JP2007283602A - 被記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】染料の発色を低下させることなく、受容層に亀裂が生じることを抑え、染料の滲みや裏抜けが防止された被記録媒体を提供する。
【解決手段】被記録媒体1は、基材2と中間層3と受容層4とを有し、中間層3には、イソボロニル(メタ)アクリレートとブチルアクリレートと下記一般式(1)に示す化合物との共重合体が含有されている。
Figure 2007283602

【選択図】図1

Description

本発明は、染料が転写される被記録媒体に関する。
カラー画像等を形成する画像形成技術としては、イエロー、マゼンタ、シアン等の各色の染料、例えば昇華性の分散染料を有する熱転写シートを被記録媒体と対向させ、熱転写プリンタ装置内に備わるサーマルヘッドで熱転写シートを加熱し、染料を被記録媒体に転写させてカラー画像を形成する技術が知られている。
染料が転写される被記録媒体は、シート状の基材に転写された染料を受容する受容層を有する(例えば、特許文献1参照)。また、被記録媒体の中には、基材と受容層との間に中間層が介在された3層構造からなるものがある。
基材は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のプラスチックフィルムや、合成紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙等の紙が単独で使用されたもの、或いはこれらが貼合されたものである。これらの中でも、ポリプロピレンやポリエチレン等のプラスチックフィルムと紙とが貼合された貼合基材は、ポリエチレンテレフタラートのみからなる基材に比べて安価であり品位も損ねないことから、需要が高まっている。
中間層は、主として基材と受容層との接着力を向上するための層である。中間層は、例えばポリエステル、(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール等によって形成される。
受容層は、熱転写シートから転写される染料を受容し、受容した染料を維持するための層であり、ポリエステル等の染着性樹脂によって形成される。転写された染料は、受容層内に維持されることによって画像を形成する。
特許第3181402号公報
ところで、このような構成からなる被記録媒体では、ポリエチレンテレフタラートのみからなる基材よりも安価で品質のよい、ポリプロピレンやポリエチレン等のプラスチックフィルムと紙とが貼合された貼合基材が用いられるようになっている。
しかしながら、このような貼合基材を用いた場合、特に高温高湿環境下において、転写された染料が滲み、基材側に浸透して被記録媒体の裏面に染み出る、いわゆる裏抜けが生じたり、染料が滲みやすくなって画質が低下したりする問題が発生する。
そこで、転写された染料の染着性を弱くさせる、すなわち染料の浸透性が低くなるような樹脂を用いて受容層を形成し、滲みを抑えることが行われるが、染料の浸透性が低くなるような樹脂を用いた場合には、受容層に対する染料の染着性の低下により、発色が悪くなり、感度が低下してしまう。
逆に、感度を低下させないために受容層に染着性のよい樹脂を用いる一方で、染料の目止めを行うために、中間層に親水性の樹脂や染着性の弱い高分子樹脂を用いた場合、感度を維持しつつ、高温高湿環境下での滲みを抑制することはできるが、受容層と中間層との接着が不十分となる。
被記録媒体では、受容層と中間層との間の接着が不十分であると、熱転写プリンタ装置内を搬送される際等に折れ曲がった場合、受容層が中間層に追従して折れ曲がらず、受容層に亀裂が生じてしまう。特に、受容層に形成された画像に亀裂が生じると、画質が低下してしまう。また、最悪の場合には、印画中に受容層が熱転写シート側に移行する、いわゆる基材剥れが生じる虞がある。
また、中間層に親水性の樹脂を用いた場合、高湿環境下において水分を吸収してしまうため、吸収した水分を媒介にして染料が基材側に浸透しやすくなる。これにより、被記録媒体では、染料の裏抜けが生じ、染料が被記録媒体の裏面に染み出てしまう。
これらのことから、従来の被記録媒体では、染着性のよい樹脂を用いて受容層を形成した場合、染料の発色や感度を低下させることなく、受容層の亀裂や基材剥れが生じることを抑え、染料の滲みや裏抜けを改善することは困難であった。なお、染料の滲みや裏抜けは、特に高温高湿環境下において顕著に現れる。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、染料の発色が低下したり、受容層に亀裂が生じたりすることが抑えられ、且つ、染料の滲みや裏抜けが防止された被記録媒体を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明に係る被記録媒体は、基材と、上記基材上に形成される中間層と、上記中間層上に形成され、染料を受容する受容層とを有し、上記中間層には、イソボロニル(メタ)アクリレートとブチルアクリレートと一般式(1)に示す化合物との共重合体が含有されていることを特徴とするものである。
