JP2007270167A - 焼付硬化性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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一典 大澤
Yasunobu Uchida
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Abstract

【課題】プレス成形性に優れ、かつ安定してBH量:30MPa以上の高い焼付硬化性を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.0008〜0.0025%、Nb:0.008〜0.020%を含み、Si、Mn、P、S、Al、Bの適正範囲に調整するとともに、Excess C量(%)(=C−(12/93)Nb)が−0.0005%以上となるようにC、Nbを含有する鋼素材に、熱間圧延、酸洗、冷間圧延を施し、ついで連続溶融亜鉛めっきラインで、再結晶焼鈍処理と、さらに溶融亜鉛めっき処理を施し、溶融亜鉛めっき鋼板とする。鋼素材あるいは熱延板あるいは冷延板のC、Nb分析値に基づいて算出されたExcess C量に基づき、再結晶焼鈍処理における焼鈍温度を、Excess C量が0%超えの場合には800℃以上850℃未満、Excess C量が−0.0005%以上0%以下の場合には850℃以上Ac3変態点未満とし、焼鈍後、5℃/s以上の平均冷却速度で750℃以下の温度まで冷却する。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車部材用として好適な、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に係り、詳しくは、成形性とくに深絞り性に優れかつ、安定して優れた焼付硬化性を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
近年、地球環境の保全という観点から排出される汚染物質の低減のために排気ガス規制が実施され、自動車に対しては車体の軽量化が強く要求されている。車体を軽量化するための有力な手法の一つに使用する薄鋼板の高強度化(ハイテン化)がある。
薄鋼板の高強度化の方法としては、固溶強化元素を添加して固溶強化を利用する方法、析出強化元素を添加して析出強化を利用する方法、変態による組織強化を利用する方法が一般的である。しかし、いずれの方法も高強度化に伴い、伸びやr値等の低下によるプレス成形性の低下やスポット溶接性の劣化、さらには耐二次加工脆性の低下等が生じるという問題を含んでいる。このため、プレス成形性の優れた高強度鋼板を製造する場合には、上記した強化元素を添加する方法は必ずしも好ましい方法とは言えない。
また、車体を軽量化するための他の手段として、薄鋼板の成形性を高める方法がある。薄鋼板の成形性を高めることにより、従来の多くの部品を溶接して組み立てる溶接組み立て方式から、一体成形方式に変更することができ、溶接のための重ね代の低減により、自動車車体の軽量化が可能となる。
また、プレス成形時には軟質であり、プレス成形時に導入される加工歪とその後の塗装焼付処理とにより、高強度化を達成する方法がある。この方法を利用した鋼板は焼付硬化型鋼板と称されている。この焼付硬化型鋼板を使用することにより、プレス成形時に鋼板に導入された加工歪とプレス成形後の塗装焼付処理とにより生じる鋼の歪時効現象、いわゆる焼付硬化を利用して最終部品(製品)の変形強度を高めることができ、部品の高強度化が図れる。この方法によれば強度の増加量には制限があるものの、プレス成形時には軟質で成形性の低下を抑制でき、プレス成形後に高強度化が可能となるという利点がある。しかも、この方法は強化元素を添加しないためスポット溶接性が良好であり、また粒界強度を上昇させる固溶Cが存在することから、耐二次加工脆性の低下も生じ難いという利点がある。
このような利点を有する焼付硬化型鋼板の製造方法について、例えば、特許文献1など、これまでにいくつかの提案がなされている。
特許文献1には、C:0.0005〜0.0035%、Nb:5C〜9C(ここでCはC含有量(%))をCとNbが特定関係を満足するように含有し、さらにSi、Mn、B、Al、Nの適正量を含む鋼素材に熱間圧延、冷間圧延を施したのち、連続焼鈍を730℃からNb、C量から決まる特定温度Tまでの昇温時間を30s以上、特定温度T以上での滞在時間を40s以上とすることを特徴とする高い焼付硬化性および優れた耐肌荒れ性を有する薄鋼板の製造方法が記載されている。特許文献1に記載された技術によれば、再結晶の進行とNb炭化物の溶解のタイミングを適度に調整することができ、高い焼付硬化(BH)性を確保でき、かつ耐肌荒れ性の向上や深絞り成形性の向上が可能となるとしている。
