JP2008168593A - 平版印刷版の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット記録方法により、画像部の耐刷性に優れた平版印刷版を形成しうる平版印刷版の作製方法を提供すること。
【解決手段】熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマーを含有するインク受容層を有する支持体上に、インクジェット記録方法により、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマーを含む非水溶媒系分散樹脂粒子を含有するインクジェット記録用インク組成物を用いて画像描画する工程を含むことを特徴とする平版印刷版の作製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版の作製方法に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法としては、これまでに電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などが知られている。これらのうち電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とするため、システムが複雑であり、装置も高価である。熱転写方式は、電子写真方式に比べて装置自体は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ廃材が生じるなど問題がある。一方、インクジェット方式は、安価な装置で、かつ必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率よく使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。よって、最近急速に普及している記録方法である。
このようなインクジェット記録方法としては、静電誘引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる静電方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるドロップ・オン・デマンド方式(ピエゾ方式)、更には高熱によって気泡を形成し、成長させることによって生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるバブル(サーマル)ジェット方式等の各種が提案されており、これらの方式によりきわめて高精細な画像を得ることができる。
一方、従来の平版印刷版は下記のようにして得られる。
すなわち、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版を、リスフィルム等の原画を通した露光を行った後、画像部の画像記録層を残存させ、非画像部の画像記録層をアルカリ性現像液又は有機溶剤によって溶解して除去することで親水性支持体表面を露出させる方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
しかし、従来の平版印刷版原版の製版工程では、露光後、非画像部を現像液等によって溶解除去する工程が必要となるが、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな課題となっており、上記課題の解決の要請が強くなってきている。
そこで、近年、コンピューター等で作成された画像データ信号に基づき、上記のインクジェット記録方式を用いてアルミ板、プラスチックフィルム等の支持体に画像を直接形成して、インクジェット記録型CTPを作製し、これを湿式処理を行わずに印刷機のシリンダーに取り付けて印刷を行うことが可能であるという技術が知られている(例えば、特許文献1〜6参照。)。
このようなインクジェット記録型CTP用インクとしては、水性インク(特許文献1)、ソリッドインク(特許文献2)、UVインク(特許文献3)、油性インク(特許文献4〜6)が一般に用いられている。
が残ることに加えて、親水性支持体に画像描画した際に、版材上の画像に滲みを生じたり、乾燥が遅いために画像描画速度が低下するという問題がある。
また、ソリッドインクの場合、ヘッドに加熱装置を必要とするため、システムが複雑であり、装置も高価となる。また、吐出時のインク粘度が高いため高解像度の製版画像を可能とする微小インク滴を吐出させることが困難であるという問題点がある。
更に、近年、特許文献3に記載のようなUVインクを用いる方法も開示されているが、ソリッドインク同様に、吐出時のインク粘度が高いため高解像度の製版画像を可能とする微小インク滴を吐出させることが困難であることに加えて、ヘッド部が可視光に曝されることにより、ヘッド部のインクが硬化し、ヘッド詰まりが発生するなどの問題点がある。
一方、特許文献4〜6に記載の油性インクは、親水性支持体との組みあわせることにより、滲みの少ない画像が得られる。また、UVインクに見られるようなヘッド部の硬化及び詰まりを発生させることもなく、更に、低粘度のインクが得られるため、ヘッド内部でのインク循環適性やランニング適性に優れる。また、高解像度な画像を可能とする微小インク滴を吐出させることができるため、画像再現性に優れる。
平版印刷版における支持体としては、非画像部の汚れ防止のため、親水化処理を施したものが用いられており、支持体の親水化処理としては各種の技術が開示されている(例えば、特許文献7参照)。
しかしながら、上記のごとき油性インクは、親水化処理を施した支持体との親和性に優れているとはいえず、その結果、油性インクを用いたインクジェット記録型CTPにおいては、親水性支持体とその上に形成される画像(記録層)との密着性が低下してしまう場合があった。支持体と記録層の密着性が低下した印刷版の使用は、厳しい印刷条件においては記録層が剥離してしまうことにより、充分な耐刷性が得られないという問題があった
特開2002−86667号公報 特開2001−88269号公報 特開2001−150652号公報 特開平10−298473号公報 特開平10−259336号公報 特開平10−273614号公報 特開平5−278362号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、インクジェット記録方法により、画像部の耐刷性に優れた平版印刷版を形成しうる平版印刷版の作製方法を提供することを目的とする。
本発明の目的は、以下の平版印刷版の作製方法により達成された。
<1> 熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマーを含有するインク受容層を有する支持体上に、インクジェット記録方法により、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマーを含む非水溶媒系分散樹脂粒子を含有するインクジェット記録用インク組成物を用いて画像描画する工程を含むことを特徴とする平版印刷版の作製方法。
<2> 前記非水溶媒系分散樹脂粒子に含まれるポリマーが有する、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基が、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、及び、エポキシ基から選択されるから選択されることを特徴とする前記<1>に記載の平版印刷版の作製方法。
<3> 前記インク受容層に含有されるポリマーが有する、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基が、アミノ基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基から選択される基であり、前記非水溶媒系分散樹脂粒子に含まれるポリマーが有する、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基が、イソシアナート基、及びブロックイソシアナート基から選択される基であることを特徴とする前記<1>に記載の平版印刷版の作製方法。
<4> 前記インク受容層に含有されるポリマーが有する、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基が、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸無水物を含む基、イソシアナート基、及びブロックイソシアナート基から選択されるから選択される基であり、前記非水溶媒系分散樹脂粒子に含まれるポリマーが有する、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基がエポキシ基であることを特徴とする前記<1>に記載の平版印刷版の作製方法。
<5> 前記インクジェット記録方法が静電方式であることを特徴とする前記<1>乃至<4>のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
本発明によれば、インクジェット記録方法により、画像部の耐刷性に優れた平版印刷版を形成しうる平版印刷版の作製方法を提供することができる。
本発明について詳細に説明する。
本発明の平版印刷版の作製方法は、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマーを含有する層を有する支持体上に、インクジェット記録方法により、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマーを含む非水溶媒系分散樹脂粒子を含有するインクジェット記録用インク組成物を用いて画像描画する工程を含むことを特徴とする。
なお、以下においては「熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基」を、単に「反応性基」と称する場合がある。
本発明の平版印刷版の作製方法により得られた平版印刷版は、本発明におけるインク組成物により形成された画像部(記録層)と支持体とが強固に密着することから、優れた耐刷性を発揮することができる。また、本発明に適用される支持体は、親水性基を含有することから、画像部の耐刷性の向上とともに、非画像部の耐汚れ性をも発揮することができる。
さらに、本発明の平版印刷版の作製方法においては、高解像度且つ高インク着弾位置精度が得られるという観点から、静電方式のインクジェット記録方法を用いることが好ましい。
以下、本発明の平版印刷版の作製方法における各要素について説明する。
[インクジェット記録用インク組成物]
まず、本発明の平版印刷版の作製方法に適用されるインクジェット記録用インク組成物(以下、単に、「インク組成物」と称する場合がある。)について説明する。
本発明におけるインク組成物は、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマー(以下、適宜、「反応性基含有ポリマーA」と称する。)を有するポリマーを含む非水溶媒系分散樹脂粒子を含有することを特徴とする。以下、本発明におけるインク組成物を構成する成分について説明する。
本発明におけるインク組成物は、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマー(反応性基含有ポリマーA)を含む非水溶媒系分散樹脂粒子を含有することが特徴である。
インク組成物における、反応性基含有ポリマーAは、1種の反応性基のみを有していてもよいし、2種以上の反応性基を有していてもよい。また、異なる種類の反応性基を有する反応性基含有ポリマーAが併用されてもよい。
ここで、本発明において、非水溶媒系分散樹脂粒子とは、樹脂粒子と、該樹脂粒子に付着した分散安定用樹脂と、を含んでなるものである。(以下、適宜「特定粒子」と称する。)
特定粒子の態様としては、下記<1>、<2>、又は、<3>の態様が挙げられる。
<1>樹脂粒子自体を反応性基含有ポリマーAにより作製する態様
<2>樹脂粒子の作製に用いられる分散安定用樹脂として反応性基含有ポリマーAを用い、該分散安定用樹脂が樹脂粒子に吸着させた態様
<3>上記<1>及び<2>を併用した態様
反応性基含有ポリマーAに反応性基を導入する方法としては、例えば、(i)本発明に係る反応性基を含有する単量体を用いて他の共重合成分と共重合させる方法、(ii)主鎖となるポリマーを別途合成しておいて、該ポリマーと反応しうる官能基と本発明係る反応性基とを含む化合物を反応させる方法などがあるが、これに限定されるものではない。なお、反応性基含有ポリマーAを合成する方法としては、例えば、特開2001−312068号公報、特開2002−62648号の各公報などに記載の方法を参考にすることができる。
反応性基含有ポリマーAが有する反応性基としては、例えば、エチレン性不飽和結合基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、カルボキシ基、等が挙げられる。
反応性基含有ポリマーAが有する反応性基としては、後述するインク受容層に含有される熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマー(以下、適宜、「反応性基含有ポリマーB」と称する。)が有する反応性基と化学結合を形成しうるものが選択される。
反応性基含有ポリマーAが有する反応性基と、反応性基含有ポリマーBが有する反応性基と、の好適な組み合わせとしては、例えば、下記に示す組み合わせが例示される。なお、反応性基含有ポリマーBに関する事項は後に詳述する。
<a> 反応性基含有ポリマーAが有する反応性基、及び、反応性基含有ポリマーBが有する反応性基が共にエチレン性不飽和結合基である組み合わせ。
<b>反応性基含有ポリマーAが有する反応性基が、イソシアナート基、及びブロックイソシアナート基から選択される基であり、反応性基含有ポリマーBが有する反応性基が、アミノ基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基から選択される基である組み合わせ。
<c> 反応性基含有ポリマーAが有する反応性基がエポキシ基であり、反応性基含有ポリマーBが有する反応性基が、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸無水物を含む基、イソシアナート基、及びブロックイソシアナート基から選択される基である組み合わせ。
反応性基含有ポリマーAの合成に用いうる、反応性基を含む単量体の例としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
エチレン性不飽和結合基を含む単量体の例としては、アリル(メタ)アクリレート、10−ウンデセニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより結果的にエチレン性不飽和結合を導入した単量体も好ましいものとして挙げられる。
イソシアナート基、又は、ブロックイソシアナート基を含む単量体の例としては、2−イソシアネートエチルメタクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2−イソシアネートエチルアクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソシアナート等が挙げられる。
ブロックイソシアナート化合物は、常温においては安定であり、100〜200℃に加熱した際にブロック剤を解離して、遊離のイソシアネート基を再生しうるものである。該ブロック剤としては、例えば、ラクタム系化合物(ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなど)、フェノール系化合物(フェノール、クレゾール、キシレノールなど)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルなど)、オキシム系化合物(メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなど)が挙げられる。
エポキシ基を含む単量体の例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2008168593
Figure 2008168593
上記エポキシ基を含む単量体中、R11は、水素原子又はメチル基を表し、R12は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表し、R13は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。
上記エポキシ基を含む単量体において、R12によって表される炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等を挙げることができる。また、R12によって表される炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ポリメチレン基、フェニレン基、以下に示す基等を挙げることができる。
Figure 2008168593
上記のごとき、エポキシ基を含む単量体の具体例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートおよび3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。
反応性基含有ポリマーAにおける反応性基を含む共重合成分の含有比率としては、全共重合成分に対して、1〜80モル%が好ましく、5〜50モル%がより好ましい。
また、特定粒子が、<2>又は<3>の態様である場合、分散安定用樹脂として用いられる、反応性基含有ポリマーAとして具体的には、後に詳述する「架橋性基含有共重合体」等が挙げられる。
本発明における特定粒子は、重合造粒法で作製されるものが好ましく用いられ、かかる方法で得られた粒子を、適宜、所望の割合で混合し、分散媒中に分散することで、本発明におけるインク組成物を得ることができる。
なお、重合造粒法では、非水溶媒中に特定粒子が分散した状態で得られる。そのため、特定粒子が分散した分散液を、適宜、所望の割合で混合することで、本発明におけるインク組成物を得ることもできる。
以下、本発明における特定粒子の好適な作製方法について具体的に説明する。
−重合造粒法による特定粒子の作製−
先ず、重合造粒法を用いた特定粒子の作製方法について説明する。
「重合造粒法」とは、非水溶媒中、少なくとも1種の一官能性単量体を、分散安定用樹脂(以下、分散剤と称する場合がある。)の存在下において重合することによって、樹脂粒子を製造する方法である。
以下、重合造粒法において用いられる成分について説明する。
(非水溶媒)
ここで、非水溶媒とは、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、又は芳香族炭化水素、及びこれらの炭化水素のハロゲン置換体(ハロゲン化炭化水素類)が挙げられる。具体的には、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、メチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等を、単独或いは混合して用いることができる。
また、上記の炭化水素系化合物及びそれらのハロゲン置換体以外に以下に記載の非炭化水素系化合物も混合して用いることができる。混合できる化合物としては、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、メチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等)等が挙げられる。
本発明においては、インク組成物を構成する好ましい成分である、後述する分散媒への置換等の工程が省略するために、通常、特定粒子の造粒段階で、分散媒と同様の非水溶媒を用いることが好ましい。
これらの非水溶媒の使用量は、合成の際に用いられる混合液の全質量に対して、80〜0.01質量%の範囲であることが好ましく、つまり、混合液中の固形分は20〜99.99%の範囲であることが好ましい。また、70〜0.1質量%の範囲であることがより好ましく、60〜1質量%の範囲であることが更に好ましい。
(一官能性単量体)
本発明における一官能性単量体(以下、単に「単量体」と」称する場合がある。)は、非水溶媒には可溶であるが、重合することによって不溶化する一官能性単量体であれば特に限定されない。具体的には、例えば、下記一般式(I)で表される単量体が挙げられる。
Figure 2008168593
一般式(I)中、T1は、−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHOCO−、−SO2−、−CON(W1)−、−SO2N(W1)−、又はフェニレン基(以下、フェニレン基を「−Ph−」と記載する。なお、フェニレン基は、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン基を包含する。)を表す。ここでW1は、水素原子又は炭素数1〜20の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)等を表す。
1は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の置換されていてもよい脂肪族基を表す。この脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−グリシジルエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−エトキシエチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、N,N−ジエチルアミノエチル基、トリメトキシシリルプロピル基、3−ブロモプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−ピリジルエチル基、2−モルホリノエチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、2−ホスホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、2−カルボキシアミドエチル基、3−スルホアミドプロピル基、2−N−メチルカルボキシアミドエチル基、シクロペンチル基、クロロシクロヘキシル基、ジクロロヘキシル基等が挙げられる。
1及びd2は、互いに同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20の炭化水素基、−COO−Z1、又は炭素数1〜20の炭化水素基を介した−COO−Z1〔ここで、Z1は炭素数1〜22の炭化水素基を表す〕を表す。
具体的な一官能性単量体としては、例えば、炭素数1〜20の脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、モノクロロ酢酸、トリフロロプロピオン酸等)のビニルエステル類或いはアリルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸の炭素数1〜10の置換されていてもよいアルキルエステル類又はアミド類(アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−フロロエチル基、トリフロロエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−ベンゼンスルホニルエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−カルボキシエチル基、2−ホスホエチル基、4−カルボキシブチル基、3−スロホプロピル基、4−スルホブチル基、3−クロロプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−フルフリルエチル基、2−ピリジニルエチル基、2−チエニルエチル基、トリメトキシシリルプロピル基、2−カルボキシアミドエチル基等);スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、メトキシメチルスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、ビニルベンゼンカルボキシアミド、ビニルベンゼンスルホアミド等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、イタコン酸の環状酸無水物;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;重合性二重結合基含有のヘテロ環化合物(具体的には、例えば高分子学会編「高分子データハンドブック−基礎編−」、p175〜184、培風舘(1986年刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルオキサゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニルモルホリン等)等が挙げられる。
これらの一官能性単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの一官能性単量体の使用量は、合成の際に用いられる混合液中の全固形分に対して、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。また、一官能性単量体の使用量の上限値は、得られる粒子の単分散性、分散安定性の観点から99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
一官能性単量体の使用量が10質量%より少ないと、非水系溶媒から特定粒子が析出しにくいため、合成が難しくなる。また、単分散性も低下する。
特定粒子として、前記<1>又は<3>の態様の粒子を用いる場合には、前記のごとき、エチレン性不飽和結合基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、又はエポキシ基等の反応性基を含む単量体と上記の一官能性単量体とを併用すればよい。この場合における単量体の使用量は、反応性基を含む単量体と上記一官能性単量体との総使用量が、上記範囲になることが好ましい。
また、上記の一官能性単量体を用いて得られた主鎖に、本発明に係る反応性基を有する化合物を反応させることにより、反応性基を導入することともできる。
