JP2009205646A - 運転支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者による交通法規の違反を回避することが可能となる運転支援装置を提供する。
【解決手段】本発明の運転支援装置は、車両走行における運転操作情報を取得する自車両情報取得部11と、取得した運転操作情報に基づいて運転者の状態に応じた運転操作のドライバモデルを作成するドライバモデル作成部151と、自車両情報取得部11で取得した運転操作情報と、ドライバモデル作成部151で作成されたドライバモデルにおける最大事後確率を算出する最大事後確率算出手段(ECU10)と、前記最大事後確率算出手段に基づいて推定される運転操作によって交通規則を違反するか否かを判定する違反予測判定手段(ECU10)と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車、ハイブリッドカーなどの車輌に搭載され、ドライバ毎のドライバモデルを作成すると共に、作成されたドライバモデルに基づいてドライバの判定を行う運転支援装置に関する。
車両運転者(ドライバ)の運転操作のモデル化、及びその応用について種々の提案がされている。例えば、特許文献1(特開2002−140786号公報)に記載されている技術では、ファジールールやニューラルネットワークを使用したドライバモデルにより、交差点道路の危険度を評価する技術について提案されている。
特開2002−140786号公報
特許文献1に記載の技術では、ファジールールやニューラルネットワークを使用してのドライバモデルを構成しているため、ファジールールの作成や、バックプロパゲーション等の学習が必要であり、ドライバモデルを容易に作成することができない。
また、従来技術では、一般的なドライバを対象としたモデルの作成は可能であるが、運転者毎の運転操作の特徴をより正確に表現することは困難であった。このため、従来技術では、複数の運転者毎の特徴を表すドライバモデルを作成することができなかった。
また、特許文献1に記載の技術では、作成されたドライバモデルによって、ドライバの運転操作を推定し、その推定結果が交通規則に照らして、妥当であるか否かなどを行う、所謂運転支援を行うようなものではなかった。
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車両走行における現在の運転操作情報を取得する運転操作情報取得手段と、前記運転操作情報取得手段で取得した現在の運転操作情報の履歴に基づいて運転者の状態に応じた運転操作のドライバモデルを作成するドライバモデル作成手段と、前記運転操作情報取得手段で取得した現在の運転操作情報と、前記ドライバモデル作成手段で作成されたドライバモデルに基づき、該ドライバモデルにおける最大事後確率を算出する最大事後確率算出手段と、前記最大事後確率算出手段に基づいて推定される運転操作によって交通規則を違反するか否かを判定する違反予測判定手段と、を有することを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の運転支援装置において、さらに車両の走行する道路に関する情報を取得する道路情報取得手段を備え、前記違反予測判定手段は、取得した道路情報と推定した運転操作に基づき交通規則を違反するか否かを判定することを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の運転支援装置において、前記違反予測判定手段によって、交通規則を違反すると判定されたときには、警告動作を行う警告出力手段を有することを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置において、前記違反予測判定手段によって、交通規則を違反すると判定されたときには、運転操作のアシストを行う運転操作アシスト手段を有することを特徴とする。
本発明の請求項1及び2に記載の運転支援装置によれば、最大事後確率算出手段に基づいて推定される運転操作によって交通規則を違反するか否かを判定する違反予測判定手段を有するので、運転者による交通法規の違反を回避することが可能となる。
本発明の請求項3に記載の運転支援装置によれば、交通規則を違反すると判定されたときには、運転者は、交通違反を犯す可能性を警告によって事前に知ることが可能となり、交通法規の違反を回避することが可能となる。
