JP2007276301A - 表皮材、内装部品、および放熱車体構造 - Google Patents

表皮材、内装部品、および放熱車体構造 Download PDF

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Abstract

【課題】日射透過層に破裂や凹みなどの外観不良を招くことなく真空成形することができ、車室内空気への熱伝導および輻射熱を低減するという所期の目的を十分に達成し得る表皮材を提供する。
【解決手段】表皮材1は、最表層から順に日射透過層10、外気と通じている空間保持層20、および受熱層30が積層され、真空成形法によって部品形状が付与される。空間保持層中の空間が表皮材単位面積当りに占める容積、と定義される「空間保持層の空間容積(m3/m2)」を、0.40×10−4m3/m2以上、40×10−4m3/m2以下、好ましくは、0.40×10−4m3/m2以上、8.0×10−4m3/m2以下に設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表皮材、内装部品、および放熱車体構造に関する。
周知のように、夏季炎天下に駐車した場合、インストルメントパネルなどの内装部品の表面は、フロントウインドウなどを透過した太陽光線の熱を吸収して非常に高温となる。こうした状況で乗車した時の不快さは言うまでもないが、換気あるいは冷房を作動させた後も内装表面温度が容易に下がらず、長時間にわたって乗員に輻射熱を放射し続け、快適性を大きく損なっている。
この問題点を解決するために、本願発明者らは、夏期の熱暑感を低減し快適な温熱環境を提供するための表皮材を提案した(特許文献1参照。)。
特許文献1に記載された表皮材は、内装部品の基材上に、最表層から順に日射透過層、空間保持層、および低明度層を積層した構造を有する。太陽光線は日射透過層および空間保持層を通過し、低明度層に達する。日射により低明度層が発熱するが、熱伝導性の低い空気が存する空間保持層によって、発熱部位である低明度層から日射透過層への熱移動が妨げられる。この結果、内装部品表面つまり日射透過層表面の温度上昇を低減し、車室内空気への熱伝導および輻射熱を低減している。
ところで、一般的に、インストルメントパネルなどの内装部品は、複雑な形状を有する部品を比較的簡便に製造できる真空成形法によって、製造されている。このため、上記の表皮材を内装部品に適用する場合には、真空成形法によって、表皮材に部品形状を付与する必要がある。すなわち、表皮材を構成する樹脂材料の転移点温度以上に加熱した表皮材を、部品の表面形状に合致した内面形状を有する金型に吸引して密着させ、その後冷却して、表皮材に部品形状を付与する必要がある。
しかしながら、上記の表皮材には空間保持層が存するため、真空成形時に、日射透過層に破裂や凹みなどの外観不良が生じる虞がある。日射透過層に凹みなどが生じると、空間保持層における断熱機能が損なわれ、車室内空気への熱伝導および輻射熱を低減するという所期の目的を達成できなくなる。
そのため、日射透過層に破裂や凹みなどの外観不良を招くことなく真空成形することができ、車室内空気への熱伝導および輻射熱を低減するという所期の目的を十分に達成し得る表皮材の開発が要請されている。
特開2003−205561号公報
本発明の目的は、上記要請に応えるべくなされたものであり、日射透過層に破裂や凹みなどの外観不良を招くことなく真空成形することができ、車室内空気への熱伝導および輻射熱を低減するという所期の目的を十分に達成し得る表皮材を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の本発明は、最表層から順に日射透過層、外気と通じている空間保持層、および受熱層が積層され、真空成形法によって部品形状が付与される表皮材であって、
空間保持層中の空間が表皮材単位面積当りに占める容積、と定義される「空間保持層の空間容積(m3/m2)」が、0.40×10−4m3/m2以上、40×10−4m3/m2以下、好ましくは、0.40×10−4m3/m2以上、8.0×10−4m3/m2以下である表皮材である。
本発明の表皮材によれば、日射透過層に破裂や凹みなどの外観不良を招くことなく真空成形することができ、日射透過層表面側への熱伝導および輻射熱を低減するという所期の目的を十分に達成できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、図4を参照しつつ、最表層から順に日射透過層、空間保持層、および受熱層が積層され、真空成形法によって部品形状が付与される表皮材に関して考察すべき事項を説明する。図4(A)は、内装部品の基材140上に、最表層から順に日射透過層110、空間保持層120、および受熱層130が積層された表皮材100を示す断面図である。また、図4(B)は、車室内に太陽光線150が侵入する様子を示す斜視図、図4(C)は、自動車のフロントウインドウ160から太陽光線150が侵入する様子を示す図である。
図4(B)に示すように、太陽光線150は、自動車のフロントウインドウ160、リアウインドウ161、およびサイドウインドウ162を透過し、内装材であるインストアッパーパネル171、リアパーセルシェルフ172、あるいはドアウエストなどのドアトリム173に入射する。図4(C)に示すように、太陽光線150は、フロントウインドウ160を透過し、インストルメントパネル170の表皮であるインストアッパーパネル171に入射している。
