献1に見られるように、モータに対する指令電流によって定まるヒステリシス領域の上限及び下限とモータに流れる実電流との大小に基づき、インバータのスイッチング素子を操作するいわゆる瞬時電流値制御も提案されている。瞬時電流値制御は上記PWM制御よりも高い電圧利用率まで連続的に電圧利用率を増大させることができるため、PWM制御よりも高回転速度・大出力トルクとする制御を適切に行うことができる。
ところで、瞬時電流値制御により回転速度を上昇させていくと、やがて要求トルクを生成するためには上記1パルス制御による電圧利用率を用いることが必要となる。しかし、瞬時電流値制御では正弦波形状の指令電流に追従させるようにスイッチング素子が操作されるため、要求電流の一周期の間に複数回のスイッチング操作がなされる傾向にあり、その結果、電圧利用率が低下する。そして、電圧利用率が低下すると、要求トルクを生成することができなくなるおそれがある。
特開平10−174453号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、多相回転電機の回転速度が高い領域であっても、瞬時電流値制御により多相回転電機の制御性を高く維持することのできる多相回転電機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、前記フィードバック制御による前記スイッチング素子の操作を制限する制限手段を備えることを特徴とする。
上記構成では、フィードバック制御によるスイッチング素子の操作を制限することで、要求電流の半周期と一致する駆動パルスを用いた1パルス制御による電圧利用率に近似した電圧利用率が望まれるときに、必要以上のスイッチング操作がなされることを好適に抑制することができる。このため、必要以上のスイッチング操作による電圧利用率の低下を好適に抑制することができ、ひいては、多相回転電機の制御性を高く維持することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記制限手段は、前記要求電流値の半周期と一致する駆動パルスを用いる1パルス制御によって前記要求トルクを実現する際に想定される前記駆動パルスの反転タイミングの近傍以外で前記制限を行うものであることを特徴とする。
上記構成では、1パルス制御による駆動パルスの反転タイミング近傍以外で制限がなされるために、近傍以外ではスイッチング操作状態の切り替えが抑制されることとなる。このため、高回転速度・大トルク領域であっても、理論上最大の電圧利用率となる1パルス制御に近似する制御を、電流のフィードバック制御によって行うことができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記制限手段は、前記多相回転電機に前記要求電流値の電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧の振幅の2倍の値が前記インバータの入力電圧を上回るときに前記制限を行うものであることを特徴とする。
上記構成において、要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧の振幅の2倍の値がインバータの入力電圧を上回るときには、正弦波形状の指令電流に追従させようとしてスイッチングを行ったとしても、実電流の指令電流への追従性が低下する。そしてこの際には、不必要なスイッチング操作がなされることで、電圧利用率が低下するおそれがある。この点、上記構成では、相電圧の振幅の2倍の値がインバータの入力電圧を上回るときに上記制限を行うことで、不必要なスイッチング操作を抑制することができ、ひいては電圧利用率の低下を抑制することができる。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記制限手段は、前記多相回転電機に前記要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧が前記インバータの正極電位を上回る相については前記インバータの負極電位側と前記多相回転電機側とが導通状態となることを制限し、前記多相回転電機に前記要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧が前記インバータの負極電位を下回る相については前記インバータの正極電位側と前記多相回転電機側とが導通状態となることを制限することを特徴とする。
上記構成において、上記相電圧がインバータの正極電位を上回るときには、正弦波形状の指令電流に追従させるための正弦波形状の電圧を生成することができない。このため、このときに通常の瞬時電流値制御をすると不要なスイッチング操作がなされることにより、電圧利用率が低下するおそれがある。こうした状況下、上記構成では、インバータの負極電位側と多相回転電機側とが導通状態となること制限することで、不要なスイッチング操作がなされることを制限することができ、ひいては電圧利用率の低下を抑制することができる。
また、上記構成において、上記相電圧がインバータの負極電位を下回るときには、正弦波形状の指令電流に追従させるための正弦波形状の電圧を生成することができない。このため、このときに通常の瞬時電流値制御をすると不要なスイッチング操作がなされることにより、電圧利用率が低下するおそれがある。こうした状況下、上記構成では、インバータの正極電位側と多相回転電機側とが導通状態となること制限することで、不要なスイッチング操作がなされることを制限することができ、ひいては電圧利用率の低下を抑制することができる。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記制限手段は、前記多相回転電機に前記要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧のゼロクロス点を中心とする所定の位相範囲以外において、前記相電圧が正となる相については前記インバータの負極電位側と前記多相回転電機側とが導通状態となることを制限し、前記相電圧が負となる相については前記インバータの正極電位側と前記多相回転電機側とが導通状態となることを制限することを特徴とする。
