次に添付図面を参照して本発明による固体撮像装置の実施例を詳細に説明する。
実施例の固体撮像装置10は、図1に示すように、操作部30を操作することによりシステム制御部28、タイミング信号発生器32およびドライバ20で制御されて、被写界からの入射光を光学系12において取り込み、この被写界像を撮像部14で撮像し、撮像した画像を前処理部22で処理してメモリ部24に一時格納し、またメモリ部24に格納された画像信号を信号処理部26で信号処理するものである。また、この固体撮像装置10は、信号処理部26による信号処理後の画像信号をメディアI/F回路34を介してメディア36に記録し、またはモニタ38に表示し、また、信号処理部26による処理結果に応じてアンプ電源部16およびバイアス電源部18で撮像部14を制御し、とくに、信号処理部26の転送効率測定部200による測定結果に応じて、タイミング信号発生器32が撮像部14の水平転送路の転送タイミングを変化させるものである。なお、本発明の理解に直接関係のない部分は、図示を省略し、冗長な説明を避ける。以下の説明で、信号はその現れる接続線の参照番号で指示する。
本装置10では、たとえば静止画モード、動画モードおよび連写モードなどの撮影モードに応じて、または、撮影画像のシーン判別結果に応じて、撮像部14における信号電荷の水平転送速度を変えることができ、本実施例では、高速または低速で転送し、低速転送では撮像部14が1つの撮影画像を1つの出力回路から出力する、すなわち1線出力を行い、高速転送では撮像部14が1つの撮影画像を2つの出力回路から出力する、すなわち1線出力を行うことができる。
光学系12は、図示しないが被写界からの入射光40を撮像部14にて操作部30の操作に応じた画像を結像させるAF(Automatic Focus)機能を有する。光学系12は操作部30のズーム操作や半押し操作に応じて画角や焦点距離を調整する。また、光学系12は、入射光40を撮像部14にて操作部30の操作に応じた絞りに調節するAE(Automatic Exposure)機能を有する。光学系12は、入射光40をこのような機能により光線42に調整して、撮像部14に出射する。
撮像部14には、図2に示すように固体撮像素子44が含まれる。固体撮像素子44には、行および列方向に配列された複数の受光素子46と、入射光42の到来方向側で各受光素子の配設位置に配される図示しない色フィルタセグメントとが含まれる。固体撮像素子44は、入射光42を色フィルタセグメントで色分解し、この分解された色成分の光を受光素子46で信号電荷に変換し、電気信号を出力する機能を有する。固体撮像素子44は、露出に応じて蓄積された信号電荷を垂直転送路48に読み出して、垂直方向に順次転送する。固体撮像素子44は、垂直転送路48と直交する方向に水平転送路50が形成される。垂直に転送された信号電荷は、水平転送路50に供給される。
本実施例における固体撮像素子44は、行方向および列方向に複数の受光素子46を配し、受光素子46は、入射光側に三原色RGBのカラーフィルタを形成して、入射光を赤色、緑色および青色のいずれかに属する信号電荷に変換する。固体撮像素子44は、たとえば図3に示すように、一つの受光素子46に隣接する受光素子46を互いに行方向および列方向に1/2ピッチずらして、いわゆるハニカム配列で配する。また、受光素子46は、たとえば、緑色のフィルタセグメントを正方に配列させ、赤色および青色のフィルタセグメントを市松模様状に配列させて、いわゆるG正方格子RB完全市松パターンで配列させる。
固体撮像素子44は、このように画素または受光素子46をずらして配されて、これらの画素を迂回するように垂直転送路48が蛇行して形成される。垂直転送路48は、各受光素子46から読み出された信号電荷を、たとえばドライバ20から供給される8相駆動信号φV1ないしφV8に応じて、ラインメモリLMを利用して水平転送路50に向けて転送する。
本実施例の水平転送路50は、垂直転送された信号電荷を水平転送するもので、出力端52に分岐部54が形成される。分岐部54には、水平転送路56および58がそれぞれ分岐形成される。水平転送路56および58には、出力端に独立した出力アンプ60および62が形成される。
また、水平転送路50、56および58は、複数の転送素子を有し、たとえば図4に示すように、供給される駆動信号に応じて、一方の転送素子が他方の隣接する転送素子に信号電荷を転送するものである。各転送素子は、多結晶シリコン(Poly-Silicon)からなる2つの電極を有して形成され、各電極は、そのシリコン基板の表面付近に不純物層が形成される。この2つの電極に同電位の駆動信号を印加することにより、階段状のポテンシャル電位が形成される。また、分岐部54も、同様にして、2つの電極とそれらに対応する不純物層とで形成される。
本実施例の水平転送路50は、たとえば図3に示すように、分岐部54に接する端部から他の端部に向かって、転送素子HS1、HS2、HS3、HS2、HS1、HS4、HS3およびHS4がその順に形成され、各垂直転送路48からいずれかの転送素子に信号電荷が送られる。本実施例の水平転送路50は、G正方RB完全市松パターンにハニカム配列された受光素子から得られる信号電荷を、ラインメモリLMを利用して出力順に並べ替えることができる。
また、本実施例の水平転送路56は、図4に示すように、分岐部54から出力アンプ60に向かって、転送素子HP1、HP2、HP1、HP2およびOG(Output Gate)電極がその順に形成され、水平転送路58は、図5に示すように、分岐部54から出力アンプ60に向かって、転送素子HP2、HP1、HP2、HP1、HP2およびOG(Output Gate)電極がその順に形成される。水平転送路56および58において、OG電極の左隣りにはフローティング・ディフュージョン(FD)が形成される。さらに、FDの左隣りには、リセット電極RSが形成される。最後に、リセット電極の左隣りには、リセットドレインRDが形成される。
固体撮像素子44は、図4および5に示すように、ドライバ20から供給される駆動信号φHS2を水平転送路50における転送素子HS2の各電極に供給し、バイアス電源部18から供給される駆動信号φHSLを分岐部54の各電極HSLに供給する。駆動信号φHSLは一定のバイアス電圧である。また、固体撮像素子44は、ドライバ20から供給される駆動信号φHP1およびφHP2を、それぞれ水平転送路56ならびに58における転送素子HP1およびHP2に供給する。さらに、固体撮像素子44は、電極OG、電極RSおよびリセットドレインRDに対して、ドライバ20から供給される駆動信号φOG、φRSおよびφRDをそれぞれ供給する。電極OGは、この駆動信号φOGによって一定の電圧が供給され、リセットドレインRDは、駆動信号φRDによって一定の電源電圧が供給される。
出力アンプ60および62は、フローティングディフュージョンアンプである。フローティングディフュージョンアンプは信号電荷をアナログ電圧信号に変換する機能を有する。出力アンプ部60および62には、電源ライン64および66が接続される。電源ライン64および66は、アンプ電源部16から独立に接続される。また、出力アンプ60および62には、ドライバ20からリセット信号68および70が個々に供給される。この供給により、出力アンプ60および62は、独立に動作させることができる。
本実施例の出力アンプ60および62は、それぞれ、水平転送路56および58から水平転送される信号電荷を電気信号に変換し、2系統の出力信号82および84を生成して前処理部22に出力する。
分岐部54には、バイアス供給部18からバイアス信号72が供給される。この供給により、水平転送路50からの信号電荷が水平転送路56および58の一方に分岐される。水平転送路50には水平直列駆動信号74が供給され、水平転送路56および58には水平並列駆動信号76が供給される。水平並列駆動信号76は、たとえば水平駆動信号74の半分の周波数である。水平転送路56および58をこのように駆動させることにより、出力アンプ60および62の仕様周波数帯域が半分の帯域であっても高速転送することができる。この他、固体撮像素子44には、オーバーフロードレイン(OFD)パルス78および垂直駆動信号80が供給される。
また、アンプ電源部16は、固体撮像素子44に配設される出力アンプ部60および62に電源電力を供給する機能を有する。アンプ電源部16は、固体撮像素子44を1系統または2系統の出力にするかに応じて電源供給してよい。この電源供給は、信号処理部26からアンプ電源部16に供給される制御信号86により制御される。
