JP2007284707A - 溶射方法 - Google Patents

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和寛 本田
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Abstract

【課題】着火の発現のしやすさ、及び着火状態の安定性を損なうことなく、従来よりも逆火を生じにくくした溶射技術を提供する。
【解決手段】易燃焼性粉体(第1の粉体)と耐火性粉体(第2の粉体)とを各々別個に準備する。易燃焼性粉体は、不活性ガス(第1のキャリアガス)によって、第1の粉体搬送ラインを通して被施工箇所に吹き付ける。耐火性粉体は、酸素ガス(第2のキャリアガス)によって、第2の粉体搬送ラインを通して被施工箇所に吹き付ける。各粉体の吹き付けは、第1の粉体の送給量[kg/h]/第2の粉体の送給量[kg/h]の比が0.05以上、かつ第1のキャリアガスの流量[Nm/h]/第2のキャリアガスの流量[Nm/h]の比が0.7以下となる条件を満たすように行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属粉等の易燃焼性粉体とシリカ粉等の耐火性粉体とを用いた溶射方法に関する。
従来から、例えばコークス炉の内壁における損耗箇所を溶射によって補修することが行なわれている。溶射は、補修すべき炉壁の材質と同等な耐火性をもつ耐火性粉体を用い、これにAl粉等の金属粉を混ぜた混合粉体を、酸素ガスを主体としたキャリアガスによって炉壁に吹き付けることにより行なう(例えば、特許文献1及び2参照)。この方法によると、混合粉体が炉壁に到達する過程で、混合粉体中の金属粉と、キャリアガス中の酸素ガスとの接触によって金属粉体が燃焼し、この燃焼熱で耐火性粉体が溶融して、炉壁に耐火性粉体の溶融付着層が形成される。金属粉の一部も酸化物となって炉壁に付着し、耐火性粉体と共に溶射施工体を形成する。
なお、キャリアガス中にプロパンガス等の燃料ガスも含有させることにより、耐火性粉体を溶融させるのに必要な熱量の一部を、この燃料ガスの燃焼熱からも得るようにした溶射方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
ところで、金属は、粉体化して比表面積を増大させると、その酸化反応の速度が大きくなるため、空気中でも容易に燃焼するようになる。このため、金属粉の燃焼で生じた火焔が混合粉体の搬送ホース内に逆戻りするいわゆる逆火現象を防止することが検討されてきている。上記溶射装置においても、キャリアガスの流速をそのガス中での火焔の伝播速度に応じて設定したり、キャリアガスに不活性ガスを含有させたりすることにより、逆火の発生は防止しており、安全性については既に充分に確立されているが、逆火を一層生じにくくすることができれば、業界に与える利益は大である。
特許文献4は、逆火を生じにくくすることを課題としたもので、この技術では、中心から外方に向けて順に互いに独立して形成された第1〜第3の流路よりなる三重管構造のノズルを用いる。中心の第1の流路からは、耐火性粉体を酸素ガスによって噴出させる。中間の第2の流路からは、耐火性粉体と金属粉との混合粉体を、Nガスと燃料ガスとの混合ガスによって噴出させる。外側の第3の流路からは、酸素ガスのみを噴出させる。この技術によると、金属粉と酸素ガスとを別系統により投入するため、逆火を生じにくくすることができる。
特開平8−109461号公報 特公平1−56831号公報 特公平2−29957号公報 特許第3189729号公報
特許文献4の溶射技術は、逆火を生じにくくすることはできるが、着火性の向上を図ることに関して改善の余地を残していることが判った。ここで、着火性とは、着火の発現のしやすさ、及び着火状態の安定性の度合いをいう。着火性が良好でない場合、金属粉が充分に燃焼されず、未燃焼の金属粉によって発塵が増大するだけでなく、耐火性粉体の溶融が不充分となることに起因して溶射施工体の品質低下等をも招くこととなる。
