JP2007281313A - 電子部品 - Google Patents

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Hideto Mikami
秀人 三上
Tomoaki Kato
智紹 加藤
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Abstract

【課題】高周波まで低い信号損失特性と高いノイズ遮断特性を有し、高速伝送に対応したノイズ対策部品を提供する。
【解決手段】絶縁層を介して対向して配置された第1の導体線路と第2の導体線路と、前記第1の導体線路と前記第2の導体線路の間において前記第1の導体線路と前記第2の導体線路に対向して配置された第3の導体線路と、前記第1の導体線路と前記第2の導体線路の対向する側とは反対の側にそれぞれ配置された磁性層を備え、前記第1の導体線路の一端と前記第2の導体線路の一端が電気的に接続されるとともに、前記第1の導体線路の他端と前記第2の導体線路の他端が電気的に接続されることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、導体線路を有する電子部品に係わり、より具体的にはノイズ対策用電子部品等に関する。
従来、USBやIEEE1394などの高速伝送線路におけるノイズ対策電子部品には、外部接続ケーブルの外周に取り付けるフェライトコアや、基板上に実装し伝送線路に接続するチップビーズインダクタやコモンモードフィルタ等がある。フェライトコアやチップビーズインダクタはノイズの周波数帯でフェライトの高い透磁率により高インピーダンスとなりノイズを遮断する働きをする。コモンモードフィルタは、差動伝送において同相モードのノイズに対しフェライトの高い透磁率により高インピーダンスとなりノイズを遮断する働きをする。このような部品は主にパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、携帯機器などに使用されるが、これらの機器の小型化に伴う部品のいっそうの小型化の要求に対し、積層技術を用いた構造が開示されている(例えば特許文献1、2)。
特開2000−260621号公報 特開2005−340611号公報
近年、CPUの高速化に伴い、HDMIやPCI−Expressなどのさらなる高速伝送に対応したノイズ対策電子部品が求められている。従来、例えばコモンモードフィルタでは2つのコイルを形成する導体線路を対向配置することにより差動モードの特性インピーダンスを整合させ信号損失の低減がはかられてきた。これは特許文献1に開示されている。さらに、導体線路を非磁性層に形成することにより信号に対する磁気損失を低減させ一層の信号損失の低減が図られてきた。これは特許文献2に開示されている。しかしながら、この構造においてもまだ差動信号に対して伝送線路から高周波電磁界の漏洩があり、高周波においてはこの影響によりインピーダンスのミスマッチや磁気損失の増加が顕著になり高周波化の障害となっていた。本発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、高速伝送に対応したノイズ対策電子部品の技術を提供するものである。
本発明の電子部品は、絶縁層を介して対向して配置された第1の導体線路と第2の導体線路と、前記第1の導体線路と前記第2の導体線路の間において前記第1の導体線路と前記第2の導体線路に対向して配置された第3の導体線路と、前記第1の導体線路と前記第2の導体線路の対向する側とは反対の側にそれぞれ配置された磁性層を備え、前記第1の導体線路の一端と前記第2の導体線路の一端が電気的に接続されるとともに、前記第1の導体線路の他端と前記第2の導体線路の他端が電気的に接続されることを特徴とする。これにより、電子部品に差動伝送信号を入力した場合、第1の導体線路と第2の導体線路に同位相の高周波電流が流れ、第3の導体線路には逆位相の高周波電流が流れるため、第1の導体線路と第2の導体線路に流れる電流が外側の磁性層に作る磁界は第3の導体線路に流れる電流が作る磁界により打ち消される。従って第1、第2および第3の導体線路からなる伝送線路から磁性層へ漏洩する電磁界が低減されるため、磁性層の特性の影響によるインピーダンスのミスマッチは低減され、また磁性層による磁気損失も低減される。これにより高周波まで信号損失が低減され高速伝送に適した伝送特性を得る。
