JP2007272834A - ドライバモデル作成装置、運転支援装置、及び運転行動判定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドライバの生体情報を検出することで、ドライバの平常状態か否かを認識する。そしてドライバの運転中に運転状態のデータ(自車両情報、例えば、アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作量、車速、車間距離、加速度など)を収集し、その運転状態データのうち、ドライバが平常状態で運転している部分を抽出してドライバモデルを作成する。これにより、ドライバに意識させることなく、正常時のドライバモデルを自動的に作成することができる。また、ドライバの生体情報を元に正常状態で運転している場合のみを正常時の運転行動としてドライバモデルを作成するので、より精度の高いニュートラルなドライバモデルとすることができる。
【選択図】図10
Description
例えば、特許文献1記載技術では、ファジールールやニューラルネットワークを使用したドライバモデルにより、交差点道路の危険度を評価する技術について提案されている。
しかし、ドライバモデルから推定される運転状態は、必ずしもその運転者にとっての正常な運転状態であるとは限らなかった。
また、特定の運転者が実際に車両を運転することで運転状態のデータを収集し、これに基づいて予めドライバモデルを作成したとしても、必ずしも正常状態での運転が行われているとは限らなかった。
また、該ドライバモデルを使用した、より精度の高い運転状態の評価と運転支援を行う運転支援装置を提供することを第2の目的とする。
また、ドライバの運転行動に対して、より精度の高い運転状態の評価を行うことを第3の目的とする。
(2)請求項2に記載した発明では、請求項1に記載のドライバモデル作成装置において、前記状態判断手段は、少なくとも運転者の状態が正常か否かを判断する、ことを特徴とする。
(3)請求項3に記載した発明では、請求項1又は請求項2に記載のドライバモデル作成装置において、特定の走行環境を検出する走行環境取得手段と、走行環境毎に前記運転操作情報を蓄積し、前記ドライバモデル作成手段は、前記走行環境毎にドライバモデルを作成する、ことを特徴とする。
(4)請求項4に記載した発明では、請求項1、請求項2又は請求項3に記載のドライバモデル作成装置において、運転者の生体情報を取得する生体情報取得手段を備え、前記状態判断手段は、前記取得した生体情報に基づいて運転者の状態を判断する、ことを特徴とする。
(5)請求項5に記載した発明では、正常状態における運転操作のドライバモデルを取得するドライバモデル取得手段と、前記取得したドライバモデルを使用し、正常状態で通常運転される運転操作を推定する運転操作推定手段と、前記推定した運転操作と、現在の運転操作情報に基づく運転操作とから、ドライバの運転行動を判定する運転行動判定手段と、前記判定した運転行動に応じた運転支援を行う運転支援手段と、を運転支援装置に具備させて前記第2の目的を達成する。
(6)請求項6に記載した発明では、請求項5に記載の運転支援装置において、前記ドライバモデル取得手段は、走行環境毎に作成された正常状態における運転操作のドライバモデルから、現在の走行環境に対応するドライバモデルを取得する、ことを特徴とする。
(7)請求項7に記載した発明では、請求項5又は請求項6に記載の運転支援装置において、運転者の生体情報から運転者の状態を判定する運転者状態判定手段を備え、前記運転支援手段は、前記判定した運転行動と前記判定した運転者状態とに応じた運転支援を行うことを特徴とする。
(8)請求項8に記載した発明では、請求項5、請求項6、又は請求項7に記載の運転支援装置において、運転支援手段は、判定内容に応じて、音声又は画像による注意喚起、情報提供、振動、休憩所の案内のうちの少なくとも1以上の運転支援を行う、ことを特徴とする。
(9)請求項9に記載した発明では、正常状態における運転操作のドライバモデルを取得するドライバモデル取得手段と、前記取得したドライバモデルを使用し、正常状態で通常運転される運転操作を推定する運転操作推定手段と、前記推定した運転操作と、現在の運転操作情報に基づく運転操作とから、ドライバの運転行動を判定する運転行動判定手段と、を運転行動判定装置に具備させることで第3の目的を達成する。
