JP2007282514A - コラーゲン類生産方法及びコラーゲン類 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性が高く、一定の品質を保持した加熱滅菌済みのコラーゲンを提供すること。
【解決手段】リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートを細胞培養用基材に用いてコラーゲン産生細胞の培養を行った後、前記繊維状シートごと加熱滅菌(オートクレーブ)処理を行う手順を少なくとも含むコラーゲン類生産方法を提供する。リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートにコラーゲン産生細胞を付着させ、培養した後、繊維状シートごと加熱滅菌処理を行うことにより、加熱処理後も、コラーゲン類の三重らせん構造を維持させることができる。この方法により、加熱滅菌処理済のコラーゲンを取得できる。従って、この方法は、医療・美容分野、特に、人工真皮、止血材、再生医療などにおける足場部材などの提供に特に有用である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コラーゲンの滅菌処理などに関わる技術であり、リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートを細胞培養用基材に用いてコラーゲン産生細胞の培養を行った後、前記繊維状シートごと加熱滅菌(オートクレーブ)処理を行う手順を少なくとも含むコラーゲン類生産方法、及び、加熱滅菌処理済みのコラーゲン類などに関する。
コラーゲンは、真皮、靭帯、腱、骨、軟骨などの構成タンパク質の一つで、細胞外マトリクスの主成分である。体内に存在するコラーゲンの総量は、ヒトでは、全タンパク質のほぼ30%を占める。
コラーゲンは、多くの場合、3本のα鎖(ペプチド鎖)による三重らせん構造を有する。三重らせん構造を有するコラーゲンとして、2004年時点で、30種類以上が知られており、I型、II型、IV型などのように、ローマ数字で分類されている。例えば、真皮、靭帯、腱、骨などには、I型コラーゲンが主に存在する。また、関節軟骨にはII型コラーゲンが、上皮組織の基底膜にはIV型コラーゲンが主に存在する。
コラーゲンを構成するα鎖の分子量は、10万程度である。このα鎖についても、多数の種類が知られている。例えば、I型コラーゲンは、α鎖(I型)2本とα鎖(I型)1本による三重らせん構造により形成されている。
一般的に、生体内では、コラーゲンは、成熟化した線維として存在する場合が多い。例えば、コラーゲン(三重らせん構造)同士が凝集してコラーゲン細線維を形成し、コラーゲン細線維同士が凝集してコラーゲン線維などを形成し、さらに、コラーゲンの分子間(α鎖間)又は分子内(α鎖内)で架橋が行われ、成熟コラーゲン線維が形成される。この架橋により、コラーゲンは補強され、不溶化する。なお、コラーゲン(α鎖)の分子間架橋により形成された二量体のコラーゲンをβ鎖といい、三量体のコラーゲンをγ鎖という。
現在、コラーゲン類は、飲食物・化粧品などの分野で広く用いられている。ゼラチンは、コラーゲンを40℃以上で加熱変性させたものであり、加熱処理により、三重らせんがほどけ、一本鎖が会合して形成される。ゼラチンは、ゼリーの原料などとして、飲食物・化粧品などの分野で広く用いられている。コラーゲンペプチドは、コラーゲンを酵素処理して低分子化したものである。コラーゲンペプチドは、保湿性などに優れ、化粧品分野などで用いられている。
加えて、コラーゲン類は、医療・美容分野においても、広く利用されている。コラーゲンの両端には、抗原性の高い部位(テロペプチド)が存在する。その部位を酵素処理により除去したものを、アテロコラーゲンという。アテロコラーゲンは、抗原性が低く、生体親和性に優れるため、例えば、人工真皮、止血材などの医療材料として、広く用いられている。
また、コラーゲン類は、再生医療などにおける足場(scaffold)としての利用が検討され、一部実用化されている。再生医療は、特定の臓器・組織を再生させる医療であり、脳・心臓・肝臓などの臓器、皮膚、血管、骨、軟骨などで研究が進められている。皮膚・骨・軟骨などの再生医療は、一部実用化されている。一般的に、各臓器・組織の再生には、足場となる培養基材が必要である。その足場にその組織の細胞を付着・増殖させ、その組織を再生させる。