本発明の請求項4に記載の運転支援装置によれば、交通規則を違反すると判定されたときには、運転操作のアシストによって、交通法規の違反を回避することが可能となる。
以下、本発明の運転支援装置における好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の運転支援装置においては、ドライバが本実施形態の装置を搭載した車両を運転する毎に、ドライバ個人毎のドライバモデルを作成し、予め記憶されている標準的なドライバモデルに、現在進行形で作成されたドライバモデルを順次加味していき、個人毎のドライバモデルとして学習するようになっている。ドライバモデルの作成は、ドライバの運転中に運転状態のデータ(自車両情報、例えば、アクセル、ブレーキ、ハンドルの操作量、車速、車間距離、加速度など)を収集することによって、これを行うものである。
ここで、現在のドライビングによるドライバモデルが、「直進ドライバモデル」であるのか、「右折ドライバモデル」であるのか、「左折ドライバモデル」、であるのかを判定するようになっている。
なお、本実施形態では、ド眠気に係るドライバ状態を、「直進ドライバモデル」、「右折ドライバモデル」、「左折ドライバモデル」の3パターンに分けて説明するが、本発明はこの段階数について限定されるわけではなく、より詳細な段階に分けても構わない。
「直進ドライバモデル」では、そのドライバが直進する際の運転操作の特性を現すものとなり、「右折ドライバモデル」では、そのドライバが右折する際の運転操作の特性を現すものとなり、「左折ドライバモデル」では、そのドライバが左折する際の運転操作の特性を現すものとなる。本実施形態では、これら3つのドライバモデルを予め分類し記憶しておき、それぞれのドライバモデルに基づく最大事後確率を求めて、ドライバの次の瞬間の運転操作の予測をする。そして、この予測される運転操作が、交通規則に照らして、適っているか否かを判定する。そして判定の結果、交通規則を違反すると判定された場合には、警告動作を行ったり、運転操作のアシストを行ったりする。
本実形態に係る運転支援装置では、ドライバの運転中に運転状態のデータ(自車両情報、例えば、アクセル、ブレーキ、ハンドルの操作量、車速、車間距離、加速度など)を収集しドライバモデルを作成する。これを、標準的なドライバモデルに加味することによって、個人毎のドライバモデルを学習する。
また、本実施形態の運転支援装置では、例えば、片道3車線の国道で、信号が青の交差点を右折専用車線から右折する場合で、対向車があり、横断歩道に歩行者がいる場合、というように、走行中における自車両周辺環境の各場面(シチュエーション)毎にドライバモデルが作成されるようにすることもできる。
本実施形態では、ドライバモデルにGMM(ガウス混合モデル)を用いることで、各ドライバ毎のドライバモデルを簡便に生成することができ、さらに、条件付き確率を最大化する計算により、運転操作行動を容易に推定し出力する。
すなわち、本実施形態の運転支援装置では、アクセル操作量、車速、ブレーキ操作量、ハンドルの操作量、車間距離、加速度等の複数種類の特徴量からなる走行データを学習データとしてEM(Expectation Maximization)アルゴリズムにより算出したガウス混合モデルをドライバモデルとして採用する。
このガウス混合モデルは、EMアルゴリズムにより、同時確率密度分布を計算することで得られる同時確率密度関数のパラメータで構成され、必要に応じて各ドライバ毎、更にドライバのアクセル操作用、ブレーキ操作用、車間距離維持範囲用等の推定する特徴量毎に生成される。
そして、ドライバモデルに使用した複数の特徴量のうちの特定の特徴量xを除く走行データY(=y1、y2、…)を測定し、この走行データYに対するドライバモデルにおける最大事後確率を算出することで、特徴量xを推定する。
例えば、車両周辺の走行環境(シチュエーション)と同一のシチュエーションにおけるドライバモデルを用い、現在の自車状態をドライバモデルに入力し、それ以降の運転状態(例えば、特徴量x=アクセル操作量)の時間変化を推定し、実際の運転状態と比較することで、操作の遅れや操作のふらつき等の有無が判定される。
(2)実施形態の詳細
図1は、車両に搭載する運転支援装置の構成を表したものである。このような運転支援装置は、ECU(電子制御装置)10、自車両情報取得部11、自車両周辺環境情報取得部12、情報提供部14、ドライバモデル処理部15、データ記憶部16を備えている。