さらに、前記電子部品において、前記第1の導体線路の直流抵抗と前記第2の導体線路の直流抵抗が略同一であり、かつ前記第1の導体線路と前記第3の導体線路との間隔と前記第2の導体線路と前記第3の導体線路との間隔が略同一であることが好ましい。これにより、電子部品に差動伝送信号を入力した場合、第1の導体線路と第2の導体線路に同位相の略同一の大きさの高周波電流が流れ、第3の導体線路との間隔が略同一であるため、第1の導体線路と第2の導体線路に流れる電流が外側の磁性層に作る磁界は第3の導体線路に流れる電流が作る磁界により均等に打ち消される。従って第1、第2および第3の導体線路からなる伝送線路から磁性層へ漏洩する電磁界は一層低減される。これにより高周波まで信号損失は一層低減されることになり、高速伝送に適した伝送特性を得る。
また、本発明の別の電子部品は、絶縁層を介して対向して配置された第1の平面スパイラル線路と第2の平面スパイラル線路と、前記第1の平面スパイラル線路と前記第2の平面スパイラル線路の間において前記第1の平面スパイラル線路と前記第2の平面スパイラル線路に対向して配置された第3の平面スパイラル線路と、前記第1の平面スパイラル線路と前記第2の平面スパイラル線路の対向する側とは反対の側にそれぞれ配置された磁性層を備え、前記第1の平面スパイラル線路の一端と前記第2の平面スパイラル線路の一端が電気的に接続されるとともに、前記第1の平面スパイラル線路の他端と前記第2の平面スパイラル線路の他端が電気的に接続されることを特徴とする。これにより、電子部品に差動伝送信号を入力した場合、第1の平面スパイラル線路と第2の平面スパイラル線路に同位相の高周波電流が流れ、第3の平面スパイラル線路には逆位相の高周波電流が流れるため、第1の平面スパイラル線路と第2の平面スパイラル線路に流れる電流が外側の磁性層に作る磁界は第3の平面スパイラル線路に流れる電流が作る磁界により打ち消される。従って第1、第2および第3の平面スパイラル線路からなる伝送線路から磁性層へ漏洩する電磁界は低減されるため、磁性層の特性の影響によるインピーダンスのミスマッチは低減され、また磁性層による磁気損失も低減される。これにより高周波まで信号損失が低減され高速伝送に適した伝送特性を得る。
さらに、前記電子部品において、前記第1の平面スパイラル線路の直流抵抗と前記第2の平面スパイラル線路の直流抵抗が略同一であり、かつ前記第1の平面スパイラル線路と前記第3の平面スパイラル線路との間隔と前記第2の平面スパイラル線路と前記第3の平面スパイラル線路との間隔が略同一であることが好ましい。これにより、電子部品に差動伝送信号を入力した場合、第1の平面スパイラル線路と第2の平面スパイラル線路に同位相の略同一の大きさの高周波電流が流れ、第3の平面スパイラル線路との間隔が略同一であるため、第1の平面スパイラル線路と第2の平面スパイラル線路に流れる電流が外側の磁性層に作る磁界は第3の平面スパイラル線路に流れる電流が作る磁界により均等に打ち消される。従って第1、第2および第3の平面スパイラル線路からなる伝送線路から磁性層へ漏洩する電磁磁界は一層低減されるため、高周波まで信号損失は一層低減されることになり、高速伝送に適した伝送特性を得る。
さらに、前記電子部品において、前記第1の平面スパイラル線路のスパイラル中心側の一端に接続して引き出された第1の引き出し線路と、前記第2の平面スパイラル線路のスパイラル中心側の一端に接続して引き出された第2の引き出し線路と、前記第3の平面スパイラル線路のスパイラル中心側の一端に接続して引き出された第3の引き出し線路とを有し、前記第3の引き出し線路は、前記第1の引き出し線路または前記第2の引き出し線路とともに、それぞれ前記第1の平面スパイラル線路と前記第3の平面スパイラル線路との間または前記第2の平面スパイラル線路と前記第3の平面スパイラル線路との間に配置されていることが好ましい。これにより第1の引き出し線路と第2の引き出し線路の差動モードのインピーダンスをマッチングさせ、かつ磁性層からの距離が大きくなるため磁気損失を低減することができ、高周波まで信号の伝送損失を低減し、高速伝送に適したコモンモードフィルタを得る。
