JP2007276442A - 直描型平版印刷版用原版及び直描型平版印刷版 - Google Patents

直描型平版印刷版用原版及び直描型平版印刷版 Download PDF

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Abstract

【課題】直描型平版印刷版用原版にインクを打滴した際に、インクの滲みを抑制し、かつ印刷時の汚れにくさを満足し、さらに良好な耐刷性を与える直描型平版印刷版用原版およびそれを用いた高解像度の画像形成が可能で、耐刷性に優れた直描型平版印刷版を提供する。
【解決手段】陽極酸化層を有するアルミ支持体上に、塗布量が2.0〜25mg/m2のシリケート層と、1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物を1.0〜50.0mg/m2含有するインク受容層と、を順次有する直描型平版印刷版用原版である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方式により平版印刷版を作製する際に用いられる支持体、即ち、直描型平版印刷版用原版および該平版印刷版用原版に、インクジェット記録方式により、硬化型のインク組成物を付与し、硬化させることによってインク受容性の領域を形成してなる直描型平版印刷版に関するものである。
画像データ信号に基づき、記録媒体に画像を形成する記録方式として、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり高価な装置となる。熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、転写に使用されなかったインクリボンが廃材となり、ランニングコストも高い。一方、インクジェット方式は、安価な装置で、必要とされる画像部のみにインクを吐出し記録媒体上へ直接画像形成するため、廃材が無く、ランニングコストも安いので、記録方式として優れている。
インクジェット記録方式に用いられる記録媒体は、紙、プラスチック、金属など多岐に渡り、使用目的に応じて選択される。例えば、上質紙や再生紙などの普通紙に記録すれば直接印刷物を得ることができる。しかし、インクジェット記録は、記録速度が低いため、多数枚の印刷物を得るためには、多くの時間を要することになる。そこで、インクジェット記録により印刷版を作製し、作製した印刷版により多数枚の印刷物を得る試みが成されている。例えば、インクジェット法を用いて画像を描画するための直描型平版印刷版として、アルミニウム支持体を予め親水性有機高分子化合物により親水化処理した支持体に、インクを付与する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、インクジェットにより打滴したインクが基板上で滲む問題があった。また、末端アルキル、シリコン系、フッ素系界面活性剤により表面処理した支持体に特定のインクを作用させ平版印刷版を作製する方法が開示している(例えば、特許文献2〜7参照。)。しかしながらこれらの方法では、打滴されたインクの滲みは抑制されるが、印刷時に汚れが発生しやすく、また耐刷性が劣る問題があった。
特開2000−108537公報 米国特許第6472045号明細書 米国特許第6455132号明細書 米国特許第6451413号明細書 米国特許第6555205号明細書 米国特許第6471359号明細書 米国特許第6742886号明細書
本発明は、直描型平版印刷版用原版にインクを打滴した際に、インクの滲みを抑制し、かつ印刷時の汚れにくさを満足し、さらに良好な耐刷性を与える直描型平版印刷版用原版および該平版印刷版用原版に硬化型のインク組成物を付与して得られる高解像度の画像形成が可能で、耐刷性に優れた直描型平版印刷版を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、支持体表面を陽極酸化処した後、フッ素化合物を含有する特定のインク受容層を設けることにより、本発明の目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、陽極酸化皮膜上に1.2〜25mg/m2のシリケート層を設けた支持体、あるいはゾルゲル親水性層を設けた支持体上に1分子中に5個以上のフッ素原子を有するフッ素化合物のインク受容層を有する直描型平版印刷版にすることでインクの滲みを抑制し、かつ印刷時の汚れを満足させ、良好な耐刷性を与える直描型平版印刷版用原版および直描型平版印刷版用原版にインクを作用させて得られた平版印刷版に関するものである。
即ち、本発明は以下の構成を有する。
<1> 陽極酸化層を有するアルミ支持体上に、塗布量が1.2〜25mg/m2のシリケート層と、1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物を0.2〜50.0mg/m2含有するインク受容層と、を順次有する直描型平版印刷版用原版。
<2> 前記インク受容層に、さらに、親水性樹脂を1.0〜200.0mg/m2含有することを特徴とする<1>記載の直描型平版印刷版用原版。
<3> ゾルゲル構造を含有する親水性層表面に、1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物を1.0〜50.0mg/m2含有するインク受容層を有する直描型平版印刷版用原版。
<4> 前記インク受容層に、さらに、親水性樹脂を1.0〜50.0mg/m2含有することを特徴とする<3>記載の直描型平版印刷版用原版。
<5> 1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物が−COO−RF骨格を有する<1>〜<4>のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。ここで、RFはフルオロアルキル基を表わす。
<6> 1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物が−COO−RF骨格を1分子当たり2つ以上有する<1>〜<5>のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。ここでRFはフルオロアルキル基を表わす。
<7> 1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物が高分子化合物であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載の直描型平版印刷版用原版。
<8> 有機フッ素化合物が水溶性であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。
<9> 有機フッ素化合物がスルホン酸あるいはその塩を有することを特徴とする<8>記載の直描型平版印刷版用原版。
<10> インク受容層を塗布することにより設けることを特徴とする<1>〜<9>乃至請求項9のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。
<11> <1>〜<10>のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版に、放射線重合開始剤、および重合性化合物を含有するインクを作用させて得られた直描型平版印刷版。
<12> <1>〜<10>のいずれか1項記載の平版印刷版用原版にポリマー微粒子を含有する水性あるいは非水性インクを作用させて得られた直描型平版印刷版。
<13> <1>〜<10>のいずれか1項記載の平版印刷版用原版にポリマー溶液を含有するインクを作用させて得られた直描型平版印刷版。
<14> 水との接触角が8°より小さく、かつ打滴するインクとの接触角が30°より大きい支持体とインクの組合せにより得られた<1>〜<10>のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。
すなわち、本発明では、アルミニウムなどの基板における陽極酸化皮膜上に1.2〜25mg/m2、より好ましくは、5.0〜20mg/m2のシリケート層を有する支持体あるいはゾルゲル親水性層を有する支持体上に、1分子中に5個以上のフッ素原子を有するフッ素化合物のインク受容層を設けた場合、打滴されたインクはフッ素の撥水撥油性により滲みにくくなる。これはシリケートにより親水化された表面にフッ素系化合物が配向するためと考えられる。また同時に、印刷時にインクの打滴されなかった非画像部は有機フッ素化合物が残存していると汚れやすくなるが、本発明の如く1.2〜25mg/m2の範囲でシリケート処理された基板、あるいは、ゾルゲル親水性層を有する基板では、フッ素系化合物の基板への吸着が抑制される効果により、フッ素化合物が残存していた場合でも、印刷時に湿し水あるいはインクにより、容易に除去されるため、親水性が高まり、汚れ性が良化すると考えられる。また、インクが打滴された画像部はインク成分によりフッ素系化合物が溶解されインク−支持体間の密着性が確保されると考えられる。さらに放射線硬化型のUVインクあるいは熱融着型の微粒子ポリマー含有インクを使用し、光あるいは熱による定着工程を導入することによりさらに耐刷性が向上する。
本発明によれば、直描型平版印刷版用原版にインクを打滴した際に、インクの滲みを抑制し、かつ印刷時の汚れにくさを満足し、さらに良好な耐刷性を与える直描型平版印刷版用原版を提供することができる。また、前記本発明の平版印刷版用原版に硬化型のインク組成物を付与することで、高解像度の画像形成が可能で、耐刷性に優れた直描型平版印刷版を提供することができる。
以下本発明について詳細に記載する。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版用原版即ち、直描型の平版印刷版用原版(被記録媒体)は、適切な支持体(基材)に特定のインク受容層を形成することで得られるが、この作製に使用される支持体(基材)としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
中でも、本発明においては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明においては表面処理されたアルミニウム板およびポリエステルフィルム上にゾルゲル親水性層が設けられた支持体が好ましい。以下これらについて記載する。
〔アルミ支持体〕
本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行なってもよい。以下、このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
<アルミ砂目形状を作製するための表面処理の詳細>
本発明の平版印刷版用原版(平版印刷版用支持体)は、後述するアルミニウム板に表面処理を施すことによって、上述した表面の砂目形状をアルミニウム板の表面に形成させ、その表面に後述する特定の層を形成したものである。本発明の平版印刷版用原版の基材となる支持体は、アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸化処理を施して得られるが、この支持体の製造工程は、特に限定されず、粗面化処理および陽極酸化処理以外の各種の工程を含んでいてもよい。上述した表面の砂目形状を形成させるための代表的方法として、アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法、アルミニウム板にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、アルミニウム板にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。これらの方法において、前記電気化学的粗面化処理の後、更に、アルカリエッチング処理および酸によるデスマット処理を施してもよい。これらの方法により得られた本発明の平版印刷版用原版は、上述したように、2種以上の異なる周期の凹凸を重畳した構造が表面に形成されており、平版印刷版としたときの耐汚れ性および耐刷性のいずれにも優れる。以下、表面処理の各工程について、詳細に説明する。
<機械的粗面化処理>