上記構成において、上記相電圧のゼロクロス点を中心とする所定の位相範囲以外には、正弦波形状の相電圧がその極大及び極小となる点が含まれ、正弦波形状の指令電流に実電流を追従させるべくスイッチング操作がなされると、これが不適切なスイッチング操作となるおそれがある。こうした状況下、上記構成では、相電圧が正となる相についてはインバータの負極電位側と多相回転電機側とが導通状態となることを制限することで、不必要なスイッチング操作がなされることによる電圧利用率の低下を抑制することができる。また、相電圧が負となる相についてはインバータの正極電位側と多相回転電機側とが導通状態となることを制限することで、不必要なスイッチング操作がなされることによる電圧利用率の低下を抑制することができる。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記多相回転電機が3相回転電機であり、前記所定の位相範囲が「±30°」以上であることを特徴とする。
上記構成では、所定の位相範囲を「±30°」以上とすることで、常時、3相のうちの少なくとも1つの相はスイッチング操作が制限されていない状態とすることができる。このため、制限をしているにもかかわらず、多相回転電機の運転状態の急変時においてフィードバック制御によりこの変化に適切に対処することができる。
請求項7記載の発明は、請求項2〜6のいずれかに記載の発明において、前記制限手段は、前記制限を行う領域以外において、前記多相回転電機に前記要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧が低下するときには前記インバータの負極電位側と前記多相回転電機側とを導通させるスイッチングのみを許容し、前記相電圧が上昇するときには前記インバータの正極電位側と前記多相回転電機側とを導通させるスイッチングのみを許容することを特徴とする。
上記構成では、上記制限を行う領域以外において一度のみスイッチングが許容される。このため、1パルス制御を確実に行うことができる。
請求項8記載の発明は、請求項3〜7のいずれかに記載の発明において、前記制限手段は、前記指令電流に基づき、前記多相回転電機に前記指令電流を流すための正弦波形状の相電圧を算出する手段を備え、該算出される相電圧に基づき、前記制限を行うことを特徴とする。
上記構成では、指令電流に基づき上記相電圧を算出するために、多相回転電機を流れる実電流を指令電流に追従させる制御を瞬時電流値制御によって適切に行うことができるか否かを適切に判断することができる。これに対し、例えば多相回転電機の実電流に基づき上記相電圧を算出する場合には、実電流が正弦波形状の要求電流から離間する度合いに応じて、上記相電圧が不適切なものとなり、ひいては上記判断の信頼性が低下する。
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記制限手段は、前記スイッチング素子の操作状態を固定することで前記制限を行なうことを特徴とする。
上記構成では、スイッチング素子の操作状態を固定することで、不必要なスイッチング素子の操作を禁止することができる。
請求項10記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記制限手段は、前記指令電流の絶対値を前記要求電流値よりも増大させることで前記制限を行うことを特徴とする。
上記構成では、指令電流の絶対値を要求電流値よりも増大させることで、不必要なスイッチング素子の操作を抑制することができる。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記制限手段は、前記制限に際し、前記指令電流の絶対値を、前記インバータの最大定格電流以下とする。
上記構成では、インバータに最大定格電流以上の電流が流れると、制限がなされているか否かにかかわらず、フィードバック制御によりスイッチング素子が操作されるため、インバータに最大定格電流以上の電流が流れることを抑制することができる。
以下、本発明にかかる多相回転電機の制御装置を、ハイブリッド車に搭載される3相回転電機の制御装置に適用した一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1に、上記3相回転電機及びその制御装置の全体構成を示す。
図示されるように、3相回転電機であるDCブラシレスモータ(モータ2)の3つの相(U相、V相、W相)には、インバータ10が接続されている。このインバータ10は、3相インバータであり、3つの相のそれぞれに対応したスイッチング素子12,14とスイッチング素子16,18とスイッチング素子20,22との並列接続体を備えて構成されている。更に、インバータ10は、各スイッチング素子12〜22に並列に接続されたダイオード24〜34を備えている。そして、スイッチング素子12及びスイッチング素子14を直列接続する接続点がモータ2のU相と接続されている。また、スイッチング素子16及びスイッチング素子18を直列接続する接続点がモータ2のV相と接続されている。更に、スイッチング素子20及びスイッチング素子22を直列接続する接続点がモータ2のW相と接続されている。ちなみに、これらスイッチング素子12〜22は、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)によって構成されている。
インバータ10の各1組のスイッチング素子12,14とスイッチング素子16,18とスイッチング素子20,22との両端(正極電位側及び負極電位側)には、平滑コンデンサ40を介して電源42の電圧が印加されている。
一方、マイクロコンピュータ50は、モータ2の出力軸の回転角度を検出する位置センサ52や、U相及びV相に流れる電流を検出する電流センサ54,56、電源42の電圧を検出する電圧センサ58の検出結果を取り込む。そして、マイクロコンピュータ50は、W相に流れる電流を、キルヒホッフの法則に基づき、U相を流れる電流とV相を流れる電流とから算出する。そして、マイクロコンピュータ50は、上記モータ2の出力軸の回転角度や3つの相を流れるそれぞれの電流等に基づき、ゲート駆動回路60〜70を介してスイッチング素子12〜22を操作する。