本発明に係る電子部品によれば、高周波まで低い信号損失特性と高いノイズ遮断特性を維持する上で好適な構成を有し、高速伝送に対応したノイズ対策部品を提供することが出来る。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。本発明の電子部品の第1の実施形態を図1、図2および図3を用いて説明する。なお、同一部材は同一符号で示してある。図1は導体線路を有する電子部品の一例としてコモンモードフィルタの外観を示している。図2は内部の層構成と電極構造を示す分解斜視図である。なお、絶縁層の厚さは誇張して表現してある。第1の導体線路4は絶縁層3b上に形成され、第2の導体線路6は絶縁層3d上に形成されており、絶縁層3bおよび3cを介して第1の導体線路4と第2の導体線路6が対向して配置されている。第3の導体線路5は絶縁層3c上に形成されており、第1の導体線路4と第2の導体線路6の間において、該第1の導体線路4と第2の導体線路6に対向して配置されている。第1の導体線路4は、絶縁層の面内のY方向の中心においてX方向に延出した直線部分を有し、該直線部分の両端、すなわち絶縁層の端部付近でY方向に屈曲し、さらにX方向に屈曲して電子部品端面まで到達している。なお、図2に示すように、導体線路が形成されている矩形の絶縁層の面内方向をXY方向、XY方向に垂直な方向をZ方向とし、矩形の一辺の方向をX方向、それに垂直な辺方向をY方向としてある。また、第2の導体線路6も、絶縁層のY方向の中心においてX方向に延出した直線部分を有し、該直線部分の両端、すなわち絶縁層の端部付近でY方向(第1の導体線路の場合と同じ方向)に屈曲し、さらにX方向に屈曲して電子部品端面まで到達している。さらに、第3の導体線路も、絶縁層のY方向の中心においてX方向に延出した直線部分を有し、該直線部分の両端、すなわち絶縁層の端部付近でY方向(第1および第2の導体線路の場合とは逆方向)に屈曲し、さらにX方向に屈曲して電子部品端面まで到達している。図2に示す構成では、第1の導体線路4の直線部分、第2の導体線路6の直線部分および第3の導体線路5の直線部分は、Z方向すなわち導体線路を形成する絶縁層の面に垂直な方向から見て重なるようにしてあるため、第1の導体線路4、第2の導体線路6および第3の導体線路5は、少なくとも一部で重なり部分を有する。第1の導体線路4と第2の導体線路6の対向する側とは反対の側にそれぞれ磁性層1と磁性層2が配置される。図2に示す構成では、導体線路の対向する部分を、直線形状としているが、直線形状に限らず、曲線形状、ミアンダ形状、スパイラル形状でもよいし、ヘリカル形状としてもよい。ヘリカル形状の場合は、上述の第1の導体線路、第2の導体線路および第3の導体線路の構成を維持した状態で、図2のZ方向に導体パターンを積層して、該方向を軸とするヘリカル構造とすればよい。また、電子部品としては、本発明に係る導体線路構成を一つのチップの中に複数形成して、電子部品の機能がアレイ化されたものであってもよい。
図1に示す構成では、絶縁層3a、3b、3cおよび3dからなる絶縁層3は磁性層1および磁性層2に挟まれる状態で密着して固定してある。絶縁層3は非磁性層である。第1の導体線路4の一端と第2の導体線路6の一端は外部電極8によって電気的に接続されている。一方、第1の導体線路4の他端と第2の導体線路6の他端は外部電極7によって電気的に接続されている。また、第3の導体線路5の一端は外部電極10に接続され、他端は外部電極9に接続されている。すなわち、本実施形態は、コモンモードフィルタの信号ラインの一方を分岐して並列にしていることになる。なお、第1の導体線路4の一端または他端と第2の導体線路6の一端または他端の接続は電子部品の側面等に設けた外部電極に限らず、ビア等で行ってもよい。また、前記の電気的な接続自体は電子部品の外、例えばハンダ付け部、基板上等で行うこともできる。