機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理と比較してより安価に、平均波長5〜100μmの凹凸のある表面を形成することができるため、粗面化処理の手段として有効である。機械的粗面化処理方法としては、例えば、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、特開平6−135175号公報および特公昭50−40047号公報に記載されているナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法を用いることができる。また、凹凸面をアルミニウム板に圧接する転写方法を用いることもできる。即ち、特開昭55−74898号、特開昭60−36195号、特開昭60−203496号の各公報に記載されている方法のほか、転写を数回行うことを特徴とする特開平6−55871号公報、表面が弾性であることを特徴とした特願平4−204235号明細書(特開平6−024168号公報)に記載されている方法も適用可能である。
また、放電加工、ショットブラスト、レーザー、プラズマエッチング等を用いて、微細な凹凸を食刻した転写ロールを用いて繰り返し転写を行う方法や、微細粒子を塗布した凹凸のある面を、アルミニウム板に接面させ、その上より複数回繰り返し圧力を加え、アルミニウム板に微細粒子の平均直径に相当する凹凸パターンを複数回繰り返し転写させる方法を用いることもできる。転写ロールへ微細な凹凸を付与する方法としては、特開平3−8635号、特開平3−66404号、特開昭63−65017号の各公報等に記載されている公知の方法を用いることができる。また、ロール表面にダイス、バイト、レーザー等を使って2方向から微細な溝を切り、表面に角形の凹凸をつけてもよい。このロール表面には、公知のエッチング処理等を行って、形成させた角形の凹凸が丸みを帯びるような処理を行ってもよい。また、表面の硬度を上げるために、焼き入れ、ハードクロムメッキ等を行ってもよい。そのほかにも、機械的粗面化処理としては、特開昭61−162351号公報、特開昭63−104889号公報等に記載されている方法を用いることもできる。本発明においては、生産性等を考慮して上述したそれぞれの方法を併用することもできる。これらの機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理の前に行うのが好ましい。
以下、機械的粗面化処理として好適に用いられるブラシグレイン法について説明する。ブラシグレイン法は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム板の表面の一方または両方を擦ることにより行う。上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。ローラ状ブラシを用いる場合、曲げ弾性率が好ましくは10,000〜40,000kg/cm2、より好ましくは15,000〜35,000kg/cm2であり、かつ、毛腰の強さが好ましくは500g以下、より好ましくは400g以下であるブラシ毛を用いる。ブラシ毛の直径は、一般的には、0.2〜0.9mmである。ブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的には、10〜100mmである。
研磨剤は公知の物を用いることができる。例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、炭化ケイ素、窒化ケイ素、火山灰、カーボランダム、金剛砂等の研磨剤;これらの混合物を用いることができる。中でも、パミストン、ケイ砂が好ましい。
特に、ケイ砂は、パミストンに比べて硬く、壊れにくいので粗面化効率に優れる点で好ましい。研磨剤の平均粒径は、粗面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭くすることができる点で、3〜50μmであるのが好ましく、6〜45μmであるのがより好ましい。研磨剤は、例えば、水中に懸濁させて、スラリー液として用いる。スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができる。スラリー液の比重は0.5〜2であるのが好ましい。
機械的粗面化処理に適した装置としては、例えば、特公昭50−40047号公報に記載された装置を挙げることができる。
<電気化学的粗面化処理>
電気化学的粗面化処理には、通常の交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液を用いることができる。中でも、塩酸または硝酸を主体とする電解液を用いることで特徴的な凹凸構造を表面に形成させることができる。本発明における電解粗面化処理としては、陰極電解処理の前後に酸性溶液中での交番波形電流による第1および第2の電解処理を行うことが好ましい。陰極電解処理により、アルミニウム板の表面で水素ガスが発生してスマットが生成することにより表面状態が均一化され、その後の交番波形電流による電解処理の際に均一な電解粗面化が可能となる。この電解粗面化処理は、例えば、特公昭48−28123号公報および英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、米国特許第4,276,129号明細書および同第4,676,879号明細書に記載されている。
電解槽および電源については、種々提案されているが、米国特許第4203637号明細書、特開昭56−123400号、特開昭57−59770号、特開昭53−12738号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32823号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特開昭62−127500号、特開平1−52100号、特開平1−52098号、特開昭60−67700号、特開平1−230800号、特開平3−257199号の各公報等に記載されているものを用いることができる。また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
電解液である酸性溶液としては、硝酸、塩酸のほかに、米国特許第4,671,859号、同第4,661,219号、同第4,618,405号、同第4,600,482号、同第4,566,960号、同第4,566,958号、同第4,566,959号、同第4,416,972号、同第4,374,710号、同第4,336,113号、同第4,184,932号の各明細書等に記載されている電解液を用いることもできる。
酸性溶液の濃度は0.5〜2.5質量%であるのが好ましいが、上記のスマット除去処理での使用を考慮すると、0.7〜2.0質量%であるのが特に好ましい。また、液温は20〜80℃であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ましい。
塩酸または硝酸を主体とする水溶液は、濃度1〜100g/Lの塩酸または硝酸の水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物または塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。また、塩酸または硝酸を主体とする水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。好ましくは、塩酸または硝酸の濃度0.5〜2質量%の水溶液にアルミニウムイオンが3〜50g/Lとなるように、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を添加した液を用いることが好ましい。
更に、Cuと錯体を形成しうる化合物を添加して使用することによりCuを多く含有するアルミニウム板に対しても均一な砂目立てが可能になる。Cuと錯体を形成しうる化合物としては、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のアンモニアの水素原子を炭化水素基(脂肪族、芳香族等)等で置換して得られるアミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩類が挙げられる。また、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩も挙げられる。温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
電気化学的粗面化処理に用いられる交流電源波は、特に限定されず、サイン波、矩形波、台形波、三角波等が用いられるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。台形波とは、図2に示したものをいう。この台形波において電流がゼロからピークに達するまでの時間(TP)は1〜3msecであるのが好ましい。1msec未満であると、アルミニウム板の進行方向と垂直に発生するチャタマークという処理ムラが発生しやすい。TPが3msecを超えると、特に硝酸電解液を用いる場合、電解処理で自然発生的に増加するアンモニウムイオン等に代表される電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てが行われにくくなる。その結果、平版印刷版としたときの耐汚れ性が低下する傾向にある。
台形波交流のduty比は1:2〜2:1のものが使用可能であるが、特開平5−195300公報に記載されているように、アルミニウムにコンダクタロールを用いない間接給電方式においてはduty比が1:1のものが好ましい。台形波交流の周波数は0.1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
電解槽には1個以上の交流電源を接続することができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる交流の陽極と陰極との電流比をコントロールし、均一な砂目立てを行うことと、主極のカーボンを溶解することとを目的として、図3に示したように、補助陽極を設置し、交流電流の一部を分流させることが好ましい。図3において、11はアルミニウム板であり、12はラジアルドラムローラであり、13aおよび13bは主極であり、14は電解処理液であり、15は電解液供給口であり、16はスリットであり、17は電解液通路であり、18は補助陽極であり、19aおよび19bはサイリスタであり、20は交流電源であり、40は主電解槽であり、50は補助陽極槽である。整流素子またはスイッチング素子を介して電流値の一部を二つの主電極とは別の槽に設けた補助陽極に直流電流として分流させることにより、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノード反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる電流値との比を制御することができる。主極に対向するアルミニウム板上で、陽極反応と陰極反応とにあずかる電気量の比(陰極時電気量/陽極時電気量)は、0.3〜0.95であるのが好ましい。
電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過する電解液は、アルミニウムウェブの進行方向に対してパラレルであってもカウンターであってもよい。
(硝酸電解)
硝酸を主体とする電解液を用いた電気化学的粗面化処理により、平均開口径0.5〜5μmのピットを形成することができる。ただし、電気量を比較的多くしたときは、電解反応が集中し、5μmを超えるハニカムピットも生成する。このような砂目を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜1000C/dm2であるのが好ましく、50〜300C/dm2であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜100A/dm2であるのが好ましい。また、高濃度または高温の硝酸電解液を用いると、平均開口径0.2μm以下の小波構造を形成させることもできる。
(塩酸電解)
塩酸はそれ自身のアルミニウム溶解力が強いため、わずかな電解を加えるだけで表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。この微細な凹凸は、平均開口径が0.01〜0.2μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜100C/dm2であるのが好ましく、20〜70C/dm2であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜50A/dm2であるのが好ましい。
このような塩酸を主体とする電解液での電気化学的粗面化処理では、アノード反応にあずかる電気量の総和を400〜1000C/dm2と大きくすることでクレーター状の大きなうねりを同時に形成することも可能であるが、この場合は平均開口径10〜30μmのクレーター状のうねりに重畳して平均開口径0.01〜0.4μmの微細な凹凸が全面に生成する。
