JP2007276322A - タッチパネル用透明導電性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の透明導電フィルムの透過色調を補正し、表面外観の均一で描画耐久性の高いタッチパネル用透明導電フィルムを提供する。
【解決手段】高分子フィルムの基材、導電層、誘電体層の順に積層した透明導電フィルムで、色度a*が−1.0以上1.0以下、b*が−1.0以上1.0以下、全光線透過率が80%以上であるタッチパネル用透明導電性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、タッチパネルの電極用に使われる透明導電フィルムに関するものである。
従来の金属系透明導電フィルムでは主に酸化インジウム・スズ合金(以下ITOとする)が用いられており、これは透過光が特有の黄色味を呈する性質がある。これにより、特にカラー表示では画像の色が変化するなどの現象が生じるために表示品位が下がり、補正の手間がかかるなどの問題があった。
色調補正の方法としては、基材に顔料や染料を塗ったり、練りこむ方法(特許文献1参照)が容易に考えられるが、透過率が全体に下がる欠点があった。また、基板であるプラスチックフィルム上に屈折率の高いITO層を設けた積層体の反射率や色度・色差を制御する方法としては、さらにその上に屈折率の低い薄膜層を構成する方法(特許文献2参照)があるが、一般に屈折率が低い物質は絶縁体であるために、表面接触時にITO膜と対面電極間で通電する必要があるタッチパネル用途には向かなかった。
これに対し、発明者は鋭意努力の結果、高誘電率の誘電体をITO上に薄く形成する方法により、ITOの耐久性を上げつつ表面接触時の通電を維持できることを見出した。しかし、誘電体の薄膜形成の安定性が悪く、表面にモヤモヤとしたムラができて外観が悪くなった。
特開2003−114764号公報 特開平9−61602号公報
従来の透明導電フィルムの透過色調を補正し、表面外観が均一で描画耐久性の高いタッチパネル用透明導電フィルムを提供する。
本発明はこれらの課題を解決するために以下の手段を用いる。
フィルムに、導電層を積層し、さらに、誘電体層を積層したタッチパネル用透明導電性フィルムであって、色度a*が−1.0以上1.0以下、b*が−1.0以上1.0以下であり、全光線透過率が80%以上であるタッチパネル用透明導電性フィルム。
本発明により、描画耐久性に優れ、さらにこれまでになく良好な色調と均一な表面外観を持った、タッチパネル用透明導電性フィルムを得ることが出来る。
本発明によるタッチパネル用透明導電性フィルムを用いることで、視認性や階調表現に優れたタッチパネルモジュールや、これを組み込んだ各種表示装置や情報端末を生産することが出来る。
本発明品は、基材としてフィルムを用い、この上に導電層・誘電体層の順に積層して作られたタッチパネル用透明導電性フィルムである。
基材となるフィルムは、好ましくは、プラスチックフィルムであり、基材となるフィルムの材質としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アセテート樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂などの透明度の高い樹脂が好ましく、中でも透明度が高く、耐熱性が高く、可撓性のあるポリエチレンテレフタレートからなるフィルムがより好ましい。
導電層との密着性を上げるために、基材に対して各種の物理的・化学的表面処理を行うことが好ましい。また、接着樹脂のコーティングを行うことも好ましい手段である。
前述のフィルムは加工時の熱による収縮が工程中で起こることがあるので、前もって熱処理を施して、収縮の原因である歪みを取っておくことが好ましい。
導電層は、金、銀、銅などの極薄金属薄膜や、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、それらから選ばれた一種または二種以上の化合物であることが好ましい。特に、酸化インジウム、酸化スズ、及び酸化亜鉛から選ばれた一種または二種以上の化合物は、表面抵抗値が低く、透明性が高く、湿度などによる化学的変化が少ないため、より好ましい。
また、導電層は無機材料に限らず、透明で導電性を持った高分子でも良い。このような透明導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体、及びこれらを構成する単量体の共重合物から選ばれた導電性高分子のいずれか一種または二種以上の混合物などである。特にポリジオキシチオフェンを含有する導電性高分子、中でもポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の混合物からなる導電性高分子は、水やその他の溶媒に溶解あるいは拡散できるので容易にフィルムにコーティングでき、さらに透明性と導電性がともに高い膜を作成できることからもっとも好ましい。
