JP2007273312A - 固体高分子形燃料電池用電極およびその製造方法 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用電極およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】添加剤を用いずに、触媒層のクラックを抑制した固体高分子形燃料電池用電極および製造工程の簡単な固体高分子形燃料電池用電極の製造方法を提供する。
【解決手段】触媒層を含む固体高分子形燃料電池用電極において、触媒層表面の2乗平均表面ラフネス(Rrms)が39μm以下であることを特徴とする。また、固体高分子形燃料電池用電極の製造方法において、基材に触媒ペーストを塗布する第1の工程と、前記触媒ペースト上にフィルムを配する第2の工程と、前記触媒ペースト中の液体成分を除去する第3の工程と、前記フィルムを取り除く第4の工程を経ることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用電極およびその製造方法に関するものである。
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、固体高分子膜を電解質として、例えばアノードに水素のような燃料ガスと、カソードに空気のような酸化剤ガスとを供給して、電気化学反応を起こさせることによって電力を発生させる装置である。PEFCの単セルは、膜/電極接合体(MEA:Membrane−Electrode Assembly)、ガス拡散層、およびガス流路が形成されたセパレータを含む。MEAは、固体高分子膜の両面に電極(アノードおよびカソード)が接合されたものである。
この場合の各電極における電気化学反応を下記に示す。
アノード:H→2H+2e
カソード:1/2O+2H+2e→H
全反応:H+1/2O→H
上式に示したように、アノードおよびカソードにおける反応には、酸素および水素の供給、プロトン(H)および電子(e)の授受が必要であり、すべての反応はこれらが同時に満たされる電極内の三相界面のみにおいて進行する。
固体高分子形燃料電池用電極は、触媒層とガス拡散層とを備えるものであり、その触媒層は触媒、カーボンおよび固体高分子電解質を含む。固体高分子形燃料電池用電極や触媒層は種々の方法で作製される。例えば、特許文献1には、白金ブラックとカーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と固体高分子電解質溶液とを混合したペーストを、プラズマエッチング処理した固体高分子電解質膜の表面にスクリーン印刷し、ホットプレスすることにより、電極−電解質接合体を得る方法が開示され、また特許文献2には、固体高分子電解質溶液に白金担持炭素粉末を添加してペースト状とし、このペーストを撥水処理したカーボンペーパー上にドクターブレード法により塗着して電極とし、この電極を固体高分子電解質膜の両面にホットプレスで接合する方法が開示され、さらに特許文献3には、触媒と高分子電解質樹脂と分散媒とからなる触媒分散物の粘度調整をした後、この触媒分散物をテトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体(FEP)のシート上に塗布し、触媒分散物と高分子電解質膜とを圧接した後、シートを除去する、高分子電解質膜−触媒層接合体の製造方法が開示されている。
特許文献1〜3で開示された製造方法では、触媒の利用率を向上させるために、触媒粒子、カーボン、固体高分子電解質および液体成分を含む触媒ペーストを塗布したのちに、その液体成分を除去する方法で触媒層を製作することによって、反応ガス、プロトンおよび電子の授受が可能な三相界面を増大させている。そして、その電極を用いたMEAを製作し、PEFCを製作していた。
しかしながら、触媒ペーストから液体成分を除去する工程において、触媒層に多数のクラックを生じる場合がある。これは、その除去によって触媒層が収縮するときに発生する面方向の応力よって亀裂が生じるためである。電極の触媒層にクラックがあると、その電極と固体高分子膜とを接合する際に膜の変形が起こるので、PEFCの耐久性の低下や、出力の低下を引き起こすことがある。