なお、図1により説明する運転支援装置の構成については、その全てが必要ということではなく、本実施形態にけるドライバモデルの作成及び運転支援を行う為に使用可能な各部や装置について説明するものであり、採用する運転支援の機能等に応じて適宜選択して装置を構成することが可能であり、また、同様な機能を有する他の機器、装置を追加使用することが可能である。
ECU10は、CPU、ROM、RAM、インターフェイスなどの各部を備えたコンピュータシステムで構成されている。ECU10は、自車両情報取得部11の取得情報に基づくドライバ運転行動の監視、運転支援としてのドライバアシスト内容の情報提供部14への指示、を行うようになっている。ECU10は、また、ドライバモデルの作成、出力に必要なデータをドライバモデル処理部15に供給するようになっている。
自車両情報取得部11は、ハンドル舵角センサ111、アクセルペダルセンサ112、ブレーキペダルセンサ113、速度計114、加速度センサ115、エレキ動作状況取得部116、タイマー117、その他のセンサを備えている。
図2は、自車両情報取得部11で取得する、運転操作情報としての自車両情報を例示したものである。図2に示されるように、ハンドル舵角センサ111はハンドル操作量(角度)、アクセルペダルセンサ112はアクセル操作量、ブレーキペダルセンサ113はブレーキ操作量を、速度計114は車速を検出する。加速度センサ115は、ヨー軸加速度、ピッチ軸加速度、ロール軸加速度を検出する。エレキ動作状況取得部116は、ウィンカー動作状況、ライト動作状況、ワイパー動作状況を検出する。タイマー117は、運転時刻、運転時間等の各種時間を計測する。ドライバ認識装置118は、例えば運転席を撮像する車載カメラと当該カメラによって取得された画像を解析することによってドライバ個人毎を認識する。
自車両周辺環境情報取得部12は、車両周辺情報取得部121、道路情報取得部122、及びネットワーク部123を備えている。車両周辺情報取得部121は、赤外線センサ、ミリ波センサ、超音波センサ、画像認識装置、車間距離センサ等の各種センサを備えている。画像認識装置は、画像入力装置で撮像された車外画像の画像処理を行い、車両周辺の障害物や、歩行者、車両等の存在対象を認識する。
図3は、車両周辺情報取得部121で取得する車両周辺環境情報を例示したものである。この図3に示されるように、車両周辺情報取得部121により、車両、歩行者、障害物、その他各種情報が取得される。具体的に取得される情報としては、例えば、検出した周辺に存在する車両の種類(乗用車、バイク、自転車等)、車間距離、相対速度、属性(対向車、並走車、直行(左、右)車、等が各車両毎に取得される。同様に、歩行者、障害物に対しても、その各々に対する情報が取得される。
道路情報取得部122は、車両の現在位置を検出するGPS装置や、検出した現在位置に対応する道路情報や信号の有無等の周辺情報を取得するための地図情報を備えている。また、道路情報取得部122は、標識や道路環境を認識する画像認識装置を備えているが、この画像認識装置は車両周辺情報取得部121の画像認識と共有されている。
図4は、道路情報取得部122で取得する車両周辺環境情報を例示したものである。道路情報取得部122では図4に示されるように、道路種別、道路形状、道路幅、自車位置、路面状況、道の明るさ、信号の有無と状態、道路属性(交通規則)、その他の各種情報が取得される。
ネットワーク部123は、VICS等の交通情報網や気象情報センタと接続して、交通情報や気象情報を取得する。図5は、ネットワーク部123で取得する車両周辺環境情報を例示したものである。
図5に示されるように、VICS等で取得する渋滞情報には、渋滞の距離、混雑の距離、事故の有無、通行止めの有無、チェーン規制の有無等がある。また、気象情報センタで取得する気象情報には、晴れ、曇り、雨等の天候情報、降水確率、気温、その他の情報がある。
自車両周辺環境情報取得部12で取得した自車両周辺環境情報は、上記した自車両情報取得部11で取得した自車両情報の一部(例えば、ハンドル操作量に基づく、直進、右折、左折等の情報)は、シチュエーションの設定に使用される。
