JP2008044278A - 平版印刷版の作製方法、及びそれを用いた平版印刷版 - Google Patents

平版印刷版の作製方法、及びそれを用いた平版印刷版 Download PDF

Info

Publication number
JP2008044278A
JP2008044278A JP2006223445A JP2006223445A JP2008044278A JP 2008044278 A JP2008044278 A JP 2008044278A JP 2006223445 A JP2006223445 A JP 2006223445A JP 2006223445 A JP2006223445 A JP 2006223445A JP 2008044278 A JP2008044278 A JP 2008044278A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
ink
acid
lithographic printing
printing plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006223445A
Other languages
English (en)
Inventor
Masako Imai
真佐子 今井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2006223445A priority Critical patent/JP2008044278A/ja
Publication of JP2008044278A publication Critical patent/JP2008044278A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)

Abstract

【課題】インクジェット記録方式により画像部の耐刷性、消去性に優れる平版印刷版の作製方法を提供する。また、本発明のさらなる目的は、インクジェット記録方式により画像部の耐刷性、消去性に優れた平版印刷版の作製方法を用いて作製した平版印刷版を提供する。
【解決手段】(a)親水化処理を施した支持体上に塩基性基を有する化合物を含むインク受容層を設けてなる被記録媒体に、酸基を有する高分子化合物を含む非水系分散樹脂粒子を含有するインク組成物を吐出する工程と、(b)吐出された該インク組成物を定着させる工程と、を含むことを特徴とする平版印刷版の作製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版の作製方法、及びそれを用いた平版印刷版に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法としては、これまでに電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などが知られている。これらのうち電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とするため、システムが複雑であり、装置も高価である。熱転写方式は、電子写真方式に比べて装置自体は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ廃材が生じるなど問題がある。一方、インクジェット方式は、安価な装置で、かつ必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率よく使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。よって、最近急速に普及している記録方法である。
このようなインクジェット記録方法としては、静電誘引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる静電方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるドロップ・オン・デマンド方式(ピエゾ方式)、更には高熱によって気泡を形成し、成長させることによって生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるバブル(サーマル)ジェット方式等の各種が提案されており、これらの方式によりきわめて高精細な画像を得ることができる。
一方、従来の平版印刷版は下記のようにして得られる。
すなわち、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版を、リスフィルム等の原画を通した露光を行った後、画像部の画像記録層を残存させ、非画像部の画像記録層をアルカリ性現像液又は有機溶剤によって溶解して除去することで親水性支持体表面を露出させる方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
しかし、従来の平版印刷版原版の製版工程では、露光後、非画像部を現像液等によって溶解除去する工程が必要となるが、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな課題となっており、上記課題の解決の要請が強くなってきている。
そこで、近年、コンピューター等で作製された画像データ信号に基づき、上記のインクジェット記録方式を用いてアルミ板、プラスチックフィルム等の支持体に画像を直接形成して、インクジェット記録型CTPを作製し、これを湿式処理を行わずに印刷機のシリンダーに取り付けて印刷を行うことが可能であるという技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
このようなインクジェット記録型CTP用インクとしては、水性インク、油性インクが一般に用いられている。
しかしながら、水性インクはインクの気泡性が高く、インクヘッドの吐出安定性に懸念が残ることに加えて、親水性支持体に画像描画した際に、版材上の画像に滲みを生じたり、乾燥が遅いために画像描画速度が低下するという問題がある。
一方、油性インクは、親水性支持体との組みあわせることにより、滲みの少ない画像が得られる。また、UVインクに見られるようなヘッド部の硬化及び詰まりを発生させることもなく、更に、低粘度のインクが得られるため、ヘッド内部でのインク循環適性やランニング適性に優れる。また、高解像度な画像を可能とする微小インク滴を吐出させることができるため、画像再現性に優れる。
しかし、インクジェット記録方式で平版印刷版を作製するに際して、支持体上に何らの塗膜を形成しない場合には、輸送や取り扱い時に支持体表面にキズが付き、その傷に起因して汚れが発生する懸念がある。
さらに、支持体上に何らの塗膜を設けず、インク組成物により画像部を形成して作製した平版印刷版では、作製後に画像部の不要部分を消去するに際し、通常の消去液では容易に除去されず、消去性に劣るという問題もあった。
特開平5−204138号公報 特開平4−69244号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、インクジェット記録方式により画像部の耐刷性、消去性に優れる平版印刷版の作製方法を提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、インクジェット記録方式により画像部の耐刷性、消去性に優れた平版印刷版の作製方法を用いて作製した平版印刷版を提供することにある。
本発明の目的は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、以下の平版印刷版の作製方法により達成された。
<1> (a)親水化処理を施した支持体上に塩基性基を有する化合物を含むインク受容層を設けてなる被記録媒体に、酸基を有する高分子化合物を含む非水系分散樹脂粒子を含有するインク組成物を吐出する工程と、(b)吐出された該インク組成物を定着させる工程と、を含むことを特徴とする平版印刷版の作製方法。
<2> 前記インク組成物が体積平均粒径0.8μm以上5.0μm以下の非水系分散樹脂粒子を含有することを特徴とする<1>に記載の平版印刷版の作製方法。
<3> 前記インク組成物を吐出する工程が、静電方式のインクジェット記録方法により行われることを特徴とする<1>に記載の平版印刷版の作製方法。
<4> <1>乃至<3>のいずれか1つに記載の作製方法で作製された平版印刷版。
本発明の作用機構は定かではないが、以下のように推測される。
本発明の平版印刷版の作製方法では、親水性支持体上に塩基性化合物を含有するインク受容層を有する被記録媒体と酸性基を有する化合物を含有するインク組成物とを用いるため、インク受容層上でインクの滲みがなく、インク組成物からなる画像形成と支持体との高い密着性が達成され、耐刷性に優れた画像部が形成される。さらに、塩基性化合物を含有するインク受容層は、酸性の消去液に対して溶解性が高いため、消去液により、その表面に形成された画像部分ごと速やかに除去され、消去性に優れ、また、消去液の付着した部分では、支持体の親水化した表面が露出し、耐汚れ性に優れた高画質の画像が形成されるものと考えられる。
本発明によれば、インクジェット記録方式により画像部の耐刷性、消去性に優れる平版印刷版の作製方法を提供することができる。
また、インクジェット記録方式により画像部の耐刷性、消去性に優れた平版印刷版の作製方法を用いて作製した平版印刷版を提供することができる。
以下、本発明について説明する。
≪平版印刷版の作製方法≫
本発明の平版印刷版の作製方法は、(a)親水化処理を施した支持体上に塩基性基を有する化合物を含むインク受容層を設けてなる被記録媒体に、酸基を有する高分子化合物を含む非水系分散樹脂粒子を含有するインク組成物を吐出する工程と、(b)吐出された該インク組成物を定着させる工程と、を含むことを特徴とする。
以下、上記(a)及び(b)の工程について順次説明する。
<(a)親水化処理を施した支持体上に塩基性基を有する化合物を含むインク受容層を設けてなる被記録媒体に、酸基を有する高分子化合物を含む非水系分散樹脂粒子を含有するインク組成物を吐出する工程>
本発明は、親水化処理を施した支持体上に塩基性基を有する化合物を含むインク受容層を設けてなる被記録媒体に、酸基を有する高分子化合物を含む非水系分散樹脂粒子を含有するインク組成物を吐出する工程(以下、適宜、「(a)工程」と称する)を有する。
この工程の中で、前記インク組成物を吐出する工程が静電方法のインクジェット記録方法により行われることが好ましい態様である。
以下に、(a)工程で用いる被記録媒体、及びインク組成物について記載する。
〔被記録媒体〕
本発明の被記録媒体は、親水化処理を施した支持体上に、少なくとも一種の塩基性基を有する化合物を含有するインク受容層を設けてなることを特徴とするものであり、インクジェット記録により平版印刷版を作製する場合に好適に使用することができる。
[塩基性基を有する化合物を含有するインク受容層]
(インク受容層の形成工程)
まず、インク受容層の形成工程について説明する。
以下に記載の塩基性基を有する化合物を用いてインク受像層を形成する方法としては、公知の方法を任意に適用することができる。
例えば、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノールなどから選択される有機溶剤、もしくは、それらのうち任意の2種以上を含む混合溶剤に、前記塩基性基を有する化合物を、好ましくは、0.005〜10質量%の濃度で溶解させ、得られた溶液を支持体上に塗布、乾燥することによりインク受容層を設ける方法などが挙げられる。また、他のインク受容層形成方法としては、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布などが挙げられる。
インク受容層の好ましい膜厚は、乾燥後の塗布量で1mg/m〜500mg/mが好ましく、さらに好ましくは2mg/m〜250mg/mの範囲である。
(インク受容層)
本発明における被記録媒体は、インクジェット記録方式による平版印刷版の支持体として用いられるため、インク受容層は、インク組成物が適用されない領域では、印刷時の汚れ発生防止の観点から、高い親水性表面を有することが必要である。
本発明に係るインク受容層には、塩基性基を有する化合物を少なくとも一種含むことを要するが、さらに、表面親水性の観点からは、親水性基を有する化合物も含有することが好ましい。このような化合物は皮膜形成が可能であるという点で、重合性化合物であることが好ましく、これが重合して得られる重合体も好ましく用いることができる。
本発明に係るインク受容層に含まれる化合物に導入可能な塩基性基としては、有機塩基性基であることがこの好ましい。
有機塩基性基としては、アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられる。
塩基性基を含む化合物をインク受容層中に導入するためには、塩基性基を有する重合性化合物(モノマー)を共重合成分として含む重合性化合物を用いる方法、塩基性基を有する重合性化合物を用いる方法、重合性化合物を合成し、その後、塩基性基を導入する方法などが挙げられる。これらの方法により得られた塩基性基を有する重合性化合物を親水性支持体表面に塗布、乾燥することで、塩基性基を有する化合物を含有するインク受容層を形成することができる。
本発明のインク受容層形成に使用しうる塩基モノマーとしては、例えば、アミノアルキル(メタ)アクリレート及び/又はN−アミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば具体的にはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。N−アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、同様に使用しうる塩基性基を含むモノマーとしては、以下に示すようなものが挙げられる。なお、下記構造においてRは水素原子又はメチル基を表し、そのいずれの場合にも、本発明で好ましく使用することができる。
Figure 2008044278
これらの構造単位(モノマー)を共重合成分として含むことで塩基性基を有する重合体(ポリマー)を得ることができる。
このような重合体の重量平均分子量としては、500〜150,000の範囲が好ましく、700〜100,000の範囲がより好ましい。なお、この分子量は、GPC法(ポリスチレン換算)により測定した値を示す。
以下に、本発明に係るインク受容層を形成するために好適に使用することができる、上記構造単位由来の塩基性基を有する重合体の具体例〔例示化合物(L−1)〜(L−10)〕を、その重量平均分子量(Mw)とともに挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2008044278
Figure 2008044278
〔親水化処理を施した支持体〕
次に、上記インク受容層を形成する親水化処理を施した支持体について説明する。
本発明においては、親水化処理を施した支持体上に、前記インク受容層を設けて、被記録媒体を得る。
後述する平版印刷版を得ようとする場合、親水化処理を施した支持体表面のインク受容層表面にインク組成物を適用して疎水性画像を形成する。これにより、インク付着部分が印刷インクを受容する画像部となり、親水性支持体が露出する領域が湿し水を受容する非画像部となる。
以下に、親水化処理方法及び支持体について記載する。
[親水化処理方法]
支持体の基材として好ましく用いることができるアルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すことが好ましい。この表面処理により、親水性の向上及び画像記録層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、アルミニウムの圧延段階において凹凸を設けたロールで凹凸形状を転写する転写法も用いてもかまわない。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流又は直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であることが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/mであることが好ましく、1.5〜4.0g/mであることがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られるので好ましい。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ、陽極酸化皮膜を有する基板をそのまま用いてもよいが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、などを一層改良するため、必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。もちろんこれら拡大処理、封孔処理は、これらに記載のものに限られたものではなく従来公知の何れの方法も行うことができる。
(封孔処理)
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理及び熱水による封孔処理が好ましい。以下にそれぞれ説明する。