(分散安定用樹脂(分散剤))
本発明における特定粒子を造粒する際に用いられる分散安定用樹脂(分散剤)について説明する。
この分散剤は、非水溶媒中で、一官能性単量体を重合してなり、且つ、非水溶媒に不溶な重合体を、安定な樹脂分散物とするために用いられる。
本発明において、分散安定用樹脂(分散剤)は、特定粒子の合成に用いられる一官能性単量体に対して、1〜50質量%で使用することが好ましく、更に好ましくは、5〜40質量%である。
分散剤としては、後述する分散媒に可溶な、ランダム共重合体、クシ型共重合体、スター型共重合体、部分架橋型共重合体、架橋性基含有共重合体、等の従来既知の分散安定剤を用いることができる。
特定粒子として、前記<2>又は<3>の態様の粒子を用いる場合には、分散剤として、反応性基含有ポリマーAが用いられる。分散剤として用いられる反応性基含有ポリマーAとして具体的には、後述する架橋性基含有共重合体が挙げられる。
以下、本発明に適用しうる分散剤について説明する。
(ランダム共重合体)
本発明におけるランダム共重合体の具体例としては、炭素数6〜32のアルキル鎖、アルケニル鎖(これらの脂肪族基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基等の置換基を含有していてもよく、或いは、酸素原子、イオウ原子、窒素原子等のへテロ原子で主鎖の炭素−炭素結合が介されていてもよい。)を有する、アクリル酸、メタクリル酸、又はクロトン酸のエステル類;高級脂肪酸ビニル類;アルキルビニルエーテル類;ブタジエン、イソプレン、ジイソプレン等のオレフィン類;等の単量体を重合してなる重合体、又はこれらの単量体の2種以上を組み合わせ共重合してなる共重合体が挙げられる。
更に、上記のような(a)非水溶媒に可溶な重合体を形成する単量体と、得られる共重合体が非水溶媒に可溶な範囲の割合で、下記のような各種の単量体の1種以上と、を共重合して得られる共重合体も用いることができる。
上記の単量体と共重合しうる単量体として、例えば、酢酸ビニル、酢酸アリル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸の、メチル、エチル、或いはプロピルエステル類;スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸のような不飽和カルボン酸又はその酸無水物;ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、アクリロニトリル、2−クロロエチルメタクリレート、2,2,2−トリフロロエチルメタクリレート等の、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、シアノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ヘテロ環等の各種極性基を含有する単量体;等を挙げることができる。
更に、本発明におけるランダム共重合体として、アルキッド樹脂、各種の脂肪酸で変性したアルキッド樹脂、アマニ油、変性ポリウレタン樹脂等の天然樹脂を用いることもできる。
本発明におけるランダム共重合体の重量平均分子量は、3000〜20万の範囲であることが好ましく、5000〜15万の範囲であることがより好ましい。
分子量が3000より小さいと、分散能が低下するため、再分散性、保存安定性が低下する場合がある。また、分子量が20万より大きいと、(a)非水溶媒への溶解性が低下し、この場合にも、分散能が低下し、再分散性、保存安定性の低下を引き起こす場合がある。
(クシ型共重合体)
本発明におけるクシ型共重合体とは、下記に示す構造を有し、且つ、重量平均分子量1×103〜5×104のマクロモノマー(MM)を、少なくとも1種、共重合成分として有する共重合体である。
まず、このマクロモノマーについて詳細に説明する。クシ型共重合体を得るために用いられるマクロモノマーは、下記一般式(II)で示される繰り返し単位を有する重合体主鎖の一方の末端にのみに、下記一般式(III)で示される重合性二重結合基を結合してなる構造を有する。
Figure 2008168593
上記一般式(II)において、a1及びa2は、互いに同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、−COO−Z1、又は炭化水素基を介した−COO−Z1を表す。ここで、炭化水素基を介した−COO−Z1基における炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、Z1は、好ましくは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基若しくはアリール基である。
これらの基は、可能であれば更に置換基を有していてもよい。
また、一般式(II)において、X0は、−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、CH2COC−、−O−、−SO2−、−CO−、−CONR11−、−SO2NR11−、又は−Ph(フェニレン基)−を表わす。ここで、R11としては、水素原子、炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されていてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されていてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されていてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)、炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
なお、X0が、−Ph−(フェニレン基)である場合、その環上には、更に置換基を有してもよい。導入可能な置換基としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等)等が挙げられる。
一般式(II)において、Q1は、炭素数10〜22のアルキル基、又は炭素数10〜22のアルケニル基を表わす。
次に、下記一般式(III)で示される重合性二重結合基について説明する。
Figure 2008168593
上記一般式(III)において、b1及びb2は、互いに同じでも異なってもよく、前記一般式(II)中のa1、a2と同一の内容を表す。
また、X1は、一般式(II)中のX0と同一の内容を表わし、好ましくは、−COO−、−OCO−、−O−、−CH2OCO−、又は−CH2COO−である。
一般式(III)で表わされる重合性二重結合基として、具体的には、CH2=CH−COO−、CH2=C(CH3)−COO−、CH3−CH=CH−COO−、CH2=C(CH2COOCH3)−COO−、CH2=C(CH2COOH)−COO−、CH2=CH−CONH−、CH2=C(CH3)−CONH−、CH3−CH=CH−CONH−、CH2=CH−OCO−、CH2=CH−CH2−OCO−、CH2=CH−O−、CH2=C(COOH)−CH2−COO−、CH2=C(COOCH3)−CH2−COO−、CH2=CH−Ph−等が挙げられる。
このような重合性二重結合基は、一般式(II)で示される重合体主鎖の片末端に、直接結合してもよいし、連結基を介して結合してもよい。ここで用いられる連結基としては、炭素−炭素結合(一重結合或いは二重結合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団の任意の組合せで構成されるものである。
具体的な連結基としては、−CR78−〔ここで、R7とR8は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。〕、−(CH=CH)−、−C510−(すなわち、シクロヘキシレン基)、−Ph(フェニレン基)−、−O−、−S−、−CO−、−NR5−、−COO−、−SO2−、−CONR9−、−SO2NR9−、−NHCOO−、−NHCONH−、−SiR910−〔ここで、R9とR10は、各々独立に、水素原子、前記一般式(I)のD1で表される脂肪族基等の炭化水素基を示す。〕等の連結基、又は、これらの連結基を2以上組合せで構成された連結基が挙げられる。
上記のようなマクロモノマーは、従来公知の合成方法によって製造することができる。例えば、1)アニオン重合或いはカチオン重合によって得られるリビングポリマーの末端に種々の試薬を反応させて重合性二重結合基を導入する、イオン重合法による方法、2)分子中に、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基等の反応性基を含有した重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いて、ラジカル重合して得られる末端反応性基結合のオリゴマーと種々の試薬を反応させて重合性二重結合基を導入する、ラジカル重合法による方法、3)重付加或いは重縮合反応により得られたオリゴマーに、上記ラジカル重合方法と同様にして重合性二重結合基を導入する、重付加縮合法による方法等が挙げられる。
より具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk,Encycl.Polym.Sci.Eng.,7,551(1987)、P,F.Rempp & E.Franta,Adv.Polym.Sci.,58,1(1984)、V.Percec,Appl.Polym.Sci.,285,95(1984)、R.Asami,M.TakaRi,Makvamol.Chem.Suppl.,12,163(1985)、P.Rempp et al,Makvamol.Chem.Suppl.,8,3(1984)、川上雄資「化学工業」38,56(1987)、山下雄也「高分子」31,988(1982)、小林四郎「高分子」30,625(1981)、東村敏延「日本接着協会誌」18,536(1982)、伊藤浩一「高分子加工」35,262(1986)、東貴四郎,津田隆「機能材料」1987,No.10,5等の総説及びそれに引用の文献・特許等に記載の方法に従って合成することができる。
前記2)の方法において用いられる、分子中に反応性基を含有した重合開始剤としては、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライド)、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノール)、2,2’−アゾビス(2−シアノペンタノール)、2,2’−アゾビス〔2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオアミド〕、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス〔2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}、2,2’−アゾビス〔N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン〕、2,2’−アゾビス〔N−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン〕等のアゾビス系化合物が挙げられる。
また、分子中に反応性基を含有した連鎖移動剤としては、例えば、該反応性基或いは該反応性基に誘導しうる置換基含有のメルカプト化合物(例えば、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール等)、又は該反応性基或いは該反応性基に誘導しうる置換基含有のヨード化アルキル化合物(例えば、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等)等が挙げられる。好ましくはメルカプト化合物が挙げられる。
これらの重合開始剤或いは連鎖移動剤の使用量は、各々、ラジカル重合の際に用いられる全単量体100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜5質量部である。
このようにして得られたマクロモノマー(MM)の重量平均分子量は、クシ型共重合体の分子量を後述の範囲に制御するために、1×103〜5×104の範囲であることを要し、3×103〜3×104であることが好ましい。
本発明におけるクシ型共重合体は、上述のような構造のマクロモノマーを10〜90質量%の範囲で含んでいるものが好ましく、20〜80質量%の範囲で含んでいるものがより好ましい。
この範囲内においてマクロモノマーを含むことで、重合造粒で得られる(B)特定粒子の平均粒子径が均一に揃い、且つ、得られた特定粒子の再分散性が著しく向上する。
本発明におけるクシ型共重合体の重量平均分子量は、保存安定性、再分散性、分散安定性の観点から、5×103〜5×105の範囲であることが好ましく、1×104〜2×105の範囲であることがより好ましい。
(スター型共重合体)
本発明におけるスター型共重合体とは、中心となる有機分子に対し、A−B型のブロック共重合体の高分子鎖が少なくとも3個結合してなる、重量平均分子量1×104〜1×106の共重合体である。
ここで、ブロックAとブロックBの高分子鎖中における配列の順序は、ブロックAの重合体主鎖のブロックBと結合する末端とは反対側の片末端で、有機分子に結合してなるものあり、その構造を模式的に示すと下記の一般式(IV)のようになる。
Figure 2008168593
上記一般式(IV)において、Xは有機分子を表し、〔A〕はブロックAを、〔B〕はブロックBを表し、〔A〕−〔B〕は高分子鎖を表す。
本発明におけるスター型共重合体におけるブロックAとブロックBの各共重合成の重量組成比は、1〜50/99〜50であり、好ましくは5〜40/95〜60である。
以下、まず、有機分子に結合するA−B型のブロック共重合体の高分子鎖を構成するブロックAについて説明する。
ブロックAは、ホスホノ基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホルミル基、アミノ基、−P(=O)(OH)R1基、−CONR34基、−SO2NR34、並びに環状酸無水物含有基からなる群より選択される少なくとも1種の極性基を含有する重合成分、及び/又は、前述の一官能性単量体に相当する重合成分を少なくとも1種含有することで構成される。
つまり、ブロックAは、一官能性単量体に相当する重合成分、及び/又は、前記した特定の極性基含有の重合成分で構成される。
特定の極性基中、−P(=O)(OH)R1基において、R1は、−R2基又は−OR2基を表し、R2は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R2の炭化水素基として好ましくは、炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、2−クロロエチル基、2シアノエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基等)、及び置換されていてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、シアノフェニル基等)が挙げられる。
また、特定の極性基中、−CONR34基及び−SO2NR34基において、R3及びR4は、各々独立に、水素原子又は炭化水素基(炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の置換されていてもよい炭化水素基)を表す。R3、R4で表される炭化水素基として具体的には、前記R2で表される炭化水素基と同様のものが挙げられる。
特定の極性基における環状無水物含有基とは、少なくとも1つの環状酸無水化物を含有する基であり、含有される環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、コハク酸無水物、グルタコン酸無水物、マレイン酸無水物、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,3−ビシクロ〔2,2,2〕オクタンジカルボン酸無水物等が挙げられ、これらの脂肪族ジカルボン酸無水物は、例えば、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基等で置換されていてもよい。
また、芳香族ジカルボン酸無水物の例としては、フタル酸無水物、ナフタレン−ジカルボン酸無水物、ピリジン−ジカルボン酸無水物、チオフェンージカルボン酸無水物等が挙げられ、これらの芳香族ジカルボン酸無水物は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基(アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等)等で置換されていてもよい。
更に、特定の極性基中、アミノ基は、−NH2、−NHR5、又は−NR56を表す。R5、R6は、各々独立に、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基を表す。更に好ましくは炭素数1〜7の炭化水素基を表し、具体的には、前記R2で表される炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記R2、R3、R4、R5及びR6で表される炭化水素基として、更により好ましくは、炭素数1〜4の置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいベンジル基、又は置換されていてもよいフェニル基等が挙げられる。
以上の特定の極性基を含有する重合成分に相当する単量体としては、特定の極性基を少なくとも1種含有した一官能性単量体であればいずれでもよい。例えば、高分子学会編「高分子データハンドブック、基礎編」培風館(1986年刊)等に記載されている。具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置換アクリル酸(例えば、α−アセトキシ体、α−アセトキシメチル体、α−(2−アミノ)メチル体、α−クロロ体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカルボン酸類(例えば、2−ペンテン酸、2−メチル−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸)、マレイン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホ酸、ジカルボン酸類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体、及びこれらのカルボン酸又はスルホン酸のエステル誘導体やアミド誘導体の置換基中に、前記極性基を含有する化合物等が挙げられる。
このような化合物の具体例として以下のものが挙げられる。ただし、以下の各例〔(P−1)〜(P−20)〕において、「e」は、−H、−CH3、−Cl、−Br、−CN、又は−CH2COOCH3を表し、「f」は、−H、又は−CH3を表し、「n」は、2〜10の整数を表し、「m」は1〜10の整数を表し、「p」は1〜4の整数を表す。また、X3は、−COOH、−O−P(=O)(OH)2、−SO3H、−OH、−NRab、−CHO、又は−O−P(=O)(OH)Raを表す。ここで、Ra、Rbは、各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。更に、X4は、−COOH、又は−OHを表す。
Figure 2008168593
Figure 2008168593
ブロックAにおいて含有される、特定の極性基含有の重合成分は、好ましくはスター型共重合体100質量部中、1〜30質量部で、より好ましくは1〜15質量部である。
また、ブロックAにおいて特定の極性基含有の重合成分が存在しない場合、前記官能性単量体(A)に相当する重合体成分は、好ましくは分散剤100質量部中5〜50質量部であり、より好ましくは10〜40質量部である。
次に、有機分子に結合するA−B型のブロック共重合体の高分子鎖を構成するブロックBについて説明する。
ブロックBは、下記一般式(V)で示される繰り返し単位から成る重合体成分を少なくとも1種含有することで構成される。
Figure 2008168593
一般式(V)において、X1は、好ましくは−COO−、−OCO−、又は−O−を表す。
1は、好ましくは炭素数10以上のアルキル基又はアルケニル基を表し、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。具体的には、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等が挙げられる。
1及びa2は、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−COO−Z1、又は−CH2COO−Z1〔Z1は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数22以下の炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基、アリール基等)を表す。
前記Z1は、具体的には、水素原子の他、好ましい炭化水素原子としては、炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、へプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されていてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等)、炭素数7〜12の置換されていてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されていてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)、及び炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
また、ブロックBにおいて、一般式(V)で示される繰り返し単位は二種以上を併用してもよい。
更に、ブロックBにおいて、一般式(V)で示される繰り返し単位と共に、他の繰り返し単位を共重合成分として含有してもよい。他の共重合成分としては、一般式(V)の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能な単量体よりなるものであればいずれの化合物であってもよい。他の共重合成分としては、多くてもブロックB100質量部に対して、20質量部を超えない範囲で用いられる。20質量部を超えると、本発明における特定粒子の分散性が劣化してしまう。
ブロックBにおいて含有される、一般式(V)で示される重合成分は、好ましくはスター型共重合体100質量部中50〜99質量部であり、より好ましくは60〜95質量部である。
本発明にスター型共重合体は、前記した所定の存在割合(すなわち、ブロックAとブロックBの存在割合や、ブロックBに含まれる一般式(V)で示される重合成分の存在割合)より少ない場合、特定粒子の再分散安定性を低下させてしまう場合がある。他方、所定の存在割合より多くなると、(B)特定粒子の粒子分布の単分散性低下を生じてしまう。
前述のようなA−B型のブロック共重合体の高分子鎖を、少なくとも3個以上結合する有機分子としては、重量平均分子量が1000以下のものであれば特に限定されるものではない。例を挙げれば、下記に記載の3価以上の炭化水素残基が挙げられる。しかしながら、本発明に従う有機分子の具体例としては、これらに限定されるものではない。
Figure 2008168593
ここで、上記の例において、r3〜r6は各々水素原子又は炭化水素基を表す。ただし、r3とr4の少なくとも1つ、また、r5とr6のうちの少なくとも1つは、それぞれ、A−B型のブロック共重合体の高分子鎖に連結する。
有機分子は、上記の炭化水素残基を単独又はこれらの任意の組み合わせの構成からなる。組み合わせの場合は、−O−、−S−、−N(r9)−、−COO−、−CON(r9)−、−SO2−、又は−SO2N(r9)−(ここで、r9は、水素原子又は炭化水素基を表す)、−NHCOO−、−NHCONH−、酸素原子、イオウ原子、窒素原子のへテロ原子含有の複素環(例えばチオフェン環、ピリジン環、ピラン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、フラン環、ピペリジン環、ピラジン環、ピロール環、ピペラジン環等)等の結合単位を含んでいてもよい。なお、これらの結合単位は、単独で私用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。
上記以外の有機分子の例としては、下記の連結基と上記結合単位との組み合わせから構成されるものが挙げられる。しかしながら、本発明に従う有機分子の具体例としては、これらに限定されるものではない。
Figure 2008168593
本発明におけるスター型分散剤は、従来公知の極性基を含有し、かつ、重合性二重結合基を有する単量体のスター型ポリマーの合成法を利用して合成することができる。例えばその一つとして、カルバニオンを開始剤とする重合反応が挙げられる。具体的には、M.Morton,T.E.Helminiak et al“J.Polym.Sci.”57,471(1962),B.Gordon III,M,Blumenthal,J.E.Loftus et al“Polym.Bull.”11,349(1984),R.B.Bates,W.A.Beavers et al“J.Org.Chem.”44,3800(1979)に記載の方法に従って合成できる。
ただし、上記の反応を用いる際には、前述の「特定の極性基」は、保護した官能基として用いて重合させた後、保護基の離脱を行う。これらの、特定の極性基の保護基による保護及びその保護基の離脱(脱保護反応)については、従来公知の知見を利用して容易に行うことができる。例えば、合成方法が記載されている上記の各引用文献にも種々記載されており、更には、岩倉義男、栗田恵輔「反応性高分子」(株)講談社刊(1977年)、T.W.Green“Protective Groups in Organic Synthesis”(JohnWiley & Sons,1981年)、J.F.W.McOmic“Protective Groups in Organic Chemistry”(Plenum Press,1973年)等の総説に詳細に記載されている方法を適宜選択して行うことができる。