導電層は単層に限らず、上記に掲げたような複数の物質による複数の層で構成されていても良い。
タッチパネル用透明導電性基材の場合、表面抵抗値は100Ω/□以上1000Ω/□以下であることが好ましい。100Ω/□未満ではタッチパネルとしての電力使用量が多くなり、特に小型携帯機器に使用する場合は好ましくない。また、1000Ω/□を越えると電波外乱の影響を受けやすくなる。
導電層の上に誘電体層を積層する事で、導電層にクラックが入りにくくなる。誘電体層は、有機高分子からなることが好ましい。
本発明のタッチパネル用透明導電性フィルムでは、好ましくは、誘電体層の厚さは40nm以上500nm以下である。
本発明のタッチパネル用透明導電性フィルムでは、より好ましくは、温度20℃、周波数1kHzにおける比誘電率が15以上ある有機高分子を、厚さを40nm以上500nm以下に適切に制御しながら塗装することによって、表面抵抗値を上げずに描画による抵抗値変化を抑えることが出来る。
誘電体層の厚さは、40nm未満、または、500nmより大きい場合、誘電体層の厚さが2000nm以下であれば、表面抵抗値が著しく高くなることはないが、誘電体層の厚さが、500nm以下であれば、軽荷重時の通電安定性が高くなるため、ペン入力時の安定性が上がり適当である。
さらにもう一つの作用として、誘電体層の厚さを、40nm以上500nm以下に制御すると、無彩色で透過率の高い積層体が形成できる。従って、誘電体層の厚さを40nm以上500nm以下にすることにより、適切に色調補正をしつつ、表面接触時の通電を維持するという、従来の屈折率が低い薄膜層(誘電体層)には難しかった課題を、より好ましく解決できる。
本発明のタッチパネル用透明導電性フィルムでは、誘電体層の具体的な材質としては、シアノエチル化有機高分子が好ましい。なかでもシアノエチルセルロース、シアノエチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子のシアノエチル化高分子、シアノエチルスターチ、シアノエチルヒドロキシプロピルスターチ、シアノエチルプルランなどのデンプン系高分子のシアノエチル化高分子、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルシュクロースなどから選ばれた一種、または2種以上の有機高分子がより好ましい。
なかでもシアノエチルプルランは、可撓性があり、描画耐久性が高く、高温高湿下での抵抗値の安定性も高い複合透明導電性基材が得られるので、特に好ましい。
また、本発明のタッチパネル用透明導電性フィルムでは、誘電体層として、アセチル化高分子が好ましく、アセチル化プルランもより好ましく用いることができる。アセチル化プルランは単独でも用いても良く、シアノエチル化した有機高分子と混合して用いてもその特性が変わることがない点で好ましい。
本発明のタッチパネル用透明導電性フィルムでは、シアノエチルプルランを塗布するとき、誘電体層にパーフルオロアルキル基を有するオリゴマーを0.01%以上10%以下含有することが好ましい。誘電体層にパーフルオロアルキル基を有するオリゴマーを0.01%以上10%以下含有させると、薄膜形成が安定で平面性がよく、ムラができない。パーフルオロアルキル基を有するオリゴマーは、誘電体層に0.1%以上5%以下含有することがより好ましい。
本発明のタッチパネル用透明導電性フィルムでは、パーフルオロアルキル基を有するオリゴマーは、好ましくは、CFCFCFCFCFCF−基を有し、GPCポリスチレン換算のMw分子量が、6000〜7000のオリゴマーである。また、パーフルオロアルキル基を有するオリゴマーは、ノニオン系のオリゴマーが好ましい。
本発明のタッチパネル用透明導電性フィルムでは、導電層や誘電体層の形成には、好ましくは、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVDと称される真空蒸着法やCVDを含むドライプロセスによる方法や、水や各種溶媒に溶解・分散させたものを種々の方法で基材上に塗工して乾燥・硬化させるウェットプロセスによる方法が用いられる。一般にドライプロセスよりもウェットプロセスの方が安価かつ高速に加工できるため好ましく用いられるが、これらの方法については特に限定されるものではなく、用途や要求物性に応じて適切な方法を選択し、組み合わせて用いることができる。