−無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理−
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理に用いられる無機フッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸アンモニウム、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムが挙げられる。なかでも、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸が好ましい。
水溶液中の無機フッ素化合物の濃度は、陽極酸化皮膜のマイクロポアの封孔を十分に行う点で、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、また、耐汚れ性の点で、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液は、更に、リン酸塩化合物を含有することが好ましい。リン酸塩化合物を含有すると、陽極酸化皮膜の表面の親水性が向上するため、機上現像性及び耐汚れ性を向上させることができるので好ましい。
リン酸塩化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属のリン酸塩が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。なかでも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
無機フッ素化合物とリン酸塩化合物の組み合わせは、特に限定されないが、水溶液が、無機フッ素化合物として、少なくともフッ化ジルコン酸ナトリウムを含有し、リン酸塩化合物として、少なくともリン酸二水素ナトリウムを含有することが好ましい。
水溶液中のリン酸塩化合物の濃度は、機上現像性及び耐汚れ性の向上の点で、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、また、溶解性の点で、20質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
水溶液中の各化合物の割合は、特に限定されないが、無機フッ素化合物とリン酸塩化合物の質量比が、1/200〜10/1であることが好ましく、1/30〜2/1であることがより好ましい。
また、水溶液の温度は、20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、また、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
また、水溶液は、pH1以上であることが好ましく、pH2以上であることがより好ましく、また、pH11以下であることが好ましく、pH5以下であることがより好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理の方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。これらは単独で1回又は複数回用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、浸漬法が好ましい。浸漬法を用いて処理する場合、処理時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
−水蒸気による封孔処理−
水蒸気による封孔処理は、例えば、加圧又は常圧の水蒸気を連続的に又は非連続的に、陽極酸化皮膜に接触させる方法が挙げられる。
水蒸気の温度は、80℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、また、105℃以下であることが好ましい。
水蒸気の圧力は、(大気圧−50mmAq)から(大気圧+300mmAq)までの範囲(1.008×10〜1.043×10Pa)であることが好ましい。
また、水蒸気を接触させる時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
−熱水による封孔処理−
水蒸気による封孔処理は、例えば、陽極酸化皮膜を形成させたアルミニウム板を熱水に浸漬させる方法が挙げられる。
熱水は、無機塩(例えば、リン酸塩)又は有機塩を含有していてもよい。
熱水の温度は、80℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、また、100℃以下であることが好ましい。
また、熱水に浸漬させる時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
本発明においては、このような支持体基材に親水化処理を施して支持体を作製する。ここで支持体形成に用いられる親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートによる処理方法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウムなどの水溶液で浸漬処理し、又は電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが挙げられる。
本発明において、支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであることが好ましい。この範囲であると、画像記録層との良好な密着性が得られるため、インク受容層上で画像滲みが低減し、良好な耐刷性と良好な汚れ難さが得られるので好ましい。
[支持体]
ここで用いられる支持体の基材としては、特に限定されず、寸度的に安定な板状の支持体であればいずれも使用することができる。本発明では、得られる印刷物の画質を考慮して、表面に親水化処理を施した支持体を用いる。
支持体の基材に用いるうる材料としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。なかでも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上作製が困難であるので、わずかに異元素を含有するものであってもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知の素材のものを適宜利用することができる。
支持体の厚さは0.1〜0.6mmであることが好ましく、0.15〜0.4mmであることがより好ましい。
〔インク組成物〕
本発明に用いるインク組成物は、酸基を有する化合物を含有した非水系分散樹脂粒子(以下、適宜、「特定粒子」と称する)を含有することを特徴とし、分散媒を含有することが好ましい。
以下に、インク組成物の吐出方法、分散媒、特定粒子について具体的に記載する。
[インク組成物を吐出する方法]
本発明におけるインク組成物は、ピエゾ方式、静電方式のいずれのインクジェット記録方法にも適用可能であるが、滲みが抑制され、高画像を得るころができるという観点から静電方式であることが好ましい。
インク組成物を吐出する方法の一つとして挙げられるピエゾ方式には、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるドロップ・オン・デマンド方式(ピエゾ方式)、更には、高熱によって気泡を形成し、成長させることによって生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるバブル(サーマル)ジェット方式等の各種インクジェット記録方式のいずれも制限なく使用でき、市販のインクジェット記録装置を利用できる。
また、本発明において好ましい態様である静電方式では、静電界を利用したインクジェット記録装置にも好適に用いられる。静電界を利用するインクジェット記録方式は、制御電極と被記録媒体背面の背面電極間に電圧を印加することにより、インク組成物の荷電粒子を静電力によって吐出位置に濃縮し、吐出位置から被記録媒体へ飛翔させる方式である。制御電極と背面電極間に印加する電圧は、例えば、荷電粒子が正の場合、制御電極が正極であり背面電極が負極となる。背面電極へ電圧を印加する代わりに本発明におけるインクジェット用被記録媒体に帯電を行っても同様の効果が得られる。
また、インク組成物を飛翔させる方式として、例えば、注射針のようなニードル状の先端からインクを飛翔させる方式があり、この方式に、本発明におけるインク組成物を適用することができる。ただし、荷電粒子を濃縮・吐出した後の荷電粒子の補給が難しく安定に長期間の記録を行うことが難しい。荷電粒子を強制的に供給するため、インクを循環させる場合には、注射針先端からインクを溢れさせる方法になるため、吐出位置である注射針先端のメニスカス形状が安定せず、安定な記録を行うことが困難であり、短期間の記録に適している。
一方、吐出開口部からインク組成物を溢れさせることなく、インク組成物を循環させる方法が好ましく用いられる。例えば、吐出開口を有するインク室内にインクが循環されており、吐出開口周縁に形成された制御電極に電圧を印加することによって、吐出開口中に存在しており先端が被記録媒体側に向いたインクガイドの先端から、濃縮されたインク滴が飛翔する方法では、インクの循環による荷電粒子の補給と、吐出位置のメニスカス安定性を両立することができるため、長期間安定に記録を行うことができる。更に、本方式ではインク組成物が外気と接する部分が吐出開口部だけと非常に少ないため、溶媒の蒸発を抑え、インク物性が安定化するため、本発明において好適に使用することができる。
本発明におけるインク組成物を適用するに適したインクジェット記録装置の構成例を以下に示す。
まずは、図1に示す被記録媒体に片面4色印刷を行う装置の概要について説明する。
図1に示されるインクジェット記録装置1は、フルカラー画像形成を行うための4色分の吐出ヘッド2C、2M、2Y及び2Kから構成される吐出ヘッド2にインクを供給し、更に吐出ヘッド2からインクを回収するインク循環系3、図示されないコンピューター、RIP等の外部機器からの出力により吐出ヘッド2を駆動させるヘッドドライバ4、位置制御手段5を備える。またインクジェット記録装置1は、3つのローラ6A、6B、6Cに張架された搬送ベルト7、搬送ベルト7の幅方向の位置を検知可能な光学センサなどで構成された搬送ベルト位置検知手段8、被記録媒体Pを搬送ベルト上に保持するための静電吸着手段9、画像形成終了後に被記録媒体Pを搬送ベルト7から剥離するための除電手段10及び力学的手段11を備える。搬送ベルト7の上流、下流には、被記録媒体Pを図示されないストッカーから搬送ベルト7に供給するフィードローラ12及びガイド13、剥離後の被記録媒体Pへインクを定着させると共に図示されない排紙ストッカーに搬送する定着手段14及びガイド15が配置されている。またインクジェット印刷装置1の内部には、搬送ベルト7を挟んで吐出ヘッド2に対向する位置には、被記録媒体位置検出手段16を有し、更にインク組成物から発生する溶媒蒸気を回収するための排出ファン17及び溶媒蒸気吸着材18からなる溶媒回収部が配置され、装置内部の蒸気は該回収部を通って装置外部に排出される。
フィードローラ12は公知のローラが使用でき、被記録媒体に対するフィード能力が高まるように配置される。また被記録媒体P上には垢・紙粉等が付着していることがあるため、それらの除去を行うことが望ましい。フィードローラによって供給された被記録媒体Pは、ガイド13を経て、搬送ベルト7に搬送される。搬送ベルト7の裏面(好ましくは金属裏面)はローラ6Aを介して設置されている。搬送された被記録媒体は、静電吸着手段9により搬送ベルト上に静電吸着される。図1では、負の高圧電源に接続されたスコロトロン帯電器により静電吸着がなされる。静電吸着手段9により、被記録媒体Pが搬送ベルト7上に浮き無く静電吸着されると共に、被記録媒体表面を均一帯電する。ここでは静電吸着手段を被記録媒体の帯電手段としても利用しているが、別途設けてもよい。帯電された被記録媒体Pは、搬送ベルト7によって吐出ヘッド部まで搬送され、帯電電位をバイアスとして記録信号電圧を重畳することにより静電インクジェット画像形成がなされる。画像形成された被記録媒体Pは、除電手段10により除電され、力学的手段11により搬送ベルト7により剥離されて定着部へ搬送される。剥離された被記録媒体Pは、画像定着手段14に送られ、定着がなされる。定着された被記録媒体Pは、ガイド15を通って図示されない排紙ストッカーに排紙される。また、該装置は、インク組成物から発生する溶媒蒸気の回収手段を有する。回収手段は溶媒蒸気吸収材18からなり、排気ファン17により機内の溶媒蒸気を含む気体が吸着材に導入され、蒸気が吸着回収された後、機外に排気される。該装置は、上記例に限定されず、ローラ、帯電器等の構成デバイスの数、形状、相対配置、帯電極性等は任意に選べる。また上記システムでは4色描画について記述しているが、淡色インクや特色インクと組み合わせて、より多色のシステムとしてもよい。
上記インクジェット印刷方法に使用されるインクジェット記録装置は、吐出ヘッド2、インク循環系3からなり、インク循環系3は、更にインクタンク、インク循環装置、インク濃度制御装置、インク温度管理装置等を有し、インクタンク内には撹拌装置を含んでいてもよい。
吐出ヘッド2としては、シングルチャンネルヘッド、マルチチャンネルヘッド、又はフルラインヘッドを使うことができ、搬送ベルト7の回転により主走査を行う。
本発明で好適に使用されるインクジェットヘッドは、インク流路内での荷電粒子を電気泳動させて開口付近のインク濃度を増加させ、吐出を行うインクジェット方法であり、主に被記録媒体又は被記録媒体背面に配置された対向電極に起因する静電吸引力によりインク滴の吐出を行うものである。従って、被記録媒体又は対向電極がヘッドに対向していない場合や、ヘッドと対向する位置にあっても被記録媒体又は対向電極に電圧が印加されていない場合には、誤って吐出電極に電圧が印加された場合や振動が与えられた場合でもインク滴の吐出は起こらず、装置内を汚すことはない。
上記インクジェット装置に好適に使用される吐出ヘッドを図2及び図3に示す。図2及び図3に示すように、インクジェットヘッド70は、一方向のインク流Qが形成されるインク流路72の上壁を構成する電気絶縁性の基板74と、インクを被記録媒体Pへ向けて吐出する複数の吐出部76とを有する。吐出部76には、いずれもインク流路72から飛翔するインク滴Gを被記録媒体Pへ向けて案内するインクガイド部78が設けられ、基板74には、インクガイド部78がそれぞれ挿通する開口75が形成されており、インクガイド部78と開口75の内壁面との間にはインクメニスカス42が形成されている。インクガイド部78と被記録媒体Pとのギャップdは200μm〜1000μm程度であることが好ましい。また、インクガイド部78は、下端側で支持棒部40に固定されている。
基板74は、2つの吐出電極を所定間隔で離して電気的に絶縁している絶縁層44と、絶縁層44の上側に形成された第1吐出電極46と、第1吐出電極46を覆う絶縁層48と、絶縁層48の上側に形成されたガード電極50と、ガード電極50を覆う絶縁層52とを有する。また、基板74は、絶縁層44の下側に形成された第2吐出電極56と、第2吐出電極56を覆う絶縁層58とを有する。ガード電極50は、第1吐出電極46や第2吐出電極56に印加された電圧によって隣接する吐出部に電界上の影響が生じることを防止するために設けられる。
更に、インクジェットヘッド70には、インク流路72の底面を構成すると共に、第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加されたパルス状の吐出電圧によって定常的に生じる誘導電圧により、インク流路72内の正に帯電したインク粒子(荷電粒子)Rを上方へ向けて(すなわち被記録媒体側に向けて)泳動させる浮遊導電板62が電気的浮遊状態で設けられている。また、浮遊導電板62の表面には、電気絶縁性である被覆膜64が形成されており、インクへの電荷注入等によりインクの物性や成分が不安定化することを防止する。絶縁性被覆膜の電気抵抗は、1012Ω・cm以上が好ましく、より望ましくは1013Ω・cm以上である。また、絶縁性被覆膜はインクに対して耐腐食性であることが望ましく、これにより、浮遊導電板62がインクに腐食されることが防止される。また、浮遊導電板62は下方から絶縁部材66で覆われており、このような構成により、浮遊導電板62は完全に電気的絶縁状態にされている。
浮遊導電板62は、ヘッド1ユニットにつき1個以上である(例えば、C、M、Y、Kの4つのヘッドがあった場合、浮遊導電板数は最低各1個ずつ有し、CとMのヘッドユニット間で共通の浮遊導電板とすることはない)。
図3に示すように、インクジェットヘッド70からインクを飛翔させて被記録媒体Pに記録するには、インク流路72内のインクを循環させることによりインク流Qを発生させた状態にし、ガード電極50に所定の電圧(例えば+100V)を印加する。更に、インクガイド部78に案内されて開口75から飛翔したインク滴G中の正の荷電粒子Rが被記録媒体Pにまで引きつけられるような飛翔電界が、第1吐出電極46及び第2吐出電極56と、被記録媒体Pとの間に形成されるように、第1吐出電極46、第2吐出電極56及び被記録媒体Pに正電圧を印加する(ギャップdが500μmである場合に、1kV〜3.0kV程度の電位差を形成することを目安とする)。