また、他の合成方法としては、前述の「特定の官能基」を保護しないままの単量体を用い、ジシオカーバメント基を含有する化合物及び/又はザンテート基を含有する化合物を開始剤として、光照射下に重合反応を行って合成することもできる。例えば、大津隆行「高分子」37,248(1988)、桧森俊一,大津隆一“polym.Rep.Jap.”37,3508(1988)、特開昭64−11号公報、特開昭64−26619号公報、東信行等“Polymer Preprints,Japan”36(6),1511(1987)、M.Niwa,N.Higashi et al“J.Macromol.Sci.Cem.”A24(5),567(1987)等に記載の合成方法に従って合成することができる。
本発明におけるスター型分散剤の重量平均分子量(Mw)は、保存安定性、再分散性、分散安定性の観点から、1×104〜1×106であり、好ましくは2×104〜5×105である。
(部分架橋型共重合体)
本発明における部分架橋型共重合体とは、下記一般式(VI)で示される繰り返し単位を少なくとも1種含有する共重合体であって、その重合体主鎖の一部分が架橋された、前記非水溶媒に可溶な樹脂である。
Figure 2008168593
一般式(VI)において、X1は、好ましくは、−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−又は−O−を表し、より好ましくは、−COO−、−CH2COO−又は−O−を表す。
1は、好ましくは10〜22の置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を表す。これらに導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、−O−Z2、−COO−Z2、又は−OCO−Z2(ここで、Z2は炭素数6〜22のアルキル基を表し、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等である)等が挙げられる。また、より好ましくは、Y1は、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を表す。具体的には、例えば、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコサニル基、エイコサニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
1及びb2は、互いに同じであっても異なっていてもよく、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜8の炭化水素基、−COO−Z1、又は炭素数1〜8の炭化水素基を介した−COO−Z1〔ここでZ1は炭素数1〜22の炭化水素基を表す〕を表す。
具体的には、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基、−COO−Z3、又は−CH2COO−Z3(ここで、Z3は炭素数1〜22の脂肪族基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコサニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられ、これらアルキル基、アルケニル基は前記Y1で表したと同様の置換基を有していてもよい)等を表す。
本発明の部分架橋型型共重合体は、上記一般式(VI)で示される繰り返し単位に相当する単量体を少なくとも1種含有し、かつ、その重合体主鎖の一部分が架橋された重合体である。
このように重合体主鎖中に架橋構造を導入する方法としては、通常知られている方法を利用することができる。すなわち、1)単量体の重合反応において、多官能性単量体を共存させて重合する方法、又は、2)重合体中に架橋反応を進行する官能基を含有させ高分子反応で架橋する方法である。
本発明における部分架橋共重合体は、製造方法が簡便なこと(例えば、長時間の反応を要する、反応が定量的でない、反応促進剤を用いる等で不純物が混入する等、の問題点が少ない)等から、上記1)の方法が有効である。
上記1)の方法とは、好ましくは、重合性官能基を2個以上有する単量体を、上記一般式(VI)で示される繰り返し単位に相当する単量体と共に重合することで、ポリマー鎖間を架橋する方法である。
重合性官能基として具体的には、CH2=CH−、CH2=CH−CH2−、CH2=CH−CO−O−、CH2=C(CH3)−CO−O−、CH3−CH=CH−CO−O−、CH2=CH−CONH−、CH2=C(CH3)−CONH−、CH2=C(CH3)−CONHCOO−、CH2=C(CH3)−CONHCONH−、CH3−CH=CH−CONH−、CH2=CH−O−CO−、CH2=C(CH3)−O−CO−、CH2=CH−CH2−O−CO−、CH2=CH−NHCO−、CH2=CH−CH2−NHCO−、CH2=CH−SO2−、CH2=CH−CO−、CH2=CH−O−、CH2=CH−S−等を挙げることができるが、上記の重合性官能基を2個以上有する単量体は、これらの重合性官能基を同一のもの或いは異なったものを2個以上有した単量体であればよい。
重合性官能基を2個以上有した単量体の具体例としては、例えば、同一の重合性官能基を有する単量体として、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のスチレン誘導体;多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール#200,#400,#600、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリストール等)、又はポリヒドロキシフェノール(例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール及びそれらの誘導体)のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類;二塩基酸(例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルアミド類又はアリルアミド類;ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン等)とビニル基を有するカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、アリル酸等)との縮合体;等が挙げられる。
また、異なる重合性官能基を有する単量体として、例えば、ビニル基を有するカルボン酸〔例えば、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイルプロピオン酸、アクリロイルプロピオン酸、イタコニロイル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無水化物とアルコール又はアミンの反応体(例えば、アリルオキシカルボニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニル酢酸、2−アリルオキシカルボニル安息香酸、アリルアミノカルボニルプロピオン酸等)等〕のビニル基を含有したエステル誘導体又はアミド誘導体、具体的には、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸アリル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリル、メタクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステル、アクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミド、N−アクリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン酸アミド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド等;
アミノアルコール類(例えば、アミノエタノール、1−アミノプロパノール、1−アミノブタノール、1−アミノヘキサノール、2−アミノブタノール等)とビニル基を含有したカルボン酸との縮合体;等が挙げられる。
前記した2個以上の重合性官能基を有する単量体は、全単量体の10質量%以下、好ましくは8質量%以下を用いて重合し、非水溶媒に可溶性の部分架橋型共重合体を形成する。
本発明に用いられる部分架橋型分散剤は、具体的には、公知の方法である前記一般式(VI)で示される繰り返し単位に相当する単量体、及び上記した多官能性単量体を少なくとも共存させて、重合開始剤(例えば、アゾビス系化合物、過酸化物等)により重合する方法が簡便であり、好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、各々全単量体100質量部に対して、0.1〜15質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明の部分架橋型分散剤の重量平均分子量は、重合造粒で得られる特定粒子の粒径分布の調整の点、及び、非水媒体中での溶解性の点から、5×103〜1×106の範囲が好ましく、より好ましくは1×104〜2×105の範囲である。
(架橋性基含有共重合体)
本発明における架橋性基含有共重合体とは、下記一般式(VII)で示されるように、少なくとも非水溶媒に可溶性となる共重合成分(X成分)と、側鎖の末端に、重合造粒で得られる特定粒子と共重合可能な重合性二重結合基を有する共重合成分(Y成分)と、を含むランダム共重合体である。このため、この架橋性基含有共重合体は、分散媒に可溶性な樹脂である。
ここで、一般式(VII)中の、X成分は、単独の共重合成分から構成されていてもよいし、2種以上の共重合成分から構成されていてもよい。また、Y成分も同様である。
Figure 2008168593
上記一般式(VII)中、R1は炭素数10〜32のアルキル基又はアルケニル基を表し、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。具体的には、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、リノレイル基等が挙げられる。
1は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)を表し、好ましくは、水素原子、又はメチル基を表す。
1及びX2は、各々独立に、単結合、−COO−、−CONH−、−CON(E2)−〔但し、E2は好ましくは炭素数1〜22の脂肪族基(脂肪族基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、又はアラルキル基等を示す。)を示す。〕、−OCO−、−CH2OCO−、又は−O−を表す。より好ましくは−COO−、−CONH−又は−CON(E2)−を表す。
上記一般式(VII)におけるd1、d2、e1、及びe2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基を表す。このアルキル基の具体例としては、前記一般式(I)のD1で表される、炭素数1〜20の置換されていてもよい脂肪族基の具体例が挙げられる。
Wは、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含んで構成される連結基を表す。ここで、ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等が挙げられる。
連結基としては、炭素−炭素結合(一重結合或いは二重結合)、炭素−ヘテロ原子結合、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団、ヘテロ環基等の任意の組み合わせで構成されるものを含む。具体的には、例えば、下記に挙げられる2価の基が挙げられる。
Figure 2008168593
上記の2価の基の例において、r1〜r4は、各々、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、又はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。
5〜r7は、各々独立に、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)等を示す。
8〜r9は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トリル基等)、又は−Or10(r10は、r8における炭化水素基と同一の内容を示す)を表す。
Wを構成しうるヘテロ環基としては、酸素原子、イオウ原子、窒素原子等のヘテロ原子含有の複素環(例えば、チオフェン環、ピリジン環、ピラン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、フラン環、ピペリジン環、ピラジン環、ピロール環、ピペラジン環等)等が挙げられる。
また、一般式(VII)のY成分における〔−X1−W−X2−〕で構成される連結鎖は、原子数の総和が8以上から構成されるものが好ましい。この連結鎖における連結主鎖の原子数としては、例えば、X1が、−COO−や−CONH−を表す場合、オキソ基(=O基)や水素原子はその原子数として含まれず、連結主鎖を構成する炭素原子、エーテル型酸素原子、窒素原子はその原子数として含まれる。従って、−COO−や−CONH−は原子数2として数えられる。
以下に、重合性二重結合基を有する共重合成分(Y成分)についての具体例〔(Y−1)〜(Y−12)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記式中、各記号は以下の内容を表す。
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
本発明における架橋性基含有共重合体は、従来公知の合成方法によって容易に合成することができる。すなわち、樹脂中に、重合性二重結合基を有した共重合成分(Y成分)を導入する方法としては、予め、"特定の反応性基"(例えば、−OH、−COOH、−SO3H、−NH2、−SH、−PO32、−NCO、−NCS、−COCl、−SO2Cl、エポキシ基等)を含有した単量体を、一般式(VII)におけるX成分に相当する単量体と共に重合反応させた後に、重合性二重結合基を含有する反応性試薬を反応させた後、高分子反応により重合性反応性基を導入する方法が挙げられる。
具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk,Encycl.Polym.Sci,Eng.,7.551(1987)、中條善樹、山下雄也「染料と薬品」、30.232(1985)、上田明、永井進「化学と工業」、60.57(1986)、P.F.Rempp & E.Franta,Advances in Polymer Science,58.1(1984)、伊藤浩一「高分子加工」、35.262(1986)、V.Percec,Applied Polymer Scence,285.97(1984)等の総説及びそれに引用の文献等に記載の方法に従って重合性二重結合基を導入することができる。
また、他の方法としては、ラジカル重合反応における共重合反応性が異なる二官能性単量体を用いて、X成分に相当する単量体と共に重合反応させて、ゲル化反応を生じることなく一般式(VII)で示される共重合体を合成する特開昭60−185962号記載の方法等が挙げられる。
一般式(VII)で示される樹脂において、X成分とY成分の存在割合は、反応物のゲル化、分散安定性、再分散性の点から、70/30〜99/1(質量比)であり、好ましくは80/20〜98/2(質量比)である。
また、本発明に供される架橋性基含有共重合体において、一般式(VII)で示される各繰り返し単位と共に、他の繰り返し単位を共重合成分として含有してもよい。他の共重合成分としては、一般式(VII)の各々の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能な単量体よりなるものであればいずれの化合物でもよい。
他の共重合成分としては、多くても全重合成分100質量部に対して、20質量部を超えない範囲で用いられる。20質量部を超えると、本発明における特定粒子の分散性が劣化してしまう。
本発明の架橋性基含有共重合体の重量平均分子量(Mw)は、保存安定性、再分散性、分散安定性の観点から、5×103〜10×106であり、好ましくは1×104〜2×105である。
(連鎖移動剤)
重合造粒法において特定粒子を造粒する際には、分子量の制御や特定の機能を付与するために、連鎖移動剤を用いることができる。
ここで用いられる連鎖移動剤としては、重合反応において連鎖移動反応により、反応の活性点を移動させる物質であれば特に制限なく使用することができる。
本発明に用いうる連鎖移動剤の具体例としては、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化合物、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、2−メチル−1−ブテン、2、4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等のオレフィン類、エタンチオール、ブタンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、ステアリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ノニルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、エチルジスルフィド、sec−ブチルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、チオサリチル酸、チオフェノール、チオクレゾール、ベンジルメルカプタン、シクロペンチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、o−トルエンチオール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール、フェネチルメルカプタン等の含イオウ化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
より好ましくは、エタンチオール、ブタンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、ステアリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ノニルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、エチルジスルフィド、sec−ブチルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、チオサリチル酸、チオフェノール、チオクレゾール、ベンジルメルカプタン、シクロペンチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、o−トルエンチオール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオールであり、特に好ましい連鎖移動剤として、エタンチオール、ブタンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、ステアリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ノニルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、エチルジスルフィド、sec−ブチルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスルフィドなどが挙げられる。
このような連鎖移動剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
合成時の添加量としては、単量体に対して、10−3〜30質量%の範囲であることが好ましく、10−2〜15質量%の範囲であることがより好ましく、5×10−2〜12質量%の範囲であることが更に好ましい。
(重合造粒方法)
特定粒子を製造するには、一般に、前述のような分散剤と、一官能性単量体と、を非水溶媒中で、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、ブチルリチウム等の重合開始剤の存在下に加熱重合させればよい。
具体的には、(i)分散剤、単量体の混合溶液中に重合開始剤を添加する方法、(ii)分散剤を溶解した溶液中に単量体を重合開始剤と共に滴下してゆく方法、或いは、(iii)分散剤の全量と単量体の一部を含む混合溶液中に、重合開始剤と共に残りの単量体を添加する方法、更には、(iv)非水溶媒中に、分散剤、単量体の混合溶液を、重合開始剤と共に添加する方法等があり、いずれの方法を用いても製造することができる。
重合開始剤の量は、単量体の総量の0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは、0.5〜10質量%である。
また、重合温度は、40〜180℃程度であり、好ましくは50〜120℃である。反応時間は3〜15時間が好ましい。
反応に用いた非水溶媒中に、前記したアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性溶媒を併用した場合、或いは、重合造粒化される単量体の未反応物が残存する場合、該溶媒或いは単量体の沸点以上に加温して留去するか或いは、減圧留去することによって除くことが好ましい。
以上の如くして製造された特定粒子は、微細で、かつ、粒度分布が均一となる。特定粒子の体積平均粒径としては、画像形成性の観点から、0.8μm以上であることが好ましく、の上限値は、分散安定性、保存安定性、再分散性の観点から、5.0μmであることが好ましい。より好ましくは、0.85〜4.0μmであり、更に好ましくは、0.9〜3.0μmである。
この体積平均粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
本発明において、特定粒子の粒径の制御する因子としては、使用する一官能性単量体の種類及びその濃度、分散剤の種類及びその濃度、溶媒の種類及びその濃度、添加剤の有無、反応温度等が挙げられ、これらを適宜調整することで、所望の粒径の特定粒子を得ることができる。
特定粒子の重量平均分子量は、好ましくは、1×103〜1×106であり、より好ましくは3×103〜5×105、最も好ましくは、5×103〜1×105である。
[特定粒子の好ましい物性]
特定粒子は、その熱物性として、室温(本発明においては、10〜30℃)での弾性率が1.0×107以上であり、定着温度(本発明においては、80〜150℃)での弾性率が5.0×106以下の範囲であることが好ましく、特に、室温での弾性率が1.0×108以上であり、定着温度での1.0×106以下の範囲であることが更に好ましい。
本発明におけるインク組成物において、特定粒子の含有量は、インク組成物の全質量に対して、90〜1質量%の範囲であることが好ましく、80〜20質量%の範囲であることがより好ましく、70〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。特定粒子の含有量が1質量%よりも少ないと、特定粒子の画像形成性が低下する場合がある。また、特定粒子が着色されている場合、色濃度が低下して、視認性が低下することがある。また、特定粒子の含有量が90質量%より多いと、粘度が上昇し、吐出性が低下すると供に、特定粒子の凝集が起こり、保存安定性、分散性が低下する場合がある。
本発明におけるインク組成物には、本発明の効果を損ねない範囲で、特定粒子以外の他の樹脂粒子を含有していてもよい。
〔分散媒〕
本発明におけるインク組成物は、上述の有機微粒子以外に、分散媒を含有する。
この分散媒としては、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、又は芳香族炭化水素、及びこれらの炭化水素のハロゲン置換体(ハロゲン化炭化水素類)が挙げられる。具体的には、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、メチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等を、単独或いは混合して用いることができる。
また、上記の炭化水素系化合物及びそれらのハロゲン置換体以外に以下に記載の非炭化水素系化合物も混合して用いることができる。混合できる化合物としては、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)等が挙げられる。
なお、上記の炭化水素系化合物及びそれらのハロゲン置換体と混合して使用する非炭化水素系化合物の比率は、ピエゾ方式等のインクジェット記録方法を用いて画像描画する場合には、粘度、分散媒沸点、再分散性等を考慮して決められる。
一方、静電方式のインクジェット記録方法を用いて画像描画する場合には、分散媒の誘電率を下げるという観点から、上記の炭化水素系化合物及びそれらのハロゲン置換体と混合して使用する非炭化水素系化合物の比率は低い方が好ましい。そのため、インク組成物の誘電率が5.0以上となった場合には、5.0以下となるように非炭化水素系化合物を加熱或いは減圧下で除去する方法、若しくは、遠心分離装置を用いて、上澄み液を置換する方法を用いて、炭化水素系化合物の比率を高め、誘電率を低下させることが好ましい。
本発明におけるインク組成物において、分散媒の含有量は、インク組成物の全質量に対して、90〜10質量%の範囲であることが好ましく、98〜20質量%の範囲であることがより好ましく、97〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。
分散媒の含有量が10質量%よりも少ないと、粘度が上昇し、吐出性が低下すると共に、有機微粒子の凝集が起こり、保存安定性、分散性が低下する場合がある。一方、99質量%よりも多いと、有機微粒子の濃度が低下し、画像形成性が低下する場合がある。また、有機微粒子が着色されている場合、色濃度が低下して、視認性が低下することがある。