図4(A)に示される3層構造の表皮材100は、単層樹脂製シートである従来表皮に比べると、表面温度を低くする効果がある。従来の表皮は、ポリ塩化ビニル製の樹脂シートあるいは熱可塑性ポリオレフィン(TPO)製の樹脂シートを単層で使用しており、当該樹脂製シートの明度はフロントウインドウ160への窓写りを防止するために明度60程度以下である。
3層構造の表皮材100が有する温度上昇防止メカニズムは次のとおりである。第1層である日射透過層110および第2層である空間保持層120を透過した日射によって、第3層である受熱層130の温度が上昇する。空間保持層120の大部分が熱伝導性の低い空気であるために、受熱層130から日射透過層110への熱移動が妨げられる。この結果、日射透過層110表面は従来表皮に比べて低温となり、車室内空気への熱伝導および輻射熱が低減される。かかる表皮材100を内装部品の表皮に適用する場合には、表面温度を低くして乗員への輻射熱を低減する表皮材としての効果と、高温の車室内空気の熱を受熱層130裏面を通じて車外に放熱する放熱車体構造としての効果と、真空成形により部品化できる効果と、を奏することが要求される。本明細書では、説明の便宜上、上記それぞれの効果を、「表皮材としての効果」、「放熱車体構造としての効果」、および「真空成形による部品可能化効果」と略称することもある。
図示される表皮材100の空間保持層120は、立体網目構造体や繊維体などの材料からなる支持構造物が配置されている。ここで、空間保持層120の面に投影した支持構造物が単位面積当りに占める面積の割合を1から引いた値を「面積空隙率」と定義する。かかる定義では、「面積空隙率」が大きくなるにつれて、空間保持層120の面に投影した支持構造物が単位面積当りに占める面積の割合が小さくなるので、日射が空間保持層120を透過し易くなる一方、日射透過層110を支える力が弱くなる。
表皮材100を自動車用の内装部品に適用するためには、以下の課題を解決する必要がある。すなわち、「放熱車体構造としての効果」が、「表皮材としての効果」および「真空成形による部品可能化効果」に対して、空間保持層120の厚さ、空間保持層120の面積空隙率、および日射透過層110の厚さまたは日射透過率をパラメータとして互いに対立するので、表皮材100を実際の内装部品に適用するためには、これらの相反する課題を成立させる必要がある。
この課題を明確にするために、(1)「真空成形による部品可能化効果」と表皮材100の構造との関係を詳細に説明し、(2)「表皮材としての効果」が、「放熱車体構造としての効果」および「真空成形による部品可能化効果」に対して、表皮材100の構造因子をパラメータとして対立することについて詳細を説明する。
(1)「真空成形による部品可能化効果」と表皮材100の構造との関係について
表皮材100を自動車用の内装部品、例えばインストルメントパネル170に部品化するためには、真空成形法によって、表皮材100に部品形状を付与する必要がある。すなわち、表皮材100をその構成樹脂材料の転移点温度以上に加熱し、部品の表面形状に合致した内面形状を有する金型に吸引して密着させ、その後冷却して、表皮材100に部品形状を付与する必要がある。
表皮材100は、図4(A)に示されるように、日射透過層110と受熱層130との間に空気を含む空間保持層120が包み込まれた構成である。このため、真空成形時の加熱によって、空間保持層120中の空気が膨張し、その圧力によって、日射透過層110が膨らんだり、場合によっては破裂したりし、外観不良が生じる虞がある。また、金型内面に吸引密着するときの圧力によって、加熱膨張した日射透過層110が受熱層130に向かう方向に不規則に凹み、これによっても外観不良が生じる虞がある。日射透過層110が受熱層130に向かって凹むと、空間保持層120が失われ、表面温度を低くする効果がなくなる虞がある。このように、表皮材100を真空成形すると、空間保持層120が潰れるため、成形後の部品に外観不良が発生するとともに表面温度を低くする効果が失われる虞がある。
空間保持層120の厚さが大きい程、空間保持層120の面積空隙率が大きい程、あるいは、日射透過層110の厚さが小さい程、真空成形時に日射透過層110が破裂したり、凹んだりして、外観不良が生じやすい傾向がある。
(2)「表皮材としての効果」が、「放熱車体構造としての効果」および「真空成形による部品可能化効果」に対して、表皮材100の構造因子をパラメータとして対立することについて
(2−a)空間保持層120の厚さをパラメータとした場合
空間保持層120の空気は断熱材として作用する。空間保持層120の厚さを小さくすると、日射透過層110および空間保持層120を透過した日射によって暖められた受熱層130の熱が日射透過層110に向かって逆流する量が増大する。この結果、日射透過層110の表面温度が高くなり、受熱層130の温度が低くなる傾向がある。したがって、「表皮材としての効果」を高めるためには、空間保持層120をできるだけ厚くする必要がある。
一方、空間保持層120の厚さを大きくすると、空間保持層120の空気が断熱材として作用することから、高温の車室内空気の熱が日射透過層110および空間保持層120を通って受熱層130まで伝わりにくくなる傾向がある。これは、空間保持層120の厚さを大きくすると、高温の車室内空気の熱を受熱層130裏面を通じて車外に十分に放熱することができなくなることを意味する。したがって、「放熱車体構造としての効果」を高めるためには、空間保持層120をできるだけ薄くする必要がある。