本発明の目的は、着火性を損なうことなく、従来よりも逆火を生じにくくした溶射技術を提供することにある。本発明の他の目的は、品質の良好な溶射施工体を形成することができる溶射技術を提供することにある。
本発明の一つの観点によれば、(a)易燃焼性粉体を主体とした第1の粉体、及び耐火性粉体を主体とした第2の粉体を各々別個に準備する工程と、(b)第1の粉体を、不活性ガスを主体とした第1のキャリアガスによって、第1の粉体搬送ラインを通して被施工箇所に吹き付けると同時に、第2の粉体を、支燃性ガスを主体とした第2のキャリアガスによって、前記第1の粉体搬送ラインとは独立した第2の粉体搬送ラインを通して前記被施工箇所に吹き付ける工程であって、第1の粉体搬送ラインによる第1の粉体の送給量[kg/h]/第2の粉体搬送ラインによる第2の粉体の送給量[kg/h]の比が0.05以上、かつ第1の粉体搬送ラインを流れる第1のキャリアガスの流量[Nm/h]/第2の粉体搬送ラインを流れる第2のキャリアガスの流量[Nm/h]の比が0.7以下となる条件を満たす工程とを含む溶射方法が提供される。
本明細書において、「易燃焼性粉体」とは、支燃性ガスとの接触によって燃焼反応を起こすことができる粉体のことをいい、例えば金属粉や炭素粉等がこれに該当する。ここで「金属粉」とは、金属元素よりなる粉末は勿論、Si粉も含む概念とする。本明細書において、「耐火性粉体」とは、易燃焼性粉体の燃焼熱によって溶融し、消失することなく被施工箇所に到達することができる粉体をいう。本明細書において、「支燃性ガス」とは、可燃物を燃やすためのガスをいい、具体的には酸素ガスがこれに該当する。本明細書において、「Nm」は、常温(約20℃)1気圧下での気体の体積を表すものとする。
前記第1の粉体に占める易燃焼性粉体の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。前記第2の粉体に占める耐火性粉体の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。前記第1のキャリアガスに占める不活性ガスの割合は、好ましくは70体積%以上、より好ましくは80体積%以上、より好ましくは90体積%以上である。また、前記第1のキャリアガスに占める支燃性ガスの割合は、好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下、最も好ましくは0体積%である。前記第2のキャリアガスに占める支燃性ガスの割合は、好ましくは85体積%超、より好ましくは90体積%以上、より好ましくは95体積%以上である。
前記工程(b)では、第1の粉体の送給量[kg/h]/第1のキャリアガスの流量[Nm/h]の比[kg/Nm]、及び第2の粉体の送給量[kg/h]/第2のキャリアガスの流量[Nm/h]の比[kg/Nm]が、それぞれ10以下となる条件をさらに満たすことが好ましい。
前記工程(b)では、第2の粉体搬送ラインへの第2の粉体の供給は停止したままで、第1の粉体搬送ラインに第1の粉体及び第1のキャリアガスを流し、かつ第2の粉体搬送ラインには第2のキャリアガスを流し、この状態で着火を発現させた後に、第2の粉体搬送ラインへの第2の粉体の供給を開始することが好ましい。
本発明の他の観点によれば、不活性ガス供給源に上流側端部が接続される第1の粉体搬送ラインと、該第1の粉体搬送ライン内に易燃焼性粉体を主体とする第1の粉体を供給する易燃焼性粉体供給機と、支燃性ガス供給源に上流側端部が接続される第2の粉体搬送ラインと、該第2の粉体搬送ライン内に耐火性粉体を主体とする第2の粉体を供給する耐火性粉体供給機と、前記第1の粉体搬送ラインの下流側端部に接続された内管、及び前記第2の粉体搬送ラインの下流側端部に接続された外管よりなる二重管構造をもつノズルとを備えた溶射装置も提供される。前記ノズルは、その前記各粉体が噴出する噴出口にて、外管の内径/内管の内径の比が1.25以上となるように構成されていることが好ましい。