Figure 2007283602
本発明に係る被記録媒体では、イソボロニル(メタ)アクリレートとブチルアクリレートと上記一般式(1)に示す化合物との共重合体が中間層に含有されているため、染料の発色が低下したり、受容層に亀裂が生じたりすることが抑えられ、且つ、高温高湿環境下においても染料の滲みや裏抜けが防止される。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示す被記録媒体1は、例えば染料層を有する熱転写シートを備える熱転写プリンタ装置に供給され、搬送機構によって熱転写シートと対向する位置に搬送される。被記録媒体1は、熱転写シートと対向する位置に搬送されると、熱転写シートがサーマルヘッドによって押し当てられ、加熱されることによって、染料が転写される。
被記録媒体1は、基材2と、この基材2上に中間層3及び受容層4が積層された3層構造からなる。基材2は、例えばシート状とされ、一主面に積層される中間層3及び受容層4を保持する。中間層3は、基材2と受容層4との間に介在され、受容層4が受容した染料が滲んで基材2側に浸透することを防止し、受容層4が受容した染料が変色しないようにするための層である。受容層4は、中間層3上に形成され、最表面に位置する。受容層4は、熱転写シートに設けられた染料層が選択的に転写され、転写された染料を受容する層である。
具体的に、基材2は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のプラスチックフィルムや、合成紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、上質紙等の紙が単独で使用されたもの、或いはプラスチックフィルムと紙とが貼合されたものである。この基材2は、染料が受容層4に転写される際のサーマルヘッドの熱に耐え、取り扱う際に破断することがない剛性を有する。
この基材2には、中間層3が積層されている側とは反対側の主面に図示しないバック層が設けられていてもよい。このバック層は、熱転写プリンタ装置内を被記録媒体1が安定して走行できるように、被記録媒体1と搬送機構との間の摩擦係数を制御するための層である。
次に、中間層3には、少なくともイソボロニル(メタ)アクリレートとブチルアクリレートと下記一般式(1)に示す化合物との共重合体が含有されていれば、従来使用されている樹脂を用いることができる。例えば、中間層3には、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、尿素樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、その他上述の共重合体等を単独で、或いは組み合わせて使用することができる。
Figure 2007283602
この中間層3には、被記録媒体1の白色度を向上させるため、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等の無機顔料や蛍光増白剤を添加してもよい。
また、中間層3には、被記録媒体1の帯電防止を目的として、帯電防止剤を添加してもよい。帯電防止剤としては、例えば、陽イオン型界面活性剤(第4級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等)、陰イオン型界面活性剤(アルキルベンゼンスルホネート、アルキル硫酸エステルナトリウム塩等)、両性イオン型界面活性剤、非イオン型界面活性剤等を使用することができる。
上述の共重合体を構成するイソボロニル(メタ)アクリレートは、中間層3に十分な耐熱性を付与することができる。また、イソボロニル(メタ)アクリレートは吸水性が低いため、高湿環境下での中間層3の吸水を抑制し、高湿環境下でも受容層4が受容した染料が基材2側に浸透することを十分に防止することができる。
