JP2007270947A - ディファレンシャル装置 - Google Patents

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Yasunao Okada
保直 岡田
Masaru Maeda
大 前田
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Abstract

【課題】デフケース孔が位置ズレする等した場合においても、一方ピニオンシャフト及び他方ピニオンシャフトをデフケースに確実に固定できるディファレンシャル装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 径方向に貫通孔9を有する一方ピニオンシャフト3と、貫通孔9及び中空孔4h,5hに軸部材11を挿通し、一方ピニオンシャフト3及び2本の他方ピニオンシャフト4,5を十字状に組み付けるディファレンシャル装置において、固定手段15a,15bによりデフケース2に固定された他方ピニオンシャフト4,5の一方ピニオンシャフト側端部先端4t,5tとデフケース2に固定された一方ピニオンシャフト3との間に間隔Wを設けた。
【選択図】図2

Description

本発明は、一方ピニオンシャフトに貫通孔を設け、貫通孔に軸部材を挿通し、軸部材の両端部に軸線方向に中空孔を有する2本の他方ピニオンシャフトを挿通して、一方ピニオンシャフト及び2本の他方ピニオンシャフトをデフケースの内部に十字状に組み付けるディファレンシャル装置に関する。
従来より、ディファレンシャル装置に組み付けられる4つのピニオンギヤを十字状に配置したピニオンシャフトによって軸支する場合、一方ピニオンシャフトの中央部に径方向に貫通孔を形成し、軸方向先端に凸部を設けた2本の他方ピニオンシャフトを貫通孔の両側から嵌合する技術が知られている。ここで、他方ピニオンシャフトの凸部は、一方ピニオンシャフトとの嵌合後ディファレンシャル装置が回転する時に、回転による応力が凸部と基部との間の段部に集中するため、この段部にクラックが入ることがあり、他方ピニオンシャフトの耐久性が低下するという問題があった。(特許文献1の図6)
実開昭64−46553号
そこで、段部への応力の集中を防止するため、図5に示す如く、一方ピニオンシャフト103の中央部に径方向の貫通孔109を形成すると共に、2本の他方ピニオンシャフト104,105に軸線方向に延びる円筒形状の中空孔104h,105hを形成し、貫通孔109及び中空孔104h,105hに軸部材111を嵌合して、ピニオンシャフト103,104,105をデフケース内部に十字状に組み付けたディファレンシャル装置101があった。このようなディファレンシャル装置101では、ピニオンシャフト103,104,105に段部が形成されないため、ピニオンシャフト103,104,105への応力集中を防止できる。また、上記ディファレンシャル装置101では、他方ピニオンシャフト104,105の一方ピニオンシャフト側端部先端104t,105tを一方ピニオンシャフト103に当接させ、他方ピニオンシャフト104のデフケース側端部104d,105dの固定ピン挿通孔104f,105f及びデフケース102に設けられた図示しない固定ピン挿通孔に固定手段としての固定ピン115a,115bを挿通してピニオンシャフト104,105をデフケース102に固定していた。
しかし、上述するディファレンシャル装置101においては、デフケース104に形成された一方ピニオンシャフト103を挿通するデフケース孔123a,123cの位置がわずかに他方ピニオンシャフト104を挿通するデフケース孔123b側若しくはデフケース孔123d側へ位置ズレする、又は他方ピニオンシャフト104,105の固定ピン挿通孔104f,105f自体が位置ズレする等によって、他方ピニオンシャフト104,105の固定ピン挿通孔104f,105fが、デフケース102の図示しない固定ピン挿通孔より外側にずれ、固定ピン115a,115bを挿通することができず、他方ピニオンシャフト104,105をデフケース102に嵌合することができないことがあった。
