JP2007284618A - 難燃摺動樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性、摺動性および物性バランスに優れ、しかも長時間の連続成形ができ、金型のメンテナンスが殆ど必要のない難燃摺動樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)100質量部、ポリエチレン系重合体と、少なくとも一種のビニル単量体からなるビニル系重合体とからなり、ポリエチレン系重合体にビニル系重合体がグラフト共重合した成分を含有しているグラフト共重合体含有樹脂組成物(B)2〜50質量部、フォスファゼン系難燃剤(C)3〜40質量部を含有してなる難燃摺動樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性、耐熱性と成形流動性のバランス、耐衝撃性や引張伸度等の靭性に優れ、長時間の成形で金型メンテナンスを殆ど必要としない難燃摺動樹脂組成物に関する。
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、耐熱性、難燃性、寸法安定性あるいは電気特性等に優れるため、事務機器分野や情報機器分野等に広く用いられている。
近年、事務機器分野や情報機器分野では処理速度が大幅に増加しているため、駆動部が高速化する傾向にある。従来、ポリフェニレンエーテル系樹脂は耐摩耗摩擦特性が十分でないため、金属と樹脂との接点で摩擦による軋み音が発生したり、摩耗による寸法変化で製品寿命が短くなるといった問題が生じてきた。これらの問題を解決するためにポリフェニレンエーテル系樹脂組成物にも摺動性の改良が要求されている。
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の摺動性を改良する技術として、非極性α−オレフィン(共)重合体とビニル系(共)重合体とからなる多相構造熱可塑性樹脂を配合して摺動性の優れた熱可塑性樹脂を得る技術が開示されている(例えば、特許文献1および2参照)。しかし、かかる技術では摺動性は改良されるが、射出成形を行なう際に、ポリフェニレンエーテル系樹脂と相溶性の悪い未変性の非極性α−オレフィン(共)重合体が溶出して金型表面に付着して、成形数を重ねると膜状の極めて除去の困難な付着物となり、成形品の形状に悪影響を及ぼすこととなる。そのため、長時間の連続成形ができない上に、金型のメンテナンスに多大な労力と時間が係り、実用面で十分ではなかった。
一方、樹脂材料を事務機分野や情報機器分野に用いる場合は、難燃性を要求される事が多い。その場合難燃剤としては、近年はノンハロゲン化の要求からハロゲン化合物や三酸化アンチモンではなく、リン酸エステル系の難燃剤が広く用いられてきた。ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の場合、芳香族リン酸エステル系難燃剤の配合で良好な難燃性の付与が可能ではあるが、上記の金型付着物の問題は改善されることは無く、むしろ悪化する傾向であった。
特許第3049784号公報 特開2002−038034号公報
本発明は摺動性、難燃性、物性バランスに優れ、しかも長時間の連続成形ができ、金型のメンテナンスが殆ど必要のない、事務機器分野、情報機器分野等に広く有効に使用できる難燃摺動樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、ポリフェニレンエーテル系樹脂が本来持つ特性を損ねることなく摺動性を付与して、しかも長時間の連続成形に耐え得るものにすることを目的に鋭意検討した結果、ポリエチレン系重合体とビニル系重合体とからなるグラフト共重合体含有樹脂組成物を添加することによって摺動性を付与するに際し、驚くべきことに、難燃剤としてフォスファゼン化合物を配合することによって、未変性のポリエチレン系重合体成分の溶出による金型付着が防止され、しかも摺動特性も大幅に向上、更には従来使用していた芳香族リン酸エステル系難燃剤を配合した場合に比べて、耐熱性と流動性のバランス、耐衝撃性や引張伸度等の靭性、難燃性も改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)100質量部、ポリエチレン系重合体と、少なくとも一種のビニル単量体からなるビニル系重合体とからなりポリエチレン系重合体にビニル系重合体がグラフト共重合した成分を含有しているグラフト共重合体含有樹脂組成物(B)2〜50質量部、フォスファゼン系難燃剤(C)3〜40質量部を含有してなる難燃摺動樹脂組成物、
2.前記1の(B)成分において、ポリエチレン系重合体の含有量が80〜40質量%、ビニル系重合体の含有量が20〜60質量%であり、ビニル単量体の30質量%以上がポリエチレン系重合体にグラフト共重合している、請求項1に記載の難燃摺動樹脂組成物、
3.前記1または2において、前記(B)成分を構成するポリエチレン系重合体が低密度ポリエチレン(LDPE)である前記1または2に記載の難燃摺動樹脂組成物、
4.前記1〜3のいずれかにおいて、前記(B)成分を構成するビニル系重合体がポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル−メタクリル酸ヒドロキシアルキル共重合体)である前記1〜3のいずれかに記載の難燃摺動樹脂組成物、
5.前記1〜4のいずれかにおいて、更に、脂肪酸アミド(D)0.1〜3重量部を含有してなる前記1〜4のいずれかに記載の難燃摺動樹脂組成物、