また、前述したように、空間保持層120の厚さが大きい程、日射透過層110に外観不良が生じやすい傾向がある。したがって、「真空成形による部品可能化効果」を高めるためには、空間保持層120をできるだけ薄くする必要がある。
(2−b)空間保持層120の面積空隙率をパラメータとした場合
空間保持層120の面積空隙率が小さくなると、日射が空間保持層120を透過し難くなるため、日射透過層110に吸収される日射量が大きくなり、日射透過層110の表面温度が高くなる。したがって、「表皮材としての効果」を高めるためには、空間保持層120の面積空隙率をできるだけ大きくする必要がある。
一方、空間保持層120の面積空隙率が大きくなることは、日射透過層110を支える支持構造物の割合が低下することを意味する。支持構造物は固体であり、空気に比べるとはるかに大きな熱伝導率を持つ。このために、空間保持層120の面積空隙率が大きくなると、日射透過層110から受熱層130への熱の移動が妨げられ、高温の車室内空気の熱を受熱層130裏面を通じて車外に十分に放熱することができなくなる。したがって、「放熱車体構造としての効果」を高めるためには、空間保持層120の面積空隙率をできるだけ小さくする必要がある。
また、前述したように、空間保持層120の面積空隙率が大きい程、日射透過層110に外観不良が生じやすい傾向がある。したがって、「真空成形による部品可能化効果」を高めるためには、空間保持層120の面積空隙率をできるだけ小さくする必要がある。
(2−c)日射透過層110の厚さをパラメータとした場合
日射透過層110の厚さが大きくなる程、日射透過層110の日射透過率が低下するため、日射透過層110に吸収される日射量が大きくなり、日射透過層110の表面温度が高くなる。したがって、「表皮材としての効果」を高めるためには、日射透過層110をできるだけ薄くする必要がある。「放熱車体構造としての効果」を高めるためにも、日射透過層110はできるだけ薄い方が好ましい。高温の車室内空気の熱が日射透過層110および空間保持層120を通って受熱層130まで伝わりやすくなり、高温の車室内空気の熱を受熱層130裏面を通じて車外に十分に放熱することができるからである。
一方、前述したように、日射透過層110の厚さが小さい程、日射透過層110に外観不良が生じやすい傾向がある。したがって、「真空成形による部品可能化効果」を高めるためには、日射透過層110をできるだけ厚くする必要がある。
以上をまとめると、第1に、「空間保持層120の厚さ」に関しては、「表皮材としての効果」を高めるためにはできるだけ厚くする必要があり、逆に、「放熱車体構造としての効果」および「真空成形による部品可能化効果」を高めるためにはできるだけ薄くする必要がある。
第2に、「空間保持層120の面積空隙率」に関しては、「表皮材としての効果」を高めるためにはできるだけ大きくする必要があり、逆に、「放熱車体構造としての効果」および「真空成形による部品可能化効果」を高めるためにはできるだけ小さくする必要がある。
第3に、「日射透過層110の厚さ」に関しては、「表皮材としての効果」および「放熱車体構造としての効果」を高めるためにはできるだけ薄くする必要があり、逆に、「真空成形による部品可能化効果」を高めるためにはできるだけ厚くする必要がある。
このように、「表皮材としての効果」、「放熱車体構造としての効果」、および「真空成形による部品可能化効果」に関して、表皮材100の構造因子である、「空間保持層120の厚さ」、「空間保持層120の面積空隙率」、および「日射透過層110の厚さ」の間には相互作用があると考えられる。したがって、表皮材100を実際の自動車用内装部品に適用するためには、「空間保持層120の厚さ」、「空間保持層120の面積空隙率」、および「日射透過層110の厚さ」の最適なコンビネーションを見出し、「表皮材としての効果」、「放熱車体構造としての効果」、および「真空成形による部品可能化効果」をともに成立させる必要がある。
本発明は、最表層から順に日射透過層、空間保持層、および受熱層が積層され、真空成形法によって部品形状が付与される表皮材を実際の内装部品に適用する場合において、「空間保持層の厚さ」、「空間保持層の面積空隙率」、および「日射透過層の厚さ」の最適なコンビネーションを見出し、「表皮材としての効果」、「放熱車体構造としての効果」、および「真空成形による部品可能化効果」をともに成立させ得る表皮材を提供するためになされたものである。
ここで、日射透過層に要求される本質的な要素は、日射の透過量であり、日射透過層の厚さをいくら薄くしても、その日射透過率が小さい場合には、「表皮材としての効果」および「放熱車体構造としての効果」を高めるために必要な日射透過量を得ることができない。さらに、日射透過層の厚さを薄くしても、他の2つの表皮材の構造因子である、「空間保持層の厚さ」および「空間保持層の面積空隙率」を規定することにより、「真空成形による部品可能化効果」を十分に達成できることが判明した。このため、「日射透過層の厚さ」は、3つの効果に影響を与える構造因子から除外できる。
本発明者らは、上記理由により、3つの効果に影響を与える表皮材の構造因子から「日射透過層の厚さ」を除外した上で、残り2つの表皮材の構造因子、すなわち「空間保持層の厚さ」および「空間保持層の面積空隙率」の相互作用を、空間保持層中の空間が表皮材単位面積当りに占める容積、と定義される「空間保持層の空間容積」として示すことが可能であることを見出した。