請求項5から請求項8記載の本発明では、正常状態における運転操作のドライバモデルを使用して推定した正常状態で通常運転される運転操作と、現在の運転操作情報に基づく運転操作とから、ドライバの運転行動を判定し、判定した運転行動に応じた運転支援を行うので、より精度の高い運転状態の評価と運転支援を行うことができる。
請求項9記載の発明では、正常状態における運転操作のドライバモデルを使用し推定した正常状態で通常運転される運転操作と、現在の運転操作情報に基づく運転操作とから、ドライバの運転行動を判定するので、より精度の高い運転状態の評価を行うことができる。
(1)実施形態の概要
本実施形態では、ドライバの生体情報を検出することで、ドライバの平常状態か否かをを認識する。そしてドライバの運転中に運転状態のデータ(自車両情報、例えば、アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作量、車速、車間距離、加速度など)を収集し、その運転状態データのうち、ドライバが平常状態で運転している部分を抽出してドライバモデルを作成する。
これにより、ドライバに意識させることなく、正常時のドライバモデルを自動的に作成することができる。
また、ドライバの生体情報を元に正常状態で運転している場合のみを正常時の運転行動としてドライバモデルを作成するので、より精度の高いニュートラルなドライバモデルとすることができる。
「いつもの」運転と現在の運転の比較を行う際の指標として、例えばドライバの「反応速度」と「ふらつき」を用いる。
また、明らかな疲労や注意力の低下を発現する前の前兆段階でのドライバ状態の検知を可能とし、予め疲労がピークに達する前に休憩を促すなどの高度な案内が可能となる。
このガウス混合モデルは、EMアルゴリズムにより、同時確率密度分布を計算することで得られる同時確率密度関数のパラメータで構成され、必要に応じて各ドライバ毎、更にドライバのアクセル操作用、ブレーキ操作用、車間距離維持範囲用等の推定する特徴量毎に生成される。
図1は、ドライバモデル作成装置を適用した運転支援装置の構成を表したものである。
運転支援装置は、ECU(電子制御装置)10、自車両情報取得部11、自車両周辺環境情報取得部12、生体情報取得部13、情報提供部14、ドライバモデル処理部15、データ記憶部16を備えている。
なお、図1により説明する運転支援装置の構成については、その全てが必要ということではなく、本実施形態にけるドライバモデルの作成及び運転支援を行う為に使用可能な各部や装置について説明するものであり、採用する運転支援装置の機能等に応じて適宜選択して運転支援装置を構成することが可能であり、また、同様な機能を有する他の機器、装置を追加使用することが可能である。
ECU10は、自車両情報取得部11の取得情報に基づくドライバ運転行動の監視、生体情報取得部13の取得情報に基づくドライバ生体情報の監視、運転支援としてのドライバアシスト内容の情報提供部14への指示、を行うようになっている。ECU10は、また、ドライバモデルの作成、出力に必要なデータをドライバモデル処理部15に供給するようになっている。
図2は、自車両情報取得部11で取得する、運転操作情報としての自車両情報を例示したものである。
図2に示されるように、ハンドル舵角センサ111はハンドル操作量(角度)、アクセルペダルセンサ112はアクセル操作量、ブレーキペダルセンサ113はブレーキ操作量を、速度計114は車速を検出する。
加速度センサ115は、ヨー軸加速度、ピッチ軸加速度、ロール軸加速度を検出する。
タイマー117は、運転時刻、運転時間等の各種時間を計測する。
車両周辺情報取得部121は、赤外線センサ、ミリ波センサ、超音波センサ、画像認識装置、車間距離センサ等の各種センサを備えている。画像認識装置は、画像入力装置で撮像された車外画像の画像処理を行い、車両周辺の障害物や、歩行者、車両等の存在対象を認識する。
この図3に示されるように、車両周辺情報取得部121により、車両、歩行者、障害物、その他各種情報が取得される。
具体的に取得される情報としては、例えば、検出した周辺に存在する車両の種類(乗用車、バイク、自転車等)、車間距離、相対速度、属性(対向車、並走車、直行(左、右)車、等が各車両毎に取得される。
同様に、歩行者、障害物に対しても、その各々に対する情報が取得される。
また、道路情報取得部122は、標識や道路環境を認識する画像認識装置を備えているが、この画像認識装置は車両周辺情報取得部121の画像認識と共有されている。