易燃焼性粉体及び不活性ガスと、耐火性粉体及び支燃性ガスとが、相互に独立した粉体搬送ラインを流れるので、一つの粉体搬送ライン内で易燃焼性粉体と支燃性ガスとが接触することを回避できる。このため、従来よりも逆火を生じにくくすることができる。第1の粉体の送給量/第2の粉体の送給量、及び第1のキャリアガスの流量/第2のキャリアガスの流量を上記範囲に規定することにより、燃料ガスは使用しないか、又はその使用量を最小限に抑えつつ、着火性を向上できるとともに、耐火性粉体の溶融不足等を防止して、品質の良好な溶射施工体を形成できる。
図1は、本発明の一実施形態による溶射装置の概略図である。第1の粉体搬送ライン1は、一端部(上流側端部)が不活性ガス供給源2に接続され、他端部(下流側端部)がノズル3に接続されている。第1の粉体搬送ライン1の途中に、易燃焼性粉体供給機4が接続されている。易燃焼性粉体供給機4と不活性ガス供給源2との間の第1の粉体搬送ライン1上には、第1の流量調整バルブ5が設けられている。
不活性ガス供給源2は、第1の粉体搬送ライン1に、第1のキャリアガスとしての不活性ガスを供給する。不活性ガスとしては、例えばNガスやCOガスの他、ArやHe等の希ガスが挙げられる。コストの面では、Nガスが好ましい。
易燃焼性粉体供給機4は、第1の粉体としての易燃焼性粉体Aを蓄える気密なタンク4aと、タンク4a内の易燃焼性粉体Aを第1の粉体搬送ライン1内に供給し、かつその供給量を調整することができるとともに、供給、非供給の切り替えも自在なフィーダ4bとを備える。タンク4aは、ライン6によって不活性ガス供給源2と接続されている。このライン6を通して供給される不活性ガスでタンク4a内が密封されることにより、タンク4a内で易燃焼性粉体Aが酸化することを防止できる。
易燃焼性粉体Aとしては、例えば、Si粉、Mg粉、Ca−Si粉、Al−Mg質粉、Fe−Si質粉、Ca−Si−Mg質粉、Fe粉、Al粉、Zr粉、Ni粉、Mg−Si粉、Mn粉、Fe−Mn粉、Si−Mn粉、Fe−Si質粉、若しくはCaC粉等、又はこれらを組み合わせた金属粉が挙げられる。なお、上記Si粉としては、純度98%程度のいわゆる金属Si粉が好ましい。易燃焼性粉体Aは、例えば粒径10μm以上、15μm以下に粒度調整される。
第2の粉体搬送ライン7は、一端部(上流側端部)が支燃性ガス供給源8に接続され、他端部(下流側端部)がノズル3に接続されている。第2の粉体搬送ライン7の途中に、耐火性粉体供給機9が接続されている。耐火性粉体供給機9と支燃性ガス供給源8との間の第2の粉体搬送ライン7上には、第2の流量調整バルブ10が設けられている。
支燃性ガス供給源8は、第2の粉体搬送ライン7内に、第2のキャリアガスとしての支燃性ガス、具体的には酸素ガスを供給する。
耐火性粉体供給機9は、第2の粉体としての耐火性粉体Bを蓄えるタンク9aと、このタンク9a内の耐火性粉体Bを第2の粉体搬送ライン7内に供給し、かつその供給量を調整することができるとともに、供給、非供給の切り替えも自在なフィーダ9bとを備える。タンク9a内はガスで保圧するようにしてもよいが、必ずしもそうする必要はなく、またタンク9aは気密構造を有していなくてもよい。
耐火性粉体Bの材質は、被施工箇所Sの材質に応じて選択される。一例を挙げるとすれば、耐火性粉体Bとしては、例えばシリカ、アルミナ、ムライト、シャモット、カルシア、ドロマイト、ジルコン、ジルコニア、マグネシア、及びマグクロ等から選択される1種以上の粉体を用いることができる。耐火性粉体Bは、例えば2mm以下に粒度調整される。
上記溶射装置を用いた溶射方法の手順を説明する。以下に説明する手順は、オペレータによる手動操作によって行われてもよいが、図示しない制御手段によって流量調整バルブ5及び10、並びにフィーダ4b及び9bを制御することにより自動的に行われるようにしてもよい。
まず、第2の粉体搬送ライン7への耐火性粉体Bの供給は停止したままで、第1の粉体搬送ライン1に易燃焼性粉体A及び第1のキャリアガス(不活性ガス)を供給し、かつ第2の粉体搬送ライン7に第2のキャリアガス(酸素ガス)を流す。このとき、第2のキャリアガス(酸素ガス)の供給の開始時点は、易燃焼性粉体A及び第1のキャリアガス(不活性ガス)の供給開始の後であることが好ましい。