図2に、マイクロコンピュータ50の行なう処理のうち、特にスイッチング素子12〜22を操作するための駆動パルスの生成に関する処理の機能ブロック図を示す。
本実施形態では、瞬時電流値制御によりスイッチング素子12〜22を操作する。以下では、まず、図2に示す処理のうち、特に通常の瞬時電流値制御に関する処理について説明する。
指令電流生成部80は、図示しない別のロジックにて算出されるモータ2の要求トルクと、位置センサ52によって検出される回転角度の時間微分値としての回転速度等に応じて指令電流iqc,idcを生成する部分である。この指令電流iqc,idcは、dq軸上での指令電流となっている。
指令電流変換部82は、dq軸上での指令電流iqc,idcを、3相の指令電流iuc,ivc,iwcに変換する部分である。これら指令電流iuc,ivc,iwcは、それぞれヒステリシスコンパレータ84〜88に取り込まれる。ヒステリシスコンパレータ84〜88では、モータ2の各相を実際に流れる電流(実電流iu,iv,iw)が、指令電流iuc,ivc,iwcによって定まる所定のヒステリシス領域の上限よりも大きくなるときと小さくなるときとにそれぞれ値の反転する出力信号gu,gv,gwを出力する。
出力信号gu,gv,gwは、駆動パルス制限部90に取り込まれる。駆動パルス制限部90では、モータ2の低回転速度・小出力トルクによる運転時には、出力信号gu,gv,gwを直接出力する。そして、これら出力信号gu,gv,gw及びインバータ102,104,106によるそれらの反転信号が、Deadtime生成部108に取り込まれる。Deadtime生成部108では、上記選択された各信号とこれに対応する上記反転信号とを、これらのエッジ部分同士のタイミングの重なりを避けるように波形整形する。そして、波形整形された信号は、U相のスイッチング素子12を操作する駆動パルスgup、U相のスイッチング素子14を操作する駆動パルスgun、V相のスイッチング素子16を操作する駆動パルスgvp、V相のスイッチング素子18を操作する駆動パルスgvn、W相のスイッチング素子20を操作する駆動パルスgwp、W相のスイッチング素子22を操作する駆動パルスgwnとなる。
こうした構成によれば、実電流iu,iv,iwと指令電流iuc,ivc,iwcとの大小に基づき(より正確には、上記ヒステリシス領域の上限及び下限との大小に基づき)、スイッチング素子12〜22の操作がなされる。図3に、こうした態様によってスイッチング素子12〜22を操作する瞬時電流値制御の態様を示す。図3では、U相について、実線で実電流iuが、2点鎖線にて指令電流iucがそれぞれ示されている。図示されるように、指令電流iucよりもヒステリシス幅hysの「1/2」だけ大きい値と指令電流iucよりもヒステリシス幅hysの「1/2」だけ小さい値との間の領域(ヒステリシス領域)内に入るように、実電流iuが制御される。これにより、モータ2の各相に流れる電流を、要求トルクを生成するための要求電流に制御することができる。すなわち、指令電流iuc,ivc,iwcを要求電流としつつ瞬時電流値制御をすることで、実電流iu,iv,iwを要求電流とすることができる。
ところで、モータ2の高回転速度・大要求トルク領域では、モータ2に要求電流を流すために必要な電圧利用率が上昇する。この電圧利用率の最大値は、理論上、図4に示す1パルス制御によって実現することができる。図4(a)の2点鎖線は、U相の指令電流iucを示し、実線でU相の実電流iuを示す。また、図4(b)は、上記実電流iuを生成した1パルス制御による駆動パルスである。図示されるように、1パルス制御では、要求電流(指令電流iu)の半周期とパルス幅が一致する駆動パルス(要求電流の一周期内に論理「H」状態と論理「L」状態とが1度ずつとなる駆動パルス)によりスイッチング素子12〜22を操作する。
モータ2の高回転速度・大要求トルク領域においては、瞬時電流値制御においても、図4(b)に示す駆動パルスに近似した駆動パルスによる制御が望まれる。しかし、瞬時電流値制御では、正弦波形状の要求電流(指令電流iuc)に追従するように制御しようとするため、スイッチング素子12〜22を操作する駆動パルスが図4(b)に示すものと相違することとなる。図4(c)に、瞬時電流値制御により図4(a)に示した指令電流iucに追従させる際の駆動パルスのイメージを示す。このように、瞬時電流値制御による駆動パルスは図4(b)に示すものと相違する。
そこで本実施形態では、所定の条件下、瞬時電流値制御によるスイッチング素子12〜22の操作を制限する処理を行なう。そして、上記所定の条件を、モータ2に要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧(各相の印加電圧vu,vv,vw)の振幅の2倍がインバータ10の入力電圧(電源42の電圧Ve)を上回るときとする。以下、先の図2に示した処理のうち、制限にかかる処理について説明する。
電流電圧変換部110は、指令電流idc,iqcを指令電圧vdc,vqcに変換する部分である。一方、指令電圧変換部112は、指令電圧vdc,vqcを3相の指令電圧vuc,vvc,vwcに変換する部分である。そして、スイッチング制限部114は、指令電圧vuc,vvc,vwcと電源電圧Veとに基づき、制限を行うために駆動パルス制限部90を操作する部分である。図5に、上記スイッチング制限部114、駆動パルス制限部90によるスイッチング素子12〜22の操作制限の態様を示す。
図5(a)は、U相の指令電圧vucの変動範囲が、インバータ10の入力電圧(電源42の電圧Ve)内にあるときを示している。このときには、通常の瞬時電流値制御がなされる。
一方、図5(b)、図5(c)は、U相の指令電圧vucの変動範囲が、インバータ10の入力電圧(電源42の電圧Ve)からはみ出すときを示している。