上記の硝酸、塩酸等の電解液中で行われる第1および第2の電解粗面化処理の間に、アルミニウム板は陰極電解処理を行うことが好ましい。この陰極電解処理により、アルミニウム板表面にスマットが生成するとともに、水素ガスが発生してより均一な電解粗面化処理が可能となる。この陰極電解処理は、酸性溶液中で陰極電気量が好ましくは3〜80C/dm2、より好ましくは5〜30C/dm2で行われる。陰極電気量が3C/dm2未満であると、スマット付着量が不足する場合があり、また、80C/dm2を超えると、スマット付着量が過剰となる場合があり、いずれも好ましくない。また、電解液は上記第1および第2の電解粗面化処理で使用する溶液と同一であっても異なっていてもよい。
<アルカリエッチング処理>
アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。
電解粗面化処理より前に行われるアルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行っていない場合には、前記アルミニウム板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的として、また、既に機械的粗面化処理を行っている場合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解させ、急峻な凹凸を滑らかなうねりを持つ表面に変えることを目的として行われる。
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行わない場合、エッチング量は、0.1〜10g/m2であるのが好ましく、1〜5g/m2であるのがより好ましい。エッチング量が0.1g/m2未満であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等が残存する場合があるため、後段の電解粗面化処理において均一なピット生成ができずムラが発生してしまう場合がある。一方、エッチング量が1〜10g/m2であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等の除去が十分に行われる。上記範囲を超えるエッチング量とするのは、経済的に不利となる。
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行う場合、エッチング量は、3〜20g/m2であるのが好ましく、5〜15g/m2であるのがより好ましい。エッチング量が3g/m2未満であると、機械的粗面化処理等によって形成された凹凸を平滑化できない場合があり、後段の電解処理において均一なピット形成ができない場合がある。また、印刷時に汚れが劣化する場合がある。一方、エッチング量が20g/m2を超えると、凹凸構造が消滅してしまう場合がある。
電解粗面化処理の直後に行うアルカリエッチング処理は、酸性電解液中で生成したスマットを溶解させることと、電解粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。電解粗面化処理で形成されるピットは電解液の種類によって異なるためにその最適なエッチング量も異なるが、電解粗面化処理後に行うアルカリエッチング処理のエッチング量は、0.1〜5g/m2であるのが好ましい。硝酸電解液を用いた場合、塩酸電解液を用いた場合よりもエッチング量は多めに設定する必要がある。電解粗面化処理が複数回行われる場合には、それぞれの処理後に、必要に応じてアルカリエッチング処理を行うことができる。
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、タケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応じて決定することができるが、1〜50質量%であるのが好ましく、10〜35質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液中にアルミニウムイオンが溶解している場合には、アルミニウムイオンの濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜120秒であるのが好ましい。
アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
<デスマット処理>
電解粗面化処理またはアルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)が行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。上記デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム板を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。デスマット処理においては、酸性溶液として、上述した電解粗面化処理において排出される硝酸を主体とする水溶液もしくは塩酸を主体とする水溶液の廃液、または、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶液の廃液を用いることができる。デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は2.0g/m2より少ないと平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面はシリケートによる親水化処理が施される。
<シリケート処理>
本発明の直描型平版印刷版用原版の第1の態様では、塗布量が1.2〜25mg/m2のシリケート層を有することを特徴とする。このシリケート層は、シリケート処理により形成される。
ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,714,066号明細書および米国特許第3,181,461号明細書に記載されている方法および手順に従って行うことができる。アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
シリケート付着量としては、本発明の第1の態様においては1.2〜25mg/m2付着させる必要がある。好ましくは2.0〜20.0mg/m2であり、5.0〜15.0mg/m2がより望ましい。シリケート付着量は1.2mg/m2以上であるとインク滲みが抑制され、かつ、汚れにくくなる。シリケートの付着量が20.0mg/m2以下であると、平版印刷版としたときの耐刷性が良好となり好ましい。なお、シリケート付着量が25mg/m2を超えても、シリケート層を設けることで得られる特性のさらなる向上は見られず、コスト的には不利となる。シリケートは陽極酸化皮膜上に連続層として存在していても、アイランド状に存在していてもよい。
なおシリケート量は、例えば、蛍光X線分析装置を用いて検量線法によりSi原子の量(mg/m2)として測定される。より具体的には、例えば、下記の如き条件で、蛍光X線分析装置として理学電機工業(株)製RIX3000を用い、下記条件にてSi−Kαスペクトルのピーク高さよりSi原子の量を測定することができる。
装置 :理学電機工業(株)製RIX3000
X線管球 :Rh
測定スペクトル :Si−Kα
管電圧 :50kV
管電流 :50mA
スリット :COARSE
分光結晶 :RX4
検出器 :F−PC
分析面積 :30mmφ
ピーク位置(2θ) :144.75deg.
バックグランド(2θ) :140.70deg.,146.85deg.
積算時間 :80秒/sample
<ゾルゲル親水性層>
本発明の第2の態様においては、前記シリケート層からなる親水性層に換えて、インク受容層形成に先立ち、ゾルゲル構造を含有する親水性層表面が設けられる。
本発明においては、支持体(基材)上に、インク受容層を形成するのに先立って、ゾルゲル親水性層を設けて直描型平版印刷版用原版を作製してもよい。支持体基材としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
以下ゾルゲル親水性層の構成について記載する。
<親水性バインダー>
本発明においてゾルゲル親水性層は、親水性バインダーを含む。親水性バインダーは、金属水酸化物と金属酸化物との系からなるゾルゲル変換性材料であることが好ましく、その中でもポリシロキサンのゲル組織を形成する性質を有するゾルゲル変換系が最も好ましい。
結着剤は親水性層の構成成分の分散媒として作用し、層の物理的強度の向上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上、印刷適性の向上、製版作業性の便宜上など、種々の目的に適う構成となっている。
親水性バインダーは、親水性層の全固形分に対して、30質量%以上であることが好ましく、さらには35質量%〜70質量%の範囲であることが好ましい。親水性バインダーの含有量を上記範囲とすることで、親水性層が十分な耐水性および耐磨耗性を得ることがでる。
本発明の直描型平版印刷版用原版の親水性層に好適に使用される親水性ポリマーバインダーとしては、親水性層としての適度な強度と表面の親水性を付与する目的の、有機高分子化合物を用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコール(PVA),カルボキシ変性PVA等の変性PVA,澱粉およびその誘導体、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズのようなセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸およびその塩、ポリアクリアミド、およびアクリル酸、アクリアミドなど水溶性のアクリル系モノマーを主な構成成分として含む水溶性アクリル系共重合体等の水溶性樹脂が挙げられる。
また、上記有機高分子化合物を架橋し、硬化させる耐水化剤としては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等のアミノプラストの初期縮合物、メチロール化ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン・エピクロルヒドリン付加物、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、変性ポリアミドポリイミド樹脂等が挙げられる。その他、更には、塩化アンモニウム、シランカップリング剤の架橋触媒等が併用できる。
本発明に特に好ましく適用できるゾルゲル変換が可能な系は、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作製技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述されている。
すなわち、多価元素から出ている結合基が酸素原子を介して網目状構造を形成し、同時に多価金属は未結合の水酸基やアルコキシ基も有していてこれらが混在した樹脂状構造となっている高分子体であって、塗布前のアルコキシ基や水酸基が多い段階ではゾル状態であり、塗布後、エステル結合化が進行するのに伴って網目状の樹脂状構造が強固となり、ゲル状態になる。また、樹脂組織の親水性度が変化する性質に加えて、水酸基の一部が固体微粒子に結合することによって固体微粒子の表面を修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持っている。ゾルゲル変換を行う水酸基やアルコキシ基を有する化合物の多価結合元素は、アルミニウム、珪素、チタンおよびジルコニウムなどであり、これらはいずれも本発明に用いることができるが、以下はもっとも好ましく用いることのできるシロキサン結合によるゾルゲル変換系について説明する。アルミニウム、チタンおよびジルコニウムを用いるゾルゲル変換は、下記の説明の珪素をそれぞれの元素に置き換えて実施することができる。
ゾルゲル変換によって形成される親水性マトリックスは、好ましくはシロキサン結合およびシラノール基を有する樹脂であり、本発明の直描型平版印刷版用原版の親水性層は、少なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物を含んだゾルの系である塗布液を、塗布後の経時の間に、シラノール基の加水分解縮合が進んでシロキサン骨格の構造が形成され、ゲル化が進行することにより形成される。ゲル構造を形成するシロキサン樹脂は、下記一般式(I)で、また少なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物は、下記一般式(II)で示される。また、親水性層に含まれる親水性から疎水性に変化する物質系は、必ずしも一般式(II)のシラン化合物単独である必要はなく、一般には、シラン化合物が部分加水重合したオリゴマーからなっていてもよく、あるいは、シラン化合物とそのオリゴマーの混合組成であってもよい。