また、共重合体を構成するブチルアクリレートは、中間層3の基材2及び受容層4に対する接着性を向上させることができる。すなわち、ブチルアクリレートを構成ユニットとして有する共重合体を中間層3に含有させることにより、基材2、中間層3及び受容層4の相互間の接着性が向上し、隙間等が生じることが抑えられる。これにより、被記録媒体1が熱転写プリンタ装置内を搬送される際等に折れ曲がった場合であっても、受容層4が基材2に追従して折れ曲がるようになり、受容層4に亀裂が生じたり、印画時に基材剥れが生じたりすることを防止できる。したがって、被記録媒体1では、中間層3にブチルアクリレートを構成ユニットとして有する共重合体が含有されることによって、受容層4の亀裂が抑えられ、画質の低下が抑えられる。
また、共重合体を構成する上記一般式(1)に示す化合物は、中間層3に極性を付与することができる。また、上記一般式(1)に示す化合物を構成ユニットとして有する共重合体を中間層3に含有させることで、中間層3と染料との相性を悪くすることが可能になり、高温環境下においても受容層4が受容した染料が基材2側に浸透することを十分に防止することができる。これにより、被記録媒体1では、染料が基材2側に染み出て裏抜けすることを高温高湿環境下においても抑えることができる。
これらのイソボロニル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、上記一般式(1)に示す化合物は、共重合体100重量部中にそれぞれ30〜70重量部、5〜15重量部、15〜65重量部の割合で含有されている。
共重合体100重量部中のイソボロニル(メタ)アクリレートの含有量が30重量部よりも少ないと、中間層3のガラス転移温度が低くなってしまい、耐熱性が低くなり、印画による高温加熱に被記録媒体1が耐えられなくなる虞がある。また、中間層3の吸水性が高くなってしまい、高湿環境下での染料移行が発生する虞がある。逆に、イソボロニル(メタ)アクリレートの含有量が70重量部よりも多いと、中間層3が非常に脆くなり、亀裂や基材剥れが生じる虞がある。
また、共重合体100重量部中のブチルアクリレートの含有量が5重量部よりも少ないと、中間層3と基材2との接着性が悪化し、亀裂や基材剥れが発生する虞がある。逆に、ブチルアクリレートの含有量が15重量部よりも多いと、ブチルアクリレートのガラス転移温度が−40℃と低いため、中間層3が著しく軟化され、印画による高温加熱に被記録媒体1が耐えられなくなる虞がある。また、中間層3自体が染色され易くなり、高温環境下で染料の移行が発生する虞がある。
また、共重合体100重量部中の上記一般式(1)に示す化合物の含有量が15重量部よりも少ないと、中間層3の極性が低くなり、高温環境下で受容層4から染料が滲んで基材2側に浸透することを防止できず、受容層4が受容した染料が基材2側に裏抜けしてしまう虞がある。逆に、上記一般式(1)に示す化合物の含有量が65重量部よりも多いと、中間層3の吸水性が高くなり過ぎ、高湿環境下での染料移行が発生する虞がある。
これに対して、イソボロニル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、上記一般式(1)に示す化合物を共重合体100重量部中にそれぞれ30〜70重量部、5〜15重量部、15〜65重量部の割合で含有させた共重合体を中間層3に含有させた場合には、基材2、中間層3及び受容層4の互いの接着性が向上し、且つ十分な極性(親水性)を付与できる。このような中間層3では、基材2及び受容層4との接着性が向上するため、被記録媒体1が折れ曲がった際や折り曲げた際に、基材2に追従して中間層3と受容層4とが折れ曲がるようになり、中間層3及び受容層4に亀裂等が生じることが抑えられる。これにより、被記録媒体1では、亀裂により受容層4に形成された画像の画質が低下することが防止される。また、被記録媒体1では、高温高湿環境下であっても、染料が基材2側に裏抜けすることが抑えられ、受容層4の表面に亀裂が生じ、画質が低下することも防止される。
上述した共重合体は、重量平均分子量が1万〜20万であり、より好ましくは5万〜10万である。共重合体の重量平均分子量が小さすぎると、中間層3を形成する樹脂材料の塗膜性が低下してしまうため、基材2上に中間層3を層状に形成することが困難となる。逆に、共重合体の重量平均分子量が大きすぎると、中間層3を形成する樹脂材料の粘度が高くなり、基材2上に塗工することが困難となる。
この中間層3は、基材2上に厚さ1〜10μm、好ましくは1〜3μmで形成される。中間層3の厚さが1μmよりも薄いと、受容層4が受容した染料が滲んで基材2側に浸透することを止めることが困難となり、染料が基材2に裏抜けしてしまう虞がある。逆に、中間層3の厚さが10μmよりも厚いと、染料が受容層4にサーマルヘッドで熱転写される際の熱量が伝わりにくくなり、受容層4に転写される染料の量が少なく、受容層4での染料の発色を低下させてしまう虞がある。