情報提供部14は、ドライバの運転状態に応じた運転操作アシストや警告を行うための運転操作アシスト部、音声出力部、画面出力部を備えている。図7は、情報提供部14で提供する情報、アシストの内容を例示したものである。
この図6に示されるように、運転操作アシスト部は、ドライバによる運転操作を補正するアシストとして、ハンドル操作アシスト、アクセル操作アシスト、ブレーキ操作アシスト等を行うため、各操作部のトルク値の出力を制御する。例えば、運転者によるハンドル操作にふらつきがある場合にはハンドルが重くなるようにパワーステアリングのアシスト機構のトルク操作をし、ブレーキの踏み力が弱い場合にブレーキの踏み込み量に対する出力が大きくなるようにブレーキアクチュエータのアシスト機構を作動させる。
また、運転者の状態に応じて、音声出力部は警告音声を出力し、画面出力部は警告画面を表示する。上記のようなアシストや警告音声や警告画面の表示は、判定されたドライバの状態に応じて、実行されるようになっている。
ドライバモデル処理部15は、ドライバモデル作成部151、ドライバモデル記憶部152、ドライバモデル出力部153を備えている。
ドライバモデル処理部15は、ドライバモデル作成装置、作成されたドライバモデルの判定装置、及び作成された各ドライバのドライバモデルの記憶装置として機能し、運転者の操作(直進、右折、左折、など)に応じて、作成されたドライバモデルを分類して記憶する構成となっている。なお、作成されたドライバモデルと共に、自車両情報取得部11で取得した自車両情報、及び、該情報を取得した際に自車両周辺環境情報取得部12で取得した自車両周辺環境情報から決定されるシチュエーションについても付加要素としてドライバモデルと共に蓄積するようにしても良い。
ドライバモデル処理部15のより詳細な構成・動作について説明する。図9はドライバモデル処理部の内容を概念的に表した詳しい説明図である。
ドライバモデル作成部151によるドライバモデルの作成は、ドライバの運転中に運転状態のデータ(自車両情報、例えば、アクセル、ブレーキ、ハンドルの操作量、車速、車間距離、加速度など)を収集することで行われる。このようなドライバモデルは、個人毎に行われて、それぞれのドライバのドライビングのクセとしてドライバ毎にドライバモデル記憶部152(ドライバA用、ドライバB用、ドライバC用・・・など)に記憶されるようになっている。
分類判定部154は、ドライバが直進するのか、右折するのか、左折するのか、を判定するものであり、この判定に基づいて取得されたドライバモデルを、直進ドライバモデル記憶部171、右折ドライバモデル記憶部172、左折ドライバモデル記憶部173に分類して記憶する。これによって、ドライバ毎の直進のときのドライバモデル、右折のときのドライバモデル、左折のときのドライバモデルに係るデータベースを構築することができるものである。すなわち、本実施形態に係る運転支援装置によれば、運転者の状態に応じたドライバモデルを学習・蓄積していくことが可能となる。
標準ドライバモデルは、車両の現在位置、進行方向、(必要に応じてシチュエーションなども)に応じた最も一般的なドライビングによるドライバモデルであり、デフォルトのドライバモデルとして、標準ドライバモデル記憶部174に記憶されている。標準ドライバモデルは、道路情報取得部122のGPS装置、地図情報によって走行場所が決まれば、一義的に決定するものである。
ドライバモデル作成部151によって作成されたドライバモデルは、上記の標準ドライバモデル記憶部174に上書き的に順次加味して記憶するようにする。すなわち、直進ドライバモデル記憶部171、右折ドライバモデル記憶部172、左折ドライバモデル記憶部173に記憶されるドライバモデルは、標準ドライバモデルに基づいて学習を行いつつ進化するようになっている。ここで学習のためのアルゴリズムについては従来周知のものを用いることができる。覚醒状態のドライバモデル記憶部173に記憶されるドライバモデルは、ドライバの通常時、平常時のドライバモデルとして利用することが可能である。
次に、ドライバモデル処理部13によるドライバモデル処理についてより具体的に説明する。図10はドライバモデル処理部における処理フローチャートを示す図である。このようなフローチャートは、サブルーチン的に反復的に実行されるものである。
図10において、ステップS100でドライバモデル処理が開始されると、続いてステップS101に進み、ドライバモデル作成部151によって現在のドライビングによるドライバモデル作成される。