この触媒層のクラックを防ぐために、いろいろな工夫がなされている。例えば、特許文献4では、触媒粒子と高分子電解質とポリテトラフルオロエチレンとの混合物を用いる固体高分子形燃料電池用電極において、電極の表面層の全面を固体高分子電解質溶液によりコ−ティングすることにより、ひび割れのまったくない電極が得られる製造方法が開示されている。
また、特許文献5では、触媒粒子とポリテトラフルオロエチレン系ポリマーのディスパージョンとの混合溶液に、カルボキシルメチルセルロース(CMC)などの増粘剤を添加することにより、ひび割れのない燃料電池用触媒層の製造方法が開示され、特許文献6では、電極触媒とポリテトラフルオロエチレンと造孔剤とを混合・成形してシート体にする工程を経る固体高分子型燃料電池用電極の製造方法において、高分子電解質を電極内部にまで含浸することにより、電極の収縮や割れ等を防止する技術が開示されている。
さらに、特許文献7では、触媒物質および高分子電解質を備えた触媒層中に、炭素ウィスカーなどの繊維状物質を含有することにより、触媒層でのクラックの発生を防止する技術が開示され、特許文献8では、触媒担持カーボン微粒子を固体高分子電解質の液体媒体溶液に分散させた分散液を製膜する燃料電池電極用触媒層の製造方法において、液体媒体として、t−ペンタノールなどの3級アルコールと、ジアセトンアルコールなどの誘電率20以下の有機溶媒とを用いることにより、触媒層のひび割れを防止する技術が開示されている。
特開平05−029005号公報 特開平08−185866号公報 特開平11−016586号公報 特開平08−148152号公報 特開平08−236123号公報 特開平09−120821号公報 特開2003−123769号公報 特開2003−208903号公報
特許文献4〜8で開示された、電極触媒層のクラックを防ぐ技術には、つぎのような問題がある。特許文献4の製造方法では、電極の表面層の全面を固体高分子電解質溶液によりコ−ティングした後、水蒸気によりその溶液中の溶媒を沸点以上に加熱して除去する工程が必要となり、特許文献6の製造方法では、電極触媒を含むシート体をポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度で熱処理を行う熱処理工程と、多孔性シートに高分子電解質溶液を含浸する含浸工程とが必要となり、いずれも製造工程は複雑になるという問題があった。
また、特許文献5ではCMCなどの増粘剤、特許文献7では炭素ウイスカー、特許文献8では3級アルコールと誘電率20以下の有機溶媒とを用いており、これらの添加剤が触媒層に残留して、PEFCの耐久性や出力に悪影響をおよぼす可能性がある。
本発明は、これらの添加剤を用いずに、触媒層のクラックを抑制した固体高分子形燃料電池用電極および製造工程の簡単な固体高分子形燃料電池用電極の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、触媒層を含む固体高分子形燃料電池用電極において、前記触媒層表面の2乗平均表面ラフネス(Rrms)が39μm以下であることを特徴とする。
請求項2の発明は、固体高分子形燃料電池用電極の製造方法において、基材に触媒ペーストを塗布する第1の工程と、前記触媒ペースト上にフィルムを配する第2の工程と、前記触媒ペースト中の液体成分を除去する第3の工程と、前記フィルムを取り除く第4の工程を経ることを特徴とする。
触媒層を含む固体高分子形燃料電池用電極において、触媒層表面のクラックを抑制することにより、この触媒層を用いたPEFCの耐久性が向上するものである。
また、固体高分子形燃料電池用電極の製造方法において、本発明の製造方法を用いることにより、製造工程が簡単で、添加剤を用いずに触媒層のクラックを抑制した固体高分子形燃料電池用電極を製造することができる。
そして、得られた固体高分子形燃料電池用電極の触媒層表面が平滑であるので、固体高分子膜の変形が低減され、その低減によってPEFCの耐久性が向上する。さらに、その触媒層表面が平滑になることによって、電流密度分布が均一になるので、PEFCの電圧が向上するものである。
固体高分子形燃料電池用電極は、触媒層とガス拡散層とを備えるものである。触媒層は触媒と炭素粉末などの導電剤と撥水剤を含み、固体高分子電解質膜と接触しており、電極反応が起こる部分である。ガス拡散層は、撥水性をもつカーボンペーパーなどの導電性多孔体からなり、電子を伝導し、反応ガスと未反応ガスの通路であり、反応生成物である水の排出通路として機能する。