以下に本発明の実施様態を実施例をもって説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔評価方法〕
1.a*値、b*値
島津製作所製分光光度計UV−3100を用いて、D65光源にて透過法で測定した。a*値は正の値で絶対値が大きいほど赤色が強く、負の値で絶対値が大きいほど緑色が強くなる。また、b*値は正の値で絶対値が大きいほど黄色が強く、負の値で絶対値が大きいほど青色が強くなる。いずれも絶対値が大きいとタッチパネル下側の表示画面の色調が偏ってしまい好ましくない。絶対値が0に近いほど無彩色であることを表し、より好ましい性質を持つと評価できる。
2.全光線透過率
村上色彩製ヘーズ・透過率・反射率計HR−100を用いてD65光源にて測定した。全光線透過率が低いとタッチパネル下側の表示画面が暗くなり、電力を余分に使用する必要があるなど好ましくない。
3.表面抵抗値
ダイヤインスツルメンツ製低抵抗率計ロレスタLPを用いて、四探針法にて測定した。
4.抵抗値変化率
前述3.の方法で表面抵抗値(R0)を測定したサンプルを、温度60℃、湿度90%に設定した恒温恒湿層に240時間入れた後に取り出し、同じ方法で表面抵抗値(R)を測定した。両者の比(R/R0)により高温高湿下での抵抗値の安定性を評価した。1に近いほど安定性に優れている。
5.描画による抵抗値変化の評価
タッチパネル研究所製スペーサー付き導電ガラスの導電面端部に粘着テープ付きの銅箔テープを貼り、下部固定電極とする。本発明品の導電面端部にも粘着テープ付きの銅箔を貼り、下部固定電極と直交するように張り合わせて評価用タッチパネルを作成した。このタッチパネルをタッチパネル研究所製タッチパネル検査装置に設置し、本発明品の表面硬化層を、ペン先0.8Rのポリアセタール製ペンに300gの荷重をかけ、長さ20mmの直線を210mm/秒の速度で往復描画した。1000回毎に抵抗値を測定して直線性(リニアリティ)を計算し、直線性の差が1.5%を越えたときの描画回数を最大描画回数とする。回数が多いほど耐久性に優れている。
6.外観
三波長型蛍光灯の下で、サンプルのさざ波状ムラやシボ状ムラなどの有無を目視観察して確認した。平滑で上記のムラ状欠点が無く、無彩色であると良好であり、ムラ状欠点や彩色傾向があると好ましくない。
〔実施例1〕
厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 商品名“ルミラー(登録商標)”U34)を基材とし、片面に巻き取り式マグネトロンスパッタ装置を用いて、表面抵抗値が420Ω/□になるようにITOを薄膜形成し、透明導電層を形成した。さらに透明導電層の上にグラビアコータを用いてシクロヘキサノンを主溶媒とする溶媒にシアノエチルプルランを溶かし、パーフルオロアルキル基を付加したオリゴマーとして大日本インキ製 商品名“メガファック”F−470を固形分比1.5%添加した塗料を作成してこれを塗布した。
以上の加工を施した面の反対面に表面硬化樹脂(日本化薬製 商品名“KAYANOVA”FOP−1740)をグラビアコータにより塗布し、オーブンで乾燥後、高圧水銀灯で照射して表面硬化フィルムを作成した。このフィルムはシアノエチルプルランの乾燥後の厚さが50nmで、透過光のa*値は−0.5、b*値が0.7で無彩色になった。評価した結果を表1に示す。
実施例1の複合導電性基材を用いたタッチパネルは、最大描画回数が描画耐久性の目安である10万回以上を満たしており、描画耐久性に優れていた。
〔実施例2〕
厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 商品名“ルミラー(登録商標)”U34)を基材とし、片面に巻き取り式マグネトロンスパッタ装置を用いて、表面抵抗値が460Ω/□になるようにITOを薄膜形成し、透明導電層を形成した。さらに透明導電層の上にグラビアコータを用いてジメチルフォルムアミド(DMF)を主溶媒とする溶媒にシアノエチルプルランを溶かし、パーフルオロアルキル基を付加したオリゴマーとして大日本インキ製 商品名“メガファック”F−470を固形分比1.5%添加した塗料を作成してこれを塗布した。
以上の加工を施した面の反対面に表面硬化樹脂(日本化薬製 商品名“KAYANOVA”FOP−1740)をグラビアコータにより塗布し、オーブンで乾燥後、高圧水銀灯で照射して表面硬化フィルムを作成した。このフィルムはシアノエチルプルランの乾燥後の厚さが100nmで、透過光のa*値は−0.3、b*値は0.6で無彩色になった。評価した結果を表1に示す。