この場合、指令電圧vucが電源電圧Veの「1/2」よりも大きいときには、スイッチング素子12がオン状態に、また、スイッチング素子14がオフ状態に固定される。換言すれば、インバータ10の正極電位側とモータ2のU相とが導通状態で固定される。ここで、指令電圧vucが電源電圧Veの「1/2」よりも大きいときには正弦波形状の指令電圧vucを生成することができず、瞬時電流値制御によっては適切なフィードバック制御をすることができない。またこの領域では、1パルス制御によれば、通常、インバータ10の正極電位側とモータ2のU相とが導通状態で固定される。そこで、本実施形態では、この領域において、1パルス制御によるものと同様の態様にてスイッチング素子12〜22を固定する。
また、指令電圧vucが電源電圧Veの「−1/2」よりも小さいときには、スイッチング素子12がオフ状態に、また、スイッチング素子14がオン状態に固定される。換言すれば、インバータ10の負極電位側とモータ2のU相とが導通状態で固定される。ここで、指令電圧vucが電源電圧Veの「−1/2」よりも小さいときには正弦波形状の指令電圧vucを生成することができず、瞬時電流値制御によっては適切なフィードバック制御をすることができない。またこの領域では、1パルス制御によれば、通常、インバータ10の負極電位側とモータ2のU相とが導通状態で固定される。そこで、本実施形態では、この領域において、1パルス制御によるものと同様の態様にてスイッチング素子12〜22を固定する。
上記態様にてスイッチング素子12〜22を固定すべく、上記駆動パルス制限部90は、図6に示すものとなっている。すなわち、駆動パルス制限部90においては、論理和生成部92u,92v,92wによって、ヒステリシスコンパレータ84〜88の出力と、H固定用信号gu1,gv1,gw1との論理和信号が生成される。また、反転信号生成部94u,94v,94wによって、L固定用信号gu0の論理反転信号が生成される。更に、論理積生成部96u,96v,96wによって、論理和生成部92u,92v,92wの出力と、反転信号生成部94u,94v,94wの出力との論理積信号が生成される。
図7に、上記スイッチング制限部114による上記H固定用信号gu1とL固定用信号gu0との生成に関する処理手順を示す。なお、H固定用信号gv1,gw1とL固定用信号gv0,gw0との生成に関する処理も、図7に示す処理と同様であるため、ここではその説明を割愛する。
図示されるように、指令電圧vucが電源電圧Veの「1/2」以下であって(ステップS10:NO)且つ電源電圧Veの「−1/2」以上であるとき(ステップS16:NO)には、H固定用信号gu1及びL固定用信号gu0が論理「L」とされる(ステップS14、S20)。
一方、指令電圧vucが電源電圧Veの「1/2」よりも高いときには、H固定用信号gu1が論理「H」とされる(ステップS12)。また、指令電圧vucが電源電圧Veの「−1/2」よりも低い時には、L固定用信号gu0が論理「H」とされる(ステップS18)。
これにより、先の図5に示した態様にてスイッチング素子12,14の操作を制限することが可能となる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)フィードバック制御によるスイッチング素子12〜22の操作を制限すべく、スイッチング制限部114及び駆動パルス制限部90を備えた。これにより、必要以上のスイッチング操作による電圧利用率の低下を好適に抑制することができ、ひいては、モータ2の制御性を高く維持することができる。
(2)1パルス制御によって要求トルクを実現する際に想定される駆動パルスの反転タイミングの近傍以外で制限を行った。これにより、高回転速度・大トルク領域であっても、理論上最大の電圧利用率となる1パルス制御に近似する制御を、電流のフィードバック制御によって行うことができる。
(3)モータ2に要求電流値の電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧の振幅の2倍の値がインバータ10の入力電圧を上回るときに制限を行った。これにより、正弦波形状の指令電流iuc,ivc,iwcに追従させようとしてスイッチングを行うことで実電流iu,iv,iwの指令電流iuc,ivc,iwcへの追従性が低下するときに、制限を行うことができる。
(4)モータ2に要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧(電位)がインバータ10の正極電位を上回る相についてはインバータ10の負極電位側とモータ2側とが導通状態となることを制限し、モータ2に要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧(電位)がインバータ10の負極電位を下回る相についてはインバータ10の正極電位側とモータ2側とが導通状態となることを制限した。これにより、不要なスイッチング操作がなされることを制限することができ、ひいては電圧利用率の低下を抑制することができる。
(5)指令電流idc,iqcに基づき、モータ2に指令電流iuc,ivc,iwcの電流を流すための正弦波形状の相電圧を算出し、これに基づき制限を行った。これにより、モータ2を流れる実電流iu,iv,iwを指令電流iuc,ivc,iwcに追従させる制御を瞬時電流値制御によって適切に行うことができるか否かを適切に判断することができる。
(6)スイッチング素子12〜22の操作状態を固定することで制限を行なった。これにより、不必要なスイッチング素子12〜22の操作を禁止することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図8に、本実施形態にかかるスイッチング素子12〜22の操作制限の態様を示す。この図8は、先の図5と対応するものである。
図示されるように、本実施形態でも、指令電圧vucの変動範囲が電源42の電圧範囲を超えるときにスイッチング制限を行う。ただし、本実施形態では、指令電圧vucのゼロクロス点を中心とする所定の位相φの範囲内以外でのスイッチングを制限する。詳しくは、上記範囲外であって且つ指令電圧vucが正であるときには、スイッチング素子12をオン状態で固定して且つスイッチング素子14をオフ状態で固定する。換言すれば、インバータ10の正極電位側とモータ2側とを導通状態として固定する。一方、範囲外であって且つ指令電圧vucが負であるときには、スイッチング素子12をオフ状態で固定して且つスイッチング素子14をオン状態で固定する。換言すれば、インバータ10の負極電位側とモータ2側とを導通状態として固定する。