道路情報取得部122では図4に示されるように、道路種別、道路形状、道路幅、自車位置、路面状況、道の明るさ、信号の有無と状態、道路属性(交通規則)、その他の各種情報が取得される。
図5は、ネットワーク部123で取得する車両周辺環境情報を例示したものである。
図5に示されるように、VICS等で取得する渋滞情報には、渋滞の距離、混雑の距離、事故の有無、通行止めの有無、チェーン規制の有無等がある。
また、気象情報センタで取得する気象情報には、晴れ、曇り、雨等の天候情報、降水確率、気温、その他の情報がある。
生体情報取得部13は、車両が走行を開始すると、所定時間間隔で心拍数と発汗量を検出してECU10に供給するようになっている。
心拍センサは、例えば、ステアリングに配置された電極により、運転中の運転者の手から心拍信号を採取することで心拍数を検出するようになっている。なお、心拍センサは、専用のセンサを手首等の運転者の身体に配置するようにしてもよい。
発汗センサは、ステアリングに配置され、発汗状態によって流れる電流値の変化から発汗状態を検出する。
生体情報取得部13では、心電位、R−R間隔、心拍、呼吸数、体温、血圧、皮膚電位、失水分量(発汗量)、筋電位、脳波電位等が取得対象となる。
図7は、情報提供部14で提供する情報、アシストの内容を例示したものである。
この図7に示されるように、運転操作アシスト部は、ドライバによる運転操作を補正するアシストとして、ハンドル操作アシスト、アクセル操作アシスト、ブレーキ操作アシスト等を行うため、各操作部のトルク値の出力を制御する。例えば、運転者によるハンドル操作にふらつきがある場合にはステアリングが重くなるようにトルク操作をし、ブレーキの踏み力が弱い場合にブレーキの踏み込み量に対する出力が大きくなるようにアシストする。
また、運転者の状態に応じて、音声出力部は警告音声を出力し、画面出力部は警告画面を表示する。
ドライバモデル作成部151は、ドライバモデル作成装置として機能し、自車両情報取得部11で取得した自車両情報のうち、運転者の状態が正常状態である場合の自車両情報を蓄積し、該正常状態の自車両情報からドライバモデルを作成する。
正常状態の自車両情報は、該情報を取得した際に自車両周辺環境情報取得部12で取得した自車両周辺環境情報から決定されるシチュエーション毎に蓄積され、各シチュエーション毎にドライバモデルが作成される。
ドライバモデル作成部151では、各シチュエーションに対する自車両情報が所定量蓄積されると、そのシチュエーションのドライバモデルを作成し、ドライバモデル記憶部152に記憶する。そして、新たな自車両情報が取得される毎に、対応するシチュエーションのドライバモデルがそれ以前に蓄積済みの自車両情報と併せて新たにドライバモデルを作成し、ドライバモデルを更新する。なお、ドライバモデルの更新は、対応するシチュエーションの新たな自車両情報を取得する毎ではなく、所定量の追加蓄積がある毎に作成、更新を行うようにしてもよい。
この図8に示されるように、ドライバモデルは、シチュエーション毎に分類されている。記憶される各ドライバモデルa、b、c、…は、対応するシチュエーションデータ(シチュエーションa、b、c、…)に紐付けされており、システムがドライバモデルを引用する為のタグとして機能する。
こうすることでドライバモデルの検索時に、「ドライバがあるレベルでの疲労具合」のケースのドライバモデルを一括取得しておくなどのキャッシュ操作が可能になる。
この推定運転操作量と、現在の自車両情報とを比較することで、後述する運転行動の状態(反応遅れ、ふらつき等)を判断するための基礎データである、運転行動逸脱データが所定時間間隔毎に得られる。
データ記憶部16は、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、メモリチップやICカード等の半導体記録媒体、CD−ROMやMO、PD(相変化書換型光ディスク)等の光学的に情報が読み取られる記録媒体、その他各種方法でデータやコンピュータプログラムが記録される記録媒体が含まれる。
記録媒体には、記録内容に応じて異なる媒体を使用するようにしてもよい。
運転行動逸脱データ161は、現在走行中のシチュエーションnに対してドライバモデルnから推定される正常時の運転操作量と、実際の自車両情報に基づく操作量との差分データであり、現在走行中のシチュエーションnに対して所定時間間隔毎に算出され、保存される。