次にステップ102では、車両が直進しているか否かを判定する。ステップS102の判定結果がYESであるときにはステップS104に進み、作成されたドライバモデルが直進ドライバモデルとして分類され、直進ドライバモデル記憶部171に記憶される。ステップS107で処理を終了する。
テップS102の判定結果がNOであるときにはステップS103に進む。ステップS103では、車両が右折するのか左折するのかが判定される。右折であると判定されると、作成されたドライバモデルが右折ドライバモデルとして分類され、右折ドライバモデル記憶部172に記憶される。ステップS107で処理を終了する。
ステップS103の判定結果が左折であるとステップS106に進み、作成されたドライバモデルが左折ドライバモデルとして分類され、左折ドライバモデル記憶部172に記憶される。ステップS107で処理を終了する。
図9に戻って、ドライバモデル出力部153は、記憶されているドライバモデルによって運転操作量を推定し、出力する。この推定運転操作量と、後述する地図情報−違反情報リンクテーブルとを比較することで、推定運転操作によって交通違反を犯す可能性があるか否かが判定される。
なお、ドライバモデル処理部15におけるドライバモデル作成部151とドライバモデル出力部153の両機能をECU10で実現し、ドライバモデル記憶部152をデータ記憶部16に保存するようにしてもよい。
データ記憶部16には、本実施形態によるドライバモデル作成処理、及び運転操作アシスト処理に必要な各種データやテーブルが格納される。データ記憶部16は、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、メモリチップやICカード等の半導体記録媒体、CD−ROMやMO、PD(相変化書換型光ディスク)等の光学的に情報が読み取られる記録媒体、その他各種方法でデータやコンピュータプログラムが記録される記録媒体が含まれる。記録媒体には、記録内容に応じて異なる媒体を使用するようにしてもよい。
特に、データ記憶部16には、交通違反テーブル161及び地図情報−違反情報リンクテーブル162が記憶されている。図7は交通違反テーブルを例示した説明図である。図7に示すように交通違反テーブルには、交通法規で定められた違反項目がデータベース化されている。
また、図8は地図情報と違反情報とのリンク例を概念的に示す図である。データ記憶部16の地図情報−違反情報リンクテーブル162は、このような地図情報と違反情報とをリンク化したデータベースである。車両の自車輌周辺環境情報取得部12のGPS装置で取得した位置情報に基づき地図情報が参照され、さらにこの地図情報−違反情報リンクテーブル162によって、走行中の車両に適用される交通規則が判明するようになっている。
ここで、ドライバモデル作成部151によるドライバモデルの作成について説明する。本実施形態では、ドライバモデルをGMMにより作成する。
図11は、本発明の実施形態に係る運転支援装置によるドライバモデルの作成と、作成したドライバモデルに基づく運転操作量の推定に関する原理を表したものである。
なお、ドライバモデルの作成と運転行動の推定については、特徴量として車速V、前方車両との車間距離Fと、これらの1次の動的特徴量ΔV、ΔF(1階微分値)、2次の動的特徴量ΔΔV、ΔΔF(2階微分値)、及びアクセル操作のドライバモデルとしてアクセル操作量Gと1次の動的特徴量ΔG、ブレーキ操作のドライバモデルとしてブレーキ操作量Bと1次の動的特徴量ΔB、ハンドル操作のドライバモデルとしてハンドル操作量θと1次の動的特徴量Δθを使用する場合について説明するが、特徴量については、自車両情報取得部11で取得した全ての情報のうちの他の情報の組合せを使用して作成するようにしてもよい。
本実施形態の運転支援装置では、アクセル操作量、車速、車間距離等から構成される各シチュエーション毎の走行データ1(自車両情報)を学習データとして、各シチュエーションに対応するGMMによるドライバモデル2をEMアルゴリズムにより予め作成する。
そして、ドライバの運転行動(例えば、アクセル操作量)を推定する場合、対応するドライバモデル2を使用し、時刻tにおける走行データ1の測定値(V、F、ΔV、…)3に対する最大事後確率4を計算することで、該ドライバが操作するであろうアクセル操作量5を推定するようになっている。