次に、本発明の実施形態について説明する。
図1(A)は、本発明に係る表皮材を適用した車両内装用表皮材1を示す断面図、図1(B)は、車両内装用表皮材1における空間保持層20を示す上面図である。
図示する車両内装用表皮材1は、最表層から順に日射透過層10、外気と通じている空間保持層20、および受熱層30が積層され、真空成形法によって部品形状が付与される表皮材1であって、空間保持層20中の空間が表皮材単位面積当りに占める容積、と定義される「空間保持層20の空間容積(m3/m2)」が、0.40×10−4m3/m2以上、40×10−4m3/m2以下に設定されている。
「空間保持層20の空間容積(m3/m2)」を、0.40×10−4m3/m2以上、40×10−4m3/m2以下に設定することにより、真空成形により部品化でき、さらに、表皮材1の表面温度を低くして乗員への輻射熱を低減させ、高温の車室内空気の熱を受熱層30裏面を通じて車外に放熱することができる。
さらに、日射透過層10と受熱層30との間に外気と通じている空間保持層20を形成した構成であるので、真空成形時の加熱によって膨張する空間保持層20中の空気が、外気へ排出される。これによって、日射透過層10の破裂が防止される。また、真空成形で加熱吸引成型した後の冷却時には、空間保持層20の中へ、外気から空気が戻るので、日射透過層10の凹みなどの外観不良が発生することが防止される。
空間保持層20の厚さは、0.10mm以上、5.0mm以下であることが好ましい。
「表皮材としての効果」および「放熱車体構造としての効果」を十分に両立することができるからである。
すなわち、表皮材1の表面温度を低くして乗員への輻射熱を低減するためには、空間保持層20を厚くする方が有利であるが、逆に、高温の車室内空気の熱を受熱層30裏面を通じて車外に放熱するためには、空間保持層20を薄くする方が有利である。
そこで、本発明の表皮材1では、以下3点を考慮して、空間保持層20の厚さを0.10mm以上、5.0mm以下とした。すなわち、第1に、真空成形加熱時に外気へ排出可能な膨張空気の容積、第2に、真空成形時の加熱吸引による日射透過層10の凹みによる外観不良の防止、第3に、表皮材1の表面温度低減効果と受熱層30裏面を通じた車外への放熱効果との両立のためである。
空間保持層の厚さは、好ましくは、0.10mm以上、1.0mm以下である。「表皮材としての効果」および「放熱車体構造としての効果」を効果的に両立させることができるからである。
日射透過層10の日射透過率は、0.5以上であることが好ましい。
表皮材1の表面温度を低くして乗員への輻射熱を低減し、高温の車室内空気の熱を受熱層30裏面を通じて車外に放熱することができるからである。
本発明の表皮材1を用いると、ポリ塩化ビニル製シートなどの従来表皮に比べて、夏炎天下駐車時に内装表面温度を低くすることができる。そのメカニズムは、以下のとおりである。
日射透過層10および空間保持層20を透過した日射によって受熱層30の温度が上昇する。空間保持層20の大部分が熱伝導性の低い空気であるために、受熱層30から日射透過層10への熱移動が妨げられる。この結果、日射透過層10表面は従来表皮よりも低温となり、車室内空気への熱伝導および輻射熱が低減される。
日射透過層10の日射透過率が小さくなるに従い、日射透過層10に吸収される日射のエネルギが増加し、日射透過層10の表面温度は上昇するので、表皮材1の表面温度を低くして乗員への輻射熱を低減する効果が失われる。
また、日射透過層10の日射透過率が小さくなるに従い、受熱層30に到達する日射のエネルギが減少し、高温の車室内空気の熱を受熱層30裏面を通じて車外に放熱する効果が失われる。
そこで、本発明の表皮材1ではこれらを考慮して、日射透過層10の日射透過率を0.5以上とした。なお、日射透過層10の厚さは日射透過率が0.5以上である限り、なんら制限を受けるものでないことは、前述したとおりである。
前記日射透過層10と前記受熱層30との間に柱状支持構造体21を配置することによって、外気と通じている空間保持層20を形成することが好ましい。
真空成形時の加熱吸引による日射透過層10の凹みや破裂などの外観不良の発生を抑えて、真空成形することができるからである。すなわち、空間保持層20は、柱状支持構造体21によって支えられ、外気と通じている連続気泡構造であるため、真空成形時の加熱によって膨張する空間保持層20中の空気が外気へ排出される。これによって、日射透過層10の破裂や真空成形後の外観不良を防止することができる。
空間保持層20の面に投影した柱状支持構造体21が単位面積当りに占める面積の割合を1から引いた値、と定義される「面積空隙率」が、0.4以上、0.8以下であることが好ましい。
空間保持層20の面積空隙率が0.8以下であれば、真空成形時の加熱吸引による日射透過層10の凹みや破裂などの外観不良の発生を抑え、真空成形することができるからである。日射透過層10は柱状支持構造体21によって支えられているが、空間保持層20の面積空隙率が0.8を越えると、真空成形時の加熱吸引によって日射透過層10が凹み、外観不良が発生しやすくなる。このため、空間保持層20の空隙率には上限がある。
また、空間保持層20の面積空隙率が0.4以上であれば、表皮材1の表面温度を低くして乗員への輻射熱を低減することができるからである。空間保持層20の面積空隙率が0.4未満になると、受熱層30から日射透過層10への熱の逆流を防止するための空間保持層20の断熱材としての働きが低下し、表皮材1の表面温度を低くして乗員への輻射熱を低減する効果が低下する。このため、空間保持層20の空隙率には下限がある。