図2に示す構成では、第1の導体線路4と第2の導体線路6の線路パターンを同一にしてあるため、第1の導体線路4の直流抵抗と第2の導体線路6の直流抵抗は略同一となっている。また、絶縁層3bの厚さと絶縁層3cの厚さが等しくなるようにしておけば、第1の導体線路4と第3の導体線路5との間隔と、第2の導体線路6と第3の導体線路5との間隔とが略同一となる。すなわち、かかる構成は第1の導体線路と第2の導体線路の形状および位置関係が、第3の導体線路に対して対称的である構成と言える。該構成は、第1の導体線路と第2の導体線路に流れる電流が外側の磁性層に作る磁界は第3の導体線路に流れる電流が作る磁界により均等に打ち消され、第1、第2および第3の導体線路からなる伝送線路から磁性層へ漏洩する電磁磁界が一層低減される点で好ましい。なお、第1の導体線路4の直流抵抗と第2の導体線路6の直流抵抗が同一であるとともに、第1の導体線路4と第3の導体線路5との間隔と、第2の導体線路6と第3の導体線路5との間隔とが同一であることが好ましい。
図3(A)は図1および図2に示す構造のA−A’断面を示し、図3(B)は従来構造を比較して示す。図3(B)に示す従来構造では、信号が伝送される差動モードにおいて、導体線路11と導体線路12には互いに逆向きの高周波電磁界が発生するため大部分はキャンセルするが、キャンセルしない成分が上下の磁性層にも進入し、インピーダンスのミスマッチや磁気損失の原因となる。一方、図3(A)の本発明の実施形態の構造では、信号が伝送する差動モードにおいて、導体線路5に発生する高周波電磁界に対し、上下の導体線路4、6で逆向きの高周波電磁界が発生するため上下の磁性層に進入する電磁界成分が従来構造より高い効率でキャンセルされる。従って、高周波までインピーダンスのミスマッチや磁気損失を低減し信号損失を低減する。また、導体線路4と6は並列接続のため導体損失も低減される。
本発明の第2の実施形態を図1および図4を用いて説明する。図1は導体線路を有する電子部品の一例としてコモンモードフィルタの外観を示す。図4は内部の層構成と電極構造を示し分解斜視図である。図4に示す構成は、導体線路として平面スパイラル線路を用いた場合の例である。平面スパイラル線路はコモンモードフィルタの低背化に好適である。第1の平面スパイラル線路16は絶縁層3g上に形成され、第2の平面スパイラル線路18は絶縁層3j上に形成されており、絶縁層3g、3hおよび3iを介して第1の平面スパイラル線路16と第2の平面スパイラル線路18が対向して配置されている。第3の平面スパイラル線路17は絶縁層3i上に形成されており、第1の平面スパイラル線路16と第2の平面スパイラル線路18の間において、該第1の平面スパイラル線路16と第2の平面スパイラル線路18に対向して配置されている。第1の引き出し線路19は絶縁層3f上に形成されており、第1の平面スパイラル線路16のスパイラル中心側の一端とは絶縁層3fに形成されたビアを通じて電気的に接続されている。また、第2の引き出し線路21は絶縁層3k上に形成されており、第2の平面スパイラル線路18のスパイラル中心側の一端とは絶縁層3jに形成されたビアを通じて電気的に接続されている。さらに、第3の引き出し線路20は絶縁層3h上に形成されており、第3の平面スパイラル線路17のスパイラル中心側の一端とは絶縁層3hに形成されたビアを通じて電気的に接続されている。第1の引き出し線路19と第2の引き出し線路21とは外部電極8に接続されており、これにより第1の平面スパイラル線路16の一端と第2の平面スパイラル線路18の一端が電気的に接続されている。また、第1の平面スパイラル線路16の他端と第2の平面スパイラル線路18の他端は外部電極7に接続されており、これにより第1の平面スパイラル線路16の他端と第2の平面スパイラル線路18の他端が電気的に接続されている。一方、第3の引き出し線路20は外部電極10に接続されており、第3の平面スパイラル線路17の他端は、外部電極9に接続されている。すなわち、本実施形態は、コモンモードフィルタの信号ラインの一方を分岐して並列にしていることになる。図4に示す構成では、第1の平面スパイラル線路16、第2の平面スパイラル線路18及び第3の平面スパイラル線路17は、Z方向すなわちスパイラル線路の面に垂直方向から見て引き出し部分以外のスパイラル部分が重なっている。