そこで、本発明は、上記事情により鑑みなされたもので、デフケースに形成された一方ピニオンシャフトを挿通するデフケース孔の位置がわずかに他方ピニオンシャフトを挿通するデフケース孔側へ位置ズレする、又は他方ピニオンシャフトの固定ピン挿通孔自体が位置ズレする等した場合においても、一方ピニオンシャフト及び他方ピニオンシャフトをデフケースに確実に固定できるディファレンシャル装置を提供することを目的とする。
本発明のディファレンシャル装置は、径方向に貫通孔を有する一方ピニオンシャフトと、貫通孔に挿通する軸部材と、軸線方向に中空孔を有する2本の他方ピニオンシャフトと、一方ピニオンシャフト及び2本の他方ピニオンシャフトを内部に組み付けるデフケースと、2本の他方ピニオンシャフトのデフケース側端部をデフケースに組み付ける固定手段と、を備え、貫通孔及び中空孔に前記軸部材を挿通し、一方ピニオンシャフト及び2本の他方ピニオンシャフトを十字状に組み付けるディファレンシャル装置において、固定手段によりデフケースに固定された他方ピニオンシャフトの一方ピニオンシャフト側端部先端とデフケースに固定された一方ピニオンシャフトとの間に間隔を設けたことを第1の特徴とする。
本発明の第2のディファレンシャル装置は、他方ピニオンシャフトの中空孔の一方ピニオンシャフト側端部に、他方ピニオンシャフトの軸線方向と平行の平行部と、平行部から円弧状に拡径される円弧拡径部と、を備えたことを特徴とする。
本発明の第3のディファレンシャル装置は、中空孔に挿通される軸部材の挿通長さは、他方ピニオンシャフトにより形成される中空孔の軸線方向長さより短いことを特徴とする。
本発明の第1の特徴のディファレンシャル装置によれば、固定手段によりデフケースに固定された他方ピニオンシャフトの一方ピニオンシャフト側端部先端とデフケースに固定された一方ピニオンシャフトとの間に間隔を設けたため、デフケースに形成された一方ピニオンシャフトを挿通するデフケース孔の位置がわずかに他方ピニオンシャフトを挿通するデフケース孔側へ位置ズレする、又は他方ピニオンシャフトの固定ピン挿通孔自体が位置ズレする等した場合においても、間隔を設けることによってばらついた寸法が吸収され、固定手段によってデフケースに確実に一方ピニオンシャフト及び他方ピニオンシャフトを固定できる。また、間隔を設けることによって、他方ピニオンシャフトの軸線方向全長が短くなり、ディファレンシャル装置の軽量化ができる。
また、本発明の第2の特徴のディファレンシャル装置によれば、他方ピニオンシャフトの中空孔の一方ピニオンシャフト側端部に、他方ピニオンシャフトの軸線方向と平行の平行部と、平行部から円弧状に拡径される円弧拡径部と、を備えたため、ディファレンシャル装置が回転し、軸部材と他方ピニオンシャフトの中空孔の一方ピニオンシャフト側端部に応力が生じた場合であっても、他方ピニオンシャフトの円弧拡径部によって軸部材の一箇所に応力が集中することがなく、軸部材にクラックが生じることを防止できる。
更に、本発明の第3の特徴のディファレンシャル装置によれば、中空孔に挿通される軸部材の挿通長さは、他方ピニオンシャフトにより形成される中空孔の軸線方向長さより短いため、他方ピニオンシャフトの中空孔に軸部材が挿通されない空洞部を設けることができ、ディファレンシャル装置を軽量化することができる。
図1及び図5は、本発明によるディファレンシャル装置の実施例を示すもので、図1は、ディファレンシャル装置の断面正面図(図2のB−B断面正面図)、図2は、ディファレンシャル装置の断面側面図(図1のA−A断面側面図)、図3は他方ピニオンシャフトの断面図、図4の他方ピニオンシャフト先端の拡大図、図5は、従来のディファレンシャル装置の断面正面図である。