そこで、本発明の表皮材1ではこれらを考慮して、空間保持層20の面積空隙率を0.4以上、0.8以下とした。
前述した「空間保持層20の空間容積(m3/m2)」は、その定義より、式:(単位面積)×(空間保持層20の厚さ)×(空間保持層20の面積空隙率)で求まる。前述したように、「空間保持層の厚さ」は、0.10mm以上、5.0mm以下、好ましくは、0.10mm以上、1.0mm以下であり、「空間保持層20の面積空隙率」は、0.4以上、0.8以下である。したがって、「空間保持層20の空間容積(m3/m2)」は、上記の式より、0.40×10−4m3/m2以上、40×10−4m3/m2以下、好ましくは、0.40×10−4m3/m2以上、8.0×10−4m3/m2以下となる。
前記柱状支持構造体21は、半球状、楕円半球状、山脈状、円錐状、円柱状、楕円柱状、および直方体状の群から選ばれた少なくとも1つの形態であることが好ましい。
日射透過層10と受熱層30との間に外気と通じている空間保持層20を形成することができるので、真空成形時の加熱吸引による日射透過層10の凹みや破裂などの外観不良の発生を抑えて、真空成形することができるからである。
また、日射透過層10と受熱層30との接着性が安定した品質の良い表皮材1を量産することができるからである。その理由は次のとおりである。
例えば、日射透過層10と、半球状、楕円半球状、および/または山脈状の複数の微小突起を持つ受熱層30とを積層することによって、空間保持層20を形成するような表皮材1を考える。
受熱層30の微小突起の形状が半球状、楕円半球状、および/または山脈状であることは、これらの微小突起と日射透過層10とが点接触であることを意味する。
本発明の表皮材1をカレンダーロール製造装置を用いて量産する場合を考える。日射透過層10と、複数の微小突起を持つ受熱層30とが、2つの回転するカレンダーロールの間に挟まれながら、圧着される。このときに、受熱層30の微小突起と日射透過層10とが点接触であると、日射透過層10と接着する受熱層30の微小突起の位置が多少動いたとしても、接着力は変わらない。これは接着性が安定した品質の良い表皮材1を量産できることを意味し、低コストで大量生産する上で好都合なことである。
次に、例えば、半球状、楕円半球状、および/または山脈状の複数の微小突起を持つ日射透過層10と、受熱層30とを積層することによって、空間保持層20を形成するような表皮材1を考える。この場合も、上記と同様の理由で、接着性が安定した品質の良い表皮材1を量産することができる。
また、微小突起自体が日射透過層10と同一の材質である場合には、日射を透過するので、表皮材1の表面温度を低くして乗員への輻射熱を低減する効果が向上することが期待できる。この場合の微小突起としては、半球状、楕円半球状、および/または山脈状だけでなく、円錐状、円柱状、楕円柱状、および/または直方体状のものでも同様の効果が期待できる。
接着性の安定した品質の良い表皮材1を量産することに関しては、日射透過層10と受熱層30との間に配置される柱状支持構造体21として、半球状、楕円半球状、および/または山脈状の複数の微小突起であることが好ましい。但し、上述した他の形態を除外するものではなく、円錐状、円柱状、楕円柱状、および/または直方体状のものでも量産することは可能である。
日射透過層10の表面が、艶消し絞加工、艶消し塗装、および透明着色塗装のうちの少なくとも1つの処理が施されていることが好ましい。
表皮材1の表面温度を低くして乗員への輻射熱を低減し、高温の車室内空気の熱を受熱層30裏面を通じて車外に放熱する車室内熱環境を低減する効果と、自動車内装部品としてバラエティに富んだ意匠性を持たせる効果とを両立させることができるからである。さらに、表皮材1表面の反射によるフロントウインドウ160への窓写りを防止することができるからである。
日射透過層10の材質が、塩化ビニル樹脂、熱可塑性オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびポリエステル樹脂の群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
真空成形時の加熱吸引による日射透過層10の凹みや破裂などの外観不良の発生を抑え、真空成形することができるからである。
受熱層30の材質が、熱可塑性オレフィン樹脂、および塩化ビニル樹脂の群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
受熱層30の材質としてこれらの樹脂を用いることにより、真空成形することができるからである。
「表皮材としての効果」、「放熱車体構造としての効果」、および「真空成形による部品可能化効果」をともに成立させる表皮材1の一構成例を挙げれば次のとおりである。
この表皮材1は、日射透過率が0.8以上の日射透過層10と受熱層30との間に、同一高さを有する半球状および/または楕円半球状および/または山脈状の柱状支持構造体21を配置することによって、外気と通じている空間保持層20が形成されている。空間保持層20の空間容積は0.60×10−4m3/m2以上、3.0×10−4m3/m2以下である。空間保持層20の厚さは、0.10mm以上、0.5mm以下である。空間保持層20の面積空隙率は、0.5以上、0.7以下である。