図9に、マイクロコンピュータ50の行なう処理のうち、特にスイッチング素子12〜22を操作するための駆動パルスの生成に関する処理の機能ブロック図を示す。なお、図9において、先の図2に示したブロックと同様の機能を有するブロックについては、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、電圧位相演算部116を備えている。電圧位相演算部116では、指令電圧 vdc,vqcに基づき、3相の指令電圧vuc,vvc,vwcの位相θvu,θvv,θvwを算出する。これは、下記の式(c1)〜(c3)となる。
θvu=θvdq+π/2 …(c1)
θvv=θvdq+π/2−(2/3)π …(c2)
θvw=θvdq+π/2+(2/3)π …(c3)
ただし、位相θvdqは、初期値θreを用いて下記の式(c4)にて表現される。
θvdq=arctan(vqc/vdc)+θre …(c4)
一方、スイッチング制限部114では、位相θvu,θvv,θvwに基づき、スイッチング操作の制限を行う。ただし、この制限は、指令電圧vuc,vvc,vwcが電源電圧Veを上回ったときにのみ行うため、本実施形態でも、スイッチング制限部114が指令電圧vuc,vvc,vwcを取り込んでいる。図10に、スイッチング制限部114による上記H固定用信号gu1とL固定用信号gu0との生成に関する処理の手順を示す。
この一連の処理によれば、位相θvuが、位相φ以下であるとき(ステップS30:NO)、位相「π―φ」より大きく「π+φ」以下であるとき(ステップS38:NO)、又は位相「2π―φ」よりも大きいとき(ステップS40:NO)には、H固定用信号gu1が論理「L」とされて(ステップS36)且つL固定用信号gu0が論理「L」とされる(ステップS44)。これに対し、位相θvuが、位相φよりも大きく且つ位相「π―φ」よりも小さいとき(ステップS32:YES)には、H固定用信号gu1を論理「H」とする(ステップS34)。また、位相θvuが、位相「π+φ」よりも大きく位相「2π―φ」よりも小さいときには(ステップS40:YES)、L固定用信号gu0を論理「H」に固定する(ステップS42)。
なお、位相φは、「30°」以上とすることが望ましい。これにより、常時、3相のうちの少なくとも1つの相はスイッチング操作が制限されていない状態とすることができる。このため、制限をしているにもかかわらず、モータ2の運転状態の急変時においてフィードバック制御によりこの変化に適切に対処することができる。なお、制限しない領域を狭めるほど、スイッチング素子12〜22の操作態様を1パルス制御によるスイッチング素子12〜22の操作態様と近似させることができることに鑑みれば、位相φは極力小さくすることが望ましい。このため、上述した2つの観点から、フィードバック制御を常時行うことを可能として且つ極力1パルス制御に近似させるためには、位相φを「30°」とすることが特に望ましい。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)、(5)、(6)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(7)指令電圧vuc,vvc,vwcのゼロクロス点を中心とする所定の位相φの範囲以外において、指令電圧vuc,vvc,vwcが正となる相についてはインバータ10の負極電位側とモータ2側とが導通状態となることを制限し、指令電圧vuc,vvc,vwcが負となる相についてはインバータ10の正極電位側とモータ2側とが導通状態となることを制限した。これにより、不必要なスイッチング操作がなされることによる電圧利用率の低下を抑制することができる。
(8)所定の位相φを「30°」以上とした。これにより、モータ2の運転状態の急変時においてもフィードバック制御によりこの変化に適切に対処することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、図11に示すように、指令電流iucの絶対値を増加させることでスイッチング素子12〜22の操作を制限する。すなわち、図示されるように、指令電圧vucが電源電圧Veの「1/2」よりも高いときには、指令電流iucを、出力電流の上限値Imaxとする。これにより、実電流iuが指令電流iucを上回ることが抑制され、インバータ10の負極電位側とモータ2側とが導通状態とされることが制限される。また、指令電圧vucが電源電圧Veの「−1/2」よりも低いときには、指令電流iucを、出力電流の下限値Iminとする。これにより、実電流iuが指令電流iucを下回ることが抑制され、インバータ10の正極電位側とモータ2側とが導通状態とされることが制限される。
図12に、本実施形態にかかる駆動パルス制限部90の構成を示す。なお、図12において、先の図6に示したブロックと同様の機能を有するブロックには、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態においては、駆動パルス制限部90は、ヒステリシスコンパレータ84,86,88に信号を出力する。そして、駆動パルス制限部90は、各相に対応してそれぞれ指令電流切替部98u,98v,98wを備えている。これら指令電流切替部98u,98v,98wは、上記指令電流変換部82の出力を取り込むとともに、H固定用信号gu1とL固定用信号gu0とを取り込み、これに基づき、指令電流iuc,ivc,iwcを生成する。
図13に、上記指令電流切替部98u,98v,98wのうち、特に指令電流切替部98uの行なう処理の手順を示す。