例えば、医療分野などにコラーゲン類を用いる場合、それらのコラーゲン類に滅菌処理を施す必要がある。上記の通り、コラーゲンは40℃以上に加熱すると三重らせん構造がほどけ、ゼラチンを形成するため、加熱滅菌を行うことができない。そこで、コラーゲン類を滅菌する手段として、ろ過滅菌、化学滅菌、放射線滅菌などが行われている。
例えば、特許文献1には、過酢酸溶液を用いたコラーゲンの滅菌方法が、特許文献2には、放射線を用いたコラーゲンなどの滅菌方法が、それぞれ開示されている。
特開2005−320336号公報 特開2005−169008号公報
例えば、コラーゲン類のろ過滅菌を行う場合、ウイルス・プリオンなどの微細粒子をろ過できない可能性があり、滅菌後もこれらの粒子が混入する可能性があるという問題がある。化学滅菌を行う場合、それらの化学物質がコラーゲンなどに残留する可能性があるという問題がある。放射線滅菌をを行う場合、放射線がコラーゲンなどをランダムに損傷するため、品質が劣化しやすく、また、品質を均一にすることが難しいという問題がある。
そこで、本発明では、ウイルスや化学物質などが混入する可能性が少なく、かつ、一定以上の品質を保持できるコラーゲン類の滅菌手段を提供することを主な目的とする。
本発明では、リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートを細胞培養用基材に用いてコラーゲン産生細胞の培養を行った後、前記繊維状シートごと加熱滅菌(オートクレーブ)処理を行う手順を少なくとも含むコラーゲン類生産方法を提供する。
リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートにコラーゲン産生細胞を付着させ、培養した後、繊維状シートごと加熱滅菌処理を行うことにより、加熱処理後も、コラーゲン類の三重らせん構造を維持させることができる。この方法により、加熱滅菌処理済のコラーゲン類を取得できる。
この方法により加熱滅菌後もコラーゲン類の三重らせん構造を維持できる理由は、以下の通りであると推測する。
リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートを細胞培養用基材に用いてコラーゲン産生細胞の培養を行う場合、はじめは、繊維状シート及びその繊維枝を足場とし、細胞はその足場に付着して増殖するが、次第に、足場から離れた位置でも、細胞同士が接着することにより、三次元的・立体的に増殖しはじめ、最終的には、細胞培養用基材全体を覆うように細胞塊を形成する。
形成された細胞塊では、コラーゲン産生細胞同士が、強固かつ高密度に結合している。コラーゲンの多くは細胞間隙に存在するため、細胞間の結合が強固かつ高密度になることにより、コラーゲンの立体構造の自由度(可変度)も大幅に制限される。これにより、加熱滅菌時にもコラーゲンのα鎖同士が解離しにくくなり、加熱滅菌後もコラーゲンの三重らせん構造が一定量維持される。
なお、本発明に係るコラーゲン類生産方法には、以下のような有利性がある。
この方法を用いることにより、コラーゲン類を加熱滅菌できるため、ウイルスなどのコラーゲンなどへの混入を極力排除できる。また、この方法では、化学物質を用いずに滅菌を行うため、コラーゲンなどへの化学物質などの残留を極力抑えることができる。従って、この方法により取得したコラーゲン類は、安全性が高く、医療・美容分野、例えば、再生医療などに有用である。
上記の通り、リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートを細胞培養用基材に用いてコラーゲン産生細胞の培養を行う場合、細胞同士が強固かつ高密度に結合し、その結合状態がコラーゲンを保護する。そのため、加熱滅菌後も、コラーゲン類の三重らせん構造や架橋構造におけるランダムな損傷は少ないと考える。従って、コラーゲン類の品質の均一性を維持しやすく、また、品質の経時的な劣化が少ない可能性が高い。
本発明により、安全性が高く、一定の品質を保持した加熱滅菌済みのコラーゲン類を提供できる。
<本発明に係るコラーゲン類について>
本発明に係るコラーゲン類は、ローマ数字で分類される各種コラーゲンのほか、アテロコラーゲン、プロコラーゲン、コラーゲンペプチド、加水分解コラーゲン、コラーゲン様物質(コラーゲンと近似の一次構造を有するタンパク質)などを広く包含する。これらの各コラーゲン類は、例えば、本発明に係るコラーゲン類生産方法により、または、その手順中やその手順の前後に公知技術に基づいて酵素処理・化学処理などを施すことにより、取得できる。