6.前記1〜5のいずれかに記載の難燃摺動樹脂組成物より成る成形体、
を提供するものである。
本発明の難燃摺動樹脂組成物は優れた摺動性を有するために、耐摩擦摩耗特性を要求される用途に極めて有用である。加えて、長時間連続成形してもポリエチレン系重合体の溶出がないため、金型メンテナンスが殆ど必要ないため、経済的にも、成形効率面でも優れたものである。また、難燃性、物性バランスにも優れ、事務機器分野、情報機器分野に有効に使用することができる。
本発明を更に詳細に説明する。
本発明の(A)成分であるポリフェニレンエーテル系樹脂とは、ポリフェニレンエーテル樹脂単独、または必要に応じて、ポリフェニレンエーテル樹脂にスチレン系樹脂を配合した樹脂のことを示す。
本発明の(A)成分を構成するポリフェニレンエーテル樹脂としては、次に示す一般式(1)を繰り返し単位とし、構成単位が一般式(1)の〔a〕または〔b〕からなる単独重合体、あるいは共重合体が使用できる。
Figure 2007284618
(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 は炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素等の一価の残基であり、R5 ,R6 は同時に水素ではない)
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられ、その中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
ポリフェニレンエーテル共重合体としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を包含する。その中ではポリフェニレンエーテル共重合体は、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましい。
また、本発明のポリフェニレンエーテルには、本発明の主旨に反しない限り、他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいても構わない。これらフェニレンエーテルユニットとしては、例えば、特開平01−297428号公報及び特開昭63−301222号公報に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。
また、ポリフェニレンエーテルの主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
本発明(A)成分を構成するポリフェニレンエーテルにおいて、その一部または全部を不飽和カルボン酸或いはその官能的誘導体で変性した官能化ポリフェニレンエーテルで置き換えることも可能である。この場合、変性は不飽和カルボン酸やその官能的誘導体の中の1種により行われても良いし、2種以上の組み合わせによって行われても良い。
本発明に用いられるポリフェニレンエーテルの固有粘度(クロロホルム溶媒で30℃にて測定)は0.3〜0.9の範囲が好ましく、より好ましくは0.4〜0.6の範囲である。十分な物性付与の観点から0.3以上が好ましく、成形加工性の観点から0.9以下が好ましい。
本発明の(A)成分を構成するスチレン系樹脂とは、スチレン系化合物またはスチレン系化合物と共重合可能な化合物を、ゴム質重合体存在下または非存在下に重合して得られる重合体である。
スチレン系化合物とは、一般式〔2〕で表される化合物を意味する。
Figure 2007284618
(式中、Rは水素、低級アルキルまたはハロゲンを示し、Zはビニル、水素、ハロゲン及び低級アルキルよりなる群から選択され、pは0〜5の整数である。)
これらの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。また、スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられ、スチレン系化合物と共に使用される。また、ゴム質重合体としては共役ジエン系ゴムおよび共役ジエンと芳香族ビニル化合物のコポリマーまたはこれらの水添物あるいはエチレン−プロピレン共重合体系ゴム等が挙げられる。本発明のために特に好適なポリスチレン系樹脂はポリスチレンおよびゴム強化ポリスチレンである。
本発明の(B)成分であるグラフト共重合体含有樹脂組成物とは、ポリエチレン系重合体と、少なくとも一種のビニル単量体からなるビニル系重合体とからなり、ポリエチレン系重合体にビニル系重合体がグラフト共重合した成分を含有していることを特徴とする樹脂組成物である。ポリエチレン系重合体としては、ポリエチレンまたはエチレン成分を主体とするポリエチレン系共重合体が用いられる。ポリエチレン系共重合体としてはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体あるいはエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。樹脂組成物の摺動改良性能の観点から、好ましいポリエチレン系重合体はポリエチレンであり、特に低密度ポリエチレン(LDPE)、中でもリニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)が好ましい。
ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等のスチレン化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等のα、β−不飽和カルボン酸およびその金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のα、β−不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸グリシジル、メタアクリル酸グリシジル等の不飽和グリシジル基含有単量体等が挙げられる。ビニル系重合体はこれらの単一重合体が少なくとも一種以上のビニル系単量体からなる(共)重合体である。本願の難燃摺動樹脂組成物中でのの混和性と、摺動性改良の観点から、好ましいビニル系重合体はポリスチレンと、ポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル−メタクリル酸ヒドロキシアルキル共重合体)が挙げられ、特に好ましいのはポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル−メタクリル酸ヒドロキシアルキル共重合体)である。
本願(B)成分であるグラフト共重合体含有樹脂組成物におけるポリエチレン系重合体およびビニル系重合体の含有量はそれぞれ80〜40質量%および20〜60質量%の範囲内であることが好ましい。摺動性の改良効果を十分に発揮させるためにポリエチレン系重合体の含有量が40質量%以上であることが好ましく、ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性の観点からポリエチレン系重合体の含有量が80質量%以下であることが好ましい。ポリエチレン系重合体は出来るだけ多くのビニル系重合体とグラフト共重合していることが望ましく、ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性の観点から、ビニル系重合体成分の30質量%以上がポリエチレン系重合体成分とグラフト共重合していることが好ましい。一方、ポリエチレン系重合体の架橋による流動性および摺動性能の低下の観点から、ビニル系重合体成分のグラフト率は80質量%以下に抑えることが好ましい。
本発明の(C)成分であるフォスファゼン系難燃剤は、本発明の樹脂組成物において、難燃性の付与以外に、(B)成分に含まれる未変性ポリエチレン系重合体成分の溶出による金型付着物の発生を防止するために必須である。
本発明(C)成分のフォスファゼン系難燃剤は、一般式〔3〕
Figure 2007284618
〔式中、XはPh(フェニル基)、又はOPh(フェニルオキシ基)を示す〕で表される構成単位を含有するものであれば特に制限されず、例えば、環状フォスファゼン化合物、鎖状フォスファゼン化合物、架橋基で架橋した架橋フォスファゼン化合物等が挙げられる。
本発明においては、より良好な難燃性付与の観点から環状フォスファゼン化合物が好ましく、より好ましくは環状フェノキシフォスファゼン化合物である。また、本発明においては成型加工性、難燃性の観点から、三量体が70質量%以上が好ましく、特に好ましくは85質量%以上を含有する環状フェノキシフォスファゼン化合物である。
本発明(D)成分である脂肪酸アミドは、摺動性および難燃性の改良効果を更に高めるために添加することが好ましい。その具体例としては、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘン酸アミド、N,N‘−メチレンビス(ステアロアミド)、N,N’−エチレンビス(ステアロアミド)、メチロール・ステアロアミド等が挙げられる。中でもエルカ酸アミドおよびオレイン酸アミドが好ましい。
本発明において、(B)成分であるグラフト共重合体含有樹脂組成物の配合量は、(A)成分100質量部に対して、2〜50質量部、好ましくは3〜40質量部、より好ましくは5〜20質量部の範囲から選ばれる。摺動性改良の観点から2質量部以上、剛性等の物性保持および難燃化の観点から50質量部以下の範囲となる。
本発明において、(C)成分であるフォスファゼン系難燃剤の配合量は、(A)成分100質量部に対して3〜40質量部、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部の範囲から選ばれる。難燃性付与の観点から3質量部以上、十分な耐熱性保持の観点から40質量部以下の範囲となる。
本発明において、(D)成分である脂肪酸アミドの配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜3質量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜2質量部、より好ましくは0.5〜1質量部の範囲から選ばれる。摺動性および難燃性改良の観点から0.1質量部以上が好ましく、耐熱性の観点から3質量部以下が好ましい。
本発明においては、樹脂組成物の剛性、寸法安定性を更に向上させるために、無機質充填剤を配合してもよい。その具体例としては、シリカ、ワラストナイト、アルミナ、タルク、マイカ、クレー類、酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。また予め、シラン化合物等の処理剤で表面処理したものを用いることも可能である。樹脂組成物の脆弱化や表面外観、成形性の観点から、無機質充填剤の配合量は(A)成分100質量部に対して、150質量部以下であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の安定剤類や着色剤、離型剤、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂類、スチレン系熱可塑性エラストマー等のエラストマー類なども配合することができる。