第1の平面スパイラル線路16と第2の平面スパイラル線路18の対向する側とは反対の側にそれぞれ磁性層1と磁性層2が配置される。図1に示す構成では、絶縁層3e、3f、3g、3h、3i、3jおよび3kからなる絶縁層3は磁性層1および磁性層2に挟まれる状態で密着して固定してある。絶縁層3は非磁性層である。本実施形態の構造においても、上記第1の実施形態の場合と同様の効果を示す。すなわち、信号が伝送する差動モードにおいて、平面スパイラル線路17に発生する高周波電磁界に対し、上下の平面スパイラル線路16、18で逆向きの高周波電磁界が発生するため上下の磁性層に進入する電磁界成分が従来構造より高い効率でキャンセルされる。従って、高周波までインピーダンスのミスマッチや磁気損失を低減し信号損失を低減する。また、平面スパイラル線路16と18は並列接続のため導体損失も低減される。
図4に示す構成では、第1の平面スパイラル線路16と第2の平面スパイラル線路18の線路パターンを同一にしてあるため、第1の平面スパイラル線路16の直流抵抗と第2の平面スパイラル線路18の直流抵抗は略同一となっている。また、絶縁層3iの厚さを絶縁層3gと絶縁層3hとの和に等しくなるようにしておけば、第1の平面スパイラル線路16と第3の平面スパイラル線路17との間隔と、第2の平面スパイラル線路18と第3の平面スパイラル線路17との間隔とが略同一となる。すなわち、第1の平面スパイラル線路と第2の平面スパイラル線路の形状および位置関係が、第3の平面スパイラル線路に対して対称的である構成と言える。かかる構成は、第1の平面スパイラル線路と第2の平面スパイラル線路に流れる電流が外側の磁性層に作る磁界は第3の平面スパイラル線路に流れる電流が作る磁界により均等に打ち消され、第1、第2および第3の平面スパイラル線路からなる伝送線路から磁性層へ漏洩する電磁界は一層低減される点で好ましい。なお、第1の平面スパイラル線路16の直流抵抗と第2の平面スパイラル線路18の直流抵抗が同一であるとともに、第1の平面スパイラル線路16と第3の平面スパイラル線路17との間隔と、第2の平面スパイラル線路18と第3の平面スパイラル線路17との間隔とが同一であることが好ましい。
次に、本発明の第3の実施形態を図5を用いて説明する。図5に示す構成は、第1の引き出し線路19と第3の引き出し線路20との位置関係を変えた実施形態である。具体的には、第1の平面スパイラル線路16と第1の引き出し線路19の上下の位置関係を逆にした以外は図4に示す実施形態と同じである。図5は、第3の実施形態であるコモンモードフィルタの内部の層構成と電極構造を示す分解斜視図である。第1の引き出し線路19および第2の引き出し線路20は第1の平面スパイラル線路16と第3の平面スパイラル線路17の間に配置されていて、コイル間を通ってスパイラルの面方向に引き出されているため、その間には平面スパイラル線路がない。これにより差動モードに対する引き出し線の特性インピーダンスの整合を取ることができ、高周波まで信号の伝送損失を低減できる。なお、上記構成の他に、第2の引き出し線路21と第3の引き出し線路20が、第2の平面スパイラル線路18と第3の平面スパイラル線路17の間に配置されている構成としてもよい。図5に示す構成では、第1の引き出し線路19、第2の引き出し線路21および第3の引き出し線路20は、電子部品の端面方向(X方向)に延出する直線部分を有し、該直線部分において平面スパイラル線路の面に垂直な方向すなわちZ方向からみて重なるようになっている。該直線部分は平面スパイラル線路の外縁を超えて延出している。また、該直線部分は互いに平行になっている。第1の引き出し線路と第2の引き出し線路の差動モードのインピーダンスマッチングを単純な線路構造で取るという観点からはかかる構成が好ましいが、各引き出し線路は必ずしも、平行であったり、重なったりしている必要はない。
第1の平面スパイラル線路と第2の平面スパイラル線路を挟むように配置される磁性層は、例えばNi−Zn系フェライトに代表されるスピネルフェライトや、Z型やY型に代表される六方晶フェライトなどのソフトフェライトを用いればよい。このうち磁気異方性が高い六方晶フェライトは、スピネルフェライトのスネークの限界と呼ばれる透磁率の周波数限界を超えて高周波まで透磁率が維持される。したがって、六方晶フェライトは、高周波まで高い同相モードインピーダンスを得ることができ、高周波まで高いノイズ減衰特性を得ることができる点で好ましい。
