JP2007276565A - 航空機における乗降階段装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 航空機の畳み可能な乗降階段を、胴体内のスペースを狭めることなく、また空気抵抗を増加させることなく収納できるようにする。
【解決手段】 胴体11に設けられたドア開口14と地面とを接続する折り畳み可能な乗降階段21を、胴体11と主翼12との結合部を覆うフェアリング13の内部に折り畳み状態で収納するので、折り畳んだ乗降階段21が客室や荷室のスペースを狭くするのを回避することができ、しかも乗降階段21を覆う特別のフェアリングを設けことなく空気抵抗の増加を抑制することができる。またドア開口14を開閉するドア15と乗降階段21とを連動手段22により連結したので、ドア15を開放すると乗降階段21が自動的に展開するようにして利便性を高めることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 胴体11に設けられたドア開口14と地面とを接続する折り畳み可能な乗降階段21を、胴体11と主翼12との結合部を覆うフェアリング13の内部に折り畳み状態で収納するので、折り畳んだ乗降階段21が客室や荷室のスペースを狭くするのを回避することができ、しかも乗降階段21を覆う特別のフェアリングを設けことなく空気抵抗の増加を抑制することができる。またドア開口14を開閉するドア15と乗降階段21とを連動手段22により連結したので、ドア15を開放すると乗降階段21が自動的に展開するようにして利便性を高めることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、胴体と主翼との結合部を覆うフェアリングを前記胴体の下面に膨出させた航空機における乗降階段装置に関する。
航空機の胴体に形成したドア開口と地面との間には距離があって乗員が直接乗降することは困難であるため、胴体に折り畳み状態で収納した乗降階段をドア開口から地面に向けて展開するものが、下記特許文献1、2により公知である。
また胴体に形成したドア開口を開閉するドアを上部ドアおよび下部ドアに分割し、下部ドアの内面に乗降階段を設けたものが、下記特許文献3により公知である。
また胴体の下面に沿う収納位置から胴体の側方に突出する使用位置へと張り出し可能な乗降階段を設け、前記収納位置にある乗降階段を胴体に設けた専用のフェアリングで覆うものが、下記特許文献4により公知である。
米国特許第4014486号明細書
特開平4−230495号公報
米国特許第4453684号明細書
米国特許第4440364号明細書
ところで、上記特許文献1、2に記載されたものは、折り畳み状態の乗降階段が胴体の内部に収納されるため、乗降階段によって胴体の客室や荷室のスペースが減少してしまう問題がある。
また上記特許文献3に記載されたものは、下部ドアの内面に乗降階段を設けているために、ドア開口の下端と地面との距離が下部ドアの長さ程度の小型機にしか適用することができず、汎用性に乏しい問題がある。
また上記特許文献4に記載されたものは、収納位置にある乗降階段を覆う特別のフェアリングを胴体の下面に設ける必要があるため、そのフェアリングの分だけ空気抵抗が増加する問題がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、航空機の折り畳み可能な乗降階段を、胴体内のスペースを狭めることなく、また空気抵抗を増加させることなく収納できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、胴体と主翼との結合部を覆うフェアリングを前記胴体の下面に膨出させた航空機において、前記胴体に設けられたドア開口と地面とを接続する折り畳み可能な乗降階段を、折り畳み状態で前記フェアリングの内部に収納することを特徴とする、航空機における乗降階段装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記ドア開口を開閉するドアと前記乗降階段とを連動手段により連結し、ドアの開放に連動して乗降階段を展開することを特徴とする、航空機における乗降階段装置が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記連動手段は前記ドアと前記乗降階段との連動を解除するクラッチ機構を備えることを特徴とする、航空機における乗降階段装置が提案される。
請求項1の構成によれば、胴体に設けたドア開口と地面とを接続する折り畳み可能な乗降階段を、胴体と主翼との結合部を覆うフェアリングの内部に折り畳み状態で収納するので、折り畳んだ乗降階段が客室や荷室のスペースを狭くするのを回避することができ、しかも折り畳んだ乗降階段を覆う特別のフェアリングを設けことなく空気抵抗の増加を抑制することができる。
また請求項2の構成によれば、ドア開口を開閉するドアと乗降階段とを連動手段により連結したので、ドアを開放すると乗降階段が自動的に展開するようにして利便性を高めることができる。
また請求項3の構成によれば、連動手段にドアと乗降階段との連動を解除するクラッチ機構を設けたので、万一乗降階段が折り畳み状態で固着して展開不能になっても、クラッチ機構でドアと乗降階段との連動を解除することで、ドアを開放して乗員の乗降を可能にすることができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図11は本発明の実施の形態を示すもので、図1は飛行機の機体前部の斜視図、図2は図1の2方向拡大矢視図、図3は図1の3方向拡大矢視図、図4は図2の4方向拡大矢視図、図5は図4の5−5線断面図(クラッチ係合状態)、図6は図5の6−6線断面図、図7は図5の7−7線断面図、図8は図5の8−8線断面図、図9は前記図5に対応する作用説明図(クラッチ非係合状態)、図10は図3の10方向矢視図、図11は乗降階段の展開時の作用説明図である。