図示されるように、H固定用信号gu1とL固定用信号gu0とが共に論理「L」であるときには(ステップS54:NO)、先の図2の指令電流変換部82の出力する指令電流iucをそのまま用いる(ステップS58)。これに対し、H固定用信号gu1が論理「H」であるときには(ステップS50:YES)、指令電流iucを上限値Imaxとする(ステップS52)。また、L固定用信号gu0が論理「H」とあるときには(ステップS54:YES)、指令電流iucを下限値Imin(=−Imax)とする(ステップS56)。
なお、上記上限値Imaxは、インバータ10の最大定格電流IM以下とする。これにより、インバータ10を流れる電流の絶対値が最大定格電流を超えて増加するとき、これを減少させるようにフィードバック制御をすることができる。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(5)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(9)指令電流iuc,ivc,iwcの絶対値を要求電流値よりも増大させることでスイッチング操作の制限を行った。これにより、不必要なスイッチング素子の操作を好適に抑制することができる。
(10)スイッチング操作の制限に際し、指令電流iuc,ivc,iwcの絶対値をインバータ10の最大定格電流以下とした。これにより、インバータ10に最大定格電流以上の電流が流れると、上記スイッチング操作の制限にかかわらずフィードバック制御によりスイッチング素子が操作されるため、インバータ10に最大定格電流以上の電流が流れることを抑制することができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、スイッチング素子12〜22の操作状態を固定しない領域において、指令電圧vuc,vvc,vwcが低下するときにはインバータ10の負極電位側とモータ2側とを導通させるスイッチングのみを許容し、指令電圧vuc,vvc,vwcが上昇するときにはインバータ10の正極電位側とモータ2側とを導通させるスイッチングのみを許容する。これにより、上記制限を行う領域以外において一度のみスイッチングが許容されることとなる。
図14に、本実施形態にかかる駆動パルス制限部90の構成を示す。なお、図14において、先の図6に示したブロックと同様の機能を有するブロックには、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態の駆動パルス制限部90も、先の第1の実施形態(図6)のものと同一である。しかし、本実施形態では、上記H固定用信号gu1,gv1,gw1の代わりにH固定用信号Gu1,Gv1,Gw1が論理和生成部92u,92v,92wに入力される。また、上記L固定用信号gu0,gv0,gw0の代わりにL固定用信号Gu0,Gv0,Gw0が反転信号生成部94u,94v,94wに入力される。そして、これらH固定用信号Gu1,Gv1,Gw1とL固定用信号Gu0,Gv0,Gw0とは、H固定用信号gu1,gv1,gw1とL固定用信号gu0,gv0,gw0とに基づき、上記スイッチング制限部114によって図15に示す処理によって生成される。
図15に示す一連の処理において、指令電圧vucが電源電圧Veの「1/2」倍を上回るときには(図5参照)、H固定用信号gu1が論理「H」となっているため、ステップS60において肯定判断され、ステップS62に移行する。ステップS62では、H固定用履歴信号gu1oldを論理「H」とするとともに、H固定用信号Gu1を論理「H」、L固定用信号Gu0を論理「L」とする。このため、H固定用信号gu1が論理「H」とされるときには、先の第1の実施形態と同様、スイッチング素子12がオン状態で固定されて且つスイッチング素子14がオフ状態で固定される。
そして、指令電圧vucが電源電圧Veの「1/2」内に入ると、H固定用信号gu1が論理「L」に反転する。このため、ステップS60において否定判断される。このときには、L固定用信号gu0も論理「L」であるため、ステップS64においても否定判断される。そして、ステップS68において、ヒステリシスコンパレータ84の出力信号guが論理「H」であると判断されると、ステップS70に移行する。しかし、このときには、L固定用履歴信号gu0oldが論理「L」でないため、ステップS70で否定判断され、この一連の処理を一旦終了する。これに対し、出力信号guが論理「L」に反転すると、ステップS68で否定判断されるため、ステップS74に移行する。ここでは、H固定用履歴信号gu1oldが論理「H」となるために、ステップS76に移行する。ステップS76では、H固定用履歴信号gu1oldを論理「L」とするとともに、L固定用信号Gu0を論理「H」とする。これにより、スイッチング素子12がオフ状態に切り替えられ、スイッチング素子14がオン状態に切り替えられる。
この状態で、再度この処理に入ると、H固定用信号gu1とL固定用信号gu0とが共に論理「L」である間は、S70,S74のいずれでも否定判断されることとなるため、これ以上スイッチング状態が切り替えられることはない。
その後、指令電圧vucが電源電圧Veの「−1/2」倍を下回ると、L固定用信号gu0が論理「H」に反転するため、ステップS64で肯定判断される。これにより、ステップS66において、L固定用履歴信号gu0oldが論理「H」とされるとともに、L固定用信号Gu0が論理「H」とされ、H固定用信号Gu1が論理「L」とされる。このため、L固定用信号gu0が論理「H」とされるときには、先の第1の実施形態と同様、スイッチング素子12がオフ状態で固定されて且つスイッチング素子14がオン状態で固定される。
そして、指令電圧vucが電源電圧Veの「1/2」内に入ると、L固定用信号gu0が論理「L」に反転する。このため、ステップS64において否定判断される。そして、ステップS68において、ヒステリシスコンパレータ84の出力信号guが論理「L」であると判断されると、ステップS74に移行する。しかし、このときには、H固定用履歴信号gu1oldが論理「L」のため、ステップS74で否定判断され、この一連の処理を一旦終了する。これに対し、出力信号guが論理「H」に反転すると、ステップS68で肯定判断されるため、ステップS70に移行する。ここでは、L固定用履歴信号gu0oldが論理「H」であるために、肯定判断され、ステップS72に移行する。ステップS72では、L固定用履歴信号gu0oldを論理「L」とするとともに、H固定用信号Gu1を論理「H」とする。これにより、スイッチング素子12がオン状態に切り替えられ、スイッチング素子14がオフ状態に切り替えられる。
