JP2007284019A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、船体構造、特にトリマラン構造船に関するもので、車を運搬する自動車運搬船、タンカー、それ以外の貨物輸送ならびに乗客用フェリー等にも適用されうる大型船舶のトリマラン構造に関するものである。
外洋を航海するタンカーなどを含む大型船舶にあっては、船舶の衝突、座礁等による損傷事故を原因とする船舶の沈没という最悪の事態を避けるため、船体内部を多数の横水密隔壁で区切り、更に船体をダブルハル構造といって船体の船底及び船体の側面を夫々二重船底、二重船側構造とする二重船体構造が要求されている。
例えば、大型タンカーでは内部を多数の横水密隔壁で区切ったうえ、二重底及び二重船側構造の二重船体構造を備えることが要求され、中央部の横水密隔壁で区切られたオイルタンクと船舶の側部及び底部との間に空スペースが設けられ(二重船体構造)、大容積の船舶では、空スペースの幅が約2メートルもあり、また船種によっては船体の幅の5分の1程度が船側部の幅と規定されている。
このため、大型船舶にあってはその建造時に貨物搭載部分(船倉)を多数の横水密隔壁で多くの区画(船倉)に分け、更に船側壁部、船底部に上記の二重船体構造を採用しているが、衝突時の船構造体に与える損傷を最小限に抑え、あるいは修理時間、修理コストを低減するため、この上記した船側の二重船体構造に代えて、船体の側壁部に、その内部に水平・垂直方向に延びる補強部材を有し、かつ耐久性浮力材料が満たされているモジュールを取り付ける構成も提案されている(特許文献1)。しかしながらこの構成も、モジュールの幅だけ船倉が狭くなり、船体全体としては実質的な2重構造と見なし得るので、搭載量は船体の大きさに比較してやはり減少し、かつ複数の横隔壁で小さな区画に分けられていることから荷役にも不便であった。
一方、単胴船よりも安定な航行を目指した多胴船が案出されており、単胴船、双胴船よりも優れた利点を持つトリマラン構造の船体構造も生まれている(特許文献2)。
しかしこのトリマラン構造の船体は、中央船体と、この中央船体に比較して夫々が小型かつ喫水が少ない2つの外側船体(サイドハル)から構成されて安定、高速運航は可能ではあるが、一般に中央船体内部にはほとんど荷物を搭積載できない構造となっている。よって安定、高速運行が可能であるにもかかわらず、搭載量が少なくなり、運行効率の点で更なる改良が試みられている状況にある。
しかしこのトリマラン構造の船体は、中央船体と、この中央船体に比較して夫々が小型かつ喫水が少ない2つの外側船体(サイドハル)から構成されて安定、高速運航は可能ではあるが、一般に中央船体内部にはほとんど荷物を搭積載できない構造となっている。よって安定、高速運行が可能であるにもかかわらず、搭載量が少なくなり、運行効率の点で更なる改良が試みられている状況にある。
以上のような特許文献1に記載のものにあっては、船体構造自体が船底、船側が2重構造体に構成されているため搭載量が減少し、また特許文献2のように多胴船では安定、高速運転が可能ではあるが、中央船体内部には貨物が搭載できず積付効率が悪いという課題が発生していた。
この発明は、上記課題に対処するためになされたものであり、両者の欠点を克服し、両者の利点を取り入れたトリマラン構造船を提供することを目的としている。
この発明は、上記課題に対処するためになされたものであり、両者の欠点を克服し、両者の利点を取り入れたトリマラン構造船を提供することを目的としている。
前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、トリマラン構造船が、中央船体(1)と、該中央船体(1)の側方両側に沿って設けられたサイドハル(2)と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項2に記載のトリマラン船は、前記中央船体(1)には、船体内部に荷物搭載用プラットホーム(12)を備えたことを特徴とする。
また、請求項3に記載のトリマラン船は、前記中央船体(1)は、船底(8)のみが二重船底構造(9)であり、前記中央船体(1)およびサイドハル(2)上には共通に載置されたデッキ(3)と、該デッキ(3)上に設けられた上部構造体(4)と、を備えたことを特徴とするトリマラン構造船。
更に、請求項4に記載のトリマラン船は、船体内部に荷物搭載用プラットホーム(12)を有する中央船体(1)には、自動車その他の荷物を積載可能としたことを特徴とする。
すなわちこの発明は、トリマラン船体構造を採用するとともにその中央船体内にも多くの荷物を搭載出来るプラットフォーム(空間)を設け、中央船体、左右の小船体(サイドハル)に共通のデッキを設けてデッキ上に上部構造物を設けているので、従来のトリマラン構造船に比較しはるかに多量の貨物を搭載することができる。
そして一方では、船舶の衝突時に備え従来の構造にあっては二重船側構造になっていたが、この発明ではトリマラン構造を採用し、衝突時の損傷は左右のサイドハルで吸収するようにしたので、二重船側構造の必要はなく、また横水密隔壁の数も少なく出来るため、中央船体内には多くの荷物を搭載でき、船体の構造もより簡単な構成となる。
そして一方では、船舶の衝突時に備え従来の構造にあっては二重船側構造になっていたが、この発明ではトリマラン構造を採用し、衝突時の損傷は左右のサイドハルで吸収するようにしたので、二重船側構造の必要はなく、また横水密隔壁の数も少なく出来るため、中央船体内には多くの荷物を搭載でき、船体の構造もより簡単な構成となる。
さらにこの発明においては、トリマラン船体構造を採用しているので、安定航行と、高速運行が可能となり、多量の貨物の効率的な船舶輸送を実現することが可能となる。