自車両情報162は、正常状態で走行した際の自車両情報が各シチュエーション毎に蓄積される。この自車両情報が所定量蓄積された次点で、そのシチュエーションに対するドライバモデルが作成される。ドライバモデルは、一度作成された以後は、対応するシチュエーションの自車両情報を取得する毎に更新される。
図9は、シチュエーションデータの内容を概念的に表したものである。
この図9に示されるように、ドライバモデルa、b、c、…に対応する各シチュエーションa、b、c、…毎に、そのシチュエーションとなるためのシチュエーションフラグが設定されている。
シチュエーションフラグは、自車両情報と自車両周辺環境情報における各小項目毎に1つのデータが選択されている。
図10は、ドライバの「普段の運転行動」(正常時)のドライバモデルを作成するドライバモデル作成処理の処理動作を表したフローチャートである。
本実施形態において、ドライバモデルの作成は、車両走行中において実行されるが、ドライバの生体情報、自車両情報、自車両周辺環境情報の収集と蓄積を走行中に行い、シチュエーションフラグの設定及びドライバモデルの作成については、車両走行中以外に行うようにしてもよい。
次いでドライバモデル作成部151は、収集、蓄積した生体情報からその変化状態を監視することで、現在のドライバの状態が正常状態か否かを判断する(ステップ11)。
図11は、ドライバの心拍数の変動から動揺や焦りに起因する精神的(メンタル)な変化を監視する状態について表したものである。
図11(a)に示されるように、所定の上下の閾値h1とh2間に心拍の測定値が入っている場合には正常な状態(安定している状態)と判断する。
一方、図11(b)に示されるように、心拍の測定値が下側閾値h1以下、又は上側閾値h2以上を検出した場合には動揺や焦りに起因した異常な状態(不安定な状態)と判断する。
なお、本実施形態では図11(b)に示されるように、所定時間内に上下閾値h1、h2間の両側から外れた場合に異常状態と判断するが、いずれか一方の閾値を所定時間超えている場合も異常と判断するようにしてもよい。
ローレンツプロット解析では、任意の時刻nにおける心電位のR−R間隔をRRnとし、次の時刻n+1における心電位のR−R間隔をRRn+1とした場合に、横軸をRRnの値、縦軸をRRn+1の値に取ったグラフが作成される。ここで、R−R間隔は、心電位のピーク値から次のピーク値までの時間間隔で、心拍の間隔が該当する。
また適度な緊張状態(適度な注意力がある状態)では、心拍間隔が適度のゆれをもって観測され、図12(b)に示されるように、プロット点の集合はy=x線上に細長くプロットされる。
また、注意力が散漫な状態では、心拍間隔の揺れが大きくなり、図12(c)に示されるように、プロット点の集合もy=x線上で原点方向及びこれと直角方向にも膨らむような集合が観測される。
また、眠気がある状態では、図12(d)に示されるように、プロット点の集合は、心拍間隔はy=x線方向のプロット領域が広がるが、原点側の幅が狭く原点から離れるに従って広くなる傾向がある。
この図13に示されるように、例えば、ドライバの撮像画像から瞳孔の大きさを測定し、その大きさが散大である場合には、交換神経系が最も優位であり極度の緊張状態で注意力が低い可能性があると判断される。逆に、瞳孔の大きさが収縮状態である場合には、副交感神経系が優位な弛緩状態であり、収縮の程度に応じて、注意力が低い、注意力が極めて低い可能性があると判断される。
一方、交換神経系が適度に優位である瞳孔サイズの場合に、適度の緊張状態で注意力が高い正常状態と判断される。
なお、ドライバモデルの作成においては、正常状態か正常状態でないかについて判断されるが、後述するドライバ生体情報監視処理(図20参照)におけるドライバ生体情報ケース判定(ステップ42)では、極度の緊張状態、適度の緊張状態、注意力が散漫な状態、弛緩状態、眠気がある状態の5つの状態が、図11〜図13で説明した方法に基づいて判定される。
この図14に示されるような交差点を右折する場合には、取得される情報として、道路種別、道路状況、自車速度、自車位置、進行方向、自車側の信号の状態(赤、青、黄等)、前方車両の有無、前方車両の種類、前方車両相対位置、前方車両相対速度、対向車の有無、対向車車種、対向車相対位置、対向車相対速度、歩行者の有無、歩行者の種類、歩行者の位置、歩行者の進行方向、天気、等が取得される。