〔重合開始剤〕
本発明におけるインク組成物には、重合開始剤を含有してもよい。
本発明に用いられる、重合開始剤としては、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤が好ましい。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などが挙げられる。これらの中でも、アゾ系重合開始剤、オニウム塩又はオキシムエステル化合物が高感度であり好ましい。
アゾ系重合開始剤としては、具体的には、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリルなどのアゾニトリル系開始剤;
2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−シクロフェニル)−2メチル−プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロキシフェニル)2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]ジヒドロクロリドなどのアゾアミジン系開始剤;
2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(4,5、6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2イミダゾリン−2−イル)プロパン]などの環状アミジン系開始剤;
2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレートなどのアゾアミド系開始剤;
2,2’−アゾビス(2、4,4−トリメチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)などのアルキルアゾ系開始剤;
その他、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレル酸)、2,2’−アゾビス〔2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル〕などが挙げられる。
これらのアゾ系重合開始剤は、例えば、和光純薬(株)製V−70、V−65、V−60、V−59、V−40、V−30、V−19(以上、アゾニトリル系)、VA−545、VA−546、VA−548、VA−552、VA−553、VA−50、VA−558(以上、アゾアミジン系)、VA−041、VA−044、VA−054、VA−058、VA−059、VA−060、VA−061(以上、環状アゾアミジン系)、VA−080、VA−082、VA−086、VA−088(以上、アゾアミド系)、VR−110、VR−160(以上、アルキルアゾ系)、V−601、V−501、VF−077等として、市販されており、このような市販品もまた、本発明に使用できる。
好ましいアゾ系重合開始剤としては
ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレル酸)、2,2’−アゾビス〔2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル〕、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等が挙げられる。
重合開始剤として好適に用い得るオニウム塩について説明する。好ましいオニウム塩としては、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(A’)〜(C’)で表されるオニウム塩である。
Figure 2008168593
一般式(A’)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘ
キサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、スルホン酸イオン、および−SO2NHCO−または−SO2NHSO2−を含む化合物からのアニオンからなる群よ
り選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
一般式(B’)中、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21-はZ11-と同義の対イオンを表す。
一般式(C’)中、R31、R32およびR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオンを表す。
本発明において、重合開始剤(ラジカル発生剤)として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969号、特開2001−343742号、特開2002−006482号、特開2002−148790号の各公報に記載されたもの等を挙げることができる。以下に、本発明において、好適に用いることのできる一般式(A’)で示されるオニウム塩([OI−1]〜[OI−10])、一般式(B’)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])、および一般式(C’)で示されるオニウム塩([OS−1]〜[OS−11])の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
トリハロメチル基を有するトリアジン化合物としては、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔4−(4−ヒドロキシベンゾイルアミノ)フェニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
トリアリールモノアルキルボレート化合物としては、テトラ−n−ブチルアンモニウム−トリフェニル−n−ブチルボレートが挙げられる。
また、以下に、本発明において重合開始剤として好適に用い得るオキシムエステル化合物について説明する。好ましいオキシムエステル化合物としては、下記一般式(D)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008168593
一般式(D)中、Xはカルボニル基、スルホン基、スルホキシド基を表し、Yは炭素数1〜12の環状または鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、複素環基であり、アリール基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン基、ピレン基、トリフェニレン基等の芳香族炭化水素化合物であり、複素環とは窒素原子、硫黄原子、酸素原子を環構造に少なくとも1つ有する芳香族化合物であり、例えば、ピロール基、フラン基、チオフェン基、セレノフェノン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ベンズイミダゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、キノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェノキサジン、フェノチアジン等の化合物が挙げられる。これらYで表される置換基は、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基、またはアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
一般式(D)におけるZは、Yと同義またはニトリル基、ハロゲン原子、水素原子、またはアミノ基であり、これらのZの化合物はハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基またはアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
一般式(D)におけるWは、2価の有機基を表し、メチレン基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、イミノ基を表し、メチレン基およびイミノ基はアルキル基、アリール基、エステル基、ニトリル基、カルボニルエーテル基、スルホ基、スルホエーテル基、エーテル基等を含有する化合物により置換可能である。nは0または1の整数を表す。
一般式(D)におけるVは、炭素数1〜12の環状または鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基であり、アリール基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン基、ピレン基、トリフェニレン基等の芳香族炭化水素化合物、ピロール基、フラン基、チオフェン基、セレノフェン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ベンズイミダゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、キノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェノキサジン、フェノチアジン等のヘテロ原子含有芳香族化合物が挙げられる。これらVの化合物はハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基またはアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
また、VとZは互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式(D)で表されるオキシムエステル化合物としては、感度の面から、Xはカルボニル、Yはアリール基またはベンゾイル基、Z基はアルキル基またはアリール基、Wはカルボニル基であり、Vはアリール基であることが好ましい。更に好ましくは、Vのアリール基がチオエーテル置換基を有することが好ましい。
なお、上記一般式(D)におけるN−O結合の構造はE体であってもZ体であっても構わない。
その他、本発明に好適に用いることのできるオキシムエステル化合物は、Progress in Organic Coatings、13(1985)123−150;J.C.S Perkin II(1979)1653−1660;Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)205−232;J.C.S Perkin II(1979)156−162;特開2000−66385号公報;特開2000−80068号公報に記載の化合物である。
本発明に好適に用いることのできるオキシムエステル化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2008168593
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これらの重合開始剤は、感度や、印刷時に発生する非画像部の汚れの観点から、インク組成物の全固形分に対して、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは00.05〜30質量%、特に好ましくは0.1〜20質量%の割合で添加することができる。これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔色材〕
本発明におけるインク組成物は、得られた平版印刷版の画像部の視認性を向上することなどため、色材を含有することができる。
本発明におけるインク組成物に用いるうる色材としては、公知の染料及び顔料を使用することができ、用途や目的に応じて選択することができる。例えば、記録された画像記録物(印刷物)の色調の観点からは、顔料を用いることが好ましい(例えば、技術情報協会発行「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」2001年12月25日第1刷参照。以下「文献1」と称する場合がある。)。
本発明に適用可能な色材としては、版を検版可能であれば特に色材に制限はなく、これまで平版印刷版でよく使用されてきた色材を用いることができる。
イエロー顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー74等のモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17等のジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180等の非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100等のアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95等の縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18等の塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー等のアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT等のイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー等のイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153等のニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117等の金属錯塩アゾメチン顔料、C.I.ピグメントイエロー139等のイソインドリノン顔料などが挙げられる。
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド3等のモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38等のジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1等やC.I.ピグメントレッド57:1等のアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144等の縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81等の塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88等のチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194等のペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149等のペリレン顔料、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180等のイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83等のアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
シアン顔料としては、例えば、C.Iピグメントブルー25等のジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15等のフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1等の塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18等のアルカリブルー顔料等が挙げられる。
墨インク用の顔料としては、例えば、アニリンブラック系顔料等の有機顔料や酸化鉄顔料、及びファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料類等が挙げられる。
更に、マイクロリス−A,−K,−Tなどのマイクロリス顔料に代表される加工顔料も好適に使用できる。その具体例としてはマイクロリスイエロー4G−A,マイクロリスレッドBP−K,マイクロリスブルー4G−T,マイクロリスブラックC−Tなどが挙げられる。
また、白インク用の顔料として炭酸カルシウムや酸化チタン顔料を、銀インク用としてアルミニウム粉を、金インク用として銅合金を用いる等、必要に応じて各種の顔料を使用することができる。
顔料は、基本的には一色につき一種類の顔料を使うことが、インク製造の簡便性の点で好ましいが、色相調整として、例えば、墨インク用に、カーボンブラックにフタロシアニンを混合するなど、場合によっては2種以上併用することも好ましい。また、ロジン処理等、公知の方法により顔料を表面処理した後使用してもよい(前記文献1参照)。
染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましい。
これらの顔料及び染料は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である。
また、顔料及び染料の含有量は、色材(顔料や染料)の種類及び用途によって適宜決められる。
本発明における顔料及び染料の含有量は、インク組成物中の特定粒子を含む樹脂粒子の全質量に対して、0.1〜50質量%の範囲内であることが好ましく、1〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。0.1質量%以上において、着色量が充足し、充分良好な視認性が得られ、また、30質量%以下において、特定粒子を含む樹脂粒子の保存安定性、分散性、再分散性等を良好に保つことができる。更に好ましくは、1〜20質量%である。
これらの色材は、特定粒子を含む樹脂粒子とは別に色材自身を分散粒子として、分散媒中に分散させてもよいし、特定粒子を含む樹脂粒子中に含有させてもよい。含有させる場合の方法の1つとしては、特開昭57−48738号などに記載されている如く、有機微粒子を、好ましい染料で染色する方法がある。或いは、他の方法として、特開昭53−54029号などに開示されている如く、樹脂粒子と染料を化学的に結合させる方法があり、或いは、また、特公昭44−22955号等に記載されている如く、重合造粒法で製造する際に、予め色素を含有した単量体を用い、色素含有の共重合体とする方法がある。
〔荷電調整剤〕
本発明におけるインク組成物を、静電型インクジェット記録方式で画像描画する場合には、有機微粒子のパルス電圧に対する応答性(検電性)を高めるために、荷電調整剤を併用することが好ましい。
有機微粒子に検電性を付与するには、湿式静電写真用現像剤の技術を適宜利用することで達成可能である。具体的には、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社・1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の検電材料、例えば、荷電調節剤及び他の添加剤を用いることで行なわれる。
また、例えば、英国特許第893,429号、同第934,038号、米国特許第1,122,397号、同第3,900,412号、同第4,606,989号、特公平6−19596号、特公平6−19595号、特公平6−23865号、特公平4−51023号、特開平2−13965号、特開昭60−185963号等に記載されている化合物や、ナフテン酸ジルコニウム塩、オクテン酸ジルコニウム塩等の有機カルボン酸の金属塩、ステアリン酸テトラメチルアンモニム塩等の有機カルボン酸のアンモニム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸マグネシウム塩等の有機スルホン酸の金属塩、トルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等の有機スルホン酸のアンモニウム塩、スチレンと無水マレイン酸のコポリマーをアミンで変性したカルボン酸基を含有するポリマー等の側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、メタクリル酸ステアリルとメタクリル酸のテトラメチルアンモニウム塩の共重合体等の側鎖にカルボン酸アニオン基を有するポリマー、スチレンとビニルピリジンの共重合体等の側鎖に窒素原子を有するポリマー、メタクリル酸ブチルとN−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムトシラート塩との共重合体等の側鎖にアンモニウム基を有するポリマー等が挙げられる。
有機微粒子に付与される荷電は、正荷電であっても負荷電であってもよい。
インク組成物全体に対する検電材料の含有量は、0.0001〜20質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内において、インク組成物の電気伝導度を、10nS/m〜1500nS/mの範囲内に容易に調整できる。更に、荷電粒子(有機微粒子)の電気伝導度を、インク組成物の電気伝導度の50%以上に容易に調整できる。
〔その他の成分〕
本発明においては、更に、腐敗防止のために防腐剤や、表面張力を制御するための界面活性剤等を目的に応じて含有することができる。
本発明におけるインク組成物は、前述のように、特定粒子を必須成分として含有する油性インクである。
そのため、本発明におけるインク組成物は、上述のように、被記録媒体(インク受容層を有する支持体)に対する定着性の向上、及び平版印刷版を作製した際の耐刷性の向上の効果に加えて、分散安定性、再分散性、保存安定性(経時安定性)に優れ、また、インクジェット記録方法に適用して、高精細な画像を再現性良く形成することが可能であるという、油性インクに由来する効果も得られる。
[インク受容層を有する支持体]
本発明の平版印刷版の作製方法においては、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマー(反応性基含有ポリマーB)を含有するインク受容層を有する支持体を用いる。
〔インク受容層〕
先ず、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマー(以下、適宜「反応性基含有ポリマーB」と称する。)を含有するインク受容層について説明する。
なお、以下の説明では、反応性基含有ポリマーBを含有するインク受容層を、適宜、「反応性基含有ポリマー含有層」と称する。
反応性基含有ポリマーBは、1種の反応性基のみを有していてもよいし、2種以上の反応性基を有していてもよい。また、異なる種類の反応性基を有する反応性基含有ポリマーBが併用されてもよい。
反応性基含有ポリマーBに反応性基を導入する方法としては、例えば、反応性基含有ポリマーAに反応性基を導入する方法として前記した方法が挙げられるが、などがあるが、これに限定されるものではない。
反応性基含有ポリマーBが有する反応性基としては、例えば、エチレン性不飽和結合基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸無水物を含む基、イソシアナート基、及びブロックイソシアナート基等が挙げられる。
反応性基含有ポリマーBが有する反応性基としては、前記した特定粒子における反応性基含有ポリマーAが有する反応性基と化学結合を形成しうるものが選択される。
反応性基含有ポリマーAが有する反応性基と、反応性基含有ポリマーBが有する反応性基と、の好適な組み合わせは前述の通りである。
反応性基含有ポリマーBの合成に用いうる、反応性基を含む単量体の例としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
アミノ基を含む単量体としては、2級アミンを含有するアミノ基を含有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド等、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、エチレンイミンの重合で得られるポリエチレンイミンなどのポリアルキレンポリアミン、N,N−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジン、N−(β−アミノエチル)ピペラジンなどの脂環式ポリアミン、ビスアミノピリジンなどの芳香族ポリアミン等が挙げられる。
ヒドロキシル基を含む単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシエチルスチレン,2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート,N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド,カプロラクトン変性アクリルモノマー、例えばダイセル化学工業(株)製プラクセルFAおよびプラクセルFM,メチルバレロラクトン変性アクリルモノマー,ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート,ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン、等が挙げられる。
カルボキシル基を含む単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。
酸無水物を含む単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トと無水フタル酸あるいはコハク酸付加体等が挙げられる。
イソシアナート基、又は、ブロックイソシアナート基を含む単量体の例としては、2−イソシアネートエチルメタクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2−イソシアネートエチルアクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソシアナート等が挙げられる。