次に、図1および図4を用いて本発明の構造の作製工程の一例を説明する。磁性層1、2には、フェライトの焼結板基板を所定の厚さと寸法に加工して供する。磁性層2であるフェライト基板の上にフォトリソグラフィにより、ポリイミド等の耐熱性樹脂からなる絶縁層3と銀または銅からなる平面スパイラル線路16、17、18および引き出し線路19、20、21とを積層する。引き出し線路と平面スパイラル線路はビア等により電気的接続を取る。その上に磁性層1としてフェライト基板を接合する。接合は例えば接着剤を用いて行う。切断後、外部電極7、8、9、10をメッキまたはスパッタによりチップ外部に形成する。絶縁層3と平面スパイラル線路16,17および18、引き出し線路19,20および21は、セラミックグリーンシート上に銀ペーストを印刷して積層し、焼成するLTCCプロセスを適用してもよい。また、本発明に係る電子部品は、電極パターンを形成したポリイミド等の薄シートを貼り合せて積層した多層フレキシブル基板により作製してもよい。
本発明の電子部品の一実施形態の外観を示すものである。 本発明の電子部品の一実施形態の内部構造を示す分解斜視図である。 本発明の電子部品の一実施形態の断面(A)と従来構造の断面(B)を比較して示すものである。 本発明の電子部品の別の実施形態の内部構造を示す分解斜視図である。 本発明の電子部品の別の実施形態の内部構造を示す分解斜視図である。
符号の説明
1、2:磁性層
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3i、3j、3k:絶縁層
4、5、6、11、12:導体線路
7、8、9、10:外部電極
16、17、18:平面スパイラル線路
19、20、21:引き出し線路

Claims (5)

  1. 絶縁層を介して対向して配置された第1の導体線路と第2の導体線路と、前記第1の導体線路と前記第2の導体線路の間において前記第1の導体線路と前記第2の導体線路に対向して配置された第3の導体線路と、前記第1の導体線路と前記第2の導体線路の対向する側とは反対の側にそれぞれ配置された磁性層を備え、前記第1の導体線路の一端と前記第2の導体線路の一端が電気的に接続されるとともに、前記第1の導体線路の他端と前記第2の導体線路の他端が電気的に接続される電子部品。
  2. 前記第1の導体線路の直流抵抗と前記第2の導体線路の直流抵抗が略同一であり、かつ前記第1の導体線路と前記第3の導体線路との間隔と前記第2の導体線路と前記第3の導体線路との間隔が略同一であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3. 絶縁層を介して対向して配置された第1の平面スパイラル線路と第2の平面スパイラル線路と、前記第1の平面スパイラル線路と前記第2の平面スパイラル線路の間において前記第1の平面スパイラル線路と前記第2の平面スパイラル線路に対向して配置された第3の平面スパイラル線路と、前記第1の平面スパイラル線路と前記第2の平面スパイラル線路の対向する側とは反対の側にそれぞれ配置された磁性層を備え、前記第1の平面スパイラル線路の一端と前記第2の平面スパイラル線路の一端が電気的に接続されるととも、前記第1の平面スパイラル線路の他端と前記第2の平面スパイラル線路の他端が電気的に接続される電子部品。
  4. 前記第1の平面スパイラル線路の直流抵抗と前記第2の平面スパイラル線路の直流抵抗が略同一であり、かつ前記第1の平面スパイラル線路と前記第3の平面スパイラル線路との間隔と前記第2の平面スパイラル線路と前記第3の平面スパイラル線路との間隔が略同一であることを特徴とする請求項3に記載の電子部品。
  5. 前記第1の平面スパイラル線路のスパイラル中心側の一端に接続して引き出された第1の引き出し線路と、前記第2の平面スパイラル線路のスパイラル中心側の一端に接続して引き出された第2の引き出し線路と、前記第3の平面スパイラル線路のスパイラル中心側の一端に接続して引き出された第3の引き出し線路とを有し、前記第3の引き出し線路は、前記第1の引き出し線路または前記第2の引き出し線路とともに、それぞれ前記第1の平面スパイラル線路と前記第3の平面スパイラル線路との間または前記第2の平面スパイラル線路と前記第3の平面スパイラル線路との間に配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の電子部品。
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