JP2007274922A - 保存性の良好な冷菓の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 砂糖不使用であり、低カロリーでかつ良好な保存性および保型性の有する新規なアイスクリーム類を得る。
【解決手段】 原料ミックスに糖アルコール類を4〜15重量%含有し、乳化剤としてク゛リセリン脂肪酸エステル(ヨウ素価23〜34)を0.25〜0.40重量%を配合してフリーシ゛ンク゛を行い、低カロリーなアイスクリーム類を得る。本発明のアイスクリーム類はカロリーが100mlあたり70〜120キロカロリーである。
【解決手段】 原料ミックスに糖アルコール類を4〜15重量%含有し、乳化剤としてク゛リセリン脂肪酸エステル(ヨウ素価23〜34)を0.25〜0.40重量%を配合してフリーシ゛ンク゛を行い、低カロリーなアイスクリーム類を得る。本発明のアイスクリーム類はカロリーが100mlあたり70〜120キロカロリーである。
Description
本発明は、砂糖不使用で低カロリーかつ保存性(シュリンク具合)および保型性(形状保存性)の良好なアイスクリーム類(オーバーランのある冷菓)の製造に関するものである。
砂糖はアイスクリーム類の主原料であり、甘味源として甘味と風味の広がりいわゆる「コク」を付与し、固形分供給源としてアイスクリームの組織を作る。またミックスの冷凍温度に関係して氷の結晶を小さくして組織を滑らかにする働きもある。しかしながら近年、砂糖によるう蝕性や過剰摂取による肥満から引き起こされる様々な生活習慣病が問題となっている。そのような中、アイスクリーム類に対しても砂糖不使用で低カロリーのものが求められている。砂糖の代替アイスクリームを低カロリーにするには一般的にはミックスの固形分を減らしたり、砂糖の代わりに
甘味原料として糖アルコール類や高甘味度甘味料が用いられる。また、固形分供給源として食物繊維などを使用し、ミックス自体のカロリーを減らすか、オーバーランを高くして容積あたりのカロリーを低くすることが考えられる。
甘味原料として糖アルコール類や高甘味度甘味料が用いられる。また、固形分供給源として食物繊維などを使用し、ミックス自体のカロリーを減らすか、オーバーランを高くして容積あたりのカロリーを低くすることが考えられる。
しかしながら、全固形分を減らすと、アイスクリーム本来のおいしさ(コク)が失われてしまったり、食感が硬くなってしまう。また、全固形分が低いとフリージング時に氷の結晶が大きくなり、なめらかな食感が損なわれる。また、食物繊維を配合することで、ミックスの凍結点が上昇し、アイスクリーム充填時の温度が上昇することで氷結晶が成長し、気泡を壊し、シュリンクの原因や、保型性(形状保存性)が低下する原因ともなる。
また、オーバーランを上げるとクリーム中の気泡膜が希薄になり、ヒートショック等により、アイスクリームがシュリンク(収縮)してしまう問題があった。
また、卵黄を使用することで低カロリーで保存性の良いアイスクリーム様食品が得られる方法が開示されている(特許文献1を参照。)。しかしながらこの従来技術は砂糖を使用しており、
低カロリーであってもう蝕性の問題があった。本特許願が目的とする「砂糖不使用のアイスクリーム」とは異なるものであった。
低カロリーであってもう蝕性の問題があった。本特許願が目的とする「砂糖不使用のアイスクリーム」とは異なるものであった。
また、ショ糖脂肪酸エステルと卵黄を使用することで砂糖不使用で低カロリーのアイスクリームの保存性改良(シュリンク防止。すなわち保存中のアイスクリームの縮み防止)方法が開示されている(特許文献2を参照。)。しかしながらこの従来技術はショ糖脂肪酸エステルは解乳化力が弱いため、ク゛リセリン脂肪酸エステルと比較し、ヒートショック耐性(保型性)が劣り、実際の市場における製品を取り巻く劣悪な温度環境の中においてシュリンクと別の意味で形状を維持するのに効果を持つとはいえない(保存性が十分に改良されていない)のが現状である。また、解乳化が弱いと、製造時における充填形状が維持できないため、モナカアイス、サンドアイスなどでの様々な形状のアイスクリーム類の製造が困難となることで製品の形態が制限される問題があった。
(また、卵を使用することでアレルギー体質の人に提供することができない問題があった。)
特開平3-139243
特開平4-144647
(また、卵を使用することでアレルギー体質の人に提供することができない問題があった。)
上記のように砂糖不使用で低カロリーのアイスクリーム類の従来品はその保存性や保型性に問題があった。
本発明は砂糖不使用で低カロリーかつ保存性、保型性の良好なアイスクリーム類を開発し、健康ニーズの消費者に提供する為になされたものである。