この状態で着火を発現させる。着火の発現には種火を用いてもよいが、被施工箇所Sの温度が例えば600℃以上の場合には、種火を用いなくても、被施工箇所Sの熱で着火を発現させることができる。着火は、第2の粉体搬送ライン7を通して吹き付けられる第2のキャリアガス(酸素ガス)によって、第1の粉体搬送ライン1を通して吹き付けられる易燃焼性粉体Aが燃焼し、火焔が形成されることにより発現する。
耐火性粉体Bの供給を停止しているので、易燃焼性粉体Aの燃焼熱が耐火性粉体Bに奪われることを回避でき、着火を発現しやすくすることができる。しかも、易燃焼性粉体Aは第1の粉体搬送ライン1を流れ、第2のキャリアガス(酸素ガス)は第2の粉体搬送ライン7を流れるため、一つの粉体搬送ライン内で両者が接触することを回避でき、従来よりも逆火を生じにくくすることができる。
着火が発現した後に、第2の粉体搬送ライン7への耐火性粉末Bの供給を開始する。易燃焼性粉体A及び耐火性粉体Bがノズル3から被施工箇所Sに到達する過程で、易燃焼性粉体Aの燃焼熱により耐火性粉体Bが溶融し、被施工箇所Sに耐火性粉体Bの溶融付着層が形成される。また、易燃焼性粉体Aの一部も酸化物となって被施工箇所Sに付着し、耐火性粉体Bと共に溶射施工体11を形成する。
ここで、粉体A及びBの吹き付けを可能とするためには、粉体の送給量[kg/h]/キャリアガスの流量[Nm/h]で定義される固気比[kg/Nm]は、粉体搬送ライン1及び7の各々において自ずとある値以下に制限される。固気比が高すぎると、キャリアガスに対して粉体の量が多すぎることになり、粉体搬送ラインの詰まりを招くからである。粉体搬送ライン1及び7の各々における固気比の目安を挙げるとすれば、その値は例えば10[kg/Nm]以下であり、好ましくは4[kg/Nm]以下であり、より好ましくは2.5[kg/Nm]以下である。
なお、易燃焼性粉体Aは耐火性粉体Bよりも粒度が細かいため、第1の粉体搬送ライン1の方が、第2の粉体搬送ライン7よりも詰まりや脈動を生じやすい。そこで、第1の粉体に、易燃焼性粉体よりも比重及び/又は粒度の大きな粉体をライン閉塞防止用粉体として、好ましくは30質量%未満の割合で添加しておくことにより、上記固気比[kg/Nm]の設定と相まって第1の粉体搬送ライン1の詰まり防止効果をより高めることができる。
一方、固気比[kg/Nm]が小さすぎると、粉体搬送ライン1及び7の詰まりは生じないが、キャリアガスに対して粉体の量が少なすぎることになり、使用するガスのロスが増えるか又は溶射施工体を形成する能率が悪化する。このため、溶射中は、粉体搬送ライン1及び7の各々における固気比[kg/Nm]は、例えば0.03以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。
さらに、本実施形態では、着火性の向上を図るため、溶射中において、下記条件(i)及び(ii)が満たされるように、流量調整バルブ5及び10、並びにフィーダ4b及び9bを制御する。この制御は図示しない制御手段によって行われるようにしてもよい。
(i)第1の粉体搬送ライン1による第1の粉体(易燃焼性粉体A)の送給量[kg/h]/第2の粉体搬送ライン7による第2の粉体(耐火性粉体B)の送給量[kg/h]の比は、0.05以上とする。この値が0.05未満であると、第1の粉体(易燃焼性粉体A)の燃焼で生じる熱量のうち第2の粉体(耐火性粉体B)に奪われる熱量が多くなりすぎるため、着火性の低下を招く。着火性のさらなる向上の観点からは、この値は0.1以上であることが好ましく、0.125以上であることがより好ましく、0.2以上であることがより好ましい。
なお、この条件(i)の比の値には特に上限は設けなくてもよいが、この値が大きすぎると、溶射施工体11の大部分を形成する第2の粉体(耐火性粉体B)の送給量が少なく、溶射の能率が低下する場合がある。溶射の能率の向上の観点からは、この値は、例えば15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