Figure 2007276442
上記一般式(I)のシロキサン系樹脂は、下記一般式(II)で示されるシラン化合物の少なくとも1種を含有する分散液からゾル−ゲル変換によって形成され、一般式(I)中のR01〜R03の少なくとも一つは水酸基を表し、他は下記一般式(II)中の記号のRおよびYから選ばれる有機残基を表わす。
一般式(II) (RSi(Y4−n
一般式(II)中、Rは、水酸基、炭化水素基またはヘテロ環基を表わす。Yは水素原子、ハロゲン原子、−OR11、−OCOR12、または、−N(R13)(R14)を表す(R11、R12は、各々炭化水素基を表し、R13、R14は同じでも異なってもよく、水素原子または炭化水素基を表す)。nは0、1、2または3を表わす。
一般式(II)中のRの炭化水素基またはヘテロ環基としては、炭素数1〜12の置換されてもよい直鎖状もしくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等;これらの基に置換される基としては、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、エポキシ基、−OR基(Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、2−ヒドロキシエチル基、3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、2−ブロモエチル基、2−(2−メトキシエチル)オキシエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−カルボキシプロピル基、ベンジル基等を示す)、−OCOR基(Rは、前記Rと同一の内容を表わす)、−COOR基、−COR基、−N(R)(R)(Rは、水素原子または前記Rと同一の内容を表わし、各々同じでも異なってもよい)、−NHCONHR基、−NHCOOR基、−Si(R基、−CONHR基、−NHCOR基、等が挙げられる。これらの置換基はアルキル基中に複数置換されてもよい)、炭素数2〜12の置換されていてもよい直鎖状または分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基等、これらの基に置換される基としては、前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられる)、炭素数7〜14の置換されていてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基等;これらの基に置換される基としては、前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよい)、炭素数5〜10の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ノルボニル基、アダマンチル基等、これらの基に置換される基としては、前記アルキル基の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよい)、炭素数6〜12の置換されてもよいアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基で、置換基としては前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又、複数置換されてもよい)、または、窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する縮環してもよいヘテロ環基(例えば該ヘテロ環としては、ピラン環、フラン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等で、置換基を含有してもよい。置換基としては、前記アルキル基中の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよい)を表わす。
一般式(II)中のYの−OR11基、−OCOR12基またはN(R13)(R14)基としては、たとえば以下の基を表す。−OR11基において、R11は炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブトキシ基、ヘプチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、2−(メトキシエチルオキソ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メトキシプロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオキサプロピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシクロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、ジメトキシベンジル基、メチルベンジル基、ブロモベンジル基等が挙げられる)を表わす。
−OCOR12基において、R12は、R11と同一の内容の脂肪族基または炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(芳香族基としては、前記R中のアリール基で例示したと同様のものが挙げられる)を表わす。又−N(R13)(R14)基において、R13、R14は、互いに同じでも異なってもよく、各々、水素原子または炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、前記の−OR11基のR11と同様の内容のものが挙げられる)を表わす。より好ましくは、R11とR12の炭素数の総和が16個以内である。一般式(II)で示されるシラン化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−へキシルトリメトキシシラン、n−へキシルトリエトキシシラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−へキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明に係る親水性層形成に用いる一般式(II)で示されるシラン化合物とともに、Ti、Zn、Sn、Zr、Al等のゾルゲル変換の際に樹脂に結合して成膜可能な金属化合物を併用することができる。用いられる金属化合物として、例えば、Ti(OR(Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、TiCl、Zn(OR、Zn(CHCOCHCOCH、Sn(OR、Sn(CHCOCHCOCH、Sn(OCOR、SnCl、Zr(OR、Zr(CHCOCHCOCH、Al(OR等が挙げられる。
また、このゲル構造のマトリックスの中には、膜強度、柔軟性などの物理的性能向上や、塗布性の向上、親水性の調節などの目的で、ポリマー主鎖末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーや、架橋剤を加えることが可能である。
ポリマー主鎖末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーとしては、下記一般式(1)で表されるポリマーが挙げられる。
Figure 2007276442
一般式(1)において、R、R、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数8以下の炭化水素基を表し、mは0、1または2を表し、nは1〜8の整数を表し、pは30〜300の整数を表す。Yは−NHCOCH、−CONH、−CON(CH、−COCH、−OCH、−OH、−COMまたはCONHC(CHSOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびオニウムからなる群から選択されるいずれかを表す。
Lは、単結合または有機連結基を表わすが、ここで有機連結基とは、非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には1〜60個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜100個の水素原子,0〜20個の硫黄原子から成り立つ基である。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組み合わされて構成された基を挙げることができる。
Figure 2007276442
一般式(1)のシランカップリング基を有する親水性ポリマーの具体例としては以下のポリマーを挙げることができる。なお、下記具体例において、pは100〜250の間のいずれを採ることもできる。
Figure 2007276442
本発明に係る上記親水性ポリマーは、下記一般式(2)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(3)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤とを用いてラジカル重合させることによって合成することができる。シランカップリング剤、式(3)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
なお、下記一般式(2)及び(3)におけるR1、R2、R3、R4、L、Y、m、及び、nは、それぞれ前記一般式(1)におけるのと同義である。
Figure 2007276442
以上述べたように、ゾルゲル法によって作製される親水性層をインク受容層と支持体との間に設けることが、本発明の平版印刷版用原版にとくに好ましい。
<無機微粒子>
本発明におけるゾルゲル構造を含有する親水性層には、画像部の硬化皮膜強度向上および非画像部の機上現像性向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、親水性層中に安定に分散して、膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、親水性層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
<ゾルゲル親水性層の形成>
前記ゾルゲル親水性層は、必要な上記各成分を溶剤に分散、または溶かして塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明に係るゾルゲル親水性層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
上記のようにして調製した親水性塗布液組成物を支持体表面に塗布、乾燥することでゾルゲル親水性層を形成することができる。ゾルゲル親水性層の膜厚は目的により選択できるが、一般的には乾燥後の塗布量で、0.5〜5.0g/mの範囲であり、好ましくは1.0〜3.0g/mの範囲である。塗布量が、0.5g/mより少ないと親水性の効果が発現しにくくなり、5.0g/mを超えると膜強度の低下を生じる傾向があるためいずれも好ましくない。
<インク受容層>
本発明においては、前記シリケート層或いはゾルゲル親水性層から選択される親水性層の表面に、インク受容層を設けることを特徴とする。インク受容層は、1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物を0.2〜50.0mg/m含む層であるか、又は、1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物を0.2〜50mg/mと、親水性樹脂をそれぞれ1.0〜200.0mg/mまたは1.0〜50.0mg/mと、を含む層である。
これらのインク受容層は、支持体上に予め設けられた、シリケート層からなる親水性層又はゾルゲル構造を含有する親水性層表面に設けられる。
本発明の直描型平版印刷版用原版は、アルミ基材に形成された陽極酸化皮膜表面にシリケート処理により設けられたシリケート層、あるいはゾルゲル親水性層上にインク受容層を設けてなる。インク受容層成分としてはフッ素原子を5個以上有する有機フッ素化合物を50mg/m以下の範囲で設けることができる。有機フッ素化合物の含有量を0.2〜50.0mg/mの範囲とすることで、平版印刷版を作製する際に優れた画像部領域との密着性と表面親水性とを両立させることができ、非画像部の汚れ難さと高耐刷性が実現する。