次に、受容層4は、転写された染料によって染着する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化樹脂等の染着性樹脂で形成される。例えば、受容層4には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、尿素樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアルキルアセタール樹脂等を単独で、或いは組み合わせて使用することができる。複数の樹脂を組み合わせて受容層4の染着性樹脂を生成する際は、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合など、任意の重合方法により生成することができる。
この染着性樹脂の重量平均分子量は、1万〜100万であり、好ましくは10万〜100万である。染着性樹脂の重量平均分子量が1万よりも小さいと、染着性樹脂が脆くなり、膜特性が低下し、中間層3上に受容層4を層状に形成することが困難となる。逆に、染着性樹脂の重量平均分子量が100万よりも大きいと、染着性樹脂の粘性が高くなり、中間層3上に塗工することが困難となる。
この受容層4には、染料がサーマルヘッドで熱転写される際の熱に耐えるための耐熱性や皮膜特性を付与するため、硬化剤を添加してもよい。硬化剤としては、例えば、エポキシ系硬化剤、イソシアネート系硬化剤等を使用することができ、好ましくは無黄変タイプの多官能イソシアネート化合物である。具体的に、多官能イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)等がある。また、硬化剤としては、ビューレットやアダクトタイプ等のポリイソシアネート化合物を使用してもよい。また、上述した硬化剤を複数添加するようにしてもよい。
また、受容層4には、被記録媒体1の白色度を向上させるため、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等の無機顔料や蛍光増白剤を添加してもよい。
さらに、受容層4には、熱転写シートがサーマルヘッドにより押し当てられた後、熱転写シートと剥離しやすいようにするため、離型剤を添加してもよい。離型剤としては、例えば、メチルスチレン変性シリコーンオイル、オレフィン変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル等のシリコーンオイルや、フッ素系離型剤等を使用することができる。
さらにまた、受容層4には、熱転写プリンタ装置内を走行する際に静電気が発生することを防止するため、帯電防止剤を使用してもよい。帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等の陽イオン型界面活性剤、アルキルベンゼンスルホネート、アルキル硫酸エステルナトリウム塩等の陰イオン型界面活性剤、両性イオン型界面活性剤、非イオン型界面活性剤等を使用することができる。これらの帯電防止剤は、受容層4に添加させる他、受容層4の表面に塗布してもよい。
また、受容層4には、樹脂材料の塗工性を向上させるため、必要に応じて可塑剤を添加してもよい。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、多価フェノールエステル等を使用することができる。
さらに、受容層4には、保存性を向上させるため、紫外線吸収剤や酸化防止剤等を適宜添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ジフェニルアクリレート系、ベンゾトリアゾール系等を使用することができる。また、酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、有機硫黄系、リン酸系等の酸化防止剤を使用することができる。
この受容層4は、中間層3上に厚み2〜20μm、好ましくは3〜10μmで形成される。受容層4の厚みが2μmよりも薄いと、染料を受容する量が少なく、転写された染料が表面に多く残存するようになる。受容層4の表面に染料が残存すると、表面の耐光性等が低下し、画像を良好な状態で維持することができなくなってしまう。逆に、受容層4の厚みが20μmよりも厚いと、染料を転写するために必要な熱量を得るのが難しくなり、十分に染料が転写されず、発色、すなわち印画濃度が低下してしまう。また、受容層4の厚みが厚いと、多くの熱量を加えて染料を転写しなければならないため、受容層4に熱転写シートが押し当てられる時間が長くなり、印刷速度の向上の妨げとなる。