バイアス供給部18は、分岐部54にバイアス信号72を供給する機能を有する。バイアス信号72は、ゲインを規定するバイアス電圧として印加される。バイアス供給部18は、信号処理部26から供給される制御信号88により制御される。
ドライバ部20は、固体撮像素子44を駆動させる各種の駆動信号を供給する機能を有する。ドライバ部20には、タイミング信号発生器32から複数のタイミング信号90が供給される。ドライバ部20は、図6に示すように、OFDパルス出力部92、垂直(V)ドライバ94、水平直列(HS)ドライバ96、水平並列(HP)ドライバ98およびリセット(RS)ドライバ100を含む。OFDパルス出力部92はOFDパルス78を固体撮像素子44に出力する。Vドライバ94は、8相駆動信号φV1ないしφV8などの垂直駆動信号80を固体撮像素子44に出力する。HSドライバ96およびHPドライバ98は、それぞれ、駆動信号φHS2などの水平直列駆動信号74、および駆動信号φHP1およびφHP2などの水平並列駆動信号76を固体撮像素子44に出力する。水平並列駆動信号76は、水平直列駆動信号74の周期に比べて倍周期である。RSドライバ100は、駆動信号φRSなどのリセット信号68および70を固体撮像素子44に出力する。
また、前処理部22は、撮像部14から供給されるアナログ電気信号82および84をアナログ信号処理するアナログフロントエンド(AFE)機能を有し、相関二重サンプリング(CDS)によりノイズ除去し、またノイズ除去したアナログ電気信号をディジタル化し、すなわちA/D変換して前処理をすることができる。
前処理部22は、各系統の入力信号ごとに、すなわち撮像部14の出力ごとに、その出力特性に応じたAFE機能を有してよく、本実施例では、撮像部14の出力82および84ごとにAFE機能を有する。前処理部22は、タイミング信号発生器32から供給されるタイミング信号またはサンプリング信号106および108に応じて、それぞれアナログ電気信号82および84に対するAFE機能が制御される。前処理部22は、タイミング信号106および108に応じて、それぞれ、アナログ電気信号82および84をアナログ信号処理してディジタル信号110および112を生成し、メモリ部24に出力する。
本実施例の前処理部22は、アナログ電気信号82および84の2系統の入力に対して、2つのタイミング信号106および108を入力するが、いずれか一方のアナログ電気信号による1系統の入力である場合、タイミング信号106および108のいずれか一方のみを入力して、その1系統の入力に対するAFE機能のみを制御し、動作させることができ、これにより消費電力を低減させることができる。この場合、前処理部22は、タイミング信号106または108に応じて、アナログ電気信号82または84をアナログ信号処理して1系統のディジタル信号110または112を生成し、メモリ部24に出力する。
メモリ部24は、供給されるディジタル信号110および112を一時格納し、出力する機能を有する。メモリ部24には、図示しないが系統毎にラインメモリが配設される。メモリ部24は、バス114を介して供給される制御信号116に応じて入出力が制御される。メモリ部24は、制御信号116に応じて入力したディジタル信号110および108をディジタル信号118として、バス114、信号線120を介して信号処理部26に出力する。
信号処理部26は、供給されるディジタル信号118に信号処理を施し、たとえばこの信号118を同時化処理して輝度・色差信号を生成することができる。また、信号処理部26は、この輝度・色差信号を、たとえば液晶モニタ用の信号に変換してもよく、記録用の信号に圧縮処理してもよい。信号処理部26は、この記録用の信号を信号線120、バス114および信号線136を介してメディアI/F回路34に供給し、また、液晶モニタ用の信号138をモニタ38に出力する。
また、信号処理部26は、ディジタル信号118に応じて制御信号を生成する機能を有し、本実施例では、電源制御機能部122、ゲイン制御機能部124、制御機能部122、AF制御機能部126、AE制御機能部128、AWB(Automatic White Balance)制御機能部130および配置変換機能部132を含む。
電源制御機能部122は、たとえば水平転送を高速または低速のいずれで行うかをシステム制御部28で決定すると、その決定結果に応じた制御信号86を生成し、アンプ電源部16に出力する。
ゲイン制御機能部124は、水平転送路50からの信号電荷を分岐部54から水平転送路56および58のいずれに供給するかに応じた制御信号88を生成し、バイアス供給部18に出力する。バイアス供給部18は、バイアス信号72を分岐部54に印加させる。
AF制御機能部126は、ディジタル信号118に基づいてAF調整する機能を有する。AE制御機能部128は、ディジタル信号118に基づいて決定したAE評価値を用いて絞りおよびシャッタ速度を調節し、すなわちAE調整する機能を有する。AF制御機能部126およびAE制御機能部128は、AF調整およびAE調整に応じた制御信号(図示せず)を、信号線120、バス114および信号線134を経てシステム制御部28に送る。AWB制御機能部130は、ディジタル信号118に基づいて、この信号118が示す画像のホワイトバランスを調節する機能を有する。
配置変換機能部132は、撮像部14が2系統で出力して高速転送するとき、2つの画像データを示すディジタル画像信号118を入力し、これらの2つの画像データを、たとえば画像の色フィルタセグメントの配列に対応した点順次の順に補正し、一枚の画像に合成する機能を有する。配置変換機能部132は、撮像部14が1系統で出力して低速転送するとき、1系統出力によるディジタル信号118を入力し、1系統出力用の配列変換処理を行う。
転送効率測定部200は、ディジタル画像信号118に基づいて、分岐部54から水平転送路56および58を通る信号電荷の転送効率、すなわち水平転送路56および58の転送効率を測定するものである。
本実施例の転送効率測定部200は、あらかじめ、たとえば本装置10の工場出荷時において、水平転送路56および58の水平転送効率を測定するもので、その測定結果に応じていずれの水平転送路の転送効率が良好であるかを判定しておき、その判定結果を図示しない記憶部に記憶しておくとよい。また、転送効率測定部200は、測定結果、すなわち水平転送効率自体を図示しない記憶部に記憶して、システム制御部28に水平転送効率を判定させてもよい。
システム制御部28は、操作部30から供給される操作信号140に応動して、本装置全体の動作を制御、統括する制御機能部である。本実施例のシステム制御部14は、操作信号140に応じて制御信号142を生成し、タイミング信号発生器16に供給して制御することができ、たとえば水平転送による出力動作を1出力および2出力のいずれかに制御する制御信号142を生成する。システム制御部28は、たとえば動画モード設定、連写速度設定、シーン判定およびレリーズシャッタボタンの押圧操作に応じて、水平転送を高速または低速のいずれで行うかを判定し、その判定結果に応じた制御信号142をタイミング信号発生器32に出力する。また、システム制御部28は、メモリ部24、信号処理部26およびメディアI/F回路34などの他の回路も制御する。
また、システム制御部28は、転送効率測定部200が測定結果を図示しない記憶部に記憶した場合、その測定結果に応じていずれの水平転送路の転送効率が良好であるかを判定する機能を有してもよく、当該制御部28または転送効率測定部200による判定結果に応じた制御信号をタイミング信号発生器16に供給する。
操作部30は、操作者の指示を入力する手操作装置であり、操作者の手操作状態、たとえばシャッタボタン(図示せず)のストローク操作に応じて、操作信号140をシステム制御部14に供給する機能を有する。操作部30は、図示しないが、たとえば電源スイッチ、ズームボタン、メニュー表示切換スイッチ、選択キー、動画モード設定部、連写速度設定部およびレリーズシャッタボタンを含むものでよい。