この状態で、画像信号に応じて第1吐出電極46及び第2吐出電極56にパルス電圧を印加すると、荷電粒子濃度が高められたインク滴Gが開口75から吐出する(例えば、初期の荷電粒子濃度が3〜15%である場合、インク滴Gの荷電粒子濃度が30%以上になる)。
その際、第1吐出電極46と第2吐出電極56の両者にパルス電圧が印加された場合にのみインク滴Gが吐出するように、第1吐出電極46と第2吐出電極56とに印加する電圧値を調整しておく。
このように、パルス状の正電圧を印加すると、開口75からインク滴Gがインクガイド部78に案内されて飛翔し、被記録媒体Pに付着すると共に、浮遊導電板62には、第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加された正電圧により正の誘導電圧が発生する。第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加される電圧がパルス状であっても、この誘導電圧はほぼ定常的な電圧である。従って、浮遊導電板62及びガード電極50と、被記録媒体Pとの間に形成される電界によって、インク流路72内で正に帯電している荷電粒子Rは上方へ移動する力を受け、基板74の近傍で荷電粒子Rの濃度が高くなる。図3に示すように、使用する吐出部(すなわちインク滴を吐出させるチャンネル)の個数が多い場合、吐出に必要な荷電粒子数が多くなるが、使用する第1吐出電極46及び第2吐出電極56の枚数が多くなるため、浮遊導電板62に誘起される誘導電圧は高くなり、被記録媒体側へ移動する荷電粒子Rの個数も増大する。
上記では、着色粒子が正荷電に帯電している例について説明したが、着色粒子は負荷電に帯電されていてもよい。その場合には、上記の帯電極性は、すべて逆極性となる。
[分散媒]
本発明におけるインク組成物を構成する分散媒としては、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、又は芳香族炭化水素、及びこれらの炭化水素のハロゲン置換体(ハロゲン化炭化水素)が挙げられる。具体的には、例えば、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、また、使用可能な市販品として、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、メチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等が挙げられる。
また、上記の炭化水素化合物及びそれらのハロゲン置換体以外に以下に記載の化合物も混合して用いることができる。混合できる化合物としては、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)等が挙げられる。
なお、上記の炭化水素化合物及びそれらのハロゲン置換体と混合して使用する非炭化水素系化合物の比率は、ピエゾ方式等のインクジェット記録方法を用いて画像描画する場合には、粘度、分散媒沸点、再分散性等を考慮して決められる。
また、本発明の好ましい態様である静電方式により画像描画する場合には、分散媒の誘電率を下げるという観点から、上記の炭化水素系化合物と混合して使用する非炭化水素系化合物の比率は低い方が好ましい。具体的には、溶媒全量に対し、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
本発明におけるインク組成物において、分散媒の含有量は、インク組成物の全質量に対して、10〜90質量%の範囲であることが好ましく、20〜98質量%の範囲であることがより好ましく、30〜97質量%の範囲であることが更に好ましい。
分散媒の含有量が10質量%よりも少ないと、粘度が上昇し、吐出性が低下すると共に、特定粒子の凝集が起こり、保存安定性、分散性が低下する場合がある。一方、99質量%よりも多いと、特定粒子の濃度が低下し、画像形成性が低下する場合がある。また、特定粒子が着色されている場合、色濃度が低下して、視認性が低下することがある。
[特定粒子]
本発明における特定粒子は、(i)酸基を有する化合物を含有した非水系分散樹脂粒子であり、(ii)体積平均粒径が0.8μm以上5.0μm以下の非水系分散樹脂粒子であることが好ましい。ここで、「酸基」とは、解離性プロトンを有する基を意味する。
(酸基)
本発明における特定粒子が有する酸基としては、下記(1)〜(6)からなる群より選択される酸基であることが好ましい。なお、前記酸基は、粒子を構成する樹脂、若しくは分散剤に使われる高分子のいずれに含まれていてもよい。
(1)フェノール性水酸基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SONH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SONHCOR、−SONHSOR、−CONHSOR〕
(4)カルボン酸基(−COH)
(5)スルホン酸基(−SOH)
(6)リン酸基(−OPO
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(1)〜(6)の中でも、分散性、耐刷性、検版性付与の観点からは、(3)活性イミド基、(4)カルボン酸基、(5)スルホン酸基、(6)リン酸基が好ましく、(4)カルボン酸基、(5)スルホン酸基、(6)リン酸基がより好ましい。
また、本発明におけるインク組成物を、アルミを支持体とする平版印刷版の作製用インクとして用いる場合には、インクと支持体との密着性の観点からは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基であることが好ましい。
−(1)フェノール性水酸基−
フェノール性水酸基としては、特に限定されないが、例えば以下のような置換基の導入されたフェノール構造が挙げられる。
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−グリシジルエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−エトキシエチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、N,N−ジエチルアミノエチル基、トリメトキシシリルプロピル基、3−ブロモプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−ピリジルエチル基、2−モルホリノエチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、2−ホスホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、2−カルボキシアミドエチル基、3−スルホアミドプロピル基、2−N−メチルカルボキシアミドエチル基、シクロペンチル基、クロロシクロヘキシル基、ジクロロヘキシル基等が挙げられる。
−(2)スルホンアミド基−
スルホンアミド基としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基であれば特に限定されない。具体的には、下記構造式(a)又は(b)で表されるスルホンアミド基が挙げられる。
−SONH−R 構造式(a)
−SONH 構造式(b)
ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。
−(3)活性イミド基−
活性イミド基としては、下記構造式(c)又は(d)で表される活性イミド基であれば特に限定されない。
−CONH−SO−R 構造式(c)
R−CONH−SO− 構造式(d)
ここで、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。
−(4)カルボン酸基−
カルボン酸基としては、既知のカルボン酸基であれば特に限定されない。
例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタンカルボン酸、へキサンカルボン酸等の脂肪族カルボン酸基、置換基を有していてもよい安息香酸、及びヘテロ芳香族カルボン酸等が挙げられる。
−(5)スルホン酸基−
スルホン酸基としては、既知のスルホン酸基であれば特に限定されない。
例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸基、置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸基、及びヘテロ芳香族スルホン酸基などが挙げられる。
−(6)リン酸基−
リン酸基としては、既知のリン酸基であれば特に限定されない。
例えば、メタンリン酸、エタンリン酸、ブタンリン酸、ヘキサンリン酸等の脂肪族リン酸基、置換基を有していてもよい芳香族リン酸基、及びヘテロ芳香族リン酸基などが挙げられる。
特定粒子における酸基の含有量としては、該粒子を構成する樹脂の質量に対して、0.01mmol/g〜20mmol/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.05mmol/g〜10mmol/gの範囲である。酸基の含有量が、0.01mmol/gより小さいと、インク組成物と被記録媒体との密着性が低く、また、インク組成物を平版印刷版の作製に使用した場合においては所望の耐刷性が得られない場合がある。また、酸基の含有量が20mmol/gより大きいと、粒子を構成する樹脂のTgが高くなり定着性が低下し、インク組成物被記録媒体との密着性の低下を招来する場合がある。
従って、特定粒子における酸基の含有量が上記範囲であれば、本発明におけるインク組成物は、分散安定性、再分散安定性、保存安定性に優れものとなる。さらに、本発明におけるインク組成物を、平版印刷版の作製に用いる場合であれば、画像形成後の定着性が良好で、印刷時にも画像の欠損を生じることなく保持され、高耐刷性を示すという効果を発揮する。
本発明における特定粒子は、酸基を有する単量体の少なくとも一種を重合することによって重合造粒することができる。このような官能基を有する樹脂は分散性に優れるため、単量体をそのまま重合させてもよいが、樹脂粒子の単分散のしやすさ、分散安定性向上などの観点からは、(a)非水溶媒中、少なくとも1種の(b)酸基を有する一官能性単量体、(c)非水溶媒に可溶性の分散安定用樹脂(以下、適宜、「分散剤」と称する。)の存在下において重合造粒することにより得ることが好ましい。なお、特定粒子が有する酸基は、重合造粒後の粒子に高分子反応等を利用して導入することもできる。
−(a)非水溶媒−
非水溶媒としては、基本的には、油性インクの非水担体液に混和するものであれば使用可能である。すなわち、特定粒子(分散樹脂粒子)を作製するに際して用いる溶媒としては、非水担体液に混和するものであればよく、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素およびこれらのハロゲン置換体等が挙げられる。例えばヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、シェルゾール70,シェルゾール71,アムスコOMS、アムスコ460溶剤等を単独あるいは混合して用いることができる。市販品としては、(A)分散媒として前記しものと同様の、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、シェルゾール70,シェルゾール71,アムスコOMS、アムスコ460溶剤等を用いることができる。これら重合に用いられる溶媒は単独あるいは混合して用いることができる。
これらの有機溶媒と共に、重合反応の溶媒に混合して使用できる溶媒としては、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、メチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等)等が挙げられる。
これらの有機溶媒と混合して使用しうる非水溶媒は、重合造粒後、加熱あるいは減圧下で留去することが望ましい。
通常、樹脂分散物作製の段階で担体液と同様の溶媒を用いる方が好ましく、前述のごとく、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
−(b)酸基を有する一官能性単量体−
本発明における特定粒子の重合に用いられる、酸基を有する一官能性単量体(以下、適宜、「酸基含有単量体」と称する。)としては、前記の酸基を有し且つ一官能である単量体であれば、特に限定されない。
特定粒子の重合造粒において、酸基含有単量体は、1種単独で用いてもよいし、同一又は異なる酸基を有する単量体を2種以上併用してもよい。
酸基含有単量体の使用量は、合成の際に用いられる混合液中の重合性モノマー中、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、酸基含有単量体の使用量の上限値は、定着性を低下させないため、70質量%以下であることが好ましい。
本発明における特定粒子は、重合することによって不溶化するものである。このため、前記酸基含有単量体を分散重合することにより、不溶化しない場合には、以下に記載するような非水溶媒には可溶であるが重合することによって不溶化する、他の一官能性単量体(以下、適宜、「他の単量体」と称する。)を併用して共重合させることが好ましい。酸基含有単量体と併用可能な他の一官能性単量体として、具体的には、例えば、下記一般式(I)で表される単量体が挙げられる。
Figure 2008044278
一般式(I)中、Tは、−COO−、−OCO−、−CHOCO−、−CHCOO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHOCO−、−SO−、−CON(W)−、−SON(W)−、又はフェニレン基(以下、フェニレン基を「−Ph−」と記載する。なお、フェニレン基は、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン基を包含する。)を表す。ここでWは、水素原子又は炭素数1〜20の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)等を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の置換されていてもよい脂肪族基を表す。この脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−グリシジルエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−エトキシエチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、N,N−ジエチルアミノエチル基、トリメトキシシリルプロピル基、3−ブロモプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−ピリジルエチル基、2−モルホリノエチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、2−ホスホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、2−カルボキシアミドエチル基、3−スルホアミドプロピル基、2−N−メチルカルボキシアミドエチル基、シクロペンチル基、クロロシクロヘキシル基、ジクロロヘキシル基等が挙げられる。
及びdは、互いに同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20の炭化水素基、−COO−Z、又は炭素数1〜20の炭化水素基を介した−COO−Z〔ここで、Zは炭素数1〜22の炭化水素基を表す〕を表す。
他の単量体の具体例としては、例えば、炭素数1〜20の脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、モノクロロ酢酸、トリフロロプロピオン酸等)のビニルエステル類或いはアリルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸の炭素数1〜10の置換されていてもよいアルキルエステル類又はアミド類(アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−フロロエチル基、トリフロロエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−ベンゼンスルホニルエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−カルボキシエチル基、2−ホスホエチル基、4−カルボキシブチル基、3−スロホプロピル基、4−スルホブチル基、3−クロロプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−フルフリルエチル基、2−ピリジニルエチル基、2−チエニルエチル基、トリメトキシシリルプロピル基、2−カルボキシアミドエチル基等);スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、メトキシメチルスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、ビニルベンゼンカルボキシアミド、ビニルベンゼンスルホアミド等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、イタコン酸の環状酸無水物;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;重合性二重結合基含有のヘテロ環化合物(具体的には、例えば高分子学会編「高分子データハンドブック−基礎編−」、p175〜184、培風舘(1986年刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルオキサゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニルモルホリン等)等が挙げられる。