本発明は砂糖不使用で低カロリーかつ保存性、保型性の良好なアイスクリーム類を開発し、健康ニーズの消費者に提供する為になされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、検討を重ねた結果、ヒートショック時にシュリンクがなく、かつ、充填時に十分な形状を保ち、ヒートショック時でも充填形状の崩れにくい、風味、食感の良好な低カロリーアイスクリームを開発することに成功し、本発明を完成するに至らしめた。
本発明は、砂糖以外の甘味料及び固形分供給源を用いて得られる低カロリーアイスクリーム類において、甘味料代替品として糖アルコールを4〜15%配合することにより、固形分供給源として用いられる食物繊維を含有することによる凍結点の上昇を防止し、充填温度を-4.0〜-6.0℃に調整することで、氷結晶の成長による気泡膜の破壊を抑止し、シュリンクを防止できることを見出した。
また、ク゛リセリン脂肪酸エステル(ヨウ素価23〜34)を0.25〜0.40%配合することで脂肪球を気泡膜に凝集させることで気泡の安定化をはかり、シュリンクを防止できることを見出した。
また、保存性だけでなく、保型性も従来のシュリンク防止配合(特許文献2)よりも良好であることを見出した。
また、保存性だけでなく、保型性も従来のシュリンク防止配合(特許文献2)よりも良好であることを見出した。
また、糖アルコールおよび高甘味度甘味料、豆乳類などの組み合わせにより、良好な
風味、組織のアイスクリームを作製することができた。
風味、組織のアイスクリームを作製することができた。
本発明によって砂糖不使用で低カロリーでありながら、ヒートショックによるシュリンクの発生を防止し、かつ形状も崩れにくくすることで冷凍保存時に長期間にわたって品質を維持することが可能となり、低カロリーアイスクリームとして、カロリー制限を必要としている人のQOL(生活の質)の向上に貢献することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。まず、原料ミックスを全固形分が30〜36重量%となるように調整する。全固形分が30重量%未満だと、食感が硬くなったり、味がうすくなってしまう。また、低カロリーという点では36重量%以下であるのが好ましい。
また、砂糖の代替甘味原料として用いる糖アルコール類は3〜15重量%、好ましくは5〜10重量%となるように調製する。糖アルコール類が3重量%未満だと、食物繊維による充填温度上昇により氷結晶のサイス゛が大きくなり、ヒートショックによりシュリンクが発生する。また、15重量%を越えると良好な甘味質を得られない。糖アルコール類としては、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、アラビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、パラチニット、マルチトールを主成分とする還元麦芽糖水飴やマルチトールシロップ、還元マルトオリゴ糖、還元イソマルトオリゴ糖などがある。これらの糖アルコール類は1種類もしくは2種類以上の組み合わせがある。
安定剤および乳化剤は風味および食感に影響を及ぼすことから全量で原料ミックスの2重量%以下とすることが好ましく、さらに乳化剤としてク゛リセリンン脂肪酸エステルを0.25〜0.4重量%となるように原料ミックスに配合する。0.25重量%未満だと気泡保持力が弱く、また0.4重量%以上だとミックスの粘度上昇や食感に影響を及ぼす。安定剤としては通常使用されるローカストビーンガム、グアガム、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン等の増粘多糖類を挙げることができる。
また、砂糖の代替固形分供給源として水溶性食物繊維類を5〜30重量%、好ましくは7〜20重量%となるように調製する。食物繊維類が5重量%未満だと、低カロリー化が困難であり、また30重量%を越えると口溶けが悪くなり、アイスクリーム類の特徴である冷たさが損なわれる。水溶性食物繊維類としてはポリデキストロース(タ゛ニスコ社)、難消化性デキストリン、グアガム分解物、水溶性コーンファイバー、低分子アルキ゛ン酸ナトリウム、イヌリンなどが挙げられ、1〜2種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
使用される乳製品としては、当該分野で用いられる任意の乳製品が挙げられる。乳製品の例としては脱脂粉乳、クリーム、バター、チーズなどが挙げられる。また、カロリーを低減するために豆乳類を使用してもよい。
風味原料として抹茶、レーズン、ココア、卵黄、果汁、果肉等を使用してもよい。
香料としては、当該分野で用いられる任意の香料を使用する。
