JP2007273767A - 配線基板用積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、フレキシブルプリント基板やHDDサスペンション等に用いられる配線基板用積層体に関する。
近年、電子機器の高性能化、高機能化が急速に進んでおり、これに伴い電子機器に用いられる電子部品やそれらを実装する基板に対しても、より高密度で高性能なものへと要求が高まっている。一方、電子機器は益々軽量化、小型化、薄型化の傾向にあり、電子部品を収容するスペースは狭まる一方である。
一般的に電子機器に使用されるフレキシブルプリント基板(以下、FPCという)の絶縁層には、耐熱性、電気特性、耐湿性等の諸特性に優れるポリイミド樹脂が広く用いられている。従来のポリイミド樹脂は構造が剛直で弾性率が高いため、例えばLCDモジュールに使用する際などには、反発力による剥がれや断線などの実装不良が起きたり、折り曲げ時の半径が大きくなるため余分にスペースが必要といった問題があった。
このような問題を解決するため、最近では、ポリイミド樹脂にも低弾性化が要求されるようになっている。低弾性ポリイミドを得るには、下記特許文献1に示されるように従来のポリイミド樹脂に低弾性フィラーを配合する方法やポリイミドシロキサンを使用する方法(特許文献2、3)、エポキシ樹脂等を混入する方法(特許文献4)がよく知られている。これにより、1×105〜1×1010Paまで任意の弾性率のポリイミドフィルムを容易に得ることができるが、一方で耐熱性の低下や、線膨張係数(CTE)の増大、ガラス転移温度の低下といった種々の問題が発生し、FPC用途として使用するには不向きであった。
FPCの製法を簡単に説明すると、ポリイミド樹脂層の片面又は両面に直接あるいは接着剤を介して銅箔等の導体層を積層したのち、回路を形成したものが一般的である。このポリイミド樹脂層は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とから製造されるポリイミド前駆体樹脂(ポリアミック酸)を、高温に加熱して脱水環化することにより得られる。このように、FPCに使用される配線基板用積層体は、薄い金属箔にポリアミック酸溶液を直接塗布し、加熱硬化しているため、金属箔とポリイミド樹脂のCTEの差が大きく異なると、硬化時に樹脂の収縮が起き、結果として、基板に反りやカールが発生したり、電子部品を実装する際に寸法が変化して正確な実装ができなくなるといった問題が起こるため、特に樹脂層のCTE増大の影響は深刻であった。
そこでこれまで、低弾性で低CTEのポリイミド樹脂の検討がされてきているが、元来、低弾性と低CTEは相反する性質であるため、この二つの性質を両立する物性を持つポリイミド樹脂の開発は容易ではなかった。実際、テトラカルボン酸成分とジアミン成分を複数種類組み合わせた検討なども成されたが、未だ十分な性能を持つポリイミド樹脂は得られていない。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、耐熱性に優れ、かつ低弾性と低線膨張係数の両立するポリイミド樹脂層を有する配線基板用積層体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題につき検討を重ねた結果、ポリイミド樹脂層を構成する樹脂層に、特定の骨格を有する芳香族ジアミンを用いたポリイミド樹脂を適用することで上記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリイミド樹脂層の片面又は両面に金属層を有する積層体において、該ポリイミド樹脂層の少なくとも一層が下記一般式(1)で表される構造単位を10モル%以上含有するポリイミド樹脂からなることを特徴とする配線基板用積層体である。
(式中、Ar1は芳香環を1個以上有する4価の有機基である。)
以下に、本発明の配線基板用積層体について説明する。
本発明の配線基板用積層体は、一層又は多層のポリイミド樹脂層の片面又は両面に、金属層を有する。金属層としては、フレキシブルプリント配線板用途に使用する場合には、厚みが5〜50μmの銅箔が適しており、また、HDDサスペンション用基板として使用する場合には、厚みが10〜70μmのステンレス箔が適している。
本発明の配線基板用積層体は、一層又は多層のポリイミド樹脂層の片面又は両面に、金属層を有する。金属層としては、フレキシブルプリント配線板用途に使用する場合には、厚みが5〜50μmの銅箔が適しており、また、HDDサスペンション用基板として使用する場合には、厚みが10〜70μmのステンレス箔が適している。
本発明において、ポリイミド樹脂層の少なくとも一層は、一般式(1)で表される構造単位を10モル%以上含有するポリイミド樹脂層(以下、ポリイミド樹脂層(1)ともいう)である。そして、このポリイミド樹脂層(1)は、25℃における弾性率が4GPa以下で、かつ線膨張係数が30ppm/℃以下である低弾性ポリイミド樹脂層であることが好ましい。
ポリイミド樹脂の製造方法は、ジアミンと芳香族酸二無水物を溶媒中で反応させる方法が一般的であるので、この方法で代表して説明するが、本発明で使用するポリイミド樹脂の製造方法はこれに限定されない。一般式(1)で表される構造単位において、Ar1は芳香環を1個以上有する4価の有機基であり、芳香族酸二無水物から生じる残基ということができる。したがって、使用する芳香族酸二無水物を説明することによりAr1が理解される。好ましいAr1を、芳香族酸二無水物を用いて以下に説明する。