図1に示すように、飛行機の胴体11の下部と主翼12との結合部がフェアリング13で整形される。フェアリング13は胴体11の表面から外向きに膨出して主翼12の表面に連なるもので、胴体11の周囲を流れる空気と主翼12の周囲を流れる空気との干渉による抗力の増大を抑制する。主翼12の前縁よりも前方の胴体11の側面に形成されたドア開口14を開閉するドア15は、その上端に設けられた図示せぬヒンジを支点にして胴体11の外側に開放可能である。マニュアルで開閉されるドア15には、窓16と、機外からドア15を開くためのハンドル17と、フェアリング13の一部を構成する整形部18と、開閉時に要する力を軽減するダンパー19とを備える。ドア開口14の下方には、フェアリング13の一部を構成するカバー20が開閉自在に設けられており、このカバー20の内部に乗降階段21が折り畳み状態で収納される。そしてドア15を開放すると、それに連動してカバー20が下向きに開放して乗降階段21が地面に向けて自動的に展開する。
図2に示すように、ドア15は連動手段22を介して乗降階段21に連結される。連動手段22は、ドア開口14の上部に設けられた駆動プーリ23と、乗降階段21に設けられた従動プーリ24とをケーブル25で連結したもので、ケーブル25の中間部はドア開口14の後縁に沿う環状の機体フレーム26に設けた複数の中間プーリ27…に案内される。
次に、図2および図4〜図8に基づいて駆動プーリ23の周辺の構造を説明する。
ドア開口14の上縁に沿って前後方向に延びる縦通材31に設けたブラケット32にパイプ状の支軸33が軸線L方向に固定されており、その支軸33の外周に駆動プーリ23およびクラッチリング34がそれぞれ独立して回転自在に支持される。クラッチリング34の外周に従動アーム35の円筒部35aがキー溝35bおよびキー36を介して嵌合しており、回転アーム35の円筒部35aに対してクラッチリング34は相対回転不能、かつ軸線L方向摺動可能に連結される。クラッチリング34の下端に形成した3個の凹部34c…と、駆動プーリ23の上面に形成した3個の突起23a…とが係合可能に対向する。
パイプ状の支軸33の内部にクラッチ軸37が軸線L方向に摺動自在に嵌合しており、支軸33の上端に固定した端板38との間に縮設したスプリング39で下向きに付勢される。クラッチ軸37に植設したピン40が支軸33に軸線L方向に形成した長孔33aを摺動自在に貫通してクラッチリング34に形成した環状のガイド孔34aに嵌合する。尚、ガイド孔34aから径方向外側に向かって、ピン40を組み付けるたでのピン孔34bが貫通する。支軸33の下端に形成したスリット33bに嵌合するレバー41がピン42で揺動可能に枢支されており、レバー41の基端の当接部41aはクラッチ軸37の下端に当接する。クラッチリング34、クラッチ軸37、スプリング39およびレバー41はクラッチ機構47を構成する。
そしてドア15の上部に設けた駆動アーム43が縦通材31の開口31aを緩く貫通してブラケット32の内部に延びており、その駆動アーム43の先端と従動アーム35の先端とが連結ロッド44の両端にボールジョイント45,46を介して連結される。
次に、図3および図10に基づいて乗降階段21の構造を説明する。
胴体11に設けた一対のブラケット51,51に回転自在に支持した支軸52の両端に一対のスイングアーム53,53の基端が固定され、胴体11に設けたブラケット54,54に回転自在に支持した回転軸55の両端にサポートリンク56,56の基端が固定される。回転軸55には前記従動プーリ24が固定されるとともに、一対のクランクリンク57,57の基端が固定される。クランクリンク57,57の先端とスイングアーム53,53の中間部とが、ピン58,58と、ドライブリンク59,59と、ピン60,60とを介して連結される。そしてスイングアーム53,53の中間部に上部ステップ61の基端がピン62,62を介して連結されるとともに、サポートリンク56,56の先端がピン63,63を介して上部ステップ61の中間部に連結される。
上部ステップ61の先端に基端をピン64,64で枢支されたコネクティングリンク65の中間部と、スイングアーム53,53の先端に基端をピン66,66で枢支されたエクステンドリンク67,67の中間部とが、ピン68,68で枢支される。スイングアーム53,53の先端には、エクステンドリンク67,67の限界回転位置を規制するストッパ69,69が設けられる。コネクティングリンク65,65の先端にサポートリンク70,70の基端がピン71,71で枢支されており、このサポートリンク70,70の先端に下部ステップ72の中間部がピン73,73で枢支されるとともに、エクステンドリンク67,67の先端に下部ステップ72の基端がピン74,74で枢支される。
スイングアーム53,53の先端とカバー20の内面に設けたブラケット75とが、ボールジョイント76、カバー開閉ロッド77およびボールジョイント78を介して連結される。
次に、上記構成を備えた実施の形態の作用を説明する。