以下、図面に従ってこの発明を実施するための形態について説明する。
図面は、この発明のトリマラン構造船の概略を説明するもので、図1は、図2のX−X線よりこのトリマラン構造船の船首側から見た断面正面図、図2は、図1のY−Y線より見たこのトリマラン構造船の側面図、図3は、図2のZ−Z線より見たこのトリマラン造船の船底方向を見た時の関係配置図(平面図)であり、この図には参考までにデッキの配置を点線で示す。
図面は、この発明のトリマラン構造船の概略を説明するもので、図1は、図2のX−X線よりこのトリマラン構造船の船首側から見た断面正面図、図2は、図1のY−Y線より見たこのトリマラン構造船の側面図、図3は、図2のZ−Z線より見たこのトリマラン造船の船底方向を見た時の関係配置図(平面図)であり、この図には参考までにデッキの配置を点線で示す。
図において、1は中央船体、2は中央船体1の両側に船体の長さ方向に配置されるサイドハル(小船体)で、これらは図1及び図2から理解できるように共通デッキ3で一体に構成されている。そしてこのデッキ3上に上部構造物4が設けられており、図2に示す船尾に設けられた推進機(プロペラ等)5及び舵6を含んでトリマラン構造船の基本構造が構成される。なお図3の点線内の3は中央船体1、サイドハル2、これらに共通に設けらたデッキの位置関係を説明するために示したものである。
図1において、中央船体1の底板7と船底(船体外板)8と間の空間で二重船底(二重殻構造)9が構成されており、縦通板10と横隔壁11(図2参照)とによりこの空間は維持構成されて、またこの二重船底9は、図2からも明らかなように、縦通板10と横隔壁11とで船体の長さの全域にわたり複数個形成されている。すなわち底板7、船底(船体外板)8、縦通板10、横隔壁11で構成される互いに水密構造の二重殻構造体のつながりで構成される二重船底9によって座礁時の損傷に伴う船体の沈没を防ぐことが可能となる。なお、この図1の断面図で明らかなように、中央船体1には、二重船底(二重殻構造体)9はその長さ方向に複数個存在するが、二重船側は存在せず、この点が本発明に一つのポイントである。
座礁時、二重殻構造の一部の二重船底のみが損傷するので、沈没は、二重船底9を構成する他の無傷な二重殻構造体で防止でき、一方船舶同士の衝突による損傷は、この発明では、サイドハル(小船体)2で受けとめ、中央船体1には及ばない構造となっている。すなわち共通デッキ3と一体に構成された2つのサイドハル(小船体)で衝突時の衝撃が吸収されるので中央船体1に損傷が及ばず、よって衝突時においても沈没などが発生する危険性は、ほとんど解消する。したがって、中央船体1の内部も従来のように多くの横水蜜隔壁で区切る必要はなく、広いスペースを確保することが可能である。なおこのサイドハル2 、図3からも明らかなように、例えばいくつかの水密区画から構成される中空体で、その長さは中央船体1の長さの大部分を衝突から防ぐことが出来るように船体に沿って長く構成されている。
また、図1、図3で明らかなように、中央船体1には、二重殻構造の二重船底が設けられ いるが、横隔壁は存在せず、ゆえに、船体内は何階にも荷物を搭載するためのプラットフォーム(デッキ)12、及びこれらを支える柱(図示せず)、前後の隔壁11が存在するのみで広い貨物搭載スペースをとることが出来、貨物搭載作業に際しても隔壁の存在が障害になることがなく、多くの貨物の搭載と、効率の良い貨物搭載作業とが可能となる。
以上でこの発明のトリマリン船体構造船の基本的な構成を説明したが、それ以外にも中央船体内1には、また共通デッキ3上の上部構造物4も同じく1階もしくは複数階にわたるプラットフォーム(デッキ)12とこれらを支える隔壁や柱とで貨物搭載スペースが構成され、別途操舵室、居住室を構成することができる。
以上のこの発明のトリマラン構造船により、中央船体1内にも長いプラットフォームが設 られ多くの貨物を搭載可能とし、一方ではサイドハル(小船体)を設けることにより、衝突による沈没のおそれを排除し、高速で安定な運航を可能とした。
以上の説明で明らかなように、この発明のトリマラン構造船は、安定運航が出来、かつ多量の貨物運搬も可能とし、一方安全性の点からは、サイドハル(小船体)で衝突による船体本体部の損傷を防いでいるので沈没のおそれもない産業上での利用価値の高いトリマラン構造船を提供するものである。
1 中央船体
2 サイドハル(小船体)
3 共通デッキ
4 上部構造物
5 推進機
6 かじ
7 底板
8 船底(船体外板)
9 二重船底(二重殻構造)
10 縦通板
11 横隔壁
12 プラットフォーム
2 サイドハル(小船体)
3 共通デッキ
4 上部構造物
5 推進機
6 かじ
7 底板
8 船底(船体外板)
9 二重船底(二重殻構造)
10 縦通板
11 横隔壁
12 プラットフォーム
Claims (4)
- 中央船体と、該中央船体の側方両側に沿って設けられたサイドハルと、を備えたことを特徴とするトリマラン構造船。
- 前記中央船体には、船体内部に荷物搭載用プラットホームを備えたことを特徴とする請求項1に記載のトリマラン構造船。
- 前記中央船体は、船底のみが二重船底構造であり、前記中央船体およびサイドハル上には共通に載置されたデッキと、該デッキ上に設けられた上部構造体と、を備えたことを特徴とするトリマラン構造船。
- 前記船体内部に荷物搭載用プラットホームを有する中央船体には、自動車その他の荷物を積載可能とした請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のトリマラン構造船。
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