本発明の触媒層を含む固体高分子形燃料電池用電極において、触媒層表面の2乗平均表面ラフネス(Rrms)が39μm以下であることを特徴とするものである。この結果、触媒層表面のクラックが抑制され、平滑となる。
触媒層表面の2乗平均表面ラフネス(Rrms)とは、測定物の表面粗さを表す数値の一つであり、表面形状像の断面プロファイルf(x)とする場合に、そのf(x)の算術平均値mを用いてRrmsはつぎの式(1)のように表すことができる。なお、この式において、nは断面プロファイルf(x)のサンプル数である。
2乗平均表面ラフネスは測定物表面の平滑性を調べる指標として用いることができ、この値が小さいほど測定物表面の平滑性が高いことを示す。(参考文献:特許庁ウェブサイト、[技術分類]3−C、信号処理とデータ処理、[技術小分類]3−C−2、データ画像処理、[技術の名称]3−C−2−b1、粗さ解析)
また、本発明の固体高分子形燃料電池用電極の製造方法は、基材に触媒ペーストを塗布する第1の工程と、前記触媒ペースト上にフィルムを配する第2の工程と、前記触媒ペースト中の液体成分を除去する第3の工程と、前記フィルムを取り除く第4の工程を経ることによって、触媒層を作製し、さらに、得られた触媒層と固体高分子電解質膜とガス拡散層とを、ガス拡散層/触媒層/固体高分子電解質膜の順に接合する。
接合の順序は、まず触媒層と固体高分子電解質膜とを接合し、その後、ガス拡散層と触媒層とを接合してもよいし、まずガス拡散層と触媒層とを接合し、その後、触媒層と固体高分子電解質膜とを接合してもよい。
本発明の固体高分子形燃料電池用電極の製造方法の第1の工程において、基材上に触媒ペーストを塗布するには、例えばブレードコーターを用いる方法、スプレーを用いて触媒ペーストを吹き付ける方法、スクリーン印刷による方法、刷毛で触媒ペーストを塗る方法などを用いることができる。
第1の工程で用いる基材には、樹脂、金属、カーボン等のシートおよび多孔体を用いることができる。特に、基材に塗布された触媒ペーストから液体成分を除去しやすいので、その基材に多孔体を用いることが好ましい。また、基材には、固体高分子膜を用いることもできる。
また、一度に固体高分子電解質用電極を形成できるので、ガス拡散層としてのカーボンを含む多孔体をその基材として用いることがさらに好ましい。そのカーボンを含む多孔体は、たとえば炭素繊維からなるカーボンペーパー、カーボンフェルトなどを用いることが好ましい。
またこれらの多孔質体はPTFEなどにより撥水性を付与したものが好ましい。さらに、これらの多孔質体は、中間層が形成されたものであることが好ましい。中間層とは、たとえばカーボンと、結着剤と、撥水剤としての樹脂とを含むものであり、中間層は撥水性、ガス透過性および電子伝導性を備える。
基材として比較的大きな孔をもつカーボンペーパーなどを用いる場合には、中間層を形成することによって、表面の平滑性の向上と、電流密度分布の均一化と、撥水性の向上とをはかることができる。中間層が形成された多孔体を基材として用いる場合には、中間層が形成された面に触媒ペーストを塗布することが好ましい。
基材として樹脂または金属などを用いる場合、基材上に形成した触媒層を、ガス拡散層と接合することによって、電極とすることができる。その接合方法は、たとえば加熱圧接が好ましいが、密着させるだけでもよい。
第1の工程で用いる触媒ペーストは、触媒金属、カーボン、固体高分子電解質および液体成分を含むものであり、必要に応じてPTFEやFEPなどの撥水性樹脂を加えてもよい。
その触媒ペーストの粘度が低すぎると、基材の孔の中にそのペーストが入り込んで触媒層の厚さが不均一になり、逆にその粘度が高すぎると塗布性が悪くなり、触媒層に凹凸を生じる。
したがって、その触媒ペーストの粘度は6000cPから15000cPであることが好ましく、さらに好ましくは8000cPから12000cPである。
触媒金属には、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、オスミウムなどの白金族金属およびその合金粒子を用いることが好ましい。また、それらの触媒金属をカーボン上に担持させた触媒担持カーボンを用いることが好ましい。一般的には、触媒担持カーボンと、液体成分を含む固体高分子電解質溶液とを混合させたものを用いることができる。