タイミング信号発生器32は、撮像部14の固体撮像素子44に対して垂直および水平同期信号、フィールドシフトゲート信号、垂直および水平タイミング信号、ならびにOFDパルスやリセット信号等、各種のタイミング信号を生成する機能を有する。この機能は、システム制御部28からの制御信号142に応じて各種のタイミング信号90、106および108を生成する。タイミング信号発生器32は、各種のタイミング信号90をドライバ20に出力する。タイミング信号発生器32は、基準クロック信号を発生する機能を有し、とくに、水平タイミング信号を生成する。タイミング信号発生器32は、この水平タイミング信号を分周して、2つの周波数の水平タイミング信号を生成する。タイミング信号発生器32は、システム制御部28からの制御信号142に応じて少なくとも、サンプリング信号106および108のいずれか一方を1系統出力させるように出力する。このように動作させることでディジタルカメラ10の電力消費を抑制することができる。
本実施例において、タイミング信号発生器32は、水平転送路56および58のいずれの水平転送効率が良好かを示す判定結果を転送効率測定部200またはシステム制御部28から入力し、その判定結果に応じて水平転送路50に対する水平タイミング信号の駆動条件を変えることができ、たとえばその水平タイミング信号の初期駆動条件における駆動開示時刻をずらして、水平転送路56および58に対する水平タイミング信号の初期駆動条件における駆動開示時刻から相対的にずらすことができる。
タイミング信号発生器32は、たとえば、高速駆動時の初期駆動条件の水平タイミング信号をドライバ20に供給して水平転送路50および分岐部54を制御すると、水平転送路56に緑色の信号電荷を転送し、また水平転送路58に赤色および青色の信号電荷を交互に転送する。このタイミング信号発生器32は、初期駆動条件の水平タイミング信号を相対的にずらして、たとえば1周期遅らせ、または早めてドライバ20に供給して水平転送路50および分岐部54を制御すると、水平転送路56に赤色および青色の信号電荷を交互に転送し、また水平転送路58に緑色の信号電荷を転送する。
本実施例のタイミング信号発生器32は、このように初期駆動条件の水平タイミング信号をずらして逆転分岐の駆動条件を決定し、水平転送路56および58に転送させる信号電荷を逆転して、出力アンプ60および62に出力させる電気信号を逆転させることができる。
タイミング信号発生器32は、たとえば、水平転送効率の判定結果に応じて高速駆動時の所望の駆動条件を決定して、水平転送路56および58のうちで水平転送効率が良好な水平転送路に対して、良好な水平転送を所望する信号電荷、たとえば赤色および青色の信号電荷を転送させることができる。
また、タイミング信号発生器32は、低速駆動時には水平転送路56および58のいずれか一方の水平転送路のみに対してすべての信号電荷を転送させるので、水平転送効率の判定結果に応じて低速駆動時の所望の駆動条件を決定して、水平転送路56および58のうちで水平転送効率が良好な水平転送路に対して、すべての信号電荷を転送させることができる。
メディアI/F回路34は、たとえば扱う記録媒体に応じて画像データの記録/再生を制御するインタフェース制御機能を有する。メディアI/F回路34は、画像データ144を半導体記録媒体であるPC(Personal Computer)カードに対する書込み/読出し制御したりUSB(Universal Serial Bus)コントローラの内蔵にともないバス144を介して供給される画像データ136の書込み/読出し制御したりすることができる。メディア36には、各種の半導体カードの規格がある。
モニタ38には、液晶モニタ等が用いられる。モニタ38は、信号処理部26から供給される画像データ138を表示する。
本装置10は、このように構成することにより、水平転送路50からの信号電荷を高速転送して2系統で出力し、また低速転送して1系統で出力するので最適に動作することができる。
次に水平転送路50を分岐部54で2つの水平転送路56および58に分岐する電極構造と駆動信号に応じた信号電荷の転送について説明する。説明を容易化するため分岐と一方の水平転送路56の側と、分岐と一方の水平転送路58の側とに分けて説明する。
これらの駆動信号についてのタイミングを図7に示す。駆動信号それぞれの位相に着目すると、図7(A)の駆動信号φHS1およびφHS3は、図7(B)の駆動信号φHS2およびφHS4と180°位相が異なる2相駆動信号である。また、図7(C)の駆動信号φHP1と図7(D)の駆動信号φHP2は、互いに逆位相であり、2相駆動信号である。
さらに、駆動信号の周期に着目すると、図7(A)および(B)の組の駆動信号は、図7(C)および(D)の半分の周期である。すなわち、図7(A)および(B)の組の駆動信号は、図7(C)および(D)の倍周波数である。駆動信号φRSは、図7(E)に示すように、たとえば時刻t1、t5、・・・と4n+1のタイミングでレベル“H”を供給する。変数nはゼロを含む整数である。出力信号OS1およびOS2は、図7(F)に示すように出力される。
次に、図4の一点鎖線IV−IVで示すように、左端のリセットドレインRDから水平転送路56の電極HP1まで、さらに、分岐部54から水平転送路50の電極HS2までを破断した断面図を参照しながら、水平転送路50、分岐部54お呼び水平転送路56におけるポテンシャル電位の推移を、図8のポテンシャル電位の変化を示す図を参照して説明する。
図4の破断面が示すように、図示しないP型のシリコン基板と各電極の直下に不純物層が形成される。この不純物層は、各電極の大きさに応じてそれぞれ区切られる。区切られた不純物層には、イオン注入法等を用いて不純物をドープさせ、ドープする不純物の種類およびその濃度によりポテンシャル電位の大きさが特徴付けられる。また、不純物層の直上に形成される電極に印加される駆動信号の電圧レベルに応じて後述するように、所定のポテンシャル電位が形成される。
図8(A)に示すように、駆動信号φHSLが供給されることにより、駆動信号φHSLの供給される電極HSLの直下には、常に固定した基準レベル146のポテンシャル電位と水平転送路50から供給される信号電荷の逆流を防ぐポテンシャル障壁またはバリア148が形成される。
供給される駆動信号に応じて形成されるポテンシャルとこのポテンシャル形成にともなう信号電荷の移動を説明する。色の属性R、GおよびBそれぞれを有する信号電荷を信号電荷R、GおよびBという。時刻t1にて図7(B)に示すように、駆動信号φHS2がレベル“L”、駆動信号φHSLおよび駆動信号φHP1が供給される。駆動信号φHP1はレベル“L”である。
このように駆動信号が印加されると、図8(A)に示すように、信号電荷Rが分岐部54で保持される。このとき、電極HSLに隣接する図示しない電極HP1の不純物層は、レベル“L”の供給により、たとえば信号電荷Rが水平転送路56に混入しない程度の破線150で示すポテンシャル電位またはバリアを生成する。
また、分岐部54に隣接するもう一方の電極HP2には、レベル“H”の駆動信号φHP2が供給される。この供給により信号電荷Rが水平転送路58に流入するように、基準レベルより低いポテンシャル電位152が生成される。このとき、信号電荷Rは、基準レベル146およびポテンシャル電位152の両方パケットに存在する。
電極HP2およびHP1の直下には、不純物層154および156が形成される。レベル“H”が供給されると、ポテンシャル電位は、基準レベル146より一段低いレベルと最深のレベルが階段状に形成される。また、レベル“L”が供給されると、ポテンシャル電位は、基準レベル146より一段高いレベルと基準レベル146と同レベルになる。これにより、形成されるポテンシャルは、順に信号電荷の転送方向に向かって階段状にレベルが低下する。時刻t1で水平転送路56には、1つ置きに信号電荷Gが保持される。
次に、時刻t2にて、図7(B)に示すように、駆動信号φHS2がレベル“H”で電極HS2に印加される。また、図8(B)に示すように、この印加により電極HS2の不純物層は、ポテンシャル電位148と基準レベル146を生成する。このポテンシャル電位の形成により電極HS2は、電極HSLとの間にパケットを形成する。このパケットには信号電荷Gが保持される。これ以降の電極には時刻t1と同じレベルの駆動信号がそれぞれ供給される。したがって、形成されるポテンシャル電位は時刻t1と同じである。この間に電極HSLの信号電荷Rは、図示しない紙面の手前側に位置する水平転送路58側の電極HP2に移動する。この実際に状態の信号電荷Rを破線で示す。