これらの一官能性単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
他の単量体の使用量は、本発明の効果を損ねない範囲において適宜設定しうるが、1質量%〜90質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、10質量%〜80質量%の範囲である。
これらの一官能性単量体の総使用量は、合成の際に用いられる混合液中の全固形分中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。また、一官能性単量体の使用量の上限値は、単分散性、分散安定性の観点から99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
一官能性単量体の含有量が10質量%より少ないと、(c)非水系溶媒から特定粒子が析出しにくいため、合成が難しくなる。また、単分散性も低下する。
−(c)分散安定用樹脂(分散剤)−
本発明における特定粒子を造粒する際に用いられる(c)分散安定用樹脂(分散剤)について説明する。
この分散剤は、非水溶媒中で、一官能性単量体を重合してなり、且つ、非水溶媒に不溶な重合体を、安定な樹脂分散物とするために用いられる。
本発明において、分散安定用樹脂(分散剤)は、特定粒子の合成に用いられる一官能性単量体に対して、1〜50質量%で使用することが好ましく、更に好ましくは、5〜40質量%である。
本発明における分散剤としては、前述の分散媒に可溶な、ランダム共重合体、クシ型共重合体、スター型共重合体、部分架橋型共重合体、架橋性基含有共重合体等の従来既知の分散安定剤を用いることができる。
以下、本発明に好適な分散剤について説明する。
−ランダム共重合体−
本発明におけるランダム共重合体の具体例としては、炭素数6〜32のアルキル鎖、アルケニル鎖(これらの脂肪族基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基等の置換基を含有していてもよく、或いは、酸素原子、イオウ原子、窒素原子等のへテロ原子で主鎖の炭素−炭素結合が介されていてもよい。)を有する、アクリル酸、メタクリル酸、又はクロトン酸のエステル類;高級脂肪酸ビニル類;アルキルビニルエーテル類;ブタジエン、イソプレン、ジイソプレン等のオレフィン類;等の単量体を重合してなる重合体、又はこれらの単量体の2種以上を組み合わせ共重合してなる共重合体が挙げられる。
更に、上記のような非水溶媒に可溶な重合体を形成する単量体と、得られる共重合体が非水溶媒に可溶な範囲の割合で、下記のような各種の単量体の1種以上と、を共重合して得られる共重合体も用いることができる。
上記の単量体と共重合しうる単量体として、例えば、酢酸ビニル、酢酸アリル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸の、メチル、エチル、或いはプロピルエステル類;スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸のような不飽和カルボン酸又はその酸無水物;ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、アクリロニトリル、2−クロロエチルメタクリレート、2,2,2−トリフロロエチルメタクリレート等の、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、シアノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ヘテロ環等の各種極性基を含有する単量体;等を挙げることができる。
更に、本発明におけるランダム共重合体として、アルキッド樹脂、各種の脂肪酸で変性したアルキッド樹脂、アマニ油、変性ポリウレタン樹脂等の天然樹脂を用いることもできる。
本発明におけるランダム共重合体の重量平均分子量は、3000〜20万の範囲であることが好ましく、5000〜15万の範囲であることがより好ましい。
分子量が3000より小さいと、分散能が低下するため、再分散性、保存安定性が低下する場合がある。また、分子量が20万より大きいと、(a)非水溶媒への溶解性が低下し、この場合にも、分散能が低下し、再分散性、保存安定性の低下を引き起こす場合がある。
−クシ型共重合体−
本発明におけるクシ型共重合体とは、下記に示す構造を有し、且つ、重量平均分子量1×10〜5×10のマクロモノマー(MM)を、少なくとも1種、共重合成分として有する共重合体である。
まず、このマクロモノマーについて詳細に説明する。クシ型共重合体を得るために用いられるマクロモノマーは、下記一般式(II)で示される繰り返し単位を有する重合体主鎖の一方の末端にのみに、下記一般式(III)で示される重合性二重結合基を結合してなる構造を有する。
Figure 2008044278
一般式(II)において、a及びaは、互いに同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、−COO−Z、又は炭化水素基を介した−COO−Zを表す。ここで、炭化水素基を介した−COO−Z基における炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、Zは、好ましくは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基若しくはアリール基である。
これらの基は、可能であれば更に置換基を有していてもよい。
また、一般式(II)において、Xは、−COO−、−OCO−、−CHOCO−、CHCOC−、−O−、−SO−、−CO−、−CONR11−、−SONR11−、又は−Ph(フェニレン基)−を表わす。ここで、R11としては、水素原子、炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されていてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されていてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されていてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)、炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
なお、Xが、−Ph−(フェニレン基)である場合、その環上には、更に置換基を有してもよい。導入可能な置換基としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等)等が挙げられる。
一般式(II)において、Qは、炭素数10〜22のアルキル基、又は炭素数10〜22のアルケニル基を表わす。
次に、下記一般式(III)で示される重合性二重結合基について説明する。
Figure 2008044278
一般式(III)において、b及びbは、互いに同じでも異なってもよく、前記一般式(II)中のa、aと同一の内容を表す。
また、Xは、一般式(II)中のXと同一の内容を表わし、好ましくは、−COO−、−OCO−、−O−、−CHOCO−、又は−CHCOO−である。
一般式(III)で表わされる重合性二重結合基として、具体的には、CH=CH−COO−、CH=C(CH)−COO−、CH−CH=CH−COO−、CH=C(CHCOOCH)−COO−、CH=C(CHCOOH)−COO−、CH=CH−CONH−、CH=C(CH)−CONH−、CH−CH=CH−CONH−、CH=CH−OCO−、CH=CH−CH−OCO−、CH=CH−O−、CH=C(COOH)−CH−COO−、CH=C(COOCH)−CH−COO−、CH=CH−Ph−等が挙げられる。
このような重合性二重結合基は、一般式(II)で示される重合体主鎖の片末端に、直接結合してもよいし、連結基を介して結合してもよい。ここで用いられる連結基としては、炭素−炭素結合(一重結合或いは二重結合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団の任意の組合せで構成されるものである。
具体的な連結基としては、−CR−〔ここで、RとRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。〕、−(CH=CH)−、−C10−(すなわち、シクロヘキシレン基)、−Ph(フェニレン基)−、−O−、−S−、−CO−、−NR−〔ここで、Rは、水素原子、前記一般式(I)のD1で表される脂肪族基等の炭化水素基を示す。〕、−COO−、−SO−、−CONR−、−SONR−、−NHCOO−、−NHCONH−、−SiR10−〔ここで、RとR10は、各々独立に、水素原子、前記一般式(I)のDで表される脂肪族基等の炭化水素基を示す。〕等の連結基、又は、これらの連結基を2以上組合せで構成された連結基が挙げられる。
上記のようなマクロモノマーは、従来公知の合成方法によって作製することができる。例えば、1)アニオン重合或いはカチオン重合によって得られるリビングポリマーの末端に種々の試薬を反応させて重合性二重結合基を導入する、イオン重合法による方法、2)分子中に、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基等の反応性基を含有した重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いて、ラジカル重合して得られる末端反応性基結合のオリゴマーと種々の試薬を反応させて重合性二重結合基を導入する、ラジカル重合法による方法、3)重付加或いは重縮合反応により得られたオリゴマーに、上記ラジカル重合方法と同様にして重合性二重結合基を導入する、重付加縮合法による方法等が挙げられる。
より具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk,Encycl.Polym.Sci.Eng.,7,551(1987)、P,F.Rempp & E.Franta,Adv.Polym.Sci.,58,1(1984)、V.Percec,Appl.Polym.Sci.,285,95(1984)、R.Asami,M.TakaRi,Makvamol.Chem.Suppl.,12,163(1985)、P.Rempp et al,Makvamol.Chem.Suppl.,8,3(1984)、川上雄資「化学工業」38,56(1987)、山下雄也「高分子」31,988(1982)、小林四郎「高分子」30,625(1981)、東村敏延「日本接着協会誌」18,536(1982)、伊藤浩一「高分子加工」35,262(1986)、東貴四郎,津田隆「機能材料」1987,No.10,5等の総説及びそれに引用の文献・特許等に記載の方法に従って合成することができる。
前記2)の方法において用いられる、分子中に反応性基を含有した重合開始剤としては、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライド)、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノール)、2,2’−アゾビス(2−シアノペンタノール)、2,2’−アゾビス〔2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオアミド〕、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス〔2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}、2,2’−アゾビス〔N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン〕、2,2’−アゾビス〔N−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン〕等のアゾビス系化合物が挙げられる。
また、分子中に反応性基を含有した連鎖移動剤としては、例えば、該反応性基或いは該反応性基に誘導しうる置換基含有のメルカプト化合物(例えば、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール等)、又は該反応性基或いは該反応性基に誘導しうる置換基含有のヨード化アルキル化合物(例えば、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等)等が挙げられる。好ましくはメルカプト化合物が挙げられる。
これらの重合開始剤或いは連鎖移動剤の使用量は、各々、ラジカル重合の際に用いられる全単量体100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜5質量部である。
このようにして得られたマクロモノマー(MM)の重量平均分子量は、クシ型共重合体の分子量を後述の範囲に制御するために、1×10〜5×10の範囲であることを要し、3×10〜3×10であることが好ましい。
本発明におけるクシ型共重合体は、上述のような構造のマクロモノマーを10〜90質量%の範囲で含んでいるものが好ましく、20〜80質量%の範囲で含んでいるものがより好ましい。
この範囲内においてマクロモノマーを含むことで、重合造粒で得られる(B)特定粒子の平均粒子径が均一に揃い、且つ、得られた特定粒子の再分散性が著しく向上する。
本発明におけるクシ型共重合体の重量平均分子量は、保存安定性、再分散性、分散安定性の観点から、5×10〜5×10の範囲であることが好ましく、1×10〜2×10の範囲であることがより好ましい。
−スター型共重合体−
本発明におけるスター型共重合体とは、中心となる有機分子に対し、A−B型のブロック共重合体の高分子鎖が少なくとも3個結合してなる、重量平均分子量1×10〜1×10の共重合体である。
ここで、ブロックAとブロックBの高分子鎖中における配列の順序は、ブロックAの重合体主鎖のブロックBと結合する末端とは反対側の片末端で、有機分子に結合してなるものあり、その構造を模式的に示すと下記の式(IV)のようになる。
Figure 2008044278
式(IV)において、Xは有機分子を表し、〔A〕はブロックAを、〔B〕はブロックBを表し、〔A〕−〔B〕は高分子鎖を表す。
本発明におけるスター型共重合体におけるブロックAとブロックBの各共重合成の重量組成比は、1〜50/99〜50であり、好ましくは5〜40/95〜60である。
以下、まず、有機分子に結合するA−B型のブロック共重合体の高分子鎖を構成するブロックAについて説明する。
ブロックAは、ホスホノ基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホルミル基、アミノ基、−P(=O)(OH)R基、−CONR基、−SONR、並びに環状酸無水物含有基からなる群より選択される少なくとも1種の極性基を含有する重合成分、及び/又は、前述の(b)一官能性単量体に相当する重合成分を少なくとも1種含有することで構成される。
つまり、ブロックAは、一官能性単量体(b)に相当する重合成分、及び/又は、前記した特定の極性基含有の重合成分で構成される。
特定の極性基中、−P(=O)(OH)R基において、Rは、−R基又は−OR基を表し、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Rの炭化水素基として好ましくは、炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、2−クロロエチル基、2シアノエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基等)、及び置換されていてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、シアノフェニル基等)が挙げられる。
また、特定の極性基中、−CONR基及び−SONR基において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭化水素基(炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の置換されていてもよい炭化水素基)を表す。R、Rで表される炭化水素基として具体的には、前記Rで表される炭化水素基と同様のものが挙げられる。