甘味度の補足のために使用する高甘味度甘味料としてアスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム、スクラロースが挙げられる。
製法は通常の方法で行えばよく、原料の混合、→均質化(150kg/cm2)→加熱殺菌(85℃、30秒)→冷却(4℃)→エーシ゛ンク゛→フリーシ゛ンク゛→カップ充填→硬化(-30℃、30分)による。
以下に実施例、比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、この発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
表1に示す配合で原料を混合し、ミックスを調製してフリーシ゛ンク゛(オーハ゛ーラン80%)した後、カップに充填し、本発明品を製造した。比較サンプルとして表2に示す配合で調製した。実施例1では100ml当たり66キロカロリー、比較例1では100ml当たり73キロカロリ-であった。また、充填温度は実実施例1では-5.0℃、比較例では-3.5℃であった。
上記のように作製したアイスを24時間内に-12℃と-25℃の間を2往復変動する温度条件および24時間内に+10℃と-25℃の間を4往復変動する温度条件で保存してアイスのシュリンク具合を経時的に観察した。その結果、上記両条件において、3日後には比較例でシュリンクが発生したが実施例では1ヶ月後もシュリンクは発生しなかった。
表5に示す配合で原料を混合し、ミックスを調製してフリーシ゛ンク゛(オーハ゛ーラン75%)した後、モールド(容量70ml)に充填した。その後-20℃、1時間硬化しバータイプのアイスサンプルを製造した。比較サンプルとして表2に示す配合で調製した。乳化剤として実施例では
花王製「E800」(ク゛リセリン脂肪酸エステル;ヨウ素価23〜28)、比較例では第一工業製薬KK製「DKエステルF-70」(ショ糖脂肪酸エステル)を使用した。安定剤の組成はローカストヒ゛ーンカ゛ム0.1%、ク゛アカ゛ム0.15%、カラキ゛ーナン0.05%とした。
(表5)
花王製「E800」(ク゛リセリン脂肪酸エステル;ヨウ素価23〜28)、比較例では第一工業製薬KK製「DKエステルF-70」(ショ糖脂肪酸エステル)を使用した。安定剤の組成はローカストヒ゛ーンカ゛ム0.1%、ク゛アカ゛ム0.15%、カラキ゛ーナン0.05%とした。
(表5)
上記のごとく作製したバータイプのアイスサンプルを30℃、湿度80%の条件で図1の様に吊るした状態で、融解率および形状を経時的に観察した。その結果、乳化剤としてク゛リセリン脂肪酸エステルを使用した実施例の方が保型性が良好であった(図2、図3)。風味・組織については差異はなかった。
表5に示す配合で原料を混合し、ミックスを調製してフリーシ゛ンク゛(オーハ゛ーラン75%)した後、紙カップ(容量120ml)に満量充填した。その後-30℃、30分硬化しアイスサンプルを製造した。乳化剤として実施例では
花王製「E800」(ク゛リセリン脂肪酸エステル;ヨウ素価23〜28)、比較例では第一工業製薬KK製「DKエステルF-70」(ショ糖脂肪酸エステル)を使用した。安定剤の組成はローカストヒ゛ーンカ゛ム0.1%、ク゛アカ゛ム0.15%、カラキ゛ーナン0.05%とした。
花王製「E800」(ク゛リセリン脂肪酸エステル;ヨウ素価23〜28)、比較例では第一工業製薬KK製「DKエステルF-70」(ショ糖脂肪酸エステル)を使用した。安定剤の組成はローカストヒ゛ーンカ゛ム0.1%、ク゛アカ゛ム0.15%、カラキ゛ーナン0.05%とした。
上記のごとく作製したアイスサンプルを30℃、湿度80%の条件で、離水状態を経時的に観察した。その結果、乳化剤としてク゛リセリン脂肪酸エステルを使用した実施例の方がショ糖脂肪酸エステルを使用した比較例に比べて保水性が良好であった(図4)。風味・組織については差異はなかった。
本発明により低カロリーで風味良好なアイスクリーム類をカロリー制限を余儀なくされている人々に間食の1つとして利用でき、低カロリーで砂糖不使用の冷凍デザート類における長期にわたる良好な保存性を維持することが可能になった。
Claims (5)
- 砂糖を使用せず、カロリーが100mlあたり60〜120キロカロリーの範囲であるアイスクリーム類
- 糖アルコール類が4〜15重量%を含む請求項1記載のアイスクリーム類
- ヨウ素価が23〜34のク゛リセリン脂肪酸エステルを含む請求項1または請求項2記載のアイスクリーム類
- 食物繊維を5〜30重量%、好ましくは7〜20重量%を含む請求項1〜3のいずれかに記載のアイスクリーム類
- 充填温度が-4.0〜-6.0℃である請求項1〜4のいずれかに記載のアイスクリーム類
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