ブロックイソシアナート化合物は、常温においては安定であり、100〜200℃に加熱した際にブロック剤を解離して、遊離のイソシアネート基を再生しうるものである。該ブロック剤としては、例えば、ラクタム系化合物(ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなど)、フェノール系化合物(フェノール、クレゾール、キシレノールなど)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルなど)、オキシム系化合物(メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなど)が挙げられる。
反応性基含有ポリマーBの好適な具体例の一つは、少なくとも(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a2)支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つが含有する繰り返し単位とを有する共重合体(以下「特定共重合体」とも言う。)である。特定共重合体は親水性部分を有することが好ましい。
特定共重合体の好ましい態様は、下記式(i)で表される繰り返し単位を含有する共重合体である(以下、「特定共重合体(i)」と言う。)。
Figure 2008168593
式(i)中、Aはエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ含有する繰り返し単位を表し、Aは支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位を表す。x、yは共重合比を表す。
式(i)において、Aで表される繰り返し単位は、好ましくは下記式(A1)で表される。
Figure 2008168593
式(A1)中、R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、またはハロゲン原子を表す。R4〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、アシル基、またはアシルオキシ基を表す。またR4とR5、またはR5とR6で環を形成してもよい。Laは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
aの具体例を以下に挙げる。なお、下記例において左側が主鎖に結合し、右側がエチレン性不飽和結合に結合する。
a−1:−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
a−2:−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
a−3:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
a−4:−二価の脂肪族基−O−CO−
a−5:−CO−NH−二価の芳香族基−O−CO−
a−6:−CO−二価の芳香族基−O−CO−
a−7:−二価の芳香族基−O−CO−
a−8:−CO−O−二価の脂肪族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
a−9:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
a−10:−CO−O−二価の芳香族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
a−11:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
a−12:−CO−O−二価の脂肪族基−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−
a−13:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−二価の芳香族基−O−CO−
a−14:−CO−O−二価の芳香族基−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−
a−15:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−二価の芳香族基−O−CO−
a−16:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
a−17:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
二価の脂肪族基とは、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基またはポリアルキレンオキシ基を意味する。なかでもアルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基および置換アルキレン基がさらに好ましい。
二価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましく、さらに分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。
二価の脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至12であることがさらに好ましく、1乃至10であることがさらにまた好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。
二価の脂肪族基の置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基およびジアリールアミノ基等が挙げられる。
二価の芳香族基とは、アリレン基または置換アリレン基を意味する。好ましくは、フェニレン、置換フェニレン基、ナフチレンおよび置換ナフチレン基である。
二価の芳香族基の置換基の例としては、上記二価の脂肪族基の置換基の例に加えて、アルキル基が挙げられる。
式(A1)において、前記La-1からLa-17の中では、La-1、La-3、La-5、La-7、La-17が好ましい。
式(i)において、A2で表される繰り返し単位は、具体的には下記式(A2)で表される。
Figure 2008168593
式(A2)中、R1〜R3 およびLは前記式(A1)で表されるものと同義である。Qは支持体表面と相互作用する官能基(以下、「特定官能基」と略記する場合がある。)を表す。
特定官能基としては、例えば、陽極酸化処理または親水化処理を施した支持体上に存在する金属、金属酸化物、水酸基などと共有結合、イオン結合、水素結合、極性相互作用、ファンデルワールズ相互作用などの相互作用が可能な基が挙げられる。
特定官能基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2008168593
上記特定官能基の具体例中、R11〜R13はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキニル基、またはアルケニル基を表し、M1およびM2はそれぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはアンモニウム基を表し、X-はカウンターアニオンを表す。
これらのなかでも特定官能基としては、アンモニウム基、ピリジニウム基等のオニウム塩基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、ホウ酸基、アセチルアセトン基などのβ−ジケトン基などが好適である。
式(A2)において、Laは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
式(A2)におけるLaの具体例としては、前記式(A1)におけるLaの具体例に加えて以下のものを挙げることができる。なお、下記例において左側が主鎖に結合する。
a−18: −CO−NH−
a−19: −CO−O−
a−20: −二価の芳香族基−
式(A2)で表される繰り返し単位中には親水性部分を有していてもよい。式(A2)に親水性部分が含まれない場合には、本発明で用いられる前記共重合体には、共重合成分((a3)成分)としてさらに下記式(A3)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
Figure 2008168593
式(A3)中、R〜RおよびLaは前記式(A1)で表されるものと同義である。Wは下記基を表す。
Figure 2008168593
ただし、M1は前記式(A2)の説明で表されるものと同義である。
7およびR8はそれぞれ独立に、水素原子、あるいは炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を表す。R9は炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキレン基を表し、エチレン基が好ましい。R10は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を表す。nは1〜100の整数を表し、1〜30が好ましい。
前記(A3)で表される親水性基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位は、そのlogPが、−3〜3であるのが好ましく、−1〜2であるのがより好ましい。
ここでlogPとは、Medicinal Chemistry Project.Pomona College,Claremont.Californiaで開発され、Daylight Chemical Information System Inc.より入手できるソフトウェアPCModelsを用いて算出した化合物のオクタノール/水分配係数(P)の値の対数である。
前記Wとしては、アルキレンオキシ基を含むものが好ましい。
特定共重合体(i)の分子量としては、重量平均分子量で500〜100,000の範囲が好ましく、700〜50,000の範囲がより好ましい。
特定共重合体(i)において、(a1)成分は全共重合成分に対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。(a2)成分は全共重合成分に対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。さらに、(a3)成分は全共重合成分に対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。
反応性基含有ポリマーBである、特定共重合体(i)の具体例(i−1〜i−72)を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
Figure 2008168593
特定共重合体のより好ましい態様は、下記式(ii)で表される繰り返し単位を含有する共重合体である(以下、「特定共重合体(ii)」と言う。)。
Figure 2008168593
式(ii)中、A1はエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ含有する繰り返し単位を表し、A2は支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位を表し、A3は親水性基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位を表す。x、yおよびzは共重合比を表す。
式(ii)において、A1で表される繰り返し単位は、好ましくは炭素−炭素不飽和結合を有するイソシアネート化合物を活性水素基に反応させることで得られ、下記式(B1)で表される。活性水素基としては具体的に水酸基、アミノ基、カルボン酸基、アミド基、ウレタン基、ウレア基等の水素が挙げられる。
Figure 2008168593
式(B1)中、R1〜R3は、前記式(A1)におけるR1〜R3と同義である。Lbは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基およびそれらの組合せからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。R4〜R6は、前記式(A1)におけるR4〜R6と同義である。
bの具体例を以下に挙げる。なお、下記例において左側が主鎖に結合する。
b−1:−CO−O−二価の脂肪族基−O−
b−2:−CO−O−二価の脂肪族基−NH−
b−3:−CO−O−二価の脂肪族基−
b−4:−CO−O−二価の芳香族基−O−
b−5:−CO−O−二価の芳香族基−NH−
b−6:−CO−O−二価の芳香族基−
b−7:−二価の芳香族基−O−
b−8:−二価の芳香族基−NH−
b−9:−CO−二価の脂肪族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−
b−10:−CO−二価の脂肪族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−
b−11:−CO−二価の芳香族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−
b−12:−CO−二価の芳香族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−
b−13:−CO−二価の脂肪族基−CO−O−二価の芳香族基−O−
b−14:−CO−二価の脂肪族基−O−CO−二価の芳香族基−O−
b−15:−CO−二価の芳香族基−CO−O−二価の芳香族基−O−
b−16:−CO−二価の芳香族基−O−CO−二価の芳香族基−O−
b−17:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−NH−二価の脂肪族基−O−
b−18:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−NH−二価の脂肪族基−O−
二価の脂肪族基とは、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基またはポリアルキレンオキシ基を意味する。なかでもアルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基および置換アルキレン基がさらに好ましい。
二価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましく、さらに分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。
二価の脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至12であることがさらに好ましく、1乃至10であることがさらにまた好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。
二価の脂肪族基の置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基およびジアリールアミノ基等が挙げられる。
二価の芳香族基とは、アリレン基または置換アリレン基を意味する。好ましくは、フェニレン、置換フェニレン基、ナフチレンおよび置換ナフチレン基である。
二価の芳香族基の置換基の例としては、上記二価の脂肪族基の置換基の例に加えて、アルキル基が挙げられる。
式(B1)において、前記Lb−1〜Lb−17の中では、Lb−1、Lb−2、Lb−9、およびLb−10が好ましい。
式(B1)を得るために付加反応をさせる炭素−炭素不飽和結合を有するイソシアネート化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
これらの炭素−炭素不飽和結合を有するイソシアネート化合物を水酸基、アミノ基、カルボン酸基等に付加させる反応は、有機溶媒中、反応温度を20〜100℃で数時間〜数十時間反応させることにより行うことができる。また、反応を促進させる観点から触媒を入れることが好ましい。
触媒としては、一般に使用されるウレタン化触媒であれば限定なく使用することが可能であり、塩基性触媒、有機金属触媒、酸触媒が挙げられ、触媒活性の点から塩基性触媒、有機金属触媒が好ましい。
塩基性触媒の具体例としてはトリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N−エチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、ジメチルエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルが挙げられる。
有機金属触媒として利用される触媒の金属種としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、スズ、鉛等の第4族、Bi、P等の第5族やその他遷移金属類が用いられる。具体例としては酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、酢酸カルシウム、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、オクチル酸鉛、ビスマス−2−エチルヘキサノエート、ビスマスネオデカノエート、ビスマスオキシカーボネート、フェニル水銀プロピオン酸、水銀ネオデカン酸、亜鉛ネオデカノエート等が挙げられる。
有機溶剤としては、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸エチル、テトラメチルウレア、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、γ―ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。なかでも、合成適性からN−メチルピロリドン、テトラメチルウレアおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましい。
式(ii)において、A2で表される繰り返し単位は、具体的には下記式(B2)で表される。
Figure 2008168593
式中、R1〜R3およびLbは前記式(B1)におけるR1〜R3およびLbと同義である。Qは、前記式(A2)におけるQと同義である。
式(B2)において、Lbは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基およびそれらの組合せからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
bの具体例としては、前記(B1)におけるLbの具体例に加えて以下のものを挙げることができる。なお、下記例において左側が主鎖に結合する。
b−19: −CO−NH−
b−20: −CO−O−
b−21: −二価の芳香族基−
式(ii)において、A3で表される繰り返し単位は、好ましくは下記式(B3)で表される。
Figure 2008168593
式(B3)中、R1〜R3およびLbは、前記式(B1)におけるR1〜R3およびLbと同義である。Wは、前記式(A3)におけるWと同義である。
特定共重合体(ii)は、上記A1、A2、A3で表される繰り返し単位以外に、本発明の効果を損なわない限りにおいて、以下に説明するその他の単量体から選ばれた1種以上に由来する共重合成分を含んでいてもよい。
(その他の単量体)
(1)2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、およびメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキレート等のアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等のメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミドまたはメタクリルアミド。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
特定共重合体(ii)の分子量としては、重量平均分子量で500〜100,000の範囲が好ましく、700〜50,000の範囲がより好ましい。
特定共重合体(ii)において、(a1)成分は全共重合成分に対して1〜80モル%が好ましく、2〜50モル%が好ましい。(a2)成分は全共重合成分に対して1〜80モル%が好ましく、2〜40モル%が好ましい。(a3)成分は全共重合成分に対して10〜95モル%が好ましく、20〜90モル%が好ましい。
反応性基含有ポリマーBである、特定共重合体(ii)の具体例(ii−1〜ii−30)を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008168593
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更に、本発明に適用しうる反応性基含有ポリマーBの他の例としては、以下の具体例(iii−1〜iii−4)も挙げられる。
Figure 2008168593
反応性基含有ポリマー含有層は、通常、反応性基含有ポリマーBを溶剤で希釈した塗布液を調製し、該塗布液を支持体上に塗布することにより形成する。溶媒としては、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒が挙げられ、特に水、アルコール類が好ましい。これらの有機溶媒は混合して用いることもできる。
塗布液中における反応性基含有ポリマーBの濃度としては、0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%であり、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。反応性基含有ポリマー含有層には、必要に応じて、界面活性剤等の他の成分を添加してもよい。
塗布液を支持体に塗布する方法としては、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
反応性基含有ポリマー含有層の塗布量(固形分)は、0.1〜200mg/m2であるのが好ましく、1〜50mg/m2であるのがより好ましい。
〔支持体〕
本発明における支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
中でも、本発明においては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明においては表面処理されたアルミニウム板及びポリエステルフィルム上にゾルゲル親水性層が設けられた支持体が好ましい。
以下、これらについて記載する。
(アルミニウム支持体)
本発明における支持体として、特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて、粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行なってもよい。以下、このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
(表面処理)
本発明における支持体は、前述のアルミニウム板に表面処理を施されてなることが好ましい。例えば、この表面処理により、2種以上の異なる周期の凹凸を重畳した構造が支持体表面に形成されることが好ましい。
このような表面形状を有する支持体を得るために、具体的には、アルミニウム板に粗面化処理及び陽極酸化処理を施して得られることが好ましい。
このような支持体の製造工程は、特に限定されず、粗面化処理及び陽極酸化処理以外の各種の工程を含んでいてもよい。例えば、アルミニウム板に、機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理及び電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、アルミニウム板に、機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理及び異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法、アルミニウム板に、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理及び電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、アルミニウム板に、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理及び異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。これらの方法において、電気化学的粗面化処理の後、更に、アルカリエッチング処理及び酸によるデスマット処理を施してもよい。
これらの方法により得られた支持体は、2種以上の異なる周期の凹凸を重畳した構造が表面に形成されており、平版印刷版としたときの耐汚れ性及び耐刷性のいずれにも優れるといった利点を有する。
以下、本発明において適用可能な表面処理の各工程について、詳細に説明する。
<機械的粗面化処理>
機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理と比較してより安価に、平均波長5〜100μmの凹凸のある表面を形成することができるため、粗面化処理の手段として有効である。機械的粗面化処理方法としては、例えば、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、特開平6−135175号公報及び特公昭50−40047号公報に記載されているナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法を用いることができる。また、凹凸面をアルミニウム板に圧接する転写方法を用いることもできる。即ち、特開昭55−74898号、特開昭60−36195号、特開昭60−203496号の各公報に記載されている方法のほか、転写を数回行うことを特徴とする特開平6−55871号公報、表面が弾性であることを特徴とした特願平4−204235号明細書(特開平6−024168号公報)に記載されている方法も適用可能である。