特定の極性基における環状無水物含有基とは、少なくとも1つの環状酸無水化物を含有する基であり、含有される環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、コハク酸無水物、グルタコン酸無水物、マレイン酸無水物、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,3−ビシクロ〔2,2,2〕オクタンジカルボン酸無水物等が挙げられ、これらの脂肪族ジカルボン酸無水物は、例えば、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基等で置換されていてもよい。
また、芳香族ジカルボン酸無水物の例としては、フタル酸無水物、ナフタレン−ジカルボン酸無水物、ピリジン−ジカルボン酸無水物、チオフェンージカルボン酸無水物等が挙げられ、これらの芳香族ジカルボン酸無水物は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基(アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等)等で置換されていてもよい。
更に、特定の極性基中、アミノ基は、−NH、−NHR、又は−NRを表す。R、Rは、各々独立に、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基を表す。更に好ましくは炭素数1〜7の炭化水素基を表し、具体的には、前記Rで表される炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記R、R、R、R及びRで表される炭化水素基として、更により好ましくは、炭素数1〜4の置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいベンジル基、又は置換されていてもよいフェニル基等が挙げられる。
以上の特定の極性基を含有する重合成分に相当する単量体としては、特定の極性基を少なくとも1種含有した一官能性単量体であればいずれでもよい。例えば、高分子学会編「高分子データハンドブック、基礎編」培風館(1986年刊)等に記載されている。具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置換アクリル酸(例えば、α−アセトキシ体、α−アセトキシメチル体、α−(2−アミノ)メチル体、α−クロロ体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカルボン酸類(例えば、2−ペンテン酸、2−メチル−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸)、マレイン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホ酸、ジカルボン酸類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体、及びこれらのカルボン酸又はスルホン酸のエステル誘導体やアミド誘導体の置換基中に、前記極性基を含有する化合物等が挙げられる。
このような化合物の具体例として以下のものが挙げられる。ただし、以下の各例〔(P−1)〜(P−20)〕において、「e」は、−H、−CH、−Cl、−Br、−CN、又は−CHCOOCHを表し、「f」は、−H、又は−CHを表し、「n」は、2〜10の整数を表し、「m」は1〜10の整数を表し、「p」は1〜4の整数を表す。また、Xは、−COOH、−O−P(=O)(OH)、−SOH、−OH、−NR、−CHO、又は−O−P(=O)(OH)Rを表す。ここで、R、Rは、各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。更に、Xは、−COOH、又は−OHを表す。
Figure 2008044278
Figure 2008044278
ブロックAにおいて含有される、特定の極性基含有の重合成分は、好ましくはスター型共重合体100質量部中、1〜30質量部で、より好ましくは1〜15質量部である。
また、ブロックAにおいて特定の極性基含有の重合成分が存在しない場合、前記官能性単量体(A)に相当する重合体成分は、好ましくは分散剤100質量部中5〜50質量部であり、より好ましくは10〜40質量部である。
次に、有機分子に結合するA−B型のブロック共重合体の高分子鎖を構成するブロックBについて説明する。
ブロックBは、下記一般式(V)で示される繰り返し単位から成る重合体成分を少なくとも1種含有することで構成される。
Figure 2008044278
一般式(V)において、Xは、好ましくは−COO−、−OCO−、又は−O−を表す。
は、好ましくは炭素数10以上のアルキル基又はアルケニル基を表し、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。具体的には、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等が挙げられる。
及びaは、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−COO−Z、又は−CHCOO−Z〔Zは、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数22以下の炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基、アリール基等)を表す。
前記Zは、具体的には、水素原子の他、好ましい炭化水素原子としては、炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、へプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されていてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等)、炭素数7〜12の置換されていてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されていてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)、及び炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
また、ブロックBにおいて、一般式(V)で示される繰り返し単位は二種以上を併用してもよい。
更に、ブロックBにおいて、一般式(V)で示される繰り返し単位と共に、他の繰り返し単位を共重合成分として含有してもよい。他の共重合成分としては、一般式(V)の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能な単量体よりなるものであればいずれの化合物であってもよい。他の共重合成分としては、多くてもブロックB100質量部に対して、20質量部を超えない範囲で用いられる。20質量部を超えると、本発明における特定粒子の分散性が劣化してしまう。
ブロックBにおいて含有される、一般式(V)で示される重合成分は、好ましくはスター型共重合体100質量部中50〜99質量部であり、より好ましくは60〜95質量部である。
本発明にスター型共重合体は、前記した所定の存在割合(すなわち、ブロックAとブロックBの存在割合や、ブロックBに含まれる一般式(V)で示される重合成分の存在割合)より少ない場合、特定粒子の再分散安定性を低下させてしまう場合がある。他方、所定の存在割合より多くなると、(B)特定粒子の粒子分布の単分散性低下を生じてしまう。
前述のようなA−B型のブロック共重合体の高分子鎖を、少なくとも3個以上結合する有機分子としては、重量平均分子量が1000以下のものであれば特に限定されるものではない。例を挙げれば、下記に記載の3価以上の炭化水素残基が挙げられる。しかしながら、本発明に従う有機分子の具体例としては、これらに限定されるものではない。
Figure 2008044278
ここで、上記の例において、r〜rは各々水素原子又は炭化水素基を表す。ただし、rとrの少なくとも1つ、また、rとrのうちの少なくとも1つは、それぞれ、A−B型のブロック共重合体の高分子鎖に連結する。
有機分子は、上記の炭化水素残基を単独又はこれらの任意の組み合わせの構成からなる。組み合わせの場合は、−O−、−S−、−N(r)−、−COO−、−CON(r)−、−SO−、又は−SON(r)−(ここで、rは、水素原子又は炭化水素基を表す)、−NHCOO−、−NHCONH−、酸素原子、イオウ原子、窒素原子のへテロ原子含有の複素環(例えばチオフェン環、ピリジン環、ピラン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、フラン環、ピペリジン環、ピラジン環、ピロール環、ピペラジン環等)等の結合単位を含んでいてもよい。なお、これらの結合単位は、単独で私用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。
上記以外の有機分子の例としては、下記の連結基と上記結合単位との組み合わせから構成されるものが挙げられる。しかしながら、本発明に従う有機分子の具体例としては、これらに限定されるものではない。
Figure 2008044278
本発明におけるスター型分散剤は、従来公知の極性基を含有し、かつ、重合性二重結合基を有する単量体のスター型ポリマーの合成法を利用して合成することができる。例えばその一つとして、カルバニオンを開始剤とする重合反応が挙げられる。具体的には、M.Morton,T.E.Helminiak et al”J.Polym.Sci.”57,471(1962),B.Gordon III,M,Blumenthal,J.E.Loftus et al”Polym.Bull.”11,349(1984),R.B.Bates,W.A.Beavers et al”J.Org.Chem.”44,3800(1979)に記載の方法に従って合成できる。
ただし、上記の反応を用いる際には、前述の「特定の極性基」は、保護した官能基として用いて重合させた後、保護基の離脱を行う。これらの、特定の極性基の保護基による保護及びその保護基の離脱(脱保護反応)については、従来公知の知見を利用して容易に行うことができる。例えば、合成方法が記載されている上記の各引用文献にも種々記載されており、更には、岩倉義男、栗田恵輔「反応性高分子」(株)講談社刊(1977年)、T.W.Green”Protective Groups in Organic Synthesis”(JohnWiley & Sons,1981年)、J.F.W.McOmic”Protective Groups in Organic Chemistry”(Plenum Press,1973年)等の総説に詳細に記載されている方法を適宜選択して行うことができる。
また、他の合成方法としては、前述の「特定の官能基」を保護しないままの単量体を用い、ジシオカーバメント基を含有する化合物及び/又はザンテート基を含有する化合物を開始剤として、光照射下に重合反応を行って合成することもできる。例えば、大津隆行「高分子」37,248(1988)、桧森俊一,大津隆一”polym.Rep.Jap.”37,3508(1988)、特開昭64−11号公報、特開昭64−26619号公報、東信行等”Polymer Preprints,Japan”36(6),1511(1987)、M.Niwa,N.Higashi et al”J.Macromol.Sci.Cem.”A24(5),567(1987)等に記載の合成方法に従って合成することができる。
本発明におけるスター型分散剤の重量平均分子量(Mw)は、保存安定性、再分散性、分散安定性の観点から、1×10〜1×10であり、好ましくは2×10〜5×10である。
(部分架橋型共重合体)
本発明における部分架橋型共重合体とは、下記一般式(VI)で示される繰り返し単位を少なくとも1種含有する共重合体であって、その重合体主鎖の一部分が架橋された、前記(a)非水溶媒に可溶な樹脂である。
Figure 2008044278
上記一般式(VI)において、Xは、好ましくは、−COO−、−OCO−、−CHOCO−、−CHCOO−又は−O−を表し、より好ましくは、−COO−、−CHCOO−又は−O−を表す。
は、好ましくは10〜22の置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を表す。これらに導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、−O−Z、−COO−Z、又は−OCO−Z(ここで、Zは炭素数6〜22のアルキル基を表し、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等である)等が挙げられる。また、より好ましくは、Yは、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を表す。具体的には、例えば、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコサニル基、エイコサニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
及びbは、互いに同じであっても異なっていてもよく、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜8の炭化水素基、−COO−Z、又は炭素数1〜8の炭化水素基を介した−COO−Z〔ここでZは炭素数1〜22の炭化水素基を表す〕を表す。
具体的には、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基、−COO−Z、又は−CHCOO−Z(ここで、Zは炭素数1〜22の脂肪族基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコサニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられ、これらアルキル基、アルケニル基は前記Yで表したと同様の置換基を有していてもよい)等を表す。
本発明における部分架橋型型共重合体は、上記一般式(VI)で示される繰り返し単位に相当する単量体を少なくとも1種含有し、かつ、その重合体主鎖の一部分が架橋された重合体である。
このように重合体主鎖中に架橋構造を導入する方法としては、通常知られている方法を利用することができる。すなわち、1)単量体の重合反応において、多官能性単量体を共存させて重合する方法、又は、2)重合体中に架橋反応を進行する官能基を含有させ高分子反応で架橋する方法である。
本発明における部分架橋共重合体は、作製方法が簡便なこと(例えば、長時間の反応を要する、反応が定量的でない、反応促進剤を用いる等で不純物が混入する等、の問題点が少ない)等から、上記1)の方法が有効である。
上記1)の方法とは、好ましくは、重合性官能基を2個以上有する単量体を、上記一般式(VI)で示される繰り返し単位に相当する単量体と共に重合することで、ポリマー鎖間を架橋する方法である。
重合性官能基として具体的には、CH=CH−、CH=CH−CH−、CH=CH−CO−O−、CH=C(CH)−CO−O−、CH−CH=CH−CO−O−、CH=CH−CONH−、CH=C(CH)−CONH−、CH=C(CH)−CONHCOO−、CH=C(CH)−CONHCONH−、CH−CH=CH−CONH−、CH=CH−O−CO−、CH=C(CH)−O−CO−、CH=CH−CH−O−CO−、CH=CH−NHCO−、CH=CH−CH−NHCO−、CH=CH−SO−、CH=CH−CO−、CH=CH−O−、CH=CH−S−等を挙げることができるが、上記の重合性官能基を2個以上有する単量体は、これらの重合性官能基を同一のもの或いは異なったものを2個以上有した単量体であればよい。
重合性官能基を2個以上有した単量体の具体例としては、例えば、同一の重合性官能基を有する単量体として、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のスチレン誘導体;多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール#200,#400,#600、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリストール等)、又はポリヒドロキシフェノール(例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール及びそれらの誘導体)のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類;二塩基酸(例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルアミド類又はアリルアミド類;ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン等)とビニル基を有するカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、アリル酸等)との縮合体;等が挙げられる。