このようにして推定した各操作量を走行データとして次の操作量を推定し、各時刻毎の実測値(自車両情報)と比較することで運転行動逸脱データが算出される。
この例の運転支援装置では、ドライバは現在の車速、車間距離、及びそれらの1次、2次の動的特徴量に基づいてアクセルペダル、ブレーキペダル、ハンドルの操作量を決めているとの仮定に基づいている。
以下、ドライバモデルの作成と運転行動の推定の原理について詳細に説明する。
(A)ドライバモデルの学習
GMMを用いたドライバモデル2では、学習データを必要とし、特徴量として走行データ1(自車両情報)を使用している。走行データ1は、所定の測定間隔s(sは任意であるが本実施形態ではs=0.1秒)毎の時系列データを使用する。
走行データ1は、ドライバモデル作成の対象となるドライバが実際に運転したデータであり、実際にドライバが運転している際にリアルタイムで測定、収集した走行データ1を使用する。また、予め測定し蓄積しておいた走行データ1を使用することで、オフラインの学習を行うようにしてもよい。
本実施形態の運転支援装置では、各ドライバ毎にGMMを作成することで、各ドライバの特性に合ったモデル化が可能となる。
例えば、ドライバモデルの特徴量(走行データ1)としては、上述したように、車速、車間距離、及びそれらの1次、2次の動的特徴量とアクセルペダル操作量、及びアクセルペダル操作量の1次の動的特徴量が使用される。
このように、特徴量に動的特徴量を加えてモデル化することで、前後の時間関係を考慮することになり、滑らかで自然性の高い推定結果を得ることができる。なお、説明では、1次及び2次の動的特徴量を使用した場合について説明するが、1次の動的特徴量だけ使用するようにしてもよい。
同様に、ブレーキペダルの操作量、その他の各種操作量に関するドライバモデル化も行われる。また、ハンドルの操作量、その他の各種操作量に関するドライバモデル化も行われる。
なお、アクセルペダル用、ブレーキペダル用、ハンドル用等の複数のドライバモデルを作成する場合には、アクセルペダル操作量、ブレーキペダル操作量、ハンドル操作量等以外のデータ(V、F、ΔV、ΔF、・・・)は同一のデータを使用してもよい。
本実施形態において、走行データ1のうち動的特徴量についてはアクセル操作量、車速、車間距離の測定値から計算により求めているが、実際に測定するようにしてもよい。
そして、本実施形態では、走行データ1に対する混合ガウス分布(GMM)を計算することで、ドライバモデル2を作成する。
すなわち、走行データ1に対する同時確率密度分布をEMアルゴリズムを使用して算出し、算出した同時確率密度関数のパラメータ={λi,→μi,Σi|i=1,2,3,…M}をGMMによるドライバモデル2としてデータベース等の記憶手段に記憶しておく。ここで、λiは重みを、→μiは平均ベクトル群を、Σiは分散共分散行列群を、Mは混合数を表す。また、→μiのように前に→を表示したものはベクトルを意味する。このように、本実施形態のGMMでは特徴次元間の相関も考慮して、全共分散行列を用いている。
なお、EMアルゴリズムとしては、例えば、中川聖一著、「確率モデルによる音声認識」(電子情報通信学会 1988、P51〜P54)に従って、混合ガウス分布のEMアルゴリズムによる推定を行う。
(B)運転行動(アクセルペダル操作量、ブレーキペダル操作量、ハンドル操作量等の各種操作量)の推定
ドライバは現在の車速、車間距離、及びそれらの1次、2次の動的特徴量に基づいてアクセルペダル、ブレーキペダル、ハンドルの操作量を決めているという仮定に基づき、ペダルの操作量等の運動行動を推定する。
すなわち、特徴量の同時分布から、与えられた条件下において最も確率の高いアクセルペダル操作量等の運動行動を推定する。
これは、条件付確率の最大化の問題であり、最大事後確率の計算による。例えば、アクセルペダル操作量∧G(t)と、ブレーキペダル操作量∧B(t)は、y(t)が与えられた条件で条件付き確率を最大にする値x(t)の推定であり、最大事後確率として、それぞれ次の式(1)、(2)、(3)で計算される。
Figure 2009205646
Figure 2009205646
Figure 2009205646
ここで、∧G(t)のように、前に∧を表示したものは推定値であることを意味する。
また、
Figure 2009205646
Figure 2009205646