なお、本実施形態ではこれらの情報について取得し後述のシチュエーションの設定に使用されるが、必ずしもその全てを使用する必要はなく、いずれか一部の情報に基づくシチュエーションの設定を行ってもよく、逆に、より詳細な情報によるシチュエーションの設定を行うようにしてもよい。
本実施形態では、ドライバモデルをGMMにより作成する。
図15は、本実施形態における運転支援装置(ドライバモデル作成装置)による、正常時のドライバモデルの作成と、作成したドライバモデルに基づく運転操作量の推定に関する原理を表したものである。
なお、ドライバモデルの作成と運転行動の推定については、特徴量として車速V、前方車両との車間距離Fと、これらの1次の動的特徴量ΔV、ΔF(1階微分値)、2次の動的特徴量ΔΔV、ΔΔF(2階微分値)、及びアクセル操作のドライバモデルとしてアクセル操作量Gと1次の動的特徴量ΔG、ブレーキ操作のドライバモデルとしてブレーキ操作量Bと1次の動的特徴量ΔBを使用する場合について説明するが、特徴量については、自車両情報取得部11で取得した全ての情報のうちの他の情報の組合せを使用して作成するようにしてもよい。
なお、ドライバモデルは各ドライバ毎に作成するようにしてもよい。
このようにして推定した各操作量を走行データとして次の操作量を推定し、各時刻毎の実測値(自車両情報)と比較することで運転行動逸脱データが算出される。
(A)ドライバモデルの学習
GMMを用いたドライバモデル2では、学習データを必要とし、特徴量として走行データ1(自車両情報)を使用した。
走行データ1は、所定の測定間隔s(sは任意であるが本実施形態ではs=0.1秒)毎の時系列データを使用する。
走行データ1は、ドライバモデル作成の対象となるドライバが実際に運転したデータであり、実際にドライバが運転している際にリアルタイムで測定、収集した走行データ1を使用する。また、予め測定し蓄積しておいた走行データ1を使用することで、オフラインの学習を行うようにしてもよい。
ドライバモデルの特徴量(走行データ1)としては、上述したように、車速、車間距離、及びそれらの1次、2次の動的特徴量とアクセルペダル操作量、及びアクセルペダル操作量の1次の動的特徴量が使用される。
このように、特徴量に動的特徴量を加えてモデル化することで、前後の時間関係を考慮することになり、滑らかで自然性の高い推定結果を得ることができる。
なお、説明では、1次及び2次の動的特徴量を使用した場合について説明するが、1次の動的特徴量だけ使用するようにしてもよい。
なお、アクセルペダル用、ブレーキペダル用等の複数のドライバモデルを作成する場合には、アクセルペダル操作量、ブレーキペダル操作量等以外のデータ(V、F、ΔV、ΔF、…)は同一のデータを使用してもよい。
すなわち、走行データ1に対する同時確率密度分布をEMアルゴリズムを使用して算出し、算出した同時確率密度関数のパラメータ={λi,→μi,Σi|i=1,2,3,…M}をGMMによるドライバモデル2としてデータベース等の記憶手段に記憶しておく。
ここで、λiは重みを、→μiは平均ベクトル群を、Σiは分散共分散行列群を、Mは混合数を表す。また、→μiのように前に→を表示したものはベクトルを意味する。
このように、本実施形態のGMMでは特徴次元間の相関も考慮して、全共分散行列を用いている。
ドライバは現在の車速、車間距離、及びそれらの1次、2次の動的特徴量に基づいてアクセルペダルとブレーキペダルの操作量を決めているという仮定に基づき、ペダルの操作量等の運動行動を推定する。
すなわち、特徴量の同時分布から、与えられた条件下において最も確率の高いアクセルペダル操作量等の運動行動を推定する。
例えば、アクセルペダル操作量∧G(t)と、ブレーキペダル操作量∧B(t)は、y(t)が与えられた条件で条件付き確率を最大にする値x(t)の推定であり、最大事後確率として、それぞれ次の式(1)、(2)で計算される。
∧B(t)=arg max p(B|ΔB,V(t),F(t),ΔV(t),ΔF(t),ΔΔV(t),ΔΔF(t)) 式(2)
また、
p(G|ΔG,V,F,ΔV,ΔF,ΔΔV,ΔΔF)
={p(G,V,F,ΔV,ΔF,ΔΔV,ΔΔF,ΔG)}/{∫∫…∫p(G,V,F,ΔV,ΔF,ΔΔV,ΔΔF,ΔG)dΔG,dV,dF,dΔV,dΔF,dΔΔV,dΔΔF}
p(B|ΔB,V,F,ΔV,ΔF,ΔΔV,ΔΔF)
={p(B,V,F,ΔV,ΔF,ΔΔV,ΔΔF,ΔB)}/{∫∫…∫p(B,V,F,ΔV,ΔF,ΔΔV,ΔΔF,ΔB)dΔB,dV,dF,dΔV,dΔF,dΔΔV,dΔΔF}
である。