また、固体高分子電解質には、パーフルオロカーボンスルフォン酸形、スチレン−ジビニルベンゼン系のスルフォン酸形イオン交換樹脂、またはイオン交換基としてカルボキシル基を備えた陽イオン交換樹脂などを使用することが好ましい。
液体成分には、例えばアルコール類、水およびそれらの混合物が好ましい。アルコール類には、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を用いることができるが、カーボンの分散性が高いこと、および触媒金属との接触時に発火性が低いことから、プロパノールを用いることが特に好ましい。
本発明の固体高分子形燃料電池用電極の製造方法の第2の工程における、触媒ペーストの塗布面にフィルムを配するとは、塗布された触媒層の表面にフィルムを密着させることを指す。本発明の効果をより確実に得るためには、塗布された触媒ペーストとフィルムの間に気泡を生じさせないことが好ましい。
そのため、触媒ペーストの塗布面にフィルムを配するには、たとえば触媒ペーストの塗布面の一端から他端に向けてフィルムを順に触媒ペーストに接触させていくことが好ましい。その際、ロール、ブレードなどの器具を用いてもよい。また、フィルムを配したのちにロール、ブレードなどを用いて表面をならすことにより、平滑化、気泡除去をおこなうことも可能である。あるいは、フィルムを配したのちに減圧、加圧することにより気泡を除去する方法を用いることも可能である。
フィルムには、樹脂、金属、ゴム等を用いることができるが、柔軟性および剥離性が必要であるので、樹脂を用いることが好ましい。樹脂を用いる場合、フィルムとしてたとえばFEP、PTFE、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTEF)、エチレン−クロロトリフルオルエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル・エーテルケトン(PEEK)、ポリイミドおよびポリ塩化ビニル等を単独で、また化合物として用いることができる。金属を用いる場合、アルミニウム、ステンレス、チタン等を単独または合金として用いることができるし、前述の樹脂等を表面に備える金属を用いることができる。
そのフィルムの撥水性または表面形態を変えることにより、製作される触媒層の表面形態が変わる。たとえば撥水性の高い樹脂をフィルムとして使用すると、触媒ペースト中の液体成分を除去する過程においてにフィルムが自然に剥離することによって、クラックを生じることもある。
一方で、撥水性の低い樹脂をフィルムとして使用すると、触媒層とフィルムとの親和性が強いので、触媒ペースト中の液体成分を除去したのちにフィルムを取り除くときにその層が基材から剥離することもある。
発明者が種々の材料を検討した結果、クラックを著しく抑制し、かつ平滑な触媒層を製作にするためには、ポリ塩化ビニリデンをフィルムとして用いることがとくに好ましいことがあきらかになった。
さらに、用いるフィルムの表面形状を変えることによって、触媒層表面形状を制御することができる。たとえば、表面に凹凸パターンのあるフィルムを用いると、触媒層表面に凹凸パターンが形成されるので、表面積を増大させた触媒層を製作することもできる。また、触媒層表面から取り除いたフィルムを、再利用して再度触媒ペーストに配することも可能である。
本発明の固体高分子形燃料電池用電極の製造方法の第3の工程における、触媒ペースト中の液体成分を除去するためには、触媒ペースト上にフィルムが配された基材を加熱、減圧する方法、あるいは静置する方法を用いることができる。また、液体成分を除去するときに、触媒ペースト上のフィルムを加圧することにより、触媒層の多孔度を制御することもできる。
液体成分の沸騰を防ぐために、触媒ペースト中の液体成分を除去する工程は、その液体成分の沸点以下、かつ室温以上の温度でおこなわれることが好ましい。
本発明の固体高分子形燃料電池用電極の製造方法の第4の工程における、フィルムを取り除く際には、たとえばそのフィルムの一端よりはがすことによって剥離する方法が好ましいが、水、アルコール、有機溶媒、酸性溶液、アルカリ性溶液等の溶液単体もしくは混合物で溶解することによって除去してもよいし、加熱や減圧等による融解もしくは蒸発することによって除去してもよい。