次に、図8(C)に示すように、時刻t3にて、電極HS2には駆動信号φHS2がレベル“L”で印加される。この印加によりポテンシャル電位は、時刻t1の状態になる。時刻t2で形成されたパケットに保持していた信号電荷Gは、このポテンシャル電位の形成により分岐部54の基準レベル146まで移動する。このとき、電極HSLに隣接する水平転送路56の電極HP1には、レベル“H”の駆動信号φHP1が供給される。電極HP1に対応する不純物層に形成されるポテンシャル電位は、基準レベル146より破線158で示すように低いポテンシャル電位になる。この結果、信号電荷Gは、基準レベル146およびポテンシャル電位160の両方パケットに存在する。このとき、水平転送路58の電極HP2には、レベル“L”の駆動信号φHP2が供給される。これにより、電極HP2には、破線158のポテンシャル電位が生成される。このポテンシャル電位は、水平転送路58への信号電荷Gの混入を防止する。分岐部54の信号電荷Gは、図示しない紙面の奥側の水平転送路56の電極HP1に形成されるパケットに向かって移動する。
電極HP1に隣接する電極HP2にはレベル“L”の駆動信号φHP2が印加される。これにより不純物層154および156は、ポテンシャル電位148および基準レベル146のレベルを形成する。また、電極HP2に隣接する電極HP1にはレベル“H”の駆動信号φHP1が印加される。これにより不純物層154および156は、基準レベル146より1段低いレベルと最深のポテンシャル電位を形成する。さらに、隣接する電極HP2に供給されるレベル“L”によりポテンシャル電位148および基準レベル146のレベルが形成される。この結果、時刻t2にてパケットに保持された信号電荷Gは電極HP1に形成されるパケットに移動し、保持される。
また、時刻t2で形成されたパケットに保持された電極HP2の信号電荷Gは、このポテンシャル電位の上昇により出力側に向かって移動され、電極OGを介してFDに転送させられる。
次に、図8(D)に示すように、時刻t4にて電極HS2には、レベル“H”の駆動信号φHS2が供給されることにより時刻t2と同じポテンシャルを形成する。このとき、形成されるパケットには信号電荷Bが保持される。分岐部54の信号電荷Gは、水平転送路56の電極HP1の直下に形成されるパケットに移動する。これ以降の電極には時刻t3と同じレベルの駆動信号がそれぞれ供給される。したがって、形成されるポテンシャル電位は時刻t3と同じである。
次に、図8(E)に示すように、時刻t5にて、電極HS2に対応する不純物層は、時刻t1と同じポテンシャル電位を形成する。これにより分岐部54に隣接する電極HP1の直下には、ポテンシャル電位152が形成され、信号電荷Bに対するポテンシャル障壁になる。信号電荷Bは、水平転送路56に混入または混色しないようにすることができる。分岐部54は、パケットを形成しながら、転送されてきた信号電荷Bをさらに水平転送路58へと移動させる。水平転送路56には、時刻t1と同じレベルの駆動信号がそれぞれ供給される。したがって、形成されるポテンシャル電位は時刻t1と同じである。時刻t4では、FDに供給された信号電荷Gがアナログ電圧信号に変換され、出力アンプ60に送る。
次に図5の一点鎖線VII−VIIで示すように、左端のリセットドレインRDから水平転送路58の電極HP2まで、さらに、分岐部54から水平転送路50の電極HS2までを破断した断面図を参照しながら、水平転送路50、分岐部54お呼び水平転送路58におけるポテンシャル電位の推移を、図9のポテンシャル電位の変化を示す図を参照して説明する。
図5の破断面が示すように、図示しないP型のシリコン基板と各電極の直下に不純物層が形成される。この不純物層も多結晶シリコンの電極の大きさに応じてそれぞれ区切られる。区切られた不純物層は、供給される駆動信号の電圧レベルに応じて所定のポテンシャルが形成されるように、不純物の濃度が調整され、形成される。水平転送路58は、水平転送路56の電極数よりも1個多く形成される点に特徴がある。
時刻t1にて図7(B)に示すように、水平転送路58の電極それぞれにレベル“H”の駆動信号φHS2、定バイアス電圧の駆動信号φHSLおよびレベル“L”の駆動信号φHP1が供給される。
このように各駆動信号が印加されると、図9(A)に示すように、信号電荷Rが分岐部54で保持される。このとき、電極HSLに隣接する図示しない破断された電極HP2の不純物層が生成するポテンシャル電位は、駆動信号φHP2の印加により生成するポテンシャル電位が基準レベル146よりも一段階低いレベル152になる。また、水平転送路56の電極HP1直下の形成されるポテンシャル電位150は、ポテンシャル障壁として機能し、信号電荷Rの混入を防止する。
また、電極HP2に続けて、電極HP1と電極HP2が交互に計、4つ形成される。したがて、水平転送路58は、水平転送路56に比べて1つ電極を多く設けられる。これら4つの電極直下の不純物層には、右から順に、たとえば図4の不純物層154および156が形成される。電極HP1には、レベル“L”の駆動信号φHP1が供給されるから、電極HP1の直下には、ポテンシャル電位148および基準レベル146のレベルが形成される。電極HP2には、には、レベル“H”の駆動信号φHP2が供給される。これにより、電極HP2の直下には、基準レベル146より1段低いレベルと最深のポテンシャル電位が形成される。
時刻t1では、上述したように駆動信号が供給されることから、電極HP2の直下にパケットが形成される。分岐部54から順に、パケットには、信号電荷BおよびRが保持される。
次に、時刻t2にて図7(B)に示すように、レベル“H”の駆動信号φHS2が電極HS2に印加される。この印加により電極HS2の不純物層は、図9(B)に示すように、図8の時刻t2と同じレベルのポテンシャル電位を生成し、パケットを形成する。このパケットには信号電荷Gが保持される。これ以降、水平転送路58の電極には、時刻t1と同じレベルの駆動信号がそれぞれ供給される。したがって、形成されるポテンシャルは時刻t=1と同じである。
次に、時刻t3におけるポテンシャルを図9(C)に示す。時刻t3では、駆動信号φHS2がレベル“L”で電極HS2に印加される。この印加によりポテンシャルは、時刻t1の状態になる。時刻t2で電極HS2の直下のパケットに保持していた信号電荷Gは基準レベル146の分岐部54まで移動する。このとき、電極HSLに隣接する水平転送路58の電極HP2には、レベル“L”の駆動信号φHP2が供給される。電極HP2には、破断により取り除かれた電極HP2に対応する不純物層によりポテンシャル電位は、破線158で示すように、基準レベル146より若干高いポテンシャルになる。すなわちポテンシャル障壁が形成される。この形成により信号電荷Gは水平転送路58に混入しない。一方、水平転送路56の電極HP1に供給されるレベル“H”により破線152bで示すポテンシャル電位が形成される。これにより、信号電荷Gは、矢印162が示す紙面の奥側に向かって移動する。水平転送路56における駆動信号φHP1が供給される電極HP1の直下には、図8の時刻t1に示すように、ポテンシャル電位160によりパケットが形成される。
水平転送路58には、駆動信号φHP1のレベル“H”の供給に応じて時刻t2にて電極HP2に形成されたパケットが電極HP1に形成される。分岐部54から順に、電極HP1のパケットには、信号電荷RおよびBが保持される。時刻t2で形成されたパケットに保持された電極HP2の信号電荷Rは、このポテンシャル電位の上昇により出力側に向かって移動され、電極OGを介してFDに転送させられる。
次に、図9(D)に示すように、時刻t4にて電極HS2の直下には、時刻t2と同じポテンシャルを形成される。このとき、形成されるパケットには信号電荷Bが保持される。これ以降の電極には時刻t3と同じレベルの駆動信号がそれぞれ供給される。したがって、形成されるポテンシャルは時刻t3と同じである。電極HSLに隣接する電極HP2の直下に形成されるポテンシャル電位は、破線158で示すように、基準レベル146より高いポテンシャルの状態にある。また、電極HSLに隣接する電極HP1の直下に形成されるポテンシャル電位は、破線160で示すように、基準レベル146より低いポテンシャルの状態にある。
次に、図9(E)に示すように、時刻t5では時刻t1と同じポテンシャル電位が形成される。分岐部54から順に、電極HP2のパケットには、信号電荷RおよびBが保持される。時刻t4では、FDに供給された信号電荷Rがアナログ電圧信号に変換され、出力アンプ60から出力される。