〔フッ素原子を5個以上有する有機フッ素化合物〕
本発明に用いうる有機フッ素化合物はフッ素原子数が1分子当たりあるいは高分子化合物の場合には1構成単位当たり5個以上なければならない。5個より少ないとインク滲み抑制効果が出ない。有機フッ素化合物は水溶性であることが好ましく、また界面活性作用がある化合物が好ましい。
本発明に係る好ましいフッ素系化合物は、一般式 R−Rpol で表される。式中、Rは炭素原子3個以上の直鎖または分枝鎖のフルオロアルキル基を表し、Rpolはカルボン酸あるいはその塩、スルホン酸あるいはその塩、燐酸あるいはその塩、ホスホン酸あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、4級アンモニウム塩、ポリエチレンオキシ骨格、ポリプロピレンオキシ骨格、スルホンアミド基、エーテル基、ベタイン構造などの極性基を表す。これらの中でスルホキシル基あるいはその塩の構造を有するものがシリケートと相互作用しにくく機上現像されることより好ましい。また、RはC2n+12mCOO−骨格を有するものがインク滲みを抑制する観点より特に好ましく、1分子中に2つ以上のC2n+12mCOO−骨格を有するものがさらに好ましい。ここでnは2以上の整数、mは1以上の整数である。
以下に、本発明に好ましく用いられるフッ素系化合物の具体例〔(F−1)〜(F−19)〕を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007276442
Figure 2007276442
また、本発明に係るフッ素系化合物として、高分子フッ素系化合物を使用してもよい。特に界面活性剤作用を有するもので水溶性であるものが好ましい。
高分子フッ素系界面活性剤の具体例としては、フルオロ脂肪族基を有するアクリレートまたはフルオロ脂肪族基を有するメタクリレートと、ポリ(オキシアルキレン)アクリレートまたはポリ(オキシアルキレン)メタクリレートとの共重合体が挙げられる。該共重合体において、フルオロ脂肪族基を有するアクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位が共重合体の質量に基づいて7〜60質量%であることが好ましく、また、該共重合体の分子量は3000〜100000が適当である。
該フルオロ脂肪族基は、3〜20の炭素原子を有し、直鎖状でも分岐していてもよく、かつ40質量%以上のフッ素を含有し、末端の少なくとも3個の炭素原子が十分にフッ素化されているフルオロ脂肪族基であることが好ましい。上記フルオロ脂肪族基を有するアクリレートまたはメタクリレートの具体例としては、N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート、N−プロピルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート、メチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレートなどがある。ポリ(オキシアルキレン)アクリレートまたはメタクリレートにおける該ポリオキシアルキレン基の分子量は200〜3000であることが好ましい。オキシアルキレン基としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン基が挙げられ、好ましくはオキシエチレン、オキシプロピレン基である。例えばオキシエチレン基が8〜15モル付加したアクリレートまたはメタクリレートが使用される。また、必要に応じて該ポリオキシアルキレン基の末端にジメチルシロキサン基などを付加することにより発泡性を抑制することができる。
上述のようなフッ素系界面活性剤は、市場で一般に入手することができ、本発明では市販品を使用することができる。フッ素系界面活性剤を2種以上併用することもできる。
販売されている製品としては、旭硝子(株)製サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S―131、S−141、S−145、S−381、S−382、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−110、F120、F−142D、F−150、F−171、F177、F781、住友3M(株)製フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC135、FX−161、FC170C、FC−171、FC176、バイエルジャパン(株)製FT−248、FT−448、FT−548、FT−624、FT−718、FT−738等が挙げられる。
−親水性樹脂との併用−
これらの有機フッ素化合物と親水性樹脂をブレンドし、インク受容層とすることができる。親水性樹脂と併用することにより、汚れにくさとインク滲み抑制をさらに改良することができる。この場合の有機フッ素化合物は0.2〜50mg/m2、好ましくは0.5〜10mg/m2の範囲であり、親水性樹脂は1.0〜200mg/m2、好ましくは50.0〜150.0mg/m2の範囲である。親水性樹脂を併用することにより非画像部領域の撥インク性が一層向上する。
親水性樹脂としては、水溶性樹脂であれば問題ないが、特にカルボン酸あるいはその塩を有する水溶性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、アクリルあるいはメタクリルポリマーあるいはその共重合体、スルホン酸基あるいはその塩を有するアクリル、メタクリル、ビニル、スチレン系親水性樹脂、ポリアクリルアミドあるいはポリビニルピロリドンなどアミド基含有する親水性樹脂、アミノ基を有する親水性樹脂、リン酸あるいはその塩を有する親水性樹脂、例えば、特開昭62−097892号公報に記載されているリン酸変性デンプンも挙げられる。
また、オニウム基を有する化合物を含有することも好ましい。オニウム基を有する化合物は、特開2000−10292公報、同2000−108538公報等に詳述されている。その他、ポリ(p−ビニル安息香酸)などで代表される構造単位を分子中に有する高分子化合物群の中から選ばれる化合物を用いることもできる。これらの高分子化合物として、より具体的には、p−ビニル安息香酸とビニルベンジルトリエチルアンモニウム塩との共重合体、p−ビニル安息香酸とビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリドとの共重合体などが挙げられる。
また特開2005−125749公報記載のエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位とを有する共重合体も好ましい。
これらの中で、特にスルホン酸塩骨格を有するポリマーが特にインク滲みを抑制し、かつ汚れ難くする点で好ましい。
この有機インク受容層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。前者の塗布する方法のほうが基板に吸着せず、印刷時に汚れにくく、好ましい。
印刷時の汚れ抑制の観点から、基板への水の接触角(空気中で基板に水を0.8μlゆっくりと滴下し、10秒後の接触角を測定する)が8°以下になると印刷時の汚れが抑制される。
〔インク〕
本発明においては、平版印刷版の画像部(疎水性のインク受容領域)を形成するために、各種のインクを用いることができる。吐出性の観点から、吐出する際の温度において、インクの粘度が、1〜1000mPa・sの範囲内にあり、表面張力が、1〜100mN/mの範囲内にあることが好ましい。さらに、吐出する際の温度において、インクの粘度が、1〜100mPa・sの範囲内にあり、表面張力が、1〜80mN/mの範囲内にあることが好ましい。インクとしてポリマーが溶解した溶液や、熱溶融性ポリマーを用いることができるが、インクの粘度が高くなり吐出性の低下を招きやすい。従って、インクとしては、ポリマーを粒子状にし、水または有機溶剤に分散させた分散液であることが好ましい。また、吐出後、放射線や熱などにより重合しポリマーとなるモノマーやオリゴマーを含有するインクも好ましい。本発明において特に好適に用いられるインクとしては、(1)ポリマー粒子の水分散液あるいは有機溶剤分散液、(2)放射線重合型のモノマーやオリゴマーを溶解または分散したインクが特に好ましい。
インク滲み抑制の観点から好ましい基板とインクの組合せは、基板へのインクの接触角(空気中で基板にインクを0.8μlゆっくりと滴下し、10秒後の接触角を測定する)が30°以上になるとインク滲みが抑制される。
[(1)ポリマー粒子の水分散液]
本発明において好適に用いられるポリマー粒子の水分散液として、原料のモノマーを水中で重合することにより得られる水性ラテックスが挙げられる。水性ラテックスは、例えば、室井宗一著 高分子刊行会(株)発行 「高分子ラテックスの化学」(1970年5月5日)などに記載されている公知の方法により作製できる。
用いられるモノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などが挙げられる。
ポリマー粒子の濃度は、1〜70質量%の範囲内にあることが好ましく、さらに、10〜60質量%の範囲内にあることが好ましい。また、ポリマー粒子の粒子直径は、0.01μm〜10μmであることが好ましい。さらに、ポリマー粒子の水分散液は、視認性のために着色されることが好ましい。着色は、分散液に施されても良いが、ポリマー粒子が着色されることが好ましい。着色には、公知の染料や顔料を用いることができる。
これらのインクは吐出後、必要に応じて加熱し、粒子を記録媒体へ溶融定着することにより、強固な画像とすることができる。加熱の手段としては、ホットプレート、ヒートブロック及びヒートローラなどの接触式加熱や、赤外線ランプ及び温風などの非接触式加熱などが挙げられる。これらの加熱は、記録媒体の変形が起こらない温度と時間で行われることが好ましく、具体的には、40℃〜200℃の範囲で、0.01秒〜30分の範囲内で行われることが好ましい。
[(2)ポリマー粒子の有機溶剤分散液]
本発明において好適に用いられるポリマー粒子の有機溶剤分散液として、原料のモノマーを有機溶剤中で重合することにより得られる非水性ラテックスが挙げられる。非水性ラテックスは、特許第2640288号公報などに記載されている公知の方法により作製できる。
ここで用いられるモノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などが挙げられる。
ポリマー粒子の濃度は、1〜70質量%の範囲内にあることが好ましく、さらに、10〜60質量%の範囲内にあることが好ましい。また、ポリマー粒子の粒子直径は、0.01μm〜10μmであることが好ましい。さらに、ポリマー粒子の水分散液は、視認性のために着色されることが好ましい。着色は、分散液に施されても良いが、ポリマー粒子が着色されることが好ましい。着色には、公知の染料や顔料を用いることができる。
本発明においては、ポリマー粒子の有機溶剤分散液として、ポリマーを有機溶剤中で湿式分散することにより得られる分散液を用いることもできる。このような分散液は、講習特許公開第1,471,121A号明細書などに記載されている公知の方法により作製できる。
ポリマー粒子の濃度は、1〜70質量%の範囲内にあることが好ましく、さらに、10〜60質量%の範囲内にあることが好ましい。また、ポリマー粒子の粒子直径は、0.01μm〜10μmであることが好ましい。さらに、ポリマー粒子の有機溶剤分散液は、視認性のために着色されることが好ましい。着色は、分散液に施されても良いが、ポリマー粒子が着色されることが好ましい。着色には、種々の染料や顔料を用いることができる。
これらのインクは吐出後、必要に応じて加熱し、粒子を記録媒体へ溶融定着することにより、強固な画像とすることができる。加熱の手段としては、ホットプレート、ヒートブロック及びヒートローラなどの接触式加熱や、赤外線ランプ及び温風などの非接触式加熱などが挙げられる。これらの加熱は、記録媒体の変形が起こらない温度と時間で行われることが好ましく、具体的には、40℃〜200℃の範囲で、0.01秒〜30分の範囲内で行われることが好ましい。
[(3)放射線重合型インク]
本発明において好適に用いられる放射線硬化型インクは、技術情報協会(株)発行 「最新UV硬化 実用便覧」(2005年2月25日刊行)などに記載されている公知の方法により作製でき、主成分として、重合開始剤、重合性モノマーまたはオリゴマーを含有する。重合の形態として、ラジカル重合型と、カチオン重合などのイオン重合型があり、いずれも本発明において好適に使用できる。