特開平8−100221号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術においても、例えば、出鋼時の、C、Nb量のバラツキにより、焼付硬化量(BH量)が大きく変動するため、延性(伸び)には優れるが、BH量が目標値より低くユーザーの要求特性を満足できないか、あるいは逆にBH量は高いが延性(伸び)が低下し、プレス割れを起こしやすい等の問題があった。また、特許文献1に記載された技術では出鋼時のC、Nb量のバラツキ等により、降伏伸びの発生が大きい場合があり、プレス加工時にストレッチャー・ストレインが発生しやすく、表面外観を著しく損ない易いなどの問題がある。とくに、連続焼鈍ラインに比べ、ライン速度や冷却速度が遅い連続溶融亜鉛めっきラインで製造される溶融亜鉛めっき鋼板においては、冷却途中でNbCが再析出し、高いBH量が得られ難いなどの問題があった。
さらに、特許文献1に記載された技術では、CとNbの特定関係として、次式、
730≧−9100/{log(Nb・C)−3.7}−273
を満足するように製鋼段階でC、Nb量を調整したうえ、さらに連続焼鈍に際して、次式、
T=−9100/{log(Nb・C)−3.7}−273
で規定される温度T(℃)までの昇温時間およびその温度以上の時間を規制しており、実操業において、そのような複雑な条件を満足させながら操業することは容易なことではないという問題があった。
この発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、延性の低下やプレス加工時にストレッチャー・ストレインを生じることがなく、プレス成形性に優れ、かつ安定して高い焼付硬化性を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。なお、ここでいう「高い焼付硬化性を有する」とは、引張予歪:2%の予変形後、170℃の温度に20min間保持する条件の熱処理(塗装焼付処理相当)を施したときの、熱処理前後の変形応力増加量(BH量=(熱処理後の降伏応力)−(熱処理前の予変形応力))が30MPa以上である場合をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するべく、BH量に及ぼす、鋼の組成および製造条件の影響について詳細に検討した。その結果、C、Nb含有量を適正範囲とするとともに、次(1)式
Excess C量=C−(12/93)Nb ……(1)
(ここで、C、Nb:鋼素材、熱延板または冷延板における各元素の分析値(質量%))
で定義されるExcess C量を予め把握し、Excess C量に応じて、冷間圧延後の再結晶焼鈍処理の焼鈍温度を調整するとともに、再結晶焼鈍処理後の冷却において特定温度範囲の冷却速度を適正範囲に調整することにより、Cの固定析出、再溶解を適正に調整でき、焼付硬化性に影響する固溶C量を一定化することができ、安定したBH量を確保することができることを知見した。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)鋼素材に、熱間圧延を施し熱延板とし、該熱延板に酸洗処理と冷間圧延とを施して冷延板とし、該冷延板に連続溶融亜鉛めっきラインで再結晶焼鈍処理とさらに溶融亜鉛めっき処理を施し、表面に溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに当り、前記鋼素材として質量%で、C:0.0008〜0.0025%、Si:0.10%以下、Mn:1.0%以下、P:0.10%以下、S:0.020%以下、Al:0.10%以下、Nb:0.008〜0.020%、B:0.0003〜0.0030%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材とし、かつ次(1)式
Excess C量(%)=C −(12/93)Nb ……(1)
(ここで、C、Nb:鋼素材、熱延板または冷延板における各元素の分析値(質量%))
で定義されるExcess C量が−0.0005%以上となるようにC、Nbを含有し、該鋼素材あるいは熱延板のC含有量及びNb含有量を分析し、得られた分析結果から上記(1)式により算出されるExcess C量にもとづいて、前記再結晶焼鈍処理の焼鈍温度を前記Excess C量が0%超えの場合には800℃以上850℃未満、前記Excess C量が−0.0005%以上0%以下の場合には850℃以上Ac3変態点未満とし、さらに該焼鈍温度で焼鈍した後、5℃/s以上の平均冷却速度で750℃以下の温度まで冷却することを特徴とする焼付硬化性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(2)(1)において、前記熱間圧延における巻取り温度を、700℃以下とすることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(3)前記溶融亜鉛めっき処理に引続き、溶融亜鉛めっき層の合金化処理を施すことを特徴とする(1)または(2)に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、BH量が30MPa以上となる優れた焼付硬化性と良好な成形性、さらには成形時の優れた表面外観を兼備する溶融亜鉛めっき鋼板を容易にしかも安価に提供でき、産業上格段の効果を奏する。