図2(A)は、受熱層30の裏面に熱伝導性材50を配置した実施形態を示す断面図である。
図示するように、上述したいずれかの表皮材1を、自動車の内装部品に適用するとともに受熱層30の裏面に熱伝導性材50を配置し、車室内の熱を車外に放熱することが好ましい。
受熱層30で発熱し、空間保持層20で断熱された熱エネルギを内装部品の裏側、ひいては車室外へ導き、車室内の熱を車外に放熱するので、車室内への熱の放出をさらに低減し、夏炎天下駐車時の車室内熱環境を緩和することができるからである。
具体的には、受熱層30の裏面に配置する熱伝導性材50に、良熱伝導物質として、金属粉、金属繊維、金属ネット、金属板、カーボン粉、カーボンファイバ、セラミック粉、セラミック繊維、セラミックマットを単独または複合して、含有または積層することが極めて効果的である。
受熱層30の裏面に配置する熱伝導性材50が内装部品の基材自体であってもよい。受熱層30で発熱し、空間保持層20で断熱された熱エネルギを内装部品の裏側、ひいては車室外へ導き、車室内の熱を車外に放熱するので、車室内への熱の放出をさらに低減し、夏炎天下駐車時の車室内熱環境を緩和することができるからである。
図2(B)は、「放熱車体構造としての効果」をさらに高めた実施形態を示す断面図である。
図示するように、この放熱車体構造では、受熱層30の裏面に配置した熱伝導性材50に、ループ型のヒートパイプ60を配置してある。符号61は、車外に配置される放熱フィンを示している。かかる構成の放熱車体構造では、日射透過層10上部にある高温の車室内空気の熱を受熱層30裏面を通じて車外に積極的に放熱することができ、「放熱車体構造としての効果」をさらに高めることができる。
上述したいずれかの表皮材1を、自動車のインストルメントパネル170、ドアトリム173、およびリアパーセルシェルフ172の群から選ばれた少なくとも1種に適用することが好ましい。
夏炎天下駐車時にインストルメントパネル170、ドアトリム173、および/またはリアパーセルシェルフ172の表面温度を下げ、車室内熱環境を緩和することができるからである。
本発明の表皮材1の適用先としては、直接日光があたる内装部品で表面温度上昇を防止したい場合が挙げられる。その意味では、車両一般や通常のインテリア製品でも使用できるが、特に自動車では炎天下の熱環境が劣悪であるため、本発明の効果が著しい。部品としては、インストルメントパネル170、ドアトリム173、リアパーセルシェルフ172が直接日射を受ける部位に設定されることから適切であり、特にインストルメントパネル170は面積も広いことから、本発明のもっとも効果的な適用先と言える。
以下、本発明の実施例について説明する。各実施例の仕様の詳細、真空成形性、および表面温度測定結果を表1(実施例1〜5)および表2(実施例6〜9)に示す。各比較例の仕様の詳細、真空成形性、および表面温度測定結果を表3(比較例1〜4)に示す。
Figure 2007276301
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(実施例1)
実施例1の表皮材は、表面を艶消し絞押し加工したポリプロピレン製の無色透明の日射透過層と、半球状の突起を持つ熱可塑性オレフィン製の黒色の受熱層とを積層することによって、空間容積が1.224×10−4m3/m2、厚さが0.20mm、連続気泡の空間保持層を形成した。実施例1の表皮材は、図1(A)(B)に示される構造を有する。
表皮材の表面温度は、次のようにして測定した。真空成形した表皮材をインストルメントパネル基材上に貼り付け、その自動車を屋外気温35℃の炎天下に放置して測定した。
実施例1の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形しても、試作品のすべてについて、日射透過層に外観不良は生じなかった。つまり、真空成形の成功率は100%であった。
実施例1の表皮材の表皮表面温度を測定したところ80.2℃であった。熱可塑性ポリオレフィン(TPO)製の単層シートからなる従来の表皮材である比較例1の場合には、同条件での測定結果が85.2℃であった。したがって、実施例1は、比較例1に比べて、表皮表面温度が5.0℃低くなった。
(実施例2)
実施例2の表皮材は、実施例1に比べて、空間保持層の空間容積が半分の0.6120×10−4m3/m2、厚さが半分の0.10mmである。これら以外は実施例1と同様である。
実施例2の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形しても、試作品のすべてについて、日射透過層に外観不良は生じなかった。つまり、真空成形の成功率は100%であった。
実施例2の表皮材の表皮表面温度を測定したところ81.5℃であった。したがって、実施例2は、比較例1に比べて、表皮表面温度が3.7℃低くなった。
(実施例3)
実施例3の表皮材は、実施例1に比べて、空間保持層の空間容積が5倍の6.120×10−4m3/m2、厚さが5倍の1.0mmである。これら以外は実施例1と同様である。
実施例3の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形しても、試作品のすべてについて、日射透過層に外観不良は生じなかった。つまり、真空成形の成功率は100%であった。
実施例3の表皮材の表皮表面温度を測定したところ77.3℃であった。したがって、実施例3は、比較例1に比べて、表皮表面温度が7.9℃低くなった。