<コラーゲン類生産方法について>
本発明に係るコラーゲン類生産方法には、(1)細胞培養手順、(2)加熱滅菌処理手順、(3)コラーゲン類の精製手順、などが含まれる。以下、順に説明する。
(1)細胞培養手順について:
本発明では、リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートを細胞培養用基材に用いてコラーゲン産生細胞の培養を行う。
繊維状シートには、不織布が好適であるが、それに限定されない。不織布は、メッシュなど規則的に織られたものと異なり、繊維枝同士が不規則に結合しており、適度な空間、厚み、弾力を有している。そのため、細胞と足場(不織布)が接していない部分で細胞同士が接着する際、不織布は、その細胞間の適度な距離を保つ機能を持ち、細胞同士の接着を促していると推測する。
不織布の材質(原料)は、リン酸カルシウム類を含有可能であれば特に限定されず、公知なものを用いることができる。不織布の材質(原料)として、例えば、天然繊維(木綿、麻、羊毛など)、再生繊維(レーヨン、キュプラ)、半合成繊維(アセテート、プロミックス)、合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル系、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ビニリデン、ポリオレフィン系、ポリウレタン、ポリクラール、フルオロカーボン系、ノボロイド系など)、無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、スラグ繊維、金属繊維など)、などが挙げられる。また、不織布を分解吸収性の素材、例えば、PGA(ポリグリコール酸)、PLGA(ポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体)などで形成してもよい。
不織布の繊維密度は、比較的高い方が、細胞密度(培養効率)を高くできる点で、好適である。例えば、不織布の繊維密度を、繊維状シートの単位面積あたりの重量に換算した場合、少なくとも、0.1〜0.3g/100cmの範囲内のものは、効率的な細胞培養に好適である。
リン酸カルシウム類として、第1リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、各種アパタイト類(例えば、ハイドロキシアパタイト、フッ素アパタイト、塩酸アパタイト、炭酸アパタイトなど)などが挙げられる。リン酸カルシウム類は、培養開始時において、不織布に対する細胞の付着を促進していると推測する。
リン酸カルシウム類を不織布に含有させる方法は、公知技術を用いることができ、特に限定されない。その方法として、例えば、不織布にリン酸カルシウム類を塗布する方法、バインダー(接着剤)を用いる方法、などが挙げられる。但し、人体などに適用するコラーゲン類を産生する場合、バインダーを用いない方法のほうが、安全性などの観点から、より好ましい。
本発明では、培養用器具として、例えば、フラスコ、シャーレなど、培養に一般に用いられている容器に、リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートを入れたものを用いる。繊維状シートは、1枚でもよいし、又は2〜3枚重ねた状態で用いてもよい。繊維状シートを2〜3枚重ねた場合、細胞密度(培養効率)を増大できる利点がある。また、この培養用器具には、予め、培地、培養用試薬、細胞培養用基材を固定する試薬又は部材、などを含む構成にしてもよい。
細胞培養は、例えば、次の通り行う。培養容器に、所定の培地を入れた後、細胞培養用基材を入れ、その基材を培地に馴染ませる。そして、コラーゲン産生細胞をその中にまき込み、細胞培養を行う。
コラーゲン産生細胞には、ヒト線維芽細胞をはじめ、コラーゲン類を産生する細胞が全て包含される。なお、リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートは、コラーゲン類を産生するほとんど全ての種類の付着細胞に適用可能である。
培地には、公知のものを用いることができる。また、培養の途中で無血清培地に切り替え、無血清培地で培養を行う段階を設けてもよい。