このように駆動信号の供給に応じた水平転送の動作原理を図10に示す。水平転送は、図10(A)に示すように、時刻t1で水平転送路50から分岐部54に供給されるたとえば、信号電荷R#G1#B#G2を、分岐部54で水平転送路56および58に振り分けている。ここで、記号#は、ポテンシャル障壁領域を表わす。図10の水平転送路では信号電荷を分離するポテンシャル障壁が1電極分ずつ形成されることがわかる。水平転送路56は、供給される駆動信号に応じて信号電荷Gだけを転送する。この時点で分岐部54に隣接する水平転送路56の電極HP1ではポテンシャル障壁が形成されている。信号電荷Rが水平転送路56への混入を防止する。また、水平転送路58は、供給される駆動信号に応じて信号電荷RおよびBを転送する。
水平転送路50は、水平転送路56および58に比べて2倍周波数で動作させる。これにより、図10(B)に示すように、時刻t2で水平転送路50は、供給される駆動信号に応じて保持する信号電荷を分岐部54に向けて1パケット分水平転送する。これに対して、水平転送路56には供給される駆動信号がレベル変化しないことから信号電荷の転送に変化がない。水平転送路58でも駆動信号のレベル変化がないことから信号電荷の転送はされない。しかしながら、分岐部54の信号電荷Rは、基準レベル146より低いポテンシャル電位が形成されることから、電極HP2に形成するパケットに移動する。
また、図10(C)に示すように、時刻t3で水平転送路50は、保持する信号電荷を分岐部54に向けて1パケット分水平転送する。分岐部54および分岐部54に隣接する水平転送路56の電極HP1の直下に形成されるパケットには、信号電荷G1が保持される。この時点で分岐部54に隣接する水平転送路58の電極HP2にはポテンシャル障壁が形成されている。信号電荷G1が水平転送路58への混入を防止する。また、水平転送路56および58は、供給される駆動信号のレベルに応じて保持する信号電荷を分岐部54に向けて1パケット分水平転送する。これにより信号電荷Gと信号電荷Bそれぞれが、水平転送路56および58の出力アンプ60および62のFDに供給される。
次に、図10(D)に示すように、時刻t4で水平転送路50は、供給される駆動信号に応じて保持する信号電荷を分岐部54に向けて1パケット分水平転送する。信号電荷G1は、分岐部54に隣接する水平転送路56の電極HP1の直下に形成されるパケットに移動する。また、信号電荷Rは、分岐部54に隣接する水平転送路58の電極HP1の直下に形成されるパケットに移動する。
また、図10(E)に示すように、時刻t5では水平転送路50、56および58は、保持する信号電荷を1パケット分出力側に向けて水平転送する。これにより、出力アンプ60および62から同時に色Gおよび色Bの信号電荷がアナログ電圧信号に変換して、出力信号OS1およびOS2として出力される。出力信号OS1およびOS2は、完全並列処理される。これにより出力信号OS1およびOS2の時系列的な処理の差をなくすことができる。
なお、時系列的な処理の差が許容できれば出力信号OS1およびOS2は交互に出力させてもよい。
信号電荷は、このように動作させることで色属性を有する信号電荷を分類して、混色させることなく、転送し、出力させることができる。一般的に固体撮像素子には、高画素化にともない得られた信号電荷を高速に転送することが要求される。この要求は、水平転送路の出力アンプにおける周波数帯域に影響する。固体撮像素子はある一定以上の周波数での駆動が困難で周波数帯域の不足によるものである。しかしながら、本実施例の固体撮像素子44は、たとえ高画素化に対応して水平転送路50の駆動周波数を上昇させても、出力を分岐させ、増やすことにより出力部60および62の駆動周波数を上げなくても、色に応じて所定の周波数帯域内で出力信号電荷を転送することができる。すなわち、信号電荷の転送速度の向上を実現させることができる。
また、本実施例において、図3に示すように配列された受光素子、すなわちG正方RB完全市松パターンにハニカム配列された受光素子から得られる信号電荷は、水平転送路50にてラインメモリLMを利用して出力順に並べ替えられる。
この並べ替えは、図11および図12に示すように、(A)のラインメモリLMに供給される駆動信号φLMと(B)〜(E)の水平転送路50の電極に供給される駆動信号φHS1〜φHS4を用いる。この並べ替えでは、図11および図12の(F)および(G)が示すように、時間的なレベル変化させない駆動信号φHP1およびφHP2を水平転送路56および58に供給する。この供給により水平転送路56および58は動作しない。
図11のタイミングチャートは、水平ブランキング(HBL)期間中で第1フィールドの並べ替えを示す。まず、図11(A)の駆動信号φLMが時刻t174でレベル“L”になる。このとき、レベル“H”の駆動信号は図11(C)の駆動信号φHS2だけである。駆動信号φHS2が供給される水平転送路50の電極HS2の直下に形成されるパケットには、ラインメモリLMから信号電荷が転送される。
次に電極HS1に供給される図11(B)の駆動信号φHS1がレベル“H”になる。これによりパケットが電極HS1の直下に形成され、信号電荷が移動される。次に電極HS4に供給される図11(E)の駆動信号φHS4がレベル“H”になる。これによりパケットが電極HS4の直下に形成され、信号電荷が移動される。さらに、次に電極HS3に供給される図11(D)の駆動信号φHS3がレベル“H”になる。これによりパケットが電極HS3の直下に形成され、信号電荷が移動される。次に図11(A)の駆動信号φLMが時刻t176でレベル“L”になる。図11(B)の駆動信号φHS1だけがレベル“H”になる。これにより信号電荷がパケットに供給され、保持される。
次に図12のタイミングチャートは、水平ブランキング(HBL)期間中で第2フィールドの並べ替えを示す。まず、図12(A)の駆動信号φLMが時刻t178でレベル“L”になる。このとき、レベル“H”の駆動信号は図12(E)の駆動信号φHS4だけである。駆動信号φHS4が供給される水平転送路50の電極HS4の直下に形成されるパケットには、ラインメモリLMから信号電荷が転送される。次にレベル“H”が、電極の配置に応じて、図12(B)、(C)、(D)、(C)および(B)の順に供給される。これにより信号電荷は形成されるパケットの移動にともない移動される。すなわち、第1の信号電荷が電極HS4、HS1、HS2、HS3、HS2、HS1に順に移動させる。第1の信号電荷が電極HS1に一時保持される。
次に図12(A)の駆動信号φLMが時刻t180でレベル“L”になる。このとき、レベル“H”の駆動信号は図12(E)の駆動信号φHS3だけである。駆動信号φHS3が供給される水平転送路50の電極HS3の直下に形成されるパケットには、ラインメモリLMから第2の信号電荷が転送される。次にレベル“H”が、電極の配置に応じて、図12(C)および(B)の順に供給される。この順序のうち、時刻t180で読み出した第2の信号電荷は形成される電極HP2にパケットを移動させる。この移動とほとんど同時に第2フィールドでの保持した第1の信号電荷が電極HS4に移動させられる。次に電極HS4に保持した第1の信号電荷は電極HS3に移動させられる。
このように並べ替えることにより図3における最下端から読み出された2行の信号電荷RGBGRGBG・・・が第1フィールドとして整理される。また、この2行の上から読み出された2行の信号電荷BGRGBGRG・・・が第2フィールドとして整理される。
ここで、この並べ替えは、ハニカム配列におけるG正方RB完全市松パターンの場合に用いる手法である。別の配列パターンでは、並べ替えが不要であったり、タイミングが異なったりする。このような並べ替えは、一般的な正方画素において適用してもよい。
次に、本実施例の固体撮像装置10において、高速転送時に初期駆動条件で水平転送する動作を、図13のタイミングチャートを参照しながら説明する。