(実施例4)
実施例4の表皮材は、実施例1に比べて、日射透過層の日射透過率が0.770、日射吸収率が0.155、厚さが0.40mmであり、空間保持層の空間容積が10倍の12.24×10−4m3/m2、厚さが10倍の2.0mmである。これら以外は実施例1と同様である。
実施例4の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形しても、試作品のすべてについて、日射透過層に外観不良は生じなかった。つまり、真空成形の成功率は100%であった。
実施例4の表皮材の表皮表面温度を測定したところ81.2℃であった。したがって、実施例4は、比較例1に比べて、表皮表面温度が4.0℃低くなった。
(実施例5)
実施例5の表皮材は、実施例1に比べて、空間保持層の空間容積および面積空隙率が約半分である。これら以外は実施例1と同様である。
実施例5の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形しても、試作品のすべてについて、日射透過層に外観不良は生じなかった。つまり、真空成形の成功率は100%であった。
実施例5の表皮材の表皮表面温度を測定したところ84.1℃であった。したがって、実施例5は、比較例1に比べて、表皮表面温度が1.1℃低くなった。
(実施例6)
実施例6の表皮材は、実施例1に比べて、日射透過層の日射透過率が0.770、日射吸収率が0.155、厚さが0.40mmであり、空間保持層の空間容積が1.680×10−4m3/m2、面積空隙率が0.840と大きい。これら以外は実施例1と同様である。
実施例6の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形しても、試作品のすべてについて、日射透過層に外観不良は生じなかった。つまり、真空成形の成功率は100%であった。
実施例6の表皮材の表皮表面温度を測定したところ80.9℃であった。したがって、実施例6は、比較例1に比べて、表皮表面温度が4.3℃低くなった。
(実施例7)
実施例7の表皮材は、実施例1に比べて、日射透過層の日射透過率が0.450、日射吸収率が0.475である。これら以外は実施例1と同様である。
実施例7の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形しても、試作品のすべてについて、日射透過層に外観不良は生じなかった。つまり、真空成形の成功率は100%であった。
実施例7の表皮材の表皮表面温度を測定したところ83.5℃であった。したがって、実施例7は、比較例1に比べて、表皮表面温度が1.7℃低くなった。
(実施例8)
実施例8の表皮材は、実施例1に比べて、日射透過層が透明青インク塗布されている。これ以外は実施例7と同様である。
実施例8の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形しても、試作品のすべてについて、日射透過層に外観不良は生じなかった。つまり、真空成形の成功率は100%であった。
実施例8の表皮材の表皮表面温度を測定したところ79.6℃であった。したがって、実施例8は、比較例1に比べて、表皮表面温度が5.6℃低くなった。
(実施例9)
実施例9の表皮材は、実施例1に比べて、空間保持層の空間容積が40.00×10−4m3/m2、厚さが5.0mm、面積空隙率が0.800と大きい。これら以外は実施例1と同様である。
実施例9の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形した場合、試作品の半分については、日射透過層に外観不良は生じなかったが、残り半分については、日射透過層の表面が凹凸となり、外観不良が生じた。つまり、真空成形の成功率は50%であった。但し、50%の成功率が得られたので、真空成形時の条件を調整することにより、真空成形の成功率をより高めることが可能であると考えられる。
実施例9の表皮材のうち真空成形が成功した表皮材について表皮表面温度を測定したところ76.1℃であった。したがって、実施例9は、比較例1に比べて、表皮表面温度が9.1℃低くなった。
(比較例1)
比較例1の表皮材は、従来、自動車インストルメントパネル用表皮材として広く用いられている熱可塑性オレフィン(TPO)製の単層シートである。
比較例1の表皮材では、空間保持層が存在しないので、当然のことながら、インストルメントパネル形状に真空成形しても、日射透過層に外観不良は生じず、真空成形の成功率は100%であった。
比較例1の表皮材の表皮表面温度を測定したところ85.2℃であった。
(比較例2)
比較例2の表皮材は、ポリプロピレン繊維製の不織布により、空間容積が42.00×10−4m3/m2、面積空隙率が0.840、厚さが5.0mmの空間保持層を形成した。その他の仕様は実施例1と同様である。
比較例2の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形すると、試作品のすべてについて、日射透過層の表面が凹凸となり、外観不良が生じた。つまり、真空成形の成功率は0%であった。日射透過層の表面に凹凸が発生したのは、真空成形時の加熱吸引の圧力を支えることができなかったためである。
(比較例3)