上記芳香族酸二無水物としては、特に限定されるものではなく公知のものを使用することができる。具体例を挙げると、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-テトラクロロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3'',4,4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3'',4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ペリレン-2,3,8,9-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-4,5,10,11-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,7,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1, 2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,9,10-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。
芳香族酸二無水物の選定にあたっては、具体的には重合加熱して得られるポリイミドのCTEと熱分解温度、ガラス転移温度(Tg)など使用目的で必要とされる特性を発現するように選択することが好ましい。これらの中でも、低弾性かつ低CTEの見地からは、ピロメリット酸二無水物(PMDA)が好ましく用いられ、これを芳香族酸二無水物の主成分として使用することが好ましい。
本発明で用いられるポリイミド樹脂の合成で使用されるジアミンは、下記一般式(3)で表される芳香族ジアミン(以下、ABFともいう)を含む。
本発明で使用されるポリイミド樹脂は、有利には芳香族酸二無水物と上記一般式(3)で表される芳香族ジアミンを10モル%以上含むジアミンとを反応させて得ることができる。本発明においては、上記一般式(3)で表される芳香族ジアミンと共に、それ以外の他のジアミンを90モル%以下の割合で使用することができ、そのことによって、共重合型のポリイミドとすることができる。一般式(1)で表される構造単位は、ポリイミド樹脂層の少なくとも一層に10〜100モル%、好ましくは30〜60モル%含むことがよい。ジアミン中のABFの量が10モル%未満であると、低弾性と低CTEを満足するポリイミド樹脂を得ることが困難となる。しかし、ABFの量を多くするとCTEは低くなるが、弾性率が高くなる場合がある。
一般式(3)で表される芳香族ジアミンとともに使用し得るジアミンとしては、特に限定されるものではなく公知のものを使用することができる。具体例を挙げると、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノメシチレン、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,5,3',5'-テトラメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、2,4-トルエンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-ターフェニル、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,7-ジアミノジベンゾフラン、1,5-ジアミノフルオレン、ジベンゾ-p-ジオキシン-2,7-ジアミンなどが挙げられる。
これらの中でも、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)、パラフェニレンジアミン(PDA)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(m-TB)、 4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MDA)が好ましく用いられる。また、これらのジアミンを用いる場合、その使用割合は、好ましくは全ジアミンの40〜70モル%の範囲である。これらのジアミン成分を混合して用いることにより、金属箔と同程度のCTEに調整することができ、実用的に要求される30ppm/℃以下の値に調整することが可能である。それにより積層体の反り、カールなどの発生を抑制することが可能である。
ポリイミド樹脂の前駆体となるポリアミド酸溶液は、芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸二無水物成分とを0.9〜1.1モル比で使用し、有機溶媒中で重合する公知の方法によって製造することができる。すなわち、窒素気流下でN,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどの有機溶媒に芳香族ジアミンを溶解させた後、芳香族テトラカルボン酸二無水物を加えて、室温で3〜4時間程度反応させることにより得られる。この際、分子末端は芳香族モノアミン又はジカルボン酸無水物で封止しても良い。
上記反応により得られたポリアミド酸溶液を、支持体となる金属層上にあるいは金属層上に形成された接着層上に、アプリケータを用いて塗布し、熱イミド化法又は化学イミド化法によりイミド化を行い、本発明の配線基板用積層体を得ることができる。熱イミド化は、150℃以下の温度で2〜60分予備乾燥した後、通常130〜360℃程度の温度で2〜30分程度熱処理することにより行われる。化学イミド化は、ポリアミド酸に脱水剤と触媒を加えることにより行われる。このとき用いられる金属層としては銅箔又はSUS箔などの金属箔が好ましく用いられる。
ポリイミド樹脂層は単層であっても複数層であってもよい。複数層のポリイミド樹脂層の場合は、ポリアミド酸溶液を塗布して乾燥する操作を繰り返した後、熱処理して溶剤除去し、これを更に高温で熱処理してイミド化することなどにより、多層構造のポリイミド樹脂層を形成できる。このとき形成されるポリイミド樹脂層の総厚みは、3〜75μmの範囲が好ましい。