本発明において、好適に用いられる重合開始剤としては、例えば、放射線硬化型のインク組成物に用いられる公知のラジカル重合、若しくは、カチオン重合の光重合開始剤が挙げられる。本発明に併用可能な他の光重合開始剤は、光の作用、又は、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸及び塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。具体的な、光重合開始剤は、当業者間で公知のものを制限なく使用できる。好ましい光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ベンゾインやベンゾインエーテルなどのベンゾイン誘導体、スルホニウム塩やヨードニウム塩などのオニウム塩類、有機過酸化物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル類、ボレート塩類、アジニウム化合物、メタロセン化合物、炭素−ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。これらの化合物は、主に紫外線に対して重合開始能を有するが、適切な増感剤との組み合わせにより、可視光線や赤外線にも分光増感させることができる。
本発明において、好適に用いられる重合性モノマーまたはオリゴマーとしては、公知のラジカル重合性若しくはカチオン重合性のモノマーまたはオリゴマーが挙げられる。用いられるモノマーまたはオリゴマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びその誘導体、スチレン類、オレフィン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、エポキシ化合物、オキセタン化合物、環状エステル類などが挙げられる。形成された画像の力学特性を制御するため、本発明においてこれらの化合物は、分子内に重合性官能基を1つ有する単官能化合物と、2つ以上有する多官能化合物を併用することができる。
画像の視認性のため、インクは着色されることが好ましい。着色には、公知の染料や顔料を用いることができる。また、吐出性の改善のための界面活性剤や、インク保存時の安定性のための重合禁止剤などを添加することができる。さらに、形成された画像の力学特性改善のために、各種のポリマーを添加することができる。具体的には、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、シェラック樹脂、ビニル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。
本発明においては、上述のように溶剤を含まないインクを使用しても良いが、水または有機溶剤を混合したものであっても良い。混合する有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシ1-ブタノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、アイソパーG(エクソン社製)などの炭化水素系溶剤などが挙げられる。
記録媒体上に着弾したインクを硬化させるための手段として、一般的に用いられる水銀灯、メタルハライドランプ等を用いてもよいし、発光ダイオード、半導体レーザ、蛍光灯等の光源を用いてもよい。また熱陰極管、冷陰極管、電子線、X線等、インクの重合反応が進行する光源、電磁波等を用いることが出来る。メタルハライドランプを用いる場合、ランプは10〜1000W/cmのものを使用し、記録媒体面で1mW/cm〜100W/cmの照度であることが好ましい。また露光エネルギーは、0.1mJ/cm〜100J/cmであることが好ましい。また、高圧放電を用いる水銀灯、メタルハライドランプ等では放電にともない、オゾンが発生するため、排気手段を有することが好ましい。排気手段は、インク吐出時に発生するインクミストの回収を兼ねるべく配置してあることが好適である。ラジカル重合により硬化させる場合、酸素により重合が阻害されるため、酸素濃度の低い状態、すなわち窒素等のガス雰囲気下で露光させることにより低エネルギーで硬化させることができる。これら、硬化させるための光等のエネルギーがインク吐出ノズルに照射されると、ノズル面表面に付着したインクミスト等が固化し、インク吐出の妨げとなる可能性があるため、ノズルへの照射を最小限にとどめるため、遮光等の措置を施すことが好ましい。具体的には、ノズルプレートへの照射を防止する隔壁を設ける、あるいは迷光を低減するべくメディアへの入射角を限定するための手段を設ける等が好適である。
[(4)ポリマーを有機溶剤に溶解したインク]
本発明において、ポリマーを有機溶剤に溶解したインク(以下、ポリマー溶解型と称することがある)のインク組成物に好適に用いられるポリマーとして、酸性基を有するポリマーあるいはコポリマーが好ましく挙げられる。酸性基としてはカルボン酸基、スルホン酸基、燐酸基などを挙げることができるが、カルボン酸基が特に好ましい。
ポリマーあるいはコポリマーとしては不飽和二重結合の重合により得られるものが好ましく、アクリルあるいはメタクリルポリマーが好ましい。酸性基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸無水物、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸が好ましい。
これらの酸性基の一部は塩構造となっていてもよく、特にアンモニア、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム化合物により塩となっているものが好ましい。
酸基を有するモノマーには、他のモノマーを共重合させてもよく、共重合しうるモノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系モノマー、ビニルモノマー、アクリロニトリルなどを挙げることができる。
これらのポリマー重量平均分子量は5000〜200000のものが好ましい。インク成分中これらのポリマーは、2〜50質量%の添加量で加えることができる。
このタイプのインク組成物に用いられる溶剤としては、水が好ましい。水はポリマー溶解型インク成分中5〜90質量%添加することができる。またアルコールあるいはそれらのエーテル化合物を0.1〜80質量%添加することができる。具体的には、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、エチレグリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類あるいはそれらのエーテルが挙げられる。
インク組成物のその他の成分として、目的に応じて、顔料、染料などの着色剤、界面活性剤などの表面張力調整剤を添加することができる。
本発明の直描型平版印刷版用原版においては、これらいずれのインクを用いて画像部領域を形成してもよい。
〔インクジェット記録方式による描画〕
インクジェット記録方式には、インク滴を連続吐出させた後、電界などにより記録用と非記録用のインク滴を分け、媒体に記録するコンティニュアス方式と、記録に必要なインク滴のみをノズルから吐出するオンデマンド方式がある。オンデマンド方式には、インクを急激に加熱し発生した気泡圧によりインク滴を吐出させるサーマル方式(バブル方式)や、ピエゾ素子(圧電素子)を用いるピエゾ方式がある。ピエゾ方式は、印加電圧に対する歪みの発生方向の違いにより、ダイレクトモード型とシェアモード型に分類される。また、オンデマンド方式には、インクまたはインク中に含まれる粒子に電荷を付与し、静電的にインクの吐出を制御する静電方式や、固体インクを加熱溶融して吐出させるソリッドインクジェット方式などもある。これらの詳細は、例えば、シーエムシー(株)発行 「インクジェットプリンター技術と材料」(1998年7月31日)、技術情報協会(株)発行 「最新インクジェット技術ノウハウ集」(2005年6月24日)に記載されているが、本発明においては、いずれの方式も制限無く好適に使用できる。
(定着およびガム引き)
前記インクジェット記載方式により描画されたインク組成物は、熱及び光により硬化させることで、平版印刷版用原版表面に定着することができる。これをそのまま用いてもよく、また、所望によりガム引きなどの公知の処理を行うことも可能である。このようにして得られた版は平版印刷機により通常の印刷を行うことができる。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例における形態に限定されるものではない。
〔直描型平版印刷版用原版1〜19の作製〕
<アルミニウム板>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)機械的粗面化処理
図1に示したような装置を使って、比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図1において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。研磨剤の平均粒径は40μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図3に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dmm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.25g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図3に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
図4に示す構造の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行い、実施例1の平版印刷版用支持体を得た。第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
以上により得られた支持体の中心線平均粗さは0.55μm、大波の平均波長は65μm、中波の平均開口径は1.4μm、小波の平均開口径は0.14μm、小波の平均開口径に対する深さの比が0.46であった。
(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理
(シリケート処理〔I〕およびインク受容層の形成)
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度70℃の3号ケイ酸ソーダの2.5質量%水溶液の処理槽中へ、15秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された支持体を得た。シリケート量を蛍光X線により測定したところ15.0mg/m2であった。このようにして得られたアルカリ金属珪酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は4.0mg/m2であった。
(シリケート処理〔II〕およびインク受容層の形成)
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を、温度70℃の3号ケイ酸ソーダの3.0質量%水溶液の処理槽中へ20秒間浸漬することで、アルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された支持体を得た。シリケート量を蛍光X線により測定したところ20.0mg/m2であった。このようにして得られたアルカリ金属珪酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は4.0mg/m2であった。
(シリケート処理〔III〕およびインク受容層の形成)
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を、温度25℃の3号珪酸ソーダの1.0%水溶液の処理槽中へ10秒間浸漬することで、アルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された支持体を得た。シリケート量を蛍光X線により測定したところ1.2mg/mであった。
(シリケート処理〔IV〕およびインク受容層の形成)
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度25℃の3号ケイ酸ソーダの0.5質量%水溶液の処理槽中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された支持体を得た。シリケート量を蛍光X線により測定したところ1.0mg/m2であった。このようにして得られたアルカリ金属珪酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は4.0mg/m2であった。