(ii)第1の粉体搬送ライン1を流れる第1のキャリアガス(不活性ガス)の流量[Nm/h]/第2の粉体搬送ライン7を流れる第2のキャリアガス(酸素ガス)の流量[Nm/h]の比は、0.7以下とする。この値が0.7を超えると、ノズル3外において酸素ガスの濃度が低くなりすぎるため、着火性の低下を招く。着火性のさらなる向上の観点からは、この値は0.4以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましい。
なお、第1のキャリアガス(不活性ガス)の流量が0では第1の粉体(易燃焼性粉体A)を送給することができなくなってしまうため、この条件(ii)の比の値は自ずと0よりも大きな値に制限される。この値の下限の目安を挙げるとすれば、この値は、例えば0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。
上記条件(i)及び(ii)を満たすことにより、第1のキャリアガスに燃料ガスを含めなくても、良好な着火性を得ることができる。例えば、コークス炉や転炉等の窯炉の内壁面の補修は、狭い空間内で行うことが必要であり、しかも熱間で行われることが多いため、燃料ガスの供給ラインを省略できることにより、ノズルの取り回し性を良好にでき、かつ装置構成のコンパクト化が図れることの意義は大きい。
図2は、図1に示したノズル3の断面図である。ノズル3は、内管3aと外管3bとよりなる二重管構造をもつ。内管3aに、図1の第1の粉体搬送ライン1が接続され、外管3bに、図1の第2の粉体搬送ライン7が接続される。
外管3bと内管3aとの間から酸素ガスと耐火性粉体とを噴出させる場合、それらは図2中、破線で示すように拡散しながら伝播するため、内管3aの中心軸の延長線L上に、酸素ガス及び耐火性粉体の濃度が相対的に高い領域Rが形成される。内管3aから易燃焼性粉体を噴出させると、易燃焼性粉体をもらすことなく領域Rに吹き付けることが可能となるため、ノズル3外での耐火性粉体及び酸素ガスと、易燃焼性粉体との混ざりを良好にすることができ、耐火性粉体の溶融不足の防止及び着火性の向上が図られる。
なお、内管3aに第2の粉体搬送ライン7を接続し、外管3bに第1の粉体搬送ライン1を接続してもよいが、上述のように内管3aに第1の粉体搬送ライン1を接続し、外管3bに第2の粉体搬送ライン7を接続した方が、着火性が良好になりやすいことが確認されている。この理由は、必ずしも定かでないが、前者の場合は、耐火性粉体の粒子よりも軽い易燃焼性粉体の粒子は火焔の外側に拡散しやすく、火焔の部分において易燃焼性粉体の濃度が充分に確保されにくくなることに原因すると考えられる。
本実施形態によると、内管3aに第1の粉体搬送ライン1を接続し、外管3bに第2の粉体搬送ライン7を接続したことと、上記条件(i)及び(ii)を満たすこととが相まって、二重管構造をもつノズルを用いて良好な着火性を得ることができる。このため、三重管構造のノズルを必須とする従来技術(例えば、特許文献4参照)に比べると、ノズルの構成の簡素化及びコンパクト化も図られるという利点もある。
ところで、耐火性粉体と易燃焼性粉体とはノズル3から噴出した直後は殆ど混ざり合っていないが、被施工箇所に近づくに従って両者の混ざり合いの度合いが高まる。耐火性粉体と易燃焼性粉体とが充分に混ざり合う位置の、ノズル3噴出口からの距離は、外管3bの内径Y/内管3aの内径Xの比に依存する。即ち、Y/Xが小さすぎたり、大きすぎたりすると、耐火性粉体と易燃焼性粉体とが充分に混ざり合う位置の、ノズル3噴出口からの距離が遠くなる。
オペレータがノズル3を保持する場合、ノズル3から被施工箇所までの間隔が変動することがあるため、耐火性粉体と易燃焼性粉体とが充分に混ざり合う位置の、ノズル3からの距離が遠すぎると、両者が充分に混ざり合わないまま被施工箇所に到達してしまうことが考えられる。また、狭い空間内で溶射補修を行う場合等は、ノズル3から被施工箇所までの距離を充分に確保できない場合がある。そこで、このような場合にも耐火性粉体と易燃焼性粉体とが充分に混ざり合った状態で被施工箇所に到達できるようにするために、Y/Xは1.25以上とすることが好ましく、1.3以上とすることがより好ましい。また、Y/Xは5以下とすることが好ましく、4以下とすることがより好ましい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、上記実施形態では、第1のキャリアガスとして不活性ガスのみを用いたが、第1のキャリアガスは燃料ガスを含んでもよい。燃料ガスとしては、プロパン、ブタン等のアルカン、プロピレン等のアルケン、アセチレン等のアルキン、その他、製鉄所のコークス炉ガスや転炉ガス等が挙げられる。プロパン、ブタン、プロピレン、ブチレン等の低級炭化水素は液化してLPGとして用いることが実用的である。