以上説明したような構成を有する被記録媒体1では、基材2と受容層4との間に設けられた中間層3に、イソボロニル(メタ)アクリレートとブチルアクリレートと上記一般式(1)に示す化合物との共重合体が含有されていることから、中間層3の基材2及び受容層4に対する接着性が向上し、且つ中間層3が硬化されるようになる。これにより、この被記録媒体1では、染料の染着性のよい樹脂を受容層4に用い、高温高湿環境下で保存した場合であっても、染料の発色、すなわち印画濃度を良好な状態で維持しながら、亀裂が生じることを抑えることができ、且つ染料の滲みや基材2側の裏抜けを防止することができる。したがって、被記録媒体1では、基材2に安価で品位のよい、プラスチックフィルムと紙とが貼合された貼合基材を用いることができ、コスト削減が図られる。
以下、本発明の好適な実施例を実験結果に基づいて説明する。なお、以下では、実施例1〜5、比較例1〜5の被記録媒体を作製し、得られた被記録媒体について、折り曲げた際の亀裂(マイクロクラック)の有無、受容層の染着性、高温高湿環境下における染料の滲み及び裏抜け、耐熱性の評価を行った。
実施例1
実施例1では、基材上に中間層を介して受容層が形成された3層構造からなる被記録媒体を作製した。基材には、厚さ150μmの合成紙(株式会社ユポ・コーポレーション製、商品名YUPO FPG−150)を使用した。
先ず、中間層を形成する中間層塗工液を以下のようにして作製した。すなわち、イソボロニル(メタ)アクリレートとブチルアクリレートと上記一般式(1)に示す化合物との比率が70重量部:15重量部:15重量部となるように共重合体を作製した。そして、得られた共重合体100重量部と、溶媒としてイソプロピルアルコール200重量部と、メチルエチルケトン700重量部とを混合して中間層塗工液を作製した。
次に、受容層を形成する受容層塗工液を以下のようにして作製した。すなわち、染着性樹脂としてCAB−551−0.2(セルロースアセテートブチレート)(イーストマンケミカル社製)100重量部と、硬化剤としてタケネートD−110N(XDI系ポリイソシアネート)(武田薬品工業株式会社製)6重量部と、離型剤としてSF8427(カルボキシ変性シリコーンオイル)(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)3重量部と、溶媒としてメチルエチルケトン200重量部と、トルエン200重量部とを混合して受容層塗工液を作製した。
このようにして得られた中間層塗工液及び受容層塗工液をそれぞれディソルバーで1時間攪拌した後、口径が50μmのフィルターに通した。そして、フィルターを通した中間層塗工液を乾燥後の厚さが2μmとなるように基材上に塗布し、100℃で2分間乾燥して基材上に中間層を形成した。その後、形成した中間層上に乾燥後の厚さが5μmとなるように受容層塗工液を塗布し、120℃で2分間乾燥後、50℃で48時間硬化させ、被記録媒体を作製した。
実施例2
実施例2では、中間層塗工液を以下のようにして作製した。すなわち、イソボロニル(メタ)アクリレートとブチルアクリレートと上記一般式(1)に示す化合物との比率が30重量部:5重量部:65重量部となるように共重合体を作製した。そして、得られた共重合体100重量部と、イソプロピルアルコール700重量部と、メチルエチルケトン200重量部とを混合して中間層塗工液を作製した。
このようにして得られた中間層塗工液を乾燥後の厚さが1μmとなるように基材上に塗布したこと以外は、実施例1と同様に被記録媒体を作製した。
実施例3
実施例3では、中間層塗工液を以下のようにして作製した。すなわち、イソボロニル(メタ)アクリレートとブチルアクリレートと上記一般式(1)に示す化合物との比率が50重量部: 10重量部:40重量部となるように共重合体を作製した。そして、得られた共重合体100重量部と、イソプロピルアルコール450重量部と、メチルエチルケトン450重量部とを混合して中間層塗工液を作製した。
このようにして得られた中間層塗工液を乾燥後の厚さが2μmとなるように基材上に塗布したこと以外は、実施例1と同様に被記録媒体を作製した。
実施例4
実施例4では、中間層塗工液を乾燥後の厚さが5μmとなるように基材上に塗布したこと以外は、実施例3と同様に被記録媒体を作製した。
実施例5
実施例5では、中間層塗工液を乾燥後の厚さが10μmとなるように基材上に塗布したこと以外は、実施例3と同様に被記録媒体を作製した。
比較例1
比較例1では、基材上に中間層を形成せず、基材上に受容層を形成した2層構造からなる被記録媒体を作製した。すなわち、実施例1と同様の受容層塗工液を乾燥後の厚さが5μmとなるように基材上に塗布し、120℃で2分間乾燥後、50℃で48時間硬化させ、被記録媒体を作製した。