図13(A)ないし(G)では、タイミング信号発生器32が初期駆動条件の水平タイミング信号をドライバ20に供給する場合の動作が示されている。ここで、図13(A)ならびに(B)には、それぞれ、HSドライバ96が水平転送路50に出力する駆動信号φHS1およびφHS3、ならびに駆動信号φHS2およびφHS4が示され、図13(C)および(D)には、それぞれ、HPドライバ98が水平転送路56および58に出力する駆動信号φHP1およびφHP2が示されている。また、図13(E)には、RSドライバ100が出力アンプ60および62に出力するリセット信号φRSが示され、図13(F)および(G)には、それぞれ、出力アンプ60および62が出力する出力信号OS1およびOS2が示されている。
本実施例の水平転送路50では、各垂直転送路48から転送された信号電荷が、水平ブランキング期間において出力順に並べ替えられて、たとえば時刻t202の時点において、分岐部54に接する端部から他の端部に向かって、各転送素子にダミー画素D1、ダミー画素D2、光学的黒画素OB1、光学的黒画素OB2、R画素、G画素、B画素、G画素・・・がその順に蓄積されているものとする。
本実施例では、ドライバ20において、初期駆動条件の水平タイミング信号に応じて、時刻t204で起動する水平直列駆動信号74がHSドライバ96で生成され、この駆動信号74として駆動信号φHS1およびφHS3、ならびに駆動信号φHS2およびφHS4が水平転送路50に供給される。また、ドライバ20では、時刻t206で起動する水平並列駆動信号76がHPドライバ98で生成され、この駆動信号74として駆動信号φHP1およびφHP2が水平転送路56および58に供給される。
まず、水平転送路50では、各信号電荷が分岐部54の方に水平転送され、本実施例では、ダミー画素D1、ダミー画素D2、光学的黒画素OB1、光学的黒画素OB2、R画素、G画素、B画素、G画素・・・の順に転送される。
このとき、各信号電荷は、分岐部54から水平転送路56および58に交互に分岐転送される。この分岐転送に関しては、後で述べる。各信号電荷は、まず時刻t204でレベル“H”である水平並列駆動信号φHP2が供給される水平転送路58に送られ、次に、時刻t206でレベル“H”である水平並列駆動信号φHP1が供給される水平転送路56に送られるので、本実施例では、水平転送路58の側にダミー画素D1、光学的黒画素OB1、R画素、B画素がその順で送られ、他方、水平転送路56の側にダミー画素D2、光学的黒画素OB2、G画素、G画素がその順で送られる。
水平転送路56および58に送られた信号電荷は、それぞれ出力アンプ60および62に転送されてアナログ電気信号に変換されて出力される。本実施例の出力アンプ60では、図13(F)に示すように、各出力期間t182、t184、t186およびt188にて、それぞれ、ダミー画素信号D2、光学的黒画素信号OB2、G画素信号およびG画素信号が、出力信号OS1として、すなわちアナログ電気信号82として順次出力される。
また、出力アンプ62では、図13(G)に示すように、各出力期間t182、t184、t186およびt188にて、それぞれ、ダミー画素信号D2、ダミー画素信号D1、光学的黒画素信号OB1、R画素信号およびB画素信号が、出力信号OS2として、すなわちアナログ電気信号84として順次出力される。
このように、撮像部14では、初期駆動条件で水平転送すると、水平転送路56および出力アンプ60からは、G画素の色信号を示す出力信号OS1を出力し、水平転送路58および出力アンプ62からは、R画素およびB画素の色信号を示す出力信号OS2を出力する。
次に、本実施例の固体撮像装置10において、高速転送時に初期駆動条件から水平タイミング信号をずらして水平転送する動作を、図14のタイミングチャートを参照しながら説明する。
図14(A)ないし(G)では、タイミング信号発生器32が初期駆動条件から1周期、たとえば周期t190だけ遅らせた、すなわち逆転分岐の駆動条件の水平タイミング信号をドライバ20に供給する場合の動作が示されている。ここで、図14(A)ならびに(B)には、それぞれ、HSドライバ96が水平転送路50に出力する駆動信号φHS1およびφHS3、ならびに駆動信号φHS2およびφHS4が示され、また、図14(F)および(G)には、それぞれ、出力アンプ60および62が出力する出力信号OS1およびOS2が示されている。また、この場合の駆動信号φHP1およびφHP2、ならびにリセット信号φRSは、図13(C)および(D)ならびに図13(E)に記載のものと同じ信号でよい。
この実施例においても、上記と同様に、水平転送路50では、時刻t202の時点において、各転送素子にダミー画素D1、ダミー画素D2、光学的黒画素OB1、光学的黒画素OB2、R画素、G画素、B画素、G画素・・・が蓄積されているものとする。
本実施例では、まず、上記と同様にして、HPドライバ98において、時刻t206で起動する水平並列駆動信号76が生成され、この駆動信号74として駆動信号φHP1およびφHP2が水平転送路56および58に供給される。また、HSドライバ96では、逆転分岐の駆動条件の水平タイミング信号に応じて、時刻t208で起動する水平直列駆動信号74がHSドライバ96で生成され、この駆動信号74として駆動信号φHS1およびφHS3、ならびに駆動信号φHS2およびφHS4が水平転送路50に供給される。
次に、水平転送路50では、各信号電荷が分岐部54の方に水平転送され、本実施例では、ダミー画素D1、ダミー画素D2、光学的黒画素OB1、光学的黒画素OB2、R画素、G画素、B画素、G画素・・・の順に転送される。
このとき、各信号電荷は、分岐部54から水平転送路56および58に交互に分岐転送され、初期駆動条件の水平転送と逆転した順に分岐転送される。各信号電荷は、まず時刻t208でレベル“H”である水平並列駆動信号φHP1が供給される水平転送路56に送られ、次に、時刻t210でレベル“H”である水平並列駆動信号φHP2が供給される水平転送路58に送られるので、本実施例では、水平転送路56の側にダミー画素D1、光学的黒画素OB1、R画素、B画素がその順で送られ、他方、水平転送路58の側にダミー画素D2、光学的黒画素OB2、G画素、G画素がその順で送られる。
次に、水平転送路56および58における信号電荷は、それぞれ出力アンプ60および62に転送され、出力アンプ60では、図14(F)に示すように、ダミー画素信号D1、光学的黒画素信号OB1、R画素信号およびB画素信号が、出力信号OS1として出力期間t182、t184、t186およびt188でそれぞれ出力され、また、出力アンプ62では、図14(G)に示すように、ダミー画素信号D2、光学的黒画素信号OB2、G画素信号およびG画素信号が、出力信号OS2として出力期間t182、t184、t186およびt188でそれぞれ出力される。
このように、撮像部14では、逆転分岐の駆動条件で水平転送すると、水平転送路56および出力アンプ60からは、R画素およびB画素の色信号を示す出力信号OS1を出力し、水平転送路58および出力アンプ62からは、G画素の色信号を示す出力信号OS2を出力する。
次に、本実施例の固体撮像装置10において、低速転送時の水平転送に係る動作を、図15のタイミングチャートを参照しながら説明する。
図15(A)ないし(G)では、タイミング信号発生器32が初期駆動条件の水平タイミング信号をドライバ20に供給する場合の動作が示されている。ここで、図15(A)ならびに(B)では、それぞれ、HSドライバ96が水平転送路50に出力する水平直列駆動信号φHS1およびφHS3、ならびに水平直列駆動信号φHS2およびφHS4が示され、図15(C)および(D)には、それぞれ、HPドライバ98が水平転送路56および58に出力する水平並列駆動信号φHP1およびφHP2が示されている。また、図15(E)には、RSドライバ100が出力アンプ60および62に出力するリセット信号φRSが示され、図15(F)および(G)には、それぞれ、出力アンプ60および62が出力する出力信号OS1およびOS2が示されている。
本実施例では、水平直列駆動信号φHS1、φHS2、φHS3およびφHS4と、水平並列駆動信号φHP1およびφHP2とが同じ周波数で出力される。図15に示すように、時刻t212において、水平転送路50の最終電極HS2に供給される駆動信号φHS2がレベル“L”になるとき、電極HP1に供給される駆動信号φHP1は、レベル“H”に、電極HP2に供給される駆動信号φHP2は、レベル“L”になり、最終電極HS2における信号電荷は、分岐部(HSL)54を介して電極HP1、すなわち水平転送路56側に常に転送される。