まず、本発明で使用する鋼素材の組成限定理由について説明する。なお、以下、とくに断らない限り質量%は単に%で記す。
C:0.0008〜0.0025%
Cは強度を増加させるとともに、焼付硬化性を発現する元素であるが、延性、成形性を低下させる元素でもある。本発明では、所定以上の固溶C量を確保し所望の焼付硬化量を得るために、0.0008%以上の含有を必要とする。なお、C量の増加は、延性(伸び)の劣化の原因となるため、それに見合う量のNb含有を必要とする。Nb含有量の増加は、再結晶温度の上昇を引き起こすとともに結晶粒が微細化して鋼板を硬質化するため、延性(伸び)の低下が大きくなる。このため、Cは0.0025%以下に限定した。なお、好ましくは0.0010%以上0.0020%以下である。
Si:0.10%以下
Siは製鋼過程における脱酸剤として作用するとともに鋼を強化する有効な元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましいが、0.10%を超える含有は成形性とめっき性を低下させる。このため、Siは0.10%以下に限定した。なお、好ましくは0.05%以下である。
Mn:1.0%以下
Mnは製鋼過程おける脱酸剤として作用するとともに鋼を強化する有効な元素である。このような効果を得るためには、0.10%以上含有することが望ましい。一方、1.0%を超える過剰の含有は鋼板の強度を必要以上に高めるとともに、鋼板を脆化させる。このため、Mnは1.0%以下に限定した。なお、好ましくは、0.5%以下である。
P:0.10%以下
Pは鋼を強化する作用があり、強度を増加させるためには、少なくとも0.02%以上含有させることが望ましいが、0.10%を超える含有は、耐二次加工脆性が低下する。このため、Pは0.10%以下に限定した。好ましくは0.05%以下である。なお、強化目的以外の場合には、不可避的不純物として、0.02%以下とすることが好ましい。
S:0.020%以下
Sは鋼中では介在物として存在し、成形性を低下させる。このため、Sは極力低減することが望ましい。S含有量が0.020%を超えると、その悪影響がとくに大きくなるため、Sは0.020%以下に限定した。なお、好ましくは0.005%以下である。
Al:0.10%以下
Alは製鋼過程おける脱酸剤として作用するとともにNとの親和力が強く、AlNを形成する傾向が強く、窒化物形成傾向の強い元素の歩留り向上に寄与する。このような効果を得るためには0.01%以上含有することが望ましいが、0.10%を超えて含有しても、その効果は飽和し、含有量に見合う効果が期待できず経済的に不利となる。このため、Alは0.10%以下に限定した。なお、好ましくは0.05%以下である。
Nb:0.008〜0.020%
NbはCを析出物(炭化物)として固定して鋼板の成形性を改善する元素である。このような効果を得るためには0.008%以上の含有を必要とする。一方、0.020%を超える含有は却って成形性を低下させる。このため、Nbは0.008〜0.020%に限定した。なお、好ましくは0.015%以下である。
B:0.0003〜0.0030%
Bは、Nと結合しBNを形成するため、Nを固定するのに有効な元素であるとともに、耐二次加工脆性を改善するのに有効な元素である。このような効果を得るためには、0.0003%以上の含有を必要とする。一方、0.0030%を超える含有はプレス成形性を低下させる。このため、Bは0.0003〜0.0030%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.0005〜0.0020%である。
本発明では、上記した組成範囲内で、かつ鋼素材、熱延板または冷延板において、次(1)式
Excess C量(%)=C −(12/93)Nb ……(1)
(ここで、C、Nb:鋼素材、熱延板または冷延板における各元素の分析値(質量%))
で定義されるExcess C量が、−0.0005%以上を満足するように、C、Nbを含有するものとする。Excess C量は焼付硬化能を表わす指標であり、Excess C量が−0.0005%未満では、固溶Nb量が多くなり再結晶温度を800℃以上とすることが困難となり、冷延板を十分に再結晶させ、延性、成形性に優れた鋼板とすることができなくなる。Excess C量が−0.0005%以上を満足する場合に初めて、800℃以上に加熱する連続焼鈍(再結晶焼鈍)時に、NbCが分解し、固溶Cを確保でき、焼付硬化させることが可能となる。このため、(1)式で定義されるExcess C量は−0.0005%以上に限定した。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。なお、不可避的不純物としては、N:0.0050%以下、O:0.0050%以下が許容できる。
次に、上記した組成の鋼素材に、熱間圧延を施し熱延板とする。
本発明では、熱間圧延の条件は所望の寸法形状の熱延板が製造できればよく、とくに限定されない。