また、上記実施形態では、第1の粉体として易燃焼性粉体を用いたが、第1の粉体は、耐火性粉体を含んでもよい。但し、耐火性粉体の量が30質量%を超えると、この耐火性粉体により易燃焼性粉体の燃焼熱の伝播が阻害され、着火不良や発塵増大を招きやすくなるため、第1の粉体に占める耐火性粉体の割合は30質量%以下であることが好ましい。
また、上記実施形態では、二重管構造をもつノズル3を用いたが、二重管構造をもつノズルを用いなくても溶射は可能である。例えば、第1の粉体搬送ラインに接続される管と第2の粉体搬送ラインに接続される管とが外接して並んだノズルを用いてもよい。この他、種々の設計変更が可能なことは当業者に自明であろう。
表1に、図1の溶射装置を用いて溶射実験を行った場合の実験条件と評価結果を示す。各実施例及び比較例は、外管の内径/内管の内径の比を1.25としたノズルを用い、このノズルの噴出口と被施工箇所との距離を50mm〜70mmに保った状態で、第1の粉体及び第2の粉体を合計で3kg吹き付けた。いずれの実施例及び比較例も、コークス炉の炉口耐火物の補修を想定して、溶射対象物にはシャモット質煉瓦を採用した。
なお、実施例2〜6及び比較例1〜6において、第1の粉体を構成する粉体のうち易燃焼性粉体以外の粉体は、シリカ粉とした。第2の粉体には、いずれの実施例及び比較例においても、シリカ粉100質量%を用いた。
Figure 2007284707
以下、表1の各評価項目について説明する。なお、逆火については、いずれの実施例及び比較例においても発生することがなかったため、評価項目から外した。
着火性:着火の発現のしやすさ及び着火の安定性について、○・・・速やかに着火でき、かつノズルを施工面に沿って移動させても着火状態を安定して維持できた、△・・・着火はできたが着火に相当の時間を要し、ノズルを移動させた場合に着火状態が不安定となった、×・・・着火できなかったか又は着火はできたが途中で失火した、の三段階で評価した。なお、着火性は、熱間施工を想定して溶射対象の煉瓦を約800℃に熱しておいた場合と、常温施工を想定して常温(約20℃)に保っておいた場合との2つの場合について評価した。後者の場合は、着火の発現に種火を用いた。
付着率:ノズルからの第1の粉体及び第2の粉体の噴出量Aと、被施工箇所からの第1の粉体又は第2の粉体の跳ね返り量Bとから、(A−B)/A×100を算出し、この値を、上記熱間施工を想定した場合と、上記常温施工を想定した場合とでそれぞれ求め、それらを平均して付着率とした。なお、表1中の「−」は着火できなかったために付着率を測定できなかったことを示す。
実施例1〜7は、いずれも燃料ガスを使用していないにも関わらず、良好な着火性が得られ、また付着率も良好であり、粉塵の発生を防止できて良好な作業環境を保つことができた。さらに、得られた溶射施工体の品質も良好であった。なお、同一の実験条件によっても、着火性や付着率に多少のばらつきが生じることはあるが、実施例1〜7の実験条件によると、概ね良好な評価結果が得られる。
比較例1及び2は、実施例7に対する比較例であり、それぞれ第1の粉体の送給量、第2の粉体の送給量以外の条件は、実施例7と同じである。比較例1及び2は、いずれも着火性及び付着率に劣る。これは、比較例1及び2は、第1の粉体の送給量/第2の粉体の送給量が、それぞれ0.03、0.04と低いことに原因する。第1の粉体の送給量/第2の粉体の送給量を0.05とした実施例7、及び第1の粉体の送給量/第2の粉体の送給量が0.05を超える他の実施例1〜6で良好な着火性が得られていることを考慮すると、良好な着火性を得るためには、第1の粉体の送給量/第2の粉体の送給量の値は、0.05以上であることが必要と考えられる。