Figure 2009205646
である。
式(1)、(2)、(3)において、tは時刻、G,B,θ、V,F,Δはそれぞれ、アクセルペダル操作量、ブレーキペダル操作量、ハンドル操作量、車速、車間距離、及び動的特徴量を表す。
ただし、条件付確率を最大にするアクセルペダル及びブレーキペダルの値は、最小値から最大値までの区間において、ある刻み幅(例えば、0から10000まで100刻み)で数値積分を行うことにより確率を算出し、その確率が最大となったときのアクセルペダル及びブレーキペダルの値を推定結果としてもよい。
図12は、最大事後確率による運転行動の推定に関する概略を表したものである。この図12では、簡単のため、ある時刻tの特徴量y(t)が与えられたときに→x(t)を推定する場合を示している。
ここで、GMMはガウス基底関数の線形結合による表現される確率モデルであり、M個のガウス基底関数それぞれの混合重みωm、平均ベクトルμm、共分散行列Σmにより下式(7)のように表現できる。
Figure 2009205646
また、観測ベクトルoに対するモデルの出力確率は次式(8)で定義される。
Figure 2009205646
ここで、ωmはm番目の混合要素の今後重みで次式(9)を満たす。
Figure 2009205646
また、Nm(o)はm番目の混合要素の確率密度関数で、次式(10)のようにガウス関数で表される。
Figure 2009205646
ここで、|Σm|、Σm -1はそれぞれ共分散行列の行列式、逆行列であり、(o−μmTは(o−μm)の転置を表す。
GMMモデルλのパラメータは学習データからExpectation−Maximization(EM)アルゴリズムを用いて推定される。EMアルゴリズムは学習データO=(o1,o2,・・・,oT)の最尤推定値を反複解法によって求める事である。各モデルパラメータは、尤度の増加が保証された以下の式によって、繰り返し推定される。
混合重み
Figure 2009205646
平均ベクトル
Figure 2009205646
共分散行列
Figure 2009205646
ただし、混合要素mの事後確率は、次式(14)で与えられる。
Figure 2009205646
以上のようにして作成されるドライバモデルは、本実施形態の運転支援装置では、図13の概念図に示すように「直進ドライバモデル」、「右折ドライバモデル」、「左折ドライバモデル」として、分類され記憶されるようになっている。
図14はECUにおけるドライバ運転行動の監視処理の概念的フローを示す図である。このようなフローはECUが処理する複数のルーチンの内の1つとして動作させることができる。
図14において、ステップS201において、現在の自車輌情報(運転の操作量)を取得すると、ステップS202以降では直進ドライバモデル(直進ドライバモデル記憶部171)に基づいて事後確率等の計算が、また、ステップS205以降では右折ドライバモデル(右折ドライバモデル記憶部172)に基づいて事後確率等の計算が、また、ステップS208以降では左折ドライバモデル(左折ドライバモデル記憶部173)に基づいて事後確率等の計算が実行される。
一例として、直進ドライバモデルによる直進の事後確率、直進確率割合の計算について示すが、その他のドライバモデルの計算についても同様に考えることができる。
ステップS203では、直進ドライバモデル記憶部171に記憶されるドライバモデルによって事後確率P1が計算される。そして、次のステップS204では、覚醒状態確率割合AをA=P1/(P1+P2+P3)によって計算する。
同様にステップS205乃至ステップS210によって、その他の状ドライバモデルに基づく覚醒状態確率割合B、Cを計算によって求める。
ステップS211では、各状態確率割合A、B、Cのうち最大のものが、ドライバによる次の瞬間の運転行動(運転操作)として推定を行う。
ステップS212では、ステップS211で推定されたドライバの運転行動(運転操作)と、自車両の現在位置の地図情報−違反情報リンクテーブル162とが比較される。
ステップS213では、自車輌の予測される運転行動(運転操作)によって、交通規則を違反するか否かが判定される。ステップS213における判定の結果がYESであるときにはステップS214に進み、ステップS213における判定の結果がNOであるときにはステップS201に進む。このように、本実施形態は、推定される運転操作によって交通規則を違反するか否かを判定する違反予測判定手段を有するものであるので、運転者による交通法規の違反を回避することが可能となる。