また、固体撮像素子44では、図15(F)に示すように、いずれかの色信号を示す出力信号OS1が出力アンプ60から出力され、図15(G)に示すように、レベル“L”を示す出力信号OS2が出力アンプ60から出力される。
このように、低速駆動時において、固体撮像素子44では、出力信号OS1だけが1線出力され、出力信号OS2は使用されないので、出力アンプ62の電源をオフにしてもよい。この場合、電源制御機能部122からの制御信号86に応じてアンプ電源部16の電源供給を制御して、電源66をオフ状態にするとよい。
また、低速転送時の水平転送では、システム制御部28およびタイミング発生器32がドライバ20を制御して、駆動信号φHP1およびφHP2の位相を逆転し、または駆動信号φHS1およびφHS3の位相と、駆動信号φHS2およびφHS4の位相とを逆転することにより、固体撮像素子44は、水平転送路58および出力アンプ62の側だけを動作して、出力信号OS2を1線出力することができる。
このようにして、簡単に1線出力と2線出力を切り替え、出力を自由に選択することが可能である。低感度時においてダイナミックレンジ優先が選択された場合、電荷検出の感度が低い出力アンプを選択し、高感度時において感度優先が選択された場合、電荷検出の感度が高い出力アンプを選択するとよい。
次に、本実施例の固体撮像装置10において、転送効率を測定する動作の実施例について説明する。
本装置10は、分岐部54ならびに水平転送路56および58における転送効率を測定するとき、水平転送路50で信号電荷を水平画素混合し、また分岐部54ならびに水平転送路56および58で2系統出力するように、ドライバ20が撮像部14を駆動制御する。
水平転送路50は、この水平画素混合によって、複数の信号電荷が混合された基準信号の画素と、この混合により電荷を失った空画素を蓄積して、図16に示すように、基準信号の画素Sigの後に2つ以上の空画素Emp1およびEmp2が続く、複数の画素からなるグループ220を繰り返して作成する。水平転送路50は、このような複数の画素Sig、Emp1およびEmp2を含むグループ220を分岐部54へと水平転送する。
ここで、分岐部54と水平転送路56および58とが、たとえば、初期駆動条件の水平タイミング信号に応じて駆動制御される場合、分岐部54は、水平転送路56側に基準信号の画素Sigおよび2番目の空画素Emp2を送り、また水平転送路58側に1番目の空画素Emp1を送る。
このとき、水平転送路56による水平転送において、基準信号の画素Sigが転送される際に取り残された信号電荷が2番目の空画素Emp2に入り込み、また分岐部54から水平転送路58への転送において、基準信号の画素Sigが転送される際に取り残された信号電荷が1番目の空画素Emp1に入り込む。
これらの1番目及び2番目の空画素Emp1およびEmp2を合わせた信号電荷量、すなわち、分岐部54から水平転送路56を通って出力アンプ60に達するまでに取り残された水平転送路56の転送残留電荷量232は、図18に示すように、基準信号の画素Sig、すなわち基準信号電荷量に応じて変化する。
その後、出力アンプ60が、基準信号の画素Sigおよび2番目の空画素Emp2を含む出力信号82を出力して、前処理部22がこの出力信号82をアナログ信号処理してディジタル信号110を生成してメモリ24に格納する。同様にして、水平転送路58および出力アンプ62は、1番目の空画素Emp1を含む出力信号84を出力し、前処理部22がこの出力信号84に基づくディジタル信号112をメモリ24に格納する。
さらに、信号処理部26が、メモリ24から、基準信号の画素Sigおよび2番目の空画素Emp2、ならびに1番目の空画素Emp1を、ディジタル信号118としてバス114および信号線120を介して読み出す。
信号処理部26において、転送効率測定部200は、1番目の空画素Emp1および2番目の空画素Emp2に基づいて、水平転送路56の転送残留電荷量232を得て、水平転送路56における水平転送効率(Horizontal Transfer Rate:HTR)のうち、分岐部54から水平転送路56への転送に係る水平転送効率HTR11を、基準信号電荷量Sigと転送残留電荷量Emp1とに基づいて算出することができ、水平転送路56において電極OGおよびFDへの転送に係る水平転送効率HTR12を、基準信号電荷量Sigと転送残留電荷量Emp2とに基づいて算出することができる。転送効率測定部200は、たとえば、HTR11=(Sig−Emp1)/Sig×100からなる数式を用いて水平転送効率HTR11を算出してよく、HTR12=(Sig−Emp2)/Sig×100からなる数式を用いて水平転送効率HTR12を算出してよい。この水平転送効率HTR11およびHTR12は、図19に示すように、基準信号電荷量Sigに応じて変化する。
ところで、分岐部54と水平転送路56および58とが、初期駆動条件の水平タイミング信号をずらした逆転分岐の駆動条件に応じて駆動制御される場合には、分岐部54は、水平転送路58側に1番目の空画素Emp1を送り、また水平転送路56側に基準信号の画素Sigおよび2番目の空画素Emp2を送る。
ここでは、分岐部54から水平転送路58への基準信号の画素Sigの転送において取り残された信号電荷が1番目の空画素Emp1に入り込み、また水平転送路58による基準信号の画素Sigの水平転送において取り残された信号電荷が2番目の空画素Emp2に入り込む。これらの空画素Emp1およびEmp2を合わせた信号電荷量、すなわち、分岐部54から水平転送路58を通って出力アンプ62に達するまでに取り残された水平転送路58の転送残留電荷量234は、図18に示すように、基準信号電荷量に応じて変化する。
その後、出力アンプ60および62が、それぞれ、1番目の空画素Emp1を含む出力信号82、および基準信号の画素Sigと2番目の空画素Emp2とを含む出力信号84を出力し、前処理部22がこの出力信号82および84に基づくディジタル信号110および112をメモリ24に格納する。
さらに、信号処理部26が、メモリ24から、1番目の空画素Emp1、ならびに基準信号の画素Sigおよび2番目の空画素Emp2を、ディジタル信号118としてバス114および信号線120を介して読み出す。
信号処理部26において、転送効率測定部200は、1番目の空画素Emp1および2番目の空画素Emp2に基づいて、水平転送路58の転送残留電荷量234を得て、水平転送路58における水平転送効率のうち、分岐部54から水平転送路58への転送に係る水平転送効率HTR21を、基準信号電荷量Sigと転送残留電荷量Emp1とに基づいて算出することができ、水平転送路58において電極OGおよびFDへの転送に係る水平転送効率HTR22を、基準信号電荷量Sigと転送残留電荷量Emp2とに基づいて算出することができる。転送効率測定部200は、たとえば、HTR21=(Sig−Emp1)/Sig×100からなる数式を用いて水平転送効率HTR21を算出してよく、HTR22=(Sig−Emp2)/Sig×100からなる数式を用いて水平転送効率HTR22を算出してよい。この水平転送効率HTR21および22は、図19に示すように、基準信号電荷量Sigに応じて変化する。
転送効率測定部200は、水平転送効率HTR11およびHTR12のいずれかまたは両方を測定し、かつ水平転送効率HTR21およびHTR22のいずれかまたは両方を測定して、その測定結果を水平転送路56および58の水平転送効率の判定の際に用いることができる。本実施例では、とくに、分岐部54にてR画素およびB画素からG画素に取り残される信号電荷の残留量に基づいて水平転送効率判定を行い、分岐部54に起因する信号電荷の転送残留量、すなわち、水平転送効率HTR11およびHTR21だけを測定して水平転送効率判定に用いるとよい。
本実施例の転送効率測定部200は、水平転送効率HTR11およびHTR21を比較することにより、水平転送路56および58のいずれの転送効率が良好であるかを判定することができる。このとき、転送効率測定部200は、ある1点の基準信号電荷量に応じた水平転送効率HTR11およびHTR21を比較してもよく、複数点の基準信号電荷量に応じた複数の水平転送効率HTR11およびHTR21からそれぞれの評価値を算出して比較してもよい。
本装置10は、あらかじめ所定の被写体を撮影して転送効率を測定しておくものであり、本実施例では、異なる複数の被写体をそれぞれ撮影することによって複数点の基準信号電荷量および取り残し量を得て、転送効率測定部200にて複数点の水平転送効率HTR11およびHTR21を算出して比較および判定してもよい。