(シリケート処理〔V〕およびインク受容層の形成)
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を、温度70℃の3号ケイ酸ソーダの4.0質量%水溶液の処理槽中へ30秒間浸漬することで、アルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された支持体を得た。シリケート量を蛍光X線により測定したところ30.0mg/m2であった。このようにして得られたアルカリ金属珪酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は4.0mg/m2であった。
<インク受容層塗布液組成>
・下記表2〜7記載の化合物 0.08g
・水 100g
〔直描型平版印刷版用原版20〜26の作製〕
アルミニウム支持体のシリケート処理(a)〜(j)までは、前記直描型平版印刷版用原版1と同様に処理を行った。その後、(k)以下の処理を後述のように実施した。
(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理
(シリケート処理〔I〕およびインク受容層の形成)
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度70℃の3号ケイ酸ソーダの2.5質量%水溶液の処理槽中へ、15秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された支持体を得た。シリケート量を蛍光X線により測定したところ15.0mg/m2であった。このようにして得られたアルカリ金属珪酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量はワイヤーバーのウエット量を調整することで実施した。
<インク受容層塗布液組成>
・下記表8〜13記載の化合物 0.08g
・水 100g
〔直描型平版印刷版用原版27〜49の作製〕
アルミニウム支持体のシリケート処理〔(a)〜(j)〕までは、前記直描型平版印刷版用原版1と同様に処理を行った。その後、(k)以下の処理を後述のように実施した。
(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理
(シリケート処理〔I〕およびインク受容層の形成)
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度70℃の3号ケイ酸ソーダの2.5質量%水溶液の処理槽中へ、15秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された支持体を得た。シリケート量を蛍光X線により測定したところ15.0mg/m2であった。このようにして得られたアルカリ金属珪酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液に、下記表1に記載の量で、フッ素系化合物および親水性樹脂を該当させワイヤーバーにて塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。
なお、以下に示す各実施例に関する表に記載された親水性樹脂は、(1)ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)である。
なお、下記表1の塗布液を用いて、下記表14〜29に記載のインク受容層を調整したものである。
Figure 2007276442
〔直描型平版印刷版用原版50〜60の作製〕
〔親水性層を有する直描型平版印刷版用原版〕
(アルミ支持体基材)
アルミニウム支持体のシリケート処理〔(a)〜(j)〕までは、前記直描型平版印刷版用原版1と同様に処理を行った。シリケート処理層の上に下記組成の親水性層塗布液をバー塗布した後、80℃、10分でオーブン乾燥し、乾燥塗布量3.0g/m2の親水性層を形成して直描型平版印刷版用原版を作製した。
<親水性層塗布液>
・コロイダルシリカ分散物20質量%水溶液(スノーテックスC) 100g
・下記ゾル・ゲル調製液 500g
・アニオン系界面活性剤(日光ケミカルズ社製、ニッコールOTP−75)
の5質量%水溶液 30g ・精製水 450g
<ゾル・ゲル調製液>
エチルアルコール19.2g、アセチルアセトン0.86g、オルトチタン酸テトラエチル0.98g、精製水8.82g中に、テトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)1.04gと下記の末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマー0.34gを混合し、室温で2時間熟成して、調製した。
<末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーの合成>
三ロフラスコにアクリルアミド25g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.5g、ジメチルホルムアミド51.3gを入れて窒素気流下、65℃まで加熱し、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25g添加し、反応を開始した。6時間攪拌した後、室温まで戻して酢酸エチル1.5L中に投入したところ固体が析出した。その後、濾過を行い、充分酢酸エチルで洗浄し、乾燥を行った(収量21g)。GPC(ポリスチレン標準)により、5000の質量平均分子量を有するポリマーであることを確認した。
その上に、下記組成の下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量はワイヤーバーのウエット量を調整することで実施した。
<インク受容層塗布液組成>
・下記表30〜35記載の化合物 0.08g
・水 100g
〔直描型平版印刷版用原版60〜68の作製〕
アルミニウム支持体のシリケート処理〔(a)〜(j)〕までは、前記直描型平版印刷版用原版42と同様に処理を行った。
得られたゾルゲル親水性層アルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量はワイヤーバーのウエット量を調整することで実施した。
<インク受容層塗布液組成>
・下記表36〜41記載の化合物 0.08g
・水 100g
〔直描型平版印刷版用原版69〜76の作製〕
(PET支持体)
<密着層の作製>
下記組成の塗布液を調製し、表面に易接着処理した188μmのポリエステルフィルム(東洋紡A4100)上に、1.0g/m2厚の密着層を作製した。
<密着層塗布液>
ブチラール樹脂BM−S(積水化学(株)製)10%MEK溶液 59g
カーボンブラック分散物(固形分21%) 13.5g
MEK(メチルエチルケトン) 62.7g
<親水性層の作製>
上記支持体上に、下記組成の親水性層塗布液をバー塗布した後、80℃、10分でオーブン乾燥し、乾燥塗布量3.0g/m2の親水性層を形成して直描型平版印刷版用原版を作製した。
<親水性層塗布液>
・コロイダルシリカ分散物20質量%水溶液(スノーテックスC) 100g
・下記ゾル・ゲル調製液 500g
・アニオン系界面活性剤(日光ケミカルズ社製、ニッコールOTP−75)の5質量%
水溶液 30g
・精製水 450g
<ゾル・ゲル調製液>
エチルアルコール19.2g、アセチルアセトン0.86g、オルトチタン酸テトラエチル0.98g、精製水8.82g中に、テトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)1.04gと下記の末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマー0.34gを混合し、室温で2時間熟成して、調製した。
<末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーの合成>
三ロフラスコにアクリルアミド25g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.5g、ジメチルホルムアミド51.3gを入れて窒素気流下、65℃まで加熱し、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25g添加し、反応を開始した。6時間攪拌した後、室温まで戻して酢酸エチル1.5L中に投入したところ固体が析出した。その後、濾過を行い、充分酢酸エチルで洗浄し、乾燥を行った(収量21g)。GPC(ポリスチレン標準)により、5000の質量平均分子量を有するポリマーであることを確認した。
得られたゾル・ゲル親水性層アルミニウム支持体上に、前記表1記載の塗布液を用いて、下記表41〜47に記載のインク受容層を調整し、ワイヤーバーにて塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。
〔インクの作製例A〕
<カチオン重合UVインクの作製>
Cyan顔料(Pigment Blue 15:4)の10g、分散剤Solsperse32000(Avecia製)の5g、ビニルエーテル化合物DVE−3(ISP社製)の10g、オキシラン化合物CEL2081(ダイセル化学社製)の25g、オキセタン化合物OXT221(東亞合成社製)の40gを、セラミッスビーズを用いて、ビーズミルにより分散した。次に、カチオン重合開始剤SP−152(旭電化社製)の10g、及びジエチレングリコールジエチルエーテル100gを加えて攪拌し、放射線重合型のインク[J−1]を得た。
(インク物性)
Brookfield社製粘度計DV−1+を用い、インク[J−1]の25℃における粘度を測定したところ、3.8mPa・sであった。また、協和界面科学(株)製表面張力計CBVP−Zを用い、25℃における表面張力を測定したところ、28mN/mであった。
〔インクの作製例B〕
<水性ラジカル重合UVインクの作製>
Cyan顔料(Pigment Blue 15:3)の40g、分散剤Solsperse27000(Avecia製)の4.8g、pH調整剤2−dimethylamino−2−methyl−1−propanplの1.2g、湿潤剤Humectant GRB2(Avecia製)の5g、消泡剤Dehydran 1620(Henkel製)の1g、及び脱イオン水の48gを、セラミッスビーズを用いて、ビーズミルにより分散し、顔料分散液[B−1]を得た。次に、得られた顔料分散液[B−1]の10g、ラジカル重合性化合物ポリエチレングリコールジアクリレートの24g、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートの11g、重合開始剤1−[4−(2−hydroxyethoxy)−phenyl]−2−hydroxy−2−methyl−1−propane−1−oneの3g、及び脱イオン水52gを、Silverson社製ハイシアミキサーL4RTを用いて攪拌し、放射線重合型の水性インク[J−2]を得た。
(インク物性)
Brookfield社製粘度計DV−1+を用い、インク[J−2]の25℃における粘度を測定したところ、6mPa・sであった。また、協和界面化学(株)製表面張力計CBVP−Zを用い、25℃における表面張力を測定したところ、35mN/mであった。
〔インクの作製例C〕
<水分散インク作製>
フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ蒸留水800mlを加え、分散剤としてドデシル硫酸ナトリウム1.0g、1NのNaOH3.5g添加し、内温が80℃となるまで加熱した。そこへ、開始剤として、蒸留水11gに溶解させたK228(0.46g)と、4−ビニルピリジン(0.25モル)、スチレン(0.75モル)をそれぞれ3時間かけて滴下した。その後、蒸留水11gに溶解させたK228(0.46g)、1NのNaOH3.5gを更に添加し、2時間反応を行い、水分散粒子を得た。得られた分散物は重合率98.1%で平均粒径0.09μm、Mwは4.1×104の粒子であった。粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
得られた水分散粒子の固形分に対して5重量%のビクトリアピュアブルーを加えて、50℃で4時間反応させた。反応終了後、4μmのフィルター濾過を行う事により、青色着色インク[J−3]を得た。
Figure 2007276442
〔インクの作製例D〕
<重合造粒粒子インクの作製>
分散剤の合成(C−I)