また、異なる重合性官能基を有する単量体として、例えば、ビニル基を有するカルボン酸〔例えば、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイルプロピオン酸、アクリロイルプロピオン酸、イタコニロイル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無水化物とアルコール又はアミンの反応体(例えば、アリルオキシカルボニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニル酢酸、2−アリルオキシカルボニル安息香酸、アリルアミノカルボニルプロピオン酸等)等〕のビニル基を含有したエステル誘導体又はアミド誘導体、具体的には、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸アリル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリル、メタクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステル、アクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミド、N−アクリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン酸アミド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド等;
アミノアルコール類(例えば、アミノエタノール、1−アミノプロパノール、1−アミノブタノール、1−アミノヘキサノール、2−アミノブタノール等)とビニル基を含有したカルボン酸との縮合体;等が挙げられる。
前記した2個以上の重合性官能基を有する単量体は、全単量体の10質量%以下、好ましくは8質量%以下を用いて重合し、(a)非水溶媒に可溶性の部分架橋型共重合体を形成する。
本発明に用いられる部分架橋型分散剤は、具体的には、公知の方法である前記一般式(VI)で示される繰り返し単位に相当する単量体、及び上記した多官能性単量体を少なくとも共存させて、重合開始剤(例えば、アゾビス系化合物、過酸化物等)により重合する方法が簡便であり、好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、各々全単量体100質量部に対して、0.1〜15質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明における部分架橋型分散剤の重量平均分子量は、重合造粒で得られる特定粒子の粒径分布の調整の点、及び、(a)非水媒体中での溶解性の点から、5×10〜1×10の範囲が好ましく、より好ましくは1×10〜2×10の範囲である。
(架橋性基含有共重合体)
本発明における架橋性基含有共重合体とは、下記一般式(VII)で示されるように、少なくとも(a)非水溶媒に可溶性となる共重合成分(X成分)と、側鎖の末端に、重合造粒で得られる特定粒子と共重合可能な重合性二重結合基を有する共重合成分(Y成分)と、を含むランダム共重合体である。このため、この架橋性基含有共重合体は、分散媒(A)に可溶性な樹脂である。
ここで、一般式(VII)中の、X成分は、単独の共重合成分から構成されていてもよいし、2種以上の共重合成分から構成されていてもよい。また、Y成分も同様である。
Figure 2008044278
上記一般式(VII)中、Rは炭素数10〜32のアルキル基又はアルケニル基を表し、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。具体的には、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、リノレイル基等が挙げられる。
は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)を表し、好ましくは、水素原子、又はメチル基を表す。
及びXは、各々独立に、単結合、−COO−、−CONH−、−CON(E)−〔但し、Eは好ましくは炭素数1〜22の脂肪族基(脂肪族基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、又はアラルキル基等を示す。)を示す。〕、−OCO−、−CHOCO−、又は−O−を表す。より好ましくは−COO−、−CONH−又は−CON(E)−を表す。
一般式(VII)におけるd、d、e、及びeは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基を表す。このアルキル基の具体例としては、前記一般式(I)のDで表される、炭素数1〜20の置換されていてもよい脂肪族基の具体例が挙げられる。
Wは、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含んで構成される連結基を表す。ここで、ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等が挙げられる。
連結基としては、炭素−炭素結合(一重結合或いは二重結合)、炭素−ヘテロ原子結合、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団、ヘテロ環基等の任意の組み合わせで構成されるものを含む。具体的には、例えば、下記に挙げられる2価の基が挙げられる。
Figure 2008044278
上記の2価の基の例において、r〜rは、各々、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、又はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。
〜rは、各々独立に、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)等を示す。
〜rは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トリル基等)、又は−Or10(r10は、rにおける炭化水素基と同一の内容を示す)を表す。
Wを構成しうるヘテロ環基としては、酸素原子、イオウ原子、窒素原子等のヘテロ原子含有の複素環(例えば、チオフェン環、ピリジン環、ピラン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、フラン環、ピペリジン環、ピラジン環、ピロール環、ピペラジン環等)等が挙げられる。
また、一般式(VII)のY成分における〔−X−W−X−〕で構成される連結鎖は、原子数の総和が8以上から構成されるものが好ましい。この連結鎖における連結主鎖の原子数としては、例えば、Xが、−COO−や−CONH−を表す場合、オキソ基(=O基)や水素原子はその原子数として含まれず、連結主鎖を構成する炭素原子、エーテル型酸素原子、窒素原子はその原子数として含まれる。従って、−COO−や−CONH−は原子数2として数えられる。
以下に、重合性二重結合基を有する共重合成分(Y成分)についての具体例〔(Y−1)〜(Y−12)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記式中、各記号は以下の内容を表す。
Figure 2008044278
Figure 2008044278
Figure 2008044278
本発明における架橋性基含有共重合体は、従来公知の合成方法によって容易に合成することができる。すなわち、樹脂中に、重合性二重結合基を有した共重合成分(Y成分)を導入する方法としては、予め、”特定の反応性基”(例えば、−OH、−COOH、−SOH、−NH、−SH、−PO、−NCO、−NCS、−COCl、−SOCl、エポキシ基等)を含有した単量体を、一般式(VII)におけるX成分に相当する単量体と共に重合反応させた後に、重合性二重結合基を含有する反応性試薬を反応させた後、高分子反応により重合性反応性基を導入する方法が挙げられる。
具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk,Encycl.Polym.Sci,Eng.,7.551(1987)、中條善樹、山下雄也「染料と薬品」、30.232(1985)、上田明、永井進「化学と工業」、60.57(1986)、P.F.Rempp & E.Franta,Advances in Polymer Science,58.1(1984)、伊藤浩一「高分子加工」、35.262(1986)、V.Percec,Applied Polymer Scence,285.97(1984)等の総説及びそれに引用の文献等に記載の方法に従って重合性二重結合基を導入することができる。
また、他の方法としては、ラジカル重合反応における共重合反応性が異なる二官能性単量体を用いて、X成分に相当する単量体と共に重合反応させて、ゲル化反応を生じることなく一般式(VII)で示される共重合体を合成する特開昭60−185962号記載の方法等が挙げられる。
一般式(VII)で示される樹脂において、X成分とY成分の存在割合を表すx及びyは、重合造粒反応時における反応混合物のゲル化、或いは生成する特定粒子の粗大粒径化を抑制し、且つ、特定粒子の分散安定性・再分散性の点から、60/40〜99/1重合比であり、好ましくは85/15〜98/2重量比である。
また、本発明に供される架橋性基含有共重合体において、一般式(VII)で示される各繰り返し単位と共に、他の繰り返し単位を共重合成分として含有してもよい。他の共重合成分としては、一般式(VII)の各々の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能な単量体よりなるものであればいずれの化合物でもよい。
他の共重合成分としては、多くても全重合成分100質量部に対して、20質量部を超えない範囲で用いられる。20質量部を超えると、本発明における特定粒子の分散性が劣化してしまう。
本発明における架橋性基含有共重合体の重量平均分子量(Mw)は、保存安定性、再分散性、分散安定性の観点から、5×10〜10×10であり、好ましくは1×10〜2×10である。
[造粒方法]
本発明で用いられる特定粒子を作製するには、一般に、前述のような(c)分散剤と、一官能性単量体(b)と、を(a)非水溶媒中で、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、ブチルリチウム等の重合開始剤の存在下に加熱重合させればよい。
具体的には、(i)(c)分散剤、(b)単量体の混合溶液中に重合開始剤を添加する方法、(ii)(c)分散剤を溶解した溶液中に(b)単量体を重合開始剤と共に滴下してゆく方法、或いは、(iii)(c)分散剤の全量と(b)単量体の一部を含む混合溶液中に、重合開始剤と共に残りの(b)単量体を添加する方法、更には、(iv)(a)非水溶媒中に、(c)分散剤、(b)単量体の混合溶液を、重合開始剤と共に添加する方法等があり、いずれの方法を用いても作製することができる。
重合開始剤の量は、(b)単量体の総量の0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは、0.5〜10質量%である。
また、重合温度は、40〜180℃程度であり、好ましくは50〜120℃である。反応時間は3〜15時間が好ましい。
反応に用いた(a)非水溶媒中に、前記したアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性溶媒を併用した場合、或いは、重合造粒化される(b)単量体の未反応物が残存する場合、該溶媒或いは単量体の沸点以上に加温して留去するか或いは、減圧留去することによって除くことが好ましい。
以上の如くして作製された非水系分散樹脂粒子(特定粒子)は、その体積平均粒径が0.8μm以上であり、微細で、かつ、粒度分布が均一となる。また、特定粒子の体積平均粒径の上限値は、分散安定性、保存安定性、再分散性の観点から、5.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1.0〜4.0μmであり、更に好ましくは、1.2〜3.0μmである。
この体積平均粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
本発明において、特定粒子の粒径の制御する因子としては、使用する一官能性単量体の種類及びその濃度、分散剤の種類及びその濃度、溶媒の種類及びその濃度、添加剤の有無、反応温度等が挙げられ、これらを適宜調整することで、所望の粒径の特定粒子を得ることができる。
また、本発明における特定粒子の重量平均分子量は、好ましくは、1×10〜1×10であり、より好ましくは3×10〜5×10、最も好ましくは、5×10〜1×10である。
また、本発明における特定粒子は、その熱物性として、室温(本発明においては、10〜30℃)での弾性率が1.0×10以上であり、定着温度(本発明においては、80〜150℃)での弾性率が5.0×10以下の範囲であることが好ましく、特に、室温での弾性率が1.0×10以上であり、定着温度での1.0×10以下の範囲であることが更に好ましい。
本発明におけるインク組成物において、特定粒子の含有量は、インク組成物の全質量に対して、1〜90質量%の範囲であることが好ましく、2〜80質量%の範囲であることがより好ましく、3〜70質量%の範囲であることが更に好ましい。
特定粒子の含有量が1質量%よりも少ないと、特定粒子の濃度が低下し、画像形成性が低下する場合がある。また、特定粒子が着色されている場合、色濃度が低下して、視認性が低下することがある。また、特定粒子の含有量が90質量%より多いと、粘度が上昇し、吐出性が低下すると共に、特定粒子の凝集が起こり、保存安定性、分散性が低下する場合がある。
本発明におけるインク組成物は、分散媒と特定粒子とを含有する油性インクであり、再分散性、保存安定性(経時安定性)、着色性、及び、被記録媒体との密着性に優れる。また、本発明におけるインク組成物は、微小な液滴を形成することができ、インクジェット記録方法に適用すると、高精細な画像を再現性良く形成することができる。
更に、本発明において、特定粒子は従来の粒子に比べ粒径が大きいことから、表面積が大きくなり、表面に荷電を付与し易くなるという利点を有する。このため、静電方式のインクジェット記録方法に、本発明におけるインク組成物を適用した際であっても、吐出安定性が良好となり、また、低電圧で吐出することが可能となる。その結果、高品質の画像が描画されることとなる。
加えて、本発明におけるインク組成物は特定粒子が高い極性を有することから、平版印刷版用の支持体上に付与し、加熱定着させることで平版印刷版の画像部領域を形成する際に、着色剤との相互作用、アルミニウム支持体の如き親水性表面を有する支持体との相互作用を形成しやすいことから、該支持体に付着した際に、先鋭な着色性による優れた検版性と、高い耐刷性を実現しうる。
以上のように、本発明におけるインク組成物は、様々な方式のインクジェット記録方法に適用しても、吐出安定性が良好であり、更に、滲みのない高品質の画像を描画することができるとともに、平版印刷版の形成に好適であるという優れた効果を有する。
[色材]
本発明におけるインク組成物を、平版印刷版の画像描画に用いる場合などは特に着色画像を形成する必要はないが、形成された画像部の視認性を向上するため、或いは、インク組成物を用いて着色画像を形成しようとするときは、色材を含有することができる。
本発明におけるインク組成物に用いる色材としては、公知の染料及び顔料を使用することができ、用途や目的に応じて選択することができる。例えば、記録された画像記録物(印刷物)の色調の観点からは、顔料を用いることが好ましい(例えば、技術情報協会発行「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」2001年12月25日第1刷参照。以下「文献1」と称する場合がある。)。
また、色材を変更することにより、イエロー、マゼンタ、シアン、墨(ブラック)の4色のインク組成物を作製することができる。特に、オフセット印刷用インクやプルーフに用いられる顔料を使用するとオフセット印刷物と同様な色調が得られるので好ましい。
一方、平版印刷版用インク組成物として用いる場合には、版を検版可能であれば特に色材に制限はなく、これまで平版印刷版でよく使用されてきた染料などを色材として用いることができる。
イエローインク用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I
.ピグメントイエロー74等のモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17等のジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180等の非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100等のアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95等の縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18等の塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー等のアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT等のイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー等のイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153等のニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117等の金属錯塩アゾメチン顔料、C.I.ピグメントイエロー139等のイソインドリノン顔料などが挙げられる。