この図16では、簡単のため、ある時刻tの特徴量y(t)が与えられたときに→x(t)を推定する場合を示している。
図17は、ドライバ運転行動監視処理の処理動作を表したフローチャートである。
ECU10は、自車両情報と自車両周辺環境情報を、自車両情報取得部11と自車両周辺環境情報取得部12から収集する(ステップ20)。
そしてECU10は、設定したシチュエーションフラグを元に、シチュエーションテーブル163とマッチング処理を行い、取得した自車両周辺環境情報等の現状に適合するシチュエーションを検索することで、対応するドライバモデルが存在するか否かを判断する(ステップ22)。
対応するドライバモデルが存在しない場合には(ステップ22;N)メインルーチンにリターンする。
すると、ドライバモデル出力部153は、時刻tにおける自車両情報(t)をドライバモデルに入力し、最大事後確率を計算することで時刻t+1における運転行動データ(操作量)の推定値「t+1」をECU10に出力する(ステップ25)。
そしてECU10は、記憶した運転行動逸脱データ161が所定数蓄積したか否かを判断し(ステップ28)、所定数未満であれば(ステップ28;N)、ステップ25で推定した操作量の推定値「t+1」を(t)としてドライバモデルに入力し(ステップ29)、ステップ25に移行することで、更に次時刻の運転行動逸脱データ161の蓄積を継続する(ステップ25〜27)。
本実施形態では、運転行動の逸脱傾向としては、「反応速度の遅れ」の有無と、「操作のふらつき」の有無の2項目について判断する。
この図19において、ドライバモデルから出力された運転操作量(いつもの運転)は、ドライバモデルに現在の運転操作量の初期値を入力し、ドライバが正常時において普段取る運転行動として最も確率の高い操作量の出力値を表したもので、正常時であれば通常このような運転をするはず(操作量であるはず)である、という仮想の操作量を表している。
例えば、図19(a)に示すように、ドライバモデルで推定した操作量は時間経過と共に増加する場合において、所定時間経過後に自車両情報による操作量が自車両情報取得部11で取得される場合には、反応速度の遅れ傾向があると判断される。
また、図19(b)に示すように、ドライバモデルで推定した操作量と比較して、取得される自車両情報による操作量が時間経過と共に増加したり、減少したりする場合で増加、減少量(運転行動逸脱データの絶対値)が所定値以上である場合には、運転操作にふらつきがあるものと判断される。
まず、ECU10は、車両走行中において生体情報取得部13から各時点における生体情報を収集、蓄積する(ステップ41)
次いでECU10は、収集、蓄積した生体情報からその変化状態を監視することで、図11〜図13で説明した方法と同様の方法により、現在のドライバ生体情報の状態(ケース)を判定し(ステップ42)、メインルーチンにリターンする。
この場合、ドライバモデル作成処理では、ステップ11でドライバの状態が正常状態であることを監視しているのに対して、図10において説明したように、正常状態でない場合にどの状態に該当しているのかについても図11〜図13に従って判定し、出力する。
この目の状態からの判定は、ドライバモデル作成処理(ステップ11)、及びドライバ生体情報監視処理(ステップ42)の何れか一方、又は双方において使用するようにしてもよい。
また、図21(b)に示すように、瞬き回数が増大している場合や、瞼の動きが痙攣している場合、目をこすっている場合、目頭をもんでいる場合に、疲労していると判定する。
ECU10は、ドライバの状態として、ドライバ運転行動監視処理(図17)のステップ30で判断され出力された運転行動逸脱傾向を取得する(ステップ51)と共に、ドライバ生体情報監視処理(図20)のステップ42で判定され出力されたドライバ生体情報ケースを取得する(ステップ52)。
そして、ECU10は、取得した運転行動逸脱傾向と生体情報ケースとから、運転支援の内容を決定しドライバへのアプローチを行い(ステップ53)、メインルーチンにリターンする。
なお、図23(b)の表は、ECU10のROMに格納されている。
図23(a)に示すように、各運転行動(反応遅れ、ふらつき、反応遅れ+ふらつき、両者なし)と、各生体情報ケース(極度の緊張状態、適度な緊張状態、注意力が散漫な状態、弛緩状態、眠気がある状態)との組合せに応じて、何かに気を取られていた、疲れてきた、漫然運転、眠気、焦り、よそ見等といったドライバの状態が推定される。