オクタデシルメタクリレート96g、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシカルボニル)酪酸4g、およびトルエン250gの混合溶液を窒素気流下、温度80℃に加温した。開始剤として、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(略称A.I.B.N.)1.5g加え4時間反応し、続けてA.I.B.N.を0.8g加えて温度80℃に加温し、4時間反応した。
反応混合物を室温に冷却した後、攪拌下に、アリルアルコール6gを加えて、続けてジシクロヘキシルカルボジイミド(略称D.C.C.)10g、4−(N,N−ジエチルアミノ)ピリジン0.1gおよび塩化メチレン30gの混合溶液を1時間で滴下した。さらにこのまま3時間反応し、反応を完結させた。次に、この反応混合物に80%ギ酸を10g加え1時間攪拌した後、不溶物を濾別し、濾液をメタノール2.5リットル中に再沈した。沈澱物を濾集後、再びトルエン200gに溶解し、不溶分を濾別した後、濾液をメタノール1リットル中に再沈した。沈澱物を濾集し、乾燥した。なお、構造はNMR、IRで同定した。
得られた重合体の収率は85%でMwは4.9×104であった。
Figure 2007276442
〔重合造粒粒子の合成(X−1)〕
前記構造の分散剤〔C−I〕20g、メタクリル酸メチル40g、アクリル酸メチル40g、メタクリル酸20g、およびアイソパーG200gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤としてA.I.V.N.を1.5g加え、3時間反応した。さらに、開始剤A.I.B.N.を1.0g加えて、温度80℃に加温して4時間反応した。続けて温度を100℃に上げ1時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率99.2%で平均粒径1.2μm、Mwは5.8×104の粒子であった。粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
Figure 2007276442
得られた重合造粒粒子の固形分に対して5重量%のビクトリアピュアブルーを加えて、50℃で4時間反応させた。反応終了後、4μmのフィルター濾過を行う事により、青色着色インク[J−4]を得た。
〔インク作製例E〕
<ポリマー溶解型インク>
メタクリル酸メチル−メタクリル酸(共重合比;メタクリル酸メチル60モル%/メタクリル酸40モル%、重量平均分子量:40000)10gを1−メトキシ−2−プロパノール30g、水60gに溶解し、さらにトリメチルアミンを1.5g添加し、インク組成物[J−5]を作成した。
〔インク作製例F〕
<ポリマー溶解型インク>
メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体を(共重合比;メタクリル酸メチル60モル%/メタクリル酸40モル% 重量平均分子量6000)10gをジエチレングリコールジエチルエーテル90gに溶解し、インク組成物[J−6]を作製した。
〔インク作製例G〕
<ラジカル重合UVインクの作製>
ミマキ社製ラジカル重合UVインク20gをジエチレングリコールジエチルエーテル80gに溶解し、インク組成物[J−7]を作製した。
(インクジェット記録方法によるインクの付与1)
ミマキ社製ラジカル重合UVインクおよび前記で得られたインク組成物[J−1]、[J−4]、[J−6]、[J−7]を、ピエゾ方式のヘッドと紫外線照射装置を搭載するミマキエンジニアリング(株)製UJF−605Cを用いて、直描型平版印刷版用原版1〜107にインクジェットした。ミマキ社製ラジカル重合UVインクおよびインク[J−1]、[J−7]はUV硬化させた。[J−4]、[J−6]はインクジェット後に100℃10秒加熱した。
(インクジェット記録方法によるインクの付与2)
インク組成物[J−2]、[J−3]、[J−5]を、ピエゾ方式のヘッドを搭載するセイコーエプソン(株)製PX−G920を用いて、直描型平版印刷版用原版1〜60に、1.5plの液滴量でインクジェットした。さらに、[J−2]については水銀灯で露光し重合硬化させた。[J−3]、[J−5]についてはインクジェット後に100℃10秒加熱した。
〔耐刷性評価〕
得られた平版印刷版を、小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。枚数が多いほど、耐刷性に優れる。
〔汚れにくさ評価〕
三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工社製)で、湿し水をエコリティ−2の3%水溶液(富士写真フィルム(株)製)、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷した。水つけローラーを10回転版に接触させた後、インクをつけると同時に印刷を開始し、きれいな印刷物ができるまでに必要な紙の枚数を計測した。数が少ないほど、親水性に優れ、インク払い性がよく、汚れにくいと評価する。
これらの評価結果を以下に示す。
なお、各平版印刷版用原版にミマキ社製ラジカル重合UVインクを用いた平版印刷版の評価結果は「実施例A−○」と記載し、カチオン重合型のインク組成物[J−1]による結果は「実施例B−○」と、水性ラジカル重合型インク組成物[J−2]による結果は「実施例C−○」と、溶剤分散型インク組成物[J−3]による結果は「実施例D−○」と、水分散型インク組成物[J−4]による結果は「実施例E−○」と、ポリマー溶解型インク組成物[J−5]による結果は「実施例F−○」と、ポリマー溶解型インク組成物[J−6]による結果は「実施例G−○」と、ラジカル重合UVインク組成物[J−7]による結果は「実施例H−○」と、それぞれ示す。
直描型平版印刷版用原版1〜19に上記各インク組成物により画像部を形成した平版印刷版の評価結果を以下に示す。
Figure 2007276442
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Figure 2007276442
Figure 2007276442
Figure 2007276442
直描型平版印刷版用原版20〜25に上記各インク組成物により画像部を形成した平版印刷版の評価結果を以下に示す。
Figure 2007276442
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直描型平版印刷版用原版26〜49に上記各インク組成物により画像部を形成した平版印刷版の評価結果を以下に示す。
Figure 2007276442
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直描型平版印刷版用原版50〜60に上記各インク組成物により画像部を形成した平版印刷版の評価結果を以下に示す。
Figure 2007276442
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直描型平版印刷版用原版61〜68に上記各インク組成物により画像部を形成した平版印刷版の評価結果を以下に示す。
Figure 2007276442
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直描型平版印刷版用原版69〜76に上記各インク組成物により画像部を形成した平版印刷版の評価結果を以下に示す。
Figure 2007276442
Figure 2007276442
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前記各表に記載の結果より、本発明の直描型平版印刷版用原版(支持体)は、カチオン重合、UV硬化、水分散背、重合造粒粒子、ポリマー溶解、いずれのタイプのインクを用いて疎水性画像部を形成した場合も、表面の撥インク製、親水性に優れたものであり、該平版印刷版用原版を用いて得られた直描型平版印刷版は、いずれも、比較例よりも高精細の画像が形成でき、非画像部のインキ払い性も良好で、高耐刷であることがわかる。
本発明の平版印刷版用原版の作製における機械粗面化処理に用いられるブラシレイニングの工程の概念を示す側面図である。 本発明の平版印刷版用原版の作製における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。 本発明の平版印刷版用原版の作製における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。 本発明の平版印刷版用原版の作製における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。
符号の説明
1 アルミニウム板
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
40 主電解槽
50 補助陽極槽
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
414 電解処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 給電電極
422、428 ローラ
424 ニップローラ
430 電解電極
432 槽壁
434 直流電源

Claims (14)

  1. 陽極酸化層を有するアルミ支持体上に、塗布量が1.2〜25mg/m2のシリケート層と、1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物を0.2〜50.0mg/m2含有するインク受容層と、を順次有する直描型平版印刷版用原版。
  2. 前記インク受容層に、さらに、親水性樹脂を1.0〜200.0mg/m2含有することを特徴とする請求項1に記載の直描型平版印刷版用原版。
  3. ゾルゲル構造を含有する親水性層表面に、1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物を1.0〜50.0mg/m2含有するインク受容層を有する直描型平版印刷版用原版。
  4. 前記インク受容層に、さらに、親水性樹脂を1.0〜50.0mg/m2含有することを特徴とする請求項3に記載の直描型平版印刷版用原版。
  5. 1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物が−COO−RF骨格を有する請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。ここで、RFはフルオロアルキル基を表わす。
  6. 1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物が−COO−RF骨格を1分子当たり2つ以上有する請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。ここでRFはフルオロアルキル基を表わす。
  7. 1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物が高分子化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。
  8. 有機フッ素化合物が水溶性であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。
  9. 有機フッ素化合物がスルホン酸あるいはその塩を有することを特徴とする請求項8記載の直描型平版印刷版用原版。
  10. インク受容層を塗布することにより設けることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版に、放射線重合開始剤、および重合性化合物を含有するインクを作用させて得られた直描型平版印刷版。
  12. 請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の平版印刷版用原版にポリマー微粒子を含有する水性あるいは非水性インクを作用させて得られた直描型平版印刷版。
  13. 請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の平版印刷版用原版にポリマー溶液を含有するインクを作用させて得られた直描型平版印刷版。
  14. 水との接触角が8°より小さく、かつ打滴するインクとの接触角が30°より大きい支持体とインクの組合せにより得られた請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の直描型平版印刷版用原版。
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