また、本実施例では、水平転送路50における水平画素混合によって、基準信号の画素Sigの後に2つ以上の空画素Emp1およびEmp2が続くグループ220を繰り返して作成するために、水平転送路50を水平8画素混合方式で駆動して、基準信号の画素Sigと3つの空画素Emp1、Emp2およびEmp3とを含むグループ220を作成することができる。
次に、本実施例の固体撮像装置10において、水平転送路50を水平8画素混合方式で駆動する動作を、図20のタイミングチャート、ならびに図21、図22および図23のポテンシャル転移図を参照しながら説明する。
図21、図22および図23のポテンシャル転移図では、分岐部54に接する端部から他の端部に向かって、転送素子HS4、HS1、HS2、HS3、HS2、HS1、HS4、HS3およびHS4がその順に形成される水平転送路50のポテンシャル電位および保持する信号電荷を示す。各転送素子の信号電荷は、左に向かって転送され、すなわち前方の転送素子へと転送される。
本実施例の水平転送路50では、水平ブランキング期間において水平8画素混合が実行されて、転送素子HS1、HS2、HS3、HS2、HS1、HS4、HS3およびHS4からなるグループ220の信号電荷が混合される。図20(A)に示すように、ラインメモリLMに供給される駆動信号φLMに応じて水平転送路50に信号電荷が転送され、図20(B)ないし(E)に示すように、HSドライバ96から供給される駆動信号φHS1、φHS2、φHS3およびφHS4などの水平直列駆動信号74に駆動制御されて水平転送路50における信号電荷が画素混合される。
まず、図20(A)に示す駆動信号φLMが、時刻t302でレベル“H”になると、図20(B)ないし(E)に示す駆動信号φHS1ないしφHS4は、すべてレベル“H”であるので、水平転送路50の転送素子HS1ないしHS4の各電極の直下に形成されるパケットにラインメモリLMから信号電荷が転送される。図21(A)に示すように、この時刻t302の状態における各転送素子HS1ないしHS4のポテンシャル電位を基準レベル300とする。
次に、時刻t304において、レベル“L”の駆動信号φHS2およびφHS4が転送素子HS2およびHS4に供給されると、図21(B)に示すように、転送素子HS2およびHS4において、ポテンシャル電位が高くなり、前方の転送素子HS1またはHS3に信号電荷が転送される。
また、図21(C)に示すように、時刻t306において、レベル“H”の駆動信号φHS4が転送素子HS4に供給されて、ポテンシャル電位が基準レベル300に戻る。
次に、図22(D)に示すように、時刻t308において、レベル“L”の駆動信号φHS3が転送素子HS3に供給されると、転送素子HS3において、ポテンシャル電位が高くなり、前方が転送素子HS2である場合には、同レベルのポテンシャル電位を有するので、転送素子HS3の信号電荷は保持されるが、前方がポテンシャル電位が低い転送素子HS4である場合には、転送素子HS3の信号電荷は転送される。
さらに、図22(E)に示すように、時刻310において、レベル“L”の駆動信号φHS4が転送素子HS4に供給されて、ポテンシャル電位が高くなり、保持する信号電荷を前方の転送素子HS1に転送する。
その後、図22(F)に示すように、時刻t312になると、レベル“L”の駆動信号φHS1が転送素子HS1に供給されてポテンシャル電位が高くなり、レベル“H”の駆動信号φHS2が転送素子HS2に供給されてポテンシャル電位が基準レベル300に戻る。ここで、ポテンシャル電位の高い転送素子HS1から、前方のポテンシャル電位が低い転送素子HS2に信号電荷が転送される。また、ポテンシャル電位が低くなった転送素子HS2は、後方のポテンシャル電位が高い転送素子HS3から信号電荷が転送される。
次に、図23(G)に示すように、時刻t314において、レベル“L”の駆動信号φHS2が転送素子HS2に供給されてポテンシャル電位が高くなり、レベル“H”の駆動信号φHS3が転送素子HS3に供給されてポテンシャル電位が基準レベル300に戻る。ここで、ポテンシャル電位の高い転送素子HS2から、前方のポテンシャル電位が低い転送素子HS3に信号電荷が転送される。
さらに、図23(H)に示すように、時刻t316において、レベル“H”の駆動信号φHS2が転送素子HS2に供給されてポテンシャル電位が高くなり、レベル“L”の駆動信号φHS3が転送素子HS3に供給されてポテンシャル電位が基準レベル300に戻る。ここで、ポテンシャル電位の高い転送素子HS3から、前方のポテンシャル電位が低い転送素子HS2に信号電荷が転送される。
そして、図23(I)に示すように、時刻t318になると、レベル“H”の駆動信号φHS1が転送素子HS1に供給されてポテンシャル電位が高くなり、レベル“L”の駆動信号φHS2が転送素子HS2に供給されてポテンシャル電位が基準レベル300に戻る。ここで、ポテンシャル電位の高い転送素子HS2から、前方のポテンシャル電位が低い転送素子HS1に信号電荷が転送される。
このようにして、転送素子HS1、HS2、HS3、HS2、HS1、HS4、HS3およびHS4からなるグループ220の信号電荷は、最前方の転送素子HS1に転送されて、水平8画素混合される。
また、前処理部22は、図25に示すように、G画素の処理に適したG画素処理部352と、R画素およびB画素の処理に適したRB画素処理部354とを含んで構成されてもよく、この場合、撮像部14から供給される電気信号82および84のうち、G画素の電気信号をG画素処理部352に入力し、RB画素の電気信号をRB画素処理部354に入力する必要がある。
本実施例において、撮像部14は、出力アンプ60および62にそれぞれ出力部362および364を接続し、かつ電気信号を出力する接続線82に接合部372および374を、また接続線84に接合部376を接続して構成され、転送効率測定部200による測定結果に応じて結合部間の結線を変化させる。
撮像部14は、たとえば、シリコンウエハにおけるテスト(プローブテスト)において転送効率測定が実行される。この転送効率測定の結果によって、水平転送路56および58のうち、良好な水平転送路が判定される。ここで、水平転送路58が良好である場合には、図25に示すように出力部362と接合部372とが接合され、また出力部364と接合部374とが接合されてよく、他方、水平転送路56が良好である場合には、図26に示すように出力部362と接合部374とが接合され、また出力部364と接合部376とが接合されてよい。
これにより、本装置10が高速駆動で動作するとき、撮像部14が出力する出力信号82は常にG画素を示してG画素処理部352で処理され、また出力信号84は常にR画素およびB画素を示してRB画素処理部354で処理されるので、撮像部14の外部での処理切換や結線の切換を避けることができる。
この撮像部14において、出力部362および364、ならびに接合部372、374および376は、ボンディングパッドで形成され、接合部と出力部との結線382および384は、切換可能なワイヤで形成されてよい。これらのワイヤ382および384は、伝送する信号にクロストークが発生することをさけるために、互いに交差しないで形成される必要がある。
また、本装置10が、たとえば色温度の低い被写体を撮影した場合、撮像部14の各受光素子46で得られる信号電荷は、R画素では大きく、B画素では小さい。このとき、水平転送路50において、信号電荷がR画素、G1画素、B画素、G2画素の順に分岐部54へと転送されると、前方のR画素が取り残して後方のG1画素に入り込む電荷混入量は、前方のB画素および後方のG2画素間の電荷混入量に比べて大きくなる。これは、図18に示すように、信号量の増加に応じて、電荷混入量、すなわち転送残留電荷量が増加しているためである。したがって、これらのG1画素とG2画素とは同じ色信号であっても信号量に差が生じて、固定パターンノイズとして完成画像に影響を及ぼすことになる。
本発明の固体撮像装置10によれば、信号電荷が、分岐部54から水平転送路56または58を介して出力アンプ60または62で出力されるときに、とくにR画素およびB画素が、転送効率の良い水平転送路を通って出力されることにより、R画素およびB画素からの電化の取り残しを防ぎ、G画素への電荷混入を防いで動作することができる。