ポリイミド樹脂層を複数層とする場合は、その少なくとも1層を上記ポリイミド樹脂層(1)とし、他のポリイミド樹脂層にガラス転移温度(Tg)が250℃以上、特には250〜350℃である熱可塑性ポリイミド樹脂層を1層以上使用することが好ましい。ポリイミド樹脂層を多層構造とした場合、ポリイミド樹脂層(1)との厚みはポリイミド樹脂層全体の30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上とすることがよい。
そして、このとき金属箔と接する層に、250℃以上のTgを有する熱可塑性樹脂を使用すると、より良い接着力を得ることができる。熱可塑性樹脂層に使用する芳香族ジアミンとしては、上記で例示した芳香族ジアミンを使用することができるが、これらの中でも、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン(BAPS)、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル(3,4'-DAPE)、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(4,4'-DAPE)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン(DANPG)などが好ましく用いられる。芳香族酸二無水物としては、上記で例示した芳香族酸二無水物を使用することができるが、これらの中でも、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4'-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)などが好ましく用いられる。熱可塑性樹脂層を形成するポリアミド酸溶液の調製は前述したと方法と同様でよい。
本発明の配線基板用積層体が、両面に金属層を有する配線基板用積層体である場合、上記方法により得られた片面配線基板用積層体のポリイミド樹脂層上に、直接あるいは接着層を形成した後、金属箔を加熱圧着することにより得られる。この加熱圧着時の熱プレス温度については、特に限定されるものではないが、使用されるポリイミド樹脂のガラス転移温度以上であることが望ましい。また、熱プレス圧力については、使用するプレス機器の種類にもよるが、1〜500kg/cm2の範囲であることが望ましい。更に、このとき用いられる好ましい金属箔は、上記した金属箔と同様のものを挙げることができる。
本発明の配線基板用積層体を構成するポリイミド樹脂層(1)は、一般式(3)で表される芳香族酸ジアミン、これと併せて使用される他の芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物との種々の組み合わせにより特性を制御することができる。そして、ポリイミド樹脂層(1)は、25℃における弾性率が4.0GPa以下、好ましくは1〜3GPaで、CTEが30ppm/℃以下、好ましくは1〜25ppm/℃であることがよい。また、耐熱性の観点からは、Tgは350℃以上、好ましくは350〜500℃であることがよい。更に、熱重量分析における5%重量減少温度である熱分解温度(Td5%)は500℃以上であることがよい。なお、ポリイミド樹脂層の弾性率が4.0GPaを超えると、反発力による剥がれや断線などの実装不良が起きたり、折り曲げ時の半径が大きくなるなどして、高性能化、高機能化の妨げとなりやすい。また、配線基板用積層体としたときに十分な屈曲特性が得られにくい。一方、CTEが30ppm/℃を超えると、カールが発生したり、ポリイミド樹脂層の収縮が大きすぎてうまく加工できないなどの諸問題が発生しやすい。
本発明の配線基板用積層体の絶縁層となるポリイミド樹脂層は、低弾性である他、低線膨張係数で、かつ耐熱性にも優れているという特性を有していることにより、電子材料部品に広く適用することができる。特に、本発明はフレキシブルプリント基板に使用される配線基板用積層体として好適である。
以下、実施例に基づいて本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例等に用いた略号を下記に示す。
・ ABF:3,7-ジアミノジベンゾフラン
・ PMDA:ピロメリット酸二無水物
・ DAPE:4,4'-ジアミノジフェニルエーテル
・ DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
実施例等に用いた略号を下記に示す。
・ ABF:3,7-ジアミノジベンゾフラン
・ PMDA:ピロメリット酸二無水物
・ DAPE:4,4'-ジアミノジフェニルエーテル
・ DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
また、実施例中の各種物性の測定方法と条件を以下に示す。
[粘度の測定]
粘度は、恒温水槽付のコーンプレート式粘度計(トキメック社製)にて、25℃で測定した。
[線膨張係数(CTE)の測定]
3mm×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、熱機械分析(TMA)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から260℃の温度範囲で引張り試験を行い、温度に対するポリイミドフィルムの伸び量から線膨張係数を求めた。
[引張り弾性率(E')の測定]
テンションテスターを用い、幅12.4mm、長さ160mmのポリイミドフィルムを10kgの荷重を加えながら50mm/minで引っ張り試験を行い、引張り弾性率(E')を求めた。
[粘度の測定]
粘度は、恒温水槽付のコーンプレート式粘度計(トキメック社製)にて、25℃で測定した。
[線膨張係数(CTE)の測定]
3mm×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、熱機械分析(TMA)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から260℃の温度範囲で引張り試験を行い、温度に対するポリイミドフィルムの伸び量から線膨張係数を求めた。