また、放電加工、ショットブラスト、レーザー、プラズマエッチング等を用いて、微細な凹凸を食刻した転写ロールを用いて繰り返し転写を行う方法や、微細粒子を塗布した凹凸のある面を、アルミニウム板に接面させ、その上より複数回繰り返し圧力を加え、アルミニウム板に微細粒子の平均直径に相当する凹凸パターンを複数回繰り返し転写させる方法を用いることもできる。転写ロールへ微細な凹凸を付与する方法としては、特開平3−8635号、特開平3−66404号、特開昭63−65017号の各公報等に記載されている公知の方法を用いることができる。また、ロール表面にダイス、バイト、レーザー等を使って2方向から微細な溝を切り、表面に角形の凹凸をつけてもよい。このロール表面には、公知のエッチング処理等を行って、形成させた角形の凹凸が丸みを帯びるような処理を行ってもよい。また、表面の硬度を上げるために、焼き入れ、ハードクロムメッキ等を行ってもよい。そのほかにも、機械的粗面化処理としては、特開昭61−162351号公報、特開昭63−104889号公報等に記載されている方法を用いることもできる。本発明においては、生産性等を考慮して上述したそれぞれの方法を併用することもできる。これらの機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理の前に行うのが好ましい。
以下、機械的粗面化処理として好適に用いられるブラシグレイン法について説明する。ブラシグレイン法は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム板の表面の一方又は両方を擦ることにより行う。上記ローラ状ブラシ及びスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。ローラ状ブラシを用いる場合、曲げ弾性率が好ましくは10,000〜40,000kg/cm、より好ましくは15,000〜35,000kg/cmであり、且つ、毛腰の強さが好ましくは500g以下、より好ましくは400g以下であるブラシ毛を用いる。ブラシ毛の直径は、一般的には、0.2〜0.9mmである。ブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径及び胴の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的には、10〜100mmである。
研磨剤は公知の物を用いることができる。例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、炭化ケイ素、窒化ケイ素、火山灰、カーボランダム、金剛砂等の研磨剤;これらの混合物を用いることができる。中でも、パミストン、ケイ砂が好ましい。
特に、ケイ砂は、パミストンに比べて硬く、壊れにくいので粗面化効率に優れる点で好ましい。研磨剤の平均粒径は、粗面化効率に優れ、且つ、砂目立てピッチを狭くすることができる点で、3〜50μmであるのが好ましく、6〜45μmであるのがより好ましい。研磨剤は、例えば、水中に懸濁させて、スラリー液として用いる。スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができる。スラリー液の比重は0.5〜2であるのが好ましい。
上記のような機械的粗面化処理に適した装置としては、例えば、特公昭50−40047号公報に記載された装置を挙げることができる。
<電気化学的粗面化処理>
電気化学的粗面化処理には、通常の交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液を用いることができる。中でも、塩酸又は硝酸を主体とする電解液を用いることで特徴的な凹凸構造を表面に形成させることができる。本発明における電解粗面化処理としては、陰極電解処理の前後に酸性溶液中での交番波形電流による第1及び第2の電解処理を行うことが好ましい。陰極電解処理により、アルミニウム板の表面で水素ガスが発生してスマットが生成することにより表面状態が均一化され、その後の交番波形電流による電解処理の際に均一な電解粗面化が可能となる。この電解粗面化処理は、例えば、特公昭48−28123号公報及び英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、米国特許第4,276,129号明細書及び同第4,676,879号明細書に記載されている。
電解槽及び電源については、種々提案されているが、米国特許第4203637号明細書、特開昭56−123400号、特開昭57−59770号、特開昭53−12738号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32823号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特開昭62−127500号、特開平1−52100号、特開平1−52098号、特開昭60−67700号、特開平1−230800号、特開平3−257199号の各公報等に記載されているものを用いることができる。また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
電解液である酸性溶液としては、硝酸、塩酸のほかに、米国特許第4,671,859号、同第4,661,219号、同第4,618,405号、同第4,600,482号、同第4,566,960号、同第4,566,958号、同第4,566,959号、同第4,416,972号、同第4,374,710号、同第4,336,113号、同第4,184,932号の各明細書等に記載されている電解液を用いることもできる。
酸性溶液の濃度は0.5〜2.5質量%であるのが好ましいが、上記のスマット除去処理での使用を考慮すると、0.7〜2.0質量%であるのが特に好ましい。また、液温は20〜80℃であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ましい。
塩酸又は硝酸を主体とする水溶液は、濃度1〜100g/Lの塩酸又は硝酸の水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物又は塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。また、塩酸又は硝酸を主体とする水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。好ましくは、塩酸又は硝酸の濃度0.5〜2質量%の水溶液にアルミニウムイオンが3〜50g/Lとなるように、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を添加した液を用いることが好ましい。
更に、Cuと錯体を形成しうる化合物を添加して使用することによりCuを多く含有するアルミニウム板に対しても均一な砂目立てが可能になる。Cuと錯体を形成しうる化合物としては、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のアンモニアの水素原子を炭化水素基(脂肪族、芳香族等)等で置換して得られるアミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩類が挙げられる。また、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩も挙げられる。温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
電気化学的粗面化処理に用いられる交流電源波は、特に限定されず、サイン波、矩形波、台形波、三角波等が用いられるが、矩形波又は台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。台形波とは、図5に示したものをいう。この台形波において電流がゼロからピークに達するまでの時間(TP)は1〜3msecであるのが好ましい。1msec未満であると、アルミニウム板の進行方向と垂直に発生するチャタマークという処理ムラが発生しやすい。TPが3msecを超えると、特に硝酸電解液を用いる場合、電解処理で自然発生的に増加するアンモニウムイオン等に代表される電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てが行われにくくなる。その結果、平版印刷版としたときの耐汚れ性が低下する傾向にある。
台形波交流のduty比は1:2〜2:1のものが使用可能であるが、特開平5−195300公報に記載されているように、アルミニウムにコンダクタロールを用いない間接給電方式においてはduty比が1:1のものが好ましい。台形波交流の周波数は0.1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
電解槽には1個以上の交流電源を接続することができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる交流の陽極と陰極との電流比をコントロールし、均一な砂目立てを行うことと、主極のカーボンを溶解することとを目的として、図6に示したように、補助陽極を設置し、交流電流の一部を分流させることが好ましい。図6において、111はアルミニウム板であり、112はラジアルドラムローラであり、113a及び113bは主極であり、114は電解処理液であり、115は電解液供給口であり、116はスリットであり、117は電解液通路であり、118は補助陽極であり、119a及び119bはサイリスタであり、120は交流電源であり、121は主電解槽であり、122は補助陽極槽である。整流素子又はスイッチング素子を介して電流値の一部を二つの主電極とは別の槽に設けた補助陽極に直流電流として分流させることにより、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノード反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる電流値との比を制御することができる。主極に対向するアルミニウム板上で、陽極反応と陰極反応とにあずかる電気量の比(陰極時電気量/陽極時電気量)は、0.3〜0.95であるのが好ましい。
電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過する電解液は、アルミニウムウェブの進行方向に対してパラレルであってもカウンターであってもよい。
−硝酸電解−
硝酸を主体とする電解液を用いた電気化学的粗面化処理により、平均開口径0.5〜5μmのピットを形成することができる。ただし、電気量を比較的多くしたときは、電解反応が集中し、5μmを超えるハニカムピットも生成する。このような砂目を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜1000C/dmであるのが好ましく、50〜300C/dmであるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜100A/dmであるのが好ましい。また、高濃度又は高温の硝酸電解液を用いると、平均開口径0.2μm以下の小波構造を形成させることもできる。
−塩酸電解−
塩酸はそれ自身のアルミニウム溶解力が強いため、わずかな電解を加えるだけで表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。この微細な凹凸は、平均開口径が0.01〜0.2μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜100C/dmであるのが好ましく、20〜70C/dmであるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜50A/dmであるのが好ましい。
このような塩酸を主体とする電解液での電気化学的粗面化処理では、アノード反応にあずかる電気量の総和を400〜1000C/dmと大きくすることでクレーター状の大きなうねりを同時に形成することも可能であるが、この場合は平均開口径10〜30μmのクレーター状のうねりに重畳して平均開口径0.01〜0.4μmの微細な凹凸が全面に生成する。
上記の硝酸、塩酸等の電解液中で行われる第1及び第2の電解粗面化処理の間に、アルミニウム板は陰極電解処理を行うことが好ましい。この陰極電解処理により、アルミニウム板表面にスマットが生成するとともに、水素ガスが発生してより均一な電解粗面化処理が可能となる。この陰極電解処理は、酸性溶液中で陰極電気量が好ましくは3〜80C/dm、より好ましくは5〜30C/dmで行われる。陰極電気量が3C/dm未満であると、スマット付着量が不足する場合があり、また、80C/dmを超えると、スマット付着量が過剰となる場合があり、いずれも好ましくない。また、電解液は上記第1及び第2の電解粗面化処理で使用する溶液と同一であっても異なっていてもよい。
<アルカリエッチング処理>
アルカリエッチング処理は、前記アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。
電解粗面化処理より前に行われるアルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行っていない場合には、アルミニウム板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的として、また、既に機械的粗面化処理を行っている場合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解させ、急峻な凹凸を滑らかなうねりを持つ表面に変えることを目的として行われる。
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行わない場合、エッチング量は、0.1〜10g/mであるのが好ましく、1〜5g/mであるのがより好ましい。エッチング量が0.1g/m未満であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等が残存する場合があるため、後段の電解粗面化処理において均一なピット生成ができずムラが発生してしまう場合がある。一方、エッチング量が1〜10g/mであると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等の除去が十分に行われる。上記範囲を超えるエッチング量とするのは、経済的に不利となる。
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行う場合、エッチング量は、3〜20g/mであるのが好ましく、5〜15g/mであるのがより好ましい。エッチング量が3g/m未満であると、機械的粗面化処理等によって形成された凹凸を平滑化できない場合があり、後段の電解処理において均一なピット形成ができない場合がある。また、印刷時に汚れが劣化する場合がある。一方、エッチング量が20g/mを超えると、凹凸構造が消滅してしまう場合がある。
電解粗面化処理の直後に行うアルカリエッチング処理は、酸性電解液中で生成したスマットを溶解させることと、電解粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。電解粗面化処理で形成されるピットは電解液の種類によって異なるためにその最適なエッチング量も異なるが、電解粗面化処理後に行うアルカリエッチング処理のエッチング量は、0.1〜5g/mであるのが好ましい。硝酸電解液を用いた場合、塩酸電解液を用いた場合よりもエッチング量は多めに設定する必要がある。電解粗面化処理が複数回行われる場合には、それぞれの処理後に、必要に応じてアルカリエッチング処理を行うことができる。
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、タケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点及び安価である点から、カセイアルカリの溶液、及び、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応じて決定することができるが、1〜50質量%であるのが好ましく、10〜35質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液中にアルミニウムイオンが溶解している場合には、アルミニウムイオンの濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜120秒であるのが好ましい。
アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
<デスマット処理>
電解粗面化処理又はアルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)が行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。上記デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム板を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。デスマット処理においては、酸性溶液として、上述した電解粗面化処理において排出される硝酸を主体とする水溶液若しくは塩酸を主体とする水溶液の廃液、又は、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶液の廃液を用いることができる。デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウム及びアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じて、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は2.0g/mより少ないと平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は、更に、シリケートによる親水化処理が施されることが好ましい。
<シリケート処理>
シリケート処理は、すなわち、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,714,066号明細書及び米国特許第3,181,461号明細書に記載されている方法及び手順に従って行うことができる。アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩又は4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩及び4族(第IVA族)金属塩は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
シリケート付着量としては、インク滲み、汚れ性、耐刷性の点から、1.0〜30.0mg/mであり、より好ましくは、2.0〜20.0である。
(ポリエステルフィルム支持体)
本発明において、支持体として好適なポリエステルフィルムは、その表面に、下記のようなゾルゲル構造を含有する親水性層を有することが好ましい態様である。
なお、このゾルゲル構造を含有する親水性層は、ポリエステルフィルム以外の材質の支持体にも適用可能である。
<ゾルゲル構造を含有する親水性層>
本発明におけるゾルゲル構造を含有する親水性層(以下、単に親水性層と称する場合がある。)は、親水性バインダーを含む。この親水性バインダーは、金属水酸化物と金属酸化物との系からなるゾルゲル変換性材料であることが好ましく、その中でもポリシロキサンのゲル組織を形成する性質を有するゾルゲル変換系が最も好ましい。
また、この親水性バインダーは親水性層の構成成分の分散媒として作用し、層の物理的強度の向上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上、印刷適性の向上、製版作業性の便宜上など、種々の目的に適う構成となっている。
親水性バインダーは、親水性層の全固形分に対して、30質量%以上であることが好ましく、更には35質量%以上であることが好ましい。30質量%以下では親水性層が十分な耐水性及び耐磨耗性を得ることができない。
本発明における親水性層に好適に使用される親水性バインダーとしては、親水性層としての適度な強度と表面の親水性を付与する目的の、有機高分子化合物を用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコール(PVA),カルボキシ変性PVA等の変性PVA,澱粉及びその誘導体、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズのようなセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸及びその塩、ポリアクリアミド、及びアクリル酸、アクリアミドなど水溶性のアクリル系モノマーを主な構成成分として含む水溶性アクリル系共重合体等の水溶性樹脂が挙げられる。
また、上記有機高分子化合物を架橋し、硬化させる耐水化剤としては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等のアミノプラストの初期縮合物、メチロール化ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン・エピクロルヒドリン付加物、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、変性ポリアミドポリイミド樹脂等が挙げられる。その他、更には、塩化アンモニウム、シランカップリング剤の架橋触媒等が併用できる。
本発明に特に好ましく適用できるゾルゲル変換が可能な系は、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作製技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述されている。
すなわち、多価元素から出ている結合基が酸素原子を介して網目状構造を形成し、同時に多価金属は未結合の水酸基やアルコキシ基も有していてこれらが混在した樹脂状構造となっている高分子体であって、塗布前のアルコキシ基や水酸基が多い段階ではゾル状態であり、塗布後、エステル結合化が進行するのに伴って網目状の樹脂状構造が強固となり、ゲル状態になる。また、樹脂組織の親水性度が変化する性質に加えて、水酸基の一部が固体微粒子に結合することによって固体微粒子の表面を修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持っている。ゾルゲル変換を行う水酸基やアルコキシ基を有する化合物の多価結合元素は、アルミニウム、珪素、チタン及びジルコニウムなどであり、これらはいずれも本発明に用いることができるが、以下はもっとも好ましく用いることのできるシロキサン結合によるゾルゲル変換系について説明する。アルミニウム、チタン及びジルコニウムを用いるゾルゲル変換は、下記の説明の珪素をそれぞれの元素に置き換えて実施することができる。
ゾルゲル変換によって形成される親水性マトリックスは、好ましくはシロキサン結合及びシラノール基を有する樹脂であり、本発明における親水性層は、少なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物を含んだゾルの系である塗布液を、塗布後の経時の間に、シラノール基の加水分解縮合が進んでシロキサン骨格の構造が形成され、ゲル化が進行することにより形成される。ゲル構造を形成するシロキサン樹脂は、下記一般式(A)で、また少なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物は、下記一般式(B)で示される。また、親水性層に含まれる親水性から疎水性に変化する物質系は、必ずしも一般式(B)のシラン化合物単独である必要はなく、一般には、シラン化合物が部分加水重合したオリゴマーからなっていてもよく、或いは、シラン化合物とそのオリゴマーの混合組成であってもよい。
Figure 2008168593
一般式(A)のシロキサン系樹脂は、下記一般式(B)で示されるシラン化合物の少なくとも1種を含有する分散液からゾル−ゲル変換によって形成され、一般式(A)中のR01〜R03の少なくとも一つは水酸基を表し、他は下記一般式(B)中の記号のR及びYから選ばれる有機残基を表わす。
一般式(B) (RSi(Y4−n
上記一般式(B)中、Rは、水酸基、炭化水素基又はヘテロ環基を表わす。Yは水素原子、ハロゲン原子、−OR11、−OCOR12、又は−N(R13)(R14)を表す(R11、R12は、各々炭化水素基を表し、R13、R14は同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を表す)。nは、0、1、2又は3を表わす。
一般式(B)中のRの炭化水素基又はヘテロ環基としては、炭素数1〜12の置換されていてもよい直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等;これらの基に置換される基としては、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、エポキシ基、−OR基(Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、2−ヒドロキシエチル基、3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、2−ブロモエチル基、2−(2−メトキシエチル)オキシエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−カルボキシプロピル基、ベンジル基等を示す)、−OCOR基(Rは、前記Rと同一の内容を表わす)、−COOR基、−COR基、−N(R)(R)(Rは、水素原子又は前記Rと同一の内容を表わし、各々同じでも異なってもよい)、−NHCONHR基、−NHCOOR基、−Si(R基、−CONHR基、−NHCOR基、等が挙げられる。これらの置換基はアルキル基中に複数置換されていてもよい)、炭素数2〜12の置換されていてもよい直鎖状又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基等、これらの基に置換される基としては、前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられる)、炭素数7〜14の置換されていてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基等;これらの基に置換される基としては、前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されていてもよい)、炭素数5〜10の置換されていてもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ノルボニル基、アダマンチル基等、これらの基に置換される基としては、前記アルキル基の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されていてもよい)、炭素数6〜12の置換されていてもよいアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基で、置換基としては前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又、複数置換されていてもよい)、又は、窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する縮環してもよいヘテロ環基(例えば該ヘテロ環としては、ピラン環、フラン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等で、置換基を含有してもよい。置換基としては、前記アルキル基中の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されていてもよい)を表わす。