本発明の樹脂組成物の調整方法は特に限定されるものではないが、改良効果の優れた組成物を安定的に製造するには、押出機が好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物を用いて成形体を成形する場合、特に成形法に制限は無いが、射出成形、押出成形、真空成形、圧空成形など既に広く知られた成形法が好適に用いられる。
本発明について、実施例に基づき以下具体的に説明する。本発明がこれらの例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の用いる部は質量部である。
実施例および比較例中の各測定値は以下の方法によって求めた。
(1)荷重撓み温度(HDT)
ASTM D−648に準拠し、厚み0.64cm、荷重18.6kg/cmで測定した。
(2)流動性(MI)
(株)東洋精機製作所製メルトインデクサーP−111を用いて、250℃、10kg荷重にてメルトインデックスを測定した。
(3)落錘(ダート)衝撃強度(耐衝撃性)
50mm×90mm×2.5mm(厚さ)の平板を用い、東洋精機(株)製の落錘グラフィックインパクトテスターにより、23℃における破壊時の全吸収エネルギーを測定した。
(4)引張強度
ASTMに定められた形状の引張試験片(形式I)を用いて、チャック間距離115mm、標点間距離50mm、引張試験速度5mm/minの条件で引張試験を行い、引張強度を測定した。
(5)引張伸度
ASTMに定められた形状の引張試験片(形式I)を用いて、チャック間距離115mm、標点間距離50mm、引張試験速度5mm/minの条件で引張試験を行い、引張伸度(破壊時歪%)を測定した。
(6)摺動性(動摩擦係数、摩耗深さ)
(株)オリエンテックの往復動摺動試験機AFT−15Mを用いて、次の条件でピン/ディスク摩擦係数を測定した。
ピン:SUS304製5mm径の鋼球、荷重:0.5kg、移動速度:30mm/sec、片道距離:20mm、往復回数:10000回、試験温度:23℃。動摩擦係数は往復回数10000回までの最大値を示す。摩耗深さは往復回数10000回後のディスクが削れた深さを示す。単位はμmである。
(7)難燃性
1.6mm厚みの試験片を用いて、UL94試験法に基づいて燃焼試験を行なった。
(8)金型表面の付着状況
内容量13.5ccの端子成形品用金型で東芝機械(株)製射出成形機IS80Cを用いて、シリンダー温度300℃、金型温度85℃、成形サイクル25secで連続成形を行なって、ショット数と金型表面への付着状況を見た。
実施例、比較例で用いた原材料を以下に示す。
原材料1 ポリフェニレンエーテル樹脂
(A−1)固有粘度(クロロホルム溶媒で30℃にて測定)が0.43dl/gの、ポリマー片末端鎖がフェノール性水酸基を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル
原材料2 スチレン系樹脂
(A−2)米国ノバケミカルズ社製ハイインパクトポリスチレンPS6200
(A−3)米国ダウケミカル社製ゼネラルパーパスポリスチレンスタイロン660
原材料3 グラフト共重合体含有樹脂組成物
(B−1)日本油脂社製モディパーA1511:ポリエチレン(VLDPE)とポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル−メタクリル酸ヒドロキシアルキル共重合体)からなるグラフト共重合体含有樹脂組成物
(B−2)日本油脂社製モディパーA1100:ポリエチレン(LDPE)約70質量%とポリスチレン約30質量%とからなり、ポリスチレン成分のグラフト効率が約55%であるグラフト共重合体含有樹脂組成物
(B−3)日本油脂社試作品AT12265:ポリエチレン(LDPE)約50質量%とポリスチレン約50質量%とからなり、ポリスチレン成分のグラフト効率が約51%であるグラフト共重合体含有樹脂組成物
原材料4 フォスファゼン系難燃剤
(C−1)下記化学式〔4〕において、
Figure 2007284618
n=3が93.6質量%、n=4が4.0質量%、n≧5が2.4質量%であるフェノキシフォスファゼン。5%減量温度;336℃、50%減量温度;398℃、500℃残渣量;4.7質量%、酸価;0.17、含有水分量;182ppm
原材料5 脂肪酸アミド
(D−1)日本油脂社製アルフローE10:オレイン酸アミド
[実施例1]
(A−1)28部、(A−2)28部、(A−3)34部、(B−1)5部、および(C−1)5部とを、ZSK25二軸押出機(独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数10)の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた樹脂組成物の物性試験結果と長時間成形による金型付着状況の結果を表−1に示す。
[実施例2]
(A−1)を50部、(A−2)を20部、(A−3)を11部、(B−1)を5部、および(C−1)を13部とした以外は、実施例1の操作を繰り返して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果と長時間成形による金型付着状況の結果を表−1に示す。