[引張り弾性率(E')の測定]
テンションテスターを用い、幅12.4mm、長さ160mmのポリイミドフィルムを10kgの荷重を加えながら50mm/minで引っ張り試験を行い、引張り弾性率(E')を求めた。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ポリイミドフィルム(10mm×22.6mm)を動的熱機械分析装置(DMA)にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度(tanδ極大値)を求めた。
[5%熱分解温度(Td5)の測定]
窒素雰囲気下で10〜20mgの重さのポリイミドフィルムを、熱重量分析(TG)装置にて一定の速度で30℃から550℃まで昇温させたときの重量変化を測定し、5%重量減少温度(Td5)を求めた。
ポリイミドフィルム(10mm×22.6mm)を動的熱機械分析装置(DMA)にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度(tanδ極大値)を求めた。
[5%熱分解温度(Td5)の測定]
窒素雰囲気下で10〜20mgの重さのポリイミドフィルムを、熱重量分析(TG)装置にて一定の速度で30℃から550℃まで昇温させたときの重量変化を測定し、5%重量減少温度(Td5)を求めた。
合成例1〜4
窒素気流下で、表1に示したジアミンを100mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc85gに溶解させた。次いで、表1に示したテトラカルボン酸二無水物を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、ポリイミド前駆体となる4種類のポリアミド酸溶液の茶褐色の粘稠な溶液を得た。合成例1〜4で得られたそれぞれのポリアミド酸溶液A〜Dの粘度(cP)は1,000〜15,000の範囲内であり、その値を表1に示した。なお、表中原料のモノマー成分の数値は配合量(g)を示す。
窒素気流下で、表1に示したジアミンを100mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc85gに溶解させた。次いで、表1に示したテトラカルボン酸二無水物を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、ポリイミド前駆体となる4種類のポリアミド酸溶液の茶褐色の粘稠な溶液を得た。合成例1〜4で得られたそれぞれのポリアミド酸溶液A〜Dの粘度(cP)は1,000〜15,000の範囲内であり、その値を表1に示した。なお、表中原料のモノマー成分の数値は配合量(g)を示す。
実施例1〜4
合成例1〜4で得たポリアミド酸溶液A〜Dを、それぞれ厚さ12μmの銅箔上にアプリケータを用いて乾燥後の膜厚が約20μmとなるように塗布し、130℃で3分間乾燥した後、更に130℃、160℃、200℃、230℃、280℃、320℃、360℃で各2〜12分段階的な熱処理を行い、銅箔上に単層のポリイミド層を有する4種の積層体を得た。得られた積層体について、それぞれ塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去してポリイミドフィルムを作成し、弾性率(E')、熱膨張係数(CTE)、ガラス転移温度(Tg)、熱分解温度(Td5)を求めた。各測定結果を、表2に示す。
合成例1〜4で得たポリアミド酸溶液A〜Dを、それぞれ厚さ12μmの銅箔上にアプリケータを用いて乾燥後の膜厚が約20μmとなるように塗布し、130℃で3分間乾燥した後、更に130℃、160℃、200℃、230℃、280℃、320℃、360℃で各2〜12分段階的な熱処理を行い、銅箔上に単層のポリイミド層を有する4種の積層体を得た。得られた積層体について、それぞれ塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去してポリイミドフィルムを作成し、弾性率(E')、熱膨張係数(CTE)、ガラス転移温度(Tg)、熱分解温度(Td5)を求めた。各測定結果を、表2に示す。
Claims (3)
- 一般式(1)で表される構造単位を10モル%以上含有するポリイミド樹脂層の25℃における弾性率が4GPa以下、線膨張係数が30ppm/K以下であり、5%熱分解温度(Td5)が500℃以上である請求項1記載の配線基板用積層体。
- ポリイミド樹脂層が複数のポリイミド樹脂層からなり、一般式(1)で表される構造単位を10モル%以上含有するポリイミド樹脂層の他にガラス転移温度が250℃以上である熱可塑性ポリイミド樹脂層を1層以上有する請求項1又は2記載の配線基板用積層体。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011526552A (ja) * | 2008-06-30 | 2011-10-13 | コーロン インダストリーズ インク | プラスチック基板およびこれを含む素子 |
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2006
- 2006-03-31 JP JP2006098244A patent/JP2007273767A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011526552A (ja) * | 2008-06-30 | 2011-10-13 | コーロン インダストリーズ インク | プラスチック基板およびこれを含む素子 |
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