この状態で、再度この処理に入ると、H固定用信号gu1とL固定用信号gu0とが共に論理「L」である間は、S70,S74のいずれでも否定判断されることとなるため、これ以上スイッチング状態が切り替えられることはない。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(6)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(11)スイッチング素子12〜22の操作状態を固定しない領域において、指令電圧vuc,vvc,vwcが低下するときにはインバータ10の負極電位側とモータ2側とを導通させるスイッチングのみを許容し、指令電圧vuc,vvc,vwcが上昇するときにはインバータ10の正極電位側とモータ2側とを導通させるスイッチングのみを許容した。これにより、スイッチング素子12〜22の操作状態の切り替えを一度のみ許容することで、1パルス制御を確実に行うことができる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図16に、マイクロコンピュータ50の行なう処理のうち、特にスイッチング素子12〜22を操作するための駆動パルスの生成に関する処理の機能ブロック図を示す。なお、図16において先の図2に示したブロックと同様の機能を有するブロックについては、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、実電流iu,iv,iwを3相の電圧vu,vv,vwに変換する電流電圧変換部120を備えている。ここで、電圧vu,vv,vwは、実電流iu,iv,iwを流す際に想定される正弦波形状の相電圧である。電圧vu,vv,vwは、モータ2の実際の相電圧ではないが、この電圧vu,vv,vwを用いて上記H固定用信号gu1,gv1,gw1とL固定用信号gu0,gv0,gw0とを生成することはできる。
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)、(6)の効果を得ることはできる。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図17に、マイクロコンピュータ50の行なう処理のうち、特にスイッチング素子12〜22を操作するための駆動パルスの生成に関する処理の機能ブロック図を示す。なお、図17において先の図2に示したブロックと同様の機能を有するブロックについては、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、スイッチング制限部114において、要求トルクと回転速度とに基づき上記H固定用信号gu1,gv1,gw1とL固定用信号gu0,gv0,gw0とを生成する。ここでは、要求トルクと回転速度とに基づき上記H固定用信号gu1,gv1,gw1とL固定用信号gu0,gv0,gw0とをマップ演算する。このマップは、要求電流をモータ2に流す際に想定される1パルス制御の駆動パルスを予め求め、この駆動パルスの反転タイミング近傍以外でスイッチングを制限するように、上記H固定用信号gu1,gv1,gw1とL固定用信号gu0,gv0,gw0とを求めることで生成することができる。そして、このマップを作成した後、スイッチング制限部114に記憶させておく。
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)、(6)の効果を得ることはできる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1〜第4の実施形態において、要求トルクと回転速度とから算出される指令電流idc,iqcに基づき、スイッチング制限を行ったが、指令電流に基づくスイッチング制限手法としてはこれに限らない。例えば要求トルクと回転速度とから算出される指令電流idc,iqcの基本値と2相の実電流id,iqとから最終的な指令電流idc,iqcを算出し、これに基づき制限を行ってもよい。
・上記第2の実施形態において、所定の位相φを要求トルク及び回転速度に応じて可変設定してもよい。すなわち、回転速度が高くなるほど、また要求トルクが大きくなるほど、高い電圧利用率が要求されるため、1パルス制御に近似させることが望まれる。このため、回転速度が高いほど、また要求トルクが大きいほど、位相φを小さい値としてもよい。これにより、回転速度が高くなるにつれて、また要求トルクが大きくなるにつれて、瞬時電流値制御によって1パルス制御に近似する制御をすることができる。
・上記第3の実施形態において、上限値Imaxや下限値Iminは要求トルク及び回転速度に応じて、又は指令電流idc,iqc若しくは3相での指令電流iuc,ivc,iwcに応じて可変してもよい。例えば3相での指令電流iuc,ivc,iwcの振幅が大きいほど上限値Imaxや下限値Iminの絶対値を大きくすることで、実電流iu,iv,iwを指令電流iuc,ivc,iwcに好適に追従させることができる。なお、この場合であっても、上限値Imaxや下限値Iminは、インバータ10の最大定格電流以下とすることが望ましい。
・上記各実施形態では、モータ2に本発明を適用する場合を想定したが、これに限らず、発電機に本発明を適用してもよい。この場合、モータ2の出力トルクが大きいときを、発電機のトルクが負で大きいとき(負荷トルクが大きいとき)と読み替えればよい。
・上記各実施形態では、インバータ10のスイッチング手法として、瞬時電流値制御のみを採用したがこれに限らない。例えばモータ2の低回転速度、小トルク領域においては、三角波を搬送波とするPWM制御を採用してもよい。
・多相回転電機の制御装置としては、ハイブリッド車に搭載されるものに限らず、例えば電気自動車に搭載されるものであってもよい。