無血清培地を用いることには、コラーゲンなどへの血清の混入を極力排除できるという利点がある。例えば、再生医療をはじめとする医療・美容分野に用いる場合、コラーゲンなどへ血清中の抗原粒子などが混入し、そのコラーゲン類を適用した患者がアレルギーを引き起こす可能性を完全には排除できない。また、ウシ血清を用いた場合、BSEプリオンや人畜共通感染ウイルスなどがコラーゲンなどへ混入する可能性を完全には排除できない。それに対し、無血清培地を用いた場合、それらの危険性をより抑えることができ、より安全性の高いコラーゲン類を提供できる。
その他、この細胞培養方法を用いることには、以下のような有利性がある。
a.この細胞培養方法を用いることにより、三次元的・立体的に細胞培養を行うことができ、細胞同士が強固かつ高密度に結合した状態にできる。
b.この細胞培養方法では、細胞の増殖性を維持した状態で、長期間連続培養を行うことができる。即ち、継代培養を行わず、定期的な培地交換のみで、長期間連続培養を行うことができる。
なお、この細胞培養方法において、長期間連続培養が可能な理由は、次のような機序に基づくと推測する。この細胞培養を行う場合、細胞と足場が接触していない部分で、細胞同士が接着し、生体内における細胞間間隙と同様の構造を構築する。それにより、個々の細胞が、直接、培地を用いて代謝を行い、必要な物質を自ら合成できるようになり、壊死を回避する。
(2)加熱滅菌処理手順について:
続いて、リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートにコラーゲン産生細胞を付着させ、培養した後、繊維状シートごと加熱滅菌処理を行う。
細胞の付着した繊維状シートを、PBS(リン酸緩衝液)など公知の緩衝液などに入れ、繊維状シートごと加熱滅菌処理する。
加熱滅菌処理は、例えば、オートクレーブ装置などを用いて行う。加熱温度、加熱時間などは特に限定されず、任意に設定できる。
加熱滅菌処理は、例えば、緩衝液にグリセリンを加えて行ってもよい。グリセリン存在下で、加熱滅菌処理を行うことにより、コラーゲンなどの熱変性をより少なくし、コラーゲン類の収量を高くすることができる。
(3)コラーゲン類の精製手順について:
続いて、コラーゲン産生細胞が強固に結合した繊維状シートからコラーゲン類を抽出・精製する。コラーゲン類の抽出に伴い、細胞も剥離する。
コラーゲンの抽出・精製は、公知の方法により行うことができる。手順の例を次に示す。まず、繊維状シートを酢酸水溶液に浸し、所定時間撹拌してコラーゲンを抽出する。次に、得られた粘調な液を遠心分離した後、その上清に塩化ナトリウムなどの塩を高濃度に添加し、沈殿物を析出させる(塩析)。次に、遠心分離後、精製水で透析し、真空凍結乾燥し、コラーゲンの粉末を得る。
アテロコラーゲンを抽出・精製する場合、酢酸水溶液にペプシンを加えて抽出を行い、抽出後、水酸化ナトリウムなどで、ペプシンの不活性化とpHの調整を行う。
その他、得られたコラーゲン、アテロコラーゲンなどに、公知の方法に基づき、酵素処理・化学処理などを施すことにより、その他のコラーゲン類も取得できる。
実施例1では、不織布を足場に用いて細胞を培養した後、不織布ごと該細胞をオートクレーブした場合における、コラーゲン量を調べた。
まず、ハイドロキシアパタイトを塗布した不織布を足場として用いて、細胞培養を行った。6ウエルプレートの一つのウエルに、培地を入れた後、ハイドロキシアパタイトを塗布した不織布(9×8cm、滅菌済み)を入れた。そして、その不織布に培地を馴染ませた後、1×10個のヒト正常線維芽細胞をまき込み、4ヶ月間、培養を行った。培地には、FBS(最終濃度5%)、抗生物質、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩0.2mMの組成のものを用い、1週間間隔で培地交換を行った。
次に、細胞がコンフルエントに付着した不織布1枚を50mLチューブに入れ、20%グリセロール含有PBSを加えた後、オートクレーブ処理を行った。オートクレーブ処理は、1気圧、121℃、20分間の条件で行った。
次に、チューブ内の不織布を0.5M酢酸でさっと洗った後、チューブ内に0.5M酢酸水溶液を20mL入れ、超音波洗浄器とVortexで繰り返し振動を加え、コラーゲンの抽出を行った。その際、顕微鏡を用いて、細胞の剥離の程度を確認した。