まず、図1及び図2に基づいてディファレンシャル装置1を説明する。ディファレンシャル装置1は、図示しないデフキャリア内に回転自在に支持され、車軸方向に形成される第一ボス部13及び第二ボス部14を有し、第一デフケース2a及び第二デフケース2bより構成されるデフケース2と、デフケース2の内部に組み付けられ、デフケース2と一体に回転する一方ピニオンシャフト3及び2本の他方ピニオンシャフト4,5と、2本の他方ピニオンシャフト4,5を軸支する軸部材11と、一方ピニオンシャフト3若しくは2本の他方ピニオンシャフト4,5を略円柱形状のピニオンギヤ孔8に挿通することで回転自在に軸支される4個のピニオンギヤ6と、2本の他方ピニオンシャフト4,5がデフケース2から抜けることを防止する固定手段としての固定ピン15a,15bと、4個のピニオンギヤ6と噛合する第一サイドギヤ16a及び第二サイドギヤ16bとを備えている。また、この第一サイドギヤ16a及び第二サイドギヤ16bの内周には、図示しない2本のドライブシャフトがスプライン係合されている。
第一デフケース2aには、一方ピニオンシャフト3及び2本の他方ピニオンシャフト4,5を挿通するデフケース孔23a,23b,23c,23dがデフケース回転軸Xと鉛直面上に第一デフケース2aの周面に互いに90°の間隔をおいて4箇所形成されている。デフケース2とピニオンギヤ6間には、一方ピニオンシャフト3及び他方ピニオンシャフト4,5が挿通可能なスラストワッシャー孔17を設けたピニオンギヤ用スラストワッシャー18が配置され、デフケース2と第一サイドギヤ16a,第二サイドギヤ16b間は、第一サイドギヤ16aのデフケース側端部若しくは第二サイドギヤ16bのデフケース側端部が挿通可能なスラストワッシャー孔19を設けたサイドギヤ用スラストワッシャー20が配置される。また、図示しないリングギヤ、第一デフケース2a及び第二デフケース2bには、リングギヤ固定孔30が設けられ、図示しないボルトを挿通固定することにより一体に組み付けられる。
次に一方ピニオンシャフト3と2本の他方ピニオンシャフト4,5のディファレンシャル装置1内での組み付け状態について説明する。一方ピニオンシャフト3の両端部は、第一デフケース2aに形成された4個のデフケース孔23a,23b,23c,23dのうち、固定ピン挿通孔31が連通していない対角に形成された2個のデフケース孔23a,23cを挿通する。一方ピニオンシャフト3は、軸線方向中央付近に径方向に貫通する貫通孔9を有しており、この貫通孔9に貫通孔9の軸線方向長さより長い軸部材11が挿通されている。2本の他方ピニオンシャフト4,5は、軸線方向に中空孔4h,5hを有しており、貫通孔9の両端部より突出する軸部材11に2本の他方ピニオンシャフト4,5の中空孔4h,5hが挿通され、十字状のピニオンシャフト組立体7を形成している。
続いて十字状のピニオンシャフト組立体7のデフケース2への固定状態について説明する。2本の他方ピニオンシャフト4,5のデフケース側端部4a,5aには、2本の他方ピニオンシャフト4,5をデフケース2に固定するために、固定ピン15a,15bを挿通する固定ピン挿通孔4f,5fが形成されている。また、デフケース2側にも固定ピン15a,15bを挿通する固定ピン挿通孔31が形成されている。そして、デフケース2の固定ピン挿通孔31及び2本の他方ピニオンシャフト4,5の固定ピン挿通孔4f,5fに固定ピン15a,15bが挿通されることによって、2本の他方ピニオンシャフト4,5がデフケース2から抜け落ちることを防止している。
また、他方ピニオンシャフト4の中空孔4hには、軸部材11の一端が挿通されており、この軸部材11の他端が一方ピニオンシャフト3の貫通孔9を貫通し、他方ピニオンシャフト5の中空孔5hに挿通されることで、一方ピニオンシャフト3についても、デフケース2から抜け落ちることを防止している。
このように固定ピン15a,15bによりデフケース2に固定された十字状のピニオンシャフト組立体7は、他方ピニオンシャフト4,5の一方ピニオンシャフト側先端部4t,5tと一方ピニオンシャフト3との間に間隔Wが設けられている。また、固定ピン15a,15bによりデフケース2に固定された十字状のピニオンシャフト組立体7は、中空孔4hの軸線方向長さ4lより短い。また、軸部材11の軸線方向長さは、軸部材11の一端が他方ピニオンシャフト4,5に嵌合された固定ピン15a,15bの何れか一方に当接した場合に、軸部材11の他端がもう1本の他方ピニオンシャフト4,5の中空孔4h,5hに挿通される。