マゼンタインク用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド3等のモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38等のジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1等やC.I.ピグメントレッド57:1等のアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144等の縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81等の塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88等のチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194等のペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149等のペリレン顔料、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180等のイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83等のアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
シアンインク用の顔料としては、例えば、C.Iピグメントブルー25等のジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15等のフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1等の塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18等のアルカリブルー顔料等が挙げられる。
墨インク用の顔料としては、例えば、アニリンブラック系顔料等の有機顔料や酸化鉄顔料、及びファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料類等が挙げられる。
更に、マイクロリス−A,−K,−Tなどのマイクロリス顔料に代表される加工顔料も好適に使用できる。その具体例としてはマイクロリスイエロー4G−A,マイクロリスレッドBP−K,マイクロリスブルー4G−T,マイクロリスブラックC−Tなどが挙げられる。
また、白インク用の顔料として炭酸カルシウムや酸化チタン顔料を、銀インク用としてアルミニウム粉を、金インク用として銅合金を用いる等、必要に応じて各種の顔料を使用することができる。
顔料は、基本的には一色につき一種類の顔料を使うことが、インク作製の簡便性の点で好ましいが、色相調整として例えば、墨インク用に、カーボンブラックにフタロシアニンを混合するなど、場合によっては2種以上併用することも好ましい。また、ロジン処理等により顔料を表面処理した後使用してもよい。
染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましい。
これらの顔料及び染料は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である。
また、顔料及び染料の含有量は、色材(顔料や染料)の種類及び用途によって適宜決められる。
例えば、直接印刷物として画像描画する場合には、顔料及び染料の含有量は、インク組成物中の特定粒子の質量に対して、0.1〜100質量%の範囲内であることが好ましく、1〜50質量%の範囲であることがより好ましい。0.1質量%以上において、着色量が充足し、印刷物において充分良好な発色が得られ、また、100質量%以下において、非水系分散樹脂粒子の保存安定性、分散性、再分散性等を良好に保つことができる。
一方、平版印刷版の検版などのように視認性を得ることが目的であれば、顔料及び染料の含有量はインク組成物中の特定粒子の質量に対して、0.1〜50質量%の範囲内であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。0.1質量%以上において、着色量が充足し、充分良好な視認性が得られ、また、30質量%以下において、非水系分散樹脂粒子の保存安定性、分散性、再分散性等を良好に保つことができる。更に好ましくは、1〜20質量%である。
これらの色材は、特定粒子とは別に色材自身を分散粒子として、分散媒中に分散させてもよいし、特定粒子中に含有させてもよい。含有させる場合の方法の1つとしては、特開昭57−48738号などに記載されている如く、特定粒子を、好ましい染料で染色する方法がある。或いは、他の方法として、特開昭53−54029号などに開示されている如く、特定粒子と染料を化学的に結合させる方法があり、或いは、また、特公昭44−22955号等に記載されている如く、重合造粒法で作製する際に、予め色素を含有した単量体を用い、色素含有の共重合体とする方法がある。
[荷電調整剤]
本発明におけるインク組成物を、静電型インクジェット記録方式で画像描画する場合には、粒子のパルス電圧に対する応答性(検電性)を高めるために、荷電調整剤を併用することが好ましい。
粒子に検電性を付与するには、湿式静電写真用現像剤の技術を適宜利用することで達成可能である。具体的には、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社・1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の検電材料、例えば、荷電調節剤及び他の添加剤を用いることで行なわれる。
また、例えば、英国特許第893,429号、同第934,038号、米国特許第1,122,397号、同第3,900,412号、同第4,606,989号、特公平6−19596号、特公平6−19595号、特公平6−23865号、特公平4−51023号、特開平2−13965号、特開昭60−185963号等に記載されている化合物やナフテン酸ジルコニウム塩、オクテン酸ジルコニウム塩等の有機カルボン酸の金属塩、ステアリン酸テトラメチルアンモニム塩等の有機カルボン酸のアンモニム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸マグネシウム塩等の有機スルホン酸の金属塩、トルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等の有機スルホン酸のアンモニウム塩、スチレンと無水マレイン酸のコポリマーをアミンで変性したカルボン酸基を含有するポリマー等の側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、メタクリル酸ステアリルとメタクリル酸のテトラメチルアンモニウム塩の共重合体等の側鎖にカルボン酸アニオン基を有するポリマー、スチレンとビニルピリジンの共重合体等の側鎖に窒素原子を有するポリマー、メタクリル酸ブチルとN−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムトシラート塩との共重合体等の側鎖にアンモニウム基を有するポリマー等が挙げられる。
粒子に付与される荷電は、正荷電であっても負荷電であってもよい。
インク組成物全体に対する検電材料の含有量は、0.0001〜20質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内において、インク組成物の電気伝導度を、10nS/m〜1500nS/mの範囲内に容易に調整できる。更に、荷電粒子(特定粒子)の電気伝導度を、インク組成物の電気伝導度の50%以上に容易に調整できる。
[その他の成分]
本発明においては、更に、腐敗防止のために防腐剤や、表面張力を制御するための界面活性剤等を目的に応じて含有することができる。
<(b)吐出された該インク組成物を定着させる工程>
本発明は、被記録媒体に吐出されたインク組成物を定着させる工程(以下、適宜、「(b)工程」と称する)を有する。
以下に、定着させる工程について具体的に記載する。
本発明においては、被記録媒体へのインク吐出後、適切な加熱手段によりインクを定着することが好ましい。用いられる加熱手段としては、ヒートローラ、ヒートブロック、ベルト加熱等の接触式加熱装置、及びドライヤー、赤外線ランプ、可視光線ランプ、紫外線ランプ、温風式オーブン等の非接触式加熱装置を用いることができる。これらの加熱装置は、インクジェット記録装置と連続し、一体となっていることが好ましい。定着時の被記録媒体の温度は、定着の容易さから、40℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。また、定着の時間は、1マイクロ秒〜20秒の範囲内であることが好ましい。
上記のような作製方法を用いることにより、前記被記録媒体上に前記インク組成物による画像部が形成され、平版印刷版を作製することができる。
得られた平版印刷版には、画像部の耐刷性、消去性に優れる印刷物を印刷することが可能となる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔分散剤の合成例〕
<分散剤(C−I):クシ型共重合体>
1.マクロモノマーMM−1の合成
オクタデシルメタクリレート100g、メルカプトプロピオン酸3gおよびトルエン300gの混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら、温度75℃に加温した。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(略称A.I.B.N.)を1.0g加え4時間反応し、更にA.I.B.N.を0.5g加え3時間、更にA.I.B.N.を0.3g加え3時間反応した。次に、この反応溶液にグリシジルメタクリレート8g、N,N−ジメチルドデシルアミン1.0g及びt−ブチルハイドロキノン0.5gを加え、温度100℃にて、12時間撹拌した。冷却後この反応溶液をメタノール2リットル中に再沈し、白色粉末を収率86%で得た。重合体の重量平均分子量は1.8×10であった。なお、構造はNMR、IRで同定した。
Figure 2008044278
2.分散剤(C−I)の合成
スチレン(0.05モル)、上記の方法で得られたマクロモノマーMM−1を(0.95モル)及びトルエン250gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度80℃に加温した。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(略称A.I.B.N.)を3.0g加え4時間反応した。更にA.I.B.N.を1.0g加えて2時間反応し、更にA.I.B.N.を0.5g加えて2時間反応した。冷却後、メタノール3.5リットル中にこの混合溶液を再沈し、粉末を濾集後、乾燥して、白色粉末を収率90%で得た。なお、構造はNMR、IRで同定した。
得られた重合体の重量平均分子量(Mwと略称する)は3.5×10であった。
<分散剤(C−II):架橋性基含有共重合体>
オクタデシルメタクリレート96g、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシカルボニル)酪酸4g、及びトルエン250gの混合溶液を窒素気流下、温度80℃に加温した。開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(略称A.I.B.N.)1.5g加え4時間反応し、続けてA.I.B.N.を0.8g加えて温度80℃に加温し、4時間反応した。
反応混合物を室温に冷却した後、攪拌下に、アリルアルコール6gを加えて、続けてジシクロヘキシルカルボジイミド(略称D.C.C.)10g、4−(N,N−ジエチルアミノ)ピリジン0.1g及び塩化メチレン30gの混合溶液を1時間で滴下した。さらにこのまま3時間反応し、反応を完結させた。次に、この反応混合物に80%ギ酸を10g加え1時間攪拌した後、不溶物を濾別し、濾液をメタノール2.5リットル中に再沈した。沈澱物を濾集後、再びトルエン200gに溶解し、不溶分を濾別した後、濾液をメタノール1リットル中に再沈した。沈澱物を濾集し、乾燥した。なお、構造はNMR、IRで同定した。
得られた重合体の収率は85%で、Mwは4.6×10であった。
Figure 2008044278
〔特定粒子(D−1)の合成〕
前記分散剤〔C−II〕15gと、メタクリル酸メチル19.27g、アクリル酸メチル23.33g、アクリル酸3.60g、及びアイソパーG184.83gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤としてV−65を0.683g加え、4時間反応した。さらに、開始剤V−65を0.4471g加えて、温度80℃に加温して0.5時間反応した。続けて温度を100℃に上げ1時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率98.9%で平均粒径1.08μmの粒子であった。粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
〔特定粒子(D−2)〜(D−9)、(D−A)、(D−B)の合成〕
特定粒子(D−1)の合成方法において、単量体の種類及び重合比(モル質量比)、及び、使用した分散剤を換えた他は、特定粒子(D−1)の合成と同様の方法を用いて、特定粒子(D−2)〜(D−9)、(D−A)、(D−B)を合成した。
〔インク組成物(IK−2)〜(IK−9)、(IK−A)、(IK−B)の作製〕
上記のようにして得られた特定粒子(D−1)〜(D−9)及び比較用粒子(D−A)、(D−B)の各々を含有する分散液を、アイソパーGを用いて、特定粒子又は比較用粒子の固形分量が50gとなり、且つ、特定粒子又は比較用粒子を20質量%含有する分散液となるように希釈し、そこに、ビクトリアピュアブルーを5g加えて、50℃で4時間反応させた。反応終了後、4μmのフィルター濾過を行うことにより、実施例及び比較例のインク組成物(IK−2)〜(IK−9)、(IK−A)、(IK−B)を得た。これらは、青色着色インク組成物である。
以上により得られた実施例及び比較例のインク組成物(IK−1)〜(IK−9)、(IK−A)及び(IK−B)の詳細を下記表1及び2に示す。表中、「樹脂の構造単位」は「一官能性単量体」に由来する構造単位を示し、各構造単位に付記する数字は質量比を表す。
Figure 2008044278
Figure 2008044278
[アルミニウム支持体の作製]
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 050材のアルミニウム板を得た。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
[表面処理]
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)機械的粗面化処理
図4に示したような装置を使って、比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図4において、101はアルミニウム板、102及び104はローラ状ブラシ、103は研磨スラリー液、105、106、107及び108は支持ローラである。研磨剤の平均粒径は40μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は図5に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図6に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dmであった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.25g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は図5に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図6に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
図7に示す構造の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行い、平版印刷版用支持体を得た。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/mであった。