比較例2
比較例2では、受容層塗工液を以下のようにして作製した。すなわち、染着性樹脂としてMH101−5(ポリメチルメタクリレート)(藤倉化成株式会社製)100重量部と、硬化剤としてタケネートD−110N(XDI系ポリイソシアネート)(武田薬品工業株式会社製)6重量部と、離型剤としてSF8427(カルボキシ変性シリコーンオイル)(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)3重量部と、溶媒としてメチルエチルケトン200重量部と、トルエン200重量部とを混合して受容層塗工液を作製した。
このようにして得られた受容層塗工液を用いたこと以外は、比較例1と同様に被記録媒体を作製した。
比較例3
比較例3では、中間層塗工液を以下のようにして作製した。すなわち、イソボロニル(メタ)アクリレート100重量部と、溶媒としてイソプロピルアルコール100重量部と、メチルエチルケトン800重量部とを混合して中間層塗工液を作製した。
このようにして得られた中間層塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様に被記録媒体を作製した。
比較例4
比較例4では、中間層塗工液を以下のようにして作製した。すなわち、ブチルアクリレート100重量部と、溶媒としてイソプロピルアルコール100重量部と、メチルエチルケトン800重量部とを混合して中間層塗工液を作製した。
このようにして得られた中間層塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様に被記録媒体を作製した。
比較例5
比較例5では、中間層塗工液を以下のようにして作製した。すなわち、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート100重量部と、溶媒としてイソプロピルアルコール900重量部とを混合して中間層塗工液を作製した。
このようにして得られた中間層塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様に被記録媒体を作製した。
被記録媒体の評価
以上のように作製した実施例1〜5、比較例1〜5の被記録媒体に対して、折り曲げた際の亀裂(マイクロクラック)の有無、受容層の染着性、高温高湿環境下における滲み及び裏抜け、耐熱性の評価を行った。
具体的に、折り曲げた際の亀裂の有無については、実施例1〜5、比較例1〜5の被記録媒体を受容面側を凹及び凸にして折り曲げ、亀裂の有無を目視により観察し、亀裂の有無について評価を行った。
受容層の染着性については、熱転写プリンタ装置として、ソニー株式会社製UP−DR100プリンタを用い、熱転写シートとして、イエロー、マゼンタ、シアン及びラミネートの各色相を有するソニー株式会社製UPC−R46Aを用いて、実施例1〜5、比較例1〜5の被記録媒体に対して階調印画を行った。そして、各被記録媒体に印画された画像の最高濃度をマクベス反射濃度計(TR−924)を用いて測定し、受容層の染着性について評価を行った。
高温高湿環境下における滲みの発生については、上述した染着性の評価と同様に、実施例1〜5、比較例1〜5の被記録媒体に対して階調印画を行い、60℃、85%の高温高湿環境下にて各被記録媒体を1ヶ月間保存した。その後、各被記録媒体に印画された画像の滲みを目視により観察し、高温高湿環境下における滲みの発生について評価を行った。
高温高湿環境下における染料の裏抜けについては、上述した染着性の評価と同様に、実施例1〜5、比較例1〜5の被記録媒体に対して階調印画を行い、60℃、85%の高温高湿環境下にて各被記録媒体を1ヶ月間保存した。その後、各被記録媒体の受容層とは反対側から染料の浸透具合を目視により観察し、高温高湿環境下における染料の裏抜けについて評価を行った。
印画時の耐熱性については、熱転写プリンタ装置として、ソニー株式会社製UP−DR100プリンタを用い、熱転写シートとして、イエロー、マゼンタ、シアン及びラミネートの各色相を有するソニー株式会社製UPC−R46Aを用いて、実施例1〜5、比較例1〜5の被記録媒体に対して、45℃、50%の環境下にて黒ベタ連続10画面印画にて評価を行った。
実施例1〜5、比較例1〜5の被記録媒体に対する各評価の結果を以下の表1にまとめて示す。
Figure 2007283602
表1中では、折り曲げた際の亀裂の有無について、亀裂が発生していなかった場合には◎で示し、若干亀裂が入るが品位を損なう程度ではない場合には○で示し、皹割れ音と共に亀裂が全面に入り品位が損なわれた場合には×で示した。