更に十字状のピニオンシャフト組立体7を形成する一方ピニオンシャフト3、2本の他方ピニオンシャフト4,5及び軸部材11について詳細に説明する。一方ピニオンシャフト3は、ピニオンギヤ6が回転可能なように略円柱形状に形成され、軸線方向長さは、デフケース2のデフケース孔23a,23cの双方を挿通可能な長さに設定されている。一方ピニオンシャフト3の軸線方向中央付近には、径方向に貫通する貫通孔9を有している。貫通孔9の直径は、軸部材11の直径よりやや大きく形成されており、ディファレンシャル装置1の回転時に一方ピニオンシャフト3から軸部材11に対して発生する応力が軸部材11の特定箇所に集中することがない。また、一方ピニオンシャフト3の外周面には、一方ピニオンシャフト3の外周面及びピニオンギヤ6のピニオンギヤ孔8の焼き付きを防ぐため、デフケース2内を潤滑する図示しない潤滑剤を取り入れる潤滑剤取り入れ平面22が形成されている。
他方ピニオンシャフト4,5は、図3及び図4に示す如く、ピニオンギヤ6が回転可能なように略円柱形状に形成され、デフケース2のデフケース孔23b,23dと一方ピニオンシャフト3の貫通孔9から突出する軸部材11の双方を挿通している。他方ピニオンシャフト4,5の中空孔4h,5hの一方ピニオンシャフト側端部4i,5iには、ディファレンシャル装置1の回転時に他方ピニオンシャフト4,5から軸部材11に対して発生する応力が、軸部材11の特定箇所に集中しないように、他方ピニオンシャフト4,5の軸線方向と平行の平行部4p,5pと、平行部4p,5pから円弧状に拡径される円弧拡径部4r,5rが形成されている。また、他方ピニオンシャフト4,5の外周面には、他方ピニオンシャフト4,5の外周面及びピニオンギヤ6のピニオンギヤ孔8の焼き付きを防ぐため、デフケース2内を潤滑する図示しない潤滑剤を取り入れる潤滑剤取り入れ平面22が形成されている。
軸部材11の形状は、図1に示す如く一方ピニオンシャフト3の貫通孔9と他方ピニオンシャフト4,5の中空孔4h,5hを挿通可能なように略円柱形状に形成されている。
次にデフケース2に4個のピニオンギヤ6及び第一サイドギヤ16a、第二サイドギヤ16bを組み付ける組付け方法について説明する。
最初に第一デフケース2aにサイドギヤ用スラストワッシャー20aを嵌合した第一サイドギヤ16aを第一サイドギヤ16aの歯形がデフケース中央Yを向くようにデフケースの回転軸X上に載置する。
次にピニオンギヤ用スラストワッシャー18をピニオンギヤ6の各々の球座面に取り付け、ピニオンギヤ用スラストワッシャー18が各々取り付けられた4個のピニオンギヤ6を第一サイドギヤ16aの上に各ピニオンギヤ6の歯形がデフケース2の回転軸Xを向き、デフケース回転軸Xを中心に互いに90°の間隔をおいて載置する。この時、対角に設けられた2個のピニオンギヤ6のピニオンギヤ孔5と第一デフケース2aの対角に設けられた2個のデフケース孔23a,23cとが同一直線上になるようにする。また、他の対角に設けられた2個のピニオンギヤ6のピニオンギヤ孔5と第一デフケース2aの対角に設けられた2個のデフケース孔23b,23dについても同一直線上になるようにする。
そして、一方ピニオンシャフト3をデフケース孔23aからピニオンギヤ用スラストワッシャー18に形成されたスラストワッシャー孔17、ピニオンギヤ6に形成されたピニオンギヤ孔5を貫通してデフケース2の回転軸Xまで挿通する。その後、このピニオンギヤ6の対角上に位置するピニオンギヤ6のピニオンギヤ孔5、ピニオンギヤ用スラストワッシャー18のスラストワッシャー孔17、デフケース孔23cを貫通して、第一デフケース2aと2個のスラストワッシャー18及び2個のピニオンギヤ6を直線状に位置決めする。続いて、軸部材11を一方ピニオンシャフト3の貫通孔9に挿通する。
次に他方ピニオンシャフト4,5を一方ピニオンシャフト3が挿入されたデフケース孔23a,23cとデフケース回転軸Xに対し90°間隔をおいて形成されたデフケース孔23b,23dに一方ピニオンシャフト側端部先端部4t,5tから挿通し、ピニオンギヤ用スラストワッシャー18に形成されたスラストワッシャー孔17、ピニオンギヤ6に形成されたピニオンギヤ孔8を貫通して、一方ピニオンシャフト3から突出した軸部材11に他方ピニオンシャフト4,5の中空孔4h,5hを挿通する。