比較例3の表皮材の空間保持層を上から見たときの上面図を図3に示す。比較例3の表皮材は、図3に示すように、空間保持層20が蓮根のように穴の空いた構造を有している。図中符号71が、蓮根のように穴の空いた空洞部分を示し、符号72が、日射透過層を支えて空間保持層の形状を保持する柱部分を示している。空間保持層は、実施例1のような連続気泡ではなく、独立気泡であり、外気と通じていない。その他の仕様は実施例1と同様である。
比較例3の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形すると、試作品のすべてについて、日射透過層が破裂し、外観不良が生じた。つまり、真空成形の成功率は0%であった。日射透過層が破裂したのは、真空成形時の加熱によって、空間保持層中の空気が膨張したためである。
(比較例4)
比較例4の表皮材は、実施例1に比べて、空間保持層の空間容積が41.00×10−4m3/m2、厚さが5.0mm、面積空隙率が0.820である。その他の仕様は実施例1と同様である。
比較例4の表皮材では、インストルメントパネル形状に真空成形すると、試作品のすべてについて、日射透過層の表面が凹凸となり、外観不良が生じた。つまり、真空成形の成功率は0%であった。日射透過層の表面に凹凸が発生したのは、真空成形時の加熱吸引の圧力を支えることができなかったためである。
図1(A)は、本発明に係る表皮材を適用した車両内装用表皮材を示す断面図、図1(B)は、車両内装用表皮材における空間保持層を示す上面図である。 図2(A)は、受熱層の裏面に熱伝導性材を配置した実施形態を示す断面図、図2(B)は、「放熱車体構造としての効果」をさらに高めた実施形態を示す断面図である。 比較例3の表皮材の空間保持層を上から見たときの上面図である。 図4(A)は、内装部品の基材上に、最表層から順に日射透過層、空間保持層、および受熱層が積層された表皮材を示す断面図、図4(B)は、車室内に太陽光線が侵入する様子を示す斜視図、図4(C)は、自動車のフロントウインドウから太陽光線が侵入する様子を示す図である。
符号の説明
1 車両内装用表皮材(表皮材)、
10 日射透過層、
20 空間保持層、
30 受熱層、
21 柱状支持構造体、
50 熱伝導性材、
170 インストルメントパネル、
172 リアパーセルシェルフ、
173 ドアトリム。

Claims (11)

  1. 最表層から順に日射透過層、外気と通じている空間保持層、および受熱層が積層され、真空成形法によって部品形状が付与される表皮材であって、
    空間保持層中の空間が表皮材単位面積当りに占める容積、と定義される「空間保持層の空間容積(m3/m2)」が、0.40×10−4m3/m2以上、40×10−4m3/m2以下、好ましくは、0.40×10−4m3/m2以上、8.0×10−4m3/m2以下である表皮材。
  2. 前記空間保持層の厚さが、0.10mm以上、5.0mm以下、好ましくは、0.10mm以上、1.0mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の表皮材。
  3. 日射透過層の日射透過率が、0.5以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表皮材。
  4. 前記日射透過層と前記受熱層との間に柱状支持構造体を配置することによって、外気と通じている空間保持層を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の表皮材。
  5. 空間保持層の面に投影した柱状支持構造体が単位面積当りに占める面積の割合を1から引いた値、と定義される「面積空隙率」が、0.4以上、0.8以下であることを特徴とする請求項4に記載の表皮材。
  6. 前記柱状支持構造体は、半球状、楕円半球状、山脈状、円錐状、円柱状、楕円柱状、および直方体状の群から選ばれた少なくとも1つの形態であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の表皮材。
  7. 日射透過層の表面が、艶消し絞加工、艶消し塗装、および透明着色塗装のうちの少なくとも1つの処理が施されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の表皮材。
  8. 日射透過層の材質が、塩化ビニル樹脂、熱可塑性オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびポリエステル樹脂の群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の表皮材。
  9. 受熱層の材質が、熱可塑性オレフィン樹脂、および塩化ビニル樹脂の群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の表皮材。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の表皮材を、自動車の内装部品に適用するとともに受熱層の裏面に熱伝導性材を配置し、車室内の熱を車外に放熱することを特徴とする放熱車体構造。
  11. 請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の表皮材を、自動車のインストルメントパネル、ドアトリム、およびリアパーセルシェルフの群から選ばれた少なくとも1種に適用することを特徴とする内装部品。
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