折り曲げた際の亀裂の有無についての評価では、評価結果が◎及び○となった被記録媒体は、品位を損なっていないため、折り曲げた際の亀裂の発生が抑えられたものと見なした。一方、評価結果が×となった被記録媒体は、亀裂が入り品位が損なわれているため、折り曲げた際の亀裂の発生が抑えられなかったものと見なした。
また、表1中では、受容層の染着性について、最高濃度が2.2以上の場合には◎で示し、最高濃度が2.1以上、2.2未満の場合には○で示し、最高濃度が1.95以上、2.1未満の場合には△で示し、最高濃度が1.95未満の場合には×で示した。
受容層の染着性についての評価では、評価結果が◎及び○となった被記録媒体は、染料が好ましい濃度で発色しているため、染着性が良好であるものと見なした。一方、評価結果が△及び×となった被記録媒体は、染料が好ましい濃度で発色していないため、染着性が悪いものと見なした。
また、表1中では、高温高湿環境下における滲みの発生について、画像が全く滲んでいなかった場合にはAで示し、若干の滲みがあるが画像に影響がない場合にはBで示し、画像に滲みが生じ、画像の品位を損ねている場合にはCで示した。
高温高湿環境下における滲みの発生についての評価では、評価結果がA及びBとなった被記録媒体は、高温高湿環境下における滲みが抑えられたものと見なした。一方、評価結果がCとなった被記録媒体は、高温高湿環境下において滲みを抑えることができなったものと見なした。
また、表1では、高温高湿環境下における染料の裏抜けについて、染料が全く基材側に浸透していない場合にはAで示し、若干基材側に染料が浸透しているが、品位を損ねていない場合にはBで示し、染料が基材側に浸透して品位が損なわれている場合にはCで示した。
高温高湿環境下における染料の裏抜けについての評価では、評価結果がA及びBとなった被記録媒体は、高温高湿環境下における染料の裏抜けが抑えられたものと見なした。一方、評価結果がCとなった被記録媒体は、高温高湿環境下での染料の裏抜けを抑えることができなかったものと見なした。
また、表1では、耐熱性について、印画時の剥離音及び画像への剥離の影響がない場合には◎で示し、若干の剥離音があるが、画像への剥離の影響はない場合には○で示し、剥離音が大きく、剥離の影響が画像に出ている場合、或いは熱転写シートの異常転写や基材剥れが見られた場合には×で示した。
耐熱性についての評価では、評価結果が◎及び○となった被記録媒体は、耐熱性があると見なした。一方、評価結果が×となった被記録媒体は、十分な耐熱性が得られなったものと見なした。
表1から分かるように、イソボロニル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、上記一般式(1)に示す化合物を共重合体100重量部中にそれぞれ30〜70重量部、5〜15重量部、15〜65重量部の割合で含有させた共重合体を中間層に含有させた実施例1〜5の被記録媒体は、折り曲げた際にも亀裂(マイクロクラック)の発生が抑制され、受容層の染着性がよく、高温高湿環境下においても染料の滲みや裏抜けが抑えられ、耐熱性にも優れている。
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明を適用した被記録媒体の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 被記録媒体、2 基材、3 中間層、4 受容層

Claims (3)

  1. 基材と、
    上記基材上に形成される中間層と、
    上記中間層上に形成され、染料を受容する受容層とを有し、
    上記中間層には、イソボロニル(メタ)アクリレートとブチルアクリレートと一般式(1)に示す化合物との共重合体が含有されている
    ことを特徴とする被記録媒体。
    Figure 2007283602
  2. 上記共重合体100重量部には、イソボロニル(メタ)アクリレートとブチルアクリレートと上記一般式(1)に示す化合物とがそれぞれ30〜70重量部、5〜15重量部、15〜65重量部の割合で含有されていることを特徴とする請求項1記載の被記録媒体。
  3. 上記中間層の厚みが1〜10μmであることを特徴とする請求項1記載の被記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014069461A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写受像シート

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