続いて、2本の他方ピニオンシャフト4,5に設けられた固定ピン挿通孔4f,5f及び第一デフケース2aに設けられた固定ピン挿通孔31に固定ピン15a,15bを挿入して、2本の他方ピニオンシャフト4,5がデフケース2から抜けるのを防止する。
次にサイドギヤ用スラストワッシャー20を嵌合した第二サイドギヤ16bを4個のピニオンギヤ6の上に歯形がピニオンギヤ6側を向くように載置する。続いて第二デフケース2bを第二サイドギヤ16bのサイドギヤ用スラストワッシャー20の上に載置する。最後に、図示しないリングギヤを第一デフケース2a、第二デフケース2b、リングギヤに設けられたリングギヤ固定孔30に図示しないボルトによって固定し、ディファレンシャル装置1が完成する。
上記ディファレンシャル装置1の作動状態を説明すると、図示しない動力源(例えばエンジン)の駆動力は、トランスミッションを介してデフケース2のフランジ部21に取り付けられた図示しないリングギヤに入力され、デフケース回転軸Xを中心にデフケース2が回転する。このときデフケース2に取り付けられたピニオンシャフト3,4もデフケース2と共にデフケース回転軸Xを中心に一体に回転するため、ピニオンシャフト3,4に支持されるピニオンギヤ6及びピニオンギヤ6に噛合する第一サイドギヤ16aと第二サイドギヤ16bもデフケース回転軸Xを中心に回転する。これにより、第一サイドギヤ16aと第二サイドギヤ16bの内周にスプライン係合された左右のドライブシャフト(図示せず)に駆動力が伝達され、ドライブシャフトはデフケース2と一体に回転する。また、左右のドライブシャフトに回転差が生じたときは、デフケース2の回転とは異なる回転力がドライブシャフト側から第一サイドギヤ16a若しくは第二サイドギヤ16bを通じ、ピニオンギヤ6に入力され、ピニオンギヤ6と第一サイドギヤ16a及び第二サイドギヤ16bがデフケース2と別途回転することにより左右のドライブシャフトの回転差は吸収される。
以上のように上記ディファレンシャル装置1によれば、固定ピン15a,15bによりデフケース2に固定された他方ピニオンシャフト4,5の一方ピニオンシャフト側端部先端4t,5tとデフケース2に固定された一方ピニオンシャフト3との間に間隔Wを設けたため、デフケース2に形成された一方ピニオンシャフト3を挿通するデフケース孔23a,23cの位置がわずかに他方ピニオンシャフト4,5を挿通するデフケース孔23b,23d側へ位置ズレする、又は他方ピニオンシャフト4,5の固定ピン挿通孔4f,5f自体が位置ズレする等した場合においても、間隔Wを設けることによってばらついた寸法が吸収され、デフケース2の固定ピン挿通孔31に他方ピニオンシャフト4,5の固定ピン挿通孔4f,5fの位置を合わせることができ、固定ピン15a,15bを挿通してデフケース2に他方ピニオンシャフト4,5及び一方ピニオンシャフト3を確実に固定できる。また、間隔Wを設けることによって、他方ピニオンシャフト4,5の軸線方向全長が短くなり、ディファレンシャル装置1の軽量化ができる。
他方ピニオンシャフト4,5の中空孔4h,5hの一方ピニオンシャフト側端部4i,5iに、他方ピニオンシャフト4,5の軸線方向と平行の平行部4p,5pと、平行部4p,5pから円弧状に拡径される円弧拡径部4r,5rと、を備えたため、ディファレンシャル装置1が回転し、軸部材11と他方ピニオンシャフト4,5の中空孔4h,5hの一方ピニオンシャフト側端部4i,5iに応力が生じた場合であっても、他方ピニオンシャフト4,5の円弧接続部4r,5rによって軸部材11の一箇所に応力が集中することがなく、軸部材11にクラックが生じることを防止できる。
また、中空孔4h,5hに挿通される軸部材11の挿通長さ11a,11bは、他方ピニオンシャフト4,5により形成される中空孔4h,5hの軸線方向長さ4l,5lより短いため、他方ピニオンシャフト4,5の中空孔4h,5hに軸部材11が挿通されない空洞部10を設けることができ、ディファレンシャル装置1を軽量化することができる。