なお、熱間圧延における鋼素材(スラブ)の加熱温度あるいは均熱保持温度は、1300〜1050℃の範囲の温度とすることが好ましい。加熱温度あるいは均熱保持温度が、1050℃朱満では、圧延終了温度FDTがAr3変態点より低下する恐れがあり、熱延母板の結晶粒が混粒となってしまうため冷延焼鈍板の深絞り性が低下する。また、加熱温度あるいは均熱保持温度が、1300℃を超えると圧延終了温度FDTが高くなり過ぎ、熱延板の結晶粒粗大化により冷延焼鈍板の深絞り性低下の原因となる。このため、鋼素材(スラブ)の加熱温度あるいは均熱保持温度は1050〜1300℃の範囲の温度とすることが好ましい。なお。より好ましくは1150〜1250℃である。
なお、省エネルギーの観点から連続鋳造スラブを再加熱したり、連続鋳造後にAr3変態点以下に降温したりすることなく、直ちにもしくは若干の保温処理を施した後、熱間圧延を行なうことが好ましい。
また、熱間圧延の圧延終了温度:FDTは、成形性の観点からAr3変態点以上とすることが好ましい。FDTが過度に高温となると、熱延板の結晶粒粗大化による冷延焼鈍板の深絞り性の低下を招く恐れがある。このため、熱間圧延の圧延終了温度FDTは(Ar3変態点+100℃)〜Ar3変態点とすることがより好ましい。
熱間圧延終了後、熱延板はコイル状に巻取られる。巻取り温度は700℃以下とすることが好ましい。巻取り温度が700℃を超えて高温となると上記した材質向上効果が飽和するとともに酸洗性が低下する。なお、より好ましくはAIN、MnS、NbCの析出の促進および前記析出物の粗大化による成形性の改善の観点から500〜700℃である。
次いで、得られた熱延板に酸洗処理と冷間圧延とを施して冷延板とする。
熱延板の酸洗処理は、公知の酸洗方法がいずれも適用でき、本発明ではその方法はとくに限定されない。
熱延板に施される冷間圧延は圧下率65%以上の圧延とすることが好ましい。冷間圧延の圧下率が65%未満では、冷延焼鈍板の深絞り性が所望の高い値を得ることができない。一方、冷間圧延の圧下率が90%を超えると、かえって成形性が低下する。このため、冷間圧延の圧下率は65〜90%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは70〜85%である。
次いで、冷延板にさらに連続溶融亜鉛めっきラインで再結晶焼鈍処理とそれに引続く溶融亜鉛めっき処理を施し、表面に溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板とする。
本発明では、鋼素材あるいは熱延板あるいは冷延板の段階で、鋼の成分のうち少なくともC含有量およびNb含有量について分析する。そして、前記した(1)式で定義されるExcess C値を算出し、再結晶焼鈍処理における焼鈍温度をこの値にもとづき決定する。
焼鈍温度は、Excess C量が0%超えの場合には、800℃以上850℃未満の温度域の温度とする。この場合、焼鈍温度が850℃以上では、NbCが溶解し、Excess C量が増大し過ぎる。このため、延性(伸び)が低下し、ストレッチャー・ストレイン発生の危険を回避することができなくなる。また本発明では、Nb含有により、再結晶温度が高くなっているため、焼鈍温度が800℃未満では未再結晶組織が残りやすく、プレス加工性が著しく低下する。
一方、Excess C量が−0.0005%以上0%以下の場合には、焼鈍温度は、850℃以上Ac3変態点未満の温度域の温度とする。この場合、焼鈍温度が850℃未満では、Excess C量が不足し、所望のBH量(:30MPa以上)を確保することができなくなる。また、焼鈍温度がAc3変態点以上となると、α→γ変態が生じ、再結晶集合組織がランダム化し、深絞り性(r値)、伸び(El)が低下するとともに結晶粒が粗大化してプレス成形時に肌荒れ欠陥が生じ、表面品質が低下する。なお、再結晶焼鈍処理では、上記した焼鈍温度での保持は10〜300s程度とすることが好ましい。
また、本発明では、上記した焼鈍温度で加熱した後、5℃/s以上の平均冷却速度で750℃以下の温度まで冷却する。なお、ここでいう平均冷却速度とは、冷却開始温度から冷却停止温度までの平均をいうものとする。平均冷却速度が5℃/s未満では、固溶CがNbCとして再析出し、焼付硬化性が低下するとともに所定の冷却速度を確保するための高い冷却能力をもった大型の設備を必要とし、製造コストの高騰を招く。また、冷却停止温度が750℃を超えて高温となると、その後の徐冷で固溶CがNbCとして再析出するため、焼付硬化能が低下する。
なお、再結晶焼鈍処理に引続く、溶融亜鉛めっき処理の条件はとくに限定されない。常用の溶融亜鉛めっき処理条件がいずれも適用できる。また、溶融亜鉛めっき処理後に必要に応じて溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行ってもよい。合金化処理を施してもとくにプレス成形性、焼付硬化性の変化は少ない。