そして、これら各組合せから推定される各状態に対応して、図23(b)に示されるように、ECU10は、音声や振動による注意喚起、施設情報を提供して休憩を勧める、注意喚起+α1、情報を提供して気分を紛らわす、等の運転支援を情報提供部14から行う。
また、ECU10は、+α2に対して、運転に集中するよう注意喚起を行うと共に、ドライバが何に対して運転が疎かになるほど負荷を感じているのか、会話機能やセンサを用いてリサーチし、一服させるための休憩を案内したり、悩み相談に乗ったり、ドライバが抱える問題を改善する動作を行う。
またECU10は、+α3に対して、目を覚ますよう注意喚起を行うと共に、すぐに休憩を取らせるなどの案内を行う。
また、ECU10は、注意喚起の内容として、運転操作や生体情報の何がどう問題であったから警告している、などのドライバの納得を得やすくするための具体的な説明を行っても良い。
例えば、説明した実施形態では、判定した運転行動と生体情報ケースとから運転支援の内容を決定する場合について説明したが、判定した運転行動から運転支援内容を決定するようにしてもよい。
11 自車両情報取得部
12 自車両周辺環境情報取得部
121 車両周辺情報取得部
122 道路情報取得部
123 ネットワーク部
13 生体情報取得部
14 情報提供部
15 ドライバモデル処理部
151 ドライバモデル作成部
152 ドライバモデル記憶部
153 ドライバモデル出力部
16 データ記憶部
Claims (9)
- 運転者の状態を判断する状態判断手段と、
車両走行における運転操作情報を取得する運転操作情報取得手段と、
前記取得した運転操作情報に基づいて運転者の状態に応じた運転操作のドライバモデルを作成するドライバモデル作成手段と、
を具備したことを特徴とするドライバモデル作成装置。
- 前記状態判断手段は、少なくとも運転者の状態が正常か否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドライバモデル作成装置。
- 特定の走行環境を検出する走行環境取得手段と、
走行環境毎に前記運転操作情報を蓄積し、
前記ドライバモデル作成手段は、前記走行環境毎にドライバモデルを作成する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドライバモデル作成装置。
- 運転者の生体情報を取得する生体情報取得手段を備え、
前記状態判断手段は、前記取得した生体情報に基づいて運転者の状態を判断する、
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のドライバモデル作成装置。
- 正常状態における運転操作のドライバモデルを取得するドライバモデル取得手段と、
前記取得したドライバモデルを使用し、正常状態で通常運転される運転操作を推定する運転操作推定手段と、
前記推定した運転操作と、現在の運転操作情報に基づく運転操作とから、ドライバの運転行動を判定する運転行動判定手段と、
前記判定した運転行動に応じた運転支援を行う運転支援手段と、
を具備したことを特徴とする運転支援装置。
- 前記ドライバモデル取得手段は、走行環境毎に作成された正常状態における運転操作のドライバモデルから、現在の走行環境に対応するドライバモデルを取得する、
ことを特徴とする請求項5に記載の運転支援装置。
- 運転者の生体情報から運転者の状態を判定する運転者状態判定手段を備え、
前記運転支援手段は、前記判定した運転行動と前記判定した運転者状態とに応じた運転支援を行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の運転支援装置。
- 運転支援手段は、判定内容に応じて、音声又は画像による注意喚起、情報提供、振動、休憩所の案内のうちの少なくとも1以上の運転支援を行う、ことを特徴とする請求項5、請求項6、又は請求項7に記載の運転支援装置。
- 正常状態における運転操作のドライバモデルを取得するドライバモデル取得手段と、
前記取得したドライバモデルを使用し、正常状態で通常運転される運転操作を推定する運転操作推定手段と、
前記推定した運転操作と、現在の運転操作情報に基づく運転操作とから、ドライバの運転行動を判定する運転行動判定手段と、
を具備したことを特徴とする運転行動判定装置。
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