尚、本実施例では、他方ピニオンシャフト4,5に形成される中空孔4h,5hは貫通形成されているが、中空孔4h,5hに挿通される軸部材11の挿通長さ11a,11bが、他方ピニオンシャフト4,5により形成される中空孔4h,5hの軸線方向長さ4l,5lより短ければ、貫通していなくてもよい。また、2本の他方ピニオンシャフト4,5のデフケース側端部4d,5dをデフケース2に組み付ける固定手段として固定ピン15a,15bを設けたが、固定ピン以外の物、手法によって2本の他方ピニオンシャフト4,5のデフケース側端部4d,5dに固定させてもよい。デフケース2は、第一デフケース2aと第二デフケース2bの2個に分割されていたが、一体で形成する、或いは3個以上に分割するようにしても良い。動力源としては、一例としてエンジンを例示しているが、モーターやその他の動力源でもよい。
本発明の実施例のディファレンシャル装置の断面正面図(図2のB−B断面正面図)である。 本発明の実施例のディファレンシャル装置の断面側面図(図1のA−A断面側面図)である。 本発明の実施例のディファレンシャル装置の他方ピニオンシャフトの断面図である。 本発明の実施例のディファレンシャル装置の他方ピニオンシャフト先端の拡大図である。 従来のディファレンシャル装置の断面正面図である。
符号の説明
1 ディファレンシャル装置
2 デフケース
3 一方ピニオンシャフト
4,5 他方ピニオンシャフト
4d,5d デフケース側端部
15a,15b 固定手段(固定ピン)
4h,5h 中空孔
4i,5i 他方ピニオンシャフトの中空孔の一方ピニオンシャフト側端部
4p,5p 平行部
4r,5r 円弧接続部
4t,5t 一方ピニオンシャフト側端部先端
9 貫通孔
11 軸部材
W 間隔

Claims (3)

  1. 径方向に貫通孔(9)を有する一方ピニオンシャフト(3)と、
    前記貫通孔(9)に挿通する軸部材(11)と、
    軸線方向に中空孔(4h,5h)を有する2本の他方ピニオンシャフト(4,5)と、
    前記一方ピニオンシャフト(3)及び2本の他方ピニオンシャフト(4,5)を内部に組み付けるデフケース(2)と、
    前記2本の他方ピニオンシャフト(4,5)のデフケース側端部(4d,5d)をデフケース(2)に組み付ける固定手段(15a,15b)と、を備え、
    前記貫通孔(9)及び前記中空孔(4h,5h)に前記軸部材(11)を挿通し、前記一方ピニオンシャフト(3)及び2本の他方ピニオンシャフト(4,5)を十字状に組み付けるディファレンシャル装置において、
    前記固定手段(15a,15b)により前記デフケース(2)に固定された他方ピニオンシャフト(4,5)の一方ピニオンシャフト側端部先端(4t,5t)と前記デフケース(2)に固定された一方ピニオンシャフト(3)との間に間隔(W)を設けたことを特徴とするディファレンシャル装置。
  2. 前記他方ピニオンシャフト(4,5)の中空孔(4h,5h)の一方ピニオンシャフト側端部(4i,5i)に、前記他方ピニオンシャフト(4,5)の軸線方向と平行の平行部(4p,5p)と、前記平行部(4p,5p)から円弧状に拡径される円弧拡径部(4r,5r)と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャル装置。
  3. 前記中空孔(4h,5h)に挿通される前記軸部材(11)の挿通長さ(11a,11b)は、前記他方ピニオンシャフト(4,5)により形成される前記中空孔(4h,5h)の軸線方向長さ(4l)より短いことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載のディファレンシャル装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101900168B (zh) * 2009-07-14 2012-04-18 昆山威创精密机械有限公司 十字轴万向接头的连接轴结构

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