表1に示す組成のスラブ(鋼素材)を加熱温度:1200℃で加熱した後、表2に示す条件の熱間圧延を施し、板厚3.2mmの熱延板とした。なお、熱間圧延の圧延終了温度は870℃、巻取り温度は表2に示す温度とし、巻取り後、室温まで冷却した。得られた熱延板は次いで酸洗処理を施した後、圧下率75%の冷間圧延を施し、板厚0.8mmの冷延板とした。次いでこれら冷延板に連続溶融亜鉛めっきラインにおいて表2に示す条件で再結晶焼鈍を施し、さらに溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっき鋼板とした。なお、溶融亜鉛めっきの目付量は45g/mとした。一部ではさらに溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行った。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板(合金化溶融亜鉛めっき鋼板)について、引張特性、r値、焼付硬化性を調査した。調査方法は次のとおりとした。
(1)引張特性
得られた冷延鋼帯から長軸を圧延方向に直交する方向としたJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を行い、引張特性(降伏応力YS、引張強さTS、伸びEl、降伏伸びYel)を求めた。
(2)r値測定
得られた溶融亜鉛めっき鋼板からJIS 5号引張試験片を採取した。r値はこれら試験片に引張試験で15%予歪を与えた後、3点法により測定し、圧延方向、圧延方向に対して45°の方向、圧延方向に対して90°の方向のr値を、それぞれをrL、rDおよびrCとし、これらからの方向の平均値(=(rL+2rD+rC)/4)として求めた。
(3)焼付硬化性
得られた溶融亜鉛めっき鋼板から引張試験と同様にJIS 5号引張試験片を採取し、2%の引張予歪(塑性歪)を与える予変形処理と、次いで、170℃×20minの熱処理を施し、熱処理前後の変形応力の増加量BH量(={(熱処理後の上降伏点)−(熱処理前の予変形応力)})を求めた。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2007270167
Figure 2007270167
Figure 2007270167
本発明例はいずれも、30MPa以上のBH量を示し、優れた焼付硬化性を有する溶融亜鉛めっき鋼板となっている。また、本発明例はいずれも42%以上の伸びElと1.5以上のr値と1.0%以下の低い降伏伸びYelを示し、優れた成形性、さらにはプレス加工時の表面外観に優れた、溶融亜鉛めっき鋼板となっている。一方、本発明範囲を外れる比較例は、成形性、焼付硬化性の少なくとも一方の特性が低下している。

Claims (3)

  1. 鋼素材に、熱間圧延を施し熱延板とし、該熱延板に酸洗処理と冷間圧延とを施して冷延板とし、該冷延板に連続溶融亜鉛めっきラインで再結晶焼鈍処理と、さらに溶融亜鉛めっき処理を施し、表面に溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに当り、
    前記鋼素材として、質量%で、
    C:0.0008〜0.0025%、 Si:0.10%以下、
    Mn:1.0%以下、 P:0.10%以下、
    S:0.020%以下、 Al:0.10%以下、
    Nb:0.008〜0.020%、 B:0.0003〜0.0030%
    を含み、かつ下記(1)式で定義されるExcess C量が−0.0005%以上となるようにC、Nbを含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材とし、
    該鋼素材あるいは熱延板あるいは冷延板のC含有量及びNb含有量を分析し、得られた分析結果から下記(1)式により算出されるExcess C量にもとづいて、前記再結晶焼鈍処理の焼鈍温度を、前記Excess C量が0%超えの場合には800℃以上850℃未満、前記Excess C量が−0.0005%以上0%以下の場合には850℃以上Ac3変態点未満とし、さらに該焼鈍温度で焼鈍した後5℃/s以上の平均冷却速度で750℃以下の温度まで冷却することを特徴とする焼付硬化性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

    Excess C量=C −(12/93)Nb ……(1)
    ここで、C、Nb:鋼素材、熱延板または冷延板における各元素の分析値(質量%)
  2. 前記熱間圧延における巻取り温度を、700℃以下とすることを特徴とする請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 前記溶融亜鉛めっき処理に引続き、溶融亜鉛めっき層の合金化処理を施すことを特徴とする請求項1または2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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