一般式(B)中のYの−OR11基、−OCOR12基、又はN(R13)(R14)基としては、例えば、以下の基を表す。
上記−OR11基において、R11は炭素数1〜10の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブトキシ基、ヘプチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、2−(メトキシエチルオキソ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メトキシプロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオキサプロピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシクロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、ジメトキシベンジル基、メチルベンジル基、ブロモベンジル基等が挙げられる)を表わす。
前記−OCOR12基において、R12は、R11と同一の内容の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香族基(芳香族基としては、前記R中のアリール基で例示したと同様のものが挙げられる)を表わす。
より好ましくは、R11とR12の炭素数の総和が16個以内である。
また、前記−N(R13)(R14)基において、R13、R14は、互いに同じでも異なってもよく、各々、水素原子又は炭素数1〜10の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、前記の−OR11基のR11と同様の内容のものが挙げられる)を表わす。
一般式(B)で示されるシラン化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
すなわち、テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−へキシルトリメトキシシラン、n−へキシルトリエトキシシラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−へキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
親水性層の形成に用いる一般式(B)で示されるシラン化合物と共に、Ti、Zn、Sn、Zr、Al等のゾルゲル変換の際に樹脂に結合して成膜可能な金属化合物を併用することができる。用いられる金属化合物として、例えば、Ti(OR(Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、TiCl、Zn(OR、Zn(CHCOCHCOCH、Sn(OR、Sn(CHCOCHCOCH、Sn(OCOR、SnCl、Zr(OR、Zr(CHCOCHCOCH、Al(OR等が挙げられる。
また、このゲル構造のマトリックスの中には、膜強度、柔軟性などの物理的性能向上や、塗布性の向上、親水性の調節などの目的で、ポリマー主鎖末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーや、架橋剤を加えることが可能である。
ポリマー主鎖末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーとしては、下記一般式(1)で表されるポリマーが挙げられる。
Figure 2008168593
一般式(1)において、R、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、又は炭素数8以下の炭化水素基を表し、mは0、1、又は2を表し、nは1〜8の整数を表し、pは30〜300の整数を表す。Yは、−NHCOCH、−CONH、−CON(CH、−COCH、−OCH、−OH、−COM、又はCONHC(CHSOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びオニウムからなる群から選択されるいずれかを表す。
Lは、単結合又は有機連結基を表わすが、ここで有機連結基とは、非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には1〜60個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜100個の水素原子,0〜20個の硫黄原子から成り立つ基である。より具体的な連結基としては下記の構造単位又はこれらが組み合わされて構成された基を挙げることができる。
Figure 2008168593
一般式(1)のシランカップリング基を有する親水性ポリマーの具体例としては、以下のポリマーを挙げることができる。なお、下記具体例において、pは100〜250の間のいずれを採ることもできる。
Figure 2008168593
親水性ポリマーは、下記一般式(2)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(3)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤とを用いてラジカル重合させることによって合成することができる。シランカップリング剤、式(3)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
なお、下記式(2)及び式(3)中の、R、R、R、R、L、Y、m、及びnは、前記式(1)中のR、R、R、R、m、及びnと同義である。
Figure 2008168593
親水性層の膜厚は、0.1〜10g/mであることが好ましく、0.5〜5g/mであることがより好ましい。
以上のような親水性層は、ポリエステルフィルム上に直接設けられてもよいが、ポリエステルフィルムと親水性層との間に、密着性を向上させるために、ポリアクリルアミド等を含む中間層(密着層)を設けてもよい。
さらに、本発明においては、上記親水性上に、本発明におけるインク受容層が形成される。
本発明の平版印刷版の製造方法では、以上述べた、インク受容層を有する支持体へ、前記インク組成物を用いて、インクジェット記録方法により画像描画する工程を行った後、ヒートローラ等の加熱手段により定着工程を行うことが好ましい。この際、特定粒子が熱により溶融し、効率よく定着することができる。
以下、本発明に適用しうる、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法の好適な態様、定着工程の内容等について説明する。
[インクジェット記録装置]
本発明におけるインク組成物は、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるドロップ・オン・デマンド方式(ピエゾ方式)、更には、高熱によって気泡を形成し、成長させることによって生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるバブル(サーマル)ジェット方式等の各種インクジェット記録方式のいずれも制限なく使用でき、市販のインクジェット記録装置を利用できる。
また、本発明におけるインク組成物は、静電界を利用したインクジェット記録装置にも好適に用いられる。静電界を利用するインクジェット記録方式は、制御電極と被記録媒体背面の背面電極間に電圧を印加することにより、インク組成物の荷電粒子を静電力によって吐出位置に濃縮し、吐出位置から被記録媒体へ飛翔させる方式である。制御電極と背面電極間に印加する電圧は、例えば、荷電粒子が正の場合、制御電極が正極であり背面電極が負極となる。背面電極へ電圧を印加する代わりに被記録媒体に帯電を行っても同様の効果が得られる。
また、インク組成物を飛翔させる方式として、例えば、注射針のようなニードル状の先端からインクを飛翔させる方式があり、この方式に、本発明におけるインク組成物を適用することができる。ただし、荷電粒子を濃縮・吐出した後の荷電粒子の補給が難しく安定に長期間の記録を行うことが難しい。荷電粒子を強制的に供給するため、インクを循環させる場合には、注射針先端からインクを溢れさせる方法になるため、吐出位置である注射針先端のメニスカス形状が安定せず、安定な記録を行うことが困難であり、短期間の記録に適している。
一方、吐出開口部からインク組成物を溢れさせることなく、インク組成物を循環させる方法が好ましく用いられる。例えば、吐出開口を有するインク室内にインクが循環されており、吐出開口周縁に形成された制御電極に電圧を印加することによって、吐出開口中に存在しており先端が被記録媒体側に向いたインクガイドの先端から、濃縮されたインク滴が飛翔する方法では、インクの循環による荷電粒子の補給と、吐出位置のメニスカス安定性を両立することができるため、長期間安定に記録を行うことができる。更に、本方式ではインク組成物が外気と接する部分が吐出開口部だけと非常に少ないため、溶媒の蒸発を抑え、インク物性が安定化するため、本発明において好適に使用することができる。
本発明に適したインクジェット記録装置の構成例を以下に示す。
まずは、図1に示す被記録媒体に片面4色印刷を行う装置の概要について説明する。
図1に示されるインクジェット記録装置1は、フルカラー画像形成を行うための4色分の吐出ヘッド2C、2M、2Y及び2Kから構成される吐出ヘッド2にインクを供給し、更に吐出ヘッド2からインクを回収するインク循環系3、図示されないコンピューター、RIP等の外部機器からの出力により吐出ヘッド2を駆動させるヘッドドライバ4、位置制御手段5を備える。またインクジェット記録装置1は、3つのローラ6A、6B、6Cに張架された搬送ベルト7、搬送ベルト7の幅方向の位置を検知可能な光学センサなどで構成された搬送ベルト位置検知手段8、被記録媒体Pを搬送ベルト上に保持するための静電吸着手段9、画像形成終了後に被記録媒体Pを搬送ベルト7から剥離するための除電手段10及び力学的手段11を備える。搬送ベルト7の上流、下流には、被記録媒体Pを図示されないストッカーから搬送ベルト7に供給するフィードローラ12及びガイド13、剥離後の被記録媒体Pへインクを定着させると共に図示されない排紙ストッカーに搬送する定着手段14及びガイド15が配置されている。またインクジェット印刷装置1の内部には、搬送ベルト7を挟んで吐出ヘッド2に対向する位置には、被記録媒体位置検出手段16を有し、更にインク組成物から発生する溶媒蒸気を回収するための排出ファン17及び溶媒蒸気吸着材18からなる溶媒回収部が配置され、装置内部の蒸気は該回収部を通って装置外部に排出される。
フィードローラ12は公知のローラが使用でき、被記録媒体に対するフィード能力が高まるように配置される。また被記録媒体P上には垢・紙粉等が付着していることがあるため、それらの除去を行うことが望ましい。フィードローラによって供給された被記録媒体Pは、ガイド13を経て、搬送ベルト7に搬送される。搬送ベルト7の裏面(好ましくは金属裏面)はローラ6Aを介して設置されている。搬送された被記録媒体は、静電吸着手段9により搬送ベルト上に静電吸着される。図1では、負の高圧電源に接続されたスコロトロン帯電器により静電吸着がなされる。静電吸着手段9により、被記録媒体9が搬送ベルト7上に浮き無く静電吸着されると共に、被記録媒体表面を均一帯電する。ここでは静電吸着手段を被記録媒体の帯電手段としても利用しているが、別途設けてもよい。帯電された被記録媒体Pは、搬送ベルト7によって吐出ヘッド部まで搬送され、帯電電位をバイアスとして記録信号電圧を重畳することにより静電インクジェット画像形成がなされる。画像形成された被記録媒体Pは、除電手段10により除電され、力学的手段11により搬送ベルト7により剥離されて定着部へ搬送される。剥離された被記録媒体Pは、画像定着手段14に送られ、定着がなされる。定着された被記録媒体Pは、ガイド15を通って図示されない排紙ストッカーに排紙される。また、該装置は、インク組成物から発生する溶媒蒸気の回収手段を有する。回収手段は溶媒蒸気吸収材18からなり、排気ファン17により機内の溶媒蒸気を含む気体が吸着材に導入され、蒸気が吸着回収された後、機外に排気される。該装置は、上記例に限定されず、ローラ、帯電器等の構成デバイスの数、形状、相対配置、帯電極性等は任意に選べる。また上記システムでは4色描画について記述しているが、淡色インクや特色インクと組み合わせて、より多色のシステムとしてもよい。
上記インクジェット印刷方法に使用されるインクジェット記録装置は、吐出ヘッド2、インク循環系3からなり、インク循環系3は、更にインクタンク、インク循環装置、インク濃度制御装置、インク温度管理装置等を有し、インクタンク内には撹拌装置を含んでいてもよい。
吐出ヘッド2としては、シングルチャンネルヘッド、マルチチャンネルヘッド、又はフルラインヘッドを使うことができ、搬送ベルト7の回転により主走査を行う。
本発明で好適に使用されるインクジェットヘッドは、インク流路内での荷電粒子を電気泳動させて開口付近のインク濃度を増加させ、吐出を行うインクジェット方法であり、主に被記録媒体又は被記録媒体背面に配置された対向電極に起因する静電吸引力によりインク滴の吐出を行うものである。従って、被記録媒体又は対向電極がヘッドに対向していない場合や、ヘッドと対向する位置にあっても被記録媒体又は対向電極に電圧が印加されていない場合には、誤って吐出電極に電圧が印加された場合や振動が与えられた場合でもインク滴の吐出は起こらず、装置内を汚すことはない。
上記インクジェット装置に好適に使用される吐出ヘッドを図2及び図3に示す。図2及び図3に示すように、インクジェットヘッド70は、一方向のインク流Qが形成されるインク流路72の上壁を構成する電気絶縁性の基板74と、インクを被記録媒体Pへ向けて吐出する複数の吐出部76とを有する。吐出部76には、いずれもインク流路72から飛翔するインク滴Gを被記録媒体Pへ向けて案内するインクガイド部78が設けられ、基板74には、インクガイド部78がそれぞれ挿通する開口75が形成されており、インクガイド部78と開口75の内壁面との間にはインクメニスカス42が形成されている。インクガイド部78と被記録媒体Pとのギャップdは200μm〜1000μm程度であることが好ましい。また、インクガイド部78は、下端側で支持棒部40に固定されている。
基板74は、2つの吐出電極を所定間隔で離して電気的に絶縁している絶縁層44と、絶縁層44の上側に形成された第1吐出電極46と、第1吐出電極46を覆う絶縁層48と、絶縁層48の上側に形成されたガード電極50と、ガード電極50を覆う絶縁層52とを有する。また、基板74は、絶縁層44の下側に形成された第2吐出電極56と、第2吐出電極56を覆う絶縁層58とを有する。ガード電極50は、第1吐出電極46や第2吐出電極56に印加された電圧によって隣接する吐出部に電界上の影響が生じることを防止するために設けられる。
更に、インクジェットヘッド70には、インク流路72の底面を構成すると共に、第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加されたパルス状の吐出電圧によって定常的に生じる誘導電圧により、インク流路72内の正に帯電したインク粒子(荷電粒子)Rを上方へ向けて(すなわち被記録媒体側に向けて)泳動させる浮遊導電板62が電気的浮遊状態で設けられている。また、浮遊導電板62の表面には、電気絶縁性である被覆膜64が形成されており、インクへの電荷注入等によりインクの物性や成分が不安定化することを防止する。絶縁性被覆膜の電気抵抗は、1012Ω・cm以上が好ましく、より望ましくは1013Ω・cm以上である。また、絶縁性被覆膜はインクに対して耐腐食性であることが望ましく、これにより、浮遊導電板62がインクに腐食されることが防止される。また、浮遊導電板62は下方から絶縁部材66で覆われており、このような構成により、浮遊導電板62は完全に電気的絶縁状態にされている。
浮遊導電板62は、ヘッド1ユニットにつき1個以上である(例えば、C、M、Y、Kの4つのヘッドがあった場合、浮遊導電板数は最低各1個ずつ有し、CとMのヘッドユニット間で共通の浮遊導電板とすることはない)。
図3に示すように、インクジェットヘッド70からインクを飛翔させて被記録媒体Pに記録するには、インク流路72内のインクを循環させることによりインク流Qを発生させた状態にし、ガード電極50に所定の電圧(例えば+100V)を印加する。更に、インクガイド部78に案内されて開口75から飛翔したインク滴G中の正の荷電粒子Rが被記録媒体Pにまで引きつけられるような飛翔電界が、第1吐出電極46及び第2吐出電極56と、被記録媒体Pとの間に形成されるように、第1吐出電極46、第2吐出電極56及び被記録媒体Pに正電圧を印加する(ギャップdが500μmである場合に、1kV〜3.0kV程度の電位差を形成することを目安とする)。
この状態で、画像信号に応じて第1吐出電極46及び第2吐出電極56にパルス電圧を印加すると、荷電粒子濃度が高められたインク滴Gが開口75から吐出する(例えば、初期の荷電粒子濃度が3〜15%である場合、インク滴Gの荷電粒子濃度が30%以上になる)。
その際、第1吐出電極46と第2吐出電極56の両者にパルス電圧が印加された場合にのみインク滴Gが吐出するように、第1吐出電極46と第2吐出電極56とに印加する電圧値を調整しておく。
このように、パルス状の正電圧を印加すると、開口75からインク滴Gがインクガイド部78に案内されて飛翔し、被記録媒体Pに付着すると共に、浮遊導電板62には、第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加された正電圧により正の誘導電圧が発生する。第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加される電圧がパルス状であっても、この誘導電圧はほぼ定常的な電圧である。従って、浮遊導電板62及びガード電極50と、被記録媒体Pとの間に形成される電界によって、インク流路72内で正に帯電している荷電粒子Rは上方へ移動する力を受け、基板74の近傍で荷電粒子Rの濃度が高くなる。図3に示すように、使用する吐出部(すなわちインク滴を吐出させるチャンネル)の個数が多い場合、吐出に必要な荷電粒子数が多くなるが、使用する第1吐出電極46及び第2吐出電極56の枚数が多くなるため、浮遊導電板62に誘起される誘導電圧は高くなり、被記録媒体側へ移動する荷電粒子Rの個数も増大する。
上記では、着色粒子が正荷電に帯電している例について説明したが、着色粒子は負荷電に帯電されていてもよい。その場合には、上記の帯電極性は、すべて逆極性となる。
なお、本発明においては、被記録媒体(インク受容層を有する支持体)へのインク吐出後、適切な加熱手段によりインクを定着する定着工程を行うことが好ましい。用いられる加熱手段としては、ヒートローラ、ヒートブロック、ベルト加熱等の接触式加熱装置、及びドライヤー、赤外線ランプ、可視光線ランプ、紫外線ランプ、温風式オーブン等の非接触式加熱装置を用いることができる。これらの加熱装置は、インクジェット記録装置と連続し、一体となっていることが好ましい。定着時の被記録媒体の温度は、定着の容易さから、40℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。また、定着の時間は、1マイクロ秒〜20秒の範囲内であることが好ましい。
[静電界を利用したインクジェット記録方式を用いる際のインク組成物の補充]
静電界を利用したインクジェット記録方式では、インク組成物中の荷電粒子が濃縮されて吐出する。従って、長時間インク組成物の吐出を行うと、インク組成物中の荷電粒子が減量し、インク組成物の電気伝導度が低下する。また、荷電粒子の電気伝導度とインク組成物の電気伝導度との割合が変化する。更に、吐出の際、粒径の小さな荷電粒子よりも大きな荷電粒子が優先して吐出する傾向にあるため、荷電粒子の平均直径が小さくなる。また、インク組成物中の固形物の含有量が変化するため、粘度も変化する。
これらの物性値の変化により、結果として、吐出不良を起こしたり、記録された画像の光学濃度の低下やインクのにじみが発生する。このため、当初インクタンクへ仕込んだインク組成物よりも、高濃度(固形分濃度の高い)のインク組成物を補充することにより、荷電粒子の減量を防止し、インク組成物の電気伝導度や、荷電粒子の電気伝導度とインク組成物の電気伝導度の割合を一定の範囲に留めることができる。また、粒径や粘度を維持することができる。更に、インク組成物の物性値を一定の範囲内に保つことにより、インク吐出が長時間安定して均一に行われる。この際の補充は、例えば、使用しているインク液の電気伝導度や光学濃度等の物性値を検出し、不足量を算出して、機械的又は人力で成されることが好ましい。また、画像データを基に使用するインク組成物の量を算出し、機械的又は人力で成されてもよい。
上記のような方法で、本発明におけるインク組成物による画像部が形成され、平版印刷版が得られる。得られた平版印刷版には、定着性に優れ、また、機械的強度が高い画像部が形成されていることから、印刷物を多数枚印刷することが可能となる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<重合造粒法において用いられる分散安定用樹脂(分散剤)[P−1]の合成>
オクタデシルメタクリレート95g、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシカルボニル)酪酸5g、及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下、温度75℃に加温した。重合開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(略称A.I.B.N.)1.5g加え4時間反応し、続けてA.I.B.N.を0.8g加えて温度80℃に加温し、4時間反応した。
反応混合物を25℃に冷却した後、攪拌下に、アリルアルコール7.5gを加えて、続けてジシクロヘキシルカルボジイミド(略称D.C.C.)10g、4−(N,N−ジエチルアミノ)ピリジン0.1g及び塩化メチレン30gの混合溶液を1時間で滴下した。更にこのまま3時間反応し、反応を完結させた。次に、この反応混合物に80%ギ酸を10g加え1時間攪拌した後、不溶物を濾別し、濾液をメタノール2.5リットル中に再沈した。沈澱物を濾集後、再びトルエン200gに溶解し、不溶分を濾別した後、濾液をメタノール1リットル中に再沈した。沈澱物を濾集し、乾燥した。
得られた重合体:分散安定用樹脂[P−1](下記構造)の収量は70gで、重量平均分子量(Mw)は5×10であった(G.P.C.によるポリスチレン換算値。以下同様)。
Figure 2008168593
<重合造粒法において用いられる分散安定用樹脂(分散剤)[P−2]の合成>
ドデシルメタクリレート45g、オクタデシルアクリレート45g、グリシジルメタクリレート10g及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら、温度75℃に加温した。A.I.B.N.を1.8g加えて4時間反応し、更にA.I.B.N.を0.5g加えて3時間、更にA.I.B.N.を0.3g加えて3時間反応した。次に、この反応溶液に3−アクリロイルオキシプロピオン酸12g、N,N−ジメチルドデシルアミン2.0g及びt−ブチルハイドロキノン0.5gを加え、温度100℃にて、10時間攪拌した。冷却後この反応溶液をメタノール2リットル中に再沈し、白色粉末を82g得た。得られた重合体(分散安定用樹脂[P−2]、下記構造)の重量平均分子量(Mw)は4×10であった。
Figure 2008168593
<重合造粒法において用いられる分散安定用樹脂(分散剤)[P−3]の合成>
トリデシルメタクリレート96g、11−メタクリルアミドウンデカン酸4g及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら、温度75℃に加温した。A.I.B.N.を1.0g加え4時間反応し、さらにA.I.B.N.を0.5g加えて3時間、さらにA.I.B.N.を0.3g加えて3時間反応した。温度40℃まで冷却し0.2gのハイドロキノンを添加した。さらに酢酸ビニル6.9g、酢酸水銀0.05gを加えて2時間反応させた。温度を再び70℃に上げ100%硫酸7.5×10−3mlを添加して、6時間反応した。反応後、反応液に0.04gの酢酸ナトリウム三水和物を添加してよく攪拌してから4.5リットルのメタノールに投入して再沈精製し、やや褐色を帯びた粘調物75gを得た。得られた重合体(分散安定用樹脂[P−3]、下記構造)の重量平均分子量(Mw)は5.3×10であった。
Figure 2008168593
<重合造粒法において用いられる分散安定用樹脂(分散剤)[P−4]の合成>
ヘキサデシルメタクリレート90g、下記構造の単量体(Y−1)10g及びイソデカン400gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加温した。攪拌下、2,2'−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称A.I.V.N.)1.5gを加えて4時間反応させた。続けてA.I.V.N.0.8gを加えて3時間、さらにA.I.V.N.を0.5g加えて3時間反応した。得られた溶液の固形分濃度は、19.9質量%であった。