実施例2の複合導電性基材を用いたタッチパネルは、最大描画回数が描画耐久性の目安である10万回以上を満たしており、描画耐久性に優れていた。
また、表面は均一で、好ましい外観になった。
〔実施例3〕
厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 商品名“ルミラー(登録商標)”U426)を基材とし、片面に巻き取り式マグネトロンスパッタ装置を用いて、表面抵抗値が400Ω/□になるようにITOを薄膜形成し、透明導電層を形成した。さらに透明導電層の上にグラビアコータを用いてシクロヘキサノンを主溶媒とする溶媒にシアノエチルプルランを溶かし、パーフルオロアルキル基を付加したオリゴマーとして大日本インキ製 商品名“メガファック”F−470を固形分比1.5%添加した塗料を作成してこれを塗布した。
以上の加工を施した面の反対面に表面硬化樹脂(日本化薬製 商品名“KAYANOVA”FOP−1740)をグラビアコータにより塗布し、オーブンで乾燥後、高圧水銀灯で照射して表面硬化フィルムを作成した。このフィルムはシアノエチルプルランの乾燥後の厚さが60nmで、透過光のa*値は0.3、b*値は0.7で無彩色になった。評価した結果を表1に示す。
実施例3の複合導電性基材を用いたタッチパネルは、最大描画回数が描画耐久性の目安である10万回以上を満たしており、描画耐久性に優れていた。
また、表面は均一で、好ましい外観になった。
〔比較例1〕
実施例と同様に厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 商品名“ルミラー(登録商標)”U34)を基材とし、片面に巻き取り式マグネトロンスパッタ装置を用いて、表面抵抗値が450Ω/□になるようにITOを薄膜形成し、透明導電層を形成した。誘電体層は形成しなかった。
以上の加工を施した面の反対面に表面硬化樹脂(日本化薬製 商品名“KAYANOVA”FOP−1740)をグラビアコータにより塗布し、オーブンで乾燥後、高圧水銀灯で照射して表面硬化フィルムを作成した。このフィルムは透過光のb*値が5.6でかなり黄色くなった。また描画耐久性は8000回までしか達しなかった。評価した結果を表1に示す。
また、表面は均一で、好ましい外観になった。
〔比較例2〕
実施例と同様に厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 商品名“ルミラー(登録商標)”U34)を基材とし、片面に巻き取り式マグネトロンスパッタ装置を用いて、表面抵抗値が420Ω/□になるようにITOを薄膜形成し、透明導電層を形成した。さらに透明導電層の上にグラビアコータを用いてシクロヘキサノンを主溶媒とする溶媒にシアノエチルプルランを溶かした塗料を作成してこれを塗布した。塗料にオリゴマーは添加しなかった。
以上の加工を施した面の反対面に表面硬化樹脂(日本化薬製 商品名“KAYANOVA”FOP−1740)をグラビアコータにより塗布し、オーブンで乾燥後、高圧水銀灯で照射して表面硬化フィルムを作成した。
このフィルムもシアノエチルプルランの乾燥後の厚さが50nmでb*値が0.7となり、黄色味は少なく、最大描画回数は描画耐久性の目安である10万回以上を満たしており、描画耐久性に優れていたが、表面にモヤモヤとしたムラができて外観は悪くなった。評価した結果を表1に示す。
Figure 2007276322

Claims (5)

  1. フィルムに、導電層を積層し、さらに、誘電体層を積層したタッチパネル用透明導電性フィルムであって、色度a*が−1.0以上1.0以下、b*が−1.0以上1.0以下であり、全光線透過率が80%以上であるタッチパネル用透明導電性フィルム。
  2. 誘電体層がシアノエチル化高分子またはアセチル化高分子であり、厚さが40nm以上500nm以下である請求項1に記載のタッチパネル用透明導電性フィルム。
  3. 誘電体層にパーフルオロアルキル基を有するオリゴマーを0.01%以上10%以下含む、請求項1または請求項2に記載のタッチパネル用透明導電性フィルム。
  4. 導電層が、金属系透明導電体及び/または導電性高分子からなり、導電層の表面抵抗値が100Ω/□以上1000Ω/□以下である請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネル用透明導電性フィルム。
  5. 請求項1〜5のいずれかに記載のタッチパネル用透明導電性フィルムを用いたタッチパネル。
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