・上記各実施形態において、制御処理の実装は、マイコンに限らない。例えばFPGAや専用LSI等のハードデバイスでもよい。
第1の実施形態にかかるモータ、インバータ、及びマイコンの構成を示す図。 同実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 同実施形態における瞬時電流値制御の態様を示すタイムチャート。 1パルス制御の態様を示すタイムチャート。 上記実施形態におけるスイッチングの制限態様を示すタイムチャート。 同実施形態における駆動パルス制限部の構成を示す図。 同実施形態におけるスイッチングの制限の処理手順を示すフローチャート。 第2の実施形態における瞬時電流値制御の態様を示すタイムチャート。 第2の実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 同実施形態におけるスイッチングの制限の処理手順を示すフローチャート。 第3の実施形態における瞬時電流値制御の態様を示すタイムチャート。 同実施形態における駆動パルス制限部の構成を示す図。 同実施形態におけるスイッチングの制限の処理手順を示すフローチャート。 第4の実施形態における駆動パルス制限部の構成を示す図。 同実施形態におけるスイッチングの制限の処理手順を示すフローチャート。 第5の実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 第6の実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。
符号の説明
2…モータ(多相回転電機の一実施形態)、10…インバータ、12〜22…スイッチング素子、50…マイクロコンピュータ(多相回転電機の一実施形態)。

Claims (11)

  1. 多相回転電機に対する指令電流によって定まる所定のヒステリシス領域の上限及び下限と前記多相回転電機を流れる実電流との大小に基づき、インバータのスイッチング素子を操作することで、前記実電流を、要求トルクを生成するための要求電流値にフィードバック制御する多相回転電機の制御装置において、
    前記フィードバック制御による前記スイッチング素子の操作を制限する制限手段を備えることを特徴とする多相回転電機の制御装置。
  2. 前記制限手段は、前記要求電流値の半周期と一致する駆動パルスを用いる1パルス制御によって前記要求トルクを実現する際に想定される前記駆動パルスの反転タイミングの近傍以外で前記制限を行うものであることを特徴とする請求項1記載の多相回転電機の制御装置。
  3. 前記制限手段は、前記多相回転電機に前記要求電流値の電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧の振幅の2倍の値が前記インバータの入力電圧を上回るときに前記制限を行うものであることを特徴とする請求項1又は2記載の多相回転電機の制御装置。
  4. 前記制限手段は、前記多相回転電機に前記要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧が前記インバータの正極電位を上回る相については前記インバータの負極電位側と前記多相回転電機側とが導通状態となることを制限し、前記多相回転電機に前記要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧が前記インバータの負極電位を下回る相については前記インバータの正極電位側と前記多相回転電機側とが導通状態となることを制限することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  5. 前記制限手段は、前記多相回転電機に前記要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧のゼロクロス点を中心とする所定の位相範囲以外において、前記相電圧が正となる相については前記インバータの負極電位側と前記多相回転電機側とが導通状態となることを制限し、前記相電圧が負となる相については前記インバータの正極電位側と前記多相回転電機側とが導通状態となることを制限することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  6. 前記多相回転電機が3相回転電機であり、
    前記所定の位相範囲が「±30°」以上であることを特徴とする請求項5記載の多相回転電機の制御装置。
  7. 前記制限手段は、前記制限を行う領域以外において、前記多相回転電機に前記要求電流を流す際に想定される正弦波形状の相電圧が低下するときには前記インバータの負極電位側と前記多相回転電機側とを導通させるスイッチングのみを許容し、前記相電圧が上昇するときには前記インバータの正極電位側と前記多相回転電機側とを導通させるスイッチングのみを許容することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  8. 前記制限手段は、前記指令電流に基づき、前記多相回転電機に前記指令電流を流すための正弦波形状の相電圧を算出する手段を備え、該算出される相電圧に基づき、前記制限を行うことを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  9. 前記制限手段は、前記スイッチング素子の操作状態を固定することで前記制限を行なうことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  10. 前記制限手段は、前記指令電流の絶対値を前記要求電流値よりも増大させることで前記制限を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  11. 前記制限手段は、前記制限に際し、前記指令電流の絶対値を、前記インバータの最大定格電流以下とする請求項10記載の多相回転電機の制御装置。
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