通常時に連動手段22のクラッチ機構47は図5に示す係合状態にあり、クラッチリング34の凹部34c…に駆動プーリ23の突起23a…が係合している。この状態で、ドア15をマニュアルで開放すると、ドア15に設けた駆動アーム43が図5の矢印A1方向に移動し、連結ロッド44を介して従動アーム35のア−ム部35cが図4の矢印A2方向に移動する。その結果、図5において、従動アーム35の円筒部35aの内周面に形成されたキー溝35bおよびキー36を介してクラッチリング34が支軸33まわりに回転し、クラッチリング34の凹部34c…に突起23a…を係合させた駆動プーリ23が支軸33まわりに回転する(図4の矢印A3参照)。クラッチリング34が支軸33まわりに回転するとき、ピン40はクラッチリング34の環状のガイド孔34aに沿って摺動するため、クラッチリング34の回転を阻害することはない。
このようにして連動手段22の駆動プーリ23が回転すると、その回転は中間プーリ27…に案内されたケーブル25を介して、従動プーリ24を図3および図10の矢印A4方向に回転させる。その結果、従動プーリ24と一体の回転軸55を介してクランクリンク57,57が回転し、クランクリンク57,57に連結されたドライブリンク59,59を介してスイングアーム53,53が支軸52まわりに矢印A5方向に回転する。このスイングアーム53,53の回転に連動してサポートリンク56,56、コネクティングリンク65,65、エクステンドリンク67,67およびサポートリンク70,70が図11(a)→図11(b)→図11(c)→図10の順に展開する。
図3および図10には乗降階段21が完全に展開した状態を示しており、この状態では上部ステップ61および下部ステップ72が水平状態になって乗員の乗降を可能にすることができる。乗降階段21の展開に伴って、フェアリング13の一部を構成するカバー20がカバー開閉ロッド77を介して下向きに開放する。またドア15を閉じると、駆動プーリ23および従動プーリ24が前述とは逆方向に回転し、展開状態の乗降階段21が格納されてカバー20が閉じられる。
このように、ドア15の開閉に伴って乗降階段21の展開および格納を自動的に行うことができるので、それらを別個に行う場合に比べて利便性を高めることができる。
ところで、何らかの理由で乗降階段21が格納状態において固着してしまうと、ドア15および乗降階段21が連動機構22で連結されているため、ドア15が開閉不能になる可能性がある。このような場合には、駆動プーリ23に設けたクラッチ機構47を係合解除し、駆動プーリ23を空転可能にしてドア15および乗降階段21の連動を解除し、ドア15だけを開閉可能にすることができる。
即ち、図9に示すように、レバー41を矢印A6方向に操作すると、レバー41の当接部41aがクラッチ軸37をスプリング39の弾発力に抗して矢印A7方向に移動させる。このクラッチ軸37の移動によりピン40が支軸33の長孔33a内を摺動し、ピン40に係合するクラッチリング34が、キー36を従動アーム35のキー溝35bに案内されて移動する。その結果、クラッチリング34の凹部34c…と駆動プーリ23の突起23a…との係合が外れ、クラッチ機構47が非係合状態になる。
この状態では、固着した乗降用階段21にケーブル25を介して連結された駆動プーリ23が回転不能になっても、駆動アーム43、連結ロッド44、従動アーム34およびキー36を介してドア15の開閉に連動するクラッチリング34が駆動プーリ33から分離しているため、ドア15の開閉を支障なく行うことができ、乗員が乗降不能になる事態を回避することができる。
しかして、胴体11のドア開口14と地面とを接続する折り畳み可能な乗降階段21を、胴体1と主翼12との結合部を覆うフェアリング13の内部に折り畳み状態で収納するので、折り畳んだ乗降階段21が胴体11の内部の客室や荷室のスペースを狭くすることがない。しかも折り畳んだ乗降階段21を覆う特別のフェアリングが不要になるので、空気抵抗の増加を抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では乗降階段21を主翼12の前縁側に配置しているが、それを主翼12の後縁側に配置しても良い。
また実施の形態ではドア15をマニュアルで開閉するようになっているが、アクチュエータで開閉するようにしても良い。
11 胴体
12 主翼
13 フェアリング
14 ドア開口
15 ドア
21 乗降階段
22 連動手段
47 クラッチ機構
12 主翼
13 フェアリング
14 ドア開口
15 ドア
21 乗降階段
22 連動手段
47 クラッチ機構
Claims (3)
- 胴体(11)と主翼(12)との結合部を覆うフェアリング(13)を前記胴体(11)の下面に膨出させた航空機において、
前記胴体(11)に設けられたドア開口(14)と地面とを接続する折り畳み可能な乗降階段(21)を、折り畳み状態で前記フェアリング(13)の内部に収納することを特徴とする、航空機における乗降階段装置。 - 前記ドア開口(14)を開閉するドア(15)と前記乗降階段(21)とを連動手段(22)により連結し、ドア(15)の開放に連動して乗降階段(21)を展開することを特徴とする、請求項1に記載の航空機における乗降階段装置。
- 前記連動手段(22)は前記ドア(15)と前記乗降階段(21)との連動を解除するクラッチ機構(47)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の航空機における乗降階段装置。
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