以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。
[実施例1および比較例1]
[実施例1]
第1の工程では、まず、3.0gの白金担持カーボン(田中貴金属製、TEC10E−50E)と、21gの固体高分子電解質溶液(アルドリッチ社製、ナフィオン5質量%溶液)との混合物を調製し、プロペラ式攪拌機で混合して触媒ペーストとした。つづいて、基材として、75mm×75mmの大きさの中間層付きカーボンペーパー(SGL製、GDL 10BC)上に、アプリケータを用いたブレードコーティング法でこの触媒ペーストを塗布し、触媒ペースト/カーボンペーパーの2層積層体を得た。この時、触媒ペーストの白金担持量が0.5mg/cmとなるように、アプリケータのスリット幅を調節した。
第2の工程では、第1の工程で触媒ペーストを塗布した後、触媒ペーストの表面に、ただちにフィルムを密着させた。フィルムには、厚さ10μmのポリ塩化ビニリデンフィルムを用いた。フィルムを貼り付ける際に、気泡が入らないように、カーボンペーパーの一端から他端にむけて順に貼り付け、フィルム/触媒ペースト/カーボンペーパーの3層積層体とした。
つづいて、第3の工程では、フィルム/触媒ペースト/カーボンペーパーの3層積層体を、フィルムのある面を上にして、ステンレスメッシュ上にのせて、60℃の乾燥機中に30分静置して液体成分を除去した。この工程によって、触媒ペーストは触媒層となる。
さらに、第4の工程では、乾燥機から取り出したフィルム/触媒層/カーボンペーパーの3層積層体のフィルムを、カーボンペーパーの一端から他端にむかって剥離し、触媒層/カーボンペーパーの2層積層体からなる電極Aを得た。
つづいて、電極Aを25cmに切断し、その電極2枚を固体高分子電解質膜(Nafion112、DuPont社製)の両面に、触媒層と固体高分子電解質膜とが接するように加熱圧接(135℃)することよって接合し、MEAを製作した。加熱圧接には、スペーサを用いて、電極Aの厚さが25%減少するように設定した。そのMEAを用いて、固体高分子電解質形燃料電池の単セルAを得た。
[実施例2]
フィルムに、厚さ25μmのPETを使用した以外は実施例1と同様の工程により、電極B、および単セルBを得た。
[実施例3]
フィルムに、厚さ25μmのFEPを使用した以外は実施例1と同様の工程により、電極C、および単セルCを得た。
[実施例4]
フィルムに、厚さ25μmのポリエチレンを使用した以外は実施例1と同様の工程により、電極D、および単セルDを得た。
[実施例5]
フィルムに、厚さ25μmのポリプロピレンを使用した以外は実施例1と同様の工程により、電極E、および単セルEを得た。
[実施例6]
フィルムに、厚さ12μmのアルミを使用した以外は実施例1と同様の工程により、電極F、および単セルFを得た。
[比較例1]
第1の工程では、まず、実施例1の第1の工程と同様に、3.0gの白金担持カーボン(田中貴金属製、TEC10E−50E)と、21gの固体高分子電解質溶液(アルドリッチ社製、ナフィオン5質量%溶液)との混合物を調製し、プロペラ式攪拌機で混合して触媒ペーストとした。つづいて、基材として、75mm×75mmの大きさの中間層付きカーボンペーパー(SGL製、GDL 10BC)上に、アプリケータを用いたブレードコーティング法でこの触媒ペーストを塗布し、触媒ペースト/カーボンペーパーの2層積層体を得た。た。この時、触媒ペーストの白金担持量が0.5mg/cmとなるように、アプリケータのスリット幅を調節した。
さらに、第2の工程では、触媒ペースト/カーボンペーパーの2層積層体を、触媒ペーストのある面を上にして、ステンレスメッシュ上にのせて、60℃の乾燥機中に30分静置して液体成分を除去した。この工程によって、触媒ペーストは触媒層となる。このようにして、触媒層/カーボンペーパーの2層積層体からなる電極Gを得た。
つづいて、電極Bを25cmに切断し、その電極2枚を固体高分子電解質膜(Nafion112、DuPont社製)の両面に、触媒層と固体高分子電解質膜とが接するように加熱圧接(135℃)することよって接合し、MEAを製作した。加熱圧接には、スペーサを用いて、電極Gの厚さが25%減少するように設定した。そのMEAを用いて、固体高分子電解質形燃料電池の単セルGを得た。
[電極の表面ラフネス]