得られた重合体(分散安定用樹脂[P−4]、下記構造)の重量平均分子量(Mw)は4×104 であった。
Figure 2008168593
<重合造粒法において用いられる分散安定用樹脂(分散剤)[P−5]の合成>
(マクロモノマー(MM)の製造例2:マクロモノマーMM−2)
ドデシルメタクリレート70g、オクタデシルアクリレート30g、チオエタノール5g及びトルエン250gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度75℃に加温した。A.I.B.N.を1.5g加え4時間反応した。更に、A.I.B.N.を0.5g加え3時間、その後、更にA.I.B.N.を0.3g加え3時間反応した。この反応溶液を、室温に冷却し、2−カルボキシエチルアクリレート18.2gを加え、これにジシクロヘキシルカルボジイミド(略称D.C.C.)を24g及び塩化メチレン150gの混合溶液を1時間で滴下した。t−ブチルハイドロキノン1.0gを加え、そのまま4時間撹拌した。
析出した結晶を濾別して得た濾液を、メタノール2リットル中に再沈した。沈澱した油状物をデカンテーションで捕集し、これを塩化メチレン150ccに溶解し、メタノール1リットル中に再度再沈した。油状物を捕集し、減圧乾燥して、収量72%で重量平均分子量1.3×104の重合体を得た。なお、構造はNMR、IRで同定した。
スチレン(0.05モル)、上記の方法で得られたマクロモノマーMM−2を(0.95モル)及びトルエン250gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度80℃に加温した。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(略称A.I.B.N.)を3.0g加え4時間反応した。更にA.I.B.N.を1.0g加えて2時間反応し、更にA.I.B.N.を0.5g加えて2時間反応した。冷却後、メタノール3.5リットル中にこの混合溶液を再沈し、粉末を濾集後、乾燥して、白色粉末を収率92%で得た。
得られた分散安定用樹脂[P−5]の重量平均分子量(Mwと略称する)は2.9×10であった。なお、構造はNMR、IRで同定した。
Figure 2008168593
<重合造粒法による特定粒子[A−1]の作製>
分散安定用樹脂[P−1]5g、メタクリル酸メチル47g、アクリル酸メチル47g、アクリル酸6g、及びアイソパーG212.5gの混合溶液を窒素流量30ml/min下攪拌しながら温度70℃に加温した。これにV−65:1.5gを添加し、そのまま2時間反応した。更に、V−65:1.0gを加え2時間反応した後、温度を85℃に上げ、更に窒素流量を5L/minに上げ、30分時間撹拌し、未反応のモノマー、開始剤を留去した。冷却後、200メッシュのナイロン布を通して白色分散物を得た。
白色分散物(特定粒子)[A−1]の体積平均粒径は1.2μmであった。
<重合造粒法による特定粒子[A−2]〜[A−10]の作製>
特定粒子[A−1]の作製において用いて、モノマー(メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸)、分散安定用樹脂[P−1]の代わりに、下記表1に示すモノマー及び分散安定用樹脂をそれぞれ用いた他は、特定粒子[A−1]と同様にして特定粒子[A−2]〜[A−10]を作製した。
表1に示すように、特定粒子[A−1]〜[A−10]の体積平均粒径は0.9〜1.3μmの範囲内であり、且つ単分散性も良好であった。
<重合造粒法による特定粒子[Z−1]の作製>
特定粒子[A−1]の作製において用いて、分散安定用樹脂P−5に変更した以外は、特定粒子[A−1]と同様にして特定粒子[Z−1]を作製した。
Figure 2008168593
<特定共重合体(ii−23)の合成>
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1L三口フラスコに1-メチル−2−ピロリドン、120g入れ、窒素気流下80℃まで加熱した。ホスマ−PE(ユニケミカル(株)製)33g、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸65g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6g、V−601(和光純薬(株)製)0.73g、1-メチル−2−ピロリドン120gの溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌した。窒素を止め、室温まで反応溶液を冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート25g、p−メトキシフェノール0.3g、ジブチル錫ジラウレート0.6gを入れ、60℃で加熱攪拌を行った。6時間後、メタノール50gを投入し、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを失活させて室温まで反応溶液を冷却した。
高分子反応により二重結合が側鎖に導入されたことは1H-NMRスペクトルにより確認された。
得られた特定共重合体(ii−23)を、ポリアクリル酸を標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により重量平均分子量を測定した結果、2万であった。
<特定共重合体(ii−24)の合成>
対応するモノマーおよび1-メチル−2−ピロリドンの代わりにテトラメチルウレアを用いた以外は特定共重合体(ii−23)と同様の方法で特定共重合体(ii−24)の合成を行った。
得られた特定共重合体(ii−24)の重量平均分子量を測定した結果、2.5万であった。
<特定共重合体(ii−25)の合成>
対応するモノマーおよび1-メチル−2−ピロリドンの代わりに1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノンを用いた以外は特定共重合体(ii−23)と同様の方法で特定共重合体(ii−24)の合成を行った。
得られた特定共重合体(ii−25)の重量平均分子量を測定した結果、1.5万であった。
<特定共重合体(ii−26)〜(ii−29)の合成>
対応するモノマーを使用した以外は、特定共重合体(ii−23)の合成と同様の方法で特定共重合体(ii−26)〜(ii−29)の合成を行った。
得られた特定共重合体ii−26)〜(ii−29)の重量平均分子量を測定した結果、それぞれ、1万、1.8万、2万、1.8万であった。
<特定共重合体(ii−30)の合成>
対応するモノマーおよび2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの代わりに2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いた以外は特定共重合体(ii−23)と同様の方法で特定共重合体(ii−30)の合成を行った。
得られた特定共重合体(ii−30)の重量平均分子量を測定した結果、2.5万であった。
<特定共重合体(ii−2)の合成>
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1L三口フラスコに1−メチル−2−ピロリドン、120g入れ、窒素気流下80℃まで加熱した。ホスマ−PE(ユニケミカル(株)製)33g、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸56g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12g、V−601(和光純薬工業(株)製)0.73g、1−メチル−2−ピロリドン120gの溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌した。窒素を止め、室温まで反応溶液を冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート35g、p−メトキシフェノール0.5g、ジブチル錫ジラウレート0.8gを入れ、60℃で加熱攪拌を行った。6時間後、メタノール80gを投入し、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを失活させた。室温まで反応溶液を冷却した後、10質量%重曹水を投入した。30分攪拌後、THF3L中に投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取、洗浄、乾燥し特定共重合体(ii−2)を110g得た。
高分子反応により二重結合が側鎖に導入されたことはH−NMRスペクトルにより確認された。
得られた特定共重合体(ii−2)を、ポリアクリル酸を標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により重量平均分子量を測定した結果、2.2万であった。
なお、上記で得られた特定共重合体(ii−2)、(ii−23)、(ii−24)(ii−25)(ii−26)〜(ii−29)は、インク受容層に含有しうる反応性基含有ポリマーBの具体例として先に例示したものである。
[実施例1]
〔インク組成物(A−1)の作製〕
上記のようにして得られた特定粒子(A−1)を含有する分散液を、アイソパーGを用いて、特定粒子(A−1)の固形分量が50gとなり、且つ、特定粒子(A−1)を20質量%含有する分散液となるように希釈し、そこに、ビクトリアピュアブルーを5g加えて、50℃で4時間反応させた。反応終了後、4μmのフィルター濾過を行うことにより、インク組成物(A−1)を得た。なお、このインクは青色着色インクである。
〔ピエゾ方式による平版印刷版の作製〕
<支持体の作製>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 050材のアルミニウム板を得た。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)機械的粗面化処理
図4に示したような装置を使って、比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図4において、101はアルミニウム板、102及び104はローラ状ブラシ、103は研磨スラリー液、105、106、107及び108は支持ローラである。研磨剤の平均粒径は40μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は図5に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図6に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.25g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は図5に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図6に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
図7に示す構造の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行い、平版印刷版用支持体を得た。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
以上により得られた平版印刷版用支持体の中心線平均粗さは0.55μm、大波の平均波長は65μm、中波の平均開口径は1.4μm、小波の平均開口径は0.14μm、小波の平均開口径に対する深さの比が0.46であった。
<インク受容層(反応性基含有ポリマー層)の形成>
上記で作製した支持体上に下記インク受容層用塗布液(1)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量が10mg/m2のインク受容層(反応性基含有ポリマー層)を形成した。以上のようにして、平版印刷用支持体を得た。
−インク受容層用塗布液(1)−
・反応性基含有ポリマーB: 特定共重合体(ii−23) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
〔ピエゾ方式のインクジェット記録方法による画像形成〕
インク組成物(A−1)を、セイコーエプソン(株)製PX−G920を用いて、上記にて得られた平版印刷用支持体上にインクジェット記録した後、110℃オーブンで20秒間加熱して定着を行い平版印刷版を得た。
〔評価〕
得られた平版印刷版を用いて、下記のように画像部の耐刷性及び非画像部の耐汚れ性について評価を行った。
(細線耐刷性強制試験)
得られた印刷版を、印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ(株)社製グラフG(N)を使用して、印刷を行った。印刷開始から5,000枚目に富士写真フイルム(株)製PSプレートクリーナーCL−2を印刷用スポンジにしみこませ、細線部を拭き、版面のインキを洗浄した。
その後、画像部細線(10μm)の印刷物を観察し、画像がかすれ始めた枚数によって細線耐刷性を相対比較した。
評価結果は、実施例2−1を基準(100)とした耐刷指数で表した。この耐刷指数は数字が大きいほど高耐刷であり好ましい。
結果を表2に示す。
(非画像部の耐汚れ性)
得られた平版印刷版を用い、三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケットの汚れを目視で評価した。
評価基準は、汚れていなかったものを○、顕著に汚れていたものを×とした。
結果を表2に示す。
〔静電方式のインクジェット記録方法による平版印刷版の作製〕
インク組成物(A−1)を用い、以下の静電方式のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により、ピエゾ方式で用いたものと同じ平版印刷用支持体上に画像形成を行い、平版印刷版を得た。
−静電方式のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法−
図1〜3に示すインクジェット記録装置に、得られたインク組成物をインクタンクに充填した。ここでは吐出ヘッドとして図2に示すタイプの150dpi(チャンネル密度50dpiの3列千鳥配置)、833チャンネルヘッドを使用し、また定着手段として1kWのヒータを内蔵したシリコンゴム性ヒートローラを使用した。インク温度管理手段として投げ込みヒータと攪拌羽をインクタンク内に設け、インク温度は30℃に設定し、攪拌羽を30rpmで回転しながらサーモスタットで温度コントロールした。ここで攪拌羽は沈澱・凝集防止用の攪拌手段としても使用した。またインク流路を一部透明とし、それを挟んでLED発光素子と光検知素子を配置し、その出力シグナルによりインクの希釈液(アイソパーG)或いは濃縮インク(上記インク組成物の固形分濃度を2倍に調整したもの)投入による濃度管理を行った。被記録媒体(インク受容層を有する支持体)としてオフセット印刷用微コート紙を使用した。エアーポンプ吸引により被記録媒体表面の埃除去を行った後、吐出ヘッドを画像形成位置まで被記録媒体に近づけ、記録すべき画像データを画像データ演算制御部に伝送し、搬送ベルトの回転により被記録媒体を搬送させながら吐出ヘッドを逐次移動しながらインク組成物を吐出して2400dpiの描画解像力で画像を形成した。搬送ベルトとして、金属ベルトとポリイミドフィルムを張り合わせたものを使用し、このベルトの片端付近に搬送方向に沿ってライン状のマーカーを配置し、これを搬送ベルト位置検知手段で光学的に読みとり、位置制御手段を駆動して画像形成を行った。この際、光学的ギャップ検出装置による出力により吐出ヘッドと被記録媒体の距離は0.5mmに保った。また吐出の際には被記録媒体の表面電位を−1.5kVとしておき、吐出をおこなう際には+500Vのパルス電圧を印加し(パルス巾50μsec)、15kHzの駆動周波数で被記録媒体に画像形成を行った。その後、120℃のオーブンで20秒間加熱し、画像を定着させた。
〔評価〕
得られた平版印刷版について、実施例1と同様の評価方法により、「画像部の耐刷性」及び「非画像部の耐予後例性」について評価した。また、本実施例については、下記の方法で、インク組成物の応答電圧についても評価した。
評価結果を表3に示す。
(応答電圧の評価)
インク組成物を、上記の静電方式のインクジェット記録装置に適用し、印加電圧を変えてインクジェット記録した。なお、印加電圧が低いほど、インク組成物の電圧に対する応答性が良好なことを示す。
[実施例2〜10、比較例1、2]
〔インク組成物(A−2)、(A−3)及び(Z−1)の作製〕
インク組成物(A−1)の作製において、使用した特定粒子(A−1)を、特定粒子(A−2)、(A−3)及び(Z−1)に、それぞれ代えた他は、インク組成物(A−1)と同様の方法で、インク組成物(A−2)、(A−3)及び(Z−1)を得た。
〔インク組成物(A−4)の作製〕
特定粒子(A−4)を含有する分散液を、特定粒子(A−1)と同様の操作で着色した後、重合開始剤としてV−601を0.05g添加し、インク組成物(A−4)を得た。
〔インク組成物(A−5)〜(A−10)の作製〕
インク組成物(A−4)の作製において、使用した特定粒子(A−4)を、特定粒子(A−5)〜(A−10)に、それぞれ代えた他は、インク組成物(A−4)と同様の方法で、インク組成物(A−5)〜(A−10)を得た。
〔ピエゾ方式のインクジェット記録方法による平版印刷版の作製〕
実施例2〜10については、実施例1において画像記録に用いたインク組成物、及び、平版印刷用支持体のインク受容層(反応性基含有ポリマー層)に用いた反応性基含有ポリマーBを、表2に記載のものに代えた以外は、ピエゾ方式のインクジェット記録方法により、実施例1と同様にして平版印刷版を作製し、評価した。
比較例1については、実施例1において用いたインク組成物(A−1)を、インク組成物(Z−1)に代え、更に、平版印刷用支持体のインク受容層(反応性基含有ポリマー層)を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、ピエゾ方式のインクジェット記録方法により平版印刷版を作製し、評価した。
比較例2については、実施例1において用いたインク組成物(A−1)を、インク組成物(Z−1)に代えた以外は、ピエゾ方式のインクジェット記録方法により、実施例1と同様にして平版印刷版を作製し、評価した。
結果を表2に示す。
〔静電方式のインクジェット記録方法による平版印刷版の作製〕
実施例2〜10については、実施例1において画像記録に用いたインク組成物、及び、平版印刷用支持体のインク受容層(反応性基含有ポリマー層)に用いた反応性基含有ポリマーBを、表3に記載のものに代えた以外は、静電方式のインクジェット記録方法により、実施例1と同様にして平版印刷版を作製し、評価した。
比較例1については、実施例1において用いたインク組成物(A−1)を、インク組成物(Z−1)に代え、更に、平版印刷用支持体のインク受容層(反応性基含有ポリマー層)を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、静電方式のインクジェット記録方法により平版印刷版を作製し、評価した。
比較例2については、実施例1において用いたインク組成物(A−1)を、インク組成物(Z−1)に代えた以外は、静電方式のインクジェット記録方法により、実施例1と同様にして平版印刷版を作製し、評価した。
結果を表3に示す。
Figure 2008168593
表2に明らかなように、本発明におけるインク組成物を用い、ピエゾ方式のインクジェット記録方法を適用した本発明の平版印刷版の製造方法により作製された平版印刷版は、比較例で作製された平版印刷版と比べて、画像部の耐刷性に優れた平版印刷版であり、非画像部の耐汚れ性についても優れていることが分かる。
Figure 2008168593
表3に明らかなように、本発明におけるインク組成物を用い、静電方式のインクジェット記録方法を適用した本発明の平版印刷版の製造方法により作製された平版印刷版は、比較例で作製された平版印刷版と比べて、画像部の耐刷性に優れた平版印刷版であり、非画像部の耐汚れ性についても優れていることが分かる。また、本発明におけるインク組成物は、静電方式のインクジェット記録方法に適用された場合に、電圧に対する応答性が良好なことも分かる。
本発明におけるインク組成物に好適なインクジェット印刷装置の一例を模式的に示す全体構成図である。 本発明におけるインクジェット記録装置のインクジェットヘッドの構成を示す斜視図である(判りやすくするために、各吐出部でのガード電極のエッジは描いていない)。 図2に示す、インクジェットヘッドの吐出部の使用数が多いときの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である(図2の矢視X−Xに相当)。 本発明に係る平版印刷版用支持体の作製における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。 本発明に係る平版印刷版用支持体の作製における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。 本発明に係る平版印刷版用支持体の作製における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。 本発明に係る平版印刷版用支持体の作製における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。
符号の説明
G 飛翔したインク滴
P 被記録媒体(インク受容層を有する支持体)
Q インク流
R 荷電粒子
1 インクジェット記録装置
2、2Y、2M、2C、2K 吐出ヘッド
3 インク循環系
4 ヘッドドライバ
5 位置制御手段
6A、6B、6C 搬送ベルト張架ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ベルト位置検知手段
9 静電吸着手段
10 除電手段
11 力学的手段
12 フィードローラ
13 ガイド
14 画像定着手段
15 ガイド
16 記録媒体位置検知手段
17 排出ファン
18 溶媒蒸気吸着材
38 インクガイド
40 支持棒部
42 インクメニスカス
44 絶縁層
46 第1吐出電極
48 絶縁層
50 ガード電極
52 絶縁層
56 第2吐出電極
58 絶縁層
62 浮遊導電板
64 被覆膜
66 絶縁部材
70 インクジェットヘッド
72 インク流路
74 基板
75、75A、75B 開口
76、76A、76B 吐出部
78 吐出部
101 アルミニウム板
102、104 ローラ状ブラシ
103 研磨スラリー液
105、106、107、108 支持ローラ
111 アルミニウム板
112 ラジアルドラムローラ
113a、113b 主極
114 電解処理液
115 電解液供給口
116 スリット
117 電解液通路
118 補助陽極
119a、119b サイリスタ
120 交流電源
121 主電解槽
122 補助陽極槽
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
414 電解処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 給電電極
422、428 ローラ
424 ニップローラ
430 電解電極
432 槽壁
434 直流電源

Claims (5)

  1. 熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマーを含有するインク受容層を有する支持体上に、インクジェット記録方法により、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基を有するポリマーを含む非水溶媒系分散樹脂粒子を含有するインクジェット記録用インク組成物を用いて画像描画する工程を含むことを特徴とする平版印刷版の作製方法。
  2. 前記熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基が、エチレン性不飽和結合基であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の作製方法。
  3. 前記インク受容層に含有されるポリマーが有する、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基が、アミノ基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基から選択される基であり、前記非水溶媒系分散樹脂粒子に含まれるポリマーが有する、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基が、イソシアナート基、及びブロックイソシアナート基から選択される基であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の作製方法。
  4. 前記インク受容層に含有されるポリマーが有する、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基が、アミノ基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基、酸無水物を含む基、イソシアナート基、及びブロックイソシアナート基から選択される基であり、前記非水溶媒系分散樹脂粒子に含まれるポリマーが有する、熱、光又はこれら両方により反応可能な官能基がエポキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の作製方法。
  5. 前記インクジェット記録方法が静電方式であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
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WO2009157271A1 (ja) 2008-06-27 2009-12-30 シャープ株式会社 液晶表示装置
JP2011195625A (ja) * 2010-03-17 2011-10-06 Fujifilm Corp インク組成物およびインクセット、並びに画像形成方法

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