ステップS214では、情報提供部14によって、ドライバに対して警告を行ったり、或いは、運転操作アシストを行ったりする。ステップS214では、ドライバに対する警告、運転操作アシストの両方を行っても良い。ステップS215でリターンする。このようにステップS214によれば、交通違反を犯す可能性を警告によって事前に知ることが可能となり、交通法規の違反を回避することが可能となる。また、ステップS214によれば、運転操作のアシストによって、交通法規の違反を回避することが可能となる。
なお、本実施形態の運転支援装置は、自動車、ハイブリッド車、電気自動車などの車輌に搭載されることを一応想定しているが、その他電車、船舶、航空機などの移動手段に搭載することも可能である。
以上、種々の実施形態について説明したが、それぞれの実施形態の構成要素を任意に組み合わせて構成される実施形態についても本発明の範疇に入るものである。
本願発明の第1実施形態における運転支援装置の構成図である。 自車両情報取得部で取得する自車両情報を例示した説明図である。 車両周辺情報取得部で取得する車両周辺環境情報を例示した説明図である。 道路情報取得部で取得する車両周辺環境情報を例示した説明図である。 ネットワーク部で取得する車両周辺環境情報を例示した説明図である。 情報提供部で提供する情報、アシストの内容を例示した説明図である。 交通違反テーブルを例示した説明図である。 地図情報−違反情報とのリンク例を概念的に示す図である。 ドライバモデル処理部の内容を概念的に表した詳しい説明図である。 ドライバモデル処理部における処理フローチャートを示す図である。 本発明の実施形態に係る運転支援装置によるドライバモデルの作成と、作成したドライバモデルに基づく運転操作量の推定に関する原理を表したものである。 最大事後確率による運転行動の推定に関する概略を表した説明図である。 作成されたドライバモデルが振り分けられる様子を概念的に示す図である。 ECUにおけるドライバ運転行動の監視処理の概念的フローを示す図である。
符号の説明
10・・・ ECU、11・・・ 自車両情報取得部、12・・・ 自車両周辺環境情報取得部、121 ・・・車両周辺情報取得部、122・・・ 道路情報取得部、123 ・・・ネットワーク部、13 ・・・生体情報取得部、14 ・・・情報提供部、15 ・・・ドライバモデル処理部、151・・・ ドライバモデル作成部、152 ・・・ドライバモデル記憶部、153 ・・・ドライバモデル出力部、154・・・分類判定部、16 データ記憶部

Claims (4)

  1. 車両走行における現在の運転操作情報を取得する運転操作情報取得手段と、
    前記運転操作情報取得手段で取得した現在の運転操作情報の履歴に基づいて運転者の状態に応じた運転操作のドライバモデルを作成するドライバモデル作成手段と、
    前記運転操作情報取得手段で取得した現在の運転操作情報と、前記ドライバモデル作成手段で作成されたドライバモデルに基づき、該ドライバモデルにおける最大事後確率を算出する最大事後確率算出手段と、
    前記最大事後確率算出手段に基づいて推定される運転操作によって交通規則を違反するか否かを判定する違反予測判定手段と、を有することを特徴とする運転支援装置。
  2. さらに車両の走行する道路に関する情報を取得する道路情報取得手段を備え、前記違反予測判定手段は、取得した道路情報と推定した運転操作に基づき交通規則を違反するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記違反予測判定手段によって、交通規則を違反すると判定されたときには、警告動作を行う警告出力手段を有することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
  4. 前記違反予測判定手段によって、交通規則を違反すると判定されたときには、運転操作のアシストを行う運転操作アシスト手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置。
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