[実施例3]
(A−1)を36部、(A−2)を45部、(A−3)を5部、(B−1)を5部、および(C−1)を9部とした以外は、実施例1の操作を繰り返して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果と長時間成形による金型付着状況の結果を表−1に示す。
[比較例1]
(C−1)9部を、大八化学社製のビスフェノールAビスジフェニルホスフェート(商品名:CR741)9部に替えた以外は、実施例3の操作を繰り返して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果と長時間成形による金型付着状況の結果を表−1に示す。
[比較例2]
(C−1)9部を、大八化学社製のトリフェニルフォスフェート(商品名:TPP)9部に替えた以外は、実施例3の操作を繰り返して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果と長時間成形による金型付着状況の結果を表−2に示す。
[実施例4]
(B−1)5部を、(B−2)5部に置き換えた以外は、実施例3の操作を繰り返して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果と長時間成形による金型付着状況の結果を表−2に示す。
[実施例5]
(B−1)5部を、(B−3)5部に置き換えた以外は、実施例3の操作を繰り返して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果と長時間成形による金型付着状況の結果を表−2に示す。
[実施例6]
(A−1)を28部、(A−2)を28部、(A−3)を33.5部、(B−1)を5部、(C−1)を5部、および(D−1)を0.5部、配合した以外は、実施例1の操作を繰り返して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果と長時間成形による金型付着状況の結果を表−2に示す。
[実施例7]
(A−1)を40部、(A−2)を19部、(A−3)を5.5部、(B−1)を6部、(C−1)を9部、(D−1)を0.5部、および竹原化学社製のタルク(商品名:ハイトロンA)を20部、配合した以外は、実施例1の操作を繰り返して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果と長時間成形による金型付着状況の結果を表−3に示す。
[比較例3]
(C−1)9部を、大八化学社製のビスフェノールAビスジフェニルホスフェート(商品名:CR741)9部に替えた以外は、実施例7の操作を繰り返して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果と長時間成形による金型付着状況の結果を表−3に示す。
Figure 2007284618
Figure 2007284618
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本発明の難燃摺動樹脂組成物は、難燃性および摺動性に優れ、なおかつ良好な機械特性および電気特性を備えており、家電機器、OA機器、情報通信機器、日用品、玩具、自動車部品等に広く用いることができる。特に、家電機器、OA機器、事務機器分野において好適に用いられ、例えば、テレビ部品、エアコン部品、オーディオ部品、ゲーム機部品、MDシャーシ類、DVDシャーシ類、DVDスリムトレー、車載用CDチェンジャートレー、車載用DVDデッキフレーム、ギアボックス、プリンターシャーシ、給紙用トレー、スキャナーフレーム等の用途が挙げられる。

Claims (6)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)100質量部、ポリエチレン系重合体と、少なくとも一種のビニル単量体からなるビニル系重合体とからなりポリエチレン系重合体にビニル系重合体がグラフト共重合した成分を含有しているグラフト共重合体含有樹脂組成物(B)2〜50質量部、フォスファゼン系難燃剤(C)3〜40質量部を含有してなる難燃摺動樹脂組成物。
  2. 前記(B)成分において、ポリエチレン系重合体の含有量が80〜40質量%、ビニル系重合体の含有量が20〜60質量%であり、ビニル単量体の30質量%以上がポリエチレン系重合体にグラフト共重合している、請求項1に記載の難燃摺動樹脂組成物。
  3. 前記(B)成分を構成するポリエチレン系重合体が低密度ポリエチレン(LDPE)である請求項1又は2のいずれかに記載の難燃摺動樹脂組成物。
  4. 前記(B)成分を構成するビニル系重合体がポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル−メタクリル酸ヒドロキシアルキル共重合体)である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃摺動樹脂組成物。
  5. 更に、脂肪酸アミド(D)0.1〜3質量部を含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の難燃摺動樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の難燃摺動樹脂組成物より成る成形体。
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