以上により得られた平版印刷版用の支持体の中心線平均粗さは0.55μm、大波の平均波長は65μm、中波の平均開口径は1.4μm、小波の平均開口径は0.14μm、小波の平均開口径に対する深さの比が0.46であった。
(インク受容層の形成)
[インク受容層用ポリマー(L−1)の合成]
MeOH 9.46gを加えた200ml三口フラスコに、75℃、窒素雰囲気下で、ジエチルアミノエチルメタクリレート7.30g(30.0mmol)、メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム12.97g(70.0mmol)、V−601 0.9210g(4.0mmol)、MeOH 37.83gの溶液を2時間かけて滴下し、更に5時間反応させた。反応液を酢酸エチルで再沈し、ろ過乾燥して、本発明に係る塩基性基を有する化合物であるインク受容層形成用ポリマー(L−1)を18.85g得た。
[インク受容層用ポリマー(L−2)〜(L−10)の合成]
前記インク受容層用ポリマー(L−1)において、共重合成分をそれぞれ前記構造単位(モノマー)に変更した以外は、前記インク受容層用ポリマー(L−1)と同様にして、本発明に係る塩基性基を有する化合物であるインク受容層用ポリマー(L−2)〜(L−10)を得た。
[インク受容層用ポリマー(L−A)の合成]
MeOH 11.16gを加えた200ml三口フラスコに、75℃、窒素雰囲気下で、ビニルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド10.15g(40.0mmol)、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム13.75g(60.0mmol)、V−601 1.1513g(5.0mmol)、MeOH 44.63gの溶液を2時間かけて滴下し、更に4時間反応させた。反応液を酢酸エチルで再沈し、ろ過乾燥してインク受容層形成用ポリマー(L−A)を21.76g得た。
Figure 2008044278
<インク受容層の形成>
上記で作製した支持体上に下記インク受容層用塗布液(1)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量が50mg/mのインク受容層(塩基性基を有するポリマー層)を形成した。以上のようにして、平版印刷用支持体を得た。
−インク受容層用塗布液−
・特定共重合体 0.089g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
<実施例1〜18、比較例1〜10>
実施例1〜実施例9及び比較例1〜5の平版印刷版は、上記のように作製した支持体上に、表3に示したインク受容体及びインク組成物を静電方式により吐出して作製した。
実施例10〜18及び比較例6〜10の平版印刷版は、上記のように作製した支持体上に、表4に示したインク受容体及びインク組成物をピエゾ方式により吐出して作製した。
<評価>
得られたインク組成物(IK−1)〜(IK−9)を用いて、後述の如く作製した平版印刷版用支持体(アルミニウム支持体)に、以下に示す(1)静電方式、(2)ピエゾ方式の各インクジェット記録方法により画像を形成し、1.耐刷性、2.消去性、3.耐汚れ性、4.画像滲み、の各評価を行った。
1.耐刷性
(細線耐刷性強制試験)
得られたインク組成物について、前述のごとく作製した、被記録媒体(アルミニウム支持体)を用いて、以下に示す(1)静電方式及び(2)ピエゾ方式の各インクジェット記録方法により画像を形成し、以下のごとく耐刷性の評価を行った。静電方式の結果を表3に、ピエゾ方式の結果を表4に示す。
(1)静電方式のインクジェット記録方法
得られたインク組成物を、前記した静電方式のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により、アルミニウム支持体上にジェッティングした後、120℃オーブンで20秒間加熱して定着させ平版印刷版を得た。得られた印刷版を、印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ(株)社製グラフG(N)を使用した。印刷開始から5,000枚目に富士写真フイルム(株)製PSプレートクリーナーCL−2を印刷用スポンジにしみこませ、細線部を拭き、版面のインキを洗浄した。
その後、画像部細線(10μm)の印刷物を観察し、画像がかすれ始めた枚数によって細線耐刷性を相対比較した。
評価結果は、実施例1を基準(100)とした耐刷指数で表した。この耐刷指数は数字が大きいほど高耐刷であり好ましい。評価結果を表3に示す。
(2)ピエゾ方式のインクジェット記録方法
得られたインク組成物を、セイコーエプソン(株)製PX−G920を用いて、アルミニウム支持体上にジェッティングした後、110℃オーブンで20秒間加熱し定着させ平版印刷版を得た。得られた印刷版を、印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ(株)社製グラフG(N)を使用して、印刷を行った。印刷開始から5,000枚目に富士写真フイルム(株)製PSプレートクリーナーCL−2を印刷用スポンジにしみこませ、細線部を拭き、版面のインキを洗浄した。
その後、画像部細線(10μm)の印刷物を観察し、画像がかすれ始めた枚数によって細線耐刷性を相対比較した。
評価結果は、実施例10を基準(100)とした耐刷指数で表した。この耐刷指数は数字が大きいほど高耐刷であり好ましい。評価結果を表4に示す。
2.消去性
下記処方の消去液を、画像領域に応じて毛筆に含ませるか、ペンからにじみ出させて、前記静電方式及びピエゾ方式で作製した平版印刷版上の不要な画像部に塗布した後、30秒間放置し、水を噴霧して洗い流した。えられた消去処理後の平版印刷版を小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷し、不要な画像部の消去性を印刷物から目視で確認し、以下の基準で評価した。静電方式の結果を表3に、ピエゾ方式の結果を表4に示す。
○:不要な画像部が除去されている
△:不要な画像部がほぼ除去されている
×:不要な画像部が除去されず、汚れが生じている
<消去液組成>
・プロピレンカーボネート 10.0質量部
・エチレンカーボネート 40.0質量部
・ジメチルスルホキシド 33.3質量部
・純水 8.4質量部
・ジルコンフッ化水素酸(40wt%水溶液) 2.4質量部
・トリエタノールアミン 1.2質量部
・粉末二酸化ケイ素 4.7質量部
3.汚れ性
得られた平版印刷版の非画像部に別の平版印刷版の裏面で意図的にキズを付けた後、又は指を押し付けた後、耐刷性評価に記載の方法で得られた100枚目の各平版印刷版物について、非画像部のキズ状の汚れと指紋状の汚れ等を目視で評価した。評価基準は、殆ど汚れていないものを○、顕著に汚れていたものを×とした。静電方式の結果を表3に、ピエゾ方式の結果を表4に示す。
4.画像滲み評価
得られたインク組成物を、前述のごとく作製したアルミニウム支持体上に、前記静電方式により、1.5plの液滴量でインクジェット記録した後、120℃のオーブンで20秒間加熱し、定着させた。得られた画像のドット径をSEMにて評価した。静電方式の結果を表3に、ピエゾ方式の結果を表4に示す。
評価指標は、以下の通りである。
○・・直径40μm以下のドット径となったもの
△・・直径40μmより大きく、且つ、直径50μm以下のドット径となったもの
×・・直径50μmより大きいドット径となったもの
Figure 2008044278
Figure 2008044278
表3に示されるように、静電方式によりインク組成物をインクジェット記録させた本発明の平版印刷版は、耐刷性、消去性、耐汚れ性に優れ、且つ画像滲みがない平版印刷版であることが分かった。これに対し、本発明で用いるインク受容層を形成していない比較例1では、良好な耐刷性は得られたが、消去性、耐汚れ性及び画像滲みが劣る結果を示した。塩基性基を有しない化合物を含有するインク受容層を形成した比較例2及び比較例4は、耐刷性、消去性及び画像滲みに問題がある結果を示した。さらに、酸基を有さない化合物からなる比較例3、樹脂粒子の粒径が本発明の範囲外である比較例5は、耐刷性及び画像滲みに問題がある結果を示した。
表4に示されるように、ピエゾ方式によりインク組成物をインクジェット記録させた本発明の平版印刷版は、耐刷性、消去性及び汚れ性に優れる結果を示した。これに対し、本発明で用いるインク受容層を形成していない比較例6では、良好な耐刷性は得られたが、消去性、耐汚れ性が劣る結果を示した。塩基性基を有しない化合物を含有するインク受容層を形成した比較例7及び比較例9は、耐刷性、及び消去性に問題がある結果を示した。さらに、酸基を有さない化合物からなる比較例8、樹脂粒子の粒径が本発明の範囲外である比較例10は、耐刷性に問題がある結果を示した。
本発明のインク組成物に好適なインクジェット印刷装置の一例を模式的に示す全体構成図である。 本発明におけるインクジェット記録装置のインクジェットヘッドの構成を示す斜視図である(判りやすくするために、各吐出部でのガード電極のエッジは描いていない)。 図2に示す、インクジェットヘッドの吐出部の使用数が多いときの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である(図2の矢視X−Xに相当)。 本発明に係る平版印刷版用支持体の作製における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。 本発明に係る平版印刷版用支持体の作製における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。 本発明に係る平版印刷版用支持体の作製における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。 本発明に係る平版印刷版用支持体の作製における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。
符号の説明
G 飛翔したインク滴
P 被記録媒体
Q インク流
R 荷電粒子
1 インクジェット記録装置
2、2Y、2M、2C、2K 吐出ヘッド
3 インク循環系
4 ヘッドドライバ
5 位置制御手段
6A、6B、6C 搬送ベルト張架ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ベルト位置検知手段
9 静電吸着手段
10 除電手段
11 力学的手段
12 フィードローラ
13 ガイド
14 画像定着手段
15 ガイド
16 記録媒体位置検知手段
17 排出ファン
18 溶媒蒸気吸着材
38 インクガイド
40 支持棒部
42 インクメニスカス
44 絶縁層
46 第1吐出電極
48 絶縁層
50 ガード電極
52 絶縁層
56 第2吐出電極
58 絶縁層
62 浮遊導電板
64 被覆膜
66 絶縁部材
70 インクジェットヘッド
72 インク流路
74 基板
75、75A、75B 開口
76、76A、76B 吐出部
78 吐出部
101 アルミニウム板
102、104 ローラ状ブラシ
103 研磨スラリー液
105、106、107、108 支持ローラ
111 アルミニウム板
112 ラジアルドラムローラ
113a、113b 主極
114 電解処理液
115 電解液供給口
116 スリット
117 電解液通路
118 補助陽極
119a、119b サイリスタ
120 交流電源
121 主電解槽
122 補助陽極槽
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
414 電解処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 給電電極
422、428 ローラ
424 ニップローラ
430 電解電極
432 槽壁
434 直流電源

Claims (4)

  1. (a)親水化処理を施した支持体上に塩基性基を有する化合物を含むインク受容層を設けてなる被記録媒体に、酸基を有する高分子化合物を含む非水系分散樹脂粒子を含有するインク組成物を吐出する工程と、
    (b)吐出された該インク組成物を定着させる工程と、
    を含むことを特徴とする平版印刷版の作製方法。
  2. 前記インク組成物が体積平均粒径0.8μm以上5.0μm以下の非水系分散樹脂粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の作製方法。
  3. 前記インク組成物を吐出する工程が、静電方式のインクジェット記録方法により行われることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の作製方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の作製方法で作製された平版印刷版。
JP2006223445A 2006-08-18 2006-08-18 平版印刷版の作製方法、及びそれを用いた平版印刷版 Pending JP2008044278A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006223445A JP2008044278A (ja) 2006-08-18 2006-08-18 平版印刷版の作製方法、及びそれを用いた平版印刷版

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006223445A JP2008044278A (ja) 2006-08-18 2006-08-18 平版印刷版の作製方法、及びそれを用いた平版印刷版

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008044278A true JP2008044278A (ja) 2008-02-28

Family

ID=39178462

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006223445A Pending JP2008044278A (ja) 2006-08-18 2006-08-18 平版印刷版の作製方法、及びそれを用いた平版印刷版

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008044278A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4846324B2 (ja) インクジェット用インク組成物、及びそれを用いた平版印刷版の作製方法
US6184267B1 (en) Oil-based ink for preparing printing plate by ink jet process and method for preparing printing plate by ink jet process
JP2008024892A (ja) インク組成物、及びそれを用いた平版印刷版の作製方法
JPH10279867A (ja) インクジェット式製版印刷版用油性インク
US6136889A (en) Oil-based ink for preparing printing plate by ink jet process and method for preparing printing plate by ink jet process
JP2008013605A (ja) インクジェット記録用インク組成物、平版印刷版の作製方法、及び、平版印刷版
JPH10204354A (ja) インクジェット式製版印刷版用油性インク
JP2008168593A (ja) 平版印刷版の作製方法
JP2008044278A (ja) 平版印刷版の作製方法、及びそれを用いた平版印刷版
JP2003138183A (ja) 静電式インクジェット用油性インク
JP2007106967A (ja) インクジェット用インク組成物、及びそれを用いた平版印刷版の作製方法
JP2007106804A (ja) インクジェット用インク組成物、及びそれを用いた平版印刷版の作製方法
JP2000313832A (ja) 静電式インクジェット用油性インク
JP2001098198A (ja) 静電式インクジェット用油性インク
JP2001139862A (ja) 静電式インクジェット用油性インク
JP2001040257A (ja) 静電式インクジェット用油性インク
JPH10273612A (ja) インクジェット式製版印刷版用油性インク
JP2000336291A (ja) 静電式インクジェット用油性インク
JP2001139859A (ja) 静電式インクジェット用油性インク
JPH10315617A (ja) インクジェット式製版印刷版用油性インクおよびそれを用いた製版印刷版の作成方法
JP2004051789A (ja) 静電式インクジェット製版用油性インク
JP2001131455A (ja) 静電式インクジェット用油性インク
JP2008081672A (ja) インクジェット用インク組成物、それを用いた平版印刷版の作製方法
JP2001011350A (ja) 静電式インクジェット用油性インク
JP2007106806A (ja) インク組成物及びそれを用いた平版印刷版の作製方法