次に、酢酸内に抽出されたコラーゲン量を、ELISA法により測定した。なお、ELISA法を行う際、コラーゲン(3重らせん構造)には結合し、ゼラチンには結合しない抗体を用いた。
結果を表1に示す。
表1中、サンプル1は、細胞が付着した不織布に、20%グリセロール含有PBSを加えてオートクレーブ処理を行った場合の結果を示す。サンプル2は、細胞が付着した不織布に、20%グリセロールを加えず、PBSのみを加えてオートクレーブ処理を行った場合の結果を示す。サンプル3は、オートクレーブ処理を行わず、細胞が付着した不織布から、同様の方法により、コラーゲンの抽出を行った場合(コントロール)の結果を示す。
表1に示す通り、オートクレーブ処理を行った場合、オートクレーブ未処理の場合(コントロール)と比較して、コラーゲン量は減少したが、一定量のコラーゲンを取得できた。また、グリセロールを添加することにより、コラーゲンの取得量を増加させることができた。
上述の通り、本実験では、ELISA法を行う際、ゼラチンとは結合しない抗体を用いた。従って、本実験結果は、不織布を用いて培養を行い、その不織布ごとオートクレーブ処理を行うことにより、オートクレーブ処理を行っても、所定量のコラーゲンは熱変性せず、3重らせん構造を保持させることができることを示す。即ち、本実験結果は、この方法を用いることにより、加熱滅菌処理したコラーゲンを取得できることを示す。
実施例2では、実施例1と同様の手順で抽出したアテロコラーゲンについて、SDS−PAGE(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)によりゲル内を展開させ、抗コラーゲン抗体を用いて免疫ブロットを行った。
まず、実施例1と同様の手順により、不織布を足場に用いて細胞を培養した後、不織布ごと該細胞をオートクレーブした。
次に、チューブ内の不織布を0.5M酢酸でさっと洗った後、チューブ内に0.5M酢酸20mLとペプシンを入れ、超音波洗浄器とVortexで繰り返し振動を加え、アテロコラーゲンの産生・抽出を行った。その際、実施例1と同様、顕微鏡を用いて、細胞の剥離の程度を確認した。
次に、そのアテロコラーゲンについて、SDS−PAGE(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)によりゲル内を展開させ、抗コラーゲン抗体を用いて免疫ブロットを行った。
結果を図1に示す。
図1は、電気泳動の結果を示す免疫ブロット写真である。図1中のレーン1は分子量マーカーを、レーン2はオートクレーブ処理したアテロコラーゲンのバンドを、それぞれ表す。
図1に示す通り、レーン2では、α鎖コラーゲンの位置とβ鎖コラーゲンの位置に、バンドが観察された。この結果は、不織布を足場に用いて細胞を培養した後、不織布ごと該細胞をオートクレーブした場合、オートクレーブ処理を行っても、所定量のコラーゲンが、3重らせん構造、及び、コラーゲン分子間の架橋構造を保持することを示す。
以上、実施例1及び実施例2の結果は、上記手順により、加熱滅菌したコラーゲン及びアテロコラーゲンを所定量取得できることを示す。
本発明により、簡易かつ有効にコラーゲン類の滅菌処理を行うことができる。従って、本発明により得られたコラーゲン類は、医療・美容分野、特に、人工真皮、止血材、再生医療などにおける足場部材などに特に有用である。
実施例2において、オートクレーブ処理したアテロコラーゲンにおける免疫ブロット写真。

Claims (6)

  1. リン酸カルシウム類を含有する繊維状シートを細胞培養用基材に用いてコラーゲン産生細胞の培養を行った後、前記繊維状シートごと加熱滅菌処理を行う手順を少なくとも含むコラーゲン類生産方法。
  2. 前記繊維状シートは、不織布であることを特徴とする請求項1記載のコラーゲン生産類方法。
  3. 前記リン酸カルシウム類は、ハイドロキシアパタイトであることを特徴とする請求項1記載のコラーゲン生産類方法。
  4. グリセリン存在下で、前記加熱滅菌処理を行うことを特徴とする請求項1記載のコラーゲン類生産方法。
  5. 前記培養を無血清培地で行う段階を少なくとも含むことを特徴とする請求項1記載のコラーゲン類生産方法。
  6. 請求項1記載のコラーゲン類生産方法により取得した加熱滅菌処理済みのコラーゲン類。

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