実態顕微鏡を用いて、実施例1〜実施例6および比較例1で製作した電極の触媒層表面の2乗平均表面ラフネス(Rrms)を調べた。表1に、それらのRrmsの値を示す。
表1より、本発明による実施例の電極の触媒層表面のRrmsの値は、比較例のそれと比較して著しく低くなっており、39μm以下となっていることがわかった。これは、フィルムを配した後に触媒ペースト中の液体成分を除去することによって、その表面のクラックが抑制されたためである。
また、フィルムの材質として、アルミニウムを用いた場合に比べて、樹脂であるポリ塩化ビニリデン、PET、FEP、ポリエチレンおよびポリプロピレンを用いた場合に、表面が平滑になっていることがわかった。これは、フィルムに、より柔軟性のある樹脂を用いた場合に本発明の効果が高いことを示すものである。特に、ポリ塩化ビニリデンを用いた場合には、その値が著しく低くなっていることがわかった。
[電極Aおよび電極Gの顕微鏡写真]
実態顕微鏡を用いて、実施例1で製作した電極Aおよび比較例1で製作した電極Gの表面形態をそれぞれ調べた。図1に電極Aの顕微鏡写真を、また、図2に電極Gの顕微鏡写真を示す。
図1および図2から、本発明による実施例1の電極Aでは、比較例1の電極Gに比べてクラックが著しく低減されていることがわかる。これは、比較例1の電極Gでは、触媒ペーストから液体成分を除去する際の収縮によって、その表面に大きなクラックが生じているのに対して、実施例1の電極Aでは、フィルムによって表面の収縮が抑制された結果、クラックが低減されたことによるものである。
[単セルAおよび単セルGの特性]
つぎに、実施例1で製作した単セルAおよび比較例1で製作した単セルGの固体高分子電解質形燃料電池の特性を測定した。試験条件は、アノードに水素およびカソードに空気をそれぞれ用い、300mA/cmの電流密度で連続運転試験をおこない、セル電圧の経時変化を調べた。また、500時間ごとに電流を遮断したのちに、開回路電圧を測定した。セル温度は70℃とし、水素および空気をそれぞれ70℃で加湿した後に、水素の利用率80%および空気の利用率40%でそれぞれ供給した。
単セルAおよび単セルGの連続運転試験におけるセル電圧の経時変化を図3に示す。図3において、記号○は単セルAの特性を示し、記号△は単セルGの特性を示す。図3より、実施例1の電極Aを用いた単セルAは、比較例1の電極Gを用いた単セルGと比べて、セル電圧が高い値で安定していることに加えて、運転時間が7000時間以降では単セルGの電圧が著しく低下していることがわかった。これは、実施例1の電極Aが比較例1の電極Gと比べて高出力であること、および耐久性が高いことを示す。
つづいて500時間ごとの開回路電圧の変化を図4に示す。図4において、記号○は単セルAの特性を示し、記号△は単セルGの特性を示す。図4より、運転時間が7000時間をこえると、比較例1の電極Gを用いた単セルGの開回路電圧は著しく低下することがわかった。この開回路電圧低下は、電極Gの表面にある多数のクラックにより固体高分子膜が変形し、その変形によってその膜が破損したので、クロスリークが発生したことに起因するものであった。
これに対して、実施例1の電極Aでは、表面のクラックが低減されているので固体高分子膜の変形が抑制された結果、連続運転試験においても安定した開回路電圧を保持しているものである。
実施例1で製作した電極Aの顕微鏡写真。 比較例1で製作した電極Gの顕微鏡写真。 連続運転試験におけるセル電圧の経時変化を示す図。 連続運転試験における500時間ごとの開回路電圧の変化を示す図。

Claims (2)

  1. 触媒層を含む固体高分子形燃料電池用電極において、前記触媒層表面の2乗平均表面ラフネス(Rrms)が39μm以下であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極。
  2. 基材に触媒ペーストを塗布する第1の工程と、前記触媒ペースト上にフィルムを配する第2の工程と、前記触媒ペースト中の液体成分を除去する第3の工程と、前記フィルムを取り除く第4の工程を経ることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極の製造方法。
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