比較例3及び4は、実施例5に対する比較例であり、それぞれ第1のキャリアガスの流量、第2のキャリアガスの流量以外の条件は、実施例5と同じである。比較例3及び4は、いずれも着火性に劣る。これは、比較例3及び4は、第1のキャリアガスの流量/第2のキャリアガスの流量が、それぞれ0.9、0.8と高いことに原因する。第1のキャリアガスの流量/第2のキャリアガスの流量を0.67とした実施例5、及び第1のキャリアガスの流量/第2のキャリアガスの流量を0.67未満とした他の実施例1〜4、及び6で良好な着火性が得られていることを考慮すると、良好な着火性を得るためには、第1のキャリアガスの流量/第2のキャリアガスの流量は、0.7以下、好ましくは0.67以下であることが必要と考えられる。
比較例5及び6は、それぞれ実施例1、6に対する比較例であり、第1の粉体に占める易燃焼性粉体の割合以外の条件は、それぞれ実施例1、6と同じである。比較例5及び6は、第1の粉体に占める易燃焼性粉体の割合が低すぎるため、着火性が極めて悪い。なお、このような場合に着火性を得るためには、第1のキャリアガス中に40体積%以上の燃料ガスを含めることが必要であった。良好な着火性を得るためには、第1の粉体が易燃焼性粉体を主体としたものであることが必要である。第1の粉体に占める易燃焼性粉体の割合は、50質量%超であることが好ましい。
本発明の溶射方法は、例えばコークス炉、熱風炉、溶鉱炉、混銑炉、転炉、脱ガス炉、電気炉、廃棄物溶融炉等の炉、又は溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋、取鍋、タンディッシュ等の溶融金属容器、その他の耐火物で構成された設備における損耗部、目地切れ部、又は剥落部等の補修に特に好適に利用することができる。また、補修のみならず、耐火ライニングの形成自体にも利用することができる。さらに、本発明は、耐火物以外の技術分野においても、表面肉盛加工や皮膜の形成等に広く利用されうる。
一実施形態による溶射装置の概略図。 図1の溶射装置におけるノズルの断面図。
符号の説明
1…第1の粉体搬送ライン、2…不活性ガス(第1のキャリアガス)の供給源、3…ノズル、3a…内管、3b…外管、4…易燃焼性粉体供給機、4a…タンク、4b…フィーダ、5…第1の流量調整バルブ、6…ライン、7…第2の粉体搬送ライン、8…支燃性ガス(第2のキャリアガス)の供給源、9…耐火性粉体供給機、9a…タンク、9b…フィーダ、10…第2の流量調整バルブ、11…溶射施工体、S…被施工箇所、A…易燃焼性粉体(第1の粉体)、B…耐火性粉体(第2の粉体)。

Claims (4)

  1. (a)易燃焼性粉体を主体とした第1の粉体、及び耐火性粉体を主体とした第2の粉体を各々別個に準備する工程と、
    (b)第1の粉体を、不活性ガスを主体とした第1のキャリアガスによって、第1の粉体搬送ラインを通して被施工箇所に吹き付けると同時に、第2の粉体を、支燃性ガスを主体とした第2のキャリアガスによって、前記第1の粉体搬送ラインとは独立した第2の粉体搬送ラインを通して前記被施工箇所に吹き付ける工程であって、第1の粉体搬送ラインによる第1の粉体の送給量/第2の粉体搬送ラインによる第2の粉体の送給量の比が0.05以上、かつ第1の粉体搬送ラインを流れる第1のキャリアガスの流量/第2の粉体搬送ラインを流れる第2のキャリアガスの流量の比が0.7以下となる条件を満たす工程と
    を含む溶射方法。
  2. 前記工程(b)では、前記第1の粉体搬送ラインに接続された内管と、前記第2の粉体搬送ラインに接続された外管とよりなる二重管構造をもつノズルを用いて、前記各粉体を被施工箇所に吹き付ける請求項1に記載の溶射方法。
  3. 前記ノズルが、その粉体が噴出する噴出口にて、外管の内径/内管の内径の比が1.25以上となるように構成されている請求項2に記載の溶射方法。
  4. 前記第1のキャリアガスに占める燃料ガスの割合が、20体積%未満である請求項1〜3のいずれかに記載の溶射方法。
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